MY DYING BRIDE(前座:CATHEDRAL、THE BLOOD DEVINE)ライブ・レポート

これは1996年の秋にベルギーで見たMY DYING BRIDEのライヴ・レポートです。他にも色々見たんだけど、面倒なんでこれだけ。

チケット購入への道

まず、ライヴまでの道と言う事でチケットを購入するまでの顛末を…

出発前にWeb上で、ベルギーのVOSSELAAR(いまだに何て読むのか判らん)にあるBIEBOBと言うライヴ・ハウスでライヴがある事を確認。
このVOSSELAARと言う街が出発前にどこにあるのか良く判らなかったため、ライヴより前の日に場所を確認がてらチケットを購入しようと取りあえず
ロンドンで野宿してからから一路ベルギーに。ブリュッセルに到着すると、目的の街を探すため、早速ツーリスト・インフォメーションへ。しかし、係員の人も良く判らない。取りあえず、ベルギーの地図を貰って探して見ると、索引のところにVORSELAARと言う街が。一字違うが、Web上での書き間違いだろうと思い、このVORSELAARと言う街に行く事を決心した。
ところがこのVORSELAAR、電車では行けないので、バスで行くしかありません。何しろ外国のバスなので、違うところに行くバスに乗ってしまわないか、
乗り過ごしてしまわないか、料金もいくらかどころかいつ払うか判らないと非常に心配だったのだが、バスの運ちゃんに確認しながら無事VORSELAARに着きました。
道路は石畳で、レンガや石作の家が並ぶ中世風の小さな街並みで風情がある。教会とか民家ばかりで誰に道を聴いて良いのかも判らず(通行人もいないし)、街のあちこちを途方にくれてうろうろしていると、AV機器と一緒にCDも売ってる、街唯一のレコード店と思しき店を発見。
レコード売り場は畳2丈もない、狭い売り場だったんだけど、オールディーズのCDとかと一緒にCANNIBAL CORPSEやらNAPALM DEATHやらが並ぶと言う壮絶な光景が繰り広げられている。しかも店員に兄ちゃんがこんな片田舎にいたら滅茶苦茶浮くやろうと言う様な長髪の凄く怪しい店員で、もうそれ系の人に違いないと言う確信を抱き、この人ならライヴ・ハウスがどこにあるか判るに違いないとその店員に尋ねてみると、
「ああ、そこはこの街じゃないよ」
と一発回答。地図で場所と行き方を教えてくれました。索引には載ってないけど、確かにVOSSELAARと言う街はありました。で、その兄ちゃんは
「何見に行くの」
と聴くので
「MY DYING BRIDE」
と答えると
「クールだ」
との返答。やっぱりMY DYING BRIDEを知ってんのか…。こんな小さな街のレコード屋の店員が、暗黒系の人で助かったと思いながらも、こんな片田舎でCANNIBAL CORPSEとか並べてて売れるんだろうかと一抹の疑問を抱きながらも再びバスから電車、更にバスと乗り継いで目的地のVOSSELAARへ。
凄い小さな街です。さっきの街より小さい。が、広い道路沿いに店が何店か並んでて、BIEBOBもそこにってすぐに見つかりました。いかにも小さそうなライヴ・ハウス。扉は鍵がかかってなかったので、扉を開けて呼びかけてみたものの返事はなく、人の気配もありません。ライヴの始まる時間も分からないので、なんとか情報入手しないと困る…と言う事で、隣の店に行ってみると表にBIEBOBの張り紙が。ここで聞いてみると結局チケットは隣へと言われてしまい、どうしようかと思っていたら、ちょうどBIEBOBの関係者が来て無事チケットをゲット。チケット代は約1900円位。流石本場は安いねぇ。
で、その日は明日、暗黒系の聖地、スウェーデンのイェテボリでのMETALLICAのライヴを見るべく、ブリュッセルに戻り、晩飯にムール貝のクリーム・ソース煮を食い、満足してベルギーを出たのだった。

ライヴ編

11/23にライヴを見るべくベルギーに戻った私は、取りあえず電車でTURNHOUTと言う街へ(ここがその付近で一番でかい街)。ライヴは夜8時からなので、ライヴ・ハウス近辺に宿を確保しなければと、宿を探すことに。
ツーリスト・インフォメーションは駅にはなくて、街の地図を見ると町の広場にあるらしい。一路広場へ向かって徒歩で。木製のドアが閉まっていて、締め切っているのかと一瞬思ったが開いてた。
そこでホテルがあるか聴くと、VOSSELAARにはホテルはないとのこと。まぁ、あんなド田舎に普通ないやろ。最悪、1時間位歩けばVOSSELAARからはたどり着けそうなんで、ここで宿を取り、開場時間のPM8:00に間に合うようにバスでVOSSELAARへ。

開場して表で並んでいる連中が半分くらい入ったところで、もう中からはオープニングアクトのTHE BLOOD DIVINEが始まってしまい、一曲目はほとんど聴けず開場時間=開演時間なのね。^_^;
BIEBOBはクラブチッタの1/3位の大きさで、前が狭いステージ、後ろはカウンター・バーって感じの作り。ここにざっと500人位、立錐の余地もないくらい入り。ステージは狭いのでTHE BLOOD DIVINEやMY DYING BRIDE等はメンバーが6人もいるだけにほとんど動かれへん。
入場の際はノー・チェックなので、ビデオ持ち込んで堂々と撮影してるやつとかもいたね。

THE BLOOD DIVINEはANATHEMAを首になったボーカリストとイギリスで今、人気沸騰の(このときロンドンのヴァージン・メガストアのメタルチャートではなんと4位だった)ブラック・メタル・バンドCRADLE OF FILTHの元ギタリスト2人とキーボードの3人に、リズム隊を加えたバンド。始めが聞けなかったので正確ではないけれど、大体30分位のライヴで、セット・リストは以下の通り。

  1. Artemis
  2. Aureole
  3. Moonlight Adorms
  4. Wilderness
  5. Heart Of Ebony
  6. In Crimson Dreams
  7. A Dream Of Wolves In The Shadow
アルバムがまだ一枚しか出していなかった事もあって、そのアルバムからヘヴィなナンバーをほぼ一通りやったという感じ。演奏はきっちりしてるし、ヘヴィなナンバーだけと言う事もあって思ったより、ライヴ映えするなという印象を受けた。

30分の休憩を挟んでCATHEDRAL。スペシャル・ゲストとはいえ、前座と言う扱いは驚き。日本での知名度は明らかにCATHEDRALの方が上だけど、ヨーロッパではMY DYING BRIDEはかなりブレイクしてきている様で、先ほどのヴァージンのメタル・チャートでも8位と健闘していたしね。

CATHEDRALのセット・リストは、

  1. Urko's Conquest
  2. Utopian Blaster
  3. Stained Glass Horizon
  4. Midnight Mountain
  5. A Funeral Request
  6. Night Of The Seagulls
  7. Hopkins(The Witchfinder General)
  8. Ride
と全アルバムからまんべんなく選曲という感じ。THE BLOOD DIVINEやMY DYING BRIDEと一緒ということもあってか、割とおどろおどろしい感じの選曲という印象を受けた。約50分位のライヴで、まぁいつものCATHEDRALと言う感じで可もなし不可もなしというところ。

ここで再び30分の休憩が入って、MY DYING BRIDEの登場。ライヴが始まると、先のビデオ撮影しているやつは止めさせられました。セット・リストは

  1. Here In The Throat
  2. A Sea To Suffer In
  3. Grace Unhearing
  4. From Darkest Skies
  5. The Cry Of Mankind
  6. For You
  7. A Kiss To Remember
  8. Like Gods Of Sun
  9. All Swept Away
  10. You Shameful Heaven
です。完全に最近2枚からの選曲だけで、70分位のライヴでしたが、10分以上の曲とかもやったために、曲数は多くない。THE BLOOD DIVINEと同じくヘヴィなナンバー中心なので、CDで受ける耽美な印象よりかなりヘヴィな内容となっていた。
生ではなく、エレクトリック・バイオリンだったのは残念だったけど、バイオリンが思ったより前面に出ていて良かったね。演奏もPARADISE LOSTの日本公演なんかよりはるかに上で、ライヴの出来は非常に素晴らしかったです。
最後のYou Shameful Heavenでは観客をステージにあげさせて、ステージ・ダイヴもさせてました。ゴシック・メタルのライヴでステージ・ダイヴがあるとはこのときまで思いもしなかった。

場内整理係りはいたのかどうか判らないけど、割と皆ステージを注視していて、ダイヴはあるものの、激しくヘッドバンキングするやつとか、モッシュとかなくて、随分見やすかったし、観客のマナーも日本なんかより随分良かったのが意外だった。

ライヴが終わったのが深夜の0:00を過ぎ。さすがにもうバスは動いていないだろうと徒歩で隣町のTURNHOUTへ。しかし、凄い吹雪。途中の温度表示計は-2℃。死ぬかと思いながら歩いてると横をバスが通り抜けて行く。う〜ん、まだバスあったんだ。人通りのない静まり返った古びた教会の横を、吹雪の中通って行くのはそれなりに風情があった。
 


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