このアルバムでのツアーで唯一来日公演を行っているのですが、ギャランティと 日本での人気があまり一致しないバンドで、RUSH等と並んで来日してくれない大物 バンドの一つです。いわゆる縦のりのハード・ロックンロールとしては押しも押されもしない 第1人者と言って良いバンドですが、それに恥じないアルバムです。AC/DCと言うと、 代表作はやはりこのアルバムかBACK IN BLACKのどちらかでしょう。両方とも素晴らしい アルバムではありますが、特にこのアルバムはROBERT JOHN "MATT" LANGEの プロデューサーとしての凄さを始めて実感したアルバムです。下手をすれば作り過ぎと 言う位い手をかけているのだけれど、ぎりぎりバランスが取れていると言う感じです。
とにかく無駄な部分は全てこそぎ落として、シンプルな感じのする作品ですが、 AC/DCの魅力がちゃんと詰め込まれている。ソリッドでエッヂのたったサウンドは ぞくりと鳥肌が立って来ます。楽曲間も非常に短くしてあり、矢継ぎ早に次から次へと 曲が流れて来ます。曲も10曲で40分とやや短めの構成にしているのが成功していると 言って良いと思います。Inject The VenomやNight Of The Long Knivesなんか、普通に 聴いたら間延びした楽曲だなと絶対思うところですが、ソリッドでアルバムの早い展開が 飽きさせないです。
For Those About To Rock(We Salute You)を始めて聴いたときは、こんなクリアな 音作りが出来るのかと、ちょっとカルチャー・ショックも受けました。AC/DCのアルバムを 買ったのは、これが始めてだったのですが、実際はあまり期待してませんでした。 売れてるから買ってみただけで、当時はハード・ロックンロール、特にAC/DCみたいな タイプはあまり受け付けないだろうなと思っていたのですが、一発でノック・アウトされて その後何回も続けて聴いてしまった思い出があります。BRIAN JOHNSONみたいな ボーカルは絶対好きになれないだろうなと思ってたんですよねぇ。
この作品の後、FLICK OF THE SWITCHの失敗で、急激に人気を落としましたが、 実はこのアルバムもそんなに悪いとは思っていません。むしろその後の FLY ON THE WALLの方が、横のりが出て来てイマイチだなぁと思ったんですよねぇ。 THE RAZORS EDGEで復活しましたが、このアルバムも昔とは違った感じで、それ程 好きにはなれませんでした。やはりこのアルバムは、AC/DCと言うキャラクタと ROBERT JOHN "MATT" LANGEと言う希代のプロデューサーの妙が産み出した 産物かなと思う次第です。結局ROBERT JOHN "MATT" LANGEと組んでいたのは このアルバムまでであった訳ですから、もしFLICK OF THE SWITCH以降も ROBERT JOHN "MATT" LANGEとコンビを組んでいたらどうなった事でしょう。
結局、BACK IN BLACKとこのアルバムは両方とも全世界で1000万枚近く売ってしまった 訳で、名作中の名作と言うに相応しいアルバムだと思います。結局オーストラリアからは 後にも先にも彼等ほどのスターは登場しませんでしたしね。ランドセルをしょった半ズボンの 小学生の様なANGUS YOUNGですが、彼がイギリスではギター・ヒーローだと言うのも ちょっとびっくりしました。