THE LIAISON / ABRAXAS

ドイツのジャーマン・パワー・メタル・バンドのデビュー盤。 ボーカルには1980年代B級メタル・ファンには知る人ぞ知るMANIAに 在籍していたCHRIS KLAUKEが加入している。特に オープニング・ナンバーのCry Of The Nationではいかにも HELLOWEENらしいという感じの大仰な節回しの楽曲なのだが、 それ以降は割とある程度独自色を出している部分が伺える。 どことなくほの暗さを感じさせるメロディーで、やや哀愁を 感じさせてくれる。演奏も悪くないし、全体のクオリティはそれ程 低くないが、楽曲の流れが今一つ良くないような気がする。[78]

THE SUN OF TIPHARETH / ABSU

アメリカのメロディック・ブラック・メタル・バンドの 2ndアルバム。ブラック・メタル特有の金切り声だがそれほど きつくは感じられない。バックは耽美系統ではなくて如何にも パワー・メタルという感じのもので、扇情的で中々格好良い 作品だ。特にインストゥルーメンタル・ナンバーの Our Lust For Lunar Plains(Nox Luna Inlustris)から The Coming Of Warの導入部にかけては絶品だ。女性の ソロ・ソプラノを持ってきたりと、ありきたりだがそれなりに 工夫もしてあるが、楽曲に波があるのが残念だ。[82]

ABSTRAKT ALGEBRA / ABSTRAKT ALGEBRA

元CANDLEMASSのベーシスト、LEIF EDLING率いるスウェーデンの ドゥーム・メタル・バンドの1stアルバム。そしてギタリストには 元CANDLEMASS、KING DIAMOND、MEMENTO MORIのMIKE WEADという メンバーで、サウンド的には当然CANDLEMASS的な ドゥーム・メタルの匂いがと思いきや、それほどでもない。 サウンドは確かにヘヴィだが、アップ・テンポ中心でドゥーム色は かなり弱いと言って良いだろう。ボーカルは元TREATの MATS LEVENなのだが、パワフルな彼のボーカルは意外にバンドに 合っている。ジャケットはバンド・イメージと掛け離れていて 最低なのは残念だ。[83]

DOMAIN / ABOVE ALL

イギリスのハード・コア・パンク・バンドのデビュー盤。 FUDGE TUNNELのALEX NEWPORTがプロデュースしており、 ハード・コアと言ってもサウンドはそれほど単調ではなく、かなり 変則的な作品に仕上がっている。全体的に重苦しい雰囲気であり、 スラッシュ・メタルと言っても全く違和感はない。ダークで 臨場感があり、ザクザク刻むギター・リフは威圧的で 迫力があるし、この手のものとしてはかなりメタル色の強い作品に 仕上がっている。グルーヴ感を強く打ち出しており、初期のHELMET 等にも通ずるアルバムだと言って良いだろう。[82]

CUT THE CRAP! / AB/CD

スウェーデンのハード・ロックンロール・バンドの2ndアルバム。 そのバンド名を見れば判るとおり、AB/CDの言わばパロディと 言えるバンドで、そのパロディ具合もここまで来ればあっぱれだ。 BRAIJANのボーカルも少し苦しく感じるが、十分BRIAN JOHNSON 風だし、AC/DCファンは一度聴いてみるだけの価値がある。 方向的にはかなりシンプルで、現在というよりは、 FLICK OF THE SWITCHの様な、少し昔の辺りのAC/DCを 彷彿とさせる。全体的にラフに感じるし、AC/DCのアルバム程の 完成度までに至らないのはやはり無理ないだろうし、この位は許容 範囲と言って良い完成度だろう。[79]

ANTICLOCKWISE / ABIGHOR

イタリアのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドで1996年に リリースされたアルバムをリミックスして出し直したもの。 リミックス前の音源は聴いたことがないので比べる事は 出来ないが、こちらは非常に生々しい音で、クリアだがチープな 感があるのはいがめない。ジャーマン・パワー・メタル風の Respect Meや、スラッシュ・メタルっぽい部分のある War Of Silence等、やや趣を異にする楽曲もあるが、全体的には 叙情的で扇情的な楽曲が中心で、どちらかというとあまたいる QUEENSRYCHE系のバンドの一つといって良いだろう。この手の ものにおいては最も扇情的で、プログレッシヴらしい変則的な 部分もほどよく配されており、楽曲の展開もそれなりに 出来ている。一つ一つのメロディ等は割かし良い出来で、 GIANCARLO MATTEIのボーカルもうまいとはいいかねるが、 バンドの方向的にはそれなりにあっている。もう少し ボーカル、アレンジがレベル・アップしてプロダクションが 良くなれば、非常に楽しみな素材だ。[82]

ABRAXAS POOL / ABRAXAS POOL

元JOURNEY、現THE STORMのGREGG ROLIE、同じくJOURNEYの NEAL SCHONを始め、CALROS SANTANAを除く、SANTANAの オリジナル・メンバーによるバンドの1stアルバム。ラテン系の アダルトなサウンドのロック・アルバムで、落ち着いた大人の 雰囲気を漂わせている。全体的に支配しているラテンのサルサ風の メロディが妙に気持ち良い。JOURNEYの様なアメリカ風の テイストはほとんどなく、ハードという訳でもないので、 JOURNEYやTHE STORMを期待するなら外すだろうが、ラテン風 ロック・アルバムとしては非常に良い作品だ。[86]

THE ROCK'N'ROLL DEVIL / AB/CD

スウェーデンのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。バンド名が示す通り、オーストラリアが生んだ 偉大なるハード・ロック・バンド、AC/DCのフォローワーだ。 単純にフォローワーとだけ言い切れないのは、あの独特の ボーカル・スタイルも含めて完全にAC/DCなりきっている 所だろう。楽曲は全曲オリジナルでありながら、どう聴いても AC/DCの曲にしか聞こえない所に好感を持てる。 Your Name On My Bulletの締めの部分など、細かい所まで拘って 作られており、AC/DCファンなら思わずにやけてしまう事請け 合いだ。メンバーの名前もBENGUS、NALCOLM、BRAIJAN、CLIM、 FLINTと言う所まで気を配っている。BRAIJANの ボーカル・スタイルも全くそのとおりなのだが、曲によっては スタイルを変える事があるのが残念だ。[88]

NO SURRENDER / ABNOMALS

日本のハード・コア・パンク・バンドの2ndアルバム。かなり キャッチーなメロディのハード・コアで、ボーカル・スタイルは GLENN DANZIG風だ。発声等、明らかに意識してGLENN DANZIGの ボーカルを真似ており、そのためMISFITS風に感じられる 部分もある。こうして聴いていると、今MISFITSを聴いても、こう 言う新鮮さを感じさせてくれるだろうと思うと、GLENN DANZIGは 凄いと思わざるを得ない。MISFITSに比べると、楽曲はもっと ロックンロール然としており、ハード・コアに聞こえない 曲もある。楽曲の出来は悪くないし、きっちりと作り上げていて、 ある意味安心して聴ける。[82]

THE INEXORABLE / ABGELCORPSE

アメリカのデス・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には、 フロリダのバンドらしい、いわゆるテクニカル・デス・メタルと 呼べるもので、MORBID ANGELをより禍禍しくブルータルにした様な アルバムに仕上がっている。変則的な曲展開と、テクニカルな 演奏は、到底聴き易いとは言えないもので、 テクニカル・デス・メタルとしても激烈な内容であると言って 良いだろう。楽曲は全てかなりアップ・テンポで、畳み掛けて 来るサウンドにはただただ圧倒されるばかりだ。グラインド・コア 系とはまた別の意味で強烈な作品なので、あまり一般的にお奨め 出来る作品とは言い難いが、良くぞここまでやったと言う風には 思えるアルバムだ。[82]