ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第1弾となるアルバム。 ジャーマン・メタルの大御所と言うべきバンドで、 オリジナル・ボーカリストのUDO DIRKSCHNEIDERを迎えての 再結成だ。UDOの破壊的なボーカルには変わりはないが、 楽曲にはあの頃の力強さが今一つ感じられない。アップ・テンポの 曲があまりない事もあるだろうが、むしろギタリストが WOLF HOFFMANN一人になって全体的に重厚さが 感じられなくなってしまった事が大きいだろう。アルバムの 出来としてはそれ程酷いものとは思わないが、やはり盛り上がりに 欠けるのは確かだ。[74]
ベテラン・ジャーマン・メタル・バンドの再結成第2弾アルバム。 名曲Metal Heartでクラシックの名曲、エリーゼのためにをソロで 入れるという素晴らしいアイデアを出していたが、今作では Sodom & Gomorraでトルコ行進曲をやっている。しかし2番煎じな 上に、あまり面白くなく、企画倒れという印象を受ける。 前作よりはギタリストが一人になってしまった影響を 感じさせないような作りになっているが、その分メロディに あまり魅力が感じられない。全体的には前作よりバランスが 取れていて出来は悪くないと思うが。[77]
オーストラリアのハード・ロックンロール・バンドの1980年に リリースされたアルバム。全世界で800万枚以上と言う モンスター・ヒットとなったバンドにとっての代表作で、 ボーカリストBON SCOTTの死に伴い、BRIAN JOHNSONが新加入しての 第1弾アルバムである。個性的すぎるほど個性的なバンドで、 ワン・パターンと言うイメージがあるが、ダークな雰囲気漂う Let Me Put My Love Into Youを始め、アップ・テンポ、 ミドル・テンポと多少の変化を付けながら、オリジナリティを 維持している。代表曲と言えるHells Bellsを始め、楽曲の出来も 粒が揃っており、名作の名に恥じぬ作品だ。[92]
オーストラリアのハード・ロックンロール・バンドの1988年に リリースされたアルバム。1980年代初頭爆発的にブレイクした後、 FLICK OF THE SWITCHからワン・パターンに対する 迷いのようなものが見えて、徐々にトーン・ダウンして行き、長い 低迷を続ける事になり、このアルバムはそんな中で出たものだ。 FLY ON THE WALLではこれまでのAC/DCからするとちょっと趣が 変った感じを受けたが、今作では従来のAC/DCにやや揺り戻した 感じだ。ただBACK IN BLACKのときの様なすっきりした硬質な ハード・ロックに対して、よりのりを重視したグラマラスな 感じのする作品作りになっている。[81]
オーストラリアのハード・ロックンロール・バンドの1990年に リリースされたアルバム。FOR THOSE ABOUT TO ROCK以来長い 低迷を続けていたが、この作品でようやく復活を遂げる事が 出来た。Thunderstickの様な前作辺りから見られるような キャッチーでのりの良い楽曲に、旧来のシンプルな ハード・ロックンロール路線を取り入れ、ダークな曲から カラッとした曲までこれまでのエッセンスを上手く取り入れた 作品に仕上がっている。楽曲の出来もそつなく粒が揃っており、 復活作にふさわしい仕上がりだといえる。[84]
オーストラリアのハード・ロックンロール・バンドの1992年に リリースされたライヴ・アルバム。大ベテランと言える様な長い 活動とHhole Lotta Rosieを始め、数々の名曲を 持っているだけに、こういったライヴ・アルバムで過去の名曲を 列挙されると中々爽快だ。ライヴ・パフォーマンスとしても 確かなものを持っており、初心者用の入門編としても不足はない。 ただ残念なのは、どういう理由でかは判らないが、ぶつ切りで 収録されており、フェード・アウト、フェード・インが 繰り返される事だろう。[86]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 IRON MAIDENのフォローワーと想像させるようなバンド名だが、 実際にはIRON MAIDEN的な部分はまるでない。北欧メタル的な 部分はほとんどなくて、どちらかというと叙情的なメロディの アメリカン・ハード・ロックという感じだ。これが当たり 障りのないものになっていないのは、エモーショナルさを強烈に 滲ませているからだ。このエモーショナルさと厚い コーラスによってバンドの個性を打ち出す事に成功している。 やや湿り気を感じさせる部分もあって、単に 能天気なものになっていないのも好感を持てる。楽曲の出来も粒が 揃っており、新人としては十分満足できる出来だ。[86]
N.W.O.B.H.M.後期のバンドの1983年にリリースされた唯一の アルバム。元GASKINのベーシスト、STEF PROKOPLZUK率いる バンドだ。クレジットがないため、このアルバムでの ソング・ライティングがどうなっているのか不明だが、 See You In Heaven等はキャッチーで哀愁の漂ったメロディの プログレッシヴ・ロック的な匂いがあってGASKINっぽい。 GASKINでは、ほとんどソング・ライティングに関わっていなかった STEF PROKOPLZUKだが、中々興味深いところだ。全体的には どちらかと言うと、ストレートでアメリカンっぽく感じる部分も 多々ある。See You In Heavenを除けば並みと言う感じがするが、 それよりもジャケットのセンスの悪さでかなり損をしていると 思う。[81]
アメリカ人ギタリストの1978年にリリースされた初の ソロ・アルバム。アメリカのハード・ロック・バンド、KISSがその 活動の傍らでそれぞれのメンバーがソロ・アルバムを リリースしたのだが、これはその一環として出されたものだ。 後にKISSを脱退し、FREHLEY'S COMETを結成する先駆けとなった 様なアルバムだ。決して上手いとは言えないが、そつなく ボーカルもこなしているし、演奏、プロダクションでも 問題はない。楽曲の方はハード・ロックというよりも、普通の ロックンロールと言う感じが強く、悪くはないが特別 面白くもない。[77]
ラスト・アルバムという噂もあるオーストラリアの ハード・ロックンロール・バンドの5年振りとなる スタジオ・アルバム。もう確固たるスタイルを築いているので内容 自体の説明はあまり必要ないだろう。ワン・パターンと言って良い 程のものだが、それをここまで昇華した所がこのバンドの偉大な 所だろう。今作も実にこのバンドらしい縦ノリの ハード・ロックンロールをやっていて、安心して聴いていられる。 方向性自体は少し時代を遡った感じで、FOR THOES ABOUT ROCK 前後的なよりシンプルな感じがする。FLY ON THE WALL以降では 最も硬派な出来だと思うし、楽曲の出来も申し分ない。[87]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第3弾アルバム。 再結成後の精細のなさを考えると、再結成してからは一番まともな 出来のアルバムだろう。と言っても、ギターが一人しかいない 現状では、昔の様なパワー溢れる攻撃的なサウンドを構築 出来るはずもなく、それとはまた違った方向性の作品だ。そう言う 事を考えると、再結成後の全てのアルバムに関してあてはまる 事だが、バンドを再結成させた意義というものが良く判らない。 昔の名前で出ています的なニュアンスしか感じられないので、 出来はそこそこだと思うけれど、それ以上に抑揚感が湧いてこない アルバムだ。[79]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドによる1994年に リリースされた6thアルバム。ヘヴィで攻撃的なサウンドだが、 いかにもスラッシュ然とした楽曲で、こう言った作品が少ない 昨今、非常に好感が持てる内容だ。跳ねたリズムも格好良いし、 そこに織り込まれるギター・メロディも悪くない。FRANK THOMSの 吐き捨て型のボーカルは、無機質な割には緊迫感を煽るまでには 至っておらず、少々物足りないがバンドのカラー的には 外れてはいない。これと言った楽曲はないが、非常に重厚な 感じで、最近ではかえって貴重なバンドだ。[80]
アメリカのハード・ロック・バンド、KISSのギタリストの アルバム。と言っても新しく録音されたものはなく、かつての 音源を集めた作品で、半分はFREHLEY'S COMETのアルバムから 選曲したもの、残りの半分が1988年に行われたライヴの未発表 音源だ。それ故、どちらかと言うとソロ作品と言うよりは FREHLEY'S COMETのアルバムと言った方が正しい作品だ。 Hide Your Heart等、FREHLEY'S COMETが意外と良いバンドだった 事を再認識させてくれる。ライヴはほとんどがKISS時代の曲で、 わざわざこのアルバムに入れたのはサービスだったのか、 売れるのを狙ったのか怪しいところだ。[83]
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの2ndアルバム。かなり サイケデリックな感じのする音作りをしているが、いわゆる ヘヴィ・ロックとは違い、はっきりと初期BLACK SABBATHの影響を 伺える作品だ。そういう意味ではCATHDRAL的とも 言えなくはないが、ああいったデフォルメした内容ではなく、より 重厚で1970年代的な雰囲気を強く匂わせる作品になっている。 あの頃のBLACK SABBATHよりは遥かに厚い音作りで、パトスと 気だるさを同時に感じさせてくれ、不思議な気持ち良さがある。 楽曲も判りやすいし、聴きやすいメロディで全体に調和が 取れていて良く出来ている。[85]
オーストラリアが誇る、ハード・ロックンロール・バンドの今は 亡き、初代ボーカリストBON SCOTTのトリビュート作品とも 言うべき5枚組みのボックス作品。プロモーション盤の LIVE FROM THE ATLANTIC STUDIO、ライヴ・アルバムの LET THERE BE ROCKを2枚組みのCD化したもの、未発表の レア・トラック集VOLTS、BON SCOTTの追悼作品にして彼等の代表作 BACK IN BLACKからなっている。BACK IN BLACKは作品の性格上は ともかく、わざわざ入れるまでもない作品なのだが、それ以外は どれも嬉しいCD化だ。特にLET THERE BE ROCKはビデオの音源を 持ってきているだけにそれなりに高いクオリティを誇っている。 どちらかというとマニア向けという感じの作品で、日本では どれくらい受けるのか疑問だが、ファンなら買って 損はしないだけの作品だ。[84]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの4年振りの2ndアルバム。 本当にパーマネントなメンバーなのか窺がわしいが、 ドラマーとしてANDERS JOHANSSONがクレジットされている。 デビュー盤では良く言えばポップな作品だったが、全体的に 大人しいと言った感のする作品だった。それに比べると、今作では プロダクションはグルーヴ感が出ていて、非常に聴き応えのある 作品に仕上がっている。楽曲の出来に波がない訳でもないが、 バラードのIn A Wink Of An Eyeも中々の佳曲で、盛り上げかたも 素晴らしい。楽曲を始め、全体的に良く出来ており、中々の好盤に 仕上がっている。[84]
イタリアのプログレッシヴ/ゴシック・メタル・バンドの デビュー盤。方向的には、かなりDREAM THEATER的な プログレッシヴ・メタル色が前面に打ち出されているため、 キーボードのフレーズや一部のメロディに若干ゴシック・メタル 的な部分はあるものの、それ程ゴシック・メタル的なエッセンスは 感じられない。ANDREA CAIMIのボーカルは、 クリア・ボイスなのだが、だみ声でお世辞にも上手いとは言えず、 雰囲気には今一つそぐわない。アイデア的には悪くないのだが、 そう言った部分がまだまだ消化仕切れておらず、今一つと言った 感は拭えない。[79]
スウェーデンのハード・ロック・バンドのデビュー盤。 全体的にVALENTINEっぽい、QUEEN風のメロディの音楽性だが、あれ 程大仰ではなくより自然な感じを受けるものとなっている。 それからも判る様に、甘いメロディが主体なのだが、変拍子を 入れたり、よりプログレッシヴ・ロック的なドラマティックさを 持っている。ポップでキャッチーな、甘く優しいメロディの 楽曲だが、それだけに終わっていないところに好感が持てる 作品だ。特にギターはハードでエッヂが効いているが、 JERRY SAHLINの繊細なボーカルもあってか、それ程ハードさは 感じないアルバムに仕上がっている。[83]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた 5thアルバム。バンドの出世作とも言える次作、METAL HEARTと 比べると、基本的な音楽性は全く変るところはなく、如何にも メタリックなサウンドのヘヴィ・メタルだ。しかし、前半は ミドル・テンポが中心で、Metal HeartやMidnight Moverの 様な勢いの良さが残念ながら今一つ感じられない。もちろん Fight It Back、Love Childと言った勢いのある楽曲もある 訳だが。Head Over Heels、Losing More Than You've Ever Had 等はMetal Heartに通ずる様なメロディアス・ナンバーで、 次作への流れも感じられるアルバムに仕上がっている。[83]
オーストラリアのハード・ロックンロール・バンドの 5年振りとなる15thアルバム。ここ最近のアルバムと比べると、 非常にソリッドな音作りがなされており、そう言う意味では FOR THOSE ABOUT TO ROCKやHIGHWAY TO HELLを思い起こさせる 作品だ。虚飾性を完全に削ぎ落とし、キャッチーさは 失せてしまっている。シンプルなアルバムで、そういう意味では RAZORS EDGEのファン辺りには少し辛いところがあるかも 知れない。ややシンプル過ぎると言う感じがあって、こう言う 作品を作って来るならば、FOR THOSE ABOUT TO ROCKの様な プロダクションをすべきではなかったかと言う気もする。原点回帰 的な作品で、彼等らしさがあって、昔のファンからすると 懐かしさも感じるだろう。[85]
オーストラリアのハード・ロックンロール・バンドの来日記念の ミニ・アルバム。最新アルバム収録曲であるタイトル・トラックに アルバム未収録曲が1曲、ライヴが3曲の全5曲と言う 構成になっている。アルバム未収録曲のCyberspaceは、 アルバムから落ちただけあって彼等としては特にどうと言う 楽曲ではないが、彼等らしいフレーバーに溢れた、テンポの良い ロックンロール・ナンバーだ。ライヴは1996年に行われた スペインでの公演の模様を収めたもので、ライヴの雰囲気を良く 現している。どれも未発表音源と言う訳ではないが、これ1枚で 全て聴けるというのはそれなりに有り難い。[80]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。 方向的には前作の延長線上と言えるもので、 プログレッシヴ・ロックっぽいテクニカルさを織り込んだ、 叙情的なメロディのヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。 HERMAN SAMINGのボーカルは、ROBBY VALENTINEやVALENSIAっぽさを 感じさせる甘いボーカルで、その歌メロもあってQUEENや NEW ENGLAND的な色合いの感じられるアルバムに仕上がっている。 流麗でありながら、プログレッシヴ・ロック的なエッセンスが 決して単調にせず、フックが感じられる。やや癖の強い バンドだけに好き嫌いは判れるかもしれないが、中々良く 作りこまれた作品だ。[82]
スウェーデンのハード・ポップ・バンドの3rdアルバム。元々 プログレッシヴ・ロック的なエッセンスを感じさせる作品を 作っていたし、QUEENと言うかVALENSIA的なメロディもこれまで 通りだが、より一層こう言った要素を強く打ち出して来ている。 特に新しいボーカリスト、HERMAN SAMINGの歌唱スタイルがそう 言った感じなので、尚更VALENSIAっぽさを感じさせる。これらの プログレッシヴ・メタル的な色合いを醸し出しながらも、世の プログレッシヴ・メタルとは一線を画した作品と言って 良いだろう。場面によってはテクニカルな演奏も聴かせてくれ、 ユニークさも併せ持っている。[82]