スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの1993年に リリースされた2ndアルバム。デス・ボイスとクリア・ボイスの ツイン・ボーカルを使うというスタイルを確立させ、日本での メロディック・デス・メタルの流行のきっかけを作ったが、それに ふさわしいだけの内容を持っている。プログレッシヴ・ロック的な 指向を持ったバンドだが、この作品ではまだそういった部分を強く 打ち出す以前の作品であり、その後のKINGSTON WALLに触発された プログレッシヴ・ロック指向についていけなかったファンにも十分 納得出来る作品となっている。もちろんそういった部分が 皆無という訳ではないが、味付けとして良い案配で配されている。 楽曲の出来、構成も含めて、なかなか高品質の作品に 仕上がっている。[88]
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの1992年に リリースされたデビュー盤。メロディック・デス・メタルの 金字塔とも言うべき2ndアルバム、TALES FROM THE THOSAND LAKEに 通ずる様な美しいメロディがいくらか散見されるが、 どちらかと言うとおどろおどろしい感じのスラッシュ的な作品で、 2ndで多用されるクリア・ボイスもここではない。2ndアルバムに 通ずる部分もあるが、原形程度でまだまだと言う感じだ。咆哮型の デス・ボイスがよりきつく、悪くはないのだが特別取りたてる様な 作品でもないのは確かだ。[68]
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの4曲入り ミニ・アルバム。タイトル・トラック・ナンバーはアルバムからの テイクで、残りの3曲もTALES FROM THE THOUSAND LAKESの 日本盤にはボーナス・トラックとして収められており、日本盤を 持っている人にはあまり所有する必要のない作品だろう。これらの アルバム未収録曲は、方向的にはバンドの他の楽曲と一切 変わりなく、いかにもAMORPHISらしい曲だし、決して悪い 出来ではないのだが、アルバムから漏れた曲だけあって、それらの 曲に比べると楽曲的にはやや落ちる。[82]
スウェーデンのハード・ロック・プロジェクト・バンドの1st アルバム。ポップでキャッチーな非常に聴き易いハード・ロックで 楽曲の出来も中々良い。北欧らしいメロディ・センスも 持っているが、むしろアメリカ的な洗練された面を持っており、 幾分DEF LEPPARDっぽい曲もある、洒落たロック・アルバムに 仕上がっている。ボーカルのLAZ BASSWORDはLARS ERIC MATSONや STATE OF MINDのボーカルを務めていた人で、このボーカリストと プロデューサーのPETER BROMANとのプロジェクトである。 出来としては単なるプロジェクト・バンドで終わらせるには惜しい 出来だ。[86]
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。実験作的な意味合いがかなり強く、これはかなりの 問題作と言えるだろう。民族音楽的な色合いが強く、 プログレッシヴ・ロック的な手法をかなり取り入れている。特に 顕著なのはKIM RANTALAのキーボードの使い方で、それ以外でも On Rich And PoorやCares等でのクリア・ボイス部分では、 PASI KOSKINENの声質もあいまって、KINGSTON WALLといった 感じを強くさせる。そう言った部分が、このバンドが前作でみせた メロディアスな部分よりも強く主張しているので、 メロディック・デス・メタルとしては、逆に散漫な印象を 与えかねない諸刃の剣となっていると言って良いだろう。前作での ファンがこれを聴いて、受け入れられるかどうかは、かなり意見が 割れるところではないだろうか。[84]
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの ミニ・アルバム。ELEGYでメロディック・デスよりの脱却は より顕著になり、プログレッシヴ・ロック的なアティテュードを 強めていたが、この作品でもそれは変わりはない。最近は同郷の プログレッシヴ・ロック・バンドのKINGSTON WALLの影響が 見え隠れしていたが、彼らのAnd I Hear You Callをカバーして そのルーツを明らかにしている。HAWKWINDのLevitationも カバーし、キーボードはかなり前面に押し出した 作品になっており、一部デス・ボイスを使われるのを除けば プログレッシヴ・ハード・ロックと言って良いような 内容になっている。[83]
STATE OF MINDやLARS ERIC MATTSON'S VISIONを渡り歩いた スウェーデン人ボーカリストCONNIE LINDとPETER BROMANの 二人組みによるプロジェクト・バンドの2ndアルバム。憂いを 帯びたキャッチーなメロディは哀愁味が良く出ていて心に染み 入って来る。洗練されたハード・ポップで、整った楽曲は実に良く 出来ていて安心して聴ける。セルフ・プロデュースだが、 臨揚感があって実に良く出来たアルバムだ。派手さはないが、 しっとりと落ち着いた楽曲をじっくりと聴かせてくれる。 楽曲のみならず、全体的に実に完成度の高い作品で、 ハード・ポップ・ファンには一聴の価値がある。[87]
詳細は全く不明だが、ゴシック・バンドの1997年にリリースされた アルバム。チェロやバイオリンの専任メンバーがいるだけあって、 ギターもほとんど露出が無く、かなりオーケストラレーションを 重視した作品だ。その割にはそれ程シンフォニック的な感じは 無く、独特のダークな雰囲気を持っている。女性ボーカル、 KRIS FORCEの儚い感じのする歌声がこういった雰囲気に割と良く マッチしている。レクイエムの様なSong Of The Spider Warを 初め、おどろおどろしたホラー的な雰囲気が全体を覆っている。 ヘヴィなところはまるでないのに、あまりにも陰鬱な雰囲気は 一種独特の世界を作り上げている。出来は悪くないが、この 盛り上がりのない淡々としたダークな世界観が延々と続くのには 最後はさすがに退屈してしまうが。[81]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。その サウンドはブラスト・ビートも絡めて来るが、 ブラックメタルとしてはよりスラッシュ・メタル的であり、より パワー・メタル的である。楽曲にははっきりと展開があり、 ブルータリティな部分とよりメロディを打ち出した部分でうまく 構築されている感じだ。楽曲が良く練られていて、攻撃的な 部分を聴かせたかと思うと、格好の良い扇情的な ギター・メロディを挟んで来たりと、飽きない作品に 仕上がっている。JOHAN HEGGのスクリーミングはどちらかと言うと しゃがれ声のシャウトに近く、かなり聴き易いし迫力があると 思う。[88]
スウェーデンのハード・ポップ・バンドの3rdアルバム。 クレジットは前作と同じ2人組のユニットだが、PETE BROMANの弟、 TOMAS BROMANが加わって、ドラムを叩いているため、打ち 込みだった前作以上に臨揚感のあるサウンドに仕上がっている。 楽曲的には、北欧的な叙情感を持ちながらも、アメリカ的な 洗練されたハード・ポップで、かなりレベルの高い 作品になっていると言って良いだろう。ただ、1曲、1曲はレベルが 高くても、こういう甘いハード・ポップが延々と続くのは少々 飽きが来る。良く出来過ぎていて、波がないのが、逆に盛り 下げているようにも思えるが、完成度はかなりのものだ。[85]
詳細は全く不明だが、恐らくアメリカのハード・ロック・バンドの 1992年にリリースされたミニ・アルバムだろう。方向的には タイトでアメリカのバンドらしいハード・ロックをやっている。 Shoot Down The Memory等はグルーヴィさを抜いてすっきりさせた 様なBAD LANDSと言った感じで、結構聴きごたえはある。一方で、 If Love Is So Blindは、ボーカル・スタイルまで含めて、 いかにもVAINと言った感じで、統一感と言った部分では 今一つないのだが、楽曲を個々に取ってみると中々面白い作品だ。 Shangra-Loveを始め、他の楽曲も中々良く出来ていて、 メロディ・センスの良さを伺わせるアルバムに仕上がっている。 プロダクションも良く出来ているし、意外に掘り出し物的な 作品だ。[85]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの1996年に リリースされたデビュー・ミニ・アルバム。方向的には、 スラッシュ/パワー・メタル系のサウンドで、勢いが感じられる。 アップ・テンポの楽曲に、叙情的なギター・ソロを絡ませる等、 聴きごたえはたっぷりある。JOHANのスクリーミングは、 どちらかと言うとデス・ボイスに近いだみ声で、この 手のものとしては割と聴き易い方だ。まだ、ここはと言った 聴かせどころを作るまでには至ってはいないが、迫力と勢いだけは 十分評価出来る。楽曲をもっと作り込んで、ギター・メロディ等が 印象的になってくれば、かなり良くなると言う期待を 抱かせてくれる。[79]
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの 4thアルバム。前作では、同郷の プログレッシヴ・ロック・バンド、KINGSTON WALLの影響を強く 見せるアルバムだったが、今作でもその路線をより押し 進めている。フィンランド民族音楽とプログレッシヴ・ロック的な 融合をより先鋭化したと言って良いだろう。デス・ボイスも 全くなく、メロディック・デス・メタル的な世界からは完全に 離れている。ヘヴィ・メタルらしいギター・フレーズも出て来て、 完全に別世界に行ってしまったと言う感じではないが。楽曲の 出来も、プロダクションも概ね満足できる出来だし、 KINGSTON WALLが好きならば一聴の価値はある。[84]
アメリカのパンク・ロック・バンドのデビュー盤。パンクとは 言え、その方向性はミクスチャーに近く、パンク・ロックを 下敷きにしながらも、モダン・ヘヴィネス、インダストリアル、 オルタナティヴ・ロック、ゴシック・ロック、ロックンロール、 ノイズと言った様々な音楽の影響が見えて来る。この混沌とした 様相でありながらも、破壊力溢れるサウンドで、そのエナジーが 吹き出して来る様は中々圧巻である。混沌としたカオスを思わせる 様なサウンドではあるが、その割には結構聴き易いところが、一見 破天荒なこのアルバムを馴染み易いものにしていると言って 良いだろう。[81]
スウェーデンのヴァイキング・メタル・バンドの3rdアルバム。 音楽的な方向性は、MITHOTYNの様なヴァイキング・メタル特有の 古めかしい愁いを含んだキーボードを導入したものとは違って、 ありきたりに言えばアップ・テンポのパワー・メタル型 メロディック・デス・メタルと言う感じだ。前作よりは楽曲が 洗練されてストレートになった分、今一つここと言うポイントが 掴み難いアルバムになってしまっている。とは言っても、楽曲の 出来は、この手のバンドとしては出色の出来で、ソリッドな サウンドも生々しくて良い感じだ。JOHAN HEGGのデス・ボイスも、 歪ませてはいるがそれ程きつくはなく割と聴き易い。[83]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2ndアルバム。方向的には かなりパンキッシュな色合いを感じさせるヘヴィ・ロックで、 ボーカリストのCASEY CHAOSの名前通り、混沌としたエナジーを 感じさせるアルバムに仕上がっている。ザクザクとリフを切り 刻み、CASEY CHAOSのラップ的なシャウトが扇情感を否応にも 増してくれる。そのサウンドは狂気とも言える様な暴力的な 雰囲気を醸し出しており、PANTERAとはまた違った怒気を 孕んでいる。かなりハード・コア的で、ヘヴィ・メタルとは幾分 距離を感じる作品だが、そのエナジーは素晴らしい。[83]
詳細は全く不明だが、ゴシック・バンドのアルバム。方向的には これまでの延長線上と言えるものだが、オーケストラレーションは 大幅に減退し、よりシンフォニックでトラッド色の強い 作品となっている。オーボエやチェロと言う専任メンバーが 居るだけでも、その音楽性の一端が伺える。このオーボエと チェロ、ドラムがサウンドの大部分を占めており、静かで アンビエントな雰囲気を醸し出しているが、キーボードによる オーケストラレーションは使われていないので、音に奥行きが 感じられる。女性ボーカリストのERICA STOLTZの歌唱は、 儚げなものとEURYTHMIXっぽい部分があって面白い。全体的に、 プログレッシヴだが淡々とした作品で、聴き飽きる部分はあるかも 知れない。[76]
フィンランドのメロディック・デス・メタルの2年振りとなる 5thアルバム。方向的にはELEGY以降に見られる、同郷の プログレッシヴ・ロック・バンド、KINGSTON WALLの影響が 見られるサウンドを推し進めたものと言って良いだろう。 PASI KOSKINENもクリア・ボイスで歌う様になって久しいので、 このバンドをメロディック・デスと言うと最早語弊があるかも 知れない。サイケデリックでスペイシーなサウンドに、 民族音楽的でプログレッシヴ・ロック的な楽曲と、 KINGSTON WALLの音楽のエッセンスを取り入れたもので、前作の 延長線上と言って良いだろう。異なっている点と言えば、 今作からサックスを導入している事だろう。[83]
アメリカのメロディック・ポップ・バンドのデビュー盤。 音楽的にはロックンロールを基調とした、非常にポップでハードな 作品だ。キャッチーなメロディ・センスを前面に押し出し、 叙情性も兼ね備えた、今風のモダンなロック・アルバムに 仕上がっている。THE SZUTERS等にも通じる部分があるが、むしろ MARVELOUS 3のそれだろう。時にはハードさも見せていて パワフルさも感じさせるし、ロックンロールらしいのりを 残しながらも、アメリカのバンドらしい洗練された甘いメロディが 特に秀逸で、I'm A Fool等も印象的なさびでで素晴らしい。[84]
スウェーデンのヴァイキング・メタル・バンドの4thアルバム。 ヴァイキング・メタルと言うと、北欧の憂いさを併せ持ちながら、 ヴァイキングらしい勇壮さを出している事が多いのだが、彼等の 作品は一貫してこう言った路線とは一線を画していると言って 良いだろう。サウンド自体はブラック・メタルと言うよりは、 むしろスラッシュ・メタル系のメロディック・デス・メタルと言う 感じだが、ブラスト・ビートも駆使しながらも、意外とメロディを 前面に押し出して来る場面が見受けられる。前作と比べると アグレッションを出す事に主眼を置いている様に感じられ、確かに ブルータルな感じが強いのだが、やや変化が少なくて飽きが来る。 とは言うものの、楽曲の出来を始め、この手のものとしてはかなり レベルの高い作品である事は確かだ。[83]
元VEANGEANCEのオランダ人ギタリスト、ARJEN LUCASSENによる ゴシック・メタル・バンドのデビュー盤、 FATE OF A DREAMERからの1stシングル。タイトル・トラックの シングル・カット曲のシングル・バージョンと アルバム・バージョン、Highのリミックス、未発表曲の MerryーGoーRoundの全4曲と言う構成になっている。Cold Metalの シングル・バージョンは、半分程度の尺にされて リミックスされている。ここで注目されるのはやはり未発表曲の MerryーGoーRoundだが、浮遊感の漂う明るく軽いシンフォニックな ナンバーで、やや今のTHE GATHERINGを思い起こさせる。[85]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。方向的には SLIPKNOT等に代表される、モダンなヘヴィ・ロック・バンドの 一つと言って良いだろう。ぶち切れそうな強烈なアグレッションを 効かせた攻撃的な作品でありながら、ダークでクールなサビを 入れて来りと、今のアメリカでのモダンなヘヴィ・ロックや ラウド・ロックの流れを汲んだアルバムで、コマーシャル性も 有って、今のヘヴィ・ロックのファンであるならば、聴いて決して 損はないだろう。怒号とも言える様な攻撃的なシャウトと憂いを 帯びたメロディを歌い上げるMARTIN COCKのボーカルも効果的だし。 [84]
アメリカのメロディック・ポップ・バンドのライヴ盤。2001年に 行われた日本での公演の模様を収めたものだ。スタジオ盤での パワー・ポップ色の強い音楽性と比べると、よりハードな色合いを 濃くしたアレンジとなっている。楽曲によっては、 ハード・ロックンロール色が良く出ている。ポップな楽曲に パワフルな演奏で、憂いを帯びた明るさは味わいがある。力強く のりの良いライヴ・パフォーマンスは素晴らしいし、新曲の Walking Up To The End Of The Worldはコケティッシュだし、 Happyもアップ・テンポでのりが良く、新作を期待させるには 十分だ。[83]
オランダのゴシック・メタル・バンドのデビュー盤。AYREON、 元VENGEANCEのギタリスト、ARJEN LUCASSENによる プロジェクトだ。14才の女性ボーカリスト、 ASTRID VAN DER VEENを起用するために始められた プロジェクトなだけに、ASTRID VAN DER VEENのボーカルが前面に 押し出されている。KATE BUSH辺りにも通じる様な、 ロー・ティーンとは思えない様な、幽玄で美しい歌唱を 聴かせてくれており、彼女の歌声を聴くだけの価値はある。 AYREONをトラディショナルなゴシック・メタルにした様な感じで、 全体に帯びる流麗な耽美感が素晴らしい。元MAMA'S BOYSの JOHN McMANUSがフルートやパイプで、PAT McMANUSがフィドルで ゲスト参加している他、LANA LANEやERIK NORLANDERも 参加している。[91]
アメリカのメロディック・ポップ・バンドの2年振りの 2ndアルバム。楽曲はロックンロール的なエッセンスを取り入れ、 テンポの良くてリズミカルなので、非常にノリの良さを 感じさせてくれる作品だ。この手の音楽をやっているだけあって、 ポップ・センスも非常に優れており、聴き易くて印象的な メロディが並んでいる。ADAM AND THE ANTSのThe Art Of Losingを カバーする等、音楽的には割とオーソドックスな事が ベースとなっているが、モダンなアメリカらしいメロディを 吸収しながら独特の世界を作り上げていて、味わいのある アルバムに仕上がっている。[84]