DON'T BRING THE RAIN / ARAGON

オーストラリアのプログレッシヴ・ロック・バンドの1988年に リリースされたデビュー盤。所謂シンフォニック・ロックと言った 感じの作品で、空間的な広がりを感じる、壮大なアルバムだ。 GENESISやYESに影響を受けたと言うだけあって、そう言った エッセンスが見え隠れするが、よりハードな 仕上がりとなっている。楽曲によってはポンプ・ロック的な匂いも 感じるが、もっとフックがあって聴きごたえがある。LES DOUGANは 決してうまいと言った感じのボーカルではないが、The Cradle 等での情感を込めて歌う様は見事だ。プロダクションはいまいちと 言う感じもあるし、出来的には完璧とは言い難いが、叙情的で 情感豊かで美しく、つぼにはまったときは非常に素晴らしい。[83]

THE MEETING / ARAGON

オーストラリアのプログレッシヴ・ロック・バンドの1992年に リリースされたミニ・アルバム。所謂シンフォニック・ロックと 言った感じのアルバムで、1stが割とその影響を受けたバンドを なぞった、静寂感のある空間的広がりを感じさせる 作品であったのに対して、今作ではそういう部分も継承しながら、 ある程度オリジナリティを出してきている。結構ハードな 部分があったりと強弱も付けてきてるし、所々はっとするような 美しいメロディも見せてくる。コンセプト・アルバムなのだが、 特にそれ程通して聴かなければいけないような感はうけない。 特にじっくりと聴かせるような叙情的なメロディは素晴らしいが、 アルバムを通して聴くとややむらがあるような気がする。[84]

ARCADE / ARCADE

L.A.メタル・バンド、RATTの元ボーカリスト、STEPHEN PEARCY 率いるヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた1st アルバム。CINDERELLAのドラマー、FREAD COURYと組んでの 再出発となる作品で、その方向性はRATTとはまた異なっている。 RATTの持っていたロックンロール然としたサウンドからすると、 よりハード・ロック然としたサウンドだと言って良いだろう。 FREAD COURYがCINDERELLAでやっていたサウンドと比べると、 ブルージィっぽさもそれ程ないのはいたしかたない所だろう。 STEPHEN PEARCYのボーカルは変わるべくもなく、RATT時代と同じ スタイルを貫いているし、出来は意外と悪くなく、楽曲、演奏とも それなりに楽しめる。[81]

A/2 / ARCADE

L.A.メタル・バンド、RATTの元ボーカリスト、STEPHEN PEARCY 率いるヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた2nd アルバム。1stではよりハード・ロック然としたサウンドを 聴かせてくれたが、この作品ではRATTの持っていたロックンロール 性を出してきており、のりの良いグルーヴィな作品に 仕上がっている。単純にRATTの方向性を持ってきたのではなく、 かなりモダンな味付けを行っており、RATTとは一味も、二味も 違った印象を受ける作品になっている。RATTの様な軽快さはあまり 感じないが、楽曲の出来も良いし、中々の出来のアルバムだ。[84]

IN THE FACE OF DANGER / ARCH RIVAL

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。方向的にはアメリカのバンドらしい叙情的で美しい メロディの正統派ヘヴィ・メタルだ。印象的で、適度に キャッチーなメロディは中々良く出来ていて、 スピード・チューンからバラードまで全般的に聴きごたえがある。 STEVE SNYDERのややハスキーな高音を駆使するボーカルも、 こういったサウンドに良く合っていると思う。めりはりが 効いていて、結構ハードなサウンドで、好感が持てる。生々しい 音作りが成功している一方で、やや荒っぽいと言う 感もなくはないが、逆にのりが出来ていて悪くない。 MICHAEL HARRISのギターも情感豊かで、そのプレイも良く 出来ていて、思わぬ掘り出し物的な作品だ。[85]

WAKE UP YOUR MIND / ARCH RIVAL

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた2nd アルバム。前作では叙情的なメロディアス・ヘヴィ・メタルを やっていたが、今作ではよりヨーロッパ的になり、哀愁味さえ漂う ヘヴィ・メタルをやっている。STEVE SYNDERの高音シャウト系の ボーカルがアメリカのバンド的な味を保っている。楽曲の出来は 前作に比べると残念ながら波があるが、Aimlesslyの様な非常に ドラマティックで、ネオ・クラシカル風のギター・ソロも 入れてくる様な中々の力作もあって、出来自体は決して悪くない。 MICHAEL HARRISのギター・プレイはより洗練されて中々格好良い 作品に仕上がっている。[84]

MARCH OF THE SAINT / ARMORED SAINT

現ANTHRAXのJOHN BUSHが在籍していた、L.A.メタル・バンドの 1984年にリリースされた1stフル・アルバム。L.A.メタルとしては かなり正統派に属する方で、パワー・メタルと言っても良い様な サウンドだ。JOHN BUSHのボーカルも、ANTHRAXと比べると 伸びやかに歌っており、こういった方向性が肌に 合うのではないかと思える。メロウなTake A Turnを除けば、 残念ながらどの曲も平均的で、これと言った楽曲がないのが 難点だが、テンポの良いのでそれなりにのりはある。こういった 方向性にしてはやや軽く感じるサウンドも成功できなかった 原因の様に思える。[81]

DELIRIOUS NOMAD / ARMORED SAINT

L.A.メタル・バンドの1985年にリリースされた2ndアルバム。 正統派ヘヴィ・メタルと言う、ややもすれば芋臭さの感じる前作と 比べると、やや洗練されてきた感じがあり、それなりに洒落た 部分も伺える。しかし、それが楽曲が平均的と言う問題点を 解決するに至らず、残念ながら盛り上がりに欠けるままで 終わってしまっている。ギター・メロディは結構扇情的だし、 JOHN BUSHのボーカルもさすがで、聴くべき所が それなりにあるのだが、今一歩物足りないのは事実だ。出来自体は 決して悪くないし、もう少しバンドとしての特色が押し出せたら かなり良くなったのではないかと思えるのだが。[80]

SYMBOL OF SALVATION / ARMORED SAINT

L.A.メタル・バンドの1991年にリリースされた4thアルバム。 DAVE PRICHARDが白血病で亡くなり、脱退したメンバー等が戻って 最後の輝きをきらめかすように作成されたアルバムだが、結局 成功には至らず、JOHN BUSHはANTHRAXへと去っていく事になる。 基本的な路線はデビュー当時から変わることなく、 L.A.メタルとしては珍し正統派的なヘヴィ・メタルをやっている。 叙情的で扇情的な部分があり、中々に聴きごたえがあるし、 それなりの楽曲ではあるのだが、残念ながらこれと言った飛び 抜けた楽曲がないのが問題だ。[81]

FOR THE SAKE OF MANKIND / ARTCH

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた アルバム。やや芋臭さも感じる様な、剛直な正統派 ヘヴィ・メタルだが、メロディが扇情的で中々聴きごたえがある。 ERIC HAWKのねっとりとした湿り気のあるボーカルが中々 色気があるし、透った声質で高音も奇麗に出ていて素晴らしい。 楽曲の出来もまずまずで、印象的なメロディもあるし、バラードも それなりに聴かせてくれる。サウンドはハードで めりはりがあって、出来は悪くない。ただし、中盤以降は 中だるみしている感があり、そのテンションが最後まで 持続しないのは難点だ。[82]

AS IT SHOULD BE / ARTICA

アメリカン・ハード・ロック・バンドのデビュー盤。楽曲的には エッヂの効いたポップなメロディのものが中心になっている。 JOHN DAVID MARTINのボーカルは、STEVE PERRYを若々しくした様な 感じがあり、渋味は出ていないが聴きごたえがあって中々良い 歌声を聴かせてくれている。全体的に演奏やアレンジは非常に 洗練されているし、楽曲はどことなく乾いた聴き易いメロディは 結構良いものの、今一つ物足りなくも感じられる。 プログレッシヴ・ロック的な部分もあり80年代前半の アメリカン・ハード・ロック通じるところがある作品に 仕上がっている。[81]

SONGS FROM THE LIONS CAGE / ARENA

元MARILLIONのMICK POINTERやPENDRAGONのCLIVE NOLANといった ポンプ・ロック系のビッグ・バンドのミュージシャンが集まった イギリスのポンプ・ロック・バンドのデビュー盤。やはり それらしい美しい、落ち着いたメロディによってアルバムが 構成されているが、ただ、ポンプ・ロックの他のバンドと比べると 内容はやや難解でよりアグレッシヴなものになっている。楽曲の 構成はドラマティックで、ポンプ・ロックと言うよりは シンフォニック・ロックと言った方が良いだろう。 派手さはないのだが楽曲も粒はそろっているし、出来は悪くない。 [81]

MOUSE / ARAGON

オーストラリアのシンフォニック・ロック・バンドの3rd アルバム。前作、THE MEETINGと対になった コンセプト・アルバムで、8部構成の全30曲という壮大な アルバムに仕上がっている。割とハードな楽曲から、いかにも ポンプ・ロック的な楽曲まで幅の広い作品になっている。割と 流麗な、プログイレッシヴ・ロックという感じで、 シンフォニックと言う事だけに囚われていない。扇情的な 部分もあり、意外に力強いボーカルが引き込んでくる。 ハード・ロックとはまた別世界だが、キーボードが非常に美しく メロディは印象的だ。[84]

BLACK EARTH / ARCH ENEMY

元CARCASSのギタリストMICHAEL AMOTT率いる デス/スラッシュ・メタルのニュー・バンド。 SPIRITUAL BEGGARSではデスとは全く無縁のブルージィな ハード・ロックをやっていたが、それから揺り返すかのような 攻撃的な内容だ。バックはデスというよりは スラッシュ/パワー・メタルという風情で、MICHAELの クラシカルなギターは叙情的ですらある。リフも割と印象的で 格好が良く、CARCASSよりはむしろ一般受けしやすい 内容だろう。IRON MAIDENのThe Ides Of Marchが ボーナス・トラックが収録されているが、何故この曲にしたのかは 謎だ。[85]

ИГРА С ОГНЕМ / АРИЯ

ロシアのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた アルバム。JUDAS PRIEST風のジャケットだが、内容の方はいも臭い メロディアスなヘヴィ・メタルだ。リズムの刻み方等IRON MAODEN 風の部分もあったりするが、楽曲自体はヨーロッパのB級メタルと 言うに相応しいものだ。全体的に洗練されておらず、ロシア語の 歌詞もそう言った感をより一層強めている。とは言え、ソヴィエト 時代から活動して来た事を考えれば、十分健闘している方だと 言って良いだろう。方向性も今一つ定まっていないのは遺憾ともし 難いが、臭いメロディはそれはそれで聴ける。[74]

AOPERA HIEMS SYMFONIA / ARCTURUS

MAYHEM等の北欧ブラック・メタル・バンドのメンバー等による プロジェクト・バンドのアルバム。方向的には、よりメロディを 押し出したブラック・メタルと言う感じだ。その ブラック・メタル・ボイスはかなり強烈で少し聴きがたいが、楽曲 自体は結構良い出来である。時には憂いを帯びた ギター・メロディを中心に早く、時にはキーボードを中心に淡々と 進んだりと、展開に富でおり実にドラマティックな楽曲群である。 リコーダ風のキーボードや、やや無骨なコーラスも悪くないが、 ただ、惜しむらくは一曲一曲の展開の印象が少し散漫な事と、 全体的にどの曲も似たような感じがする事だろう。[84]

INTO THE EYE OF THE STORM / ARTENSION

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。といっても、 メンバーは先頃ソロ・アルバムをリリースし、一時は JUDAS PRIEST入りとも言われたJOHN WESTにEDWIN DEARの ベーシストだったKEVIN CHOWN、YNGWIE MALMSTEENの ドラマーだったMIKE TERRANAと、実力的には申し分ないところで その内容は実にテクニカルだ。特に JOHN WESTのボーカルはMARC FERRARI & FRIENDSの GUEST LIST位でしか聴く事は出来なかったが、実にパワフルで 素晴らしい。楽曲はクラシカルであったり、 ジャジィーであったりと多彩だ。演奏は文句ないし、楽曲も 割と良く出来ているのでテクニカルな作品が好きであるなら 気に入るだろう。[86]

CROSSING THE RUBICON / ARMAGEDDON

非常に高品質なアルバムとライヴ・パフォーマンスを見せた ARCH ENEMYのAMOTT兄弟の弟CHRISTOPHER AMOTT率いる メロディック・デス・プロジェクトの1stアルバム。 メロディック・デスといっても耽美な系統とは違い、 パワー・メタル的な方向性のものだ。結構スラッシィな暴虐の サウンドからメロディアスな叙情的なパワー・メタルへの 展開があり、非常にドラマティックだ。フルートや アコースティック・ギターで切ないメロディを奏でながら、 CHRISTOPHER AMOTTの泣きのギターで仕上げる Funeral In Space等は圧巻だ。一曲一曲の構成は見事だし、 メロディの良さ、全体の完成度も高い。[89]

PHOENIX RISING / ARTENSION

ウクライナ人キーボーディストVITALIJ KUPPIJを中心とした アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。 テクニシャン揃いのバンドだけに前作同様にそれを前面に 押し出した作品だ。全体的にアップ・テンポの扇情的な正統派の ヘヴィ・メタルだが、だからといって面白いかどうかというのは 別の話。とはいえ楽曲もそれなりに良く出来ているのだが、今一つ つまらないのはボーカルのメロディ・ラインだ。これを ときによっては個性的で面白いキーボードと全体的な演奏力、 疾走感で補っている感じだ。全体的にクオリティは高いので、 ボーカルのメロディ・ラインさえ面白くなればかなり高品質の 作品になったとは思うが。[85]

A MATTER OF TIME / ARCARA

元PROPHETのアメリカ人ボーカリスト、RUSSELL ARCARA率いる ハード・ロック・バンドの2ndアルバム。全体を通して憂いを 帯びた叙情的なメロディアス・ハード・ナンバーで 占められていて、これが実に美しい。アメリカのバンドらしい キャッチーさを保ちながらも、この北欧のバンドにも通ずる様な 泣きが実に良く出来ていて、聞き惚れてしまう。RUSSELL ARCARAの ボーカルはもちろんの事、バック・コーラスも良く出来ていて、 演奏面でも問題無い。バラードのNever Tell Your Dreams Goodbye 等、実に素晴らしい佳曲だ。PROHETよりもSKAGARACK等が好きな 人には一層向いているかもしれない。[89]

LA MASQUERADE INFERNALE / ARCTURUS

MAYHEMやMORTEMと言った北欧のブラック・メタル・バンドの メンバー等によるプロジェクト・バンドの3rd フルレンス・アルバム。前作とはかなり趣を変えており、 ブラック・メタル・ボイスは完全に廃されており、シアトリカルな 感じのするオペラティックな作品になっている。メタル的な部分は 全く無くなってしまっている訳ではなく、場面場面によっては、 ドラマティックなメタル・サウンドを聴かせてくれるが、前作を 期待するならば少々困惑する事になるかもしれない。より オペラ的な指向を強くしたプログレッシヴな作品に 仕上がっている。[81]

STIGMATA / ARCH ENEMY

SPIRITUAL BEGGERSのMICHAEL AMOTTとその弟、ARMAGEDONの CHRISTOPHER AMOTT兄弟引き入るスウェーデンの メロディック・デス・メタル・バンド。スラッシュ・メタル 然としていた前作よりも、メロディを強く打ち出した作品であり、 より正統派ヘヴィ・メタルという感じの強い作品になっている。 CATHEDRALの前座として行った来日公演では、非常に高い演奏力を 見せてくれていたが、それはこの作品でも変わりはない。攻撃的な サウンドの中で見せる、はっとするような美しい ギター・メロディは絶品で、彼等のメロディ・センスの 素晴らしさが伺える。楽曲の出来、演奏とも非常にクオリティの 高い作品に仕上がっている。[90]

THE CRY / ARENA

元MARILLIONのMICK POINTERとPENDRAGONのCLIVE NOLANを中心に 結成された、イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの アルバム。今までリリースされた2枚のアルバムから、曲間を繋ぐ Crying For Helpと言う楽曲群を抜き出し、リミックス、追加 レコーディングした、言わば企画盤的なアルバムだ。元々は大曲の 口直し的に入れられていた楽曲だが、このバンドの大曲と言える 楽曲は、少し捻り過ぎと言う感じの所があり、浸りきる事が 出来なかった。ここで、こうして、曲間を繋ぐリリカルな小品群を 改めて一枚のアルバムとして聴いてみると、叙情的で非常に 美しい、心洗われる作品だと改めて感じさせられた。 ヘヴィ・メタルとは全く畑違いなのだが、リリカルな ポンプ・ロックが好きならば、聴いて絶対損はない。[88]

FEAR OF TOMORROW / ARTILLERY

デンマークのスラッシュ・メタル・バンドの1985年に リリースされたデビュー盤。スラッシュ・メタル初期の バンドだが、パワー・メタルやハード・コア的な色彩はあまり 強く感じられない。かなり攻撃的なサウンドで、破天荒なまでの 失踪しまくるパワフルさは強烈だ。楽曲は悪くないのだが、 勢いだけで押しまくっていると言う感じが、B級という感を 強めており、やや好き嫌いが分かれそうな感じではある。 ボーカルのFLEMING RONSDOFはパワフルで力強いのだが、やや 不安定に感じるときがたまにある。彼は後にDESTRUCTIONに移り、 バンドは解散する事になる。[78]

FORCES OF NATURE / ARTENSION

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には これまで同様、ネオ・クラシカル系になるが、楽曲によっては、 より正統派的でネオ・クラシカル色はやや薄まった感じがする。 今作ではリズム隊が入れ替わっており、ドラムには YNGWIE MALMSTEENやM.S.Gで活動していたSHANE GAALAAS、ベースは VITALIJ KUPRIJのソロに参加していたJOHN ONDERが担当している。 ネオ・クラシカル的な要素を薄めたために、これまでの作品よりも 聴き易くなったと言う印象を受けるが、テクニカルな面が押さえ 気味になったために、不満をおぼえるファンもいるだろう。もう 少し、じっくりと聴かせようとしたのだろうが、これまでの様な 緊張感が感じられないし、出来に波がある様に思えるのは残念だ。 [83]

ARCANGEL / ARCANGEL

アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1983年に リリースされた唯一のアルバム。プロジェクト・バンドと言った 形態で、このアルバムを持ってバンドは消えるが、中心人物の JEFF CANNATAは、その後もCANNATA名義でアルバムを リリースしている。JEFF CANNATAのボーカルは、ここではまだ歌い 慣れていない様子が如実に判る様な、へたうまさをたたえた微妙な ビブラートのするボーカルで、チープさをより如実に浮き立たせる 事になっている。楽曲は、彼のメロディ・センスが良く出ており、 如何にもアメリカン・プログレッシヴ・ハードらしいアルバムに 仕上がっている。Sidelines等は中々良い曲だし、もう少し ボーカルとプロダクションが良ければかなりの好作となったと 思うが。[79]

THE GODDESS TEMPLE / ARACHNES

詳細は全く不明だが、恐らくブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの 1997年にリリースされたアルバムだろう。ヨーロッパのバンド的な 叙情的なメロディのヘヴィ・メタルなのだが、意外にパワフルで 骨太なサウンドだ。かと思えば、ネオ・クラシカル的な ギター・ソロを入れて来たり、泣きの ギター・インストルゥーメンタルをやったりと中々彩りも豊かだ。 プロダクションも悪くないし、楽曲、演奏の出来もまずまずいける 方だ。Windの様なキーボード主体のシンフォニック・ロックっぽい インストルゥーメンタル等、中にははてなと思える様な 楽曲もあるが、出来自体は悪くない作品だ。[81]

DEADLY RELICS / ARTILLERY

デンマークのスラッシュ・メタル・バンドのアルバム。いわゆる 未発表音源集なのだが、とは言ってもデモ・テープレベルまでは 全て世に出ており、リマスターされている事を除けばあまり 有り難味はない。下手に新しいものを出すよりは、彼等らしい 破天荒さがあって、良さは感じられる。新しく作ったのが、 Artilleristic Prelude MCMXCVIIIだけとは親切なのかどうか良く 判らないが、楽曲は全て1980年代のものとは言え、 リマスターされているだけあって、プロダクション自体は 悪くない。所詮ファン向きの作品ではあるが、そのファンがどれ 位残っているのか疑問ではある。[77]

BURNING BRIDGES / ARCH ENEMY

元CARCASSのギタリストMICHAEL AMOTTとCHRISTOPHER AMOTT兄弟 率いるスウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。ドラムにはDANIEL ERLANDSSONが復帰し、ベースには MERCYFUL FATEのSHARLEE D'ANGELOが加入しており、リズム隊は総 入れ替えになっているが、アグレッシヴでより勢いを 感じさせてくれる。方向的にはこれまで同様スラッシュ・メタル 型だが、よりメロディを押し出した分、 メロディック・デス・メタル的な素要が強くなったのは少し 残念だ。楽曲は前作同様素晴らしく、AMOTT兄弟のギター・ソロが 美しく映えている。EUROPEのカバー、Scream Of Angerも自らの 作品として見事に昇華しており、素晴らしいアルバムに 仕上がっている。[87]

ARK / ARK

ノルウェイのパワー・メタル・プロジェクトのアルバム。元 CONCEPTIONのギタリスト、TORE OSTBYを中心に、元TNT、RIOT、現 RISING FORCEのJOHN MACALUSO、元VAGABOND、THE SNAKESの JORN LANDEによるプロジェクトだ。TORE OSTBYが 中心だけあって、全体的にはCONCEPTION的な方向の パワー・メタルではあるが、CONCEPTIONと比べるとかなり ソウルフルな作品になっている。JORN LANDEの ボーカル・スタイルによる所も大きいだろうが、 Where The Winds Blowと言った楽曲自身はそう言った感じだし、 The Hunchback Of Notre Dame等はラテン風のメロディを入れて 来ている。楽曲は展開があってテクニカルで全体的に出来も 悪くないし、中々面白いアルバムに仕上がっている。[84]

REVELATION / ARMORD SAINT

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第1弾となる9年振りの アルバム。ANTHRAXに移ったJOHN BUSHを除けば、JOEY VERAが CHROMA KEYやFATES WARNINGのアルバムに参加したり、ソロで アルバムを出す程度の地味な活動を行っていた程度だが、解散時の メンバーが揃っての再結成で、昔の彼等の音楽性をそのまま 踏襲しているのは嬉しい限りだ。JOHN BUSHのボーカルは、当時と 全く変ることなく聴かせてくれており、ANTHRAXよりはこの バンドの方が彼のボーカルに合っていると思える。パワフルで エナジーを感じさせてくれる正統派ヘヴィ・メタルの中々良く 出来たアルバムだ。[83]

METAMORPHOSIS / ARACHNES

詳細は全く不明だが、恐らくブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの ミニ・アルバム。方向的には、デビュー盤とはかなり趣を 変えており、ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスも 感じられる様になっている。とは言え、同郷のANGRA的な色合いは 全くなく、どちらかと言えば、より普遍的なヘヴィ・メタル作品に 仕上がっていると言って良いだろう。パートによっては、 ハモンド・オルガン風のキーボードを入れて来たりする辺りは 異彩を放っている。PAOLA CASALINIのボーカルは、この 手のものらしくハイトーンを主体としたもので悪くない。 Arachneでの分厚いコーラスは中々良い感じで、楽曲の出来も 含めて、全体的にデビュー盤よりずっと完成度が上がっており、 成長の後が伺える作品だ。[84]

MACHINE / ARTENSION

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの4thアルバム。 方向的にはこれまで同様、ネオ・クラシカル的なエッセンスを持ち 込んだプログレッシヴ・メタルだ。ボーカリストのJOHN WESTが ROYAL HUNTに加入したために、その先行きが不安視されるが、この 作品ではJOHN WESTがまだバンド在籍時に録音されたため、彼が 引き続きボーカルを取っている。前作に比べると割と テンポの早い楽曲が多いが、特にアップ・テンポと言う 訳でもないし、妙に淡々とした進行で今一つ盛り上がりに欠けると 言った感がなくもない。と言っても緊迫感が全くない 訳ではないし、演奏的な完成度の高さはさすがと言ったところだ。 [83]

B.A.C.K. / ARTILLERY

デンマークのスラッシュ・メタル・バンドの再結成第1弾となる 10年振りの4thアルバム。音楽的には旧来の彼等のサウンドを受け 継いだものであり、スピーディでアグレッシヴな色合いを強く打ち 出している。ヘヴィなリフと攻撃的なメロディの上に、 FLEMMING RONSDORTのハスキーなボーカルがヒステリックに歌い 上げ、昔と変らぬパッションとエネルギーを感じさせてくれる。 年月を重ねてもそのアグレッシヴさを失っていない事は驚嘆に 値するし、プロダクションが良くなった事が全てプラスになったと 言って良いだろう。スラッシュ・メタルの現状を考えると久々に 溜飲を下げてくれるアルバムだ。[88]

BURNING JAPAN LIVE 1999 / ARCH ENEMY

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの初の ライヴ盤。1999年に行われた日本公演の模様を録音したものだ。 DATによる一発取りのため、プロダクションは中々良いが、その 一方で選曲的にはややベストとは言い難いものとなっている。 MICHAEL AMOTT、CHRISTOPHER AMOTT兄弟によるツイン・ギターは 素晴らしく、扇情的なギター・プレイは聴き応えたっぷりだ。 ベーシストはMERCYFUL FATE、WITCHERY、DISMEMBERの SHALEE D'ANGELOと、名うてのミュージシャン達がいるだけに、 その演奏は流石と思わせるだけのものがある。非常にタイトで 勢いのあるサウンドは、ブルータリティさもあって素晴らしい ライヴ作品に仕上がっている。[86]

POSROD KWIATROW I CIENI / ARTROSIS

詳細は全く不明だが、恐らくポーランドの ゴシック・メタル・バンドのアルバム。楽曲的には ニュー・ウェーブ系のゴシック・メタルと言う感じもするのだが、 割合とヘヴィなギターの比重が高く、キーボードの露出は 高くないので、流麗過ぎるとまでは感じない。女性ボーカリスト、 MEDEAHの歌声は透った声質なのだが、抑揚の付け方が非常に 変っていて、シアトリカルな印象を受ける。リズム・マシーンを 使用している様で、これがところどころ気にかかる。出来としては 悪くないのだが、全体的にインパクトに欠ける 気がしないでもない。[81]

EMBRACE THE MYSTERY / ARMAGEDDON

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンド、 ARCH ENEMYのギタリスト、CHRIS AMOTTによる プロジェクト・バンドの2ndアルバム。CHRIS AMOTT以外の メンバーは一新され、前作ではデス・ボイスだったボーカルも全編 クリア・ボイスになっている。伸びやかなハイ・トーンを操る RICKARD BENGTSSONのボーカルは、やや線が細くて迫力に欠ける 部分もあるが、安定感があって中々良い出来だ。 デス・ボイスがないだけに前作とは趣もやや違うが、サウンド 的には北欧らしい扇情的なヘヴィ・メタルと言った感じで、 オーセンティックで聴き応えのある正統派ヘヴィ・メタル作品に 仕上がっている。[84]

BURN THE SUN / ARK

ノルウェイのパワー・メタル・バンド、CONCEPTIONの 元ギタリスト、TORE OSTBYによるプロジェクト・バンドの 2ndアルバム。方向的には前作の延長線上と言えるもので、 CONCEPTIONの流れを汲むテクニカルなヘヴィ・メタル作品に 仕上がっている。TORE OSTBYらしいギター・プレイを聴く事が 出来る。但し、JORN LANDEのソウルフルなボーカルが、クールな 雰囲気を催していたCONCEPTIONとはまた違った趣を出している。 このJORN LANDEと元TNTのドラマー、JOHN MACALUSOの他、今作では YNGWIE J.MALMSTEENのキーボード、MATS OLAUSSONとベーシスト、 RANDY COVENが参加している。[83]

WAGES OF SIN / ARCH ENEMY

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 4thアルバム。ボーカリストがJOHAN LIIVAから女性ボーカリストの ANGELA GOSSOWに交代して初めての作品と言う事で注目されたが、 いわゆるクリア・ボイスではなく、デス・ボイスを駆使している。 HOLY MOSESのSABINA CLASSENと並ぶ女性デス・ボイスの ボーカリストと言えるだけのアグレッシヴさとパワーを持った 咆哮を聴かせてくれており、ファンならば十分満足出来る ボーカルだろう。JOHAN LIIVAよりも切れが良く、全体的により アグレッシヴでブルータルな雰囲気を出しており、楽曲自体もそう 言った作りになっている。ブルータルな中にも時折見せる叙情的な メロディは、その対比を伴って非常に印象的だ。これまでよりも ややストレートな楽曲と言う感じで、その分ややグルーヴ感に 欠ける様に感じなくもないが、全体的に増したアグレッションが それをカバーしている。[90]

BEFORE AN AUDIENGE OF STARS / ARISE FROM THORNS

詳細は良く判らないが、アメリカのゴシック・メタル・バンドの アルバム。もう、既にBRAVEと言うバンド名に変更している様で、 このバンド名では唯一の作品の様だ。方向的には、非常に アコースティック色を強く押し出したゴシック・メタルで、女性 ボーカリスト、MICHELLE LOOSEの淡い歌声が良く引き立っている。 ゴシック・メタルとしては、最も流麗な感じのする作品だが、時折 時代錯誤とも感じられる様な、オーソドックスな ゴシック・メタルのエレクトリック・ギターのフレーズが味わいを 感じさせてくれる。MICHELLE LOOSEの歌声は淡いとは言え、かなり 抑揚が付けられており、盛り上がりに欠けると言う感じの作品が 多い、ゴシック・メタルとしては、そう言う欠点を補っている。 [88]

NOD TO THE OLD SCHOOL / ARMORED SAINT

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの企画盤。6曲のリメイクに、 ライヴが2曲、デビュー・ミニ・アルバムから3曲、未発表曲が 1曲、デモ・バージョンが6曲、正体不明の音源が1曲の全19曲と 言う構成になっている。L.A.メタルとしては、最も正統派と言える バンドだったが、昔の曲ばかりなだけにまさしくそう言った様相を 呈している。リメイクも昔のイメージを保ちながら プロダクションが良くなっているので、聴いていて十分満足 出来る。お蔵入りになってしまったレアな未発表曲もあるし、 内容もたっぷりで、彼等のファンならば聴いて損はないだろう。 [83]

THE DAMNED SHIP / ARTHEMIS

イタリアのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には ジャーマン・パワー・メタルのドラマティックで大仰なメロディを 取り入れたものだが、シンフォニックな色合いは無く、RHAPSODYや LABYRINTHの流れを汲む、他のイタリアのパワー・メタル・バンド 達とはやや一線を画していると言って良いだろう。むしろ STRATOVARIUSやSONATA ARCTICAの様な北欧的なエッセンスの 感じられる作品に仕上がっている。楽曲やプロダクション的には まだまだ粗が感じられる部分もあるし、芋臭い B級っぽさもあるものの、そのセンスは決して悪くはない。[80]

SACRED PATHWAYS / ARTENSION

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りとなる5thアルバム。 ボーカリストのJOHN WESTがROYAL HUNTへ移籍したりして、 バンドは解散状態だったが、オリジナル・メンバーで復活しての 第1弾となる作品だ。ウクライナ人キーボード奏者の VITALIJ KUPRIJを中心とするバンドで、プログレッシヴ・メタルや ネオ・クラシカル的な要素を取り込んだテクニカルな ヘヴィ・メタルを元々聴かせてくれていたが、この作品でもその 音楽性は堅持されている。ROYAL HUNTではやや地味で合っていない 様に感じられたJOHN WESTのボーカルだが、やはりこのバンドには 良く合っている。スリリングでテクニカルな叙情派 ヘヴィ・メタルで、流石と言えるだけの作品に仕上がっている。 [83]

HELL INJECTION / ARKHON INFAUSTUS

フランスのブラック・メタル・バンドのデビュー盤。まさしく これぞデス・メタルとも言うべき、ブルータルなデス・メタルを 聴かせてくれている。全編ブラスト・ビートを施した、高速の ドラミングは、ここまで徹底されれば気持ちが良い位だ。その 割には楽曲は単調になっておらず、聴いていて疲れると言う 事もない。発禁処分となってしまったジャケットの方も 徹底されていて、中ジャケットと合わせて、そのSM的な エログロさは苦笑ものだ。マニア向けと言わざるを得ないが、 それでもその下品さが許せれば出来は悪くないアルバムだ。[80]

PARALLEL WORLDS / ARACHNES

イタリアのシンフォニック・メタル・バンドの2ndアルバム。 かつてLABYRINTHと言うアルバムをリリースしたFIREHOUSEの ギタリスト、FRANCO CARUSOとボーカリストのENZO CARUSO 兄弟によるバンドだ。FIREHOUSE時代は決して上手いとは言い難い ENZO CARUSOのボーカルだったが、今作では高音が良く出るだけ ましになったと言うべきか。哀愁味を漂わせた古臭い正統派 ヘヴィ・メタルだったFIREHOUSEとはやや趣が異なり、現在の イタリアのヘヴィ・メタル・シーンの流行を現した様な、 RHAPSODYの流れを汲む、ネオ・クラシカル系のヘヴィ・メタルを 聴かせてくれている。楽曲のアレンジ等は成長の後を窺わせるし、 悪くないアルバムだ。[80]

BURNING ANGEL / ARCH ENEMY

スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 4thアルバム、WAGES OF SINからの来日記念盤のシングル。 シングル・カット曲のタイトル・トラックに、未発表曲1曲、 カバー1曲の全3曲と言う構成になっている。未発表曲の Lament Of A Mortal Soulは、アルバムから漏れただけあって 彼等としては平凡なナンバーと言えるが、アグレッションが 効いていて、印象的なフレーズもあって悪くない。JUDAS PRIESTの カバー、STARBREAKERはJOHAN LIIVA在籍時に 録音されていたもので、オリジナルの雰囲気を残しながらも アグレッションの効いたアレンジがなされているが、それより ANGELA GOSSOWとのボーカルの比較が出来て面白い。[81]

APOCALYPSE / ARACHNES

イタリアのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。叙情的な メロディのドラマティックなネオ・クラシカル的なエッセンスを 取り入れたパワー・メタルなのは変わりはないが、キーボードを かなり前面に押し出して来ており、プログレッシヴ・メタル的な 色合いの強い作品となっている。アレンジ面でもう少し上手く まとめて欲しい気もするが、構成や楽曲等面での成長も伺え、 前身のFIREHOUSE時代からは音楽性もすっかり変わって 想像もつかない位成長したと言って良いだろう。あの下手だった ENZO CARUSOのボーカルが、ここまでパワフルで伸びのある ボーカルを聴かせてくれる様になるとは驚きだ。[82]

THREE / ARMAGEDDON

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。 ARCH ENEMYのギタリスト、CHRISTOPHER AMOTTを中心とする バンドで、今作では彼自身でボーカルを取っており、トリオ 編成となっている。前作ではエクストリーム・ボイスを止め、 普通のヘヴィ・メタルをやっていた訳だが、今作でもその路線に 従って、クリア・ボイスでCHRISTOPHER AMOTTが歌っている。特別 上手いボーカリストと言う訳ではないが、非常に透った声質で、 伸びを感じさせる。楽曲自体は、これまではあくまでもこれまで 自らやっていた音楽に沿って、メロディック・デス・メタルらしい 叙情的で扇情的なものだったが、今作ではかなりアメリカ的な 嗜好が伺え、こう言った変化で好き嫌いが判れそうな気がするが、 楽曲の魅力が今一つ感じられなかった。[82]

THE VISITOR / ARENA

イギリスのシンフォニック・ロック・バンドの1998年に リリースされた2年振りの3rdアルバム。元MARILLIONのドラマー、 MICK POINTER、PENDRAGONのキーボード、CLIVE NOLANによる バンドだ。いわゆるコンセプト・アルバムと言うやつで、 彼等らしい壮大な世界観を見せてくれている。基本的には シンフォニック・ロックなのだが、ギター・サウンド等はかなり ハードで、プログレッシヴ・ハードと言う印象を与えてくれる 部分もある。全体的にはシンフォニック・ロックらしい、叙情的で 奥行きの広がりを持っているものの、割と淡々とした 部分があるため、やや聴いていて飽きて来る部分が無きにしも 有らずだ。[78]

THE SHAM MIRRORS / ARCTURUS

ノルウェイのブラック・メタル・バンドの5年振りの3rdアルバム。 ULVERのボーカリスト、TRICKSTER G.REX、元COVENANTの キーボード、STEINAR SVERD JOHANSEN、MAYHEMのドラマー、 HELLHAMMER等によるプロジェクト・バンドだ。音楽的には、 オペラティックな部分もあるものの、前作で見えたシアトリカル 性はかなり後退していて、よりメロディアスなヘヴィ・メタル的な 部分が強く押し出された作品となっている。ボーカルは全面的に クリア・ボイスとなっており、ブラック・メタル的なイメージは ほとんど受けない。キーボード等で、一部アンビエントな 感じのする部分があったりするのは余計な気がする。[83]

NEW DISCOVERY / ARTENSIONM

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの6thアルバム。この アルバムでもクリエイティヴ面での支柱となっているのは当然 キーボードのVITALIJ KUPRIJで、RING OF FIREでの作品と矢継ぎ 早のリリースで、両者の音楽性の違いがそれ程ないバンドだけに その意味合いが気になるところだが、実際その両者の新作を聴き 比べるとスタンスの違いが浮き彫りになってくる。RING OF FIREが クリエイティヴ面でのVITALIJ KUPRIJの存在を薄め、より拡散した 方向性に向いたのに対して、ここでは彼等の元々のスタンスである ネオ・クラシカルと言う要素をぎゅっと凝縮させた様に 感じられる。JOHN WESTのボーカルは流石に上手いのだが、やや 流麗過ぎて盛り上がりに欠ける気もする。[84]

SPACE METAL / ARJEN ANTHONY LUCASSEN'S STAR ONE

オランダのヘヴィ・メタル・プロジェクトの2枚組のアルバム。 元VENGEANCEのオランダ人ギタリスト、ARJEN ANTHONY LUCASSENを 中心としたプロジェクトだ。彼はこれ以外にもAYREONと言う プロジェクトでアルバムをリリースし続けているが、その色合いは 別プロジェクトとしただけあって、はっきりと性格の違いを 見せている。AYREONがシンフォニックなプログレッシヴな 作品であったのに対して、こちらはスペイシーなヘヴィ・メタルを 聴かせてくれている。こちらの方がよりヘヴィ・メタル的な色彩が 強いので、メタル側のリスナーには馴染み易いかも知れない。 LANA LANEのERIK NORLANDER、STRATOVARIUS、SILVER MOUNTAIN、 元YNGWIE J.MALMSTEENのJENS JOHANSSONが参加しており、2人の キーボードがかなり前面に押し出されている。この他にも SYMPHONY XのSIR EUSSELL ALLEN、元THRESHOLDのDAMIAN WILSON、 AFTER FOREVERのFLOOR JANSEN、元EDGE OF SANITYのDAN SWANO、 HAWKWINDのDAVE BROCK等のボーカリストやSHADOW GALLERYの ギタリスト、GARY WEHRKAMP等が参加している。[83]