スウェーデン人ギタリスト、DICK BEWARP率いる ヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた2ndアルバム。 今作より、元MADISON、ALIEN、SNAKE CHARMERのボーカリスト、 PETE SANDBERGと言う実力派シンガーを迎え、前作より一歩も 二歩も作品の質は向上している。ともすればテクニカルに 走りがちな、DICK BEWARPのギターだが、PETE SANDBERGが しっかりと歌い上げる事によって、一本の芯が通った歌ものに 仕上がっている。楽曲のメロディも叙情的で適度にキャッチーで 良いし、そのメロディを紡ぎあげるDICK BEWARPとPETE SANDBERGの コンビネーションも最高だ。プロダクションもドライヴ感のある、 音作りで、結構良いアルバムになっている。[84]
元ANTHRAXのアメリカ人ボーカリスト、JOEY BELLADONNA率いる スラッシュ・メタル・バンドのデビュー盤。ANTHRAXの変質から 袂を分かった様に、昔のANTHRAXを思い起こさせる楽曲なのだが、 リフはあまり主眼に置かれていないため、スラッシュ・メタル的と 言うよりはむしろパワー・メタル的な感じが強い アルバムとなっている。ヘヴィでダークなサウンドで、楽曲は まずまずと言ったところなのだが、その割にはこれと 言ったものがないのが残念だ。全体的にそれほどオリジナリティを 感じさせるには至っていない。[76]
オランダのデス/ドゥーム・メタル・バンドのアルバム。 ギター・リフを割とざくざくと刻んできていて、バックは スラッシュ・メタルっぽくもあり、割とテンポとのりが良い。 リフも一本調子ではなく、さびに至るまでをうまく繋いでいる 感じで、その構成は中々のもの。ボーカルは咆哮型デス・ボイスで あまりダミ声ではないが少しえぐい。音程はちゃんとしてるが、 重低音の雄叫びは腹に来る。それを除けば、楽曲も良く 練られており、演奏もしっかりしていて中々良い出来だ。ダークな メロディがドゥーミィな雰囲気を醸し出している一方で、ただ 単純に重苦しい作品になっていないのは好感が持てる。[80]
元VANDENBERGのボーカリストの初のソロ・アルバム。 カバーばかりを収録したアルバムだが、実際のところは カバーばかりやっていたUNDER COVERでオリジナルをやり 出したので、カバーはソロでと言う事なのだろう。しかし GLENN FLYのThe Heat Is On、BRIAN ADAMSのHeaven、DON HENLEYの The Boys Of Summer、ROBERT PLANTのBig Log、JOHN PARRの St.Elmo's Fire等々、無秩序とも思える選曲な上に、曲に今一つ 合わないオランダ語バージョンなので、VANDENBERGに幻想を 抱いているなら聴かない方が良いだろう。ヒット曲ばかりだが、 一番メタル側に近いBlack Velvetに至っては原曲より軽いくて、 ヘヴィ・メタル的なエッセンスはほとんどない。唯一のVANDEBERG 時代の楽曲であるBurrning Hertもオランダ語ではちょいと辛い。 裏ジャケットのROD STEWERTみたいな格好には何かわびしさすら 感じてしまう。同じオランダのアーティストと言う事もあってか、 ROBBY VALLENTINEが参加している。[76]
ロック・バンド、LENINGRAD COWBOYSのフィンランド人 ギタリストによるギター・インストルゥメンタルの初の ソロ・アルバム。LENINGRAD COWBOYSは良く知らないので、 LENINGRAD COWBOYSとの比較は止めておくが、内容は意外にも JOE SATRIANI風の爽やかで軽快な ギター・インストルゥメンタル・アルバムに仕上がっている。 気持ちの良い美しいメロディの楽曲が中心となっており、楽曲の 出来も中々良く出来ているし、テクニック的にも問題はないので、 飛び抜けたところはないが、この系統としても決して悪くない 出来だ。[80]
スウェーデンのブラック・メタル・バンド、KATATONIAの ギタリスト、BLACKHEIMによるプロジェクト・バンドのアルバム。 KATATONIAがミドル・テンポ中心のメロディを主眼とした シンフォニック・ブラック・メタルであるのに対して、こちらは よりスラッシュ・メタル的と言った感じのサウンドだ。 KATATONIAの盛り上がりに欠けるサウンドに対して、こちらは 疾走感が全面的に出ており、荒々しくて実に格好良い。ボーカルは やはり咆哮型のブラック・メタル・ボイスと言った感じなのだが、 こう言う内容であるなら、それなりに破壊感が増して合わない 訳ではない。[84]
メロディック・ブラック・メタル・バンド、KATATONIAの BLACKHEIM等によるプロジェクト・バンドのカバー中心の ミニ・アルバム。どちらが先に出たのか判らないが、ほぼ同時期に フルレンス・アルバムも出していて、こちらは楽曲は オリジナルだ。KATATONIAは盛り上がりに欠ける暗い タイプのものだったが、こちらはアップ・テンポで勢いがあり中々 面白い。7曲中5曲がカバーで、VENOM、BATHORY、MERCYFUL FATE、 CELTIC FROST、BLACK WIDOWと選曲も中々らしいものだ。下手に ブラスト・ビート中心にせず、ブラック・メタル・ボイス以外は 割とメロディは雰囲気が出てる。ブラック・メタル・ボイスも どちらかというとデス・ボイスに近いしゃがれた声なので パワーを感じさせて良い。[85]
バンド結成時、元OZZY OSBOURNE BANDのPHIL SUZANも在籍し、 デビュー盤ではプレイしていたアメリカの ハード・ロック・バンドが1993年に録音しながらも、契約を 得る事が出来ずお蔵入りになっていた2ndアルバムをようやく リリースしたもの。現在もバンドは存続しているらしいが、 このアルバムではメンバーのクレジットが、既に 2人しかいない事から考えても、大幅なメンバー・チェンジが 行われているだろう事は想像がつく。サウンド的には、かなり ブルーズ・ロック的な方向へと変質しており、それ程 ハード・ロック的な感じは強く受けない。土っぽいが、どことなく もやっとした感じがあり、ところによりハードな部分も 見せている。[77]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの通算3枚目となる2nd フルレンス・アルバム。中心人物とも言えるBLACKHEIMは KATATONIAやDIABOLICAL MASQUERADEとの掛け持ちもあってか、 メンバー・クレジットからは外れてしまっている。それでも いくらかボーカルを取っているが、パーマネントなバンドの活動を 考えるとそういう事になるのだろう。そのせいもあってかバンドの 方向性はやや変ってきている。カバー中心のミニ・アルバムを 出したりと、その下地が1980年代のヨーロピアン・メタルで ある事は明らかであったが、今作ではよりそれを突き詰めている。 バックはまさしくそのもので、それにダミ声のスクリーミングが 乗ると言う形態を取っている。それ故、臭いが馴染みのある ギター・メロディが何とも郷愁を誘う古臭さを感じさせ、非常に 聴き易い作品になっている。[80]
詳細は不明だが、スウェーデンの ゴシック/デス・メタル・バンドのアルバム。ボーカルは男性 クリア・ボイス、デス・ボイス、女性ボーカルと言う構成で、 デス・ボイスはドスの効いただみ声で、かなり聴きがたいものだ。 楽曲は悪くないのだが、女性ボーカルが非常に美しいだけに、この デス・ボイスはかなり聴きがたいのが残念だ。楽曲は アコースティックの部分とエレクトリックの部分が、うまく 配されており、清涼感と構築美は良く出ている。 耽美感はあるものの、この手のものとしてはより メロディック・デス・メタル的な作品と言って良いだろう。ゲスト 参加のバイオリン、チェロ、フルート、女性ボーカル等が それなりにウェイトを占めているだけに、ライヴでどうするのか 興味のあるところだ。[79]
詳細は全く不明だが、恐らくイギリスの ゴシック・メタル・バンドのアルバム。方向的には陰鬱ながら シニカルで、サウンド自体にはあまり重々しさを感じられない。 Aage等、楽曲によってはデジタル系のニュー・ウェーヴ的な 色合いを感じさせるものもある。耽美さや荘厳さはないし、 ヘヴィ・メタル的な色合いもないので、こう言う淡々とした サウンドに免疫がないと少し苦しいかも知れない。非常にダークで 地味な作品で、盛り上がりのないまま延々と続いていくが、この 手では珍しい方向性でオリジナリティはあるし、出来自体は 悪くないアルバムだ。[78]
詳細は不明だが、ドイツの ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの恐らく デビュー盤。耽美で流麗ではあるが、それ程そう言った エッセンスを強く主張する事無く、独自の雰囲気を作り 上げている。特にゲストの女性コーラスは、非常にユニークで、 ともすれば短調となりそうな中で実に良い味わいを出している。 デス・ボイスが主流を取っていて、そこにクリア・ボイスを入れて 来る形だが、もっと女性コーラスが表に経っている方が 良かっただろう。民族音楽的な要素も所々絡めながら、 ゴシック・メタル的なパートと、メロディック・デス・メタル的な パートが割合はっきりと分離しており、どうしても 部分部分でつまらないところが感じられる。音楽的な 主軸となっているキーボードにパーマネントなメンバーが 居ないのは不安だが、アイデア的には、中々面白い。[83]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。 前作で、プロジェクトの中心人物とでも言うべき、KATATONIAの ギタリスト、BLAKKHEIMがラインナップから外れているが、 今作でも彼は参加していない。前作から、やや ヨーロピアン・メタル的な色合いが強くなってきていたが、 今作ではそう言った面がより助長されており、非常にVENOM色の 強いヘヴィ・メタルとなっている言って良いだろう。ボーカルは、 歪ませた咆哮型のブラック・メタル・ボイスだが、それを除けば 如何にもVENOMと言った感じのアルバムに仕上がっている。 メロディがよりはっきりと打ち出されているが、その分めりはりに 欠けて今一つ盛り上がらない感じがするのは残念だ。それでも Black MassでのIRON MAIDEN的なギター・ソロ等は面白い。[79]
オーストリアのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。 ブラスト・ビートをふんだんに使い、破壊的なサウンドはむしろ グラインド・コア系のデス・メタルと言った方が近いだろう。 そこに北欧ブラック・メタル的な荒涼としたメロディを振り 掛けている。基本的にはブラック・メタルの荒涼とした 邪悪さより、デス・メタルの破壊的な狂暴さがあくまで前面に 出てるので、アメリカのデクニカル・デス・メタル辺りが 好きでないと聴いていて苦しいかも知れない。ただ、その完成度は 高く、混沌としたエナジーも凄まじさを感じさせてくれる作品だ。 [80]
アメリカのハード・ロックンロール・バンドのデビュー盤。 ボーカリストは、かつてBANG TANGOで活躍したJOE LeSTEだが、 音楽的にはあまり共通性はない。方向的には如何にも アメリカらしいラフなハード・ロックンロールだが、適度に 憂いがあってのりの良いアルバムに仕上がっている。最近の北欧 ハード・ロックンロールの様なパンキッシュさは感じられず、 どちらかと言うと1980年代的なワイルドで破天荒さを感じさせる バット・ボーイズ・ハード・ロックンロールと言えるもので、 むしろFUSTER PUSSYCATをよりワイルドでダイナミズム溢れる サウンドと言った方が近い化も知れない。[89]
アルゼンチン人ベーシストBETO VAZQUEZによるプロジェクトの アルバム。この作品で一番注目を集めるのは、やはり豪華な ゲスト・ボーカリスト陣で、EDENBRIDGEのSABINE EDELSBACKER、 BLACKMORE'S NIGHTのCANDICE NIGHT、NIGHTWISHのTARJA TURUNENと 言う3人の女性ボーカリストを中心に、RHAPSODYのFABIO LIONEまで 参加している。楽曲自体もそれに合わせた様な楽曲で、 CANDICE NIGHTが歌う楽曲は、中世ルネッサンス音楽的なトラッド 色の強いものだし、SABINE EDELSBACKERが歌う楽曲では、 シンフォニックなヘヴィ・メタルで、TARJA TURUNENが歌う楽曲は、 オペラティックなパワー・メタルと言った感じだ。ある意味、 プロジェクトとしての方向性がない様なものだが、それぞれの ボーカルを活かし、こうして組み合わせるとファンタジックで 幻想的な作品となっているのが面白いし、楽曲もそれぞれの バンドでやっても良い位レベルは高い。[85]
デンマークのプログレッシヴ・メタル・バンドのデビュー盤。 元YNGWIE MALMSTEEN、VAGABOND、THE SNAKESで、現在MILLENIUM、 ARKで活動しているボーカリスト、JORN LANDEを迎えて 作成されている。スロー・テンポからミドル・テンポ中心の、 ゆっくりとしたドラマティックなプログレッシヴ・メタルだ。 ダークでドゥーミィな雰囲気に包まれており、全体的にモダンな 感じのする作品作りがなされているが、グレゴリオ 聖歌っぽさもあったりと、宗教音楽的なエッセンスも感じられる。 JORN LANDEのパワフルなボーカルは強力で、こう言うタイプの 作品でも歌い負けしていない。[85]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの4thアルバム。元々 KATATONIAのギタリスト、BLAKKHEIMのプロジェクトとして 始まったが、彼がいなくなり、オリジナルの楽曲中心となった 事で、バンドとしてはっきり色合いが出て来た様に思う。VENOM 等のカバーを中心とした、1980年代型のスラッシュ・メタル系 ブラック・メタルを現代に持って来ると言うコンセプトは今も 変わっておらず、そのオーセンティックでオーソドックスな 作品だが、これが帰って新鮮に聴けるから面白い。スラッシィで ラフなサウンドは禍々しい破壊力を持っており、中々面白い作品に 仕上がっている。[82]
アメリカのニュー・スクール・ハード・コア・パンク・バンドの デビュー盤。マサチューセッツ出身と言う事でも判る通り、 AFTERSHOCKやKILLSWITCH ENEGAGE等と同じく、今アメリカで 増えつつある北欧メロディック・デス・メタルに インスピレーションを受けた、影響の色濃く出ている ニュー・スクール・コアと言える作品だ。ここにTESTAMENTや METALLICA等のスラッシュ・メタル的なアグレッションを持ち 込み、非常に攻撃的でいながらドラマティックなアルバムに 仕上がっている。デビュー盤と言う事で、プロダクションを含めて まだまだ粗が見える部分もあるが、中々面白い存在だと思う。[82]