スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1987年に リリースされた2ndアルバム。今や、カルト的な存在とも言える バンドだけあって、そこに渦巻くダークで情念を思い起こさせる 世界は独特のものがあると言って良いだろう。このアルバムより、 バンドの世界観を成立させる上で、重要な位置を占める事になる、 ボーカリストのMESSIAH MARCOLINが加入しており、バンドとしての 方向性が見えたと言って良い作品だろう。非常にダークで ドゥーミィなアルバムで、BLACK SABBATHとはまた違った、 ドゥーム・メタルの方向性を示した、エポック・メイキング的名 アルバムだ。[83]
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1988年に リリースされた3rdアルバム。前作より、ボーカリストとして MESSIAH MARCOLINが加入した事により、その独自の世界を築き 上げるに至ったが、その世界観は今作でも継承され、押し 進められている。ダークで耽美でドゥーミィな世界は何とも 言えない味わいがあり、圧倒される。楽曲単位ではこれと言える 訳ではないのだが、アルバムを通すと全ての楽曲が彼等の世界観を 作り上げている事が判る。楽曲の出来を始め、全体的な完成度が 増しており、オリジナリティ溢れる作品に仕上がっている。[84]
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1989年に リリースされた4thアルバム。MESSIAH MARCOLIN加入後の 集大成とも言えるアルバムで、彼等の音楽はここで一旦極めたと 言っても過言ではないだろう。この作品を持って、 MESSIAH MARCOLINは脱退し、TOMAS VIKSTROMの加入でその方向性が 若干変わっていく。ミドル・テンポからスロー・テンポのダークで ドゥーミィな作品で、聴くものを分けるだろうが、彼等の世界を 一貫して押し通した結果であり、それは当然の事だろうし、彼等の 世界観は十分堪能出来るアルバムだ。[85]
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1990年に リリースされた、唯一のライヴ盤。この作品を持って MESSIAH MARCOLINは脱退する事になり、言わばMESSIAH MARCOLIN 時代の総決算的な作品だ。スタジオ・アルバムでのダークで ドゥーミィな世界はここでも忠実に再現されているものの、のりを 出すためか、若干アップ・テンポで演奏されている。その分流れは 良いので、聴き易いし正しい選択だと言って良いだろう。楽曲も こうやって選曲されると、さすがにレベルは高いし、演奏の出来も 悪くないし、ファンにはまずまず納得の行く作品だろう。[81]
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの1992年に リリースされた、ライヴ盤を挟んで6作目となる5thアルバム。 ボーカルは、今作よりMESSIAH MARCOLINからTOMAS VIKSTROMに 代わっているが、実に素晴らしいボーカリストだ。バンドの 特質にあった歌い方が出来るし、表現力も文句無しで、 MESSIAH MARCOLIN以上のボーカリストと言っても過言ではない。 楽曲はダークである事は変わりないが、これまでのスロー・テンポ 一辺倒から、アップ・テンポの楽曲を織り交ぜて、非常に めりはりのある作品に仕上がっている。ある意味、これまでの ファンには不満を抱く部分かも知れないが、よりドラマティックな 効果を生み出していると言って良いだろう。このアルバムを持って バンドは解散するが、もったいないと思える仕上がりだ。[88]
アメリカのデス・メタル・アンドの1994年にリリースされた アルバム。方向的には、いわゆるグラインド・コア系の ブルータルなデス・メタルで、ブラスト・ビートを織り込んだ 凶悪なサウンドだ。グラインド・コア系とは言え、割と スラッシュ・メタル的なアティチュードが良く出ており、この 手のものとしては、割と受け付け易い作品かもしれない。しかし、 そこはブルータル系だけあって、CHRIS BARNESの強烈な デス・ボイスと攻撃的なブラスト・ビートが圧倒して来る。強烈な エナジーを感じさせる作品で、まさしくデス・メタルと呼べる アルバムに仕上がっている。[80]
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンド、ARCANGELの 中心人物であったJEFF CANNATAによるソロ・プロジェクトの 1993年にリリースされたアルバム。方向的には、いわゆる アメリカン・プログレッシヴ・ハードと言えるもので、叙情的で キャッチーなメロディは中々良く出来ている。産業ロック的な 香りもする程で、じっくりと聴かせてくれる作品だ。 JEFF CANNATAのハートフルなボーカルがより情感を深くしており、 泣きのギターも効果的だ。これと言った楽曲はないのだが、 全体的に良く出来たアルバムに仕上がっている。[82]
元GRINDERのメンバーが結成したドイツの パワー・メタル・バンドの1993年にリリースされたデビュー盤。 ジャーマン・パワー・メタルと言うよりは、芋臭いB級の ヨーロピアン・パワー・メタルと言う感じだ。特にADRIANの野太い ボーカルが、そう言った感をより助長している。洗練さは 全くないのだが、勢いだけで突っ走ってしまうだけのパワフルさは 感じられる。決して手放しで誉められるような作品ではないが、 そのエナジーだけは十分感じられる。この手のマニアにだけに 向けたアルバムと言って良いだろう。[78]
元DEEP PURPLEのボーカリスト、ROD EVANS率いるアメリカの ハード・ロック・バンドの1972年にリリースされた1stアルバム。 IRON BUTTERFLYのギタリスト、RHINOとベーシストのLEE DORMAN、 JOHNNY WINTER GROUPのBOBBY CALDWELLと言う層々たる メンバーによって結成されたバンドだ。方向的には、それ程 ブリティッシュ的な匂いは感じないし、どちらかと言うと他の メンバーがそうであるように、アメリカ的なブルーズ・ロックを 感じさせるハード・ロックだ。非常にプログレッシヴ的な要素の 感じられるサウンドで、DEEP PURPLEとは違った、むしろ IRON BUTTERFLYに近い作品と言って良いだろう。 プログレッシヴ・ロック的な色合いが濃い、如何にも 1970年代的なハード・ロックだ。[84]
元DEEP PURPLEのボーカリスト、ROD EVANS率いるアメリカの ハード・ロック・バンドの1973年にリリースされた2ndアルバム。 IRON BUTTERFLYのメンバー達と組んで、ハードな仕上がりを 見せていた前作と比べると、アコースティック・ギター等を押し 出して、より幻想的でプログレッシヴ・ロック的な色合いが濃い 作品となっている。メンバーの交代で、6人編成となっているが、 その影響もあってか、ラテン的な感じのするメロディもあり、 かなり思い切ったイメージ・チェンジと言えるだろう。かなり 戸惑う作品ではあるが、出来的には前作と比べても決して 悪くない。[82]
NAPALM DEATH人脈で、もう既に解散してしまっている、アメリカの メロディック・デス・メタル・バンドの1994年にリリースされた ミニ・アルバム。4thアルバムのタイトル・トラックを含む、日本 編集盤で、アルバム未収録のThis Is Your Life、Rot'n' Roll、 Tools Of The Trade、Hepatic Tissue Fermenation IIに Pyosified-Still Rotten To The Goreのバージョン違いの全6曲と 言う構成になっている。方向的には、いわゆるスラッシュ型の メロディック・デス・メタルで、この当時既に脱退している MICHAEL AMOTTが後にARCH ENEMYでやっている事の原形とも 言えなくはないが、それよりはもっとブルータルで、破壊的で、 メロディをあまり押し出していない。特に古い音源は初期 デス・メタルらしい混沌さを呈している。[78]
イギリスのポンプ・ロック・バンド、PENDRAGONのキーボード、 CLIVE NOLAN率いるバンドの1994年にリリースされたデビュー盤。 方向的には、PENDRAGONよりシンフォニック・ロック的で、 ポップさを残しながらダイナミズムなサウンドに 仕上げられている。GEOFF MANNの愁いを帯びた枯れたボーカルは、 非常に味わい深く、郷愁をそそって雰囲気を良く盛り上げている。 叙情的なメロディの組曲が中心の構成で、Crap Game等は中々良い 楽曲だ。元々やっている音楽が音楽なので、MARILLIONや PENDRAGONが好きでないと少し退屈に感じるかも知れないが、 出来は良い。[82]
ドイツのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。元MAD MAXのボーカリスト、MICHAEL VOSSを 中心としたバンドで、その経歴が示す通りキャッチーなメロディの ハード・ロックをやっている。叙情的で、 アメリカン・フィーリングも感じられる、BONFIRE型の楽曲は中々 良く出来ているし、MICHAEL VOSSのややハスキーな艶のある甘い ボーカルが非常に良く映えている。Guns Say Fire等の楽曲も、 適度にポップ、適度にメロディアスで、良く出来ていて、 メロディアス・ハード・ロックのファンには、十分 訴えるものがあるだろう。[84]
ノルウェイのデス・メタル・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には、プログレッシヴ・デス・メタルと 表されている様に、展開は非常に難解で複雑だ。 プログレッシヴ・ロック的な感覚を持つ、同じ デス・メタル・バンドのSYNICとは、よりブルータルでちょっと 違う路線だ。基本的には真性デス・メタル的なので、それが駄目な 人は受け付けないかも知れない。当然ブラスト・ビートも差し 挟んで来るのだが、今一つドラムの音が奥に引っ込んだ様に 感じるので、それ程聴き難くはないが。[76]
多分スウェーデンのバンドで、一応ジャンル的には メロディック・デス・メタルに当たるのだろうが、それらの バンドとはかなり趣を異にする。ボーカルは しゃがれ声ではあるものの取り立ててデス・ボイスというほどの ものではない。DAVID BOWIEのカバーをやっていたりするが バンドのカラーとしてはそれほど外れていない。さすがに THE BEATLESはちょっと違うかなという気はするが。枯れた ハード・ロックをしゃがれ声で歌うという感じで フルートなどを使ってる曲はJETHRO TULLを思い起こさせる。[67]
アメリカのシンフォニック・ロック・バンドのデビュー盤。 MAGNA CARTA所属という事でも判る様に、如何にもと言った感じの 叙情的なメロディのシンフォニック・ロックだ。軽めで爽やかな 美しいメロディに、若干プログレッシヴ・ロックらしい複雑な 展開が内包されている。キーボードがサウンドの 中心となっており、ハード・ロック系の人にはあまり接点のない サウンドだろう。全体的に悪くはないが、落ち着き過ぎと言う 感もなくはない。Silent Water等はDREAM THEATERが好きなら 結構いけるかもしれないが、あそこまでヘヴィではない。[79]
元GRINDERのメンバーによって結成されたドイツの パワー・メタル・バンドの2ndアルバム。前作であった鼻につく 様なリフの展開が幾分減って、メロディの流れは随分自然になった 感じを受ける。楽曲のクオリティも前作と比べるとかなり レベル・アップしていて、サウンドから感じられるパワーが生きて 来ていると言って良いだろう。しかし、それでも垢抜けない サウンドは相変わらずで、所詮B級という感は 脱しきれないでいる。こういう個性だと割り切れればそれなりに 納得できる出来ではあるが、やはりもうちょっと洗練した方が良い 様に思える。[82]
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの4thアルバム。基本的な 方向性はBLACK SABBATH的なサウンドを継承しており、これまで 同様、よりグルービーでサイケデリックなよりデフォルメした サウンドである事は変わりない。LEE DORRIANのボーカルが異彩を 放っていて、それに奇妙にマッチングしている。形式的には前作と 同一路線ではあるのだが、楽曲はもう少しストレートな 感じになっていて、異質さが少し引っ込んだ感じになっている。 その分聴き易い作品ではあるが、インパクトに欠け、地味な印象を 受ける。TONY IOMMIがUtopian Blasterに参加しているのは、 らしいと言ったところだが、だからと言ってその個性が 変わらないのは好ましい。[83]
イギリスのスラッシュ・メタル・バンドの4thアルバム。一時期 盛り上がったUKスラッシュ・シーンだが、結局ブレイクする 事はなかった。ONSLAUGHTもSABATも忘れられてしまった今では、 このバンドが最後の砦とでも言えるだろう。JOHN WALKERの ボーカルは所々デス・ボイスを使うが、スラッシュ系の メロディック・デス・メタルとしては曲は中々良い出来だ。 ブルータルで攻撃的なリフは圧倒的に迫力があって、のりも非常に 良く出ている。DEEP PURPLEのSpace Truckin'のカバーが 入っているが、こういうアレンジもまた一興だろう。全体的な 完成度も申し分ない。[83]
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。プロデュースは 元AXEのBOBBY BARTHがやっているだけあって、キャッチーな ハード・ロック作品に仕上がっている。哀愁のメロディに優れた ポップ・センスと、Through The Yearsを始め、楽曲のレベルは 非常に高いので安心して聴いていられる。ミドル・テンポ中心で しっとりと落ち着いた雰囲気があり、美しいコーラスに 透明感のあるサウンドが素晴らしい。キーボードが非常に良い 味付けになっているし、全体的に演奏力もある。エッヂが 効いていてエモーショナルなアルバムなので、聴きごたえがある。 アメリカらしい哀愁全体に漂い、新人とは思えない完成度の 作品となっている。[92]
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの最新アルバム、 THE CARNIVAL BIZARREからのミニ・アルバム。アルバムからは タイトル・トラックの1曲のみで、恐らく意識してだろうが、 N.W.O.B.H.M.におけるドゥーム・メタルの祖とも言うべきバンドの 名前をサブ・タイトルに冠している。残りはカバーが3曲と 未発表曲が2曲と言う構成になっている様だ。オリジナルでも Purple Wonderland等の様な、アルバムに比べると軽目でのりの 良いナンバーが中心になっている。とは言うものの、むしろ最新 アルバムよりはのりが良いので、むしろ楽しめる作品と言えるかも 知れない。[84]
アメリカのデス・メタル・バンドの5thアルバム。方向的には、 所謂グラインド・コア系のブルータルなデス・メタルで、この手の サウンドに免疫がないと到底聴けないだろうと思える程強烈な 作品だ。デス・メタル界最強のボーカリスト、CHRIS BURNESは 前作を最後に脱退し、MONSTROSITYのGEORGE FISHERが 加入しており、CHRIS BURNESに比べると内にこもった感じで、 破壊力に欠けるもののそれ程悪くはない。まさに怒涛と言える様な 彼等らしい速くてブルータルな作品で、これぞデス・メタルと言う 怒気が撒き散らされている。[78]
メロディック・デス・メタルの代表格とも言えるイギリスの デス・メタル・バンドの5thアルバムにしてラスト・アルバム。 メジャーと契約したにも関わらず、その契約によって自らの終演を 迎える事になったのはなんとも皮肉な話だが、そんな状況とは 関係無く素晴らしい内容である。前作辺りから、かなり メロディックな方向へと向かっていたが、今作ではその傾向が 顕著で、デス・メタル的な色彩は殆どない。バックのサウンドは 正にパワー・メタルであり、そのアルバムタイトルにたがわぬ、 最後の叫びである。[86]
解散したメロディック・デス・メタル・バンドの大御所の 1988年にリリースされたデビュー・アルバム REEK OF PUTREFACTIONと1989年にリリースされた2ndアルバム SYMPHONIES OF SICKNESSをカップリングしたもの。まだ後々に 見せるメロディックな要素はほとんど見えず、NAPALM DEATH時代と さして変わらないグラインド・コア的なブルータルな作品だ。 一般にはとても受ける作品ではないし、HEARTWORK以降を 期待するなら決して聴かない方が良いだろう。病的なその サウンドはコアなファンにしか受けそうにない。[34]
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの4thアルバム。根底に 流れるBLACK SABBATH的なサウンドは変ることなく普遍で、その 意味では前作の延長線にあると言える。ただ、パワーと勢いは 今まで以上にあるものの、これまで見せてきたような耳を引き 付けるような、印象的なうねりがないので散漫な印象を受ける。 とは言うものの、取り立てて楽曲が悪い訳ではないし、 グルーヴィさは健在なので駄作という訳ではない。これまで彼等が 作り上げてきた、BLACK SABBATHをデフォルメすると言う スタイルはやや希薄で、勢いで作ったと言う感じで、もう少し練り 込まれていれば大分良くなったのではないかと思えるが。[80]
アメリカのハード・ポップ・バンドの2ndアルバム。デビュー作で 新人らしからぬ落ち着いた雰囲気の完成度の高い作品に 仕上げていたが、今作でもその出来の良さは変わらない。叙情的な メロディの優しい音楽で、前作ではそれ故に盛り上がりに 欠けるきらいもあったが、今作ではギターはエッヂがたっており、 めりはりが効いていて前作よりもだれる事はない。メロディの 秀逸さは新人離れしていて、それを表現するだけの アレンジ力もある。非常に美しい作品に仕上がっているし、 落ち着いたハード・ポップが好きな人には奨めれる作品だ。[88]
日本のスラッシュ・メタル・バンドのデビュー盤。1曲、1曲が 短く、アルバムとは言っても30分程度しかなく、 ミニ・アルバムと言っても良いくらいだ。デビュー盤とは言っても 活動はもう14年に渡るだけあって、その凄みはそういったレベルを 凌駕している。ハード・コア的な疾走感を持ったヘヴィな サウンドは非常にパワフルだ。唯一のオリジナル・メンバーである ボーカルの咆哮も、好き嫌いは分かれそうだがそれほど 悪くはない。これだけの迫力のあるバンドは昨今の スラッシュ・メタル界では貴重だろう。後はプロダクションが もう少し良くすることを考えたほうが良いだろう。[76]
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー・アルバム。 元SURVIVORのJIM PETERIKが曲作りに参加していて、確かに 叙情的でメロディのアメリカン・ハード・ロックではあるのだが、 SURVIVORよりもっと軽快な感じの作品に仕上がっている。但し、 楽曲は全体的にミディアム・テンポ中心で、それ程スピード感は 感じられない。キャッチーで爽やかなメロディの楽曲は、聴き 易くてリラックスして聴けるが、盛り上がりにやや欠ける 気もする。全体的に良く出来てはいるのだが、どこも 平均的でこれと言うところがないのが難点だ。[81]
スウェーデンのモダン・ヘヴィネス・バンドの2ndアルバム。 いわゆるPANTERA的なサウンドなのだが、元にドゥーム的な 指向があるだけに部分によっては非常にドゥーミィかつダークな 部分も差し挟んでくる。かなりグルーヴィな色合いを 強く出していて、PANTERA等よりかなりアップ・テンポで 疾走感のある作品に仕上がっている。ヘヴィでグルーヴィで タイトでかつのりが良く、モダン・ヘヴィネス系が好きなら結構 聴けるはずだ。MAGNUS FASTHのボーカルもこの手特有の 吐き捨てるようなタイプでかなり強烈だ。[79]
元DISSECTION、MARUDAKのメンバー等によって結成された スウェーデンのブラック・メタル・バンドの デビュー・ミニ・アルバム。哀愁のメロディと疾走する パワー・メタルらしい適度に複雑な展開の部分から楽曲は主に 構成されており、その出来は中々良い。ボーカルはいかにも ブラック・メタルらしいもので、好き嫌いは 分かれるかも知れないが、楽曲の展開は明らかにIRON MAIDENを 思わせるものがあり秀逸だ。DISSECTIONの良い部分を 引き継ぎながらも、よりブラック・メタル的な色合いを 強めている。[83]
アメリカのスラッシュ/パワー・メタル・バンドの1994年に リリースされたデビュー盤。自費製作か、恐らくそれに近い形で 製作されただろう作品だけあって、プロダクションはややチープな 感じがしなくもない。疾走するリフと、ヒステリックに シャウトするボーカルはかなりスラッシィな感じを受ける。やや 混沌とした感じがあって、楽曲として未整理な感じもするが、 荒々しいまでの疾走で押し切ってしまうだけの勢いはある。今では 珍しくなった、B級的なコアなスラッシュ・サウンドで、出来は 悪くないし、アレンジ面が良くなればかなり良くなると思える 作品だ。[78]
今はなき、イギリスのデス・メタル・バンドの日本独自企画の 2枚組みベスト盤。1枚は通常の既発音源のベストで、今更特に どうこう言うまでもないのだが、問題はもう一枚の方で、 レア・トラック集になっている。このうち解散後に日本では 発売されなかったレア・トラック集 WAKE UP AND SMELL THE...CARCASSに最初の9曲が収められており、 実際に初出は最後の5曲だ。全てオーバー・ダブ無しの ライヴ音源で、ややバランスが悪いのとデス・ボイスが いまいちなのが難点だが、このバンドの演奏レベルの高さを十分に 感じる事が出来るだけのものだ。[83]
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの2ndアルバム。 全体的にこれまでより大作指向になっており、サウンドもより ハードなものになっている。プログレッシヴ・ロック的な エッセンスを持った、このハードな作品はRUSHを思い起こさせる 部分もある。ただ、RUSHと比べるとまだまだより プログレッシヴ・ロック然とした感じがする。長い楽曲が多いとは 言え、展開がちゃんと練られており、緊張感を持って最後まで 聴かせるだけの構成力がある。演奏もしっかりしているし、 ドラマティックな心地良いメロディの良い作品だ。[85]
アメリカのデス・メタル・バンドの6thアルバム。 グラインド・コア系のブルータルなデス・メタルだが、 ブラスト・ビート一辺倒という様な感じでも無くなっているし、 よりスラッシュ・メタル的なパートを強く押し出して来ている 感じだ。スロー・テンポのパートとアップ・テンポのパートが入り 乱れ、やや難解なイメージも受けるが、そういった展開的な部分を 除けば、特にスロー・パート等はかなり聴きやすくなったという 印象を受ける。そういう意味ではアグレッシヴなアップ・テンポの 部分と割とはっきりと対比出来るようになっていて、混沌とした 印象を受けないのは評価出来る。GEORGE FISHERのこもった デス・ボイスはやはり前任のCLIF BURNESと比べると破壊力に劣る 印象を受ける。[81]
スウェーデンのドゥーム・メタル・バンドの復活第1弾となる アルバム。と言っても、実際にはCANDLEMASSのベーシスト LEIF EDLINGが自己のバンドABSTRAKT ALGEBRAの2ndアルバムとして 制作していたもので、その内容もかつてのCANDLEMASSの姿はあまり 結びつかない作品だ。かつてのCANDLEMASSのメンバーも LEIF EDLING一人で、これを何故CANDLEMASS名義でリリースする 気になったのか理解に苦しむ。内容的にはドゥーム・メタル的な 色彩が全くないわけではないが、おどろおどろしく前衛的な 作品で、楽曲によってはアシッドと言って 良いようなものまである。旧来からのファンにとっては期待外れに 終わる可能性は大だ。[76]
詳細は全く判らないが、恐らく1996年にリリースされたドイツの ゴシック/デス・メタル・バンドのアルバム。KARIN TRAPPと JORG WEBERの男女によるツイン・ボーカルで、KARIN TRAPPは ソロ・パートでは儚げで割と良い感じなのだが、 バッキング・ボーカルになると不安定な感がいがめない。 JORG WEBERはデス・ボイスとクリア・ボイスを使い分けているが、 クリア・ボイスはともかくデス・ボイスは聴きがたい。方向的には 耽美と言うよりも荘厳さを醸し出す方だが、あまり重苦しくなり 過ぎていない所は好感が持てる。幻想的なキーボードや ギター・メロディ等はそれなりによいと思うのだが、やや めりはりに欠いて変化に乏しく、これと言った所がないのが 残念だ。[80]
詳細は全く不明だが、恐らくドイツのゴシック・メタル・バンドの 1997年にリリースされたアルバムだろう。男女の クリア・ボイスによるツイン・ボーカルだが、残念ながら女性 ボーカルのKARIN TRAPPはあまりうまいとは言えるほどではない。 PARADISE LOSTの様なゴシック・ロック的なところは感じられる 部分も一部あるが、全体的に荘厳さや耽美さはあまり 感じられない。全体的に中庸と言った感じで、JORG WEBERの語りが 一番ゴシック・メタルらしいと言っても良いだろう。そういう 意味ではより普遍的なヘヴィ・メタルと言う色合いが強い。[84]
スウェーデンのハード・コア/デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。PANTERA風のヘヴィネス的なボーカルで、楽曲にも そう言った部分がそこはかとなく出ているのだが、全体的に非常に ダークな雰囲気を漂わせており、呪術的なバッキング・ボーカルも あいまって、独特の雰囲気を醸し出している。デス・メタルと言う 程、デス・メタル的な要素はないし、ボーカルの咆哮も デス・ボイスと言うものとはまた一風違っている。このバンドの リフは非常におどろおどろしさを出していて面白いし、そこに 被さる、怒りをぶつけるようなボーカルと不思議な コンビネーションを見せている。[83]
ドイツのゴシック・メタル・バンドの3rdアルバム。女性 ボーカルとクリア・ボイスのツイン・ボーカルは前作と 変わりなく、普遍的なヘヴィ・メタル的な方向性を見せていた 部分は、より普遍的なロックになったという感じだ。 A Lover In Disguise等は、ほんわかとした バラード・ナンバーで、ヒット・ソングに並んでいても おかしくないような楽曲だ。ゴシック・メタル的な荘厳さや 耽美さは全く無くなっており、そういう部分を期待するファンには 更に期待を外す作品になってしまっていると言って良い。ただ、 そう言った部分を考えず、普通のロック・アルバムと思えば、良い 楽曲もあるし、悪くない作品だ。[83]
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの5thアルバム。ここ最近、 低迷していると言うか、今一つ煮え切らない部分があったが、 今作ではLEE DORRIANらしい真価を発揮したと言って良いだろう。 基本的な方向性に変化はないが、Voodoo Fireではサルサの メロディを取り入れたりと、これまでよりも彩りが 豊かになっている。意外とキャッチーなメロディであるが故に、 呪術的なおどろおどろしさが増し、楽曲がそれぞれ 生きてきている。この手のバンドとしては、ヘヴィ・ロックとは また違うサイケデリックさがオリジナリティを出している。 テンポが良くて、のりやすいし、楽曲の出来、全体から発する 雰囲気も良く出ていて、中々の好盤に仕上がっている。[87]
アメリカのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。扇情的な メロディのパワー・メタルで、NEVERMORE等を思わせるが、より ライヴ感があって、グルーヴィだ。ジャケットは非常にダサいし、 ルックスも最悪の部類に入るのはいかんともし難い。楽曲の出来 自体は中々良くて、扇情的な楽曲はぐいぐいと引き付けてくる。 演奏も悪くないし、パワフルなコーラスが意外に合っている。 SEAN PECKのボーカルは、舌足らずな印象を受ける事もあるが、 力強くて良い出来だ。メロディを押し出した、ドラマティックな パワー・メタルと言う事で、ICED EARTH程の完成度はないが、 中々聴きごたえのある作品だ。[84]
アメリカのロック・バンドの3rdアルバム。方向的には、やや 枯れた風味が入っていて、オルタナティヴ・ロック的な エッセンスを感じるロック・アルバムだ。更にシアトル出身だが、 と言ってももろにシアトル系と言う感じではなくて、 BLIND MELONと言ったバンドの色合いも感じる。Happy Pills等は かなりハードな楽曲で、PEARL JAMやALICE IN CHAINSと 言ったところのバンドが好きな人にも受ける要素はある。全体的に 楽曲の出来は地味目名感じがするが、良い楽曲が取り揃っている。 素朴で熱く醒めた感じのするサウンドは実に味わい深く、中々良い アルバムに仕上がっている。[82]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第1弾となる7年振りの 3rdアルバム。MICHAEL VOSSのメロディ・センスの素晴らしさは、 変る事がないどころかますます磨きがかかっている。甘く、 キャッチーで叙情的なメロディは素晴らしく、哀愁のこもった Heroes等は絶品であると言って良いだろう。やや捨て曲とも言える 曲がない訳でもないが、非常に素晴らしいアルバムに 仕上がっている。MICHAEL VOSSの甘いボーカルも、楽曲に非常に 良く合っていて、より情感を醸し出している。扇情的な部分での 盛り上げ方は素晴らしく、中々素晴らしい作品に仕上がっている。 [85]
アイルランドのプログレッシヴ・ロック・バンドの3年振りの アルバム。方向的には彼等らしい、叙情的なメロディの静かな ギター・オリエンテッド的な作品だ。最近のコンセプト・アルバム 的な路線から離れ、ANDREW LATIMERの美しいギターをじっくりと 聴かせるアルバムに仕上がっている。とにかく落ち着いた静寂感を 持った、美しいギター・メロディを全編が渡って繰り 広がられている。プログレッシヴ・ロックと言っても ポンプ・ロックに近い位で、派手な展開やプレイなど 一切ない。じっくりと聴き込める、味わい深い渋味さえ感じる様な 美しいアルバムだ。[82]
ドイツのハード・ロック・バンドのミニ・アルバム。全曲、 アルバム未収録曲と言う事で、ファンにとっては価値の大きい 作品だろう。CHEAP TRICKのカバー、I Want You To Want Me以外は 全曲未発表曲で、3rdアルバムから漏れたアウト・テイク集だ。 しかし、アルバムから落ちたとは思えないような、良質の楽曲が 並んでおり、満足の出来るアルバムに仕上がっている。 キャッチーな甘いメロディの、良質のハード・ロック作品で、 MICHAEL VOSSの甘いボーカルが良く合っている。特にSwayは佳曲と 言っても良い出来で、アルバム落ちの余った楽曲で作った ミニ・アルバムとは侮れない仕上がりだ。[84]
日本のスラッシュ・メタル・バンドのミニ・アルバム。タイトルを 見て判る通り、同タイトルのミニ・アルバムの第2弾で、前作が ネガティヴ編、今作がポジティヴ編と言うコンセプト 作品になっている。攻撃的でヘヴィでラウドなサウンドを 聴かせてくれており、破壊力はたっぷりだ。楽曲的には、特に ミドル・テンポのFlying Highがバンドの重厚さに合っていて 良い。楽曲も単調になることはなく、適度に展開と変化が 持たせているのは十分評価出来る。羽鳥恭充の強烈な方向も 攻撃性と破壊力をより増しており、強烈な作品に仕上がっている。 [83]
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの1990年にリリースされた デビュー・ミニ・アルバムに、ライヴを追加してアルバム 化したもの。後の、テンポの良いデフォルメしたBLACK SABBATHと 言った彼等のサウンドからすると、かなり趣の違う作品だ。 とにかく重くて遅い楽曲ばかりで、非常に奇怪な雰囲気に 満ちている。今の彼等のサウンドの方がまだ一般受けすると言える 位で、かなりおどろおどろしいアルバムに仕上がっている。 ライヴの方も、録音されたのはデビュー直後の1991年のもので、 このデビュー・ミニ・アルバムからも3曲演奏されているし、 基本的な路線は変わりない。ライヴの録音状態は今一つで、初期の 楽曲のライヴが聴けると言う異常の意義はあまり感じられない。 [69]
アメリカのブルータル・デス・メタル・バンドの初のライヴ盤。 今年行われたアメリカでのギグの模様を収めたもので、彼等の 活動を総括する様にこれまでのアルバムからまんべんなく 選曲されている。それ故ベスト盤と言っても差し支えないし、 初心者入門用にも使えるだろう。CLIF BURNESの後任である GEORGE FISHERもかなり慣れて来た感じで、ここで聴く限りでは CLIF BURNESとそう遜色はない。スタジオ盤と比べると、 テクニカルな演奏はより速く、スピード感を 感じさせるものとなっている。如何にもブルータルと言った感じの 暴虐さを感じさせる凄まじいライヴ・パフォーマンスだ。[82]
イギリスのドゥーム・メタル・バンドの6thアルバム。 ドゥーム・メタルの祖BLACK SABBATHと言う素材をより デフォルメし、グルーヴィでサイケデリックな作品を作り 上げてきたが、ある意味ドゥーム・メタルと言うジャンルで 考えると異端な感じを受けるバンドだった。今作では初期のより ヘヴィなサウンドを前面に押し出しており、ここ最近の作品と 比べれば、よりドゥーム・メタル然とした作品に仕上がったと 言って良いだろう。デビュー盤でのヘヴィでスローな テンポになってしまったかと言うと、そう言う訳でもなく、 テンポの良さは失われてはいない。最近の彼等のフレーバーを 活かしながらも、よりヘヴィな音像となっている。[84]
アメリカのデス・メタル・バンドのデビュー盤。元OBITUARYの ギタリスト、TREVOR PERES率いるバンドで、OBITUARY的な ミドル・テンポを中心とした、地獄の底を這い回る様な不気味さを 湛えたデス・メタルを聴かせてくれているかと思うと、いきなり ハード・コア的な速いスラッシィな楽曲が出て来りと、今一つ バンドの方向性に統一性が感じられない。大体はこのパターンの 楽曲が交互に出てくるのだが、却ってこの多様さが個性を 薄めている様にも感じられるのが残念だ。全体的に短い楽曲が 連なっており、飽きさせずに最後まで聴かせてくれるし、出来は 決して悪くない。[80]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。ボーカリストはCENTINEXのギタリストで DELLAMORTEのボーカリスト、JONAS KJELLGRENで、IN THY DREMASの ベーシスト、PETRI KUUSISTO、ギタリスト、JARI KUUSISTO、 ドラマー、STEFAN WESTERBERG等によって結成されている バンドだ。これらのバンドから想像出来る様に、その音楽性は スラッシュ・メタル型のメロディック・デス・メタルだ。この 手のものとしても、最もブルータルでアグレッションの効いた サウンドで、実に格好の良い作品に仕上がっている。特に生々しい 音色のギター・リフは攻撃的で非常に素晴らしい出来だ。[82]
ノルウェイのデス・メタル・バンドのアルバム。その正体は 1990年代初頭、デス・メタル創生期に活躍したCADAVERの ギタリスト、NEDDO率いるバンドだ。流石に オリジナル・メンバーが一人では再結成とは言い難かったのか、 若干バンド名を変えている。その音楽性は、CADAVERと同じく ブラスト・ビートを押し出した、ブルータルなものだが、より ブラック・メタル的な邪悪さが感じられるものとなっている。 強烈なアグレッションで切り込んでくるサウンドは凄まじく、 1990年代初頭のエクストリーム系サウンドが持っていた混沌さが 感じられる。[80]
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの3年振りとなる 3rdアルバム。方向的にはいわゆるシンフォニック・ロックと 言うやつで、YESの流れを汲む作品と言って良いだろう。前作より 更にシンフォニック的な色合いが強くなっており、その分 ハードさはなくなって来ている。透明感のある空間の広がりを 感じさせる楽曲は、叙情的ねメロディも相俟って、情感が良く 出ている。プログレッシヴ・ロックのバンドらしく、相変わらず 大作指向的趣向が見え、長い楽曲が多いのだが、これまでよりは 控えめになっているのは好感が持てる。楽曲もよりキャッチーさが 出てきており、楽曲の魅力も増していると言って良いだろう。[81]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの4thアルバム。方向的には ハード・コア的なエッセンスを前面に押し出しながらも、 ヒップ・ホップ等のエッセンスを取り入れ、ミクスチャー的な 作品に仕上がっていると言って良いだろう。特に大きな 特徴となっているのは、非常にジャジィーな色合いが濃いことで、 この難解さとテクニカルさは凄まじい。それ故、到底聴き易い 作品とは言えないだけに、あまり一般受けはしない アルバムだろう。ただ、これだけ難解な作品を構築出来る実力と、 作品から滲み出るアジテーションは圧巻で、感嘆させられる。[85]
アメリカのデス・メタル・バンドの2年振りの8thアルバム。 フロリダのデス・メタル・バンドらしく、方向的にはいわゆる グラインド・コア系と言えるもので、その路線はこれまでとは 変わる事はない。GEORGE FISHER加入以降の路線から全く 変化はないので、前作が気に入ったなら聴いて損はないだろうし、 CHRIS BARNESの強烈なデス・ボイスがない事に不満を憶えている 人は、今作でもやはりそう言う不満は感じるだろう。出来自体は 決して悪くないのだが、CHRIS BARNESの頃のインパクトはやはり どうしても感じられないのは如何ともし難いところだ。[78]
スウェーデンのデス・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には スラッシュ・メタル型のデス・メタルと言えるもので、この 手のものでもかなりアップ・テンポのサウンドを 聴かせてくれている。いわゆるブラスト・ビートと言う 感じではなく、クランチを中心としたもので、ザクザクとリフを 切り刻み、強烈にアジテーションしてくるデスラッシュだ。特に ボーカリストのJONAS KJELLGRENによるシャウトがそう言った趣を 倍化させており、破壊力のある作品に仕上がっている。剛球 一直線とも言える様な、攻撃的な作品作りは好感が持てる。[83]
アメリカのプロジェクト・バンドの2年振りとなる2ndアルバム。 ソロとして活躍しているヘヴィ・メタル系のギタリスト、 TONY MaxALPINEとフュージョン系のベーシスト、BUNNY BRUNEL、 ドラマー、DENNIS CHAMBERSと言うやや畑違いと思われる メンバーによって構成されており、今作ではオルガニストとして BRIAN AUGERが加わっている。それ故、方向的にはフュージョン、 ジャズ的なエッセンスが強く出ており、メタル側の リスナーとしては戸惑うところが大きいと思う。テクニシャン 揃いなだけに、その演奏的レベルは流石と思わせるが、 ジャズ・ロックが好きでないと厳しいと思う。[80]
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの3年振りの 14thアルバム。方向的にはシンフォニック・ロックと言うべき 叙情的な作品で、しんみりとした場面から、躍動的な場面へと ドラマティックに移り変わって行く。爽やかな中にも、意外と ハードさを感じさせるギターや独特の味わいを出している フルート等を上手く盛り込んで、落ち着いた作品でありながら 決して短調にならないのは好感が持てる。このANDREW LATIMERの ギターとフルートの持ち味が良く活きたアルバムに 仕上がっている。[83]
イギリスのドゥーム・メタルの7thアルバム。前作で初期への揺り 戻しを見せ、より混沌としたカオティックでドゥーミィな サウンドを聴かせてくれていたが、今作ではその 延長線上にいながらも、その後の変化して行った音楽性も取り 込んだりしている。それ故、メロディ等には非常にポップ性の 強さを感じる部分があるのだが、リフ自身はヘヴィに強く打ち出す 事によって、後期のどこかコミカルな印象は伝わって来ない。 ポップ性も後半になるとどんどん薄くなって行き、より アンダーグラウンド的な聞き手を限定する様な方向性へと 向かっていると言って良いだろう。初期と後期の中庸的な イメージを受けるのだが、それが中途半端と言う 気がしないでもない。[81]
アメリカのデス・メタル・バンドの3rdアルバム。音楽的には ブラスト・ビートを前面に配した、いわゆるグラインド・コア系の デス・メタルと言えるものだが、フロリダ系の テクニカル・デス・メタルとはやや趣が違う。カオティックで 暗黒面を除く様な、不気味さと腐臭漂う如何にもエクストリームと 言ったサウンドで、ジャケットもまさにそう言うグロい物だ。 しかし、非常にリフの切れ味が良いサウンドで、この 手のものとしてはレベルが高いのは確かだ。どう転んでも一般 向きではないが、グラインド・コアに耐性のある人は聴いてみて 損はないだろう。[80]
スウェーデンのデス・メタル・バンドの4thアルバム。 IN THY DREAMSのギタリスト、JARI KUUSISTOとPETRI KUUSISTO 兄弟、STEEL ATTACKのドラマー、STEFAN WESTERBERG、CENTINEXの ボーカリスト、JONAS KJELLGREN、ROSICRUSIANのベーシスト、 LARS LINDENと言う完全な兼業バンドだ。バックは完全に攻撃型 スラッシュ・メタルで、いわゆるデスラッシュと呼べるものだ。 叙情的なギター・メロディも入れながら、時には ドラマティックさすら感じさせてくれるが、基本的にはコアで スピードのある攻撃的なサウンドのスラッシュ・メタルで、 今これだけ切れのあるスラッシュ・メタルを聴かせてくれる バンドは稀有だろう。[82]
EL&P、ASIAのイギリス人ドラマーによるソロ・ライヴ。2001年に 行われたイギリスでの公演の模様を収めたものだ。ギタリストと ベーシストのトリオ編成のライヴで、当然彼がドラムを叩きまくる 訳で、楽曲は全てEL&P時代のものだが、彼が自分の思い通りに プレイする事で、最近のEL&Pでは見られなかった緊張感が 迸っている。脇役の2人が意外にも優れたテクニックの持ち主で、 この2人と彼の掛け合いがこの緊張感を生み出しているとも 言えるだろう。全曲インストルゥーメンタルだが、逆にこれが功を 奏していて、純粋にプレイを楽しませてくれている。これだけの 内容を聴かせてくれるなら、少なくとも今のEL&Pより遥かに良い。 [82]