スイスのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた アルバム。1980年代中頃より活躍し、女性のコーラスを入れたり、 当時としてはかなり斬新で実験的なサウンドを試みていたが、 ラスト・アルバムであるこの作品でも、Wings Of Solitude 等にそう言った面影が若干残っている。しかし、かつての様な 実験的な路線は大きく後退し、衝撃はもうそこにはもう無い。割と 普遍的な部分も感じるし、出来的には悪くないとは思うが、普通の スラッシュ・メタル作品としては特別面白いと言った 程のものでもない。[81]
スイスのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた ベスト盤。VANITY/NEMESIS後の新曲が2曲、未発表曲が1曲 含まれており、まさしく最後の音源となる。ベスト盤ではあるが、 別バージョンや、録音しなおしたものが中心で、どちらかと言うと レア・トラック集としての色合いが強い。VANITY/NEMESISでは、 よりストレートでヘヴィな スラッシュ・メタルとなってしまっているが、この新曲でも かつての実験的な指向は余り感じられない。こうしてかつての 音源と並べて聴いてみると、その方向性の変化はよりはっきりと 感じられ、バンドの終焉の見える作品となっている。[83]
スウェーデンのゴシック/デス・メタル・バンドの3rdアルバム。 曲調等はPARADISE LOSTに随分近いが、もうちょい跳ねた感じで 躍動感があり普通さを感じさせる。ボーカルもデス・ボイスと 言うほどでもなく、NICK HOLMESにもう少しドスを効かせたような 感じで、低音は少し辛いが、割と聴き易い方のはずだ。この ボーカルが、少し不安定な部分も見られるのだが、聴けない レベルではない。楽曲はほぼPARADISE LOSTの路線ではあるが、 ギター・ソロなどはより普遍的なヘヴィ・メタルっぽさを 出している。さび等は割と良い出来なのだが、そこに至るまでの 導入部でややもたった感じがするときがあるのが残念だ。 PARADISE LOSTが好きならば結構聴けるはずだ。[85]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの恐らく デビュー盤。かつて、IN FLAMESのJESPER STROMBLADが 在籍しており、ANDERS FRIEDENも掛け持ちでこのアルバムに 参加して吐き捨て型デス・ボイスを聴かせてくれている。 メロディックだが典型的にメロディを重視する耽美な タイプではなくて、ミドル・テンポ中心のパワー・メタルだ。 IRON MAIDENのHallowed Be Thy Nameをカバーしているが、 ボーカル以外は完コピで、他の曲ではまともなデス・ボイスを 入れているが、ここではわざと酷いデス・ボイスを入れている所が 非常にユニークだ。ベースも完璧で演奏力の高さを伺えるし、 楽曲はやや平凡と言えなくもないが、ギター・メロディはかなり 秀逸で一聴の価値ある。[80]
詳細は良く判らないが、多分ポーランドの ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドのアルバムで、CD 番号からすると自費出版かも知れない。方向的には、いわゆる ゴシック/メロディック・デス・メタル系でゴシック独特の沈み 込むようなバンド名が差し示す通りの陰鬱さを醸し出している。 MY DYING BRIDE等よりも静寂感を大きく打ち出しており、 KATARZYNA RACHWALKのキーボードとピアノが非常に効果的に 使われていると言って良いだろう。ギター等の音色は、むしろ メロディック・デス・メタルと言った感じで、ボーカルも当然 デス・ボイスが入るのだが、それほど気にはなる様な事は無く結構 自然に聴ける。半分位はクリア・ボイスが併用されているのだが、 これもAARONのような気だるい雰囲気を出している。全体的な プロダクションは意外に中々良く出来ていて、この手のものでは 掘り出し物と言って良いだろう。[91]
ドイツのメロディアスなパワー・メタル・ロック・バンドの 3rdアルバム。前作ではキーボードが前面で美しいメロディを 聴かせていたもののそれ以外あまり聴くべきところがなかった。 今作ではシンガーが変わり、演奏面と言う意味では全体の まとまりが随分良くなっている。前作からすると成長しているが、 楽曲は面白味に欠け、まだこれといった名曲を産み出すには 至っていない。INTROSPECTION等、曲によってはキーボード 味付けが結構良いし、叙情的なメロディ・センスもそれ程 悪いとは思わないので、後はいかに良い楽曲を 書くかによっていると思うのだが。ボーナス・トラックとして、 T-REXのChildren Of The Revolutionをカバーしているが不思議な アレンジで、これはこれで面白い。[82]
スウェーデンのゴシック・メタル・バンドの4thアルバム。 ボーカル、楽曲ともPARADISE LOST的な色合いバンドで、メロディ 的にはその系統を踏襲しているのだが、Elsia等かなり軽快な 曲があり、よりパワー・メタル的だ。そう言った部分を除けばほぼ PARADISE LOSTそのものと言う感じで、さほどオリジナリティは 感じられない。楽曲の出来はPARADISE LOSTとまでは 行かないだろうが、それほど悪くないのでPARADISE LOSTの ファンは聴いても損はないだろう。キーボード等は中々良い 味わいを出しており、サウンドに深みを与えている。[78]
元VELVET VIPERのギタリストOLAF LENK率いる、ドイツの メロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの1stアルバム。 バンドといってもOLAF LENKの他には、ボーカルの OLIVER HARTMANNしかおらず、バンドとしての実態は まだないと言って良いだろう。キーボードを配した叙情的で ドラマティックなヘヴィ・メタルで、中々扇情的な作品だ。 OLIVER HARTMANNのボーカルはパワフルで力強く、ややともすれば 魅力に乏しくなりがちな楽曲を引っ張っている。演奏的には ギターも十分満足できるし、楽曲もこれはという部分もあるので 曲がもう少し練れればかなり良くなるだろう。[83]
スウェーデンのゴシック・メタル・バンドの5thアルバム。 全体的に短めで、ミニ・アルバムと言っても良いような長さだ。 ゴシック的な色合いは、今までで一番薄く、ほとんど パワー・メタルと言っても良いような作品になっている。楽曲は この系統としてはかなりアップ・テンポで、全体的に力強く、 耽美さも荘厳さも感じられない。ややPARADISE LOSTっぽく 感じられるギターが唯一ゴシックっぽいところと言っても良い。 ダークな感じのクリア・ボイスで、バンドのスタイルには 合っている。出来自体はそれなりに良いとは思うし、 ゴシックとしてそれ程面白味のあるバンドではなかったので、 こういった系統の方が映えているような気がする。[82]
ポーランドのゴシック/デス・メタル・バンドの2ndアルバム。 デビュー盤ではなかなかクオリティの高いゴシック・サウンドを 聴かせてくれていたが、にも関わらず今作では大幅な イメージ・チェンジを図っている。まず、デス・ボイス 一辺倒だったのが、ゲストを迎えて、ソプラノ、男性 クリア・ボイスを交えている。特に男声のクリア・ボイスの 露出がかなりおおきくなっている。肝心のサウンドは完全に ゴシック的な色合いを失い、ミドル・テンポからアップ・テンポの 呪術的なメロディック・デス・メタルになっている。キーボードの 露出度もより増しており、Whisper/Touchのダブ・ミュージックの 様なイントロにはかなり驚かされる。Breezeのフラメンコのような 拍手を入れたりと結構面白い試みもあるのだが、デビュー盤を 期待するならば外す結果になるだろう。何故、こういった イメージ・チェンジを図ったのか謎だ。[75]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。扇情的な メロディのパワー・メタル・バンドで、キーボードが全面に 押し出されている事に変わりはない。しかし、これまでよりも、 アグレッシヴでヘヴィーなサウンドになっているために、全体の バランスはずっと良く感じるようになった。とは言え、The Seedの 様な、緊張感溢れるキーボード・メロディで、楽曲を盛り 上げていく事も忘れてはいない。扇情感が漂う、ダークな雰囲気の 作品で、ある意味、CONCEPTION等にも繋がるようなアルバムに 仕上がっている。まだまだ、これと言った楽曲はないものの、 楽曲、演奏の出来もこれまでよりパワー・アップし、随分と 聴きごたえのある作品を作れるようになった。[83]
詳細は全く不明だが、恐らくオランダの ドゥーム/ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの 1995年にリリースされたアルバム。ツイン・ギターに女性 ツイン・バイオリンと言う7人編成で、楽曲によってはこの バイオリンがかなり前面に押し出されている。この耽美な ゴシック・メタル色が強い楽曲と、アップ・テンポの ドゥーム・メタル色の強いハードな楽曲の2面性を持っている。 バックと楽曲に限っては、かなり出来は良いのだが、STEFANの デス・ボイスの咆哮が全面に配されており、はやはり聴く人間を 選ぶだろう。[83]
詳細は全く不明だが、ブラジルのゴシック・メタル・バンドの アルバム。方向的には、初期ANATHEMAやMY DYING BRIDEと言った イギリスのドゥーム系ゴシック・メタルの系脈を継ぐもので、 それらよりはギター・ソロ等よりヘヴィ・メタル的な色合いを強く 出している。重苦しいダークな雰囲気はそれなりに出せているが、 楽曲の完成度と言う点ではこれらのバンドにはまだ及ばない。 ALLESのクリア・ボイスも、醸し出す雰囲気と言う点では まだまだだし、演奏的な不安定さも感じずにはいられない。 プロダクションが今一つなので、こう言った欠点がよりはっきりと 浮き出ている形になっている。[73]
アメリカのグラインド・コア・バンドの2ndアルバム。方向的には デス・メタル初期のバンドに通ずる様な、ブルータルで激烈な サウンドを聴かせてくれている。LENZIGのボーカルは唸るような デス・ボイスとヒステリックなシャウトを使っており、 CHRIS BARNES辺りのデス・ボイスに慣れていないと少し厳しいかも 知れない。このバンドのユニークさは、その構築美にあり、 主体となっているグラインド・コアにジャズを混ぜてきたりと中々 変則的なアルバムに仕上がっている。ブラスト・ビートも強烈で、 とても一般受けする作品とは言い難いが、そのレベルは中々高い。 [82]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 5thアルバム。方向的にはいわゆるスラッシュ・メタル型 メロディック・デス・メタルと言えるものだが、この手のものの 中でも最もブルータルな色合いを出したものと言って良いだろう。 ブラスト・ビートと言っても良い様な怒涛のリフが展開し、 疾走感と暴虐感を醸し出している。北欧ブラック・メタル的な 荒涼感漂うキーボードも導入されており、そう言った感がより一層 増している。楽曲的にはまだまだ改善の余地はありそうだが、 非常に攻撃的で破壊力の作品に仕上がっており、凄まじさを滲み 出させたアルバムだ。[81]
ドイツのゴシック・メタル・バンドの1999年にリリースされた デビュー盤。方向的には現在のPARADISE LOST等にも 通ずるものだが、この手のものとしては、最もロマンティックな 雰囲気を醸し出した作品と言えるもので、PARADISE LOSTよりも もっとメランコリックだ。ULTRTAVOXの Dancing With Tears In My Eyesをカバーしている事からも判る 様に、ユーロ系のニュー・ウェイブ的なエッセンスが強い。憂いを 持ちながらも、そう言ったどことなく爽やかな音楽性が印象的だ。 MICHAEL ROHRのボーカルは当然クリア・ボイスなのだが、憂いを 含んだ非常に軽やかなもので、独特の味わいを出している。[79]
ドイツのゴシック・メタル・バンドの2年振りの2ndアルバム。 方向的には前作の延長線上と言える、流麗でロマンティックな ゴシック・メタルだ。この手のものとしてはユーロ系の ニュー・ウェーヴ的な作品と言って良いが、それだけに非常に流麗 過ぎて聴き流してしまいそうなのは前作と変わりない。それでも 前作よりはギター・サウンドをより押し出しており、フックを 出そうと言う感じが見えるのは好ましい事だ。 アルバム・タイトルからも判る様に、メランコリックなメロディは 悪くないし、こう言う方向性のバンドがいても悪くはないと思う。 [82]
アイルランドのケルト・ロック・バンドの3rdアルバム。 N.W.O.B.H.M.時代にはMAMA'S BOYSとして名を知られた、 JOHN McMANUSとPAT McMANUSのMcMANUS兄弟によるバンドだ。 音楽的にはケルティックな色合いの付けたポップ・ロックで、 MAMA'S BOYSの様なヘヴィ・メタル的なエッセンスは全くない。 イーリアン・パイプスやボーラン、ブズーキ、フィドルと言った 楽器を使い、アコースティック色が強く、しみじみとしたケルト 音楽を聴かせてくれており、情感が非常に強く伝わって来る。 プログラミングを全面的に取り入れ、ドラム・マシーンを 使っているのだが、左程気にはならない。[86]
イギリスのブラック・メタル・バンドの2枚組みベスト盤。遂に ブラック・メタル・バンドとしては、メジャー・レーベルと 契約する始めてのバンドになるまでのバンドに成り上がったが、 インディ時代の総括とも言うべき作品だ。バージョン違いが8曲に 日本盤未収録曲4曲と、初心者入門用のみならず、ファンにも 十分興味深い内容と言って良いだろう。純然たる ブラック・メタルと言うよりは、ブラック・メタルを上手く アレンジして独自の世界を作り上げたバンドと言った方が 正しいかも知れないが、そのスタイルと歴史を体感出きる 作品だ。[84]