アメリカのハード・ロック・バンドの1988年にリリースされた アルバム。長らく不振に喘いでいたが、8年振りに オリジナル・メンバーで作成されたアルバムだけあって、かつての 輝きを取り戻して来たと言って良いだろう。サウンド的には独特の 味わいを持つ叙情的でキャッチーなメロディは、色褪せる事無く 昔の姿を留めている。特に、The Flameは名曲と言えるだけの 素晴らしい楽曲で、さすがといえるだけのレベルに達している。 ELVIS PRESLEYのDon't Be Cruelをカバーしているが、 オリジナルの雰囲気を残しながらも、自己の個性をうまく醸し 出している。[87]
アメリカのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた アルバム。前作で、見事な復活劇を演じたのに続いての 作品となるが、楽曲の出来はやや見劣りする。 Wherever Would I Be等はThe Flameの再来を狙った様な楽曲だが、 やはり楽曲の出来は及ばないと言った感じだ。前作であったもの 悲しさが、ROBIN ZANDERのボーカルを際立たせていたのだが、 今作では、楽曲は明るい曲調のものだけになり、個性が余り 見えなくなった事が一番問題だろう。楽曲的にも決して悪い 出来だとは思わないが、持ち味が今一つ出ていないアルバムだ。 [81]
スイスのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。方向的には、キャッチーで明るい、叙情的な アメリカのヘヴィ・メタルと言う感じで、当時BON JOVI等と 比較されていたのもあながち否定できない部分も感じられる。 ただ、I Need You Loveやミドル・テンポのLiving On The Stage 等、BON JOVIと比べて、キャッチーさより叙情的な部分に重みを 置いている様に感じられる。適度にキャッチーで、 アメリカナイズされてはいるが、ヨーロッパのバンドらしい 叙情的な部分も残しており、楽曲の出来も中々のものだし、 期待を抱かせてくれる新人だった。[85]
スイスのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には、キャッチーなメロディの叙情的な アメリカン・ハード・ロックと言う感じで、 In The Middle Of The Night、Sign In The Sky等、 メロディ・センスはさすがと思わせるものがある。楽曲の出来には やや波を感じるが、つぼにはまったときは中々素晴らしい。前作と 比べるとややこじんまりとした感じを受けなくもないが、楽曲の 完成度は上がっている。アメリカ的な垢抜けたセンスもあって、 中々良いアルバムに仕上がっている。[84]
アメリカのハード・ロック・バンド、ENUFF Z'NUFFの メイン・コンポーザーである、CHIP ZNUFFとDONNIE VIEの コンビによる1994年にリリースされたアルバム。この2人が言わば ENUFF Z'NUFF自身であるので、わざわざこういう形でと言う 疑問もあるのだが、契約問題やドラッグ問題でゴタゴタしていた 時期だけに、こういう形を取らざるを得なかったのだろう。実際 このアルバムはENUFF Z'NUFF名義で再リリースされている。 方向的には如何にも彼等らしい作品ではあるが、アコースティック 色を強めた作品である。彼等らしい愁いの感じられるキャッチーな メロディはさすがと思わせるものがある。[82]
ドイツのパワー・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3rdアルバム。これまでの作品と比べると、幾分方向転換が 見られ、ジャーマン・パワー・メタルと言った 感じではなくなっている。ドラムはツー・バスをどかどかと 叩いたりしないので、全体的にスピード感には欠ける様な印象を 受けるが、その分聴きやすくなった感じだ。とは言っても、 メロディに関しては、扇情的で前作と比べても決して 劣っていないので、ジャーマン・パワー・メタルが好きでなくても 十分聴けだろう。フックがあって、楽曲、演奏と全体的に出来も 良いとは思うが、核となるような楽曲がないのが残念だ。[86]
スイスのヘヴィ・メタル・バンド、KROKUSのギタリストによる 1993年にリリースされたソロ・アルバム。その後、同郷の GOTTHARDをプロデュースした事でも知られている。方向的には KROKUSとはやや異なり、アコースティック・ナンバーのAlone等、 アメリカ的なエッセンスを取り入れたLED ZEPPELINと言う 感じもさせる。特にCHRIS VON ROHRのROBERT PLANT的なボーカルの 取り方が、そう言った感を助長しているし、What I Likeは Rock'n Roll的な要素を入れていたりするので尚更だ。KROKUSの 様なヘヴィ・メタル然とした音像ではなく、 ハード・ロックンロールと言ったイメージで、KROKUSのファンに どれだけアピールするか判らないが、出来自体は悪くない。[82]
久々のリリースとなったスイスのハード・ロック・バンドの 4thアルバム。デビュー盤では、初期BON JOVI的な ポップ・センスを見せ、2ndではさらにヨーロッパのバンドらしい 憂いを持った素晴らしいアルバムだった。今作ではこう言った、 彼等の素晴らしいキャッチーなメロディ・センスは色失せ、 どちらかと言うと渇いたアメリカン・ロック的な雰囲気の 作品になっている。ロックンロール色、ブルーズ色を押し出した 路線変更という事になるのだが、楽曲の平凡さは遺憾ともし 難いところで、慣れない事はやらない方が良かったと 言うところだ。[77]
イギリスのヘヴィ・メタルの1994年にリリースされたデビュー盤。 バンド名からは少し想像出来ない位の硬質のパワー・メタルを 聴かせてくれている。全体的に憂いを帯びて扇情感を持った 楽曲に、ねちっこい伸びのあるDANNY FOXのボーカルが のっていると言う感じだが、ボーカルの抑揚のなさが多少 気になるところだ。DESPAIRと言ったバンド辺りよりも 垢抜けているし、時折見せる速弾きのギター・フレーズも妙に 印象的だし、センス的には悪くないアルバムだ。何かパンチに 欠ける気がするが、デビュー作としては悪くない作品に 仕上がっている。[80]
N.W.O.B.H.M.バンドで、1981年にリリースされた唯一の アルバムであるライブ・アルバムをCD化したもの。 ボーナス・トラックとして、シングルから2曲と レディング・フェスティバルのライブ・アルバムから2曲 収録されており、発表された全ての音源が収録されていると思う。 この手のものとしてはよりロックンロール色が強く、バラエティに 富んでおり、1970年代っぽいやや古めかしいハード・ロックだ。 哀愁のナンバーからスピード・チューン、のりの良いものまで バランス良く入っていて、音はやや悪いものの、この手の バンドとしては結構良い出来だ。STUART SOUTHERNのボーカルは ややヒステリックな部分があり、気になるかもしれない。[84]
元RAINBOWのボーカリストDOUGIE WHITEと、彼の MIDNIGHT BLUE時代の僚友JEM DAVIS、元VANDAMNEの ASHLEY LIMERによるプロジェクト・バンドによる唯一の作品で、 実際にはそれぞれがそれらのバンドにまだ在籍していた1993年の 制作されたものだ。それぞれTOBRUK、DEALERというN.W.O.B.H.M. 末期のバンドに在籍していた連中ではあるが、この作品では そういった要素は微塵もない。ブルージィな要素も併せ持つ ハード・ロックで、叙情的な部分も見せている。DOUGIEの ソウルフルなボーカルは中々聴きごたえもあるし、楽曲の出来も 決して悪くはないのだがやや凡庸な感じがするのも確かだ。[78]
ドイツのヘヴィ・メタル界ではプロデューサーとして著名な HARRIS JOHNSによる スラッシュ・メタル・ソロ・プロジェクト・バンドの1994年に リリースされた1stアルバム。楽曲はリフがかなり スラッシィだが、さびなどはメロディは ジャーマン・パワー・メタルらしい大仰さを持っている。 スラッシィな部分も見せれば、プログレッシヴ・ロックかかった スペイシーで叙情的な部分もあり、テクノっぽいサウンドといい、 割と彩りは豊かだ。その割にはこれといったものはないし、 The Lords Of The Islandのデス・ボイスは余計だ。[76]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。ボーカルの JURGEN WULFESはあまり上手いとは言えないのだが、 DAVID COVERDALEを思い起こさせるようなソウルフルな ボーカル・スタイルで、楽曲もそういったリズム&ブルーズを 意識して狙ったと思えるものもある。全体的にはむしろY&T辺りの テイストが強く、そこから聴かれるサウンドにはあまりドイツの バンドと言う印象は感じられない。生々しい音作りは、 ドライヴ感を与えており、中々聴き応えのある作品となっている。 完成度という点ではまだ少し物足りなさを感じるが、出来は 悪くない。[80]
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの デビュー盤。ALEXI LAIHOのデス・ボイスはダミ声タイプで 咆哮する感じはなく割と聴き易いものだ。バックは正統派の ヘヴィ・メタルと言って良いような内容で、ところによっては ブラック・メタル的なサウンドも聴かせてくれる。JANNE WIRMANの キーボードがかなり全面に押し出されており、オペラティックな 風味を加えたり、リコーダ風に入れたりと彩りを豊かにしている。 ギター・メロディも中々聴きごたえがあり、LAKE BODOMでの キーボードとの絡みは中々聴きごたえがある。バックの大仰で 叙情的なメロディは印象的で非常に素晴らしく、評価に値する 一方でボーカル・ラインに今一つ面白味が欠ける。とは言っても その内容、完成度はかなり高いものがあり、迫力があって、大仰な ヘヴィ・メタルが好きな人にも結構聴けるだろう。[86]
元DREAM THEATERのキーボード、KEVIN MOOREによる プログレッシヴ・ロック・プロジェクトのアルバム。 DREAM THEATREの持っていたヘヴィ・メタル性というものはこの 作品には全くなく、DREAM THEATREとは全く違った趣の アルバムだと言って良いだろう。FATES WARNINGのMARK ZONDERの 存在が作品の性質上、大きなウエイトを占めている他、元 ARMARD SAINTのJOEY VERAも参加している。淡々と静寂感を湛えて 進んでいく様は、それはそれで面白いが、アルバム1枚 通してとなると盛り上がりに欠け少し厳しい。幽玄とした作品で、 BGM程度なら聴き流せて良いが、もう少し聴きどころになる部分が 欲しい。[81]
詳細は全く不明だが、恐らくオーストリアの ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。女性 ボーカルのKATHARINA PASTがいる事を除けば、全体的に メロディック・デス的で、バックはかなり正統派パワー・メタル 風だ。タイトル・トラック等は、IRON MAIDENっぽいリフと メロディだが、それにより不安感を煽るようなギター・メロディが のせられている。ERNST TUSCHのデス・ボイスは唸るような 重量感のあるもので、正式なメンバーであるにもかかわらず、 KATHARINA PASTのボーカルが殆ど使われていないのは寂しい 限りだ。重々しく、暗い雰囲気ながらメタル然とした楽曲は ギター・メロディも良いし、出来は決して悪くないのだが、もう 少し聴かせる工夫が欲しい。[83]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた アルバム。方向的には、軽めのサウンドのポップなメロディを 主体としている。Love Is The Reason等、楽曲によってはどう 聴いてもDEF LEPPARDとしか言い様のないものもある。ボーカルの SCOTT LOWMASTERの声質も、ややJOE ELLIOTTっぽいので尚更そう 思わせるが、あそこまでパンチがないので、ややめりはりが 欠けると言う感もなくはない。DEF LEPPARD的なミドル・テンポで ポップな楽曲が並んでおり、出来自体は悪くない。もう少し めりはりを出せるようになれば、DEF LEPPARDレベルとまでは 行かなくても、かなりの作品を作れるようになるだろう。[84]
イギリスのハード・ロック・バンドのデビュー盤。HEARTLANDの CHRIS OUSEYとSTEVE MORRISがプロデュースをやっていると言う 事だが、HEARTLANDの様な、AOR的な作品とはまた違い、叙情的で、 メロディアスなハード・ロック作品に仕上がっている。全編に 渡って哀愁が漂っており、キャッチーなメロディは日本人好みだと 言えるだろう。とにかく楽曲の出来が良く、彼等の メロディ・センスの素晴らしさを十分堪能できるだけのアルバムに 仕上がっている。HEARTLANDの様な、作り過ぎと言った 感じもなくて、非常に聴きごたえがある。哀愁と叙情感に溢れた 心地良いメロディが素晴らしい、新人離れした素晴らしい アルバムだ。[89]
アメリカのハード・ロック・バンドのライヴ・アルバム。彼等の ヒット作となったライヴ・アルバム、AT BUDOKANの20周年記念 ライヴの模様を収めたもので、選曲も当時のものが 中心となっている。Surrenderと言った彼等の代表曲が 収められている一方で、新しい曲がないのも何となく寂しい 感じがする。方向的にはポップなハード・ロックンロールで、 キャッチなメロディにハードなサウンドは、今聴いても意外と 自然で、心地良い楽曲だ。演奏も悪くないし、それなりに安心して 聴いている事は出来るだけの出来には仕上がっている。[80]
フィンランドのメロディック・ブラック・メタル・バンドの 2ndアルバム。方向的には、シンフォニックなシンセサイザーを 除けば、よりメロディック・デス・メタルに近いサウンドで、 パワー・メタルをバックにスクリーミングを入れている感じだ。 スクリーミングも、どちらかと言うとだみ声のデス・ボイスと言う 感じで、より馴染み易い作品だと言って良いだろう。方向的には 前作の延長線上とも言える作品で、テクニカルと言ううたい 文句程、変則的なメロディや演奏が出て来る訳ではない。日本盤に ボーナス・トラックとして収められているのは、同郷の スラッシュ・メタル・バンド、STONEのNo Commandsだ。全体的に 楽曲、演奏とも完成度は高いし、出来的には概ね満足できる。[85]
フィンランドのゴシック/メロディック・デス・メタルの デビュー盤。この手のものとしては、かなりヘヴィ・メタル色の 強い作品で、耽美な感じはほとんどしない。ボーカルの JUHA-PEKKA LEPPALUTOは、クリア・ボイスが中心で、一部 デス・ボイスも使って来るが、非常に聴き易いタイプのものだ。 楽曲は、割とテンポ良く、ダークさを湛えながらも暗くなり過ぎる 事もない。方向的にはPARADISE LOSTを少しTYPE O NEGATIVE 的にして、メタル色の強いギターを入れたと言う感じだ。特別 これと言った部分がある訳ではないが、割と独自のスタイルを 持っており、楽曲も結構良い出来で、味のあるアルバムに 仕上がっている。[86]
アメリカのハード・ロック・バンド、SOUNDGARDENの 元ボーカリストによる初のソロ・アルバム。SOUNDGARDEN自体、 ハードな音楽性の中にも、グランジ的なメロディを取り込み、 ALICE IN CHAINS等と伴に、シアトル系と言われるサウンドを 確立してきたが、ここで聴かれる楽曲は正にそう言った部分を押し 出した作品と言っても良いだろう。その一方で、SOUNDGARDENが 持っていたハードさ、ダークさと言った要素が全く排除され、 如何にもアルタナティヴ・ロック的なアルバムに仕上がっている。 SOUNDGARDENが持っていたドゥーミィなハードさを求めるならば 失望するだろう。しんみりとしたサウンドの中を揺らぐような メロディの楽曲は悪くないし、結構面白いアルバムだ。[84]
アメリカのハード・ロック・バンドの1986年にリリースされた アルバム。方向的にはキャッチーで叙情的なメロディの アメリカン・ハード・ロックンロールで、如何にもこの バンドらしいと言った感じの楽曲で構成されている。やや古臭い 感じはするが、Rearview Mirror Romance等、印象的なメロディの 楽曲が並んでおり、さすがとは言える内容だろう。印象的な メロディが多い割には楽曲が今一つに思えるし、バラード等を 入れて、もう少しバラエティがあった方が良い。It's Only Love 等はアレンジ次第でもっと良くなったのではないかと思えるが。 [81]
アメリカのハード・ロック・バンドの1980年にリリースされた アルバム。古臭い感じもするキャッチーなメロディの ハード・ロックンロールで全体的に良くビートが利いている。 Can't Stop It But I'm Gonna Tryの様な愁いを感じさせる 楽曲から、のりの良いロックンロール・ナンバーまで、以外と 幅広い、バラエティに富んだ作品に仕上がっている。どの曲にも、 懐かしさを感じさせる様なポップなメロディが盛り込まれており、 このバンドらしい作品に仕上がっている。ROBIN ZANDERの ボーカルが、これらの楽曲に良くマッチしていて、出来は 悪くない。[81]
アメリカのハード・ロック・バンドの1982年にリリースされた アルバム。方向的にはやや古臭さを感じさせる様な、キャッチーな メロディのハード・ロックで、方向的にはこれまでの延長線上と 言える作品で変るところはないのだが、I Want Youを始め、かなり ハードな部分を強く打ち出している様に思える。その分、彼等の 持ち味であるポップなメロディが、逆に今一つ印象が 薄くなっている楽曲があるのが残念だ。とは言え、 If You Want My Love等は、ROBIN ZANDERのボーカルも含めて、 彼等の魅力を十二分に発揮しているし、その出来は決して 悪くない。[81]
フィンランドのブラック・メタル・バンドのライヴ盤。 IN FLAMESのサポートとして行った来日公演の模様を 収めたものだ。方向的には、この手のものとしてはかなり クラシカルな色合いが強く、サウンド的にはパワー・メタル型の メロディック・デス・メタルと言っても良いだろう。とは 言っても、かなりテクニカルな要素が強く、実際ライヴでどの程度 再現されるか心配だったが、演奏的にはかなり満足の行く ライヴ盤に仕上がっている。特にJANNE WIRMANのキーボードと ALEXI "WILDCHILD" LAIHO"とのギターの掛け合いは見事で、 スタジオ盤よりもスピード感がより出ていて、実に 聴きごたえのあるアルバムになっている。[82]
イギリスのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。叙情的で 愁いのある美しいメロディが満載された ハード・ロック・アルバムで、デビュー盤に劣らず、非常に 素晴らしい作品に仕上がっている。キャッチーでありながら、売れ 線過ぎると言う感じはしないし、彼等のメロディ・センスの 素晴らしさが良く出ている。前作に比べて、よりアダルトな印象を 受け、産業ロック的な部分が増している。楽曲の出来は フックがあって素晴らしく、捨て曲もないので、全編に渡って 緊張感が切れる事はない。ミドル・テンポの楽曲が増えており、 もう少しアップ・テンポの楽曲があっても良かった様な 感じはするが、素晴らしい出来である事には変わりない。[88]
ドイツのプログレッシヴ・メタル・バンド、IVANHOEの ギタリスト、ACHIM WELSCHとベーシスト、GIOVANNI SOULASによる プロジェクト・バンドのデビュー盤。方向的にはそれ程IVANHOEと 変りはないのだが、このアルバムで一番特徴的なのは何と言っても 女性ボーカリストのANNETTE KIENZLEだろう。IVANHOEの ボーカリストが、特に初期には難ありと言った感じだけに、 これだけ歌えれば満足出来る。ボーカル的にはヘヴィ・メタル 向きと言うよりは、可愛い声質で違和感もなくはないが、これが 中々面白い味わいを出している。ABBAのMoney Money Moneyを カバーしているが、ダークでこれも少し変ったアレンジだ。[84]
フィンランドのゴシック/メロディック・デス・メタルの 2ndアルバム。JUHA-PEKKA LEPPALUTOのボーカルは、 デス・ボイスを完全に廃しており、 クリア・ボイスのみになっている。このクリア・ボイスが中々 パワフルでかつ扇情的で、雰囲気を盛り上げるのに非常に 効果的だ。女性ボーカルをいれたりと、ゴシック・メタル的な 耽美的な部分も残っているが、よりヘヴィ・メタル色の強い 作品となっており、全体的にフックがあって聴き応えがある。 PARADISE LOST的な感じはなくなっており、よりオリジナリティが 出ており、自己のスタイルを完全に確立したと言って良いだろう。 楽曲の出来も良いし、実に扇情的で中々素晴らしいアルバムに 仕上がっている。[92]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。その音楽性は オルタナティヴ・ロックを根底に置いたヘヴィ・ロックで、 オルタナティヴ・ロックらしいシンプルでどんよりとした侘しさを 感じさせる楽曲にヘヴィなリフを配している。イントロのOpen等を 始め、メロディ、リフは非常にユニークで印象的で面白い。特に Point #1ではメランコリックさが良く出ていて情感が良く 感じられる。中盤やや楽曲の魅力に乏しいと言う気がする 楽曲もあるが、全体的に楽曲の出来は中々良い出来だ。全体的に ミドル・テンポでグルーヴィでうねりがあって、のりが良く 出ている。[85]
ドイツのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの 3rdアルバム。哀愁味を聴かせた甘い叙情的なメロディの プログレッシヴ・ハード・ロックだが、特に特徴的なのが ボーカルのGINO NASCHKEの歌唱だ。甘い歌声だが、楽曲によっては 非常にDAVY VAIN的なボーカルを聴かせてくれている。あれほど 下手ウマ的にビブラートを効かせてはいないが、非常に似た 声質をしている。そのせいか、VAIN的な楽曲もあるが、その一方で 愁いを帯びた格好良い楽曲があって、そう言う部分では 少し線が細い気がするが、DAVID CARSANP的な歌声だ。 キャッチーなメロディに、細かなアイデアがフックを効かせていて 楽曲の出来も中々良い。JEZEBEL'S TOWERにもっと都会的な センスを付けて甘くキャッチーにした感じで、プロダクション的に 改善の余地は感じるが、出来は素晴らしい。[86]
アメリカのハード・ロック・バンドのベスト盤。既に以前 ベスト盤をリリースしているので、このアルバムの 意義はとなると、未発表のライヴ音源とバージョン違いのレア 音源が集められている事だろう。彼等の最大のヒット曲である The Flameの1988年、アメリカでの公演で納められたライヴと、 Southern Girlsのシングル・バージョン、1996年にリリースされた 4枚組みボックス・セット、SEX, AMERICA & CHEAP TRICKのみに 収められているIf You Want My Loveの オルタネイト・バージョン、Tonight It's You、テレビ番組の サウンド・トラックにのみ収められているThat 70's Song辺りが 目玉と言えるだろう。それ以外の楽曲も、ベストとしては 重要なところを抑えているので、初心者入門用にもなるだろう。 [84] EVERYONE SHOULD BE KILLED /AxCx アメリカのグラインド・コア・バンドの1993年にリリースされた 初のアルバム。5643曲入りミニ・アルバムと言うとんでもない 代物を作った事があるだけに、このアルバムでも300曲以上が 集録されているそうだが、トラック数と曲数が同期しておらず、 正確に何曲は言っているのか判らない。曲名もSome Songsとか Some More Songsとかなり大雑把だ。部分部分を取ってみれば 確かにフレーズにはなっているのだが、ライヴ等で聴いてもそれを 分別する事は不可能だろう。ブラスト・ビートを中心に、非常に 速い楽曲が矢継ぎ早に登場して来る。そのスピードは先達である NAPALM DEATHをも圧倒しているし、カオスとエナジーは 感じられる。[70]
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンド、DREAM THEATERの元 キーボードによる2ndソロ・アルバム。非常に浮遊感漂う不思議な サウンドで、ある意味最近のTHE GATHERING的な作品と言って 良いだろう。宇宙飛行士の写真をジャケットに使ったりと、 明らかにそう言った効果を狙った作品だが、宇宙船との更新記録を 楽曲の中に美味く溶け込ませたりと、実験的でありながらそれが 上手く結実している。ドラムは打ち込みだが、方向的にはそれ程 気にはならないだろう。やや間延びした感じを 受けるところもあるが、空間の広がりを感じさせる面白い アルバムに仕上がっている。[85]
フィンランドのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。 方向的にはこれまで同様、正統派ヘヴィ・メタルを基調とした パワー・メタル型ブラック・メタルで、他の北欧 ブラック・メタル・バンドの様な荒涼感は全く感じられない。 アグレッシヴで格好の良いヘヴィ・メタルで、一般のリスナーには 聴き易い作品だろうが、逆にエクストリーム系を中心に聴いている リスナーの方が違和感を憶えるかもしれない。 ALEXI "WILDCHILD" LAIHOのボーカルも、聴き易いデス・ボイスと 言った感じで、聴き馴染みが良い。ボーナス・トラックとして OZZY OSBOURNEのShot In The Darkが収められているが、流石に これは少しやり過ぎと言った感じ。[84]
詳細は全く不明だが、恐らくオーストラリアの ゴシック・メタル・バンドのアルバム。方向的には叙情的な メロディの流麗なゴシック・メタルで、哀愁味が非常に強く 漂っている。セッション・ミュージシャンを使っており、この バイオリンとSEANの泣きのギター・ソロが非常に強く哀感を引き 立てている。それ故、流麗なサウンドにも関わらず、意外と聴き 応えがあり、変化もあって聴き流してしまう事はない。ボーカルは SHIRALEEと言う女性クリア・ボイスのみで、この儚げなボーカルが 情感を増している。どちらかと言うとトラッド色の強い 作品なので、それ程派手さは感じられないが、楽曲、雰囲気と 言ったものが非常に良い。[91]
アメリカのロック・バンドの2枚組ライヴ盤。バンド結成25周年 記念イベントとして1999年に行われた、地元での公演を模様を 収めたものだ。元々ライヴ盤のAT BUDOUKANでその人気を決定 付けたバンドだけに、ライヴ・バンドとしての実力を 伺わせてくれるだけの作品に仕上がっている。2枚組全29曲と言う かなり膨大な内容となっているが、If You Want My Loveや Surrenderと言った彼等の代表的なナンバーが網羅されており、 決して飽きさせる事はない。AT BUDOUKANに劣らない、ライヴ盤の 傑作と言っても良いだけの内容と言って良いだろう。[89]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。方向的には 最近の流行りであるモダンなヘヴィ・ロックをやっているのだが、 こう言ったものの中でも最もヘヴィでメタリックな作品と言って 良いだろう。攻撃的で破壊力のあるサウンドで、ザクザクとした リフで切り込んで来る。そう言う意味ではスラッシュ・メタル 等にも通ずるところがあり、MACHINE HEAD辺りに近いとも 言えるだろう。強烈なアグレッションで盛り上げて来て、中々聴き 応えがあるが、ダークでカオチックな雰囲気が先鋭化されていて 慣れないと厳しいところもやる。より近未来的なサウンド 作りがなされており、そう言った面ではFEAR FACTORYっぽさも 感じられる。[80]
フィンランドのゴシック・メタル・バンドのシングル。 タイトル・トラックにSister Miseryと言う新曲、全2曲と言う 構成になっている。基本的に前作の延長線上と言えるもので、特に Sister MiseryはWorthlessの流れを汲む楽曲と言って良いだろう。 全体的に扇情感溢れる、アップ・テンポの疾走感溢れる作品で、 アルバムの予告編的なシングルだが、次作も期待させるに十分な シングルと言って良いだろう。JUHAーPEKKA LEPPALUTOの クリア・ボイスもこの扇情感を否応に増しており、非常に聴き 応えのあるものとなっている。この手のものとしては独自の スタイルを築き上げており、またレベルの高い音楽を 聴かせてくれている。[90]
オーストラリアのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。 拡散してしまった現在のゴシック・メタル・シーンから考えると、 オールド・タイプの女性ボーカルもののゴシック・メタルとも 言えるものだが、逆に最近あまり聴けなかったタイプなので、 久しぶりに溜飲を下げさせてくれる作品だ。今作より女性フルート 奏者のALANAが加わっており、そう言った雰囲気を出すのに大きな 役割を果たしていると言って良いだろう。耽美ながらも要所要所で ダークさも出しており、憂いと絶望感が良く出ていると言って 良いだろう。ボーカルのSHIRALEE共々、女性人のルックスも まずまず良いし、そのクオリティも高い。[92]
アメリカのゴシック・ロック・バンドの1982年にリリースされた デビュー盤。元々、パンク・ロック辺りと近い音楽性を 有しているが、非常にアバンギャルドでおどろおどろしい サウンドを聴かせてくれている。非常に病的で狂気性を伴った 彼等のダークな音楽は、到底一般受けするものとは言えないし、 THE CULT等の様に、ハード・ロック等と通ずる部分もない。 ROZZ WILLIAMSの死にそうなよたよたとしたボーカルは、もっと 受け入れられないだろう。それでもStairs-Uncertain Journeyに おけるオリエンタル風のメロディ等は面白いと思うし、決して 駄作と言う訳ではないが、あくまでもアンダーグラウンド向きだ。 [70]
フィンランドのブラック・メタル・バンドの2年振りの 5thアルバム。音楽的にはこれまでの延長線上とも言える、 IN FLAMES型のメロディック・デス・メタル的なサウンドに、 ピロピロしたキーボードを入れると言うのが彼等のスタイルだが、 よりアップ・テンポでアグレッションを効かせた作品に 仕上げている。IN FLAMESがエクストリーム的なエッセンスを殺ぎ 落とし、拡散した方向に向かう事によって、より普遍化した方向へ 進もうとしているのとは対照的に、パワー・メタル的な要素をより 強める事で、エクストリーム的な部分を残したまま普遍化を 図ろうとしている様に思える。攻撃的なサウンドを残し、楽曲の グレード・アップがなされており、IN FLAMESが物足りなく 感じなくなったファンには、むしろこの作品こそ望む 姿ではないだろうか。[89]