デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 3rdアルバム。JACOB A.BINZERの独特の暖かみを感じさせる ギターの音色が非常に特色的で、カントリー、パンク・ロックと 言った思いもよらぬところから、幅広くエッセンスを取り入れた ハード・ロックだ。バンドの代表曲とも言える、 Sleeping My Day Awayを始め、独特の哀愁を感じさせるメロディは 中々味わい深い。Point Of View等、それなりの出来の 楽曲はあるのだが、あまりにもSleeping My Day Awayが飛び抜けた 名曲であったために、他の曲が霞んでしまっているのがこの バンドの不幸な所だったのかも知れない。[85]
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 4thアルバム。方向的には前作の延長線上ではあるが、より パンク・ロック色を強くした作品作りになっており、前作であった Sleeping My Day Awayの様な、哀愁を感じさせる部分は あまりなく、それを期待すると少し肩透かしを食らうかも 知れない。JACOB A.BINZERの独特のギターの音色も 健在ではあるが、前作より露出は少ない。その分、前作であった バラエティさは減少し、割と一本調子と感じられる部分も 大きくなった。楽曲の出来は決して悪くないが、前作と比べると 物足りなさを感じる作品だ。[80]
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの1993年に リリースされたデビュー盤。元MEGADETHのギタリスト、 CHRIS POLANDとその弟のMARK POLANDのPOLAND兄弟を中心とした バンドだ。特にCorporate Reign等、CHRIS POLANDがいた、初期 MEGADETHと言った感じのする部分もそれなりに顔を出して 来るものの、その方向性はもっと拡散し、MEGADETHとはだいぶ違う 趣となっている。アルタナティヴ・ロック的なシニカルな ヘヴィ・ロックをやったかと思うと複雑で難解な部分な 見せたりと、かなりプログレッシヴな感じのする作品に 仕上がっている。盛り上がりと言う意味では今一つかも 知れないが、中々味わいのあるアルバムだ。[83]
アメリカのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。その実態は、ソロで活躍していたボーカリスト、 TED NUGENT、元STYXのギタリスト、TOMMY SHAW、元NIGHT RANGERの ベーシスト、JACK BLADESと言うそうそうたるメンバーによる スーパー・バンドだ。Damn Yankeesの様な、勢いのある元気な ナンバーから、Come Againの様な叙情的な メロディアス・ナンバーまで、オーソドックスで幅広い ハード・ロックをやっている。TOMMY SHAWがいるだけあって、 STYX風のナンバーが入ってきている辺りが、幅の広がりを 持たせていると言って良いだろう。楽曲の出来も、演奏的にも中々 良いアルバムに仕上がっている辺りはさすがだ。[83]
アメリカのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には前作の延長線上と言えるものだが、より アメリカン・ハード・ロック然とした作品に仕上がっている。 もちろん、TOMMY SHAWのアメリカン・プログレッシヴ・ハード的な STYX風のエッセンスが全くなくなってしまった訳ではないが、そう 言った部分がアメリカン・ハード・ロック的な部分にうまく 融合した様に感じられる。楽曲の出来も悪くないし、特に コーラスの付け方が素晴らしい。演奏的には、さすが ベテランだけあってそつはないし、中々味わい深い作品だ。[84]
アメリカのハード・ロック・バンドの1989年にリリースされた デビュー盤。元WHITE LION、TALASのBRUNO RAVEL等を中心とした バンドだ。ボーカルにはPROPHETのドラマーだった、TED POLEYが 参加している。TED POLEYのボーカルは、特別うまいと言う 訳ではないが、味わいのある透ったボーカルで悪くない。 楽曲によっては、初期BON JOVIの楽曲をもっと産業ロック風に アレンジした様な楽曲もあって、中々質の高いアルバムに 仕上がっている。エッヂのたった、キャッチーなメロディの ハード・ロックで、PROPHETやBON JOVIが好きならば結構 いけるはずだ。[84]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた デビュー盤。方向的には、いわゆるハード・ロックンロールだが、 ドライヴ感があって破天荒な印象を受ける。特に特徴的なのが、 JASON McMASTERのボーカルで、耳障りとも言える程甲高い ボーカルで、これが妙にサウンドにフィットしている。 曲によっては、まだまだ出来が甘いと思える楽曲もあるが、 グルーヴ感があって、一気に聴かせてしまうようなエナジーを 感じる所は素直に素晴らしいと思える。独特のスタイルを生まれ 持っていて、非常に面白い素材だと思えるバンドだ。[84]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には、前作でのドライヴ感溢れる ハード・ロックンロール的な方向の延長線上で、そのスタイルを 完成させたと言っても過言ではない作品だ。特にGunfighter等は グルーヴ感が全編に満ちており、全編に渡って、 アドリブではないかと思わせる様な即興的な勢いとのりの良さを 味あわせてくれる。JASON McMASTERのヒステリックとも言える様な ボーカルが、バンドのこう言った音楽性に大きな貢献をしている。 楽曲の出来も良いし、前作の良さに更に磨きがかかって、傑作と 言っても過言ではない高みにまで達している。[90]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 3rdアルバム。これまであったグラマラスさがなくなり、 すっきりした感じを受けるアルバムに仕上がっている。その分 破天荒さがなくなり、グルーヴィさも 感じられなくなってしまっている。せっかくの持ち味であるこう 言った部分を、みすみす殺してしまっているのは遺憾ともし難い。 楽曲自体の出来は、傑作であった前作に及ばずとも、悪くない 出来だけに惜しい作品だ。もっとぶち切れたのりこそ、この バンドに相応しいと思うのだが。決して悪いアルバムではないが、 前作の出来を思うと寂しい作品だ。[83]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。ハード・コア・パンク・バンド、MISFITSの中心 人物だったGLENN DANZIGが結成したバンドで、MISFITSらしい ハード・コアさがまだ見える作品だが、その後はっきりと打ち 出されるTHE DOORS的なエッセンスも十分感じられるアルバムに 仕上がっている。THE DOORSをMISFITS風にやってみたと言う 感じがあって、いわゆるヘヴィ・メタルとは少し趣が違うのだが、 これこそがこのバンドの持ち味と言って良いだろう。かなり 独自色の強い作品で、聴く人間を選ぶだろうが、出来は悪くない。 [82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3rdアルバム。元MISFITSのGLENN DANZIGが、その音楽から脱却し、 自らの音楽性を立脚した作品とも言えるアルバムだ。かなり ヘヴィ・メタル的な色合いが濃くなっており、そのサウンドは ダークでドゥーミィだ。THE DOORS的なメロディ・ラインと ボーカル・スタイルは相変わらずで、これらがあいまって独自の 音楽性を表現するに至っている。言わばBLACK SABBATHと THE DOORSを併せて2で割った様な作品で、非常にユニークで 面白い。GIGERの描くジャケットは、そのおどろおどろしい音楽を うまく引き立てている。[87]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた ミニ・アルバム。来日記念の企画盤で、新曲3曲とライヴ4曲の 変則的な構成となっている。新曲は3rdアルバムで築いた THE DOORS的なサウンドのダークな方向性を引き継いでいるが、 よりハードな方向を打ち出しており、雰囲気よりグルーヴィさを 重視した形となっている。その分、アルバムであった刹那的な 雰囲気がやや和らいでおり、痛しかゆしと言った感じだ。 楽曲的には、平均的で、特に良くも悪くもないが、 GLENN DANZIGらしい楽曲ではある。ライヴの方は、演奏、 音質的には不満はないのだが、尺的に短すぎ、途中でぶち 切られており、ストレスが溜まるところだ。[79]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 4thアルバム。前作で見せていた極端なTHE DOORS性はここでも引き 継がれ、GLENN DANZIGの歌唱法は非常にJIM MORISON的だ。より メロディを全面に押し出し、叙情的な作品となっているが、その ダークさは失われる事なく維持され、非常にアンダーグラウンド 的な匂いの強いアルバムに仕上がっている。デジタル的な Sadistikal等は、非常に不気味なナンバーで、いかにも GLENN DANZIGらしい暗黒面を見せている。サウンド的には、前作で 完成しているので、新たな驚きと言ったものは少ないが、 クオリティは決して劣っていない。[83]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた デビュー盤。N.W.O.B.H.M.華やかりし頃に登場し、如何にも N.W.O.B.H.M.と言ったデビュー・シングル、Lady Of Marsで一躍 名を轟かせた。Lady Of Marsはこのアルバムにも収められており、 確かに名曲と言うに相応しい素晴らしい楽曲なのだが、それ以外の 曲となると、悪くはないのだが今一つぱっとしない感じだ。 デビュー・シングル以降、急激に失速していったのも何となく 頷けるものがある。結局、最初に名曲を作ってしまったために、 あまりにも過剰な期待を受けたのがこのバンドの 不幸なところだったのだろう。ボーナス・トラックとして 未発表曲を4曲の他、Lady Of Marsの12インチ・シングルに 収録されていたRock 'N' Romancin'とRenegadeが収められており、 お得だ。ただ、ボーナス・トラックを途中途中で差し挟んで 来るのは興が殺がれるが。[82]
元VAN HALENのアメリカ人ボーカリストによる1994年に リリースされた4thソロ・アルバム。方向的には、如何にも 彼らしいゴージャスなお祭り騒ぎのようなBig Trainと言った 楽曲もあるが、全体的にややシンプルな感じのする アレンジになっている。Experience等はブルージィでしんみりした 感じで、David Lee Rothのボーカルのゴージャスさがより 誇張されている様に思える。Yankee RoseやJust Like Paradaiseと 言ったヒット曲の様な、核となる楽曲がないのは残念だが、十分 彼らしさは出ているアルバムではある。[80]
アメリカ人ギタリストの1991年にリリースされた 3rdソロ・アルバム。とは言っても、自らのバンド名義、 CHASTAINやC.J.S.S.での活動もある訳で、リリースしている アルバムは既に8枚目だ。方向的はソロ・アルバムらしく、 いわゆるギター・インストルゥーメンタルな訳だが、この 手のものとしては最もヘヴィ・メタル的な色合いを強く出している アルバムだと言って良いだろう。当然彼のテクニック満載の楽曲が 並んでいる訳だが、めりはりがあって中々聴きごたえのある アルバムに仕上がっている。楽曲としての出来が割合良いので、 単なるテクニック垂れ流しの作品に終わっていないのが好感が 持てる作品だ。[83]
ノルウェイのハード・ポップ・バンドの1987年にリリースされた デビュー盤。爽やかでキャッチーなメロディの ハード・ポップだが、GUNNAR WESTLIEのギターは意外と結構 ハードでエッヂが立っていて良い感じだ。明るく軽やかな メロディの中にも北欧らしい叙情さを感じさせてくれる。 しっとりとした、やや落ち着いた感じのハード・ポップは 聴いていて心地良い。特別これと言った楽曲はないが、平均的に 良く出来ていて、安心して聴いていられる作品だ。LARS AASSの ボーカルも、軽やかで透っていてサウンドにあっている。[81]
ノルウェイのハード・ポップ・バンドの1989年にリリースされた 2ndアルバム。元々、GUNNAR WESTLIEのギター・サウンド等 ハードなところがあったバンドだが、この作品ではそう言った 部分が更に強く打ち出されている。全体的に音像がハードになり、 彼等のキャッチーなメロディー・センスと結びつき、 めりはりのあるハード・ポップ作品に仕上がっている。洗練された 楽曲の出来は悪くないし、中々聴きごたえのあるアルバムに 仕上がっている。美しい楽曲に厚いコーラスが良く合っているし、 爽快で聴いていて気持ちが良い。Turn Down The Lightの様な、 適度に湿り気を持った楽曲が入っているのも一本調子にならなくて 良い具合だ。[83]
北欧ブラック・メタルの恐らくデビュー盤。どういう いきさつがあったのか良く判らないが、何故か韓国の新興レーベル 第一弾としてリリースされている。これぞまさに ブラック・メタルというようなこの手でももっともヒステリックな 金切り声には少し耐えがたい。メロディックな部分と グラインド・コアな部分が織り混じった楽曲でそれほど 聴き辛くはなく、EMPERRORなどに近い。楽曲はラストを除き、 どれも同じような感じで変化がなく面白味に欠け、印象に 残りにくい。ラストのYggdrasils Children Fallは16分という 史上最強(?)の長大作組み曲になっていて多少聴きごたえがある。 曲はそれなりだが印象に残りにくい。[83]
イギリス出身のハード・ポップ・バンドでおそらくデビュー盤。 LOMG ISLAND RECORDSのアーティストとは思えない様な おどろおどろしいジャケットだが、中身の方はこのレーベルの バンドらしい、優しいポップなサウンドだ。サックスや キーボードをフューチャーしたポンプ・ロック的な 産業ロックとでも言えば良いだろうか。非常にポップで軽いので、 軽いサウンドが駄目な人はやめた方が良いだろう。 Breaking My Heartのキーボードの使い方などはなかなか 素晴らしいし、ポップでメロディー・センス溢れた作品ではある。 [82]
スウェーデンのハード・ロック・バンドのデビュー盤。北欧の バンドらしい洗練されたメロディであると同時に、ブルージィで アメリカっぽいエッヂの効いたワイルドなサウンドを併せて 聴かせてくれている。西海岸風の明るく、元気の良い破天荒な 楽曲ながら、キャッチーなメロディを内包し、MR.BIG的な 部分もある。若干ブルージィな部分があるものの、全体に メリハリが良く効いていて聴きごたえがある。北欧メタルの バンドにしてはかなりヘヴィなサウンド作りで、ノリは良いし、 中々良いアルバムに仕上がっている。[85]
スウェーデンの メロディック・デス/スラッシュ・メタル・バンドの ミニ・アルバム。ボーカルはいわゆるデス・ボイスだがバックは ブラスト・ビートも出てくるものの、全体的にメロディアスな スラッシュ・メタルという感じで、これが中々出来が良い。楽曲の 出来同様、演奏もかなりクオリティの高い作品となっている。 ボーカルはだみ声のデス・ボイスだが、それほど気になる タイプではない。スラッシュ・メタルが寂しい昨今ではこの バンドの存在は貴重で、下手なスラッシュ・バンドよりよほど スラッシュらしい。そこに北欧らしい叙情的で扇情的なメロディが 絡み、その暴虐さと憂いが一体となったサウンドは素晴らしい。 [84]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。方向的にはミニ・アルバム、 OF CHAOS AND ETERNAL NIGHTの延長線上ではあるが、より メロディアスで叙情的である。スラッシュ・メタル的なセンスも 持ったバンドであり、ボーナス・トラックの My friend Of Miseryの選曲はまさに言い得て妙なはずなのだが、 実は本編より面白くない。ボーカリストのいないIN FLAMESの LUNAR STRAINで、ヘルプとして参加していたMIKAEL STANNEが ギタリストから転向してパワフルなデス・ボイスを 聴かせてくれている。ゲスト参加の女性ボーカリスト、 EVA MARIE LARSSONも中々良い味を出しているし、 アコースティックの導入等も絶品だ。他の メロディック・デス・メタル・バンドの様に単にメロディだけに 走るのではなく、ブルータルな部分も持ち合わせているところが 好感を持てるしインパクトを与えている。楽曲の構成も良く、曲 自体がまた素晴らしいし、北欧デス・メタルの最高傑作アルバムと 言っても良い出来だ。[94]
アメリカのハード・ロック・バンドの約5年振りとなる 3rdアルバム。契約問題等で活動停止し、その間ボーカルの TED POLEYが脱退、自らのバンドBONE MACHINEを結成するなど、 その存在が心配されたが、こうして無事アルバムを発表した。 BRUNO RAVELとSTEVE WESTのバンドとは言え、TED POLEYと ANDI TIMMONSと言うメロディを担う2人が居ないわけで、その 音楽性に変化があったとしても不思議はないだろう。新しい ボーカリストとして、最近2ndアルバムをリリースしたカナダ人の PAUL LAINEが加入している。彼が6年前に発表している ソロ・アルバムではBON JOVI的な系統であったので、方向的には 大きな変更がないのではないかと期待したが、実際にはかなり ヘヴィでダークな方向へと転換している。時代的にはこういう 方向へと進むバンドが散見される訳だが、その良質の ポップ・センス溢れる、デビュー当時のファンからすると 肩透かしを食らうことになるだろう。[73]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。 方向的にはEMPERORと同じタイプで、疾走するブラスト・ビートに 叙情的で荒涼感漂うメロディが絡んで来る。THEMGOROTHの ブラック・メタル・ボイスは、歪んだスクリーミングで強烈だが、 聴きがたいと言う程のものではない。とにかく初めから終わりまで ブラスト・ビートが延々と続くので、スピード的に変化が少なく、 どうしても単調に感じられるが、メロディはそれなりにはっきりと 打ち出されているし、この手のもので最も問題になるであろう、 リズム感がちゃんとしているし、聴き易い方だと言って 良いだろう。[79]
詳細は良く判らないが、恐らくドイツの メロディック・デス・メタル・バンドのミニ・アルバム。ダミ声の デス・ボイスだがある程度歌メロは存在している物の、かなり 凶悪で、はまったときは実に格好良いのだが、全てそうだとは 言い切れない。クリア・ボイスも少しだが織り混ぜているが、 これは結構良い出来だ。楽曲はもろにパワー・メタル系で、 導入部のイントロは不安を誘うが、実際は悪くない。 ギター・メロディが実にヘヴィで格好良く、ときに扇情的で 全体的に総じて悪くない。[81]
詳細は良く判らないがアメリカのシンガー・ソング・ライターの ソロ・アルバム。ハードでソリッドなアメリカン・ロックだが、 ヘヴィ・メタル系ではおなじみのメンバーが多数参加している。 ギターには元ALICE COOPERのKANE ROBERTS、REB BEACH、 MICHAEL LANDAU、MICHAEL THOMPSONやソング・ライティングでは DESMOND CHILD、先頃ソロ・アルバムを発表したMARK SPIRO等の 名前がクレジットに見える。素朴でアダルトな曲が並ぶが、 味付けは結構ハードだし、DAN LUCASの力強い歌唱も一層その感を 強くしている。全般的に良く出来た味のある良質の ロック・アルバムだ。[84]
アメリカのロック・バンドの10年ぶりとなる4thアルバム。 方向的には、良く整った産業ロック風のAORと言った感じの アルバムで、一昔前のヒット曲といった様な楽曲が並んでいる。 全体的に爽やかなサウンドで、しっとり落ち着いたものから軽快な ナンバーまで彩りも豊かだ。アレンジもしっかりしていて完成度も 高いし、落ち着いてじっくり聴けるアルバムだ。ややキーボードが 前に出過ぎているなと思える事もなきにしもあらずだが、彼等の メロディ・センスの良さが出ているし、コーラスも良い案配で 中々良く出来た素晴らしい作品に仕上がっている。[88]
GLENN DANZIG率いるアメリカのロック・バンドの5thアルバム。 方向的には、THE DOORS的なサウンドの一風変わったサウンドで カテゴライズも形容が難しいバンドだが、個性としてそれが確立 出来ている。楽曲にもよるのだが、このアルバムではかなり方向 転換しており、元々ダークでボーカルを全面的に押し出した サウンドだったのだが、インダストリアル的な部分や、うねりを 感じる様な楽曲もある。特に7th House等がそれで、これまでの ファンからすると、かなり違和感を感じるはずだ。こう言う部分が ヘヴィさを醸し出しているのだが、その分全体的な印象は 希薄になった感じがする。[82]
アメリカのシンガー・ソング・ライターのソロ・アルバム。 前作ではそれなりに名の通ったミュージシャンが曲作りや バック・ミュージシャンとして参加していたが、今作ではゲストと 言える参加者はなく、本当にソロと言う様な趣である。楽曲的には 前作よりおっとりとした曲が増えており、やや 地味さを感じさせるがメロディアスでキャッチーな ロック・アルバムになっている。アメリカのアーティストらしい からっとした雰囲気の作品で、前作ほどハードさはなく、 産業ロック的な作品である。エモーショナルなボーカルで、楽曲の 出来も十分評価できる。[84]
ANDERS LUNDEMARKと言うスウェーデン人ギタリストによる プロジェクト・バンドのデビュー盤。実質内容は30分弱で、実質は ミニ・アルバム程度の長さだ。内容はいわゆるグラインド・コア 系のデス・メタルと言えるもので、バックはかなりブルータルだ。 ドラムはENTOMBEDのNICKE ANDERSSONが叩いており、怒涛の ドラミングを聴かせてくれている。ブルータルな雰囲気を 持ちながらも、グルーヴィさを持っており、結構のりが 感じられる作品に仕上がっている。ANDERS LUNDEMARKの咆哮型の デス・ボイスは迫力がありながらも、結構聴きやすい。[78]
アメリカ人ボーカリスト兼ギタリストによるソロ作品で1987年に リリースされたミニ・アルバムをリミックスし直して、2曲 追加の上リリースし直したもの。叙情的で哀愁溢れるメロディに ヘヴィなサウンドは中々格好の良い作品だ。プロダクションが しょぼいのはいかんともしがたいが、楽曲自体は割と良い 出来だ。DAVID NEIL CLINEのボーカルはエキセントリックで お世辞にもうまいといえる代物ではなく、なんとなく N.W.O.B.H.M.時代のボーカリストを思い起こさせる。素材自体は 割と光るものがあるので、良い環境でアルバムを 作らせてみたかった様な気はする。[81]
元RADIO MOSCOWのギタリスト、TIM MANFORD率いるイギリスの ハード・ロック・バンドのデビュー盤。ボーカルはSUE WILLETSと 言う女性ボーカリストで、彼女のANN WILSONをやや軟弱にした 感じのボーカルに、楽曲の内容もかなりポップな作りで、後期 HEARTを思い起こさせる部分が多分にある。かなり洗練された キャッチーなメロディで、爽やかで清廉な楽曲が連なっている。 プロダクションもしっかりしており、楽曲の出来も十分納得 出来るだけのものなので、こういった作品が好きな人は安心して 聴けるだろう。それ故にバンドとしてこれといったものも 感じないが。[82]
ドイツのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。とはいうものの耽美さはほとんどなく、 女性ボーカルを入れたりしているが、ゴシック色は非常に薄い。 どちらかといえばパワー・メタル的な作品であり、RAGE的な 雰囲気が非常に強い。特にSTEFAN HERTRICHのボーカルは PEAVYそのもので、楽曲もアップ・テンポ中心でその 雰囲気がある。エクストリーム的な作品とはあまり思えないし、 そう捉える必要もないだろう。楽曲はもとより叙情的なのだが、 そう言った部分をかなり強く押し出したりとやや変化がある。 楽曲の出来を始め、全体的に良く出来た作品だ。[89]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。もはやこの手では代表格ともいえるバンドだし、 それに違わぬ出来の作品だ。非常に扇情的で格好の良い ドラマティックな楽曲で、Insanity's Crescendo等で聴かれる 哀愁のメロディも悪くない。重厚で激しい印象的なメロディに 咆哮型のデス・ボイスが良くあっている。楽曲の完成度、演奏、 プロダクション、どれをとっても素晴らしい完成度だ。 The Mind's Eyeで耽美に締めるのも非常に好感が持てる。その後に 続くボーナス・トラックも、バンドの方向性とは異にする、 インダストリアル風のArchtypeを除けば良い出来だ。[90]
元VAN HALENのボーカリストによる、ソロ作品の ベスト・アルバム。VAN HALEN脱退前にリリースされた ミニ・アルバムCRAZY FROM THE HEATはボーカルものとしての 色合いが濃く、ハード・ロック色はないロック・アルバムで、 ここからは最大のヒット曲CALIFORNIA GIRLSを生み出したが、 その後のVAN HALEN的な色合いのハード・ロック色を出した 活動においてはSTEVE VAIとBILLY SHEANという2大巨頭を 擁していた、初のフル・アルバムの頃だ。その後はSAMMY HAGARを 加えたVAN HALENとは対照的にパワー・ダウンしていった。今、 聴いてもショーマン・シップの強いエンターテイメント 作品である事は強く感じられる。[80]
カナダ人ボーカリスト兼ギタリスト率いるバンドの2ndアルバム。 かつてSTEVE VAIでボーカルを取っていたミュージシャンで、 それらしい独創的な音楽スタイルを聴かせてくれている。 あまりにも濃密な音の洪水は、圧倒されるばかりだが、今作では バンドの形態を取るにあたって、元DEATHのGENEが加入しており、 更にパワー・アップしている。とにかくヘヴィでノイジィで 金属的な音を詰め込んで、疾走する様は 唖然とさせられるばかりだ。DEVIN TOWSENDのシャウトしまくる ボーカルもあって実に破壊的で、逆に爽快感すら感じるくらいだ。 オリジナリティも豊かで、中々凄い作品だ。[87]
アメリカのメロディアス・ハード・ロック・バンドの 4thアルバム。ANDI TIMMONSやKASEY SMITHと言ったバンドを 離れていった旧来のメンバーがゲスト参加している。元々 キャッチーなメロディを身上としていたバンドだったが、前作では メンバー・チェンジを経て、かなりヘヴィな作品 作りになっていたため、旧来のファンが期待していた様なものとは かけ離れた作品になっていた。今作ではかなりキャッチーな メロディの楽曲が主体となっているが、初期の頃に 戻ったというような印象はない。楽曲によっては BON JOVIっぽいものもあるが、これはやはりPAUL LAINEが 参加している事が大きいだろう。出来自体はめりはりもあって、 楽曲も良いし、悪くない作品だ。[83]
アメリカのハード・ポップ・バンドの4thアルバム。1980年に デビューし、1986年に解散するまでに3枚のアルバムを リリースし、1996年に3rdアルバム、LOST TRACKSを焼き直した アルバム、MR.LUCKYを発表し、満を持しての新作だ。オリジナルの ギタリストのBILL KERRYは今回の再結成では参加せず、 ベーシストのJERRY G.HLUDZIKが実権を握っているようだ。AOR的な 色合いを感じさせてくれる、憂いを帯びた、叙情的でキャッチーな メロディで構成されており、JERRY G.HLUDZIKの端正でクールな ボーカルはAOR的な香りをより強くしている。ジャズ風のピアノも 意外にバンドの色合いに合っている。ポップだが結構ハードな 部分もあり、派手さはないものの、美しく、心に染み入る作品だ。 [84]
復活したアメリカのハード・ロック・バンド、Y&Tのボーカル兼 ギタリストによる初のソロ・アルバム。Y&Tとはまた方向性が少し 違い、ブルーズ・ロックに仕上げられている。ただし、 Take It Like A Man等のような、泣きのメロディのバラードなどは いかにも彼らしい感性に溢れている。エモーショナルで、泣きの ギターにはぞくぞくとくるものがある。ソロ・アルバムという 事で、バンドとは方向性をやや変えて、自分のやりたい事を言う 訳なのだろう。雰囲気的にはまだ初期Y&Tの方が近いと言う 感じもするのはやはり泣きのギターのためだろう。このギターを 聴くだけでも十分価値があると言っても良い。[83]
元THIN LIZZYのキーボード、DARREN WHARTON率いるイギリスの ハード・ロック・バンドの7年振りの3rdアルバム。前作までの ギタリストVINNY BURNESが、今はTENにいる事を考えると時の 流れと言うものを感じずにはいられない。しかし、 DARREN WHARTONの甘く美しい、哀愁のメロディは変わることなく ここに体言されている。AOR的な落ち着いたサウンドだが、この 幻想的であまりにも哀愁たっぷりの世界は非常に美しい。楽曲の 出来、プロダクション、DARREN WHARTONのボーカルとも実に良く マッチしており、かなり地味さを感じさせる作品だが、心に染み 入るこのメロディ・センスは素晴らしいと言う他ない。 THIN LIZZYのカバー、Still In Love With Youも実に彼らしい 仕上がりだ。哀愁のポップ・メロディが好きならば聴いて 損はない。[91]
POWER / DANIEL L.DALLEY アメリカのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンド、POWERの ギタリストによる1990年にリリースされたソロ・アルバム。 いわゆるギター・インストルゥメンタルで速弾きを 披露しているのだが、楽曲は割とメタル然としていてのりはまぁ 良い。10分強のPower Suite:Movement #2等、全体的に長めの曲が 多いのだが、速弾きの中にも泣きのギター・メロディを織り 交ぜるなど、それなりに飽きさせないような作品に 仕上がっている。POWERの様なプログレッシヴさは全くなくて、 確固としたギターものアルバムと言って良いだろう。演奏は 左程でもないし、プロダクションも悪いが、楽曲の出来は 悪くないし、意外と面白いアルバムに仕上がっている。[82]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。 スクリーミングにブラスト・ビート、そしてその中に織り込まれる ギター・メロディ、白塗りの化粧と正に方向的には ブラック・メタルの王道を行っていると言って良いだろう。 このブルータリティと寂寥感のあるメロディは、MARDUKと言った ブラック・メタルが好きならば受け入れられるはずだ。楽曲の 出来、プロダクション、そしてそのテンションとどれを取っても この系統の作品としては抜きんでたアルバムだと言って 良いだろう。強烈なスクリーミングが圧迫感を増していて 息苦しさを感じるほどだ。[85]
詳細は全く不明だが、恐らくアメリカ人ボーカリストの1996年に リリースされたソロ・アルバムだろう。キャッチーなメロディの 爽やかなアメリカン・ハード・ロックで、単に売れ線と言う 訳ではなく、それなりにハードな部分もある。渇いた感じのする 叙情的で明るいメロディは、飛び抜けた部分はないものの、出来 自体は悪くない。DAVIT VESTのボーカルは、低音部でややこもった 感じがするのが残念だが、中音部以上では伸びやかで透った声を 聴かせてくれており、全体的な作品イメージには合っている。 楽曲の出来も悪くないのだが、これと言った曲がないため、少し 物足りなく感じなくもない。[81]
アメリカのハード・ロック・バンド、VELOCITYの ボーカリストによる初のソロ・アルバム。方向的にはいわゆる 叙情的なアメリカン・ハード・ロックで、VELOCITYの方向性に 近いと言って良いだろう。VELOCITYよりは更に軽快で、爽やかな サウンドで、キャッチーなアルバムに仕上がっている。元々は 1991年に自主制作で作られたアルバムだが、打ち込みだった ドラムを生の音に取り直して、リミックスが施されている。この ドラムを除いて、他のパートは全てDAVID VICTORが プレイしている。やや荒っぽい作りと言う感じも受けるが、楽曲の 出来もまずまずだし、DAVID VICTORのボーカルもパワフルで 悪くないアルバムだ。[78]
元ARCH ENEMY、ARMAGEDONのドラマー、PETER WILDOREを 中心とする、スウェーデンの メロディック・デス・メタル・バンドのデビュー盤。 PETER WILDOREの経歴が物語るとおり、方向的には スラッシュ・メタル型のメロディック・デス・メタルだ。 スクリーミングにも近い、LAWRENCE MACKRORYのデス・ボイスの 咆哮は強烈で、ただただ圧倒される。バックの激しいサウンドが あいまって、破壊力は十分だし、PETER WILDOREのタイトな ドラムを始め、CHRISTOFFER MALMSTROM、KLAS IDEBERGと言う2人の ギタリストも良い仕事をしている。バイオリンを入れたり、 アコースティック・パートを持ってきたりと、それなりに抑揚も 付けている。楽曲は今一つ練り込み不足で、混沌とした感じを 受けるのは残念だが。[81]
ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの1996年にリリースされた アルバム。方向的には、正統派メロディアス・ヘヴィ・メタルと 呼べるもので、これが中々良い出来だ。MARIO LINHARESの ボーカルは、ヒスパニック語圏系の独特の語感が所々顔を 出したり、演奏、楽曲にもまだまだ洗練されていない芋臭さが 感じられる部分が多々あるが、それを割り引いても十分評価に 値する。特にARMAGEDDONはメロディ、展開と中々の佳曲だし、他の 楽曲もそれに劣らず素晴らしい。非常に メロディアスでありながらも、決してキャッチーになり過ぎず、 ヘヴィ・メタル然としているところは好感が持てる。 MARIO LINHARESのボーカルもパワフルでありながら、高音は きちんと出ているし、透った声質が楽曲に合っている。掘り出し 物と言って良い素晴らしい作品で、洗練されてくればかなりの 傑作を作ってくれそうな期待を抱かせてくれる。[93]
アメリカのテクニカル・ロック・バンドのデビュー盤。楽曲はこの 手のものとしてはかなり聴き易い方で、プログレッシヴ・メタルと 言っても良い様なアルバムだ。特に歌メロの辺りではかなり流麗な 感じがする作品で、間奏の部分でようやく変則的な テクニカル・ロックらしさを見せてくる。その分、 テクニカル・ロックのファンからすると、かなり大人し目と言う 印象を受けるかも知れない。逆に、メロディアスな ヘヴィ・メタルのファンにはかなり聴き易いアルバムだろう。特に PATRICK REYESのギターは、かなりネオ・クラシカル的な感じを 見せる事があるので尚更だ。[83]
ドイツのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。前作では非常にRAGE的な部分を見せていたが、 今作ではよりゴシック・メタル色の強い作品になって来ている。 STEFANのボーカルは、だみ声的な部分では、相変わらずPEAVYを 連想させるが、今作ではよりクリア・ボイスを中心にしており、 作品の方向性には合っている。ゴシック・メタル色が 強くなったため、より耽美で、愁いを帯び、落ち着いた感じの サウンドになっている。とは言っても、元々の方向性もあって、 それでもかなりメタル色が濃い。さすがに、やや地味になった 感はいがめないが、メランコリックなメロディも良いし、中々良い アルバムに仕上がっている。[85]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの5年振りの2ndアルバム。 前作では、アメリカ的なブルージィさも若干感じるような 作品であったが、今作ではブルージィな部分はかなり削げ落ち、 より叙情的なメロディ主体の作品作りになっている。キャッチーな メロディは非常に洗練されており、その完成度は非常に高い。 前作に比べると、幾分落ち着いた感じもするが、それでも十分 エッヂが効いていて、勢いが感じられる。叙情的な メロディではあるが、かなりアメリカナイズされたもので、それ程 北欧的な感じはしない。楽曲の出来は素晴らしいし、全体的に良く 出来た作品だが、今一つプロダクションのバランスが悪いように 感じられるのは残念だ。[84]
詳細は全く不明だが、恐らくオランダのヘヴィ・メタル・バンドの アルバム。方向的には、初期LACRIMOSA型のシアトリカルな ニュー・ウェーブ系ゴシック・メタルだ。キーボードを全面的に 押し出したサウンドにシアトリカルで淡々としたクリア・ボイスの ボーカルが冷え冷えとした雰囲気を作り上げている。バックは かなりテンポが良いので、この淡々としたボーカルでもそれなりに 勢いを感じられる作品に仕上がっている。耽美さや荘厳さと 言ったものは全く感じられないが、独自の世界観はある。ただ、 今一つめりはりに欠けるため、アルバムを通して聴いていると 飽きが来るのは確かだ。[82]
詳細は全く不明だが、恐らくポーランドの ゴシック/シンフォニック・ブラック・メタル・バンドの アルバム。IN THE FLAMES OF BLACK ARTと題したアルバムに IN THE OPIUM OF BLACK VEILと題したミニ・アルバムを パッケージしたボックス・セットだ。DARZAMATHがボーカルを除く 全てのパートを担当し、ボーカルが2人と言う変則的な 編成になっている。シンフォニック・ブラックらしい大仰で沈み 込むようなキーボードが前面に配されている。この 手のものとしてはそれなりにギターを押し出して、フックのある 作品に仕上がっている。女性ボーカルと ブラック・メタル・ボイスのツイン・ボーカルで、 ゴシック・メタルの耽美な部分と、シンフォニック・ブラックの 不気味さがミックスされており、独特の雰囲気を作り上げている。 [80]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 4thアルバム。これまでは、どちらかと言うとスラッシュ・メタル 型の、速いメロディック・デス・メタルだったのだが、今作では かなりメロディを強く打ち出した作品となっており、Auctionedと 言った楽曲によっては、ゴシック・メタルと言って良いものに 仕上がっている。これまでのデス・ボイス一辺倒から、男性 クリア・ボイスや女性ボーカルも交えたものになっており、 これまでとは大きく変化していると言って良いだろう。特に クリア・ボイスの入れ方が、DEPECHE MODE的でユニークだ。こう 言った変化が、これまでのファンにどれだけ受け入れられるかは 疑問だが、このアルバムだけを取れば、傑作と言えるだけの 作品だ。[91]
アメリカ人ミュージシャンのデビュー盤。全てのパートを1人で 演奏と、まさしくソロ・アルバムと呼べる作品だ。方向的には 愁いを帯びた、叙情的でポップなアメリカン・ハード・ロックで、 実に美しい楽曲が揃っている。全体的な演奏も素晴らしいし、 特にギター・プレイは一聴の価値はある。ボーカルがややぼやけた 感じがするために、もう少しクリアに録音した方が 良かったのではないかと思えるが、決して酷いと言う レベルではない。キャッチーなメロディはつぼをついているし、 メロディ・センスは非常に素晴らしいので、安心して 聴いていられる。哀愁のアメリカン・ハード・ロックが 好きならば、聴いて損はないはずだ。[84]
イギリスのハード・ポップ・バンドの2ndアルバム。女性 ボーカリスト、SUE WILLETSを擁した、元RADIO MOSCOWの TIM MANFORDを中心としたバンドで、彼女の高音の伸びやかな ボーカルが、TIM MANFORDの書くキャッチーなハード・ナンバーに 良く合っている。愁いの感じられる叙情的なメロディは中々良い 出来で、じっくりと聴かせてくれるアルバムだ。アップ・テンポの ナンバーも在り来たりではあるが、その出来は決して悪くない。 ポップ過ぎた前作と比べると、かなりハードな作品になっており、 臨揚感のある聴きごたえのある作品に仕上がっている。[83]
アメリカのハード・ロック・バンド、VAN HALENの初代 ボーカリストによる1986年にリリースされた、VAN HALEN脱退後の 初のソロ・アルバム。自己中心的な性格によるメンバー間の軋轢、 ソロ・ミニ・アルバム、CRAZY FROM THE HEATの成功により自信を 深めた結果であろうが、如何にもその彼らしいゴージャスな作品に 仕上がっている。メンバーにはSTEVE VAI、BILLY SHEEHANと言う 名うてのミュージシャンを集めている辺りにも話題性だけでなく、 彼の自己顕示欲みたいなものを感じる。ただ、さすがこれだけの メンバーが集まっただけの出来に仕上がっているし、それだけの 成功も収めているのは確かだ。シングル・ヒットした YANKEE ROSEのボーカルとSTEVE VAIの喋るギターは必聴ものと 言って良いだろう。[84]
アメリカのハード・ロック・バンド、VAN HALENの 元ボーカリストによる1988年にリリースされた2ndアルバム。 このアルバムを持って崩壊するが、STEVE VAI、BILLY SHEEHAN、 GREGG BISSONETTEと言うデビュー盤と同じ、強烈な布陣で 作成されている。Just Like Paradise等、中々良い楽曲はあるが、 デビュー盤でのYankee Roseの様な、強烈に印象に残る楽曲は 残念ながらない。その分、前作と比べるとやや小粒な感じを 受けるが、出来自体は悪くない。彼らしい、陽気でゴージャスさは 十分感じられるので、ファンならばある程度納得出来る アルバムだろう。[82]
デンマークのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた ライヴ盤。アルバム・タイトルが示す通り、大阪での来日公演の 模様を収めたものだ。しかし、何とも中途半端な形で、収録曲が 7曲だけで、それが全て、NO FUEL LEFT FOR THE PILGRIMSからの 楽曲だけだと言うかなり変則的な構成になっている。もちろん NO FUEL LEFT FOR THE PILGRIMSが一番馴染みの深い作品である 事は認めるところだが、それにしても楽曲の出来には差があるし、 何故わざわざこう言う構成にしたのかは非常に謎だ。ライヴの 臨揚感も今一つだし、少しのり切れない 作品となってしまっているのは残念だ。[80]
詳細は全く不明だが、恐らくドイツの プログレッシヴ・メタル・バンドのアルバム。この 手のものとしては、最もダークと言える様なサウンドで、かなり 陰鬱なアルバムに仕上がっている。楽曲によっては、 ゴシック・メタル的な耽美的な雰囲気があったり、 メロディック・デス・メタル的であったりする。だが、むしろ Yours And Mineのイントロダクション様な、扇情的なメロディこそ むしろ魅力がある。非常にダークで重苦しい雰囲気に満たされた アルバムで、独自の色合いがあるが、あまりにも地味すぎる様な 印象が拭えない。[79]
スウェーデンのデス・メタル・バンド、KONKHRAのボーカリスト、 ANDERS LUNDEMARKによるプロジェクト・バンドの2ndアルバム。 方向的には前作の延長線上と言えるもので、スラッシュ・メタル 系のメロディック・デス・メタルと言ったところだ。かなり はっきりとメロディを強く打ち出しており、印象的なリフが 特徴的なアルバムに仕上がっている。スピードと パワーだけでなく、コアなメロディとリフ回しが中々良い味わいを 引き出している感じで、楽曲の出来も悪くない。 ANDERS LUNDEMARKのデス・ボイスはかなり強烈な咆哮だが、それ程 聴き難くはない。[81]
アメリカのハード・ロック・バンドの5thアルバム。ギタリストの ANDY TIMMONSもボーカリストのTED POLEYもバンドを去り、 BRUNO RAVELとSTEVE WESTと言うバンドの中心人物にPAUL LAINEを 加えた組み合わせになって3作目となるが、これまでが試行 錯誤とするならばやっと本来の持ち味を幾分取り戻した感じのする 作品だ。方向的には初期BON JOVIの明るい楽曲を取り揃えた様な 感じもする、叙情的なメロディのアメリカン・ハード・ロックだ。 She's Goneの様な愁いのある曲もあって悪くないが、全体的に かなりリラックスした雰囲気の作品で、もう少し昔の様に産業 ロックっぽくしても良かったのではと思えるが。[81]
詳細は全く不明だが、恐らくアメリカのヘヴィ・メタル・バンドの ミニ・アルバム。いつ頃リリースされたのかも判らないが、その 内容とプロダクションからして、恐らく1980年代の作品だろう。 明らかにN.W.O.B.H.M.に影響を受けたと感じさせる様な楽曲に、 チープなプロダクションは、N.W.O.B.H.M.ファンに 訴えるものがあるだろう。より流麗でメロディ中心の楽曲 作りがなされており、愁いが満ちたアルバムに仕上がっている。 バラードのLovin StrangersやFinding My Way、アップ・テンポの My Deepest Regretsを始め、素晴らしい楽曲がずらりと 並んでいる。TRESPASSやLEGENDが好きならば、この哀愁の メロディは受け入れられるに違いない。[90]
スウェーデンのハード・ロック・バンドの3rdアルバム。 方向的には前作の延長線上と言った感じの愁いを持った アメリカン・ハード・ロック的な作品で、叙情的なメロディは 非常に素晴らしい。キャッチーなメロディにエッヂのたっ たサウンドは、聴きごたえが十分あって中々格好の良い作品に 仕上がっている。THOMAS THORSENのボーカルは素晴らしく、 ソウルフルで表現力があって、楽曲の魅力をより引き出している。 捨て曲と言った感じの楽曲が無きにしもあらずだが、 Stonedcold Woman等と言った扇情的な楽曲は良い出来で、彼等の メロディ・センスの良さは良く伝わって来る。[84]
ドイツのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの 4thアルバム。これまでの路線をより先鋭化した作品で、非常に ヘヴィでメランコリックな作品に仕上がっている。初期にあった RAGE的な色合いは全くなくなっており、自己の音楽スタイルを 確立したと言って良いだろう。ボーカルはデス・ボイスとだみ声、 クリア・ボイスの3種類の声色を使い分けている。 主体となっているだみ声は、前作まではよりPEAVYぽかったが、 今作ではどちらかと言うとJAMES HEADFIELDS的な 節回しになっている。前作ではクリア・ボイスの比重が 高かったが、このクリア・ボイスは減退し、若干デス・ボイスも 復活している。非常に悲哀を感じさせる楽曲は秀逸で、ヘヴィな 音作りがフックを与えていて引き付けるものがある。[89]
詳細は全く不明だが、恐らくはオーストリアの シンフォニック・ゴシック・メタル・バンドのデビュー盤。 THARENとELISABETH TORISERと言う女性ボーカリストの ユニットだ。ドラムは恐らくリズム・マシンで、キーボートと女性 ボーカルだけで構成されている。非常にシンフォニック色の強い 作品で、キーボードとオーケストレーションをバックに女性 ボーカルが淡々と歌うと言う感じの作品だ。トラッド的な色合いが 濃く、非常にダークで叙情的で麗美な儚さを感じさせる作品に 仕上がっている。しかし、こう言った作品だけに当然盛り上がり 等なく、聴き流す程度なら良いが、集中して聴くには短い 時間ならばともかく、淡々と長時間聴かされると少し 厳しいものがある。[79]
アメリカのハード・ロック・バンド、VAINのボーカリストによる 初のソロ・アルバム。今やLANA LANEの従兄妹と言う事での方が 有名な様な気もするが、アルバムがお蔵入りになったりと、中々 苦労をして来た人だ。バンドのアルバム自体も出てのは5年も 前で、本当に久しぶりの音源と言える。メンバー自体もVAINと 変わらない基本構成に何人かゲストで参加していると言う感じで、 VAINとして作成したが、リリース出来ずに個人名義で 出したのではと言う感じもする。そのサウンドはVAINと変らず、 彼の微妙にビブラートする下手上手的な味わいのある歌唱も 相変わらずだ。退廃的で気だるいサウンドは絶品で、彼等の ファンならば十分満足出来るだろう。[85]
アメリカのハード・ポップ・バンドのアルバム。方向的には 叙情的なメロディの産業ロック系で、爽やかな楽曲は 派手さはないが中々良く出来ている。キャッチーでポップながら、 少しブルージィさが感じられるところもあるが、極僅かだ。この 手の作品らしく、非常に洗練されていて、落ち着いた印象を受ける 作品に仕上がっている。飛び抜けた楽曲はないが、平均的に良く 出来ており、安心して聴いていられるし、聴いていて心地良い アルバムだ。特にアレンジ面に優れていて、どの曲もそつなく 出来ているため、そう言った感は一層強く感じられる。[83]
元DEEP PURPLE、WHITESNAKEのイギリス人ボーカリストによる ソロ・アルバム。方向的には、初期WHITESNAKEを思わせる様な リズム&ブルーズ色が濃い作品で、そこに後にWHITESNAKEに持ち 込まれたオリエンテッド・ロック的なエッセンスが盛り 込まれている。そう言う意味では如何にも彼らしいアルバムと 言えるもので、彼のファンならば十分納得の行く内容と言って 良いだろう。但し、WHITESNAKEが最も売れていた頃の様なまでの キャッチーさは盛り込まれておらず、それだけを期待するなら少し 外すかも知れない。楽曲も参加アーティストも地味で、 こじんまりとしてしまった印象は受けるが、アダルトな雰囲気が 感じられて中々良いアルバムに仕上がっている。[84]
元GIUFFERIAのアメリカ人ボーカリストによる初の ソロ・アルバム。CRAIG GOLDYやCHUCK WRIGHTと言ったGIUFFERIA 人脈のミュージシャンがゲスト参加している。方向的には、 叙情的なアメリカン・ハード・ロックと言った感じで、扇情的で アップ・テンポな楽曲は非常に格好良い。Stranger From The Past 等は、愁いを感じさせて中々の佳曲に仕上がっていると言って 良いだろう。彼の張りのあるボーカルが、扇情感を増していて、 情感が非常に良く出ている。全体的に楽曲、演奏とも良く 出来ているし、エモーショナルで良質のアルバムだ。[86]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドのミニ・アルバム。 サウンド的にはこれまで同様、北欧のブラック・メタルらしい 疾走するメロディアスなブラック・メタルだ。ブラスト・ビートも 入れ、ブルータルな暴虐感を出している。この手のものとしては キーボードがいないのだが、ギター・メロディで荒涼感を それなりに出している。オリジナルはAn Apprentice Of Satan 1曲だけだが、より叙情感を増していて、割と聴き 易いものとなっている。全5曲のうち、残り4曲が ブラック・メタル・ボイスを使っているとは言え、割と忠実な カバーと言う事もあって、普段の彼等とはかなり趣の異なる 作品となっている。[80]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 5thアルバム。前作ではクリア・ボイスを駆使し、 ゴシック・メタル的な路線に転向しかなり物議を醸したが、その 出来は中々素晴らしかった。今作ではその大胆な方向転換への 反動か、それまでの路線に揺り戻した印象を受ける。とは言え、 スラッシュ型メロディック・デス・メタルに全く戻ってしまった 訳ではなく、前作で見せた叙情的で哀愁のメロディはそのままに、 よりブルータルな色合いを持った作品となっている。そう言う 意味では前作とそれ以前の中間的な作品と言って良いだろう。 MIKAEL STANNEのボーカルも、デス・ボイス一辺倒に戻っており、 元々のファンには前作より受け付け易いだろう。扇情的で アグレッシヴな楽曲は素晴らしく、流石と言ったところだ。[86]
スペインのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。音楽的には、 いわゆるネオ・クラシカルと言えるもので、この手のものらしい 叙情味溢れる美しいメロディにYNGWIE J.MALMSTEEN的な ギター・サウンドを聴かせてくれている。北欧に多いこの手の バンドと大きな違いは、ジャーマン・パワー・メタルにも インスパイアされている事が伺える、大仰でドラマティックな 曲展開だろう。この臭いドラマティックな楽曲にクラシカルな メロディは、イタリアのシンフォニック・メタルのバンドや STRATOVARIUS辺りに通ずると言って良いだろう。ボーカリストの ELISAは女性だが、ルックスも優男風だし、声も透明感のある男性 ボーカルの様で、非常に中性的だ。スペインのバンドとしては、 歌詞も英語だし発音も気にならない。いも臭さが鼻に付くが、 全体的な完成度は高いので、臭いジャーマン・パワー・メタルが 好きな人には受けるだろう。[82]
アメリカのハード・ロックンロール・バンドのベスト・ライヴ盤。 1989年から1996年までの様々なライヴ音源を寄せ集めたものだが、 一切手を加えられておらず、彼等の生々しいライヴを味わう事が 出来る。楽曲は主に初期の2作からが中心だが、それが彼等の最も 華々しい時期だっただけに、当たり前だが嬉しい。 パンキッシュながらキャッチーなメロディを持ったバンドで、 破天荒な荒々しさがライヴでも良く出ている。彼等の持つ ポップ・センスがただ荒々しいだけで終わっていないのは好感が 持てる。かなりルーズな感じを受ける演奏だが、勢いがあって 一気に聴かせてくれるし、彼等のファンなら外す事はないだろう。 [82]
詳細は全く不明なゴシック・メタル・バンドのアルバム。6人 編成ながら、バイオリニストが2人おり、ベーシストがいないと 言う変則的な構成になっている。しかし、聴いてみれば ベースがなくても全く問題無いと言う事が良く分る作品だ。 方向的にはアンビエント系のゴシック・メタルと言えるもので、 キーボードによるオーケストラレーションを中心にしたものだ。 そこにバイオリンが絡んで来ると言う感じで、ギタリストがいる 必然性も感じない。ARKDAEはギタリストとキーボードの兼任として クレジットされているが、ほとんどキーボード奏者と言って 良いだろう。ツイン・バイオリンにツイン・キーボードと言う 構成なだけあって、この手に多いオーケストラレーションの チープさはあまり感じられないが、こう言った淡々としたダークで アンビエントな作品を好んで聴いていられるかはかなり 難しいところだろう。これに女性ソプラノが絡んできて、非常に 荘厳な雰囲気は出ているが、一般的にメタルのリスナーには聴き 難いかも知れない。[71]
スウェーデンのメロディック・デス・メタルの3年振りとなる 2ndアルバム。元ARCH ENEMY、現MAJESTICのドラマー、 PETER WILDOERを中心としたバンドだ。方向的には スラッシュ・メタル型のメロディック・デス・メタルと 言えるものだが、かなりテクニカルな内容になっており、 部分的にはCYNIC等も思い起こさせる。テクニカルで アグレッションで、非常に聴き応えのあるアルバムに 仕上がっている。CALAMITASにおけるオーケストラにギターが 入って来て渾然一体となって行く部分等も圧巻だし、中々強力な 作品だ。[83]
アメリカのハード・ロック・バンドの限定盤のレア・トラック集。 その内容は、デビュー当時の1980年に行われた公演の模様を収めた ライヴ盤で、1977年に作成されたデモがボーナス・トラックとして 収録されている。その後、産業ロック的な色合いを感じさせる ポップなハード・ロックへと転進して行くが、ここではどちらかと 言うとプログレッシヴ・ハード・ロック的な色合いの方が強い。 アメリカのメロディアス・ロックらしい優しいメロディの楽曲も 見受けられるし、その後に繋がる様な洗練さが感じられる 楽曲もある。Workin' Hot等はMAGNUMに通じそうな憂いと ポップさを持った中々の佳曲だ。時代が時代だけに古臭さを 感じさせるが、演奏、楽曲の出来は十分納得行く。[84]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。 ブラスト・ビートを中心としたブルータリティ溢れるサウンドに 荒涼としたメロディと、如何にも北欧ブラック・メタルと言う 典型的なアルバムと言って良いだろう。この手の多くのバンドは、 キーボードを入れてそのメロディの荒涼とした雰囲気を押し 出しているのだが、彼等は一貫して2本のギターだけでこれを 表現しているのが大きな特徴と言えるだろう。それだけにギターの サウンドは濃密に詰まっており、下手にチープなキーボードを 入れるよりは禍禍しい邪悪な狂気が良く出ている。デビュー 当時からレベルの高さは感じさせてくれていたが、この作品は 北欧ブラック・メタルとしては傑作と言っても 過言ではないだろう。[84]
オランダのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には 流麗なゴシック・メタルだが、前作のLACRIMOSAっぽいサウンドと 比べると、シアトリカルな色合いが薄くなっているだけでなく、 メタル的な色合いも薄くなっている。ゴシック・ロック的な 色合いも濃くなっており、ロマンティックさを押し出した、 ダークな作品となっている。もう脱退してしまっている様だが、 LOUIS DE ROOのボーカルは、やや野太さを感じさせる、この手の ロマンティック・ゴシックらしいボーカルで、好き嫌いが 分かれるかも知れない。楽曲の出来は中々のものだが、流麗過ぎて もう少しフックが欲しいところだ。[80]
アメリカ人ギタリスト兼ボーカリストの、11年振りの 2ndアルバム。プロダクションの悪さはほとんど 改善されておらず、N.W.O.B.H.M.の作品と比べても大差ない。 それでも前作では、楽曲はそれなりにマニア受けしそうな叙情的で 哀愁の聴いたものだったのだが、今作ではそう言った面は 薄れており、楽曲の面白さにも欠けると言わざるを得ない 部分がある。楽曲自体はやや アメリカナイズされたところもあるのだが、それが決して洗練さに 繋がっておらず、前作で見せた哀愁味を半減させる 結果になってしまっている。一瞬の煌きはかんじるのだが、 これなら前作同様ミニ・アルバム程度にアイデアを詰めこんだ方が 良かっただろう。[68]
イギリスの ハード・ロック・バンドの2001年にリリースされた 3年振りの4thアルバム。元THIN LIZZYのキーボード、 DARREN WHARTONを中心とするバンドだ。哀愁の効いた甘い メロディのポップ色の強い作品と言う事ではこれまでの延長線上と 言えるが、もっとアコースティック色を強く押し出しており、 非常に落ち着いた優しい作品となっている。前作では幻想的な面を 強く押し出していたのに対して、今作ではどちらかと言うとパイプ 等も使って、イギリスの風景を思わせる郷愁を誘う様な物悲しさと 優しさを感じさせてくれる。静寂感を感じさせるゆったりとした 作品で、その分より地味になった感じはあるが、メロディの 素晴らしさは決して劣っていない。[84]
スペインのパワー・メタル・バンドの3rdアルバム。最近は スペインのバンドも数多く見られる様になったが、伝統的な巻き 舌の叙情派ヘヴィ・メタルと言う特徴的なバンドが多い中、より オーソドックスなヘヴィ・メタルを聴かせてくれるバンドの 一つだ。方向的には前作同様、ジャーマン・パワー・メタルの 流れを汲むパワー・メタルだが、そう言ったバンドの中ではより 叙情性を押し出した作風で、イタリアのシンフォニック・メタル 辺りにも通ずるところがある。ただし、哀愁味は減退しており、 よりジャーマンっぽさを醸し出しており、ああ言う大仰さが 聴けなければ苦しいかも知れない。オリジナリティはともかく、 こう言う音楽性のバンドとしてはレベルは高い。[82]
イタリアのヘヴィ・メタル・バンド、CROSSBONESの元ギタリスト、 DARIO MOLLO率いるプロジェクトの2ndアルバム。前作同様、 元BLACK SABBATHのTONY MARTINとのコラボレートとなっているが、 今作ではその2人のアーティスト名義となっており、前作での THE CAGEと言うプロジェクト名はアルバム・タイトルに 残るだけとなっている。叙情派の扇情的な楽曲だけに、 TONY MATINのボーカルは前作同様素晴らしく、このアルバムの 一番の聴きどころと言って良いだろう。楽曲の出来自体は前作 同様、今一つと言うところもあって、TONY MARTINのボーカルの 素晴らしさばかりが目立つ結果となっている。[79]
ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの5年振りとなる2ndアルバム。 前作では疾走型のメロディアス・ヘヴィ・メタルを 聴かせてくれていたが、今作ではQUEENSRYCHEとIRON MAIDENの 影響が出ており、どちらかと言うとじっくりと聴かせるタイプに 変貌している。それ自体は楽曲の深みも出ているし、決して悪い 訳ではないのだが、問題はMARIO LINHARESのボーカルだろう。 今作ではハイ・トーンのキーを駆使するボーカル・ラインが 中心になっており、変に力みかえった上にふらつく部分が見られ、 興を殺ぐ結果になっている。決して下手なボーカルと言う 訳ではないだけに、もっとキーを低めにした方が良かった。[79]
アメリカのハード・ロック・バンド、GIUFFRIAの ボーカリストによるソロ・アルバム。実際には1987年から 1988年にかけて録音された未発表音源集で、GIUFFRIA解散後から DIRTY WHITE BOY結成までの空白の時期に録音されたものだ。 そのため、GIUFFRIA用に作られたと思われる、GREG GIUFFRIAと 共作した曲や、EARL SLICKと共作したDIRTY WHITE BOY用の楽曲と 思われる曲からなっている。うち9曲は、GREG GIUFFRIAや CHUCK WRIGHTが演奏しており、実際にGIUFFRIA用に作製された マテリアルなのだろう。Stand Up等、佳曲も多く、何故今まで 使わなかったのか疑問に感じられる。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2枚組のアルバム。それぞれ 1993年と1994年に録音されていたもので、本来3rdアルバムとして リリースされるはずが、お蔵入りとなっていたものだ。曲順と、 カバーのTime In A Bottleと言う曲が追加されている事を除けば、 楽曲自体は同じで、初代ボーカリストのTED POLEYで一度 レコーディングしたものを、後に加入したPAUL LAINEで録り 直したものと言う事になる。こうして聴き比べてみると、 ボーカリストとしてはPAUL LAINEの方がパワフルで上手いと 思うが、このバンドにはTED POLEYのボーカルが良く合っている。 ギタリストは両方ともまだ脱退前のANDI TIMMONSが弾いており、 ポップ・センス溢れるアルバムに仕上がっている。[82]
イタリアのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの 3年振りの2ndアルバム。女性ボーカリスト、EVA RONDINELLIの 伸びやかな歌唱を中心に、WILLIAM QUATTRONEのクリア・ボイスと デス・ボイスを絡める形式を取っている。演奏自体はこの 手のものとしてはかなりメタリックな印象を強く受ける作品で、 メロディック・デス・メタル的なエッセンスを強く打ち 出していると言って良いだろう。そこにゴシック・メタルらしい 流麗さを加えていて、メロディ・ライン自体は悪くない。ピアノを 入れたり、キーボードが意外と厚く被せられており、壮美な感じは 良く出ている。[82]
デンマークのデス・メタル・バンドの3rdアルバム。元DEATH、 TESTAMENTのギタリスト、JAMES MURPHYと元MACHINE HEADの ドラマー、CHRIS CONTOSが参加していた事でも知られる、 KONKHRAのボーカリスト、ANDERS LUNDEMARKによる プロジェクト・バンドで、ここではギタリストも兼任している。 方向的にはスラッシュ・メタル系のデス・メタルと 言えるものだが、かなりスピード感を押し出した、コアな音楽性を 聴かせてくれている。そう言う意味ではこれまでの延長線上と 言える作品だが、よりドライヴ感が増していて聴き応えがある。 [82]
ドイツのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの アルバム。基本的にはアコースティック・ギターやピアノ、 ストリングスを導入した、アコースティックな耽美系の ゴシック・メタルで、さびにヘヴィで変則的なパートが 入ってくる。NIKO KNAPPEのボーカルは、クリア・ボイスを 多用しているが、このさびの部分では呻き声の様なデス・ボイスも 使って来るため、肝心の盛り上がるべき場面で美しさを損なうのは 遺憾ともし難いところがある。ドゥーム・メタル的なエッセンスも 取り込み、非常に端美な雰囲気が出そうな気がするだけに 勿体無い。[77]
イタリアのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。音楽的には RHAPSODY等の流れを汲むシンフォニック・メタルと 言えるものだが、そこにネオ・クラシカル的なエッセンスを 加えているのがこのバンドの特徴と言って良いだろう。 OMAR ZONCADAのボーカルは、下手とまでは言わないが、 甘ったるくて線が細く、こう言うパワフルなものをやるには 弱点になっていると言わざるをえない。楽曲自体は流麗で メロディの出来自体は悪くないと思うのだが、惹きつける様な 魅力に欠け、アレンジ面でもう少し改良が必要だ。デビュー盤と 言う事を考えると何とか及第点と言うレベルで、今後の成長が 期待される。[79]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 6thアルバム。MIKAEL STANNEの喉の不調から、一時期 ゴシック・メタル型のスタイルに転身していたが、完全に元の スタイルに戻ったと言って良いだろう。PROJECTORはあれはあれで 素晴らしい作品だったので、どちらが良いとは言えないが、 哀愁の感じさせるメロディと、エッヂの利いたサウンドで、 彼等らしいレベルの高い作品である事は間違いない。楽曲は それぞれ完結してしまっていて、今一つドラマティックな盛り 上がりに欠ける気もするのが少し残念だ。暴虐性も感じさせながら 憂いを含ませて疾走する辺りは、中々聴き応えがある。[85]