DANCIN' ON THE EDGE / DEAD BANG
ドイツのパワー・メタル・バンドの1994年にリリースされた
デビュー盤。ドイツでパワー・メタルと言っても、HELLOWEEN等の
いわゆるジャーマン・パワー・メタルと言うやつではなくて、
アメリカン・ハード・ロックンロールと言った感じのアルバムだ。
MICHAEL GROPERの声質もあって、ややWOLFSBANEっぽく
感じるところもある。ROLING STONESのカバー、Satisfactionも
荒々しいのりで突っ走っており、見事に自らの曲として
アレンジされている。End Of Timeの様な
アコースティック・バラードまでこなしていて、素材としては
見るものがある。もう少し洗練されてくればかなり化ける可能性は
秘めていると思う。[82]
IT'S A NICE DAY / DEAD SERIOUS
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
恐らく唯一のアルバム。方向的にはかなりコアな
スラッシュ・メタルで、非常に攻撃的な作品に仕上がっている。
ハード・コア的に畳み掛けて来るリフは迫力があって、
パワフルだ。Tourist In My Neighbourhood等は、その
際たるもので、ひたすら圧倒されるだけの音の洪水と勢いが
感じられる。ボーカルもブルータルで、非常に暴虐性を感じさせる
アルバムに仕上がっている。初期EXODUSと言った、コアな作品が
好きならば、かなりいけるはずだ。スラッシュ・メタルとしては
最も攻撃的な作品で、中々のものに仕上がっている。[87]
SPIRITUAL HEALING / DEATH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1990年にリリースされた
3rdアルバム。方向的には、いわゆるテクニカル・スラッシュと
言うやつで、複雑なリフ展開のスラッシュ・メタルをやっている。
ボーカリスト兼ギタリストのCHUCK SCHULDINERを中心とした
バンドで、後にソロ等様々な活躍で名を知られる事になる
ギタリスト、JAMES MURPHYを迎えて制作されている。ドスの効いた
咆哮は、一種デス・ボイスと言って良いもので、デス・メタルが
生まれる過渡期的な時期を形成したバンドと言って良いだろう。
テクニカルで複雑な展開の楽曲からなっており、非常に
ブルータルな味わいを出している。[82]
INDIVIDUAL THOUGHT PATTERNS / DEATH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
4thアルバム。方向的には、これまで同様の
テクニカル・スラッシュで、やや混沌としているようにも
感じられたこれまでの作品と比べると、整理されてきているように
感じられる。ギタリストがJAMES MURPHYからANDY LaROCKQUEに
交代した影響もあってか、それ程変則的な
ギター・フレーズはなく、よりメロディを打ち出したメタル的な
ギター・フレーズが中心となっている。CHUCK SCHULDINERの
ボーカルは、ややデス・ボイス色が増しており、GENE HOGLANの
驚異的なドラミングもあって、よりデス・メタル的な色合いが
強い。[83]
FROLIC THROUGH THE PARK / DEATH ANGEL
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1988年にリリースされた
2ndアルバム。ヒステリックで扇情的なスラッシュ・メタルで、
初期ANTHRAXをダークにした様な感じだ。シアトル出身らしい
暗さと不安感を煽るようなサウンドは、重苦しい緊張感を生み、
一種独特の雰囲気を作り上げている。若くしてこれだけの自己の
スタイルを作り上げているのは立派だと思うが、その一方で何か
メジャーになり切れない今一つ物足りなさを感じる。楽曲の構成、
アレンジ、演奏力とティーン・エイジャーとは思えない実力を
感じるだけに、先が楽しみなバンドでもあったが。[82]
ACT III / DEATH ANGEL
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1990年にリリースされた
3rdアルバム。前作と比べると、サウンド・プロダクションで
大きな変化があり、かなり作り込まれてすっきりとした様な印象を
受ける。その分、聴き易くなったと言う印象を受けるが、一方で
前作であった重苦しい緊張感が減退したようにも思える。より初期
ANTHRAX的な印象を受ける作品に仕上がっており、これを
可とするか不可とするかでその評価は大きく変って来るだろう。
VEIL OF DECEPTION等は、後にTHE ORGANIZATIONに改名してからの
オルタナティヴ・ロック的な要素を感じるようになっている。
演奏力や構成力は相変わらず確かなものがあるし、アルバムの出来
自体は中々のものではあると思うが。[81]
FALL FROM GRACE / DEATH ANGEL
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1990年にリリースされた
ライヴ盤。実際に録音されたのは1988年で、楽曲的には
FROLIC THROUGH THE PARKまでのものとなっている。その分、
荒々しいまでのエナジー溢れる疾走感があり、整合感よりも勢いを
求める初期のファンには向いている作品だろう。少し混沌とした
感じを受けなくもないが、その若さとパワーは十分感じられる
アルバムに仕上がっている。これだけのライヴを実際に
見せられれば、圧倒されてしまうだろうなと言う、凄まじいまでの
迫力が十分伝わって来る作品だ。[83]
SHADES OF DEEP PURPLE / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1968年にリリースされた
デビュー盤。JOE SOUTHのカバー、HUSHの大ヒットにより、自らの
地位を確固たるものにする足がかりとなった作品だ。まだ、
ボーカルはROD EVANSで、それ程ハード・ロック色を強く
感じさせる作品ではない。どちらかと言うと、よりポップで
キャッチーな感じのする1960年代らしいロック・アルバムだ。
サウンドも、どちらかと言うとJON LORDのオルガンが主導権を
握っており、RICHIE BLACKMOREのギターはあくまでもバックと言う
印象を受ける、ややプログレッシヴ・ロックっぽい作品だ。[82]
IN ROCK / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1970年にリリースされた
4thアルバム。バンドにとって、黄金期と言えるいわゆる第二期の
メンバー編成による初めてのアルバムだ。ハード・ロックと言う
方向性が、始めてはっきりと打ち出され、バンドに取って代表作と
言えるアルバムの1枚だろう。特にSpeed King、Child In Timeの
2曲は、後々のライヴでも必ず演奏される代表曲と呼べる楽曲だ。
IAN GILLANのシャウトにRICHIE BLACKMOREのギター・プレイは、
今までの作品と明らかに異質な雰囲気を作り出している。特に
Child In Timeの愁いの溢れたメロディはドラマティックで
素晴らしいの一言に尽きる。[87]
DEEP PURPLE LIVE IN LONDON / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1982年にリリースされた
ライヴ盤。実際には、1974年に行われたロンドンでのライヴの
模様を収めたものだ。IAN GILLAN、ROGER GLOVERが脱退し、
DAVID COVERDALE、GLEN HUGHESが加入した、第3期初期のライヴ
音源だ。バンドのイニシャティヴを握っており、バンドの
バランスが保たれていた時期で、そう言った意味では
RICHIE BLACKMOREを中心にまとまったライヴに仕上がっている。
BBCのIN CONCERT用に録音したと言うだけあって、録音状態は
極めて良いし、発掘ライヴものとしては最も良いライヴ盤と
言えるだろう。GLEN HUGHESが加入したことにより、コーラスが
導入されているところは聴きどころだ。[83]
NEW, LIVE AND RARE / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1980年にリリースされた
レア・トラック集。元々、1977年にPOWER NICEと題して
リリースされていたレア・トラック集に追加して新たに
リリースされたものだ。シングルのB面に収められていた、
アルバム未収録曲、I'm Alone、Whan A Blind Man Criesの他、
第2期のメンバーで集録されたHushのライヴ・テイクが非常に
珍しい。Painted Horse、Cry Freeは全くの未発表曲で、ある意味
本当に貴重な音源が満載されており、この手のものとしては
真っ先に手を出して良い作品だ。[82]
DEEP PUEPLE IN CONCERT / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1980年にリリースされた
2枚組みライヴ盤。それぞれ1970年、1972年に、BBCのラジオ番組、
IN CONCERT用に録音されたものだ。この手の他の
音源がそうであった様に、これだけ古い録音でありながら、非常に
クリアな録音状態だ。いずれも第2期の頃にとられたもので、
続けて聴いても違和感はないし、Speed King、Child In Time、
Highway Starと言った定番曲も収められているので、通常の
ライヴ盤と同様に楽しむ事が出来るだろう。1曲1曲が長いので、
RICHI BLACKMORE、JON LORDの演奏の掛け合いが十分聴ける。[84]
LIVE IN JAPAN / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1972年にリリースされた
ライヴ盤。同年に行われた日本公演の模様を収めたもので、その後
海外ではMADE IN JAPANと言うタイトルでリリースされた。7曲中、
4曲は大阪厚生年金会館で録音されたもので、残りが武道館での
テイクだ。RITCHIE BLACKMOREの鬼気迫るギター・プレイを始め、
IAN GILLANのシャウト、JON LORDのオルガン等、凄まじいまでの
迫力を感じさせるライヴだ。これだけの緊張感を伝えるライヴ盤は
他にないと言っても過言ではないし、このアルバムが名盤と
詠われるだけの作品であることは十分実感できる。[91]
STORMBRINGER / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1974年にリリースされた
アルバム。この作品を持って、RITCHIE BLACKMOREが脱退する
事になるわけだが、方向的にはかなりファンキーな作品で、
ハード・ロック指向の強かったRITCHIE BLACKMOREが脱退したのも
当然の帰結だったのだろう。Lady Double Dealerと言った、
ハードな楽曲が全くない訳ではないのだが、ファンキーな要素が
強く、それまでのハード・ロック然とした作品を求める
ファンからすると、かなり散漫なアルバムに感じるだろう。
出来的には決して悪いとは言えないし、DEEP PURPLEらしさも
それなりにある訳だが、前作のBURNと比べると、今一つのり
切れない。[80]
HOUSE OF BLUE LIGHT / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの再結成第2弾となる1986年に
リリースされたアルバム。期待と不安を持って迎えられた
PERFECT STRANGERSはRITCHIE BLACKMOREの本領発揮とも
言えるだけの素晴らしい作品に仕上がっていた。今作でも、
Bad Attitude等は前作の延長線上と言える楽曲だし、ストリングを
持ち込んで、基本的な路線は変る事はない。この楽曲と、
IAN GILLANのボーカルが醸し出す緊張感は、さすがと言える
レベルのものだが、前作であった、Knockin' At The Back Doorの
様な名曲と呼べる楽曲がない。それにCall Of The Windの様な
ポップな楽曲は、違和感を感じるし、今一つ
すっきりしないところがある。[82]
SLAVES AND MASTERS / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた
アルバム。IAN GILLANは首を切られ、今作ではJOE LYNN TURNERが
新しいボーカリストとして加入している。King Of Dreams等、
楽曲的には前作から大きく変っている訳ではないのだが、
ポップ的な色合いが強くなっており、しかも彼がボーカルを
取っている分、かなりRAINBOW的に感じられるアルバムに
仕上がっている。特に、The Cut Runs Deep等はBENT OUT SHAPE
そのものと言える様なアルバムだと言えるだろう。従来の
DEEP PURPLEのファンからすると、ハード・ポップ的過ぎると
映るかも知れないが、楽曲の出来は悪くないし、末期RAINBOWの
ファンには受け入れ易い作品だと思う。[85]
THE BATTLE RAGES ON / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた
アルバム。結局JOE LYNN TURNERの加入はRAINBOW的過ぎると言う
批判のためか、不評であったSLAVES AND MASTERSのみの
ジョイントで終わってしまった。そこでやはり
IAN GILLANでないとと言う話になったのかは判らないが、再び
IAN GILLANが復帰している。しかし、IAN GILLANの脱退が、
メンバー間の不和によるものだけに、非常に不安を催させる
復帰だ。方向的には、再結成DEEP PURPLEにおいて一貫している
路線ではあるが、楽曲の切れはこれまでで一番悪い。
The Battle Rages On等は良いとしても、捨て曲が
あちこちにあるのが気になるところだ。[80]
COME HELL OR HIGH WATER / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた
ライヴ盤。実際には1993年に行われたヨーロッパ・ツアーでの
模様を収めたもので、バンドの大黒柱とも言えるギタリスト、
RITCHIE BLACKMORE在籍時最後のツアーだ。Highway Star、
Black Night、Child In Time、Speed King、Smoke On The Water
等と言った定番ナンバーを中心に収められており、ベストに割と
近い内容だ。Burnをやらないのは致し方ないとしても、
Knocking At Your Back Doorがカットされてしまっているのは少し
残念だ。RITCHIE BLACKMOREとIAN GILLANの関係もあってか、やや
淡々としたライヴに感じられるが、演奏自体はさすがだ。[81]
ON THROUGH THE NIGHT / DEF LEPPARD
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた
デビュー盤。N.W.O.B.H.M.期に登場し、それらのバンドでは最も
成功したバンドだが、この作品ではまだN.W.O.B.H.M.らしい
ロックンロール色のあるメロディアスな
ヘヴィ・メタルをやっている。Rock Brigadeを始め、如何にも
N.W.O.B.H.M.らしいサウンドは、今の彼等のファンからすると
かなりカルチャー・ショックを受ける内容だろう。彼等の
サウンドの基礎が出来るのは次作以降と言って良いが、バラードの
Sorrow Is A Woman等、楽曲の出来は素晴らしい。この
手のものらしく、プロダクションは非常に悪いが、N.W.O.B.H.M.の
ファンならば、十分満足出来るだけのアルバムに仕上がっている。
[86]
HIGH'N'DRY / DEF LEPPARD
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた
2ndアルバム。デビュー盤では、プロダクションも悪く、
楽曲的にも如何にもN.W.O.B.H.M.と言った感じの作品だったが、
今作ではプロダクションは完全に改善され、楽曲的にも次作の
PYROMANIAに繋がるものになっている。このアルバムでは、
ROBERT JOHN 'MUTT' LANGEがプロデュースを行っているが、彼の
力が非常に大きく寄与していると言えるだろう。Let It Go、
Bringin' On The Heartbreak、Mirror, Mirrorと言った名曲が
ずらりと並んでいるのももちろん大きいが。全体的に、どことなく
AC/DCのロックンロールのエッセンスが持ち込まれていて、非常に
テンポが良い。Switch 625と言う、彼等としては唯一の
インストルゥーメンタル・ナンバーが集録されているのも興味
深い。この作品は、PYROMANIAのヒットに際して、新たに
Bringin' On The HeartbreakとMe And My Wineの
リミックス・バージョンが追加収録されている。[91]
HYSTERIA / DEF LEPPARD
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた
4年振りの4thアルバム。前作で世界的なブレイクを果たしたが、
今作では更にそれを上回る様なメガ・ヒットとなった。全米No.1
ヒットとなったPure Some Sugar On Meを始め、Animal、Rocket、
Love Bites、Armageddon It、Hysteriaと言った
シングル・ヒットを立て続けに放ち、モンスター・バンドとしての
地位を確固たるものになった。前作に比べると、シングル・ヒット
指向の楽曲が多く、ロックンロール色が減退し、やや不満に感じる
部分もなくはないが、さすがと言えるだけのアルバムには
仕上がっている。[88]
ADRENALIZE / DEF LEPPARD
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
5年振りの5thアルバム。方向的には前作の延長線上と
言えるもので、Let's Get Rockedを始め、バラードのTonight等、
シングル・カット出来そうな楽曲がずらりと並んでいる。バンドの
ギタリストであり、メイン・コンポーザーでもあるSTEVE CLARKの
遺作でもあるのだから、当然といえば当然だ。バンドの楽曲作りで
もう片翼であったROBERT JOHN 'MUTT' LANGEも楽曲作りに
参加して、エクゼクティヴ・プロデューサーと言う肩書きが
付いてはいるが、プロデューサー自体から降りてしまっているのも
寂しい。前作に比べるとインパクトはないが、それでもこれだけの
アルバムが出来るのだから、逆に大した物だと言えるだろう。[86]
TONIGHT / DEF LEPPARD
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
5thアルバム、ADRENALIZEからの来日記念となるシングル。
シングル・カット曲のタイトル・トラックに、Now I'm Hereの
ライヴ・バージョン、Tonightのデモ・バージョンの3曲と言う
構成になっている。Now I'm HereはQUEENのカバー曲で、最近の
ライヴでもやっていないし、かなり珍しい音源で貴重だと言って
良いだろう。Tonightのデモ・バージョンは取りたててどうと言う
程のものではないが、録音状況はかなりラフだが、
リミックスさえすればある程度通用しそうな程、演奏は完成形に
近い。[80]
RETRO ACTIVE / DEF LEPPARD
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
レア・トラック集。未発表曲やシングルのB面に
収められていたもの、ボーナス・トラック、映画のサントラ、
リ・レコーディングしたものと言う、アルバム本編以外の曲ばかり
集められている。しかし、そこはアルバムの半分以上の楽曲が
シングル・ヒットするバンドだけあって、アルバムから漏れたと
言ってもかなりの出来と言って良い。彼等らしいキャッチーな
メロディののりの良い楽曲が中心で、彼等のファンであれば十分
満足出来る内容であるし、既発音源も、個々に集めることを
考えればありがたい作品だ。[83]
DEMOLITION23. / DEMOLITION23.
フィンランドのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた
唯一のアルバム。JELSALEM SLIMがデビュー前に崩壊した後
結成された、前HANOI ROCKSのボーカリスト、MICHAEL MONROEを
中心としたバンド。同じく元HANOI ROCKSのベーシスト、
SAMI YAFFAとコンビを組んでいる。方向的には、ワイルドで
パンキッシュなハード・ロックンロールで、HANOI ROCKSにも
近いが、どちらかと言うとMICHAEL MONROEのソロ活動の延長と
言った感じがする。作曲者の中にVAN ZANDTと言う名前が見えるが、
恐らくVAN ZANDT兄弟の誰かが楽曲作りに協力したのだろう、
サザン・ロック的なエッセンスも少し感じられる。[82]
NIGHT OF THE DEMON / DEMON
N.W.O.B.H.M.バンドの1981年にリリースされた1stアルバム。この
手のバンドとしては、バンド名が示す通り、サタニック・メタルの
一派とも言えるバンドだが、シアトリカルな部分を重視するための
演出的な要素と言う部分も大きだろう。そう言った
おどろおどろしい雰囲気に対して、楽曲自体は意外にもかなり
ポップでキャッチーだ。ミドル・テンポで聴き易い印象的な
メロディの楽曲が並んでおり、意外にも思えるが、楽曲の出来
自体は中々良い。逆に、バンドのそう言った雰囲気が、楽曲の
良さと言う面でマイナスに働いたのではないかと思える位だ。[86]
THE UNEXPECTED GUEST / DEMON
N.W.O.B.H.M.バンドの1982年にリリースされた2ndアルバム。
方向的には前作の延長線上と言えるもので、キャッチーな
メロディのポップなハード・ナンバーがずらりと並んでいる。
全体的に前作よりアップ・テンポに作られている感じがあって、
テンポ良く進んで行く感じがする。DAVE HILLの
ボーカルとあいまって、独特の雰囲気を醸し出しているのも
変わりない。楽曲の出来は前作と変らぬレベルの高さを
誇っているし、N.W.O.B.H.M.としては高いポテンシャルを
持っていたバンドだと言えるだろう。前作のファンであるならば、
このアルバムは十分満足出来るはずだ。[85]
BRITISH STANDARD APPROVED / DEMON
N.W.O.B.H.M.バンドの1985年にリリースされた4thアルバム。
この作品から、その音楽的方向性を大きく変えて、言わば
プログレッシヴ・ロックとも言える様な作品に仕上がっている。
キーボード奏者のSTEVEN WATTSがメンバーとして迎えられ、大胆な
程キーボードを前面に押し出している。かなりスペイシーな
雰囲気が全体に溢れていて、より静寂感を感じさせるアルバムだ。
DAVE HILLのボーカルは相変わらずだが、シャウトを
多くしたりと、楽曲の雰囲気からそれ程外れていない。これまでの
ファンからすると、かなり問題作と言えるかも知れないが、
アルバムの出来は中々高い。[84]
HEART OF OUR TIME / DEMON
N.W.O.B.H.M.バンドの1986年にリリースされた5thアルバム。
方向的にはプログレッシヴ・ロックに路線を変更した前作の
延長線上と言えるもので、それよりはやや初期のハード・ロック
的な路線に揺り戻している。とは言っても、ホラー的な
おどろおどろしい雰囲気は全くなく、基本的に前作のスペイシーな
プログレッシヴ・ロックにハード・ロックのエッセンスを加えた
感じと言って良いだろう。スペイシーなだけでなく、より
ドラマティックな作品になっており、中々聴きごたえのある
アルバムに仕上がっている。[85]
BLOW-OUT / DEMON
N.W.O.B.H.M.バンドの1992年にリリースされたアルバム。
BRITISH STANDARD APPROVEDやHEART OF OUR TIMEで
プログレッシヴ・ロック的な方向を見せたりと、変化を良く見せる
バンドだが、この作品はその後のアップ・テンポの
ハード・ロックと言う方向性の元に作られている。初期の
ポップさやその後のプログレッシヴさはあまりなく、勢いとのりで
勝負していると言う感じだ。その割には楽曲の魅力は今一つで、
初期や中期のファンからすると物足りない作品と言ってしまっても
過言ではない。初期の曲作りで重要な役割を果たしていた、
MAL SPOONERが亡くなった意味は大きいと思わざるを得ない。[78]
HONOUR AMONGST THIEVES / DEN OF THIEVES
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
デビュー盤。北アイルランド出身で、ボーカリストの
JOHN HARV HARBINSONは元EMERALDのメンバーだ。方向的にも、
いかにもN.W.O.B.H.M.の流れを汲む、叙情的で愁いを含んだ
メロディのヘヴィ・メタルで、Falling Out Of Love等は名曲と
言っても良い程格好の良い楽曲だ。元々、デモとして制作された
音源らしく、全体的にプロダクションは悪い。しかし、逆にそれが
却ってN.W.O.B.H.M.的な雰囲気をより強くしていると言って
良いだろう。良質のメロディの佳曲がずらりと並んでおり、これで
プロダクションが良ければさぞやと思わせるだけのレベルの高い
アルバムだ。愁いを含んだメロディアス系のヘヴィ・メタルが
好きならば、心の琴線に触れて来るものがあるはずだ。[91]
FIRST DEPRESSION / DEPRESSIVE AGE
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
デビュー盤。スラッシュ・メタルとしてはかなり変則的な
バンドで、単純にリフをザクザクと切り刻んで来る様な
事はしない。うねる様なメロディの楽曲は緊迫感が満ちている。
決して聴き易いと言った様な類のサウンドではないが、
オリジナリティには溢れている。ヒステリックで変則的で、到底
一般向けとは言い難いし、単純にスラッシュ・メタルと考えても、
リフやスピードを楽しむと言ったサウンドではないが、
シアトリカルなボーカル・メロディは中々面白い。アイデアと
言ったレベルでは十分面白い素材ではあるので、今後自分達の
サウンドを確立出来れば楽しみな存在になるだろう。[81]
BANG BANG / DESERT RAIN
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
恐らく唯一のアルバム。方向的には、北欧の叙情的なメロディとは
違い、アメリカ風のポップなハード・ロックと言った感じだ。
ボーカリストの声質もあってか、Lady Of The Right等は
BON JOVI的だ。恐らく自主制作で、お世辞にもプロダクションは
良いとは言えないが、何とか形にはなる様に頑張っては居ると
思う。楽曲的には、飛び出た楽曲はないが、全体的にキャッチーで
聴き易いし、悪くはないと思う。ただ、こう言った
路線でやるには、やはり音のチープさがどうしても気になるが。
[78]
DECAY OF HUMANITY / DESPAIR
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
デビュー盤。センチュリー・メディアとしては珍しく、
デス・メタル的な色合いは全くない。楽曲的には扇情的で
緊迫感のあるスラッシュ・メタルで、かなりユニークな作品だ。
DEATH ANGELと言った辺りに近い感じもするが、ヨーロッパの
バンドらしい叙情的な暗さが感じられる。TIAMATを
プロデュースする等、この世界ではプロデューサーとしても力を
発揮しているギタリストのWALDEMAR SORYCHTA自身が
プロデュースしている。まだまだアイデアだけで、未消化と
感じられる部分も多いが、WALDEMAR SORYCHTAの才能は伺える
アルバムだ。[82]
BEYOND ALL REASON / DESPAIR
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
2ndアルバム。方向的には前作の延長線上なのだが、前作ではまだ
アイデアを消化仕切れていなかったのが、今作ではうまく作品に
生かせている。不安感を煽る様な、緊迫感と緊張感に満ちたリフと
メロディは、万人向けとは言えないが、素晴らしい出来だ。
In The Deepでアコースティック・ギターを使って、静と動の切り
替えを行う辺りは素晴らしいの一語に限る。作品の質的には
違うが、METAL CHURCHのBRESSING IN DISGUISEを思い起こさせる。
WALDEMAR SORYCHTAの作り上げたダークで不安感を誘う様な
サウンドは、B級的ではあるものの、その完成度は非常に高い。
[88]
BITTERNESS / DESULTORY
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの1994年に
リリースされた2ndアルバム。方向的にはパワー・メタル型の
メロディック・デス・メタルとなるが、KLAS MORBERGのボーカルは
攻撃的なデス・ボイスだが、あまり歪曲しておらず、ストレートな
歌唱で、この手のものとしては最もストレートなボーカルと
言っても良いだろう。楽曲は、攻撃的なリフ部と、泣きの
ギター・メロディ部によって構成されており、この泣きのギターが
独特の味わいを出している。ブルータルな暴虐性と哀愁の
ギター・メロディが面白いマッチングをなしており、中々
ユニークなアルバムに仕上がっている。[85]
MACHINE HEAD / DEEP PURPLE
ハード・ロックでは最も著名なバンドの一つと言える、イギリスの
ハード・ロック・バンドの1972年にリリースされたアルバム。
Highway Star、Smoke On The Water、Space Truckin'と言った
名曲中の名曲を収録したハード・ロック史上に名高い傑作で、今更
特に何も言う必要はないだろう。RICHIE BLACKMORE、JOHN LORD、
IAN GILLAN、ROGER GLOVER、IAN PAICEと言うそうそうたる
メンバーの、最も脂が乗っている頃の作品で、今聴いてもその
レベルの高さは圧巻だ。楽曲、演奏、テンションとどれを取っても
素晴らしいアルバムに仕上がっている。[90]
LEARN / DELIVERANCE
アメリカのクリスチャン・パワー・メタル・バンドの1992年に
リリースされたアルバム。少しQUEENSRYCHEの影響があるようにも
感じられるサウンドの、ヘヴィ・メタルだが、全体的にはもっと
ヘヴィでダークなサウンドだ。ザクザクとリフを切り刻んで
来たり、ミドル・テンポの叙情的でドラマティックなメロディで
盛り上げ的たり、中々抑揚のあるアルバムに仕上がっている。
ミドル・テンポ中心の楽曲はのりに少し欠けるが、うねりがあり
呪術的で雰囲気は出ている。キーボード、ギター・メロディも
中々面白いし、楽曲の完成度があがればかなり良くなるだろう。
[83]
ONCE UPON THE CROSS / DEICIDE
フロリダのブルータル・デス・メタル・バンドの3rdアルバム。
この手のバンドにしてはブラスト・ビートはあまりきつくなく、
バックの演奏も一応メロディというものが存在する。しかし、
それでも破壊的で狂暴的な印象がより強いのは、GLEN BENTONの
うめくように吐き捨てるデス・ボイスの存在が大きいと言って
良いだろう。ジャケット、歌詞の内容は終わってるし、通常の
人にはあまり奨めがたい作品だ。その圧倒的なパワーだけは
認めるが、決してグラインド・コア的な印象を払拭出来る
訳でなく、決してデス・メタルという市場を越える
事はないだろう。[73]
BURN RUBBER / DEMON DRIVE
CASANOVAのMICHAEL VOSSとBONFIREのANGEL G.SCHLEIFERの
コンビによるハード・ロック・バンドの1stアルバム。この2人が
組んだだけあって、この手のものとしてはさすがに
キャッチーさにおいて群を抜いている。しかし、楽曲的には
出来にばらつきがあってBlame It On The Nightのような
メロディアスでのりがある曲は良いが、そうでない曲は少し
つらい。アップ・テンポの曲は大丈夫なのだが、ミドル・テンポ、
スロー・テンポの曲は特に顕著だ。いずれもドイツの
ミュージシャンだが、方向的には全てがそうという訳ではないが、
概ね明るいアメリカのバンドというところ。[82]
VAULT / DEF LEPPARD
N.W.O.B.H.M.のスーパー・バンドのベスト・アルバム。さすがに
DEF LEPPARDだけあってヒット曲のオンパレードになるが、
既発表の曲に関しては今更なにも言うことはないだろう。唯一の
新曲When Love & Hate Collideはいかにもシングル向きの
DEF LEPPARDらしいスロー・バラード。ボーナス・トラックの
Can't Keep Away From The Flameは特にどうということのない
アコースティック・ナンバーでボーナス・トラックとしての価値
以上はない。限定版のライヴ・アルバムは彼等のライヴ
音源としてもあまり良い物ではなく、唯一一枚のCDに
まとまったものとしての価値しかない。[84]
SYMBOLIC / DEATH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの6thアルバム。
方向的にはテクニカル・スラッシュと言う感じで、アグレッシヴで
変則的に感じる部分もある。CHUCK SCHULDINERのボーカルは少し
ダミ声なので、デス・メタル的と感じない訳でもない。先鋭的な
感じはするが、楽曲はあくまでスラッシュ・メタル的で、複雑な
リフが切り刻まれる。スラッシュ・メタルとしては楽曲、
演奏ともかなり高レベルを行っていて、全体的に緊迫感が
漂っている。ギターソロも中々聴きごたえがあるし、破壊力
たっぷりの、秀逸な作品ではあるのだが、テクニカルなところが
鼻につかない訳でもない。[85]
SYMBOLS FOR THE BLUE TIMES / DEPRESSIVE AGE
旧東ドイツ出身のスラッシュ/パワー・メタル・バンドの
3rdアルバム。暗い音像が非常に効果的で、独特の緊迫感が有り
非常に面白い作品となている。この手のものとしてはあまりリフが
中心ではないので、それ程疾走感は感じられないが、緊迫感は
それなりにある。JAN LUBITZKIのボーカル・スタイルは、それほど
ヘヴィ・メタル的ではないけれども、その表現力は素晴らしい。
楽曲のレベルもいままでよりかなり良くなっているのだが、
残念ながらまだその個性を生かすには至っていない。かなり
ユニークなバンドで楽しみなバンドではあるが。[85]
WORK IT OUT / DEF LEPPARD
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム、SLANGからの
シングル・カット。シングル・カット曲の
タイトル・トラック・ナンバーに、アコースティック・ライヴが
3曲と言う構成になっている。アコースティックはBBCのラジオ
番組、Radio Oneで録音したもので、Animalや
Pour Some Sugar On Meと言った楽曲は楽曲が楽曲だけにパンチが
弱い様に感じられる。しかし、アレンジがうまく、結構自然な
仕上がりで悪くない出来だ。残りのZiggy Stardustは
DAVID BOWIEのカバーで、特にどうと言うことはない。[80]
CONSPIRACY / DEN OF THIEVES
北アイルランド出身のヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。
元EMERALDのJOHN HARV HARBINSONがボーカルだが、今回その
関係からか、新しいメンバーとして同じくEMERALDの
メンバーだった、ベーシストのRAYMIE HALLER、ドラマーの
DAVID BATESが加入している。この二人は元DIO、WHITESNAKE、
現DEF LEPPARDのVIVIAN CAMPBELLが在籍していた事もある、
N.W.O.B.H.M.バンドのSWEET SAVAGEの主力メンバーで、
SWEET SAVAGEが新譜をリリースするという話が聞こえて
来ているところをみると、このラインナップは既にもう
存在しないと考えて良いだろう。叙情的なメロディながらフックが
効いた楽曲は、泣きがあってドラマティックで中々の出来だ。
デモ的な作品だったデビュー・アルバムと比べるとプロデュースも
幾分しっかりしているので安心して聴ける。何処か乗り切れない
B級臭さが泣かせてくれるし、WILDFIREとか言ったN.W.O.B.H.M.
系の影響が感じられ、N.W.O.B.H.M.バンドが今も生き
残っていたら、こういうタイプのバンドを排出したことは想像に
硬くない。とは言え、前作と比べるとそういう
ブリティッシュっぽさが少し減って格好良さをました感じだ。[89]
PURPENDICULAR / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドのギタリストが
RITCHIE BLACKMOREからSTEVE MORSEに変っての初のアルバム。
彼等らしくないという意見もあろうが、バンドの
コンポーザーであるRICHIE BLACKMOREが抜けたのだから、
それまでの彼等とは大きく変質するのは当然の話と言うものだ。
前作の出来が結構ひどい出来だった事を考えると、むしろこの
交代はお互いのために良かったと思える。楽曲は確かに
彼等らしくないかも知れないが、決して悪くはないし、
JOHN LORADやIAN GILLANもそれぞれの個性は失われてはいない。
多くの人は期待していなかっただろうから、却ってその分
良かったと感じるのではないだろうか。しかし、とは言うものの、
この作品を彼等の名義で出す意義がどれくらいあるのか疑問なのは
確かだ。[81]
SLANG / DEF LEPPARD
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの6thアルバム。しきりに
変化があることは予告されていたので心がまえは出来ていたが、
確かに明確な変化があるアルバムになっている。前作はバンドの
メロディ・メイカーと言えるSTEVE CLARKが亡くなって、半分は
その遺産とも言える楽曲で作られた感もあり、全て現在の
メンバーで作られた今作に変化があるのはある種当然と言える。
ノリを押さえたサイケデリックな感覚を持った作品であるが故に、
地味に感じられるのは致し方ないだろうし、作りすぎとも言える
HYSTERIAから比べると自然だとも言える。緊迫感はないものの
メロディ的にはそれほど大きく変わっていないが、シングル
向きかと言うとそれは疑問だと言わざるを得ない。限定盤として
シンガポールでのアコースティック・ライヴがカップリングされた
2枚組になっている。[81]
TAKING THE WORLD BY STORM / DEMON
N.W.O.B.H.M.の生き残りで、かなりいきなりな感じだが、1989年に
リリースした7枚目のアルバムをリマスターして再発したもの。
変化の激しいバンドで、デビュー当時はキャッチーな
メロディながら、どことなく物悲しさを感じさせていいたし、
BRITISH STANDARD APPROVEDやHEART OF OUR TIMEでは
プログレッシヴ・ロック的なアプローチを見せていた。
Rememberance Day等ではその名残で、プログレッシヴ・ロック的な
サウンドを聴かせているが、前半はメロディアスだが
アップ・テンポのノリ重視の楽曲が続く。圧巻はメロディアスで
壮大なナンバーBlue Skies In Red Squareだが、全体的に見て
DEMONの中で傑出したアルバムとは言いがたい。[80]
SACRILEGIUM / DEVIL DOLL
スロヴェニアのシアトリカル・ロック・バンドの3rdアルバム。
アルバムはトータルで一曲約60分という構成だが、
ドラマの様であり、組み曲的に場面展開がある。教会音楽のような
パイプオルガンや、ミサの聖歌のようなコーラス、舞踏音楽、
おどろおどろしいオカルティックな語り的なボーカル、
オーケストラと倒錯した世界観を表現している。部分的には
プログレッシヴ・ロック的な音楽も挿し挾むが、全体的にまるで
ホラー映画を見ているような気になる。確かにこれはこれで
面白いとは思うが、こういうシアトリカルなものが好きならば
ともかく、そうでなければアルバム一枚通すのは少々辛い。[75]
DIES IRAE / DEVIL DOLL
スロヴェニアのシアトリカル・ロック・グループの4thアルバム。
前作でみせていたオカルティックなシアトリカルさはここでも
見られるが、全体的にはホラーティックな部分は幾分
減退している。前作と比べると全体的によりハードな部分が増し、
メロディアスな部分も増して聴き易くなっている。一曲による組み
曲構成であるのは変わらないが、構成は割ときちんと展開を
持っていて、部分部分ではプログレッシヴ・ハード・ロック的で
それなりに聴けるが、それにしてもこのカルト的で
オーセンティックな世界はリスナーを選ぶだろう。[78]
DEEP PURPLE MkIII THE FINAL CONCERT / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの2枚組ライヴ盤。
バンドとしては第3期時代のラスト・ライヴである
MADE IN EURIPEの残りの音源をCD化したものだ。3回の
公演からのものなので、全11曲のうちMistreatedや、
You Fool No Oneがだぶって入っているが、だからと言って
悪いという出来ではない。GLENN HUGHESがいたので、ちゃんと
BURNもプレイされているのが嬉しい。未収録の残り音源と言っても
出来は良いし、興味深い内容だ。とは言ってもまず普通
MADE IN EUROPEを先に買うだろうし、ライヴもこれだけ出てると
ファン以外には中々手出し出来ない様に思えるが。[86]
9 TO 5 / DEATH ORGAN
スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドのデビュー作。
複数がボーカルを担当し、バンド名から期待するような、
デス・ボイス的な咆哮も差し込んだりしているが、
デス・メタル的な方向ではない。この咆哮や、ラップ的に
掛け合いをしたり、ちゃんとした歌メロがあったりと
飽きさせない。ギターがいない変わりに、そのパートを全て
オルガンで演奏しているという感じで、実にユニークかつそれが
はまっている。ハモンド・オルガンサは実にヘヴィで凄まじく、
ヘヴィ・メタル側の人間にも十分楽しめる。アイデアとセンスの
勝利とも言える作品だ。[86]
THEM NOT ME / DESTRUCTION
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドのミニ・アルバム。非常に
変則的な展開はさらに輪がかかっており、もうアグレッシヴ
過ぎてついて行けない位だ。ギター・メロディに感じる
ヨーロッパのバンドらしい叙情さもなくなっていて、
ギター・フレーズを楽しむという事も出来ないし、楽曲自体
あまり面白いとは思えない。ただ、ダークな雰囲気も含めて
攻撃的で、そういう意味においてのみスラッシュ・メタルとしては
悪くない。この怒涛の攻撃的なサウンドへの変質が受け
入れられないと聴いていてかなり厳しいだろう。[70]
SENTENCE OF DEATH + INFERNAL OVERKILL / DESTRUCTION
スラッシュ・メタル・シーン初期より活動するドイツのバンドで、
これは1984年にリリースされたデビュー・ミニ・アルバムと
1985年にリリースされた1stフルレンス・アルバムを
カップリングしたもの。デビュー・ミニ・アルバムである
SENTENCE OF DEATHでは、混沌としたサウンドに疾走する
スピード感を持っており、ほとばしるエネルギーを感じさせるが、
いかんせん荒削りで楽曲が練れておらず、アイデアを
具現化するだけの力量がまだ備わっていない印象を受ける。
INFERNAL OVERKILLでは楽曲はより複雑になりアグレッシヴな
感じを与えるに至っている。その分取っ付きにくさもあり、
アイデア的には面白いのだが、楽曲に今一つ面白味に欠けるのが
難点だ。SCHMIERの平坦で抑揚のないボーカルがここでは
災いしている。[76]
LIVE WITHOUT SENSE + MAD BUTCHER / DESTRUCTION
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドで1989年にリリースされた
ライヴ・アルバムLIVE WITHOUT SENSEと1987年にリリースされた
ミニ・アルバムMAD BUTCHERをカップリングしたもの。ライヴは
1987年から1988年にかけて行われた欧米でのツアーからの
チョイスされたものなので、途中でフェード・アウトが入るが、
出来としては音質も含めてかなり良く、これを最後にボーカルの
SCHMIERを解雇してバンドの活動がままならなくなったのは非常に
もったいない話だ。MAD BUTCHERではハード・コア・バンド
PLASMATICSのThe Damnedをカバーしているが、作品中一番
メロディアスで、一風変わった側面を見せている。[79]
LYING IN WAIT / DEPRESSIVE AGE
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドで1993年にリリースされた
2ndアルバム。3rdアルバムはオリジナリティのある非常に
素晴らしい作品で、自己の世界を確立してきた感があったが、この
アルバムでは逆にそこに至るまでの迷いみたいなものを感じる
過渡期的な作品だ。このバンドが一貫して持ち続ける
メランコリックさは変わらないのだが、それが効果的に
処理されておらず浮いた感じがし、ボーカルは
シアトリカルさばかり感じられる。素材的には良いと
思うのだが、バランス感覚の悪い作品だ。[72]
LIVE AT THE CALIFORNIA JAM / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドのライヴ盤。彼等としては
第3期に当たる、1974年に行われたカリフォルニア・ジャムでの
ライヴの模様を収めたビデオをCD化したものだ。部分的に
録音状態の良くない部分もあるのだが、元々TV放映用に
取られたものだけあって、プロダクションは概ね良好だ。
フェステイヴァルであるため、演奏しているのは僅か
6曲のみではあるが、彼等のその他のライヴ・アルバムと
比べても、そのライヴ・パフォーマンスはトップ・クラスに
挙げれるだけの出来と言って良いだろう。[88]
FALL-DARK WATERS / DECORYAH
詳細は良く判らないが、フィンランドのゴシック・メタルの2nd
アルバムと思われる。今作よりMETAL BLADEの
リリースということで躍進著しい注目株だ。内容のほうもそれに
見合うだけの完成度で、他のバンド群から頭一つ抜け出している
感がある。メンバーが前作より一人減り、
3人になってしまったたが、多数のセッション・ミュージシャンを
使っているので、レコーディングに関してはあまり影響ない。
セッション・ミュージシャンもゴシック・バンドなだけあって、
チェロ、バイオリン、ヴィオラ、フルート、女性コーラス隊と
実に多彩だ。この手のバンドとしては、荘厳さにはあまり重きを
置かず、耽美でもの哀しい作りになっている。非常に美しい
メロディでクリア・ボイスも実にメランコリックさを
出していて、それに美しい女性コーラスがサポートしている。
もの哀しく落ち着いたサウンドは、派手さはないが実に美しい。
ニュー・ウェーヴ系ゴシック・メタルとしては出色の出来と言って
良いだろう。[91]
INFINITY... / DESIRE
詳細は良く判らないが、どうもポルトガルの
ゴシック/デス/ブラック・メタル・バンドらしい。組曲形式で、
16分を超える大作もある。うなるようなデス・ボイスを中心に、
たまにブラック・メタル・ボイスのような金切り声、
クリア・ボイス、女性の流麗なソプラノ・ボーカルを
刺し挟んでくる。ピアノを前面に押し出した耽美な楽曲が並び、
それにややヘヴィで叙情的なギター・メロディが
重きをなしている。効果的にアコースティック・ギターを
入れてきたり、耽美さをうまく演出している。デス・ボイスは
それらの中でも特に聴きがたいものなのだが、楽曲はかなりに
耽美で美しい。この方面のものの中ではデス・ボイスを除けば
最も耽美な部類に入るだけに、このデス・ボイスがなければ
この美しさを損なうことはなかったと思えるのだが。[79]
WISDOM FLOATS / DECORYAH
1994年にリリースされたフィンランドの
ゴシック・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には
2ndアルバムと同じで、幻想的で扇情的な雰囲気が全体を
通してある。荘厳な凍てついた哀愁のある楽曲は
この手のものとしてはオリジナリティもあり、非常にレベルが
高い。JUKKA VUORINENの切々と歌う無機質な通った
クリア・ボイスはここでも健在だが、それ程露出度はない。
このボーカルがニヒルで寒々しい雰囲気を倍加させている。女性
ハイトーン・ソプラノボーカルも導入し、非常に荘厳な雰囲気を
作り上げている。美しいキーボードも、情感豊かなギターも非常に
効果的に使われている。プロダクションを含めて2ndまでとは
言えないが非常に良く出来た作品で、この手のものとしては
レベルが高い。淡々とした作品でありながら泣きたくなるような、
非常に美しい作品だ。[91]
ELECTRIC SCAM / DEPRESSIVE AGE
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの4thアルバム。独特の
スタイルと方向性を打ち出した個性的なバンドだったが、
2nd辺りでは、うまくそういった個性を表現出来ていなかった。
前作辺りからそういったところを昇華できるようになり、
このアルバムで結実したといって良いだろう。これまで以上に
スラッシュ・メタル的な部分は希薄で、ギター・リフにのみ
そういう部分が見える。それがダークでじめっとした楽曲に妙な
のりを作り出している。冷めた暗い雰囲気だがドラマティックで、
実に個性的で、オリジナリティに溢れている。楽曲、
演奏も含めて全体の出来も素晴らしい作品だ。[91]
ASSEMBLED FOREVER / DESIRE
スウェーデンのゴシック・メタル・バンドの最新作。方向的には
元々エクストリーム的な色彩は薄かったが、今作では
よりその色合いを強め、ゴシック・ロック的な作品にまで
昇華している。JUHA VALLのクリア・ボイスはTHE CULTの
IAN ASBURYっぽいものだし、楽曲もどことなくTYPE O NEGATIVEを
思い起こさせるような場面もあるが、ゴシック・メタル的な
耽美でニヒリスティックな部分も全くなくなった訳ではない。
女性ソプラノ・コーラスを前作同様導入しているあたりに
そのこだわりが見える。ゴシック・ロックとゴシック・メタルの
中間的とも言える作品で、アイデア、内容とも
かなり良く出来ている。[88]
BREATHING THE BLUE / DECORYAH
フィンランドの3人組みゴシック・メタル・バンドの2ndアルバムに
続くミニ・アルバム。かなりJukka Vuoriuenのキーボードを強く
押し出したサウンドで、リコーダ風のキーボードやフルートを
入れたり、アコースティック・ギターも導入しているものの
シンフォニック的な色合いは非常に薄い。女性ボーカルを
導入したりしているが、中心はあくまでJukka Vuoriuenの
クリア・ボイスであり、この通った冷ややかなボーカルが、この
バンドの特色を良く引き出している。基本的な楽曲はこれまでの
路線とは全く変りなく、耽美で寒々とした独特の世界は
継承されている。女性ボーカルはむしろバッキング・ボーカル的な
使い方をされているが、これがバンドの雰囲気に良くあっている。
ゴシック・メタル・バンドとしてはかなりレベルの高いバンドで、
非常に出来の良い作品だ。[95]
LIVE AT THE OLYMPIA '96 / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドのライヴ盤。RICHIE BLACKMORE
脱退を受けて、STEVE MORSEを新しいギタリストに迎えて1996年に
行われたパリ公演の模様を収めた2枚組みライヴ作品だ。
ホーン・セクションを導入したりとこれまでとはやや趣の異なった
ライヴだが、全体的にSTEVE MORSEに変った事での演奏の違和感は
それ程ないし、ライヴとしての出来も悪くない。やはり
ホーン・セクションには戸惑うところだが、ベテランらしい
安心して聴ける作品に仕上がっている。STEVE MORSEの加わった
DEEP PURPLEがこれでほとんど体感できるだろう。[81]
BIOMECH / DEVIN TOWNSEND(OCEAN MACHINE)
カナダのマルチ・ミュージシャンのプロジェクト・バンドの初の
アルバム。STEVE VAIの作品や、ソロ、STRAPPING YOUNG LADと
言った様々な活動を行ってきたが、これは自らのレーベルを
設立して始めたバンドだ。ポップなメロディにヘヴィでノイジィな
リフをかぶせるという一風変った内容だ。メロディは
シンフォニック・ロックとでも言って良いようなポップで
プログレッシヴなものなので、ミドル・テンポで統一されている。
独特というにふさわしいオリジナリティ溢れる雰囲気で非常に
印象的な作品になっている。楽曲の出来も良いし、
ほのぼのとしながらも激しく叩きつけ来るサウンドはユニークで
良い。[86]
TONIGHT / DEF LEPPARD
1992年にリリースされた4thアルバム、ADRENALIZEよりの
来日後記念シングル。シングル・カットのタイトル・ナンバーの
他に、ロンドンのウェンブリー・アリーナで行われたライヴ
音源からNow I'm Hereとタイトル・トラック曲の
デモ・バージョンと言う構成になっている。Now I'm Hereは、
VAULTにパッケージされていたライヴより遥かに良い出来で、
こうして聴いても何故ああ言った出来の悪いライヴを
パッケージしたのかはは疑問に残るところだ。Tonightのデモは
如何にもデモらしい作品だが、酷すぎずもなく曲のイメージも
生きていて悪くない。[78]
INTO ETERNITY / DESULTORY
スウェーデンのデス・メタル・バンドの1993年にリリースされた
デビュー盤。KLAS MORBEGの咆哮型のデス・ボイスは
中々荒々しく、迫力があって力強い。バックは
スラッシュ・メタル・タイプで、割とメロディをはっきり
出していて、ブルータル・デスなバンドの中でも
かなりメロディックな方だ。リフ、メロディとも結構印象的で、
インパクトが強いのでかなり聴きごたえがある。特に
ギター・ソロなどは秀逸で、下手なスラッシュ・メタル・バンドを
聴くよりこちらの方が遥かに面白い作品だ。[84]
TWISTED FOREVER SMFs LIVE / DEE SNIDER'S SICK MUTHA FUCKERS
L.A.メタル期にニュー・ヨークのヘヴィ・メタル・バンドとして
活躍したTWISTED SISTERのメイン・コンポーザーDEE SNIDER
自身によるTWISTED SISTERのセルフ・コピー・バンドとでも
言うべきバンドのライヴ・アルバム。TWISTED SISTERの復活に
伴って、バンドも存在しない可能性は高い。TWISTED SISTER自身の
一世を風靡したハード・ロックンロールはここでも当然変わる事は
ないし、We're Not Gonna Take Itというヒット曲のほかにも
The PriceやI Wanna Rockといったおなじみのナンバーが
演奏されており、非常に懐かしさを感じさせてくれる作品だが、
それ以上の意味はない。[75]
THORN OF THE LIVING / DEVIATE
ベルギーのハード・コア・パンク・バンドの3rdアルバム。
パワフルで迫力十分のそのサウンドは中々聴きごたえのある作品に
仕上がっている。ザクザクと切り刻むリフはかなりスラッシィな
印象を与えてくれるが、それでもその根底にはパンクらしさを
感じる。と言ってもギター・リフ等はそれ程パンク的な色合いは
強くなく、この手のものとしては最もスラッシュ・メタル
的であり、スラッシュ・メタル・ファンにも十分アピール
出来るだけの内容である。DANNY M.の吐き捨て
ボーカル・スタイルにはハード・コアらしさを感じるが。[82]
SERPENTS OF THE LIGHT / DEICIDE
アメリカのブルータル・デス・メタル・バンドの4thアルバム。
ブラスト・ビートを使った狂暴なそのサウンドは、ここでも
変わらず健在だ。リフ等はややスラッシィな感覚も受けるが、
全体的には、ブラスト・ビートを使った凶悪さを感じさせる
如何にもデス・メタルらしい作品だ。GLEN BENTONの唸るような
デス・ボイスも相変わらず破壊力十分だ。今作でも全体的に短めで
アップ・テンポの楽曲が中心で、10曲で30分とテンポ良く
進んでいく。非常に禍禍しく、狂暴で、破壊的な作品であり、好き
嫌いは分かれるだろうが、そのテンションの高さだけは確かだ。
[80]
HAND MYSELF / DEATH FILE
日本のデス・メタル・バンドのデビュー盤。ブラスト・ビートを
中心としたブルータルな作品で、かなりコアな感じのする作品だ。
場面によってはモダン・ヘヴィネス風な感じをさせる部分もあり、
この手のものとしては結構聴きやすいはずだ。湯浅の吠えまくる
デス・ボイスはかなり安定していて、意外と自然に耳に
入ってくるし、メロディ、楽曲の構成も割とちゃんとしていて
展開もあって、意外に出来の良い作品となっている。演奏も
全体的に攻撃的になっており、破壊力もあるし、聴きごたえのある
パワフルなアルバムに仕上がっている。[82]
ABANDON / DEEP PURPLE
イギリスの大御所ハード・ロック・バンドのアルバム。
ギタリストとしてSTEVE MORSEが加入しての2枚目の
アルバムとなるが、前作がDEEP PURPLEとSTEVE MORSEと言う組み
合わせで,あまり期待していなかった割には、思いのほか良い
作品だった。それに対して、今作は早くもネタ枯れと言う感じで、
ボーカル・メロディのつまらなさが致命的だ。それに対して、
ギター・メロディやキーボードは結構聴くべき所があるので
何とか救われている。ボーカル・ラインにもう少し工夫がないと
厳しいところで、曲作りでその辺りをもっと練り込む等しないと
駄目だ。[75]
OF GLOOM AND LIGHT / DECEMBER DAWN
詳細は全く不明だが、恐らくドイツのゴシック・メタル・バンドの
自主制作によるアルバム。男女のクリア・ボイスによる
ツイン・ボーカルで、IRA WOHLGEMUTHの声は透っていて結構
聴きごたえがある。一方JORG SCHLICHTINGのボーカルはどことなく
音程が安定せず、変にこぶしが回っていて民族音楽的で奇妙だが
面白い。楽曲は非常にシアトリカルで特徴的ではあるのだが、その
出来は残念ながら首をかしげざるを得ず、自主制作の範疇を超える
作品足り得ていない。楽曲にシアトリカルであるという以外の
特長がなく、どの曲も同じように聴こえてしまうのいかんとも
しがたい。その他は悪いという程ではないので、もっと楽曲に幅を
持たせるなりすればかなり改善されると思う。[64]
DEPARTURE / DEPARTURE
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。爽やかで
叙情的なメロディのアメリカン・ハード・ロックで、中々の
完成度を見せている。湿り気を帯びたメロディは洗練されていて
洒落た作品に仕上がっている。KENNY MICHAELSの透った声質が
産業ロック的な洗練さに良く合っている。1980年代前半の
ヒット曲をそのまま現代に持ってきた感じで、こういったポップな
メロディが好きならば結構聴けるはずだ。メロディ・センスは
良いし、全体的な完成度はかなり高いと言って良いだろう。その
一方で、新味には欠けるし、洗練され過ぎている様に思えるので、
フック等を求めると肩透かしになるだろう。DAVID ROSENTHALが
ゲスト参加しているが、RAINBOW的な部分は全くない。[84]
ANGER / DEVILYN
ポーランドのデス・メタルのアルバム。方向的には同郷のVADERと
似た様な感じのブルータルなテクニカル・デス・メタルだ。
NOVYの唸るようなデス・ボイスは、ややこもった感じがするのが
残念なのだが、ブルータルな雰囲気を良く出しており、バンドの
カラーとしてはあっていると思う。ブラスト・ビートを交えた
非常に暴虐性を感じさせるサウンドだけに、この手のものに
免疫がないと少々厳しい感じもするし、テクニカルで変則的な
楽曲はそう言った部分をより助長していると思う。出来れば
もう少しクリアな音にして欲しかったが、この手のものとしては
演奏を含めて割とレベルが高い方だ。[81]
THE SOUND OF PERSEVERANCE / DEATH
アメリカのデス・メタル・バンドの再結成第1弾となる
8thアルバム。CHUCK SCHULDINERのボーカルはヒステリックな
しゃがれ声だが、デス・ボイスと言う様なタイプのものとはやや
異なり、強烈ではあるがそれ程聴き難いものではない。方向的には
テクニカル・スラッシュと言った様な感じで、リフと印象的な
ギター・メロディが渾然一体となって攻めたてて来る。とにかく
楽曲の出来は緻密で良く練られており、さすがと思わせるだけの
出来だし、これまでより更にメロディを強く打ち出しているのも
悪くない。変則的な展開と扇情的なメロディがうまく
構築されており、クオリティは非常に高いと言って良いだろう。
[89]
INFINITY / DEVIN TOWNSEND
STRAPPING YOUNG LAD、OCEAN MACHINE等を率いる、カナダ人
ミュージシャンのソロ・アルバム。この人の作品を聴くと、いつも
怒涛の音の洪水によるサウンドの構築は正に奇才と言える様な
域にまで達している。この作品では、方向的にはOCEAN MACHINE
的なオーセンティックなロックで、よりポップな部分を強く押し
出している様に思える。特にBad Devil等は非常にファンキーで
ポップで、それをこれだけ厚いサウンドでやって見せる所等には
この人の真骨頂が伺える。STRAPPING YOUNG LAD程、怒涛言う様な
感じは当然受けないが、出来はかなりのものだ。Christeenは最近
彼と良く接点のある、THE WiLDHEARTSのGINGERとの共作だ。
ドラムはSTRAPPING YOUNG LAD同様、GENE HOGLANDが叩いており、
この点でも安心して聴いていられる。[83]
UNIVERSAL STRIPSEARCH / DEATH ORGAN
スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの1997年に
リリースされた2ndアルバム。前作ではギターレスの
ハード・ロックにデス・ボイスを入れた様な一種独特のセンスを
持った作品だったが、基本的な路線は前作と同じだ。しかし、
ボーカルは殆どクリア・ボイスになっており、エキセントリックで
ハード・ロックと言うよりはヒップでヘヴィネスな
匂いをさせている。SPIRITUAL BEGGARSにも参加していたWIBARJの
ハモンド・オルガンが全面に押し出されて作品の
中心となっているのは変わりない。ギターの代わりを
ハモンド・オルガンでやると言うアイデアがこのバンドの特色で、
非常にユニークな作品に仕上がっている。[81]
INFINITY-CHRISTEEN : 4 DEMOS- / DEVIN TOWNSEND
カナダ人ギタリストのソロ・アルバム、INFINITYからのシングル。
シングル・カットのタイトル・トラックの他に、
デモ・バージョンが4曲の全5曲と言う構成になっている。デモとは
言っても、十分完成作と言っても良いだけのレベルの
仕上がりになっており、彼の異彩さも十分感じられる作品だ。やや
散漫に感じられなくもないが、ノイズとも言える様なこの音の
洪水は凄まじいとしか言い様がない。THE WiLDHEARTSとの共作が
3曲収められているが、Sit In The Mountainでは、彼の個性に妙な
ポップさが乗せられていて、非常にユニークだ。[80]
EUPHORIA / DEF LEPPARD
N.W.O.B.H.M.バンドの6thアルバム。PYROMANIA、HYSTERIAで頂点を
極めた彼等だが、前作では、方向的にも大きく変化し、
ADRENALIZE、SLANGでの楽曲の出来も今一つとあって、凋落傾向と
言う印象は否定できなかった。今作ではその反省もあってか、
楽曲的にはHYSTERIAに立ち返っていると言って良いだろう。但し、
HYSTERIA程、作り過ぎとも言える位緻密なプロダクションには
あえてされておらず、よりストレートでかっちりと締めた
アルバムに仕上がっている。その分、HYSTERIAに比べると、やや
こじんまりとした印象も受けない訳ではないが、ADRENALIZE、
SLANGに比べれば、楽曲は遥かに良い出来だ。HYSTERIA程の
傑作とまでは言えなくても、復活作と十分言えるだけの
出来にはなっている。[87]
PLANET X / DEREK SHERINIAN
元DREAM THEATERのアメリカ人キーボード奏者による、初の
ソロ・アルバム。DREAM THEATERを思い起こさせるフレーズが
全くない訳ではないが、方向的にはそれ程DREAM THEATERを
引きずっておらず、プログレッシヴ・メタルと言うよりは、
フュージョンっぽいテクニカル・ロックと言う感じのする作品に
仕上がっている。変化もあってテンポも良いし、次から次へと
矢継ぎ早に演奏が続くので、、全曲、
インストルゥーメンタルではあるが、それ程飽きさせない
アルバムだ。DEREK SHERINIAN自身のキーボードだけではなく、
TONY FRANKLIN、VIRGIL DONATIによるリズム隊がサウンドを
かっちりと締めているので、聴きごたえがある。[83]
STATE OF GRACE / DEVIATE
ベルギーのハード・コア・パンク・バンドの4thアルバム。この
手としては、ヘヴィ・メタル側のリスナーにも十分聴ける様な、
スラッシィなリフを刻んで来る。これまでの作品よりも、
ハードで、ヘヴィな作品に仕上がっているので尚更だ。
スピーディで勢いが感じられるし、パワフルで迫力が感じられる。
ただ、ヘヴィ・メタルとしては全く聴けないのが、LAURENSの
ポコポコした軽いドラムだ。あまりにも耳障りで、楽曲の出来は
悪くないし、その他の部分も問題無いだけに、残念だ。こう言う
ドラムが気にならない、スラッシュ・メタルのリスナーであるなら
一聴の価値はあると思うが。[81]
REBORN IN PAIN / DEVILYN
ポーランドのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には、
前作同様、同郷のVADERに通ずる様な、ブラスト・ビートを盛り
込んだグラインド・コア系のデス・メタルだ。やや
メロディらしきものがあって、バックには
スラッシュ・メタルっぽい感じをさせる部分もある。しかし、
基本的にブルータルな作品で、この手のものが好きでないと受け
付けないかも知れない。破壊力的には十分だが、VADER等に
比べると一本調子な感じはどうしてもするし、うめく様な咆哮の
デス・ボイスを始め、全体的にこもった感じのするサウンドが
単調さを助長している様に思える。[80]
GOODBYE / DEF LEPPARD
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム、EUPHORIAからの
マキシ・シングル。シングル・カットのタイトル・トラック曲に、
ALICE COOPERのロックンロール・ナンバーのカバー、
Under My WheelsとWorlds Collide、Burnout、Immortalの
未発表曲が3曲と言う構成になっている。未発表曲はアルバム
未収録曲と言っても、それぞれ彼等らしいキャッチーなメロディに
溢れたミドル・テンポの楽曲に仕上がっており、アルバムに
収められていても決して違和感は感じなかっただろうし、
出来的にも悪くない。彼等のファンならば、十分納得の行く内容と
出来だと言って良いだろう。[81]
OPEN YOUR MIND / DEPARTURE
アメリカのハード・ポップ・バンドの2ndアルバム。元PROPHETの
DEAN FASANOを除くMESSAGEのメンバーによって結成された
バンドで、ギタリストのMIKE WALSHが中心となっている。
DEAN FASANOは楽曲面で協力しており、半分はMIKE WALSHと
DEAN FASANOの共作だし、MIKE THOMPSON SMITHも曲作りで
クレジットされている。こう言う面々で楽曲が
作られているだけあって、そのクオリティは非常に高い。
方向的には前作の延長線上で、甘くキャッチーなハード・ポップが
中心となっている。時に哀愁味が加えられたりと、決して
単調になってしまっていないところにも好感が持てる。
ボーカルには、新たに元TRADIA、VOICESのDAVE BALDWINが加入し、
DAVID ROSENTHALがゲスト参加し、作品的なクオリティはより
向上しており、中々素晴らしいハード・ポップ・アルバムに
仕上がっていると言って良いだろう。[88]
MADE IN EUROPE / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1976年にリリースされた
ライヴ盤。実際にはバンド解散直後にリリースされているのだが、
1975年に行われたパリでのライヴの模様を中心に構成されており、
このライヴこそがまさしく第3期、ひいてはRITCHIE BLACKMORE
在籍時の最後となったライヴだ。しかし、そのぎりぎりの関係が、
ある種LIVE IN JAPANと並び立つ様な絶妙な緊張感を産み
出している。わずか5曲と長い楽曲の中でも、その緊張感が
最後まで飽きさせずに聴かせてくれる。Mistreatedの
RITCHIE BLACKMOREのギター・ソロを始め、中々
凄まじいものがある。[84]
FATE / DEATH
アメリカのスラッシュ/デス・メタル・バンドの1992年に
リリースされた初のベスト盤。当然それまでの音源によるもので、
HUMANまでの4枚のアルバムからチョイスされた内容になっている。
アルバム未収録曲は全くなく、初心者入門用以上の価値が
全くないのは残念だ。テクニカル・スラッシュ/デスは敷居が
高いが、興味あると言う人には悪くないだろう。如何にもDEATHと
言う感じの、ブルータリティで、破壊力のあるサウンドの楽曲で
構成されており、中々強烈だ。その後の作品と比べると、
整理がされていなくて混沌としている感じがするが、その
エナジーは十分堪能することが出来る。[82]
DISCIPLINE / DESMOND CHILD
プロデューサー、コンポーザーとして名を馳せているアメリカ人
ミュージシャンの1991年にリリースされた初のソロ・アルバム。
10年以上、自らの作品を出すことがなかったので、久々の復帰作と
言える作品だ。ALICE COOPER、BON JOVI、AEROSMITH、MEGADETH、
MICHAEL BOLTONと言ったそうそうたるアーティストのヒット作に
コンポーザー、プロデューサーとして活躍して来ただけあって、
楽曲の出来はさすがに安定している。RICHIE SAMBORAと2曲、
共作している辺りも興味深いところだ。それ程ハードではなく、
普通のアメリカン・ロックと言った感じの作品だ。[80]
IN LIVE CONCERT AT THE ROYAL ALBERT HALL "CONCERTO FOR GROUP AND ORCHESTRA" COMPOSED BY JON LORD / DEEP PURPLE AND THE ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA
イギリスのハード・ロック・バンドと
クラシック・オーケストラによる1971年にリリースされた
ライヴ盤。1970年にROYAL ALBERT HALLで行われた公演の模様を
収めたものだ。ボーカリストとして、このアルバムより
IAN GILLANが加入しているが、作品の性質上、彼のボーカルが
聴けるのはほんの僅かだ。ロック・バンドとオーケストラの共演と
言う事で、非常に実験的な作品と言わざるを得ないが、意外と
きちんと纏め上げられており、この共演が成功に終わったのも
うなずける作品だ。オーケストラだけのパートが結構あるので、
やや辛く感じる部分もあるかも知れないが、試みとしては納得
出来る仕上がりだ。[82]
HUMAN / DEATH
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
4thアルバム。今作ではバンドの形態は失われ、ほぼ
CHUCK SCHULDINERのプロジェクトと言った様相を呈している。参加
メンバーはCYNICのドラマー、SEAN REINERT、同じくCYNICの
ギタリスト、PAUL MASVIDAL、SADUSのベーシスト、
STEVE DIGIORGIOと言う、これまでのメンバーにも優るとも
劣らないミュージシャン達を集めて制作されている。これまでの
混沌とした感のある作品と比べると、かなり整理されているように
感じる作品だが、出来自体は決して悪くない。静的な部分が
それなりに入ってきているだけに、ややこじんまりした印象を
受けなくもないが、CHUCK SCHULDINERらしい、攻撃的で
テクニカルさは健在だし、PAUL MASVIDALのギター・プレイが
切れている。[83]
24 CARAT PURPLE / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの1975年にリリースされた
ベスト盤。単純にベスト盤と考えると、ベストとしての選曲には
やや不満を覚えなくもない内容だが、このアルバムの注目すべき
点は後半の部分だろう。後半はライヴ・テイクを中心に
構成されており、Smoke On The Water、Child In Timeは
LIVE IN JAPANからのライヴ・テイクだが、Black Nightは初出の
ライヴ音源となっている。Speed Kingはアルバム未収録の、
イントロ付きのバージョンのもののうち、RITICHIE BLACKMOREの
ギターとJON LORDのオルガンが炸裂するバージョンのものだ。[80]
DONE BY MIRRORS / DERIS
ジャーマン・パワー・メタル・バンド、HELLOWEENの
ボーカリストによる2ndソロ・アルバム。バンド名義にし、より
バンド的な形態の強いソロ・プロジェクトと言っても良いだろう。
方向的には、PINK CREAM 69以来の如何にも彼らしいメロディに
溢れたアルバムだ。Let Your Love Fly Freeや
Did It All For Youと言った独特の扇情感を持った楽曲は、
哀愁味があって素晴らしい。その一方で、Dangerousと言った
これまでの彼の作風から外れた楽曲が散見され、こう言った部分を
受け入れられるかどうかでかなり評価が分かれて来るだろう。とは
言っても、アルバム全体から見ると、やはり違和感を
感じずにはいられない。[81]
TIME LOST / DEFYANCE
詳細は全く不明だが、恐らくアメリカの
プログレッシヴ・メタル・バンドの1999年にリリースされた
自主制作の2ndアルバム。DREAM THEATERの様な、整合性を
感じさせると言うよりは、B級臭さが強く匂うサウンドだ。特に
さびの流れるような叙情的なメロディは、AUDITORY IMAGERYを思い
起こさせるところがある。アレンジ面等、粗はまだまだ見えるが、
AUDITORY IMAGERYの様な、叙情的な哀愁のメロディを強く打ち
出した、よりストレートなプログレッシヴ・メタルが好きならば、
聴く価値はあるだろう。SCOTT ANDREASの
ハイ・トーン・ボーカルも、バンドの色合いには良く合っている。
自主制作と言うこともあってか、プロダクション的にもあまり
良いとは言えないが、悪いアルバムではない。[84]
TOTAL ABANDON AUSTRALIA '99 / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの自費出版による2枚組み
ライヴ盤。現在のメンバーでのライヴでと言うことになると、
LIVE AT THE OLYMPIA '96に次いで2作目だ。全体的に非常に
リラックスした雰囲気があって、のびのびと演奏していると言った
感が伺える。STEVE MORSEが加入してある程度時間が経った
事もあって、ライヴとしてのコンビネーションも良く、
緊迫感はないがベテランらしい円熟味を感じさせるライヴ盤に
仕上がっている。選曲も定番と言える楽曲が中心な訳で、
LIVE AT THE OLYMPIA '96と比べて目新しさはないが、安心して
聴ける内容ではある。[80]
HOWE SWEET HELL... / DELLAMORTE
スウェーデンのデス・メタル・バンドのアルバム。方向的には、
いわゆるスラッシュ・メタル系のブルータルなデス・メタルで、
勢いと破壊力のある作品に仕上がっている。
ハード・ロックンロール的な色合いがあって、結構のりの良い
アルバムに仕上がっている。PETER "TAGTO" TAGTGRENの
ボーカルは、デス・ボイスと言うよりシャウトと言った感じの
咆哮で、割と聴き易いのではないかと思う。ボーカル・ラインの
面白味は残念ながら今一つと言った感じだが、リフが中々良い
出来なので、どことなくつまらなさそうでありながら、最後まで
聴けてしまう。[79]
IMMORTAL SUN / DESTILLERY
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。方向的には、
IRON MAIDEN型と言えるものだが、ヨーロッパのバンドらしい
愁いを帯びた叙情的なメロディがより前面に押し出されている。
この手のバンドに良く見受けられる様なB級メタルの範疇を、この
バンドも決して超えてはいないのだが、独特のメロディ・センスが
何とも言えぬ味わいを醸し出している。プロダクションは悪い
方で、尚更B級臭さを感じられる原因になっているが、この
バンドにはそれ程気にする事もないだろう。哀愁のメロディの
芋臭いB級ヨーロピアン・メタルとしては、抜きんでた存在と
言っても良い位だ。IRON MAIDEN色の薄い楽曲の方が
味わいがあるので、もっとそう言う路線を突き詰めた方が
良いだろう。[84]
DEMONS & WIZARDS / DEMONS & WIZARDS
ドイツのパワー・メタル・バンド、BLIND GUARDIANの
ボーカリスト、HANSI KURSCHとアメリカの
パワー・メタル・バンド、ICED EARTHのギタリスト、
JON SCHAFFERによるプロジェクトのアルバム。方向的には、正しく
この組み合わせらしいと思わせる様な、BLIND GUARDIANと
ICED EARTHエッセンスを兼ね備えたアルバムに仕上がっている。
HANSI KURSCHが歌っているだけあって、やや
BLIND GUARDIANっぽさが強く感じるかもしれないが、ICED EARTH
的なメロディ展開は決して小さくない。壮大でメロディアスな
作品となっており、Fiddler On The Greenでのアコースティックと
コーラスは中々素晴らしい。[83]
MONUMENTAL MUTILATIONS / DEATHWITCH
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの4thアルバム。
KING DIAMONDのANDY LA ROCKQUEがプロデュースし、
JAMES MURPHYがマスタリングすると言う、豪華な作品だ。その
所為もあってか、この手の作品としてはかなりプロダクションが
良い状態だ。音楽的には、ブラック・メタルと言うよりは
スラッシュ・メタル型のデス・メタルと言った方が近いだろう。
ブラスト・ビートを入れながらも、ドラマティックな
ギター・メロディを差し挟んで来る。アグレッシヴで非常に
攻撃的なサウンドに仕上がっており、悪くない作品だ。[79]
WHITE PONY / DEFTONES
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3rdアルバム。方向的には、
うねりを感じさせるグルーヴィなヘヴィ・ロックだが、いわゆる
ドゥーム/ストーナー系とは全く違い、洗練された如何にも今風の
ヘヴィ・ロックと言った感じのアルバムに仕上がっている。
デジタルを前面に押し出した様な楽曲は今一つ面白味に
欠けるのだが、愁いを感じさせるどんよりとした重苦しい静かな
オルタナティヴ・ロック的なサウンドから、一挙にヘヴィな展開に
持って行く様は中々圧巻で、非常に聴き応えがある。新しい形態の
モダン・ヘヴィネスと言っても良い作品で、アイデア自体は
買える。[83]
THEN & NOW / DEREK ST.HOLMES
元TED NUGENT、THE MICHAEL SCHENKER GROUPのギタリストによる
ソロ・アルバム。アコースティック中心のロック・アルバムで、
歌えるギタリストとしてTHE MICHAEL SCHENKER GROUPに
加わっただけあって、彼が全曲ボーカルを取っている。方向的には
叙情的でキャッチーなメロディのアメリカン・ロックで、少し
愁いがかったほのぼのとしたナンバーは中々良く出来ていて
リラックスさせてくれる。楽曲によってはブルージィな
色合いもあり、彼の透ったボーカルが良く合っている。やや
地味にも感じる様なロック作品だが、楽曲は良いし、中々聴き
応えのあるアルバムに仕上がっている。[86]
RITES OF CHAOS / DEMON EYES
フランスのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた
アルバムにボーナス・トラックとして7曲追加収録したもの。
方向的には、この頃のフレンチ・メタルの多くのバンド同様、
N.W.O.B.H.M.の影響を色濃く受けたバンドの一つと言えるだろう。
扇情的でアップ・テンポなBLITZKREIGっぽさを感じさせる楽曲で、
曲によってはIRON MAIDEN的なドラマティックな展開が
入ってきたりするものもある。この手のものとしては避けて
通れないチープな音質は、この作品でもかなりのもので、正に
N.W.O.B.H.M.を体現した作品だと言って良いだろう。[83]
HALF-WAIT ANTHEMS / DEADWEIGHT
アメリカのミクスチャー・ロック・バンドの2ndアルバム。その
サウンドがユニークなのは、本来ギターとベースがいるところを
そのパートをエレクトリック・バイオリンとチェロが
取っているところだろう。にも関わらず、不自然さを感じさせず、
ロック作品として成り立っているところにそのアイデアと
ユニークさが成功していると言える部分だろう。ファンキーで
ポップな楽曲も上手く調理しており、個性として上手く成り
立っている。全体的にもう少し変化が欲しいと言う
気もしなくはないが、オリジナリティもあって悪くない
アルバムだ。[82]
ALL HELL BREAKS LOOSE / DESTRUCTION
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの4年振りとなる
6thアルバム。デビュー前からのメンバーで、バンドのサウンドの
支柱だったとでも言うべきボーカリスト、SCHMIERが11年振りに
復帰しての作品だ。近年での変則的でアグレッシヴな
サウンドからすると、かなりストレートな感じになったと言って
良いだろう。彼等の絶頂期とも言えるRELEASE FROM AGONYとはやや
趣は違うが、如何にもコアなスラッシュ・メタル然とした作品に
仕上がっている。流石SCHMIERが復帰しただけあって、彼の
ボーカルのアジテーションは凄まじい。最近では珍しい、
破壊力のあるスラッシュ・メタルらしいアルバムに
仕上がっている。[84]
PHYSICIST / DEVIN TOWNSEND
カナダ人ボーカリスト兼ギタリストの2年振りとなる2ndアルバム。
ソロ以外にもSTRAPPING YOUNG LADやOCEAN MACHINEと
ソロ・プロジェクトを同時進行させる等、多彩な活動で知られる
ミュージシャンだが、その鬼才振りはこのアルバムでも
変わりないところを見せてくれている。正に音の洪水と言った
感じだが、Material等は中々キャッチーな面を強く見せている。
前作と比べると、このポップ性がより強くなった感じがあり、その
分奇抜さがそれ程感じられない。メンバー自体は
STRAPPING YOUNG LADと変りはないし、音楽的にもそう隔たった
事をやっている訳ではないので、どう言うところでソロ作品と
位置づけているのか良く判らないが、彼らしいオリジナリティに
溢れている。[85]
COMPLETELY DEHUMANIZED / DECEMBER WOLVES
アメリカのブラック・メタル・バンドの1999年にリリースされた
3年振りとなる2ndアルバム。ブラスト・ビートを多用し、
キーボードの使い方等は、シンフォニックな印象を受けて、北欧に
通ずる部分も無きにしもあらずだが、完全に北欧系統の
ブラック・メタルかと言えばやや違って来る。攻撃的な
スラッシィなギター・リフが中心で、北欧のバンド程メロディを
前面に押し出して来る事はない。EMPERRORの様なバンドとしての
様式を明確にすると言うよりは、テクニカルな色合いがあり、この
辺りはアメリカのデス・メタルの影響が感じられる。DEVONの
ボーカルは唸る様な感じで、どちらかと言うとデス・ボイス的だ。
ドラムはどうもサンプリングの様で、軽いトコトコとした音質が
気になるが、割合自然で悪くない。[78]
THE DAWN OF DYING / DESPERADOS
ドイツのヘヴィ・メタル・プロジェクトのアルバム。SODOMの
TOM "BOOZE" ANGELRIPPERを中心としたプロジェクトで、全曲彼が
ボーカルを取っている。ギタリストのALEX "BIGMOUTHED" KRAFTが
全曲作曲しているだけあって、SODOMとは毛色が異なっている。
ベースとなっているのはスラッシィなヘヴィ・メタルだが、
マカロニ・ウエスタンを題材としており、楽曲によってはこれらの
映画音楽をヘヴィ・メタル風にアレンジした様なかなりの特異性を
見せている。このマカロニ・ウエスタン風のサウンドが非常に格好
良く、ギターのサウンド等はD.A.Dを思い起こさせる部分もある。
マカロニ・ウエスタン映画での哀愁を感じさせるメロディを
ヘヴィ・メタルとして見事に再現しており、バンジョーまで持ち
込んで実に格好の良い作品に仕上がっている。[87]
ADDITIONAL PARTS INSIDE / DEAD MEN WALKING
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。
プログレッシヴ・メタル・バンド、DREAMSCAPEの元ドラマー、
ANDI ANGERER、ギタリスト、STEFAN GABNER等を中心とした
バンドだ。DREAMSCAPEがDREAM THEATERの流れを汲んだ
テクニカル・プログレッシヴ・メタルであるのに対して、こちらは
よりヘヴィ・メタル然とした作品になっている。EMPIREの頃の
QUEENSRYCHEっぽくもあるが、MINDSCAPE程QUEENSRYCHE
的でもない。アダルトな雰囲気に満ちており、クールでシャープな
アルバムに仕上がっており。実に落ち着いた雰囲気があり、それ
故に派手さは感じられないが、その出来は素晴らしく単に地味と
言ってしまうには勿体無い程のレベルだ。[88]
BEHIND THE MASK / DESTILLERY
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には
MANOWARっぽさを感じる楽曲に、IRON MAIDEN的なメロディと
曲展開を持った、ドラマティックで硬派なヘヴィ・メタルを
聴かせてくれている。FLORIN REINMANNのビブラートする下手ウマ
的なボーカルを始め、楽曲、プロダクションともB級臭さの強く
感じる作品だ。しかし、愁いを帯びた勇壮なメロディは中々格好
良く、引き付ける魅力は感じられる。やや演奏にパワフルさが
感じられないため、折角の楽曲が今一つ生きてこないのは残念だ。
不器用さは感じるが、彼等らしい魅力は感じられるし、
プロダクションが良くなればかなり良くなるとは思える。[82]
INERTIA / DEREK SHERINIAN
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンド、DREAM THEATERの
元キーボードによる初のソロ・アルバム。TOTOのギタリスト、
STEVE LUKATHER、OZZY OSBOURNEのギタリスト、ZAKK WYLDE、
BLUE MURDERのベーシスト、TONY FRANKLIN、ドラマーの
SIMON PHILIPS等をゲストに迎え作成されている。内容的には
いわゆるインストルゥーメンタル作品だが、キーボードと
言うよりは、意外とギターを前面に押し出した作品となっている。
ギターを弾いている人間によって楽曲の感じは
変わってくるのだが、ギターのインストルゥーメンタル作品に割と
多い、フュージョンっぽさを感じさせる楽曲が多いと言って
良いだろう。参加しているメンバーがメンバーだけに、流石と
言えるだけの演奏を聴かせてくれているし、楽曲の出来も
悪くないので、純粋に演奏を楽しむには悪くない。[80]
UGLINESS REVEALED / DEFILED
日本のデス・メタル・バンドの3rdアルバム。今作より
インディとは言え、アメリカのレーベルからリリースされている。
方向的には確かにアメリカのデス・メタル的な、グラインド・コア
系のひたすらブルータルな作品と言って良いだろう。
ブラスト・ビートを中心とした攻撃的なサウンドに、テクニカルな
演奏からなっており、短い楽曲が次々に奏でられて行く。
ボーカルの藤本は重低音の咆哮型デス・ボイスも効果的で、
全体的に非常に破壊力のあるアルバムに仕上がっている。
テクニカル・デス・メタル辺りを聴けないと厳しいかも
知れないが、この手のものとしては中々レベルが高い。[82]
WINDS OF CREATION / DECAPITATED
ポーランドのデス・メタル・バンドのデビュー盤。VADER等に
代表されるポーリッシュ・デス・メタル・シーンだけに、彼等の
その方向性もテクニカルでブルータルなものだ。特にVITEKが叩き
出すドラミングは驚嘆させられるレベルで、そのドラミングも
相俟って凄まじいブラスト・ビートを作り出している。
スラッシィなギター・リフも攻撃的で複雑に構築されていて
面白い。SAURONのデス・ボイスは、地の底から這い出してきた様な
重低音の咆哮で、凶悪さを増している。このボーカル・パートは
それ程速くないため、全体的にVADER程忙しなさを感じる
事はないだろう。[83]
IN TORMENT IN HELL / DEICIDE
アメリカのデス・メタル・バンドの7thアルバム。音楽的には
グラインド・コアの流れを汲んだテクニカルなデス・メタルと
言った、如何にもアメリカのデス・メタルらしい作品だ。しかし、
今こうして聴いてみると意外と聴き易く、VADERやCRYPTOPSY等と
言った、更に先鋭化したバンドが登場して来た現在の
エクストリーム・ミュージック・シーンにおいて、当時斬新さに
溢れていた彼等のサウンドも、やや陳腐化して来ている様な
気もする。ブラスト・ビートも使われているが、全体的にリフは
スラッシィなものが中心で、楽曲はコンパクトで全体で30分
程度しかない短さだ。[79]
TERRIA / DEVIN TOWNSEND
カナダ人ミュージシャンの3rdソロ・アルバム。
STRAPPING YOUNG LADやOCEAN MACHINE、PUNKY BRUSTERと言った
数多くのプロジェクトを抱え、精力的に作品を発表し続ける
彼だが、今作でもその才能をいかんなく発揮している。これまでの
彼の作品と言うと、怒涛の様な音の奔流に押し流されそうな程
濃密なサウンドを聴かせてくれていたが、今作ではかなり趣を
変えている。その濃密なで独特のサウンドは変わりないが、
全体的に非常に遅い事が特徴と言えるだろう。より
プログレッシヴ・ロック的なエッセンスが強くなっており、
ドラマティックでスケール感のある作品に仕上がっている。[86]
THE ANTICHRIST / DESTRUCTION
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの7thアルバム。前作より
ボーカリスト兼ベーシストのSCHMIERが復帰し、往年の輝きを
取り戻した感があるが、そのテンションは今作でも
持続されている。スラッシュ・メタル全盛期の1980年代後半を
偲ばせる様な、ごりごりのサウンドは懐かしさも感じさせる。
攻撃的なリフをバックに、SCHMIERのアジテーションに溢れた
シャウトが盛り上げている。スラッシュ・メタルが衰退して久しい
昨今、これだけ破壊力たっぷりのスラッシュ・メタルらしい
スラッシュ・メタルを聴かせてくれると嬉しくなって来る。[85]
LAST TEMPTATION / DELIGHT
詳細は良く判らないが、恐らくポーランドの
ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。
デス・ボイスも若干絡めてくるが、基本的にはPAULINA MASLANKAの
ソプラノが中心となっている。楽曲的には、意外とメタリックで
メロディック・デス・メタルの色合いが強く、この
手のものとしてはよりダイナミズムの感じられるアルバムに
仕上がっている。ややシアトリカルな雰囲気もあるが、メロディの
出来等は悪くないし、彼女のボーカルも含めてまずまず満足出来る
仕上がりだ。ただ、変化が少なく、一本調子で最後には聴き
飽きてくるのが難点と言って良いだろう。[82]
INWARDS / DEWーSCENTED
ドイツのデス・メタル・バンドの4thアルバム。方向的には
スラッシュ・メタルを基調とした、ブルータルなデス・メタルで、
時にはブラスト・ビートを織り交ぜながらも、ザクザクとリフを
切り刻んでくる。この手のものとしては、それ程メロディアスさを
意識しておらず、SLAYERのWar Ensembleをカバーしている事からも
判る通り、SLAYERの流れを汲むコアなスラッシュ系デス・メタルと
言える作品だろう。非常にオーセンティックで生々しい
音作りがなされており、フックがあって聴き応えのあるアルバムに
仕上がっている。LEFF JENSENのボーカルは、デス・ボイスと
言うよりしゃがれ声程度で、それ程抵抗なく聴けるだろう。[83]
THIS TIME AROUND LIVE IN TOKYO 75 / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの2枚組みのライヴ盤。
1975年に行われた日本での日本での公演の模様を収めたものだ。
1977年に日本で同じ音源でリリースされた、
LAST IN CONCERT IN JAPANをノー・カットで復刻したもので、
完全盤と言える作品だ。そのため、ジャケット等そのままで、
輸入盤であるにも関わらず、日本語がプリントされている。
ギタリストにTOMMY BOLINをフュチャーした、最後の編成での
ライヴだが、そのTOMMY BOLINが不調なのが残念だ。だが、この
頃のライヴ音源としては、プロダクションは極めて良好で、そう
言う意味では価値がある。[84]
SPACED OUT MONKEY / DEMON
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの9年振りとなる
10thアルバム。N.W.O.B.H.M.期にポップな楽曲とブラック・メタル
的な歌詞で知られたバンドで、その後よりプログレッシヴ・ロック
的な方向性へと変化して行ったが、このアルバムもそう言った
プログレッシヴ・ロック的な方向性を残しながらも、より
ヘヴィ・ロック的な音楽性へと傾倒した作品と言えるだろう。
彼等としては1980年代中期以降の色合いを残してはいるが、もっと
今風と言える様なスペース・ロック作品に仕上がっている。
DAVE HILLのボーカルは相変わらずで懐かしさを感じるが、
楽曲としてはやや平凡と言う感じがする。[78]
LIVE IN L.A.(DEATH & RAW) / DEATH
アメリカのデス・メタル・バンドのライヴ盤。1998年に行われた
アメリカでの公演の模様を収めたものだ。ギタリスト兼
ボーカリストのCHUCK SCHULDINERが脳腫瘍を患ったため、その
ベネフィット作品としてリリースされたものだが、その甲斐もなく
彼は昨年なくなっている。そう言う作品であるためだろうが、
一切手が加えられておらず、録音されたままのものの様だ。
そのため、今一つバランスが良くなかったりと、プロダクション
面で不満を感じるが、音はある程度クリアだし、選曲もベストに
近いので、大筋においては満足出来る作品と言って良いだろう。
[83]
LADY OF THE LORE / DESDEMONA
イタリアのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。イタリアの
パワー・メタル・バンドと言うと、ジャーマン・パワー・メタルの
影響を受けた、シンフォニックなパワー・メタルと言うイメージが
最近は強いが、このバンドはどちらかと言うと、如何にも
ヨーロッパらしい憂いを帯びた叙情的なメロディを前面に押し
出したパワー・メタルと言えるだろう。ジャケットを始め、
全体的にヨーロッパのB級メタル的なダサさが漂っているのだが、
メロディの出来と、ボーカリスト、ANDREA MARCHISIOの歌唱力の
確かさが、そう言ったバンドとの大きな違いになっている。
FOCA TORCHIAのキーボードも印象的で、独特の味わいを
出している。[84]
RED ASUNDER / DEVIATE
オランダのハード・コア・パンク・バンドの5thアルバム。この
手のバンドとしては、最もメタリックなサウンドを
聴かせてくれているバンドで、今のヘヴィ・ロック、
ラウド・ロック向きの作品と言って良いだろう。ザクザクとした
スラッシィなリフを前面に押し出し、基本的にはこれまでの
延長線上とも言えるアルバムだ。今一つ印象に残る楽曲がないのが
残念だが、攻撃的で重厚さの感じられる破壊力のある作品で、
緊迫感があって聴き応えがある。パコパコしたドラム音は
相変わらず気になるが、それでもまだ幾分改善された方だろう。
[80]
X / DEF LEPPARD
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りの8thアルバム。
SLANGでのモダンでアダルトなサウンドへの変化が失敗に終わり、
前作でHYSTERIAの頃のサウンドへの揺り戻しが見られたが、
今作ではそれがより一層推し進められている。ベースは彼等らしい
キャッチーなコーラスを前面に配した、ポップ・センスに溢れた
ものとなっているが、しかし、そこにSLANGで見せたアダルトな
見せたセンスを上手くのせており、彼等らしさを失わずに
調和させた印象を受ける。そこにSLANGでの失敗の経験を上手く
生かしながらも、もう一度挑戦し様と言う意思が感じられる。そう
言う部分もあって、ややだれた感じを受けなくもないが、ここ
最近の彼等としては満足の行くところだ。[85]
NIHILITY / DECAPITATED
ポーランドのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。ポーランドの
デス・メタルと言うと、VADERが代表格だが、このバンドもその
例に漏れず、VADERの影響を受けた、流れを汲むバンドと言って
良いだろう。ブラスト・ビートを取り入れた、グラインド・コア
系のテクニカルなデス・メタルで、そのプレイもこう言った
音楽をやるだけのレベルにはある。ドラムだけはやや切れが悪く、
折角の雰囲気を殺いでしまっている様に感じられるのは残念だが、
これだけ速いドラムを叩くのが並大抵でない事を考えると、
致し方ないところなのかも知れない。VADERと比べると、より
オーソドックスで、SLAYERっぽさが出ている作品だ。[82]
ROYAL STRAIGHT FLESH / DEFLESHED
スウェーデンのデス・メタル・バンドの3年振りとなる
4thアルバム。バックのサウンドは、明らかにオーソドックスな
スラッシュ・メタル・スタイルを取っており、如何にも
デスラッシュと言える様な内容に仕上がっている。ドラムは、
最近エクストリーム・ミュージック界では引っ張りだこの
DARK FUNERAL、NONEXIST等で活躍するMATHIAS MODINが
叩いており、こう言う上手い人がリズム隊に居ると、リフも
しっかり締まって、実に格好良く聴こえる。メロディは意外と
キャッチーな部分があったりするが、やや一本調子なのが残念だ。
[82]
BLASTERPIECE THEATRE / DECEMBERWOLVES
アメリカのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。音楽的には
アメリカのエクストリーム・ミュージック・シーンの
バンドらしい、ブラスト・ビートを前面に配した、
グラインド・コア型のブラック・メタルだ。北欧
ブラック・メタルの様な、メロディが前面に出る部分等なく、
暴虐と破壊の凄まじいエナジーを感じさせる作品だ。今作では
インダストリアル・メタル的なエッセンスも盛り込み、より不穏な
感じのする作品に仕上がっている。アメリカらしい暴力性を押し
出しており、非常に強い負のエナジーが色濃く漂ってくる。[80]
BLOWN / DEEDS
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りの3rdアルバム。
元々はDIRTY DEEDSと言うバンド名で活動しており、改名後の初の
作品となるアルバムだ。STEVE HARRISとの繋がりで
デビューしたが、N.W.O.B.H.M.バンドのCHARIOTを母体としている
バンドで、音楽性自体はCHARIOTと大きな変化はない。
ハード・ロックンロールを基調としたキャッチーな
ヘヴィ・メタルで、TONY NEWTONのベース・ラインにのみ
STEVE HARRISっぽさを感じさせるものがある。目新しさはないが、
意外と骨太で、楽曲や構成等もベテランらしい確かな実力を
感じさせてくれるアルバムだ。[82]
THE FALLOUT / DEFAULT
カナダのヘヴィ・ロック・バンドの2001年にリリースされた
デビュー盤。楽曲的にはオルタナティヴ・ロックの流れを
汲むもので、そこにモダン・ヘヴィ・ロックらしいハードな
サウンドを取り入れている。オルタナティヴ・ロック的な渋い
メランコリックな楽曲は中々良く出来ており、そのまま
オルタナティヴ・ロックとして仕上げても全く問題ない。
プロデュースはNICKELBACKのCHAD KROEGERが
担当しているだけあって、そう言った雰囲気を感じさせる
アルバムで、NICKELBACKのファンなら割と受け入れ易い音楽性と
言えるだろう。[84]
CORPORATE WHEEL / DEPARTURE
アメリカのハード・ロック・バンドの3年振りの3rdアルバム。
叙情的なメロディを押し出し、キーボードを良く効かせた
アメリカン・メロディアス・ハード・ロックと言える作品で、
今や懐かしさすら感じさせる産業ロック的な香りが感じられる。
そう言った作品の中でも、どことなく大らかさを感じさせる
楽曲で、それを伸びやかに歌い上げる今作より加入した
TIMOTHY LEWISの張りのあるハイ・トーンが素晴らしい。
メロディは叙情的であると同時に、適度にキャッチーな
MIKE WALSHのメロディ・センスの良さが良く出ているアルバムだ。
[84]
HILLER ENGINE / DEMONS OF DIRT
スウェーデンのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。その
音楽性はアメリカにおけるヘヴィ・メタルのキャッチーなのりの
良さと、北欧におけるエクストリーム・メタルの攻撃性を併せ
持った様な感じだ。楽曲には基本的に判り易くてアメリカ南部的な
泥臭さを感じさせるメロディを持ちながら、その一方で
ツー・バスを駆使した、破壊力のあるリフをザクザクと切り刻んで
来る辺りが面白く、またこのバンドの二面性を良く現していると
言って良いだろう。ボーカルはモダン・ヘヴィネス的なシャウトで
通しており、その攻撃的な部分をより一層引き立てている。[83]
LIVE IN DENMARK'72 / DEEP PURPLE
イギリスのハード・ロック・バンドの2枚組ライヴ盤。1972年に
行われたデンマークでの公演の模様を収めたものだ。ビデオ
収録したものをCD化したもので、この作品を始め、過去のライヴ
音源が次々にリリースされているだけに、ファンでないと追うのは
少し辛いところだ。この時期の音源としてはプロダクションは十分
良いが、全体的なサウンドのバランスが悪く、ボーカルが前に
出過ぎている様に感じられる。それでも、バンドの最盛期と言える
頃の音源だけあって、バンドの持つパトスとアジテーションが良く
伝わって来る。曲の演奏時間は非常に長く、2枚組でわずか9曲しか
収められていない。[83]
ROCK AND ROLL STAR / DEMON DRIVE
ドイツのハード・ロック・バンドの2001年にリリースされた
3rdアルバム。前作はCASANOVAのアルバム、HEROESリメイクを
含んだ作品となっており、純然たるアルバムとしては6年振りと
言っても良いかも知れない。CASANOVA、元MAD MAXのボーカリスト、
MICHAEL VOSSとBONFIREのANGEL G.SCHLEIFERによって始められた
バンドだが、ANGEL G.SCHLEIFERは脱退している。どう言う経緯で
こう言うややこしい事になったのかは判らないが、とりあえずは
このバンドがパーマネントなバンドとなる様だ。アメリカ風味を
湛えた、キャッチーなメロディアス・ハード・ロックで、もう少し
憂いも欲しいところだが出来は悪くない。[80]
ALIVE DEVASTATION / DESTRUCTION
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドのライヴ盤。2002年に
ドイツで行われたフェスティバルに出演したときの模様を
収めたものだ。生々しいと言うにしては音が割れていたりと、
プロダクションはあまり良くないのが実際のところだが、それが
逆にパワフルでエナジーの迸るライヴの熱さを伝えてくれる
結果になっているし、彼等のコアで暴力的ななサウンドがより
攻撃的に感じられる効果も出していて、痛し痒しと
言うところだろう。ひたすら攻撃的でねじ伏せてくる容赦のない
パフォーマンスは圧巻で、ここまで徹底されたら逆に
爽快ですらある。[83]
THE LAMENT CONFIGURATION / DECEMBER
アメリカのデス・メタル・バンドのデビュー盤。とてもそうは
思えない、北欧メロディック・デス・メタルっぽいバンド名と
ジャケットだが、それを期待すると外される。ここで
展開されているのはまさしくグラインド・コア系のブルータルな
デス・メタルで、ブラスト・ビートを多用しながら攻撃してくる。
しかし、何と言っても驚きなのは、プロデューサーを
DEVIN TOWNSENDがやっている事で、彼らしいオーバーダブが随所に
盛り込まれており、非常にカオティックで、一種
サイバー・ブラックっぽさを感じさせるものになっている辺りが
面白い。[85]
DEFTONES / DEFTONES
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3年振りの4thアルバム。
オルタナティヴ・ロック風の、どんよりとした憂いを感じさせる
楽曲のヘヴィ・ロックで、スクリーモを多用すると言う、この
手としては割と古株のバンドでありながら、今の流行をほとんど
兼ね揃えている辺り、このバンドの先進性が感じられる。最近の
バンドの様な洗練さはそれ程ないが、エモーショナルでありながら
陰鬱に感じられるダークなサウンドは中々面白い。部分的には
非常に陰鬱に感じられるところがあり、NEUROSIS辺りを感じさせる
部分もあるが、この静と動の対比辺りももう少し有効に使えると
面白いと思う。[83]