BORROWED TIME / DIAMOND HEAD
N.W.O.B.H.M.バンドの1982年にリリースされた2ndアルバム。
扇情的で緊張感のある楽曲に、SEAN HARRISの下手ウマ的な
ボーカルがそう言った部分をより強く助長している。この
シアトリカルとも言える緊張感が、ただ単純に哀愁があると言う
様な域から脱しさせており、凡百のN.W.O.B.H.M.のバンド群とは
一味も二味も違うものにしている。好き嫌いの分かれそうな
サウンドだが、楽曲の出来は良いし、N.W.O.B.H.M.に咲いた
徒花的な快作と言って良いだろう。METALLICAもカバーした、
Am I Evil?はどちらかと言うとこのアルバムとしては特殊な部類の
楽曲で、より愁いのある扇情的な作品だ。[89]
CANTERBURY / DIAMOND HEAD
N.W.O.B.H.M.バンドの1983年にリリースされた3rdアルバム。
前作までの方向性からやや変化が見られ、どことなく明るく乾いた
のりのアルバムに仕上がっている。前作まであった叙情的な憂いは
減退し、前作までのファンにとってはかなり戸惑う作品と言っても
良いだろう。キーボード奏者のCHRIS HEATONが加わり、かなり
実験的なアルバムとなっている。彼等自体の個性、と言うよりも
SEAN HARRISのボーカルは変わることなく存在しているが、
楽曲自体は明らかに新たなエッセンスが取り入れられている。
One More Night等はこれまでなかったキャッチーな
メロディーとなっているし、プログレッシヴ・ロック的な
エッセンスを感じるものもある。To The Devil His Dueと言った
これまで通りの彼等を感じさせてくれる楽曲もあり、新たな
方向性を模索している様子を伺わせてくれる。[86]
SINGLES / DIAMOND HEAD
N.W.O.B.H.M.バンドの1992年にリリースされたアルバム未収録
音源集。HelplessやThe Princeと言った、後にMETALLICAが
カバーとして取り上げることで有名になった楽曲も含まれている。
アルバムに集録されている楽曲と比べると、あまり
ダークさはなく、よりストレートなハード・ロックンロールと言う
感じがする。と言っても、そこはやはり彼等だけあって、単純に
のりだけを楽しませる様な楽曲になっていない。どことなく煮え
切らなさを持っていて、プロダクションの悪さもあいまって、B級
臭さを湛えている。貴重な音源が数多く集録されていて、
ファンには涙もののアルバムだ。[88]
THE FRIDAY ROCK SHOW SESSIONS / DIAMOND HEAD
N.W.O.B.H.M.バンドの1992年にリリースされたライヴ盤。1980年、
1982年にそれぞれBBCのラジオ番組、THE FRIDAY ROCK SHOW用に
録音されたもので、1980年のものは、ラジオ番組の放送用に
行われたスタジオ・ライヴで、1982年のものは
レディング・フェスティバルでのライヴの模様を収録したものだ。
元々、スタジオ・アルバムもプロダクションが
良くなかっただけに、スタジオ・ライヴ等は、却ってクリアな音に
聴こえる。演奏も安心して聴けるレベルだし、SEAN HARRISの
ボーカルもアルバムそのままの歌唱を聴かせてくれている。
来日することもなく、ライヴ・アルバムを出す事無く
解散しただけに、彼等のライヴの模様を伝える貴重な音源だ。[87]
DEATH AND PROGRESS / DIAMOND HEAD
N.W.O.B.H.M.バンドの1993年にリリースされた再結成して初となる
4thアルバム。聴いてみてまず思うのが、良い意味でも悪い
意味でもプロダクションが良くなっている事だ。解散前にあった
うらわびしさが全くなくなって、非常にお洒落な
作品になってしまっている。SEAN HARRISの下手ウマ的な微妙な
ビブラートもほとんど無くなって、どこもかしこも
普通になってしまった様な気がする。彼等たらしめていた要素が
全く無くなって、かといって楽曲が特別面白いと言う
訳でもないので、非常に困ってしまう作品だ。旧来の
ファンからすると聴きどころになるべきところが全くない。[74]
EVIL LIVE / DIAMOND HEAD
N.W.O.B.H.M.バンドの1994年にリリースされたライヴと未発表
音源からなる2枚組アルバム。ライヴは1993年に行われた
NATIONAL BOWLフェスティバルでのライヴの模様を収めたもので、
クリアな音質ではあるが、音のバランスが今一つ悪いし、
選曲的にも今一つ納得出来ないところがあって、ライヴ
音源としてはTHE FRIDAY ROCK SHOW SESSIONSに及ばない。
それでもTo The Devil His Due等はSEAN HARRISの下手ウマ的な
ボーカルが聴けるし、まだ何とか聴ける。未発表音源集は、
再結成後に録音されたものばかりで、楽曲も面白味に欠けるし、
あまり意義が感じられないアルバムだ。[76]
RATED REXX / DIAMOND REXX
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
2ndアルバム。と言っても今風のパンキッシュな
ハード・ロックンロールではなく、どことなく古臭さを感じさせる
サウンドだ。ワイルドなハード・ロックンロールと言う感じだが、
全体的にミドル・テンポ中心で、かなりグラマラスな作品に
仕上がっているところが大きい。そのため、憂いを含んだ
Guilotine等は非常にALICE COOPERっぽいものになっている。特に
NASH HABITSのボーカル・スタイルも良く似ているの尚更だ。
メンバー・ショットの化粧をもそれらしいので、かなり意識しての
事だろう。[80]
WE COME OUT AT NIGHT / DISTURBANCE
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。正統的な
アメリカン・ハード・ロックで、洗練されたサウンドを
聴かせてくれる。適度にキャッチーで、適度にのりが良く、飛び
抜けた楽曲はないが、安心して聴いていられるレベルには
達している。明るく叙情的な、いかにもアメリカンと言った感じの
作品で、コーラスを多用しているが、これが中々良い感じだ。
この手のバンドとしては珍しくツイン・ギターで、
ボーカルだけではなくギターを意外にも全面に押し出しているし、
中々厚みのあるサウンドに仕上がっている。[82]
LOCKUP THE WOLVES / DIO
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた
5thアルバム。Born On The Sun等、DIO結成時から引き継いできた
様式美ヘヴィ・メタルはここでも一応健在だ。楽曲は全て
RONNIE JAMES DIOが書いている様なので、当然と言えば当然だが。
ただ、初期の様式美臭さを考えると、こう言った面がかなり
希薄になった感もなくはなく、DIOらしい作品にも関わらず
インパクトが今一つ感じられない。彼等らしいミドル・テンポの
楽曲が中心であるのにも関わらず、一部メロディにらしさが
感じられないのも問題だ。JENS JOHANSONやSIMON WRIGHTと言った
実力派が脇を固めているし、ROWAN ROBERTSONも悪い
ギタリストでないだけに、演奏面は安心して聴いていられる。[80]
STRANGE HIGHWAYS / DIO
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
6thアルバム。中心人物である、RONNIE JAMES DIOのBLACK SABBATH
復帰により、一時解散していたが、再びBLACK SABBATHを出る
事によって再始動した。前作での方向性の変化は物議を醸したが、
それでもこれまでの路線の延長線上の範囲内であった。それに
対して、今作はよりはっきりとした方向性の変化を出している。
BLACK SABBATHでのDEHUMANIZERや、新しいギタリストのTRACY G
加入による影響等が考えられるが、かなりヘヴィネス色の強い
作品に仕上がっている。同時に様式美的な色合いがかなり
減退しており、前作以上にこれまでのファン離れを引き
起こしそうな感じがする。[79]
FIVE EASY PIECES / DIRTY LOOKS
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1992年に
リリースされた3rdアルバム。ハード・ロックンロール的な
色合いを持ちながらも、かなりメタル色の強いサウンドだ。楽曲は
非常にフックがあってグルーヴィで、彼等の成長の後が良く
伺える。とにかく楽曲が良いのと、生々しいダイナミズム溢れる
プロダクションが成功している。MAX NORMANが
プロデュースしているが溜飲を下げるだけの仕上がりだ。
またHENRIK OSTERGAARDのボーカルが、こう言うサウンドに良く
合っている。楽曲は、特にOnly Tomorrowのメロディは非常に
ユニークで聴いていて面白いと思えるし、パワー・バラードの
Let It Rainも実に格好良い。[89]
CHEWING ON THE BIT / DIRTY LOOKS
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1994年に
リリースされた4thアルバム。前作から、ボーカルの
HENRIK OSTERGAARDを除いてメンバーは一新されている。
そのせいもあってかどうか判らないが、やや雰囲気が
変わっている。破天荒なハード・ロックンロールと言う基本的な
音楽性は全く変わる事はないのだが、少しストレートになった様な
感じを受け、グルーヴィさが減退したように思える。その分楽曲に
魅力が今一つ感じられず、のり切れない部分がある。とは
言っても、それは前作と比較した場合の話で、この作品でも十分な
出来ではあるのだが。[84]
DISCIPLES OF LOVE / DISCIPLES OF LOVE
ノルウェイのハード・ロック・バンドの1991年にリリースされた
デビュー盤。方向的には明らかにDEEP PURPLEを意識スタイルだと
言って良いだろう。それはLazyをカバーしている事でもはっきりと
判る。RUNE BZのJOHN LORD風のハモンド・オルガンにIAN GILLAN
風のボーカルは、明らかに趣味の世界だ。楽曲の古臭さもそう
言った面を更に助長している。しかし、それでもこのアルバムを
楽しめるのは、それを聴かせるだけの実力と楽曲の
良さがあるからだ。こう言うアルバムを何枚も作って通用するとは
到底思えないが、1枚位こう言うアルバムがあっても良い。[81]
GRAVE NEW WORLD / DISCHARGE
イギリスのハード・コア・パンク・バンドの1986年に
リリースされた2ndアルバム。これまでの方向性から大きく
転換し、ヘヴィ・メタル然としたサウンドになっている。
ボーカルのKELVIN MORRISはかなり金切り声でシャウトしており、
ギターも含めてかなりメタリックな音作りになっている。ただ、
この手としてはスラッシュ・メタル的なエッセンスはなく、正統派
ヘヴィ・メタルと言う感じだ。楽曲によってはドーミィーな
ギター・リフなどもあって、OZZY OSBOURNE在籍時の
BLACK SABBATHを思い起こさせる所も多分にある。もう、既に
ヘヴィ・メタルといっても違和感のないサウンドだし、のりが
良いので、メタル系のリスナーにも十分聴ける筈だ。ただし、
ヒステリックなボーカルは勘にさわるかもしれない。[78]
THE PRICE OF SILENCE / DISCHARGE
イギリスのハード・コア・パンク・バンドの1991年に
リリースされた、アルバム未収録音源を集めたアルバム。1981年に
リリースされたシングル、NEVER AGAINを中心とした日本独自の
企画盤だ。初期の音源が中心となっているだけあって、録音状態は
かなり悪く、もこもこしている様に聞こえる。方向的には、
ハード・コア・パンクではあるが、メロディ・ラインはある
程度あるので聴けなくはないだろう。疾走感はあるものの、
彼等としては楽曲的にもそれほど注目出来るものではない。所詮は
ファン向けのコレクターズ・アイテムでしかないと言って
良いだろう。[74]
MASSACRE DIVINE / DISCHARGE
イギリスのハード・コア・パンク・バンドの1991年に
リリースされた、再結成第一弾となる5年振りの3rdアルバム。
前作同様、方向的にはかなりヘヴィ・メタル的で、
前作ではなかったスラッシュ・メタル的な感じが、わずかながら
出ている。かなり無機質な感じで音の処理も機会的になっており、
サウンド的にはよりアップ・テンポになった感じを受ける。
メロディ・ラインはしっかりしていて、ヘヴィな音作りなので、
そこら辺のハード・コア・パンクよりもかなりヘヴィ・メタル的に
感じられるだろう。ただ、前作に比べると、メロディに面白味が
欠けるし、手放しでは喜べない。[76]
SHOOTIN UP THE WORLD / DISCHARGE
イギリスのハード・コア・パンクの1994年にリリースされた
4thアルバム。アップ・テンポのヘヴィ・メタルっぽい
ハード・コア・パンクと言った感じだった、それまでのその
方向性は大きく変化し、ヘヴィでラウドな作品に仕上がっている。
楽曲によってはミドル・テンポのあまり早くないものも入れて
来ている。KEVIN MORRISのボーカル・スタイルも少し変って
来ており、語尾を高くしたようなイントネーションは機会的で
不快に感じるかもしれない。バックはより
スラッシュ・メタルっぽくなっているが、こじんまりして
奥に引っ込んだ感じでボーカルとのバランスは今一つ
良くない。[76]
PERDITION / DISORDER
イギリスのハード・コア・パンク・バンドの1982年に
リリースされたミニ・アルバム。DISCHARGEの様な
スラッシュ・メタルぽいところはほとんどなく、これぞ
ハード・コア・パンクと言った感じの楽曲で構成されている。
ハード・コア的な音が濃密に詰まっているという感じで、多分
ヘヴィ・メタル系のリスナーが聴いても面白いとは全く
思えないだろう。8曲集録されているが、パンクらしく1曲1曲が
短くあっと言う間に終わってしまう。楽曲も取りたてて面白いとは
思わないし、あくまでもハード・コアのリスナー向けと
言ったところだろう。[64]
DIE VERBANNTEN KINDER EVA'S / DIE VERBANNTEN KINDER EVA'S
詳細は全く判らないが、恐らくスイスの
ブラック/ゴシック・メタル・バンドのアルバム。方向的には、
アンビエント系シンフォニック・ブラック・メタルで、MORTIS等と
全く同じ系統だ。こう言う作品は評価する論点を探すのに
困るのだが、バロック調の楽曲が延々と続く眠気をさそう楽曲群で
構成されている。MORTISと違う所は1曲1曲が短いので飽きる前に
曲が終わってくれる事と、美しいコーラスを入れたりソプラノの
女性ボーカルを入れていたりしている事だろう。その分聴き
流せるので、まだポイントは高いが、そうは言ってもあまり
お奨めし難い作品だ。[75]
IMBROCCATA / DILEMMA
オランダのプログレッシヴ・ロック・バンドのデビュー盤。
SIレーベルからリリースされているだけあって、
ポンプ・ロックよりはもっとハードで動的な雰囲気があり、のりの
良いシンフォニック・ロック的な系統の作品と言えるのだが、その
一方でシンフォニック・ロック的な要素は、それほど強く打ち
出されてはいない。ROBIN Zのキーボードを中心とした奥行きの
広いサウンドは美しいが、特別これといったものはなく、やや決め
手に欠ける感じだ。BUTLERのボーカルはさして上手いとは
言えないが、バンドのカラーには合っていて悪くない。[78]
WILL POWER / DIEZEL
元TINDRUMのコンビによるノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドの
デビュー盤。特にバンドを率いるDIESEL DAHLは、TNTの2ndと3rdで
プレイしていたので馴染み深い人も多いだろう。彼のそう言った
経歴が語る様に、確かにアメリカナイズされているものの、
それらのバンドとはかなり方向性が違って来ている。TNTのような
ポップ・センスの冴えたハード・ロックというよりも、素朴な
アメリカン・ロック風の作品と言った感じだ。これはこれで
悪くないのだが、こういう地味な作品を果たしてファンがこう
言うものを望むかと言うと疑問だ。[82]
LIVE IN JAPAN / DIZZY MIZZ LIZZY
北欧のハード・ロック・バンドのライヴ・アルバム。日本では一部
マスコミに異様にプッシュされたお陰で結構売れたようだが、
どうもどうしてそこまで入れ込むのか良く判らない。悪いとは
決して思わないし、所々印象的なメロディもあるがそれ以外の
価値をどうしても見出せないバンドだけに、アルバム一枚だけ
出してのいきなりの来日公演で、しかもそれが
アルバムになってしまうことに少々と惑いを感じる。だが、
オーバー・ダブされているにしても思ったより演奏は良い様に
思える。実際にライヴ・パフォーマンスを見ていないので
そのライヴを正当な評価は下せないが。[83]
THE SOMBERLAIN / DISSECTION
北欧メロディック・デス・メタル・バンドのデビュー・アルバム。
スラッシュ系メロディック・デス・メタルで、かなり
アップ・テンポな楽曲が並んでいる。ボーカルはダミ声というより
歪ませたような絶叫するタイプでブラック・メタルに共通する
様な感じだ。全体的には攻撃的なのだが、アコースティックを
用いたり、一部のギター・ソロ等、叙情的な面も多分にあり、
ブルータルな部分とメロディが交互に絡み合っている。展開と
変化があるので、ドラマティックに盛り上がると言う
程でもないのだが、単調になっていない所は評価出来る。[84]
DIZZY MIZZ LIZZY / DIZZY MIZZ LIZZY
北欧のハード・ロック・バンドのデビュー・アルバムだが、
マスコミのプッシュもあって日本ではデビュー前からブレイクと
言う感じだった。しかし、このバンドがこれだけ売れるなら、
同じTHE BEATLESから影響を受けたENUFF Z'NUFFももうちょっと
売れてもよさそうなものだと思う。ENUFF Z'NUFFと比べると、
もう少しのりが良くて、グランジ的な影響が見えるのが若干
異なるが。日本でのライヴの様子を聞くと、メンバー間の不和に
将来に不安が走るが取敢えず、このアルバムではTHE BEATLESに
影響を受けた憂いを帯びた良質のロックを聴くことが出来る。[85]
NATURAL NEEDS / D.I.M.
ノルウェーのテクニカル・ロック・バンドのデビュー盤。通常、
テクニカル・ロックと言われているバンドとは少し趣向が
違っていて、かなりファンキーな内容のアルバムに
仕上がっている。ファンク・ミュージックだけではなくて、
ジャズの影響もあったりして、曲構成はかなり変則的でメロディを
楽しむというのはあまり出来そうにない作品だ。跳ねた変則的な
リフで、どちらかと言うとプログレッシヴ・ロックのリスナーの
方が案外すんなりと受け入れ易いかもしれない。アイデアは
ユニークだし、こう言う作品を作るだけあって、演奏レベルも
十分な域に達している。[76]
STORM OF THE LIGHTE'S BANE / DISSECTION
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。
EMPERROR等に見られる、ブラスト・ビート中心ながら、メロディを
前面に押し出し、ブラック・メタル・ボイスを駆使したりと、
典型的なブラック・メタルと言えるものだ。JON NOBTUEIBTの
ボーカルは、ややデス・メタルっぽいダミ声ながら
ブラック・メタルらしく高くフェイクすると言うスクリーミングに
近いものだ。楽曲は如何にもと言ったブラック・メタル的な
展開であり、美しいメロディと同時に破壊的なエナジーに
溢れている。ボーカル・パートでは、かなり濃密に
ブラスト・ビートを入れて来るので、少しわずらわしい
気もするが、寒々とした雰囲気が良く伝わって来る。[85]
MASSIVE KILLING CAPACITY / DISMEMBER
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。
ボーカルのMATTI KAERKIはTOM ARAYAをもう少しきつくした感じで
あまりデス・ボイスという感じではないので聴き易いだろう。
楽曲もかなりメロディがしっかりしていてスラッシュ・メタル的と
言って良いだろう。ブルータルではあるものの、かなりメロディが
しっかりと押し出されている。曲はDEAD SERIOUS、SLAYERなどと
通ずる部分もあり、楽曲によってはもっとメロディアスで
パワー・メタル的な部分もある。デス・メタルらしい、
ブルータルな破壊力は健在で、強烈な作品に仕上がっている。[84]
ROTATOR / DIZZY MIZZ LIZZY
デンマークのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。基本的には
前作と同じ路線で、THE BEATLESの影響の見える
サウンドなのだが、ENUFF Z'NUFFと大きく違うのはグランジ等の
より今風の影響が見えるヘヴィさだろう。11:07等を初めとする、
気だるく甘ったるいメロディは、くどい気もするが哀愁味があり、
これはこれで味がある。センス的には良いものを感じるし、前作の
ファンには期待を裏切る事はないであろうが、前作よりも哀愁味が
減退した分だけ、ファンでない人には最後まで聴くには少々
辛いのではないだろうかと思える。[81]
DISTANT CRY / DISTANT CRY
カナダのハード・ロック・バンドのデビュー盤。ハード・ポップの
アルバムを多くリリースする事で有名な、
LONG ISLAND RECORDSからのリリースだが、取りたててポップ
過ぎるという訳ではない。むしろBAD COMPANY的な要素が強く、
さらにハードにした感じだ。ブリティッシュ的なエッセンスに
溢れていて、枯れた風情があるので、曲によってはTHUNDERを思い
起こさせる部分も若干ある。ただし、これらよりはよりハードで、
DEEP PURPLEに影響を受けたという事もあってか、キーボードは
時によって、非常にJOHN LORDっぽいプレイをする。
レコーディング中にボーカルが交代しており、このアルバムでは
二人のボーカルが歌っているようだが、タイプ的にはあまり
変わらないので違和感はそれ程ない。[84]
WINTERLAND / DIVINE SIN
スウェーデンのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。
メロディック・デス・メタルともパワー・メタルとも取れそうな
内容で、FREDDE LUNDBERGのボーカルは野太く歪ませているが、
ちゃんと歌っておりデス・ボイスとまでは言いがたい。楽曲は
メロディアスだが、ギター・リフはザクザクと刻んでくるし、
攻撃的なのでスラッシュ・メタル的とも言える。楽曲から、こう
言うボーカル・スタイルを選んだのだろうが、吉と出るか凶と
出るかは聴き手の意識によるだろう。ダークでヘヴィで
迫力はあるし、プロダクションがもっと良くなればかなり良い
作品になった事だろう。[80]
ANGRY MACHINES / DIO
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りのアルバム。
方向的には前作のSTRANGE HIGHWAYSの延長線上と言えるもので、
モダン・ヘヴィネス的な色合いのある作品であり、BLACK SABBATH
復帰後のRONNIE JAMES DIOの作品に不満を抱いている
人間にとっては、やはり同じ不満を抱かざるを得ないだろう。何故
彼が、RAINBOWや初期のDIOで見せた、様式美的な方向から
離れてしまったのか理解出来ないが、これがギタリストの
TRACY Gによる影響だとしたら、TRACY GとRONNIE JAMES DIOは
あまり合わなのではと言う感想しか持てない。楽曲は全体的に
ミドル・テンポ中心であり、可も無く不可も無くと
言ったところだ。[74]
DIAMOND IN THE ROUGH / DIAMOND IN THE ROUGH
カナダのハード・ポップ・バンドの1stアルバムで、メンバーが
固定されていないところを見るとプロジェクト・バンドだろう。
ギタリストとしてRIK EMMETTやRAY ROPPERも参加している。
アメリカ風の非常に洗練された楽曲が並び、曲によっては
湿り気もあって飛びぬけた部分はないものの平均的に
良く出来ている。キーボードは割と前に出ているが、全体的には
バランスも良いし、ボーカルも楽曲にあっていて良い出来だ。
LONG ISLAND recordsらしい爽やかな内容で
ハード・ロックというには至らないので、ポップなものが好な
人向けだろう。[86]
HORIZONS / DIVINE REGALE
詳細は良く判らないが、
プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの1994年に多分唯一
残した自費出版のミニ・アルバム。自費出版にしては
プロダクションはかなり良く出来ている方で、複雑な展開の楽曲も
垢抜けない部分はあちこちに見られるが、この手のものとしては
かなり良い部類に入る。AUDITORY IMAGERY等のような、
キーボードを前面に押し出した、叙情的で、哀愁のあるメロディの
サウンドを身上としたバンドだが、これらのバンドでは
かなり出来が良い方だ。まだ少し楽曲の練りが
甘いところもあるが、十分期待させる内容だし、これ一枚で
終わるとしたら非常にもったいない話しだ。[89]
BRUTALITY OF WAR / DISGUST
EXTREME NOISE TERRORのボーカリスト、DEAN JONES、DISCHARGEの
ギタリスト、DAVE ELLESMERE等によって結成されたイギリスの
ハード・コア・パンク・バンドの1993年にリリースされた
デビュー盤。楽曲は激しく叩きつける様な、如何にもと言った
感じのハード・コア・パンク・ナンバーで、方向的には
DISCHARGEのそれであり、DEAN JONESの咆哮が狂暴さをより強く
醸し出している。激しいとは言っても、メタル的な色合いは
あまりなく、あくまでもパンキッシュな作品であり、スラッシィと
言う程でもないのだが、SLAYER辺りが好きならまだ聴けるだろう。
[77]
THE TEMPTRESS EP / DIE LAUGHING
詳細は良く判らないが、イギリスのゴシック・メタル・バンドの
ミニ・アルバム。3曲のスタジオ収録曲に3曲のライヴという
構成で、メンバー・ショットを見ると女性ボーカルを含む
3人組みのようだ。ドラムは打ち込みのようで、キーボードが
かなり前面に押し出したものになっている。このメンバー構成で
ライヴをどうやってこなしているのかは疑問だが、ライヴの曲も
割とそつなくこなしている。方向的にはニュー・ウェーヴ系の
軽やかなのりの流麗なサウンドで、美しい女性ボーカルが
そういった感を一掃強めている。耽美だが陰鬱さは全くなく、
非常に美しい作品に仕上がっている。楽曲の出来も悪くないし、
このバンドが作り上げている雰囲気が浮揚感があって非常に
ユニークで面白い。[88]
LIGHTNING TO THE NATION / DIAMOND HEAD
METALLICAのカバーで一躍名を馳せたN.W.O.B.H.M.バンドの
1980年にリリースされたデビュー盤。元々はタイトルが
ついていなかったが、1981年にこのタイトルでリリースされた。
METALLICAもカバーしたThe Prince、Am I Evil、Helplessといった
馴染み深い楽曲が収録されている。
リマスターされているだけあって、音はかなり
クリアなものになっている。初期の勢いのあるストレートな
ナンバーが当然中心なのだが、2ndアルバムにも収録される
Lightning To The Nationsの様などことなく侘しさを感じさせる
曲も混在している。SEAN HARRISのへたうまなボーカルも
魅力十分で、独自の雰囲気を湛えた聴きごたえのある
作品になっている。ボーナス・トラックも8曲収録されていて
非常にお買い得なアルバムだ。[94]
DANGER OF INFECTION... / DIRTY DEEDS
N.W.O.B.H.M.のCHARIOTが元々母体となっているバンドで、
実際にはデビュー盤というと、やや語弊を感じるアルバムだ。実際
楽曲からは垢抜けてはいるが、そこはかとなくN.W.O.B.H.M.の
香りが感じられ、それを現代に持ってくればこんな
感じになるのだろう。ベース・ラインはいかにも
IRON MAIDENという感じで、STEVE HARRISが設立した
BEAST RECORDSの第一弾としてはぴったりの素材なのかも
知れない。Dividing Line等は哀愁の感じられるメロディの
パワフルなヘヴィ・メタルでなかなか聴きごたえがある。
目新しさはあまり感じられないが、楽曲の出来を含めて全体的に
良い作品だ。[85]
DEATH METAL / DISMEMBER
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
4thアルバム。元々パワー・メタル色の強いサウンドであったが、
この作品ではよりストレートでパワフルなものになっている。
メロディへの比重はやや下がったが、エナジー溢れる硬質の
サウンドは破壊的でなかなかに強烈だ。IRON MAIDENっぽい
部分のあるSilent Are The Watchers等、楽曲によってはより
メロディをより押し出したものもある。全体的に短めの楽曲で
構成されており、テンポ良く進んでいき、のりの良い作品だ。
力強く、勢いのある作品で、出来は結構良い。[82]
WEDDING THE GROTESQUE / DIABOLIQUE
スウェーデンのゴシック・メタル・バンドのデビュー盤。非常に
ダークな色合いを感じさせる作品で、ギターがかなり前面に押し
出されている事もあって、どちらかと言うと
ドゥーム・メタルっぽく感じられる。KRISTIAN WAHLINの
ボーカルはクリア・ボイスだが、野太い不気味さを感じさせる
ボーカルだ。メロディック・デス・メタルから
デス・ボイスでなくしたような感じすらするし、耽美さは
ほとんどなく、荘厳さも全くないので、ゴシック・メタルと言う
風にはほとんど感じないはずだ。ドゥーミィなのは良いが、ただ
単にダークなだけで、メロディにあまり面白味が感じられない。
[69]
ENTHRONE DARKNESS TRIUMPHANT / DIMMU BORGIR
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。
STIAN AARSTADのキーボードが前面に押し出されていて、
ときによってはシンフォニック・ブラックの様な部分も見せる
事はあるが、主流はあくまでも普通のブラック・メタルだ。
キーボードによって色々と味付けをしているといった感じで、
楽曲にある程度展開を持たせている。キーボードによる壮大な
メロディだけではなく、ギター・メロディも強く打ち出していて、
メロディアスなものが好きな人には聴きごたえがある作品に
仕上がっている。SHAGRATHのブラック・メタル・ボイスは
しゃがれ声のもので、それ程聴きがたくはないので随分と
聴きやすい作品ではあるが、それだけだ。[83]
PENETRATIONS FROM THE LOST WORLD / DIMENSION ZERO
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンド、
IN FLAMESのギタリスト、GLENN LJUNGSTROMとJESPER STROMBLADの
二人を中心とするプロジェクト・バンドのミニ・アルバム。
その他にもMARDUK、CARDINAL SINのJOCKE GOTHBERG等が
参加している。アコースティック・インストルゥーメンタルの
Everlasting Nevernessを除けば、方向的には扇情的なメロディの
メロディック・デス・メタルで、IN FLAMESをより
アップ・テンポでアグレッシヴにした様なサウンドだ。
スラッシュ系のメロディック・デス・メタルと言う色合いの作品に
仕上がっており、出来は中々素晴らしい。[85]
DIO'S INFERNO:THE LAST IN LIVE / DIO
元RAINBOW、BLACK SABBATHのアメリカ人ボーカリスト率いる自己の
バンドの2枚組みライヴ・アルバム。はっきり言えば、ここ最近の
RONNIE JAMES DIOの参加するBLACK SABBATH、DIOのアルバムは
どれも凡作と言って良い内容のものばかりだった。ヘヴィな作品
作りを考えての事だろうが、それが災いしていると言っても
良いだろう。このライヴ・アルバムではDIOが最も脂の乗り
切っていた初期の名曲The Last In LineやHoly Diver等と言った
より様式美を押し出した楽曲を収めていて、やはり曲の出来が
違うと感嘆させてくれる。しかし、RONNIE JAMES DIO本人も
年のせいか、やや高音部分に張りが感じられないのが残念だ。
出来自体は決して悪いわけではないのだが、2nd後位の時に
ライヴ・アルバムを作っていればという様なノスタルジィを
感じる。[81]
GLAMOUR AND SUICIDE / DIE LAUGHING
詳細は全く判らないが、恐らくイギリスの
ゴシック・メタル・バンドのアルバム。方向的にはいわゆる
ニュー・ウェーブ系という奴で、キーボードが全面に押し出された
割と軽めで流麗なサウンドが特徴だ。軽快に進んでいく楽曲に
Rachel Specightの優しいボーカルが良くあっている。
ゴシック・メタル的な荘厳さは全く感じられないが、美しは良く
出ていると思う。楽曲は全体的にアップ・テンポ中心で次々に
進んでいくと言う感じで悪くはないのだが、一方で流麗すぎて
フックがあまり感じられないのが難点だ。アルバムをとおして
変化があまり感じられないので、聴き流す程度には良い出来だとは
思うが、集中して聴くには少し辛いところだ。[82]
GODLESS SAVAGE GARDEN / DIMMU BORGIR
ノルウェイのブラック・メタル・バンドのミニ・アルバム。新曲が
2曲、リメイクが2曲、カバーが1曲、ライヴが4曲と言う
構成になっている。メロディを全面に押し出しながらも、非常に
パワフルで破壊的なところには好感が持てる。おどろおどろしい
サウンドに、Shagrathのブラック・メタル・ボイスは良く
合っているし、ブラック・メタルらしいキーボードも悪くない。
新曲のレベルは決してアルバムに劣るものではないし、リメイクの
出来もドラマティックで素晴らしい。ACCEPTのカバー、
Metal Heartは割とオリジナルに忠実で、そこにキーボードが
被さってきている。Shagrathのボーカルも思ったよりは
合っているし悪くない出来だ。ライヴの方は、録音状態に少し
問題があるが、演奏自体は中々の出来だ。[84]
SPIRITUAL BLACK DIMENSIONS / DIMMU BORGIR
ノルウェーのシンフォニック・ブラック・メタルの4thアルバム。
方向的には、よりアグレッシヴなシンフォニック・ブラックと言う
感じで、シンフォニックらしい荘厳なMUSCISのキーボードに
不似合いな程、激しく複雑な内容になっている。この
手のものとしては、最もアップ・テンポな作品で、邪悪さの
感じられるアルバムだ。叙情的なメロディを織り込みながらも
楽曲は激烈で、SHAGRACDのスクリーミングもあいまって破壊力
抜群だ。複雑な展開があって、それなりに飽きさせない
様にはなっているが、ここぞと言う所が今一つ感じられないのが
残念だ。[83]
NIGHTWORK / DIABOLICAL MASQUERADE
スウェーデンのブラック・メタル・プロジェクトの3rdアルバム。
その実態はシンフォニック・ブラック・メタル・バンド、
KATATONIAのギタリスト、BLAKKHEIMによるプロジェクトだ。
DAN SWANO等がゲスト参加しているが、ほとんど彼の一人
プロジェクトと言って良いだろう。他にもスラッシュ系の
メロディアス・ブラック・メタル・バンド、BEWITCHEDの活動等、
非常に精力的に活動している。このアルバム、その中でも最も
シアトリカルな作品で、ブラック・メタルらしいキーボードに
ブラスト・ビートと言う、正統派的なブラック・メタルだ。
アップ・テンポで破壊的なサウンドにメロディを配していて、
非常にダークなアルバムに仕上がっている。[80]
ALL LITTLE DEVILS / DISMAL EUPHONY
詳細は全く不明だが、恐らくノルウェイの
ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。女性
ボーカルとデス・ボイスによるツイン・ボーカルとなっている。
方向的には非常にシアトリカルなアルバムで、LACRIMOSAよりは
更にメロディック・デス・メタル的な色合いは濃いと言って
良いだろう。プロデューサーはGRIP INC.のWALDEMAR SORYCHTAで、
キーボードやギターもゲストとしてプレイしている。
ゴシック・メタルとしての耽美さや荘厳さはないが、
ツイン・ボーカルも含めて、彼等の狂気の世界が非常に良く描き
出されている。[80]
TO THE EDGE AND BEYOND / DIARY
ドイツのハード・ロック・バンドのデビュー盤。方向的には
ポップで叙情的なメロディのハード・ロックで、楽曲の出来は
かなりレベルが高い。美しくキャッチーなメロディは、実に聴き
易いし、良く出来た楽曲がずらりと並んでいる。
ANDREAS STOLLERのボーカルは、透った声質で、高音では良く
伸びて素晴らしいのだが、ミドル・レンジではややだみ声になって
少し辛い。プロダクション的にも、ややチープに感じない
部分がない訳でもないが、決して酷いと言う程ではない。
Too Late For Love等、扇情的でフックがあり、非常に
聴きごたえのあるものに仕上がっている。[85]
SOFT & STRONGER / DIE APOKALYPTISCHEN REITER
ドイツのブラック・メタル・バンドのデビュー盤。とにかく出鼻の
IRON FISTのキーボードのユニークさは、非常に面白い。
ブラスト・ビートを入れた、オーソドックスなブラック・メタルを
ベースにしながらも、様々なアイデアを取り入れていて、決して
飽きさせない所に好感を持てる。SKELETTONのしゃがれた
ブラック・メタル・ボイスもそれ程聴き難いものではないし、
クラッシク的な要素を取り入れたり、全体的に奇妙だが聴き易い
作品だ。デビュー盤にして、これだけのアイデアとクオリティを
出せれば十分だろう。この手のものとしては、白を基調とした
ジャケットに目新しさを感じる。[85]
REAL WORLD / DIRTY DEEDS
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。AC/DCの曲名を
連想しそうなバンド名だが、ロックンロール色の強い
曲もあるのだが、実際にはそういう部分はない。N.W.O.B.H.M.の
CHARIOTのメンバー等によって結成されたバンドで、方向的には
前作同様オーセンティックなヘヴィ・メタルをやっている。元々
TONY NEWTONのベース・ライン等は、非常に
STEVE HARRISっぽかったりしたものの、それ程IRON MAIDEN的な
印象は受けなかったが、今作では楽曲によっては、Long Way Down
等、IRON MAIDENの香りがする楽曲がある。全体的に1980年代的な
懐かしさを感じさせるアルバムで、芋臭さも感じるのだが、出来は
悪くない。[80]
THE BLACK FLOWER / DIABOLIQUE
スウェーデンのゴシック・メタル・バンドの3rdアルバム。
しかしその音楽性は、最早メタルと
呼べるものではなくなっており、むしろゴシック・ロックと
言ってしまっても良いだろう。サイケデリックで、ヘヴィさを
排除したサウンドに、気だるさを感じさせる様な
KRISTIAN WAHLINのクリア・ボイスと完全にその音楽的路線を
変更してしまっている。TYPE O NEGATIVE等より重厚さがなく、
淡々としている印象があり、盛り上がりに欠けるのでアルバム
1枚を通して聴いているのは少し辛い気もするが出来としては
悪くない。[75]
HATE CAMPAIGN / DISMEMBER
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
5thアルバム。ベーシストには、MERCYFUL FATE、ARCH ENEMY、
WITCHERY、SINERGY等を兼業しているSHARLEE D'ANGELOがここでも
ベースを弾いている。方向的にはこれまでの延長線上と
言えるもので、ややブルータルな色合いを持ったパワー・メタル型
メロディック・デス・メタルだ。デス・ボイスを使う事を除けば、
ほとんどパワー・メタルと言った感じのバンドが多い昨今、
デス・メタルらしいブルータルさを持っている事はある意味好感が
持てる。プロダクション面でこれまでより大きな進歩が見られ、
フックがこれまで以上に感じられる。[81]
MAGICA / DIO
アメリカのハード・ロック・バンドの3年振りのアルバム。
TRACY Gの加入以降、一貫してモダン・ヘヴィネス的な路線を
追求する事で過去のファンを落胆させてきたが、今作では
メンバーの刷新の元、初期の様式美ハード・ロック的な路線に揺り
戻している。ドラマティックでRONNIE JAMES DIOらしいパワフルな
ボーカルも聴かれるのだが、HOLY DIVERの様な、冗長とまで言って
良い様な派手さが感じられず、臨揚感に欠ける
作品となってしまっている。RONNIE JAMES DIOのボーカルだけが
妙に浮いて聴こえ、何だかのり切れない。プロデュース次第では
もっと良くなったのではないかと思えるだけに、何だか割り
切れない思いだ。[79]
REDEMPTION / DIVINE EMPIRE
アメリカのデス・メタル・バンドのデビュー盤。
元MALEVOLENT CREATIONのボーカリスト、JASON BLACHOWICZ
等によるバンドだけあって、その音楽性は正しく
MALEVOLENT CREATIONのそれを引き継いだものと言って
良いだろう。スラッシュ・メタルのエッセンスを取り入れた、リフ
中心の非常にブルータルなデス・メタルで、JASON BLACHOWICZの
唸る様なデス・ボイスは非常に迫力がある。攻撃的で疾走する
サウンドに、意外に聴き易いギター・メロディも出て
来たりするものの、全体的に楽曲の変化が乏しいと感じる
部分があるのも確かだ。[78]
DIABLO / DIABLO
韓国のヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。方向的にはいわゆる
モダン・ヘヴィネスと言えるものだが、PANTERAのそれと比べると
かなりスラッシュ・メタル的な要素の強いものとなっている。
これが中々良いアイデアで、モダン・ヘヴィネス特有の
グルーヴ感を持ちながらも、スラッシュ・メタル的なリフと
スピード感があり、勢いの良さとパワーを感じさせてくれる
アルバムに仕上がっており、中々聴き応えがある。PANTERAの
亜流バンドではあるが、同類の多くのバンドよりも
アジテーションがあって、アイデアも出来も良いし、韓国の
バンドと侮れない存在だ。[79]
PURITANICAL EUPHORIC MISANTHROPIA / DIMM BORGIR
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの5thアルバム。今や
ノルウェイのと言うより、北欧ブラック・メタル・シーンで、最も
著名なバンドの一つと言って良いだろう。シンフォニックな
キーボードを導入し、ブラスト・ビートを配した典型的な北欧
ブラック・メタルと言えるが、この手のものとしてはキーボードに
チープな色合いもなく、レベルの高さを伺わせてくれる。良く
出来ている分、ブラック・メタルに良く見られる、荒涼とした
狂気と言うものはそれ程感じられず、一般受けしそうだがマニア
受けは逆にしないかも知れない。ボーナスCDには、
TWISTED SISTERのカバー曲、Burn In Hell等が収められているが、
面白みとしては今一つだ。[85]
DIAMOND HEAD / DIAMOND HEAD
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた
デビュー盤。すぐ後にLIGHTNING TO THE NATIONと言うタイトルを
付けられてリリースされており、既にオリジナル・ジャケットで
再発されたLIGHTNING TO THE NATIONの再発盤と変わりない。
ボーナス・トラックも全てLIGHTNING TO THE NATIONに
収められているので、オリジナル・ジャケットと言う以上に
有り難味はない。憂いを帯びたロックンロール形の
ヘヴィ・メタルで、SHEAN HARRISの下手ウマ的ボーカルが
特徴的だ。それよりも今はMETALLICAがAm I Evil?やHelpless、
It's Electric、The Prince等をカバーした事での方が
有名だろうが、それらは全曲このアルバムに収められている。[90]
SILENT NIGHT FEVER / DIMENSION ZERO
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
デビュー盤。IN FLAMESのギタリスト、JESPER STROMBLAD、
元IN FLAMESのギタリスト、GLENN LJUNGSTROM、元MARDUKの
ボーカリスト、JOCKE GOTHBERG等によるバンドだ。恐らく
JESPER STROMBLADがIN FLAMESの活動で忙しかったからだろうが、
デビュー・ミニ・アルバムをリリースしてから4年が
経過している。方向的にはスラッシュ・メタル系の
メロディック・デス・メタルで、IN FLAMESと比べるとより
アップ・テンポで勢いを感じさせる扇情的で攻撃的な作品に
仕上がっている。エッヂも効いていて聴き応えがあるし、楽曲も
含めて、実に格好の良いアルバムだ。[87]
KILLING THE DRAGON / DIO
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りのアルバム。
ギタリストはCRAIG GOLDYに代わって、元LION、BAD MOON RISING、
BURNING RAINのDOUG ALDRICHが加わっている。基本的には前作で
見られた初期への回帰がここでも行われている訳だが、前作同様に
RONNIE JAMES DIOのボーカルが浮いていると言う印象を受ける
作品だ。楽曲自体はHOLY DIVERの頃の様な、如何にも彼等らしいと
言った楽曲なのだが、バックはこじんまりとしていて
地味なものとなってしまっている。RONNIE JAMES DIOによる
セルフ・プロデュースの様だが、結果的にはこれが失敗の
原因ではないかと思えて残念でならない。[78]
THE BEST OF DIZZY MIZZ LIZZY + LIVE IN AARHUS '96 / DIZZY MIZZ LIZZY
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドのベスト盤。1996年に
行われたデンマークでの公演の模様を収めたライヴ盤と併せた
2枚組みとなっている。バンド自体は2枚のアルバムを残して既に
解散しており、そのためベスト盤の方には目新しい音源もないし、
今更初心者入門用と言う訳にもいかないだろうから、ここで
注目されるのはやはりライヴ盤の方と言う事になるだろう。
トリオと言う編成もあってか、どうしても音の薄さと言うのが
気になるところだし、解散しているので音を被せる事も
出来なかったのだろうが、バランスを始め、どうも今一つ
プロダクションに不満が部分があるのが残念だ。[80]
THE SIN WAR / DIES IRAE
ポーランドのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。VADERの
ギタリスト、MAUSERを中心としたプロジェクトだ。VADERの
ドラマー、DOC、DEVILYNのベーシスト兼ボーカリスト、NOBY等が
参加している。彼等がやっているだけあって、方向的にはいわゆる
ブルータルな正統派デス・メタルではあるのだが、その音楽的
スタンスはVADERとははっきり異なっている。VADERが
ブラスト・ビートを多用した、テクニカルなグラインド・コア系の
デス・メタルであるのに対して、彼等はブラスト・ビートを取り
入れながらも、スラッシィなエッセンスを強く押し出した
デス・メタルと言えるだろう。濃密に構築されたVADERと
比べると、ラフで勢いを感じさせるアルバムに仕上がっている。
[81]
VENGEANCE ASCENDING / DIABOLIC
アメリカのデス・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には
いわゆるグラインド・コア系のデス・メタルと言うやつで、
アメリカのバンドらしいオールド・スクール系の
テクニカルなものに仕上がっている。ブラスト・ビートを全面的に
配し、非常に攻撃的で激烈さを醸し出しながらも、アメリカのこの
手のバンドと異なるのは、時折欧州的とも言える様な叙情性を強く
感じさせるギター・ソロが入って来る事だろう。この変化が楽曲に
多様性を感じさせてくれ、とかく一本調子と感じられるこの手の
作品としては、飽きさせないアイデアが面白く、評価
出来るところだ。[81]
BELIEVE / DISTURBED
アメリカのニュー・メタル・バンドの2年振りの2ndアルバム。
現在、アメリカでラウド・ロック、ニュー・メタル、
ヘヴィ・ロックと言った辺りが全盛になっているが、その代表格の
バンドの一つと言って良いバンドだ。方向的には前作の延長線上
そのままで、オルタナティヴ・ロックの影響を上手く取り
入れながら、如何にもモダンでラウドなニュー・メタリックな
サウンドに仕上がっている。憂いの効いた退廃的なメロディに、
攻撃的なリフとサウンドは破壊力がある。前作のヒットが
フロックでなかった事を証明するだけのクオリティを持った
アルバムだ。[83]
DIONYSUS / DIONYSUS
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。元NATIONの
ギタリスト、JOHNNY OHLINを中心とするバンドで、元NATIONの
ベーシスト、NOBBY、元SINERGYのドラマー、RONNY MILIANOWICZ、
元STORMWINDキーボード、KASPAR DAHLQVIST等によって結成された
バンドだ。JOHNNY OHLINらしい、ネオ・クラシカル的な
エッセンスや、キャッチーで叙情的なメロディを持ちながらも、
ジャーマン・パワー・メタル的な音楽性を中心に据えた作品
作りになっている。それ故、ややSTRATOVARIUSっぽさを
感じさせるものとなっているが、OLAF HAYERのボーカルが
しっかりしている事もあって、整合感が良く出ている。[82]
THE BITTER SELFCAGED MAN / DIVINE SOUL
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
2ndアルバム。音楽的にはアグレッションの効いたテンポの良い
メロディック・デス・メタルで、そこに叙情的なメロディが
被さって来る。重厚なリフを配し疾走感のある楽曲は、
扇情感があって中々聴き応えのある作品だ。ギター・メロディは
どことなく聴いた事がある様なフレーズも多いのだが、上手く
捻りを聴かせてアレンジしている感じだ。系統的には初期
IN FLAMES等の流れを汲んでおり、典型的な北欧
メロディック・デス・メタルらしいアグレッシヴでメロディアスな
アルバムに仕上がっている。[82]
APOCALYPSE OF THE DAMNED / DISSENTER
ポーランドのデス・メタル・バンドのデビュー盤。音楽的には
グラインド・コア系のデス・メタル・バンドだが、同郷のVADAR
等よりも、アメリカのテクニカル・デス・メタル辺りの影響が
強いと言えるだろう。それ故、VADARの様な極端に速い
ブラスト・ビート等はなく、むしろスラッシィな
マシンガン・リフを押し出し、うねる様に楽曲が展開して行く
感じだ。VADARの様なストレートさがない分、難解で聴き難い
感じはするが、そのクオリティは高い。どちらかと言うと、むしろ
MORBID ANGEL辺りが好きな人の方が受け入れ易いかも知れない。
[81]