N.W.O.B.H.M.バンドの1982年にリリースされた2ndアルバム。 扇情的で緊張感のある楽曲に、SEAN HARRISの下手ウマ的な ボーカルがそう言った部分をより強く助長している。この シアトリカルとも言える緊張感が、ただ単純に哀愁があると言う 様な域から脱しさせており、凡百のN.W.O.B.H.M.のバンド群とは 一味も二味も違うものにしている。好き嫌いの分かれそうな サウンドだが、楽曲の出来は良いし、N.W.O.B.H.M.に咲いた 徒花的な快作と言って良いだろう。METALLICAもカバーした、 Am I Evil?はどちらかと言うとこのアルバムとしては特殊な部類の 楽曲で、より愁いのある扇情的な作品だ。[89]
N.W.O.B.H.M.バンドの1983年にリリースされた3rdアルバム。 前作までの方向性からやや変化が見られ、どことなく明るく乾いた のりのアルバムに仕上がっている。前作まであった叙情的な憂いは 減退し、前作までのファンにとってはかなり戸惑う作品と言っても 良いだろう。キーボード奏者のCHRIS HEATONが加わり、かなり 実験的なアルバムとなっている。彼等自体の個性、と言うよりも SEAN HARRISのボーカルは変わることなく存在しているが、 楽曲自体は明らかに新たなエッセンスが取り入れられている。 One More Night等はこれまでなかったキャッチーな メロディーとなっているし、プログレッシヴ・ロック的な エッセンスを感じるものもある。To The Devil His Dueと言った これまで通りの彼等を感じさせてくれる楽曲もあり、新たな 方向性を模索している様子を伺わせてくれる。[86]
N.W.O.B.H.M.バンドの1992年にリリースされたアルバム未収録 音源集。HelplessやThe Princeと言った、後にMETALLICAが カバーとして取り上げることで有名になった楽曲も含まれている。 アルバムに集録されている楽曲と比べると、あまり ダークさはなく、よりストレートなハード・ロックンロールと言う 感じがする。と言っても、そこはやはり彼等だけあって、単純に のりだけを楽しませる様な楽曲になっていない。どことなく煮え 切らなさを持っていて、プロダクションの悪さもあいまって、B級 臭さを湛えている。貴重な音源が数多く集録されていて、 ファンには涙もののアルバムだ。[88]
N.W.O.B.H.M.バンドの1992年にリリースされたライヴ盤。1980年、 1982年にそれぞれBBCのラジオ番組、THE FRIDAY ROCK SHOW用に 録音されたもので、1980年のものは、ラジオ番組の放送用に 行われたスタジオ・ライヴで、1982年のものは レディング・フェスティバルでのライヴの模様を収録したものだ。 元々、スタジオ・アルバムもプロダクションが 良くなかっただけに、スタジオ・ライヴ等は、却ってクリアな音に 聴こえる。演奏も安心して聴けるレベルだし、SEAN HARRISの ボーカルもアルバムそのままの歌唱を聴かせてくれている。 来日することもなく、ライヴ・アルバムを出す事無く 解散しただけに、彼等のライヴの模様を伝える貴重な音源だ。[87]
N.W.O.B.H.M.バンドの1993年にリリースされた再結成して初となる 4thアルバム。聴いてみてまず思うのが、良い意味でも悪い 意味でもプロダクションが良くなっている事だ。解散前にあった うらわびしさが全くなくなって、非常にお洒落な 作品になってしまっている。SEAN HARRISの下手ウマ的な微妙な ビブラートもほとんど無くなって、どこもかしこも 普通になってしまった様な気がする。彼等たらしめていた要素が 全く無くなって、かといって楽曲が特別面白いと言う 訳でもないので、非常に困ってしまう作品だ。旧来の ファンからすると聴きどころになるべきところが全くない。[74]
N.W.O.B.H.M.バンドの1994年にリリースされたライヴと未発表 音源からなる2枚組アルバム。ライヴは1993年に行われた NATIONAL BOWLフェスティバルでのライヴの模様を収めたもので、 クリアな音質ではあるが、音のバランスが今一つ悪いし、 選曲的にも今一つ納得出来ないところがあって、ライヴ 音源としてはTHE FRIDAY ROCK SHOW SESSIONSに及ばない。 それでもTo The Devil His Due等はSEAN HARRISの下手ウマ的な ボーカルが聴けるし、まだ何とか聴ける。未発表音源集は、 再結成後に録音されたものばかりで、楽曲も面白味に欠けるし、 あまり意義が感じられないアルバムだ。[76]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 2ndアルバム。と言っても今風のパンキッシュな ハード・ロックンロールではなく、どことなく古臭さを感じさせる サウンドだ。ワイルドなハード・ロックンロールと言う感じだが、 全体的にミドル・テンポ中心で、かなりグラマラスな作品に 仕上がっているところが大きい。そのため、憂いを含んだ Guilotine等は非常にALICE COOPERっぽいものになっている。特に NASH HABITSのボーカル・スタイルも良く似ているの尚更だ。 メンバー・ショットの化粧をもそれらしいので、かなり意識しての 事だろう。[80]
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。正統的な アメリカン・ハード・ロックで、洗練されたサウンドを 聴かせてくれる。適度にキャッチーで、適度にのりが良く、飛び 抜けた楽曲はないが、安心して聴いていられるレベルには 達している。明るく叙情的な、いかにもアメリカンと言った感じの 作品で、コーラスを多用しているが、これが中々良い感じだ。 この手のバンドとしては珍しくツイン・ギターで、 ボーカルだけではなくギターを意外にも全面に押し出しているし、 中々厚みのあるサウンドに仕上がっている。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 5thアルバム。Born On The Sun等、DIO結成時から引き継いできた 様式美ヘヴィ・メタルはここでも一応健在だ。楽曲は全て RONNIE JAMES DIOが書いている様なので、当然と言えば当然だが。 ただ、初期の様式美臭さを考えると、こう言った面がかなり 希薄になった感もなくはなく、DIOらしい作品にも関わらず インパクトが今一つ感じられない。彼等らしいミドル・テンポの 楽曲が中心であるのにも関わらず、一部メロディにらしさが 感じられないのも問題だ。JENS JOHANSONやSIMON WRIGHTと言った 実力派が脇を固めているし、ROWAN ROBERTSONも悪い ギタリストでないだけに、演奏面は安心して聴いていられる。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 6thアルバム。中心人物である、RONNIE JAMES DIOのBLACK SABBATH 復帰により、一時解散していたが、再びBLACK SABBATHを出る 事によって再始動した。前作での方向性の変化は物議を醸したが、 それでもこれまでの路線の延長線上の範囲内であった。それに 対して、今作はよりはっきりとした方向性の変化を出している。 BLACK SABBATHでのDEHUMANIZERや、新しいギタリストのTRACY G 加入による影響等が考えられるが、かなりヘヴィネス色の強い 作品に仕上がっている。同時に様式美的な色合いがかなり 減退しており、前作以上にこれまでのファン離れを引き 起こしそうな感じがする。[79]
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1992年に リリースされた3rdアルバム。ハード・ロックンロール的な 色合いを持ちながらも、かなりメタル色の強いサウンドだ。楽曲は 非常にフックがあってグルーヴィで、彼等の成長の後が良く 伺える。とにかく楽曲が良いのと、生々しいダイナミズム溢れる プロダクションが成功している。MAX NORMANが プロデュースしているが溜飲を下げるだけの仕上がりだ。 またHENRIK OSTERGAARDのボーカルが、こう言うサウンドに良く 合っている。楽曲は、特にOnly Tomorrowのメロディは非常に ユニークで聴いていて面白いと思えるし、パワー・バラードの Let It Rainも実に格好良い。[89]
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1994年に リリースされた4thアルバム。前作から、ボーカルの HENRIK OSTERGAARDを除いてメンバーは一新されている。 そのせいもあってかどうか判らないが、やや雰囲気が 変わっている。破天荒なハード・ロックンロールと言う基本的な 音楽性は全く変わる事はないのだが、少しストレートになった様な 感じを受け、グルーヴィさが減退したように思える。その分楽曲に 魅力が今一つ感じられず、のり切れない部分がある。とは 言っても、それは前作と比較した場合の話で、この作品でも十分な 出来ではあるのだが。[84]
ノルウェイのハード・ロック・バンドの1991年にリリースされた デビュー盤。方向的には明らかにDEEP PURPLEを意識スタイルだと 言って良いだろう。それはLazyをカバーしている事でもはっきりと 判る。RUNE BZのJOHN LORD風のハモンド・オルガンにIAN GILLAN 風のボーカルは、明らかに趣味の世界だ。楽曲の古臭さもそう 言った面を更に助長している。しかし、それでもこのアルバムを 楽しめるのは、それを聴かせるだけの実力と楽曲の 良さがあるからだ。こう言うアルバムを何枚も作って通用するとは 到底思えないが、1枚位こう言うアルバムがあっても良い。[81]
イギリスのハード・コア・パンク・バンドの1986年に リリースされた2ndアルバム。これまでの方向性から大きく 転換し、ヘヴィ・メタル然としたサウンドになっている。 ボーカルのKELVIN MORRISはかなり金切り声でシャウトしており、 ギターも含めてかなりメタリックな音作りになっている。ただ、 この手としてはスラッシュ・メタル的なエッセンスはなく、正統派 ヘヴィ・メタルと言う感じだ。楽曲によってはドーミィーな ギター・リフなどもあって、OZZY OSBOURNE在籍時の BLACK SABBATHを思い起こさせる所も多分にある。もう、既に ヘヴィ・メタルといっても違和感のないサウンドだし、のりが 良いので、メタル系のリスナーにも十分聴ける筈だ。ただし、 ヒステリックなボーカルは勘にさわるかもしれない。[78]
イギリスのハード・コア・パンク・バンドの1991年に リリースされた、アルバム未収録音源を集めたアルバム。1981年に リリースされたシングル、NEVER AGAINを中心とした日本独自の 企画盤だ。初期の音源が中心となっているだけあって、録音状態は かなり悪く、もこもこしている様に聞こえる。方向的には、 ハード・コア・パンクではあるが、メロディ・ラインはある 程度あるので聴けなくはないだろう。疾走感はあるものの、 彼等としては楽曲的にもそれほど注目出来るものではない。所詮は ファン向けのコレクターズ・アイテムでしかないと言って 良いだろう。[74]
イギリスのハード・コア・パンク・バンドの1991年に リリースされた、再結成第一弾となる5年振りの3rdアルバム。 前作同様、方向的にはかなりヘヴィ・メタル的で、 前作ではなかったスラッシュ・メタル的な感じが、わずかながら 出ている。かなり無機質な感じで音の処理も機会的になっており、 サウンド的にはよりアップ・テンポになった感じを受ける。 メロディ・ラインはしっかりしていて、ヘヴィな音作りなので、 そこら辺のハード・コア・パンクよりもかなりヘヴィ・メタル的に 感じられるだろう。ただ、前作に比べると、メロディに面白味が 欠けるし、手放しでは喜べない。[76]
イギリスのハード・コア・パンクの1994年にリリースされた 4thアルバム。アップ・テンポのヘヴィ・メタルっぽい ハード・コア・パンクと言った感じだった、それまでのその 方向性は大きく変化し、ヘヴィでラウドな作品に仕上がっている。 楽曲によってはミドル・テンポのあまり早くないものも入れて 来ている。KEVIN MORRISのボーカル・スタイルも少し変って 来ており、語尾を高くしたようなイントネーションは機会的で 不快に感じるかもしれない。バックはより スラッシュ・メタルっぽくなっているが、こじんまりして 奥に引っ込んだ感じでボーカルとのバランスは今一つ 良くない。[76]
イギリスのハード・コア・パンク・バンドの1982年に リリースされたミニ・アルバム。DISCHARGEの様な スラッシュ・メタルぽいところはほとんどなく、これぞ ハード・コア・パンクと言った感じの楽曲で構成されている。 ハード・コア的な音が濃密に詰まっているという感じで、多分 ヘヴィ・メタル系のリスナーが聴いても面白いとは全く 思えないだろう。8曲集録されているが、パンクらしく1曲1曲が 短くあっと言う間に終わってしまう。楽曲も取りたてて面白いとは 思わないし、あくまでもハード・コアのリスナー向けと 言ったところだろう。[64]
詳細は全く判らないが、恐らくスイスの ブラック/ゴシック・メタル・バンドのアルバム。方向的には、 アンビエント系シンフォニック・ブラック・メタルで、MORTIS等と 全く同じ系統だ。こう言う作品は評価する論点を探すのに 困るのだが、バロック調の楽曲が延々と続く眠気をさそう楽曲群で 構成されている。MORTISと違う所は1曲1曲が短いので飽きる前に 曲が終わってくれる事と、美しいコーラスを入れたりソプラノの 女性ボーカルを入れていたりしている事だろう。その分聴き 流せるので、まだポイントは高いが、そうは言ってもあまり お奨めし難い作品だ。[75]
オランダのプログレッシヴ・ロック・バンドのデビュー盤。 SIレーベルからリリースされているだけあって、 ポンプ・ロックよりはもっとハードで動的な雰囲気があり、のりの 良いシンフォニック・ロック的な系統の作品と言えるのだが、その 一方でシンフォニック・ロック的な要素は、それほど強く打ち 出されてはいない。ROBIN Zのキーボードを中心とした奥行きの 広いサウンドは美しいが、特別これといったものはなく、やや決め 手に欠ける感じだ。BUTLERのボーカルはさして上手いとは 言えないが、バンドのカラーには合っていて悪くない。[78]
元TINDRUMのコンビによるノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドの デビュー盤。特にバンドを率いるDIESEL DAHLは、TNTの2ndと3rdで プレイしていたので馴染み深い人も多いだろう。彼のそう言った 経歴が語る様に、確かにアメリカナイズされているものの、 それらのバンドとはかなり方向性が違って来ている。TNTのような ポップ・センスの冴えたハード・ロックというよりも、素朴な アメリカン・ロック風の作品と言った感じだ。これはこれで 悪くないのだが、こういう地味な作品を果たしてファンがこう 言うものを望むかと言うと疑問だ。[82]
北欧のハード・ロック・バンドのライヴ・アルバム。日本では一部 マスコミに異様にプッシュされたお陰で結構売れたようだが、 どうもどうしてそこまで入れ込むのか良く判らない。悪いとは 決して思わないし、所々印象的なメロディもあるがそれ以外の 価値をどうしても見出せないバンドだけに、アルバム一枚だけ 出してのいきなりの来日公演で、しかもそれが アルバムになってしまうことに少々と惑いを感じる。だが、 オーバー・ダブされているにしても思ったより演奏は良い様に 思える。実際にライヴ・パフォーマンスを見ていないので そのライヴを正当な評価は下せないが。[83]
北欧メロディック・デス・メタル・バンドのデビュー・アルバム。 スラッシュ系メロディック・デス・メタルで、かなり アップ・テンポな楽曲が並んでいる。ボーカルはダミ声というより 歪ませたような絶叫するタイプでブラック・メタルに共通する 様な感じだ。全体的には攻撃的なのだが、アコースティックを 用いたり、一部のギター・ソロ等、叙情的な面も多分にあり、 ブルータルな部分とメロディが交互に絡み合っている。展開と 変化があるので、ドラマティックに盛り上がると言う 程でもないのだが、単調になっていない所は評価出来る。[84]
北欧のハード・ロック・バンドのデビュー・アルバムだが、 マスコミのプッシュもあって日本ではデビュー前からブレイクと 言う感じだった。しかし、このバンドがこれだけ売れるなら、 同じTHE BEATLESから影響を受けたENUFF Z'NUFFももうちょっと 売れてもよさそうなものだと思う。ENUFF Z'NUFFと比べると、 もう少しのりが良くて、グランジ的な影響が見えるのが若干 異なるが。日本でのライヴの様子を聞くと、メンバー間の不和に 将来に不安が走るが取敢えず、このアルバムではTHE BEATLESに 影響を受けた憂いを帯びた良質のロックを聴くことが出来る。[85]
ノルウェーのテクニカル・ロック・バンドのデビュー盤。通常、 テクニカル・ロックと言われているバンドとは少し趣向が 違っていて、かなりファンキーな内容のアルバムに 仕上がっている。ファンク・ミュージックだけではなくて、 ジャズの影響もあったりして、曲構成はかなり変則的でメロディを 楽しむというのはあまり出来そうにない作品だ。跳ねた変則的な リフで、どちらかと言うとプログレッシヴ・ロックのリスナーの 方が案外すんなりと受け入れ易いかもしれない。アイデアは ユニークだし、こう言う作品を作るだけあって、演奏レベルも 十分な域に達している。[76]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。 EMPERROR等に見られる、ブラスト・ビート中心ながら、メロディを 前面に押し出し、ブラック・メタル・ボイスを駆使したりと、 典型的なブラック・メタルと言えるものだ。JON NOBTUEIBTの ボーカルは、ややデス・メタルっぽいダミ声ながら ブラック・メタルらしく高くフェイクすると言うスクリーミングに 近いものだ。楽曲は如何にもと言ったブラック・メタル的な 展開であり、美しいメロディと同時に破壊的なエナジーに 溢れている。ボーカル・パートでは、かなり濃密に ブラスト・ビートを入れて来るので、少しわずらわしい 気もするが、寒々とした雰囲気が良く伝わって来る。[85]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。 ボーカルのMATTI KAERKIはTOM ARAYAをもう少しきつくした感じで あまりデス・ボイスという感じではないので聴き易いだろう。 楽曲もかなりメロディがしっかりしていてスラッシュ・メタル的と 言って良いだろう。ブルータルではあるものの、かなりメロディが しっかりと押し出されている。曲はDEAD SERIOUS、SLAYERなどと 通ずる部分もあり、楽曲によってはもっとメロディアスで パワー・メタル的な部分もある。デス・メタルらしい、 ブルータルな破壊力は健在で、強烈な作品に仕上がっている。[84]
デンマークのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。基本的には 前作と同じ路線で、THE BEATLESの影響の見える サウンドなのだが、ENUFF Z'NUFFと大きく違うのはグランジ等の より今風の影響が見えるヘヴィさだろう。11:07等を初めとする、 気だるく甘ったるいメロディは、くどい気もするが哀愁味があり、 これはこれで味がある。センス的には良いものを感じるし、前作の ファンには期待を裏切る事はないであろうが、前作よりも哀愁味が 減退した分だけ、ファンでない人には最後まで聴くには少々 辛いのではないだろうかと思える。[81]
カナダのハード・ロック・バンドのデビュー盤。ハード・ポップの アルバムを多くリリースする事で有名な、 LONG ISLAND RECORDSからのリリースだが、取りたててポップ 過ぎるという訳ではない。むしろBAD COMPANY的な要素が強く、 さらにハードにした感じだ。ブリティッシュ的なエッセンスに 溢れていて、枯れた風情があるので、曲によってはTHUNDERを思い 起こさせる部分も若干ある。ただし、これらよりはよりハードで、 DEEP PURPLEに影響を受けたという事もあってか、キーボードは 時によって、非常にJOHN LORDっぽいプレイをする。 レコーディング中にボーカルが交代しており、このアルバムでは 二人のボーカルが歌っているようだが、タイプ的にはあまり 変わらないので違和感はそれ程ない。[84]
スウェーデンのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。 メロディック・デス・メタルともパワー・メタルとも取れそうな 内容で、FREDDE LUNDBERGのボーカルは野太く歪ませているが、 ちゃんと歌っておりデス・ボイスとまでは言いがたい。楽曲は メロディアスだが、ギター・リフはザクザクと刻んでくるし、 攻撃的なのでスラッシュ・メタル的とも言える。楽曲から、こう 言うボーカル・スタイルを選んだのだろうが、吉と出るか凶と 出るかは聴き手の意識によるだろう。ダークでヘヴィで 迫力はあるし、プロダクションがもっと良くなればかなり良い 作品になった事だろう。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りのアルバム。 方向的には前作のSTRANGE HIGHWAYSの延長線上と言えるもので、 モダン・ヘヴィネス的な色合いのある作品であり、BLACK SABBATH 復帰後のRONNIE JAMES DIOの作品に不満を抱いている 人間にとっては、やはり同じ不満を抱かざるを得ないだろう。何故 彼が、RAINBOWや初期のDIOで見せた、様式美的な方向から 離れてしまったのか理解出来ないが、これがギタリストの TRACY Gによる影響だとしたら、TRACY GとRONNIE JAMES DIOは あまり合わなのではと言う感想しか持てない。楽曲は全体的に ミドル・テンポ中心であり、可も無く不可も無くと 言ったところだ。[74]
カナダのハード・ポップ・バンドの1stアルバムで、メンバーが 固定されていないところを見るとプロジェクト・バンドだろう。 ギタリストとしてRIK EMMETTやRAY ROPPERも参加している。 アメリカ風の非常に洗練された楽曲が並び、曲によっては 湿り気もあって飛びぬけた部分はないものの平均的に 良く出来ている。キーボードは割と前に出ているが、全体的には バランスも良いし、ボーカルも楽曲にあっていて良い出来だ。 LONG ISLAND recordsらしい爽やかな内容で ハード・ロックというには至らないので、ポップなものが好な 人向けだろう。[86]
詳細は良く判らないが、 プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの1994年に多分唯一 残した自費出版のミニ・アルバム。自費出版にしては プロダクションはかなり良く出来ている方で、複雑な展開の楽曲も 垢抜けない部分はあちこちに見られるが、この手のものとしては かなり良い部類に入る。AUDITORY IMAGERY等のような、 キーボードを前面に押し出した、叙情的で、哀愁のあるメロディの サウンドを身上としたバンドだが、これらのバンドでは かなり出来が良い方だ。まだ少し楽曲の練りが 甘いところもあるが、十分期待させる内容だし、これ一枚で 終わるとしたら非常にもったいない話しだ。[89]
EXTREME NOISE TERRORのボーカリスト、DEAN JONES、DISCHARGEの ギタリスト、DAVE ELLESMERE等によって結成されたイギリスの ハード・コア・パンク・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。楽曲は激しく叩きつける様な、如何にもと言った 感じのハード・コア・パンク・ナンバーで、方向的には DISCHARGEのそれであり、DEAN JONESの咆哮が狂暴さをより強く 醸し出している。激しいとは言っても、メタル的な色合いは あまりなく、あくまでもパンキッシュな作品であり、スラッシィと 言う程でもないのだが、SLAYER辺りが好きならまだ聴けるだろう。 [77]
詳細は良く判らないが、イギリスのゴシック・メタル・バンドの ミニ・アルバム。3曲のスタジオ収録曲に3曲のライヴという 構成で、メンバー・ショットを見ると女性ボーカルを含む 3人組みのようだ。ドラムは打ち込みのようで、キーボードが かなり前面に押し出したものになっている。このメンバー構成で ライヴをどうやってこなしているのかは疑問だが、ライヴの曲も 割とそつなくこなしている。方向的にはニュー・ウェーヴ系の 軽やかなのりの流麗なサウンドで、美しい女性ボーカルが そういった感を一掃強めている。耽美だが陰鬱さは全くなく、 非常に美しい作品に仕上がっている。楽曲の出来も悪くないし、 このバンドが作り上げている雰囲気が浮揚感があって非常に ユニークで面白い。[88]
METALLICAのカバーで一躍名を馳せたN.W.O.B.H.M.バンドの 1980年にリリースされたデビュー盤。元々はタイトルが ついていなかったが、1981年にこのタイトルでリリースされた。 METALLICAもカバーしたThe Prince、Am I Evil、Helplessといった 馴染み深い楽曲が収録されている。 リマスターされているだけあって、音はかなり クリアなものになっている。初期の勢いのあるストレートな ナンバーが当然中心なのだが、2ndアルバムにも収録される Lightning To The Nationsの様などことなく侘しさを感じさせる 曲も混在している。SEAN HARRISのへたうまなボーカルも 魅力十分で、独自の雰囲気を湛えた聴きごたえのある 作品になっている。ボーナス・トラックも8曲収録されていて 非常にお買い得なアルバムだ。[94]
N.W.O.B.H.M.のCHARIOTが元々母体となっているバンドで、 実際にはデビュー盤というと、やや語弊を感じるアルバムだ。実際 楽曲からは垢抜けてはいるが、そこはかとなくN.W.O.B.H.M.の 香りが感じられ、それを現代に持ってくればこんな 感じになるのだろう。ベース・ラインはいかにも IRON MAIDENという感じで、STEVE HARRISが設立した BEAST RECORDSの第一弾としてはぴったりの素材なのかも 知れない。Dividing Line等は哀愁の感じられるメロディの パワフルなヘヴィ・メタルでなかなか聴きごたえがある。 目新しさはあまり感じられないが、楽曲の出来を含めて全体的に 良い作品だ。[85]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 4thアルバム。元々パワー・メタル色の強いサウンドであったが、 この作品ではよりストレートでパワフルなものになっている。 メロディへの比重はやや下がったが、エナジー溢れる硬質の サウンドは破壊的でなかなかに強烈だ。IRON MAIDENっぽい 部分のあるSilent Are The Watchers等、楽曲によってはより メロディをより押し出したものもある。全体的に短めの楽曲で 構成されており、テンポ良く進んでいき、のりの良い作品だ。 力強く、勢いのある作品で、出来は結構良い。[82]
スウェーデンのゴシック・メタル・バンドのデビュー盤。非常に ダークな色合いを感じさせる作品で、ギターがかなり前面に押し 出されている事もあって、どちらかと言うと ドゥーム・メタルっぽく感じられる。KRISTIAN WAHLINの ボーカルはクリア・ボイスだが、野太い不気味さを感じさせる ボーカルだ。メロディック・デス・メタルから デス・ボイスでなくしたような感じすらするし、耽美さは ほとんどなく、荘厳さも全くないので、ゴシック・メタルと言う 風にはほとんど感じないはずだ。ドゥーミィなのは良いが、ただ 単にダークなだけで、メロディにあまり面白味が感じられない。 [69]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。 STIAN AARSTADのキーボードが前面に押し出されていて、 ときによってはシンフォニック・ブラックの様な部分も見せる 事はあるが、主流はあくまでも普通のブラック・メタルだ。 キーボードによって色々と味付けをしているといった感じで、 楽曲にある程度展開を持たせている。キーボードによる壮大な メロディだけではなく、ギター・メロディも強く打ち出していて、 メロディアスなものが好きな人には聴きごたえがある作品に 仕上がっている。SHAGRATHのブラック・メタル・ボイスは しゃがれ声のもので、それ程聴きがたくはないので随分と 聴きやすい作品ではあるが、それだけだ。[83]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンド、 IN FLAMESのギタリスト、GLENN LJUNGSTROMとJESPER STROMBLADの 二人を中心とするプロジェクト・バンドのミニ・アルバム。 その他にもMARDUK、CARDINAL SINのJOCKE GOTHBERG等が 参加している。アコースティック・インストルゥーメンタルの Everlasting Nevernessを除けば、方向的には扇情的なメロディの メロディック・デス・メタルで、IN FLAMESをより アップ・テンポでアグレッシヴにした様なサウンドだ。 スラッシュ系のメロディック・デス・メタルと言う色合いの作品に 仕上がっており、出来は中々素晴らしい。[85]
元RAINBOW、BLACK SABBATHのアメリカ人ボーカリスト率いる自己の バンドの2枚組みライヴ・アルバム。はっきり言えば、ここ最近の RONNIE JAMES DIOの参加するBLACK SABBATH、DIOのアルバムは どれも凡作と言って良い内容のものばかりだった。ヘヴィな作品 作りを考えての事だろうが、それが災いしていると言っても 良いだろう。このライヴ・アルバムではDIOが最も脂の乗り 切っていた初期の名曲The Last In LineやHoly Diver等と言った より様式美を押し出した楽曲を収めていて、やはり曲の出来が 違うと感嘆させてくれる。しかし、RONNIE JAMES DIO本人も 年のせいか、やや高音部分に張りが感じられないのが残念だ。 出来自体は決して悪いわけではないのだが、2nd後位の時に ライヴ・アルバムを作っていればという様なノスタルジィを 感じる。[81]
詳細は全く判らないが、恐らくイギリスの ゴシック・メタル・バンドのアルバム。方向的にはいわゆる ニュー・ウェーブ系という奴で、キーボードが全面に押し出された 割と軽めで流麗なサウンドが特徴だ。軽快に進んでいく楽曲に Rachel Specightの優しいボーカルが良くあっている。 ゴシック・メタル的な荘厳さは全く感じられないが、美しは良く 出ていると思う。楽曲は全体的にアップ・テンポ中心で次々に 進んでいくと言う感じで悪くはないのだが、一方で流麗すぎて フックがあまり感じられないのが難点だ。アルバムをとおして 変化があまり感じられないので、聴き流す程度には良い出来だとは 思うが、集中して聴くには少し辛いところだ。[82]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドのミニ・アルバム。新曲が 2曲、リメイクが2曲、カバーが1曲、ライヴが4曲と言う 構成になっている。メロディを全面に押し出しながらも、非常に パワフルで破壊的なところには好感が持てる。おどろおどろしい サウンドに、Shagrathのブラック・メタル・ボイスは良く 合っているし、ブラック・メタルらしいキーボードも悪くない。 新曲のレベルは決してアルバムに劣るものではないし、リメイクの 出来もドラマティックで素晴らしい。ACCEPTのカバー、 Metal Heartは割とオリジナルに忠実で、そこにキーボードが 被さってきている。Shagrathのボーカルも思ったよりは 合っているし悪くない出来だ。ライヴの方は、録音状態に少し 問題があるが、演奏自体は中々の出来だ。[84]
ノルウェーのシンフォニック・ブラック・メタルの4thアルバム。 方向的には、よりアグレッシヴなシンフォニック・ブラックと言う 感じで、シンフォニックらしい荘厳なMUSCISのキーボードに 不似合いな程、激しく複雑な内容になっている。この 手のものとしては、最もアップ・テンポな作品で、邪悪さの 感じられるアルバムだ。叙情的なメロディを織り込みながらも 楽曲は激烈で、SHAGRACDのスクリーミングもあいまって破壊力 抜群だ。複雑な展開があって、それなりに飽きさせない 様にはなっているが、ここぞと言う所が今一つ感じられないのが 残念だ。[83]
スウェーデンのブラック・メタル・プロジェクトの3rdアルバム。 その実態はシンフォニック・ブラック・メタル・バンド、 KATATONIAのギタリスト、BLAKKHEIMによるプロジェクトだ。 DAN SWANO等がゲスト参加しているが、ほとんど彼の一人 プロジェクトと言って良いだろう。他にもスラッシュ系の メロディアス・ブラック・メタル・バンド、BEWITCHEDの活動等、 非常に精力的に活動している。このアルバム、その中でも最も シアトリカルな作品で、ブラック・メタルらしいキーボードに ブラスト・ビートと言う、正統派的なブラック・メタルだ。 アップ・テンポで破壊的なサウンドにメロディを配していて、 非常にダークなアルバムに仕上がっている。[80]
詳細は全く不明だが、恐らくノルウェイの ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。女性 ボーカルとデス・ボイスによるツイン・ボーカルとなっている。 方向的には非常にシアトリカルなアルバムで、LACRIMOSAよりは 更にメロディック・デス・メタル的な色合いは濃いと言って 良いだろう。プロデューサーはGRIP INC.のWALDEMAR SORYCHTAで、 キーボードやギターもゲストとしてプレイしている。 ゴシック・メタルとしての耽美さや荘厳さはないが、 ツイン・ボーカルも含めて、彼等の狂気の世界が非常に良く描き 出されている。[80]
ドイツのハード・ロック・バンドのデビュー盤。方向的には ポップで叙情的なメロディのハード・ロックで、楽曲の出来は かなりレベルが高い。美しくキャッチーなメロディは、実に聴き 易いし、良く出来た楽曲がずらりと並んでいる。 ANDREAS STOLLERのボーカルは、透った声質で、高音では良く 伸びて素晴らしいのだが、ミドル・レンジではややだみ声になって 少し辛い。プロダクション的にも、ややチープに感じない 部分がない訳でもないが、決して酷いと言う程ではない。 Too Late For Love等、扇情的でフックがあり、非常に 聴きごたえのあるものに仕上がっている。[85]
ドイツのブラック・メタル・バンドのデビュー盤。とにかく出鼻の IRON FISTのキーボードのユニークさは、非常に面白い。 ブラスト・ビートを入れた、オーソドックスなブラック・メタルを ベースにしながらも、様々なアイデアを取り入れていて、決して 飽きさせない所に好感を持てる。SKELETTONのしゃがれた ブラック・メタル・ボイスもそれ程聴き難いものではないし、 クラッシク的な要素を取り入れたり、全体的に奇妙だが聴き易い 作品だ。デビュー盤にして、これだけのアイデアとクオリティを 出せれば十分だろう。この手のものとしては、白を基調とした ジャケットに目新しさを感じる。[85]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。AC/DCの曲名を 連想しそうなバンド名だが、ロックンロール色の強い 曲もあるのだが、実際にはそういう部分はない。N.W.O.B.H.M.の CHARIOTのメンバー等によって結成されたバンドで、方向的には 前作同様オーセンティックなヘヴィ・メタルをやっている。元々 TONY NEWTONのベース・ライン等は、非常に STEVE HARRISっぽかったりしたものの、それ程IRON MAIDEN的な 印象は受けなかったが、今作では楽曲によっては、Long Way Down 等、IRON MAIDENの香りがする楽曲がある。全体的に1980年代的な 懐かしさを感じさせるアルバムで、芋臭さも感じるのだが、出来は 悪くない。[80]
スウェーデンのゴシック・メタル・バンドの3rdアルバム。 しかしその音楽性は、最早メタルと 呼べるものではなくなっており、むしろゴシック・ロックと 言ってしまっても良いだろう。サイケデリックで、ヘヴィさを 排除したサウンドに、気だるさを感じさせる様な KRISTIAN WAHLINのクリア・ボイスと完全にその音楽的路線を 変更してしまっている。TYPE O NEGATIVE等より重厚さがなく、 淡々としている印象があり、盛り上がりに欠けるのでアルバム 1枚を通して聴いているのは少し辛い気もするが出来としては 悪くない。[75]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 5thアルバム。ベーシストには、MERCYFUL FATE、ARCH ENEMY、 WITCHERY、SINERGY等を兼業しているSHARLEE D'ANGELOがここでも ベースを弾いている。方向的にはこれまでの延長線上と 言えるもので、ややブルータルな色合いを持ったパワー・メタル型 メロディック・デス・メタルだ。デス・ボイスを使う事を除けば、 ほとんどパワー・メタルと言った感じのバンドが多い昨今、 デス・メタルらしいブルータルさを持っている事はある意味好感が 持てる。プロダクション面でこれまでより大きな進歩が見られ、 フックがこれまで以上に感じられる。[81]
アメリカのハード・ロック・バンドの3年振りのアルバム。 TRACY Gの加入以降、一貫してモダン・ヘヴィネス的な路線を 追求する事で過去のファンを落胆させてきたが、今作では メンバーの刷新の元、初期の様式美ハード・ロック的な路線に揺り 戻している。ドラマティックでRONNIE JAMES DIOらしいパワフルな ボーカルも聴かれるのだが、HOLY DIVERの様な、冗長とまで言って 良い様な派手さが感じられず、臨揚感に欠ける 作品となってしまっている。RONNIE JAMES DIOのボーカルだけが 妙に浮いて聴こえ、何だかのり切れない。プロデュース次第では もっと良くなったのではないかと思えるだけに、何だか割り 切れない思いだ。[79]
アメリカのデス・メタル・バンドのデビュー盤。 元MALEVOLENT CREATIONのボーカリスト、JASON BLACHOWICZ 等によるバンドだけあって、その音楽性は正しく MALEVOLENT CREATIONのそれを引き継いだものと言って 良いだろう。スラッシュ・メタルのエッセンスを取り入れた、リフ 中心の非常にブルータルなデス・メタルで、JASON BLACHOWICZの 唸る様なデス・ボイスは非常に迫力がある。攻撃的で疾走する サウンドに、意外に聴き易いギター・メロディも出て 来たりするものの、全体的に楽曲の変化が乏しいと感じる 部分があるのも確かだ。[78]
韓国のヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。方向的にはいわゆる モダン・ヘヴィネスと言えるものだが、PANTERAのそれと比べると かなりスラッシュ・メタル的な要素の強いものとなっている。 これが中々良いアイデアで、モダン・ヘヴィネス特有の グルーヴ感を持ちながらも、スラッシュ・メタル的なリフと スピード感があり、勢いの良さとパワーを感じさせてくれる アルバムに仕上がっており、中々聴き応えがある。PANTERAの 亜流バンドではあるが、同類の多くのバンドよりも アジテーションがあって、アイデアも出来も良いし、韓国の バンドと侮れない存在だ。[79]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの5thアルバム。今や ノルウェイのと言うより、北欧ブラック・メタル・シーンで、最も 著名なバンドの一つと言って良いだろう。シンフォニックな キーボードを導入し、ブラスト・ビートを配した典型的な北欧 ブラック・メタルと言えるが、この手のものとしてはキーボードに チープな色合いもなく、レベルの高さを伺わせてくれる。良く 出来ている分、ブラック・メタルに良く見られる、荒涼とした 狂気と言うものはそれ程感じられず、一般受けしそうだがマニア 受けは逆にしないかも知れない。ボーナスCDには、 TWISTED SISTERのカバー曲、Burn In Hell等が収められているが、 面白みとしては今一つだ。[85]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた デビュー盤。すぐ後にLIGHTNING TO THE NATIONと言うタイトルを 付けられてリリースされており、既にオリジナル・ジャケットで 再発されたLIGHTNING TO THE NATIONの再発盤と変わりない。 ボーナス・トラックも全てLIGHTNING TO THE NATIONに 収められているので、オリジナル・ジャケットと言う以上に 有り難味はない。憂いを帯びたロックンロール形の ヘヴィ・メタルで、SHEAN HARRISの下手ウマ的ボーカルが 特徴的だ。それよりも今はMETALLICAがAm I Evil?やHelpless、 It's Electric、The Prince等をカバーした事での方が 有名だろうが、それらは全曲このアルバムに収められている。[90]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの デビュー盤。IN FLAMESのギタリスト、JESPER STROMBLAD、 元IN FLAMESのギタリスト、GLENN LJUNGSTROM、元MARDUKの ボーカリスト、JOCKE GOTHBERG等によるバンドだ。恐らく JESPER STROMBLADがIN FLAMESの活動で忙しかったからだろうが、 デビュー・ミニ・アルバムをリリースしてから4年が 経過している。方向的にはスラッシュ・メタル系の メロディック・デス・メタルで、IN FLAMESと比べるとより アップ・テンポで勢いを感じさせる扇情的で攻撃的な作品に 仕上がっている。エッヂも効いていて聴き応えがあるし、楽曲も 含めて、実に格好の良いアルバムだ。[87]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りのアルバム。 ギタリストはCRAIG GOLDYに代わって、元LION、BAD MOON RISING、 BURNING RAINのDOUG ALDRICHが加わっている。基本的には前作で 見られた初期への回帰がここでも行われている訳だが、前作同様に RONNIE JAMES DIOのボーカルが浮いていると言う印象を受ける 作品だ。楽曲自体はHOLY DIVERの頃の様な、如何にも彼等らしいと 言った楽曲なのだが、バックはこじんまりとしていて 地味なものとなってしまっている。RONNIE JAMES DIOによる セルフ・プロデュースの様だが、結果的にはこれが失敗の 原因ではないかと思えて残念でならない。[78]
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドのベスト盤。1996年に 行われたデンマークでの公演の模様を収めたライヴ盤と併せた 2枚組みとなっている。バンド自体は2枚のアルバムを残して既に 解散しており、そのためベスト盤の方には目新しい音源もないし、 今更初心者入門用と言う訳にもいかないだろうから、ここで 注目されるのはやはりライヴ盤の方と言う事になるだろう。 トリオと言う編成もあってか、どうしても音の薄さと言うのが 気になるところだし、解散しているので音を被せる事も 出来なかったのだろうが、バランスを始め、どうも今一つ プロダクションに不満が部分があるのが残念だ。[80]
ポーランドのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。VADERの ギタリスト、MAUSERを中心としたプロジェクトだ。VADERの ドラマー、DOC、DEVILYNのベーシスト兼ボーカリスト、NOBY等が 参加している。彼等がやっているだけあって、方向的にはいわゆる ブルータルな正統派デス・メタルではあるのだが、その音楽的 スタンスはVADERとははっきり異なっている。VADERが ブラスト・ビートを多用した、テクニカルなグラインド・コア系の デス・メタルであるのに対して、彼等はブラスト・ビートを取り 入れながらも、スラッシィなエッセンスを強く押し出した デス・メタルと言えるだろう。濃密に構築されたVADERと 比べると、ラフで勢いを感じさせるアルバムに仕上がっている。 [81]
アメリカのデス・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には いわゆるグラインド・コア系のデス・メタルと言うやつで、 アメリカのバンドらしいオールド・スクール系の テクニカルなものに仕上がっている。ブラスト・ビートを全面的に 配し、非常に攻撃的で激烈さを醸し出しながらも、アメリカのこの 手のバンドと異なるのは、時折欧州的とも言える様な叙情性を強く 感じさせるギター・ソロが入って来る事だろう。この変化が楽曲に 多様性を感じさせてくれ、とかく一本調子と感じられるこの手の 作品としては、飽きさせないアイデアが面白く、評価 出来るところだ。[81]
アメリカのニュー・メタル・バンドの2年振りの2ndアルバム。 現在、アメリカでラウド・ロック、ニュー・メタル、 ヘヴィ・ロックと言った辺りが全盛になっているが、その代表格の バンドの一つと言って良いバンドだ。方向的には前作の延長線上 そのままで、オルタナティヴ・ロックの影響を上手く取り 入れながら、如何にもモダンでラウドなニュー・メタリックな サウンドに仕上がっている。憂いの効いた退廃的なメロディに、 攻撃的なリフとサウンドは破壊力がある。前作のヒットが フロックでなかった事を証明するだけのクオリティを持った アルバムだ。[83]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。元NATIONの ギタリスト、JOHNNY OHLINを中心とするバンドで、元NATIONの ベーシスト、NOBBY、元SINERGYのドラマー、RONNY MILIANOWICZ、 元STORMWINDキーボード、KASPAR DAHLQVIST等によって結成された バンドだ。JOHNNY OHLINらしい、ネオ・クラシカル的な エッセンスや、キャッチーで叙情的なメロディを持ちながらも、 ジャーマン・パワー・メタル的な音楽性を中心に据えた作品 作りになっている。それ故、ややSTRATOVARIUSっぽさを 感じさせるものとなっているが、OLAF HAYERのボーカルが しっかりしている事もあって、整合感が良く出ている。[82]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。音楽的にはアグレッションの効いたテンポの良い メロディック・デス・メタルで、そこに叙情的なメロディが 被さって来る。重厚なリフを配し疾走感のある楽曲は、 扇情感があって中々聴き応えのある作品だ。ギター・メロディは どことなく聴いた事がある様なフレーズも多いのだが、上手く 捻りを聴かせてアレンジしている感じだ。系統的には初期 IN FLAMES等の流れを汲んでおり、典型的な北欧 メロディック・デス・メタルらしいアグレッシヴでメロディアスな アルバムに仕上がっている。[82]
ポーランドのデス・メタル・バンドのデビュー盤。音楽的には グラインド・コア系のデス・メタル・バンドだが、同郷のVADAR 等よりも、アメリカのテクニカル・デス・メタル辺りの影響が 強いと言えるだろう。それ故、VADARの様な極端に速い ブラスト・ビート等はなく、むしろスラッシィな マシンガン・リフを押し出し、うねる様に楽曲が展開して行く 感じだ。VADARの様なストレートさがない分、難解で聴き難い 感じはするが、そのクオリティは高い。どちらかと言うと、むしろ MORBID ANGEL辺りが好きな人の方が受け入れ易いかも知れない。 [81]