TOOTH AND NAIL / DOKKEN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた
2ndアルバム。彼等の出世作とも言える作品で、デビュー盤が付け
焼き刃的に出したのに比べると、こちらはアルバムとしての
整合性が遥かに高い。DON DOKKENのメロディ・センスの良さも
十分味わえる作品で、Into The FireやバラードのAlone Againは
佳曲と言って良いだけの非常に美しい楽曲だ。楽曲全体の
出来からすれば、次作のUNDER LOCK AND KEYに譲るが、それでも
秀逸なアルバムである事には変わりない。DON DOKKENのボーカルの
線の細さは気になるが、楽曲には合っているので、我慢出来る
範囲内だ。[87]
BACK FOR THE ATTACK / DOKKEN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた
4thアルバム。今更説明の必要もないが、扇情的で美しい
ヘヴィ・メタルで基本的な路線はデビュー以来全く
変わっていない。GEORGE LYNCHの奏でる美しいギター・メロディに
上手いとは言えないが、DON DOKKENのボーカルが良くあっている。
成功した前2作と比べても、決して劣らない内容だし、秀逸な
アルバムと言って良いだろう。UNDER LOCK AND KEYと比べると、
楽曲的に波がある様にも思える。しかし、それは高い楽曲
レベルでの話しだし、彼等のファンとすれば十分納得の行く
アルバムだ。彼等としては唯一の
ギター・インストルゥーメンタル・ナンバー、Mr.Scaryでは
GEORGE LYNCHのギター・プレイが存分に味わえる。[86]
BEAST FROM THE EAST / DOKKEN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた
ライヴ盤。同年に行われた日本公演の模様を収めたもので、
Dream Warriors、Into The Fire、Alone Again、
In My Dreamesと、バンドの代表曲と呼べるものは全て
収められており、選曲はベストと言って過言ではない。
録音状態は音のバランスがやや悪い様に思えるし、DON DOKKENの
ボーカルの弱さが気になる部分もある。1曲だけスタジオ録音で、
新曲としてスロー・バラードのWalk Awayが収録されており、
渇いた愁いを含んでおり、中々良い出来だ。[82]
COLLECTION 86-92 / DOMAIN
ドイツのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた
ベスト盤。ベスト盤ではあるが、半分はアルバムに
集録されているものとは違うバージョン違いで、内2曲は未発表
音源だ。と言う前振りをしたが、このバンドで一番重要なのは
名曲、Lost In The Cityだろう。まだバンド名を改名する前の
KINGDOM時代のデビュー盤に収められていた楽曲で、この名曲中の
名曲でその名を歴史に留めたと言っても過言ではない。その他の
楽曲は、悪くはないが特別どうと言う程のものでもなく、まさに
これ1曲だけのバンドだった。ある意味、この楽曲を超える事が
出来なかったのが、バンドが成功する事無くほとんど無名に近い
形で消えていった理由とも言える。しかし、それにしても
Lost In The Cityは壮大でドラマティック美しく、これ
1曲のためだけに買う価値があると言うものだ。[86]
UP FROM THE ASHES / DON DOKKEN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、DOKKENのボーカリストによる
新たなバンドの1990年にリリースされたデビュー盤。新たに
相棒として元EUROPEのJOHN NORUMと元WATCHTOWERのBILLY WHITEを
ギタリストに迎えているが、このツイン・ギターがDOKKENとの
微妙な違いになってきている。楽曲はDON DOKKENとJOHN NORUM、
BILLY WHITEの共作だが、JOHN NORUMの影響が大きいのか、
全体的に北欧メタル的な叙情感が出て来ている。そのため、
DOKKENと比べると、楽曲にフックが足りないような気がする。
メロディの美しさに関しては、DOKKENに決して引けを
取っていないし、楽曲自体は中々良いと思うが。[84]
A WIRE, A DEAL AND THE DEVIL / DON PATROL
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。かな
りリズム&ブルース色の強い作品で、そう言う意味では
WHITESNAKEにも少し似ている。DILLE DIEDRICSONのやや
しゃがれているが、パワフルでソウルフルなボーカルも、こう
言った楽曲に良く合っている。多くの北欧メタル・バンドの
洗練された哀愁のメロディと比べると、昔懐かしさを感じさせる
様な、古臭い1970年代のアメリカやイギリスのブルーズ・ロックと
言う印象を受ける。全てのと言う訳ではないが、楽曲の出来も
まずまず良いし、北欧では貴重なタイプのアルバムだ。[83]
ANGELS NEVER DIE / DORO
ドイツのヘヴィ・メタル・バンド、WARLOCKの元
ボーカリストによる1993年にリリースされたアルバム。重厚な
ヘヴィ・メタルをやっていたWARLOCKに対して、かなり大きな方向
転換を行っている。WARLOCKはともかく、その後のソロ活動からも
あまり考えられない様な、ハード・ポップで、これが思わぬ掘り
出し物だ。あのDOROがしっとりと歌い上げる
Last Day Of My Lifeを始め、全体的にもの悲しい、叙情的で
キャッチーなメロディを配したハード・ポップという感じで、
特にBorn To Bleedは名曲と言って良いだけの素晴らしい楽曲だ。
非常にドラマティックで美しい、この曲を聴くだけでも十分
価値はある。[83]
DOCTOR BUTCHER / DOCTOR BUTCHER
ドイツのヘヴィ・メタル・バンド、SAVATAGEの中核を担っていた
OLIVA兄弟の兄、巨漢ボーカリストJOHN OLIVA率いるバンドの
デビュー盤。ミュージカルの制作の為にSAVATAGEを脱退したが、
時間的余裕が出来たので新たなバンドで復活したという事の様だ。
ロック・オペラと称していたSAVATAGEのサウンドに対し、オペラ
的な要素が随分減った印象を受ける。そのたため、どちらかと
言うとストレートな印象を受け、その分聴き
易くなったかもしれないが、太仰さがなくなった分だけ、やはり
フックが足りない様に感じられる。[79]
DOKKEN / DOKKEN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第一弾となる
アルバム。元々上質のメロディ・センスを有した
バンドであったが、このアルバムでは再結成までの時の流れか、
その性質はかなり変質している。キャッチーで優れた
ポップ・センスを持っていたが、ここではそのキャッチーさは殆ど
見られない。洗練さは変わらないが、全体的に暗くて抑揚を
押さえた冷たさを感じる。昔を思い起こさせる部分も若干あるが、
昔を期待して聴くような内容ではない。GEORGE LYNCHのプレイは
相変わらず素晴らしいのが救いだ。日本以外ではミックス
し直したのはしごく当然だろう。[78]
NOLA / DOWN
アメリカのヘヴィネス・バンド、PANTERAのボーカリスト、
PHILIP ANSELMO率いるプロジェクト・バンドのアルバムで、
C.O.C.、CROWBERと言ったやはりヘヴィネス系のバンドの
メンバーでバックを固められている。PHILIP ANSELMOの
ボーカル・スタイルは相変わらずなのだが、バックはいかにも
ヘヴィネスと言う感じながら、むしろ音の厚い重厚な
ドゥーム・メタルという香りを醸し出しており、
BLACK SABBATH的な色合いが強い作品だ。これは多分にギターの
PEPPERの色が、良い意味で強く出た結果だろう。[85]
DYSFUNCTIONAL / DOKKEN
再結成第一弾アルバムとなったDOKKENは発売を急ぐあまり満足の
行かないまま日本でのみ発売されることになってしまったが、
そのアルバムをアレンジしなおして曲順の構成を変えて
ワールド・ワイドな発売となった。はっきりいってアレンジを
しなおして曲順を入れ替えるだけでこれだけ良くなるのかと思う。
逆に、この内容でそう思うということはDOKKENが如何に満足の
行かない作品であったかということだが。但し、これはDOKKENの
これまでのアルバムと比べた上での話で、内容的には決して
悪いものだはない。DOKKENでがっかりしたなら、これを聴けば
見直すはずだが、同じ曲のアルバムをもう一枚買えとまでは
言えない。DON DOKKENの叙情的な作風から考えると随分
グルーヴィなアメリカ風の作品となっているが、随所に
そのメロディ・センスは現れる。[83]
ONE LIVE NIGHT / DOKKEN
アメリカのハード・ロック・バンドの
アンプラグド・ライヴ・アルバム。もうアンプラグドというのが
さほど目新しいもので無くなったこの御時世に、
再結成したばかりのバンドが出しても、いきなりという印象しか
持てないんではないかも知れないが、こうやって聴いてみると、
このバンドがいかに良い曲をやっていたか再認識出来る。再結成
第一作となったDOKKENが今ひとつの出来だったのを考えると
尚更だ。出来はそれなりなのだが、やはり名曲をずらっと
並べられると圧巻ではあるし、アコースティックでも彼等の
美しい叙情的な曲は良く映える。[82]
INTERFACE / DOMINION
イギリスの
プログレッシヴ/メロディック・デス・メタル・バンドの
デビュー盤。しゃがれ声のデス・ボイスとクリア・ボイス、
女性ソプラノの最近たまに見かけるタイプの編成で、
THE GATHERINGのANNEKE VAN GIERSBERGEN似の
MICHELLE RICHFIELDが中心になっているが、これが
実に良い味を出している。楽曲は明らかにIRON MAIDEN風な
メロディ・ラインが多いが、所々でかなり
変則的になる。楽曲などは適度に哀愁が効いて中々良く
出来ているが、硬い音作り等はあまりにも
無機質な感じが強すぎてついていけないし、バランスも悪い。
プロダクションがもう少し良くなればかなり良い
作品になっただろう。[86]
SHADOWLIFE / DOKKEN
L.A.メタルで一世を風靡したヘヴィ・メタル・バンドの再結成
第2弾アルバム。解散前の美しいメロディを放棄して、ファンの
失望を誘った前作であったが、今作でも昔への
回帰といったものはほとんど感じられない。けだるい雰囲気の
ややオルタナティヴがかったハード・ロックという感じで、
本人たちにはもう昔のような音楽をやる気はないのだろう。
そうであるなら、わざわざこのバンド名を使う意義というものに
疑問を抱かざるをえない。時々、これといったメロディが
出てくるのも確かだが、昔のファンにはあまりなじめない
作品ではないだろうか。[75]
TOXIC WASTELAND / DOFKA
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた
多分唯一のアルバム。扇情的で哀愁のメロディを持った叙情派で、
やっている事はSANVOISEN辺りに近いのだが、質的には遠く
及ばない。まずプロダクションが非常に悪いし、機械的な
SCOT EDGELLのボーカルの抑揚のなさはある意味でLEVIATHANにも
通ずる。テクニカル・ロック的な部分は多分にあり、ギターは
結構うまく演奏も結構悪くないし、QUEENSRYCHE系のバンドを
思い起こさせる。ボーカル以外はJIM DOFKAが全てを
担当していて、バンドとしてはほとんど実態がなかったのだろう。
これではギタリストの自己満足的な域を出ておらず、とにかく
もっと手をかけてアルバムを作る必要があるだろう。[70]
WORLD OF LIES / DORIAN GRAY
ドイツのパワー・メタル・バンドの1994年にリリースされた
デビュー盤。方向的には、いわゆるジャーマン・パワー・メタルと
言うやつだが、この手のものとしては最もキーボードを押し出した
サウンドで、哀愁が効いていてポップ感が強まっている。この
アプローチはアイデアとしては悪くないと思うのだが、非常に
無機質なあまり上手くないUWE MERZのボーカルが、
なんともそぐわない感じがする。楽曲もキーボード・パートは
それなりに楽しめるのだが、それ以外はこれと言ったものもない。
取りあえずボーカルを代えると結構良くなるのではないかという
気はする。[67]
AMBER / DOWN OF DREAMS
詳細は良く判らないが、多分オーストリアの
ゴシック/デス・メタル・バンドのアルバム。この手の
バンドとしてはヘヴィ・メタル色の強いギター・プレイで、
その上に耽美色のあるキーボードを乗せている。とはいえ、
それ程耽美色を出すには至っておらず、淡々と進む
スロー・テンポのドゥーム・メタル的な雰囲気もある。
ギター・メロディなどは結構聴くべき部分があるのだが、
それ以外の部分は今一つ盛り上がる部分もなく苦しい。特に
デス・ボイスにはインパクトがなく、むしろクリア・ボイス
一辺倒で行った方が面白かったのではないだろうか。[68]
MAKING CHANGES / DON WOLF
元WHITE WOLFで、先頃PROJECT X名義のバンドでアルバムを
リリースしたカナダ人ボーカリストの初のソロ・アルバム。
ソロ・アルバムながら、バンド名義で出したアルバムに遜色のない
ヘヴィ・メタル然とした作品に仕上がっている。叙情感溢れる
メロディにSTEVE CRANEのヘヴィなギターが絡んで来て、フックが
感じられて中々聴き応えがある。楽曲は全体的に力強さを
湛えながらもどことなく優しい感じのするミドル・テンポ中心の
作品だ。全体的な出来もまずまずで、DON WOLFのボーカルもうまく
マッチしており、PROJECT Xよりもむしろ楽しめた。[83]
COLLECTION 86-92 / DOMAIN
今はなきドイツのハード・ロック・バンドのベスト盤。数年前に
リリースされたベスト盤の焼き直しなのだが、内容が若干
変更になっている。全曲リマスターされている上に、曲数は1曲
減り、何曲かが入れ替わっている。未発表曲は全くないが、
I Don't Wanna Dieがの通常のバージョンの他にMaxi Versionが
収められていたり、1992年のものでは収められていなかった
Beg, Steel Or Borrowが収録されている。方向的には叙情的な
憂いを帯びたメロディの非常にポップなハード・ロックでなかなか
美しいのだが、やはりこのバンドは初期のバンド名が
KINGDOMだった時代の名曲、Lost In The Cityを超える曲を産み
出せなかったのが致命的だった。[84]
INCOMPETENT... / DOOM
日本のハード・コア・パンク・バンドの1987年にリリースされた
アルバム。サウンドはかなりヘヴィ・メタル的で、ヘヴィ・メタル
系のファンにも結構聴けるはずだ。この手の系統に多い、
スラッシュ・メタル的な部分はあまり感じられず、どちらかと
言うとアバンギャルドで変則的なサウンドが中心になっている。
こう言ったプログレッシヴ・ロック的とも言える様な変則的な
楽曲が、中々聴きごたえがあるのだが、こういったサウンドが
受け入れないとかなり厳しいかもしれない。アルバム的には
ユニークなサウンドで出来自体も決して悪くない。[79]
DOOM SWORD / DOOM SWORD
詳細は全く不明だが、恐らくイタリアの
ドゥーム/ヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。バンド名から
想像させる様なドゥーム・メタルっぽさもあるのだが、むしろより
正統的なヘヴィ・メタル的なサウンドだと言って良いだろう。
ミドル・テンポの重厚なサウンドにドゥーム・メタルっぽい
ヘヴィネスなギターの音色がドゥーム・メタル的な印象をさせる
訳だが、CANDLEMASS程ダークで重苦しくはない。全体的に扇情的な
感じがするので、そういう部分はドゥーム・メタルっぽくは
感じないだろう。B級っぽさがそこはかとなく香って来るが、
全体的に悪くないアルバムだ。[81]
KEEPER OF THE NIGHT / DORIAN LORD
詳細は全く不明だが、恐らくアメリカのヘヴィ・メタル・バンドの
1995年にリリースされたアルバム。ギタリストのSCOTT RIEDLEは
かなりテクニカルで派手なギター・プレイを入れて来る。
方向的には如何にもアメリカらしい、昔懐かしい感じのする
ヘヴィ・メタルで、悪くはない。プロダクション的には今一つな
感じもするし、前半はこれと言った曲もないので、手放しで喜べる
様な内容ではない。後半になると、愁いを含んだナンバーが
中心にとなり、急に格好良くなるが。ベーシストは日本人で、
ICHIRO BIALOPIOTROWICZ-KATOとクレジットされている。[78]
ERASE THE SLATE / DOKKEN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの復活第3弾。ボーカルの
DON DOKKENとは不仲と言われながらも、このバンドでは常に伴に
活動してきた、GEORGE LYNCHが脱退し、元WINGERのREB BEACHが
加入している。再結成後の、ダークでモダンなサウンドは、旧来の
ファンの落胆を買うには十分だったが、今作では旧来の
メロディアス路線に揺り戻していると言っても良いだろう。とは
言っても、REB BEACHが曲作りに絡んでいるためかは判らないが、
昔そのままと言った感じではないのも確かだ。確かに前の
2作よりは納得出来るが、それは前の2作がこのバンドの
方向性としてはあまり認め難いものであったからで、彼等の全盛期と
比べると、決して手放しで喜べる作品ではないと思う。[81]
MOVING TARGET / DOUBLE DEALER
カナダのハード・ロック・バンドのデビュー盤。同郷のLOVERBOYの
PAUL DEANもマスタリングでクレジットされており、ある程度
繋がりがあるのだろう。方向的にはLOVERBOYと言った感じはなく、
カナダと言うよりはアメリカ的なハード・ロックンロールと言った
感じのする作品だ。AEROSMITHっぽいロックンロールと言う
部分もあったりするが、より粘着的で、叙情的で、テンポ良く
疾走すると楽曲が中心だ。メロディは印象的ところがあって、
ファンキーな部分等は中々面白い。のりが良くて、DAVID STEELEの
ソウルフルなボーカルが、そう言った部分をより助長している。
[82]
IN DANGER / DOUBLE DIAMOND
詳細は不明だが、ベルギーのヘヴィ・メタル・バンドの自主制作の
恐らくデビュー盤。方向的には、オーセンティックな
ヘヴィ・メタルで、さび等はややジャーマン・パワー・メタルの
大仰さが感じられる。自主制作と言うこともあってか、
プロダクションはお世辞にも良いとは言えないし、演奏的にも
まだまだと言った感じがするのだが、メロディ・センスは
悪くない。FILIP LEMMENSのボーカルは、ハイ・トーンを多用した
タイプだが、まだ歌い慣れていない感じで少し不安定にも
感じられる。もっとプロダクションに力を入れて、作り込めば
かなり良くなる素材ではあるが。[77]
LIVE FROM THE SUN / DOKKEN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。1999年に行われた
アメリカでの公演の模様を収めたもので、REB BEACHが
加入してからとしては当然初のライヴ盤だ。
ERASE THE SLATEからの楽曲を除けば、再結成後の楽曲は
Too High To Flyだけで、デビュー盤のBreaking The Chains等まで
収められている事からも判る様に、明らかに解散前の方向性を
意識していると言って良いだろう。むしろファンとしてはそう
言った部分を望み、再結成後の2作には失望していた人が
ほとんどだったろうから、むしろこう言った回帰的な作品を作った
事に満足した人も多いだろう。REB BEACHのギター・プレイは
生々しく、臨揚感も良く出ている。[86]
DOUBLE DEALER / DOUBLE DEALER
日本のヘヴィ・メタル・バンド、CONCERTO MOONとSABER TIGERの
メンバーによるプロジェクト・バンドのアルバム。初回
限定盤としてインストルゥメンタル・ナンバー、Fire Drakeの
シングルが付いた2枚組みとなっている。島紀史が
ギタリストだけあって、全体的な音楽性はCONCERTO MOONに
近いが、あそこまでネオ・クラシカル的な色合いは強くなく、
そこに下山武徳の非常にパワフルなボーカルがのって来る。
日本のと区切らずに世界で通用する様な作品は少なからずあるが、
この作品はその中でもトップ・クラスと言って良い程、楽曲、
演奏とも良く出来ている。哀愁味を抑えているのも下山武徳の
ボーカルを生かしているし、アグレッシヴでパワフルな作品に
仕上がっている。[87]
OUR KINGDOM / DOMAIN
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた
デビュー盤。当時はバンド名を改名する前のKINGDOMで
リリースされたものだ。叙情的なメロディのポップな
ヘヴィ・メタルを聴かせてくれているが、楽曲的にはどうと言う
事のないレベルで、普通ならば埋もれていくバンドの一つと
言ったところだが、このバンドが未だ忘れ去られないのは、この
アルバムに収められている名曲、Lost In The Cityだ。叙情味
溢れる、キーボードを中心とした印象的なメロディは素晴らしく、
この曲だけと言った感じもあるのだが、それだけでも価値がある。
[85]
CHECK YOUR PEOPLE / DOWNSET
アメリカのミクスチャー・ロック・バンドの4年振りとなる
3rdアルバム。TRIBE OF GYPSIESのROY Zがプロデュースを
行っているが、いわゆるヘヴィ・メタルと言う感じは薄く、
楽曲的にはハード・コア色の強いものとなっている。そこに
PANTERA的なモダン・ヘヴィネスのアジテーションを持ち
込んだり、ラップ的な歌い方を取り入れたりしている。
Together等では、AC/DC的なハード・ロックンロール色が
見えたりもするが、そこにREY OROPEZAのラップ的ボーカルが
被さって来ると非常に今的な風味の感じられるものとなって来る。
[83]
CALLING THE WILD / DORO
ドイツのヘヴィ・メタル・バンド、WARLOCKの
元ボーカリストによる7thソロ・アルバム。一時期、非常に
キャッチーでポップな路線に走っていたが、今作では久しぶりに
メタル色の強い路線に揺り戻している。女性ボーカルらしからぬ
パワフルな歌唱が彼女の持ち味だけに、久々に溜飲を下げてくれた
形だ。Who You Loveと言ったここ最近のポップさを打ち出した
楽曲もあり、適度にポップで、適度にヘヴィと言った感じだ。やや
愁いがかった楽曲で、全体的に一定レベルをキープしている
感じだが、飛び抜けた楽曲もない様な気がする。BILLY IDOLEの
White Weddingをカバーしているが、灰汁のなさが裏目に出ている
感じがして、今一つ面白味に欠ける。[79]
DERIDE ON THE TOP / DOUBLE DEALER
日本のヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。CONCERTO MOONの
ギタリスト、島紀史とSABER TIGERのボーカリスト、下山武徳を
中心としたプロジェクトで、デビュー盤はこの二人の持ち味を
存分に活かした作品だったと言って良いだろう。それはこの
作品でも受け継がれており、下山武徳のパワフルでワイルドな
ボーカルは素晴らしいし、ネオ・クラシカル色の強すぎる
CONCERTO MOONと比べて、そう言った要素を適度に押さえて
バランスの良さが感じられる楽曲の出来も良い。全体的に
アップ・テンポで勢いも良く、一気に聴かせてくれる。[86]
UNLEASHED / DOGFACE
スウェーデンのハード・ロック・バンドのデビュー盤。ここで
注目されるのは、元SWEDEISH EROTICA、TREAT、
ABSTRAKT ALGEBRA、YNGWIE MALMSTEENのボーカリスト、
MATS LEVENがいる事だろう。楽曲は彼のこう言った経歴からは
外れ、WHITESNAKE風のブルーズ・ハード・ロックを
聴かせてくれている。実際楽曲を書いて、バンドの実権を
握っているのはギタリストのMARTIN KRONLUNDの様なので、そう
言ったものに影響されないのはある意味当たり前だろうか。
しかし、意外と格好良く印象的なフレーズもあって、楽曲の出来は
中々ものだ。エモーショナルで雰囲気も良く出ているし、
MATS LEVENのややハスキーな憂いのあるボーカルが雰囲気を
倍化させていて、味わいのあるアルバムに仕上がっている。[89]
LAST MAN STANDING / DOUG HOWARD OF STUN LEEA
元TOUCH、現STUN LEERのアメリカ人ボーカリストによる
ソロ・アルバム。全てのパートを一人でこなし、正しく
ソロ・アルバムと言えるマルチ・プレイヤー振りを見せている。
STUN LEERより更にハードでダイナミズム溢れる作品に
仕上がっており、より聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。
ややハスキーだが伸びのある彼のボーカルも、パワフルで作品に
良く合っているし、ソウルフルでエモーショナルな歌唱が情感を
増している。楽曲はどことなく聴いた事のある様なフレーズも
見受けられるが、エッヂが効いていてメロディのも適度に
キャッチーで、中々良く出来たアルバムだ。[84]
STORMBRINGER PULER / DOMINE
イタリアのパワー・メタル・バンドの2年振りの3rdアルバム。
ツー・バスを駆使したアップ・テンポの大仰なメロディの
パワー・メタルで、同郷のRHAPSODY等と同じ様に、最近イタリアの
バンドでは散見されるジャーマン・パワー・メタルの影響を受けた
バンドと言って良いだろう。ジャーマン・パワー・メタルに
比べれば、よりキーボードを前面に押し出し、叙情感を更に
出しているのだが、ファンタジックで勇壮な楽曲は、この
手のものでも最もくどいと言えるものだ。特にボーカリスト、
MORBYの歌唱もあって、その感は一層強くなっている。RAINBOWの
Stargazerがボーナス・トラックとしてカバーされているが、
これもくどい。[78]
II / DOWN
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの7年振りの2ndアルバム。
PANTERAのボーカリスト、PHILIP ANSELMOを中心に、
CORROSION OF CONFORMITYのギタリスト、PEPPER KEENAN、
PANTERAのベーシスト、REX BROWN、CROWBERのギタリスト、
KIRK WINDSTEIN、EYEHATEGODのギタリストでここではドラマーを
担当しているJIMMY BOWERによるプロジェクトだ。音楽的には前作
同様、PANTERAの様なモダン・ヘヴィネスとは異なり、むしろ
ドゥーム色の強いヘヴィ・ロックと言って良いだろう。この
ドゥーム色が前作以上に強まっており、どちらかと言うと
SAINT VITUSやCORROSION OF CONFORMITY辺りを思い起こさせる
アルバムに仕上がっている。[85]
SACRED HEART / DOG TOFFEE
イギリスのハード・ロックンロール・バンドの2ndアルバム。
方向的にはパンク・ロックのエッセンスを強く押し出した
ワイルドなハード・ロックンロールだ。それ故MOTORHEADっぽさも
全くない訳ではないが、あれ程ハードではないし、よりポップ色と
パンキッシュさが強く出ていると言って良いだろう。どちらかと
言うとそれよりは、憂いがあって最近の北欧
ハード・ロックンロールの方が近いと言えるが、それでも妙に
明るい分だけ軽く感じられる。この手のものらしいのりと勢いは
良く出ていて、小気味のよさのある作品に仕上がっている。[82]
LONG WAY HOME / DOKKEN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの8thアルバム。前作では
ギタリストがGEORGE LYNCHに代わって、元WINGERのREB BEACHが
加入したのだが、そのラインナップも結局長続きせず、今作では
元EUROPEのJOHN NORUMが加入しているが、結局これも
長続きしなかった模様だ。DON DOKKENとJOHN NORUMの
コラボレートは、DOKKEN解散後のDON DOKKENで既に
実績があるだけに、彼等らしいメロディが盛り込まれており、それ
程大きく外した作品ではない事は確かだ。ただ、DON DOKKENが
あまりにもメロディ主体であり過ぎたためか、この作品ではかなり
楽曲にフックを付ける事に主眼が行き過ぎていて、楽曲の魅力が
今一つ伝わって来ない。[81]
PSYCHO PATH FEVER / DOMINIUM
ポーランドのデス・メタル・バンドの3rdアルバム。ポーランドの
デス・メタルと言うと、VADAR等に代表される、グラインド・コア
系のブルータルで超高速のデス・メタルを思い起こすが、この
バンドはそう言ったところを取り入れながらもやや趣の違う
事をやっている。あまり上手くないが、クリア・ボイスを使った
侘しいイントロで最初はどうなることかと思ったが、以降は
攻撃的なサウンドを聴かせてくれている。ブラスト・ビートを
交えてくる場面もあるのだが、楽曲自体はメロディをしっかり
持っていて、全体的にスラッシィな色合いが
濃いものとなっている。耽美感と虚無感の漂うゴシック・メタル
的なエッセンスを付けたり、ブラック・メタル的な荒涼とした
雰囲気があったり、ホーンやキーボードで適度に味付しながら
独自の世界を作り上げているし、演奏的なレベルも高い。[82]