WHEN DREAM AND DAY UNITE / DREAM THEATER

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの1989年に リリースされたデビュー盤。ボーカリストがまだ CHARLIE DOMINICIだった頃の作品で、その後のより プログレッシヴ・ロック的な方向に寄ったサウンドから比べると、 まだヘヴィ・メタル色が結構強いアルバムだと言っても 良いだろう。しかし、インストルゥーメンタル・ナンバー、 The Ytsejamの様に、その後のプログレッシヴ・メタルへの布石が 十分感じられる。まだまだアイデアを消化しきれていないと感じる 部分もあるが、楽曲の出来も十分評価レベルに達していて、 デビュー作としては納得の行くアルバムだ。[82]

IMAGES AND WORDS / DREAM THEATER

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの1992年に リリースされた3年振りの2ndアルバム。ボーカリストとして新たに 元CONEY HATCH、WINTER ROSEのJAMES LaBRIEを加えているが、 これがこのアルバムにおいて、大きな意義を持っている。 プログレッシヴ・メタルと言う新機軸を打ち出す上で、 JAMES LaBRIEの澄んだ伸びやかな声が非常にサウンドに良く 合っている。前作と比べると、その完成度は飛躍的に伸び、 Pull Me Underでの緊張感や叙情的で壮大な美しいバラードの Another Day等、個々の楽曲も素晴らしい。[90]

LIVE AT THE MARQUEE / DREAM THEATER

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの1993年に リリースされたライヴ盤。タイトルでも判る通り、ロンドンの MARQUEEで行われたヨーロッパ・ツアーの模様を収めたものだ。 アルバムをそのまま再現する演奏は、緊張感がありさすがと 思わせるだけのものはある。JAMES LaBRIEのボーカルも、アルバム 通りの情感豊かな素晴らしい声を聴かせてくれているし、演奏的な 出来は本当に素晴らしい。楽曲が長いので、わずか6曲しか 集録されていないのが非常に残念だ。CDとしては収録時間にまだ 余力があるだけに、後2、3曲位あっても良かった様に思える。[83]

AWAKE / DREAM THEATER

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの1994年に リリースされた3rdアルバム。前作での成功で、 プログレッシヴ・メタルと言うジャンルを確立して見せたが、 今作も基本的にはその延長線上である。しかし、ヘヴィ・メタル 的なエッセンスが減少し、かと言ってプログレッシヴ・ロック的な 要素が強くなったのかと言うとそうでもなく、何となく中途半端な 作品になってしまっている。前作で強く押し出していたメロディの 魅力が感じられず、JAMES LaBRIEのボーカルもパワフルに 歌おうとして、却ってその魅力が失われている。初回盤には1曲 入りのボーナス・シングルが付いているが、ここに収められている Eveは、キーボードによるしっとりした インストルゥーメンタル・ナンバーで、派手さはないが、逆にまだ こちらの方が面白い。[84]

DIABLERO / DRIVE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 1stアルバム。今では珍しいほどの非常にオーセンティックな ヘヴィー・メタルで、実に格好の良い作品に仕上がっている。 DAVID EARL TAYLORのボーカルも、実にオーセンティックで アルバムの雰囲気をより盛り上げている。特にPandillaは名曲と 呼べるだけの出来で、扇情的なヘヴィ・メタルの本編から、ボレロ 風のアコースティック・ギター、スペイン語に切り替わる歌詞から 間奏へと言う流れは実に見事だ。愁いを含んだブルーズ色のある ハード・バラードのBarrio Bluesを始め、他の楽曲の出来も 中々のものだ。ブルーズ色があるものの、変にブルーズに 走っている訳ではなく、要素の一つにそう言う面があるだけと言う 姿勢も好感が持てる。生々しい演奏も非常に良く合っているし、 隠れた名盤と言っても良いだけのアルバムだ。[94]

A CHANGE OF SEASONS / DREAM THEATER

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドのミニ・アルバム。 リリース前に来日した時のライヴでそのときにも演奏された A Change Of Seasonsがメインの企画盤だ。如何に曲が ドラマティックで展開があったとしても、23分というのは冗長 過ぎて最後まで間がもたない。これだけの長い曲を聴かせるには かなり計算して構成などを考えないといけない。それよりも興味を 引くのは種々のコピー群で、各曲とも選曲からして非常に興味 深い。ELTON JOHNは歌が始まると、さすがにちょっと違うような 気がするが、イントロは非常にドラマティックな仕上がりだ。 DEEP PURPLEのPERFECT STRANGERは意外だが、非常に パワフルだし、さすがと思わせるものになっている。ZEPの メドレーは、バンドの特質からしても、やはり Achilles Last Standが特に素晴らしい。企画盤と思えば十分満足 出来るレベルにはなっているだろう。[86]

AGENTS OF THE MIND / DREAMGRINDER

イギリスのロック・バンドの2ndアルバム。方向的には サイケデリックなゴシック・ロックとも言える様な作品で、 THE CULT的ではあるが、よりヘヴィネスなサウンドに 仕上がっている。サイケデリックでヘヴィなサウンドは、 けだるさのあるのりを産み出しており、非常にグルーヴィな 雰囲気が漂っていて、中々ユニークで面白い。ヘヴィ・ロックと 融合したそのサウンドは、オリジナリティのある独自の世界を作り 上げているし、楽曲のアイデアも悪くないのだが、全体的に変化が 少な過ぎてどうも冗長な印象を受けるのが残念だ。[82]

FALLING INTO INFINITY / DREAM THEATER

プログレッシヴ・ヘヴィ・メタルという新機軸を作り出した、 アメリカのバンドの4thアルバム。IMAGE AND WORDSに比べると、 AWAKEはどうしても地味な印象を受ける作品であったが、今作でも そういった感じはある。但し、楽曲の出来という意味では いつもながらの安定したレベルであり、バンドとしての ポテンシャルは高い。全体的に落ち着いた雰囲気の曲が多く、 派手な演奏もそれ程多くないので、やや地味という感じも受ける 訳だが、情感豊かで良く出来ている。しっとりとした曲の この情感の豊かさに比べて、ハードな曲が今一つ面白味に欠ける。 初回特典として2曲入りボーナスCDが付いてくるが、取りたてて これというほどのものではない。[86]

HOLLOW YEARS / DREAM THEATER

アメリカのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの 4thアルバム、FALLING INTO INFINITYよりのシングル・カット。 シングル・カット曲のエディット・バージョンとアルバムに 収められているバージョンの2曲以外に4曲収録されており、全 46分とこういった趣旨の作品としてはかなり長い作品だ。 Hollow Years以外では、You Or Meのデモ・バージョン、アルバム 未収録のThe Way It Used To Be、ライヴ音源の Burning My Soul、Another Hand/The Killing Handと言う 構成になっている。The Way It Used To Beはアルバム 未収録だけあって、どうということのない曲だ。ライヴ音源は あまり手を入れていないのか、ボーカルがやや浮いたような 感じがするのが残念だ。[80]

ONCE IN A LIVETIME / DREAM THEATER

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの2枚組みライヴ盤。 オープニング・ナンバーとして、超大作のA Change Of Seasonsを いきなり持って来ているが、全てを通して演奏せずに、パート毎に 分けてライヴ中に散らして挿入している。元々冗長過ぎる 曲なので、そのおかげで間延びせずに済んでおり、このやり方は 正解だと言って良いだろう。全体的な演奏のレベルはさすがと 思わせるだけのものはあるが、残念ながらJAMES LABRIEの ボーカルが不安定なところが感じられる。パリでのライヴを140分 丸々収録し、終了後のSEまで収められているので、ライヴの全容は 感じられるだろう。[84]

MASQUERADE / DREAM OF SANITY

オーストリアのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。 ガストン・ルルーの小説、「オペラ座の怪人」を題材にした コンセプト・アルバムだ。方向的にはSANDRA SCHLERETの女性 クリア・ボイスとFREDERIC HEILのキーボードを前面に押し出した サウンドで、流麗な作品だ。それ程ゴシック・メタル的な 耽美さはないので、一般のリスナーにも聴き易いだろう。楽曲、 演奏と全体的に良く出来ているとは思うのだが、 SANDRA SCHLERETが大仰過ぎて今一つ感情移入出来ないのが 残念だ。こう言う方向性でありながら、耽美さを全く出さないで、 流麗さだけで勝負しているのも個人的に嬉しくない。[82]

VERY / DREAMSCAPE

ドイツのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの 2ndアルバム。方向的には、いわゆるDREAM THEATERタイプと 言うやつで、それだけに意識した様なこのバンド名は損をしている 様に思える。HUBY MEISELのボーカルは GEDY LEEっぽかったりするのだが、JAN VACIKのキーボードの 入れ方等、楽曲は完全にDREAM THEATERだ。それだけに、逆に オリジナリティの感じられない作品だと言って良いだろう。 全体的な完成度や、テクニカルな楽曲に、それを表現できるだけの 演奏力は大したものだがそれだけだ。もう少し自己を 出していけないと、少し苦しい様な気もするが、とりあえず DREAM THEATER系統が好きならば安心して聴けるはずだ。[80]

METROPOLIS PT.2:SCENES FROM A MEMORY / DREAM THEATER

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの5thアルバム。 キーボードとしてLIQUID TENSION EXPERIMENTのJORDAN RUDESSが 加入して初のアルバムで、2部構成の コンセプト・アルバムとなっている。楽曲のクオリティは高く、 コンセプト・アルバムと言っても、それぞれのシーンが1曲1曲 独立して存在し得ているし、アルバムを通しても楽しめるものに 仕上がっている。JORDAN RUDESSのキーボード・プレイも期待 通りのもので、楽曲によってはよりプログレッシヴ・ロック的な 色合いが濃く出ている部分もある。彼等としても、レベルの高い アルバムに仕上がっているが、インパクトがもう少し欲しい。[87]

N.W.O.B.H.M. REVISITED-THE VERY BEST OF DRAGSTER / DRAGSTER

N.W.O.B.H.M.期に活躍したイギリスのヘヴィ・メタル・バンドの ベスト盤。とは言っても、恐らくHEAVY METAL RECORDSから赤と 青の2種類のジャケットでリリースされたシングル1枚しか リリースされていないはずで、実状はベスト盤と言うよりはレア 音源集と行った方が正しい。19曲も収録されており、良くこれだけ レコーディングして、かつ音源が残っていたなぁと言うのが正直な 心境だ。方向的には、如何にもN.W.O.B.H.M.らしい愁いを帯びた、 ロックンロール調のヘヴィ・メタルで、GARRY OWENのボーカルを 始め、演奏も割とちゃんとしていて、N.W.O.B.H.M.のファンならば 十分満足出来る内容のはずだ。プロダクションは決して良いとは 言えないが、意外と酷いと言う程でもない。[88]

THROUGH HER EYES / DREAM THEATER

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの来日記念盤の ミニ・アルバム。タイトル・トラック曲のバージョン違いが2曲、 Homeのバージョン違いが1曲、ライヴが2曲の全5曲と言う 構成になっている。Through Her Eyesは、 オルタネイト・アルバム・ミックスの方がよりしんみりとして 情感が良く出ているが、特別どうと言う程のものではない。 むしろ、HomeとWhen Images & Words Uniteのライヴの方が興味 深く、特にWhen Images & Words UniteはPull Me Under、 Under A Glass Moon、A Fortune In Lies、 Only A Matter Of Time、Take The Timeと言う メドレーになっている。ライヴ・パートだけで30分を超え、彼等の ライヴ・パフォーマンスを十分に楽しめる。[80]

KINGDOM COME / DREAMHUNTER

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。アメリカ 的な渇いた空気を感じさせるロック・ナンバーから、北欧的な 愁いを感じさせる叙情的なナンバーまで、幅広くやっている。 バラエティに富んでいると言えば聞こえは良いが、どちらかと 言うと方向性が定まっておらず散漫な印象を与えると言った方が 良いだろう。ホーン・セクションを取り入れたりと 色々やろうとする試みは良いと思うのだが、どうも少々突飛に 感じられる。楽曲もどこかで聴いた様な感じのものが多いが、 それだけに出来は悪くないし、メロディ・センスも良いと 思えるだけに残念だ。[79]

THE GAME / DREAM OF SANITY

オーストリアのゴシック・メタル・バンドの3rdアルバム。 方向的にはシンフォニックで流麗なゴシック・メタルだが、その サウンドにはヘヴィ・メタル的な色合いがしっかりと出ている。 スローで泣きの入ったギター・メロディが前面に押し 出されているため、ヘヴィ・メタル色が強く出ているのだが、この 手のバンドでは、メタル色を廃しているものも多いだけに、却って 新鮮な感じも受ける。女性ボーカリスト、SANDRA SCHLERETの 透明感を感じさせる声質が、流麗なサウンドに良くあっていて、 美しさを際立たせている。惜しむらくは、折角ヘヴィ・メタル的な 色合いを押し出しているのに今一つ力強さに欠けて平面的に感じる 事だろう。[81]

SING LOUD, SING PROUD! / DROPLICK MURPHYS

アメリカのパンク・ロック・バンドの3rdアルバム。バグ・パイプ 奏者のSPICY MCHAGGISとマンドリン奏者のRYAN FOLTZが 加わっており、アイリッシュ・トラッド色を感じさせてくれる ポップなパンクを聴かせてくれている。楽曲的にはCLASHや GOO GOO DOLLS等にも通ずる様な、コケティッシュな キャッチーさがあり、そこにアイリッシュ・トラッド色を持ち込む 事により、彼等としての独自色が出ており、中々ユニークで面白い アルバムに仕上がっている。ヘヴィ・メタル側の リスナーからすれば、普段全く聴かない様なサウンドだろうが、 これはこれで味わいがある。[81]

REFUGE FROM REALITY / DREAMTALE

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの自費出版による デビュー・ミニ・アルバム。方向的には叙情的なメロディの ヘヴィ・メタルで、アップ・テンポでやや臭さを感じる メロディは、北欧と言うよりはジャーマン・メタルっぽさを感じる 作品だ。のりが良くて勢いがあるので、聴いていて気持ちが 良いが、残念ながら自費出版の悲しさか、プロダクションに不満を 感じるし、楽曲のアレンジにも課題が残っていると言って 良いだろう。キーボードを導入したつぼを突いた楽曲は、 STRATOVARIUS辺りのファンであれば、それなりに聴けるはずだ。 [75]

AND THE WINNER IS... / DRILLER KILLER

スウェーデンのハード・コア・パンク・バンドの5thアルバム。 あくまでもベースはハード・コア・パンクだが、かなり速くて メタリックなサウンドはスラッシィな感じをさせるので、メタル 側のリスナーにも十分楽しめるだろう。パンキッシュで、幾分 ロックンロール的な色合いがあり、勢いを感じさせるので MOTORHEADっぽさも感じられる。ボーカルはかなりだみ声が強く、 低音で咆哮する事もあるので、時によってはデス・ボイスっぽく 感じられる事もあり、好みの判れるところだろう。のりと 勢いだけで突っ走ってしまっている様なところもあるが、中々 面白い作品だ。[82]

THE BATTLE OF THE IVORY PLAINS / DRAGONLAND

ギリシャのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。ギリシャの しかも臭いバンド名と言う事でかなり胡散臭さを感じさせるが、 意外とその出来は悪くない。方向的には北欧メタルや ジャーマン・パワー・メタルのエッセンスを感じさせるもので、 STRATOVARIUSやSONATA ARCTICA辺りに通じるものがある。 北欧メタル的な透明感のある叙情的なメロディに、 ジャーマン・パワー・メタル的なツー・バスを多用した、大仰な ドラマティックさがある。プロダクションや楽曲、演奏とも出来は 中々のもので、この手の系統のものが好きなら聴いても 損はしないだろう。しかし、ドラマーのJONAS HEIDERTが ボーカルを兼任しているのだが、これだけツー・バスを踏んでいて ライヴできちんと唄えるのだろうか?[80]

LIVE SCENES FROM NEW YORK / DREAM THEATER

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの3枚組みライヴ盤。 2000年に行われたアメリカでの公演の模様を収めたものだが、 3時間を超える凄まじい内容で、特にいきなり METROPOLIS PT.2:SCENES FROM A MEMORYが通して演奏される様は 圧巻だ。あの長大なA Change Of Seasonsも演奏されており、 まさにただただ圧倒されるばかりだ。後半は馴染みの深い楽曲が 中心となっており、昔のファンにも十分納得が行くだろう。 3時間も聴いていると流石に聴き疲れては来るが、演奏的にも 凄まじく、素晴らしい完成度のライヴを聴かせてくれている。[86]

WHAT YOU BELIEVE IN / DREAMTIDE

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤、 HERE COMES THE FLOODからの先行シングル。FAIR WARNINGの ギタリスト、HELGE ENGELKEを中心とするバンドで、同じく 元FAIR WARNINGのドラマー、C.C.BEHRENSもメンバーとして名を 連ねている。アルバムから1曲、シングル・カット曲の タイトル・トラックを含む3曲が、アルバムとはバージョン違い、 アルバム未収録曲1曲の全5曲と言う構成になっている。 What You Believe InはHELGE ENGELKEのスカイ・ギターを 活かした、叙情的なメロディの如何にもFAIR WARNINGらしい 哀愁のナンバーで、それを除くとややFAIR WARNINGから外れる 部分もあるが、FAIR WARNINGのファンも十分満足の行く 楽曲だろう。OLAF SENKBELIのボーカルは、やや野太さも 感じさせるが、それ程下手な訳ではない。[84]

HERE COMES THE FLOOD / DREAMTIDE

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。FIRE WARNINGの ギタリスト、HELGE ENGELKEを中心としたバンドだ。 元FIRE WARNINGのドラマー、C.C.BEHRENS、元THUNDERHEADの ベーシスト、OLE HEMPELMANNと言ったメンバーになっている。 FIRE WARNINGではクリエイティヴ面の中心はULE RITGENだった 訳だが、その音楽的方向性はこの作品でもそのまま引き 継がれており、HELGE ENGELKEのスカイ・ギターこそが FIRE WARNINGだと思わせる作品ではあるが、その一方で楽曲の 出来には波も感じられる。What You Believe In等は、 FIRE WARNINGのファンが聴けば満足する事間違いなしなだけに 惜しい気もする。OLAF SENKBEILはTOMMY HEARTと比べると 見劣りするが、それなりに無難にはこなしている。[84]

SIX DEGREES OF INNER TURBULENCE / DREAM THEATER

アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの2枚組みの 6thアルバム。前作では結構ポップな面を強調した作品 作りがなされていたが、今作ではダークでヘヴィな面を強調した 作品作りとなっている。そう言う意味では前作以上に評価が 分かれそうな作品ではあるが、演奏面では彼等の本領が 発揮されているし、AWAKE辺りが好きなら特に違和感は 感じないだろう。2枚組みで7曲と言う非常に大作的な構成だが、 むしろ42分にも及ぶタイトル・トラックはクラシック・パートと 融合したシンフォニック・ロック的な内容の方が賛否が 分かれるかも知れない。JAMES LaBRIEのボーカルをエフェクト 処理しているところ等は、少しやり過ぎと言う気もするし、 バラードのMisunderstoodが前半長々と盛り上がりのないまま 進むのも、間延びした印象を受けるが、全体的にはそう悪くない 作品だと思う。[85]

BAD ATTITUDE / DREAMHUNTER

スウェーデンのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。前作では どちらつかずで散漫な感じも受けたが、今作では北欧と言うよりも アメリカ的なキャッチーさを押し出した洗練された ハード・ロックに方向性を絞れている。メロディ・センスの良さは そのままで、特にFIREHOUSEに通ずる部分が大きく、楽曲自体や 分厚いコーラス等はFIREHOUSEだと言っても通用するものも多い。 STIG GUNNARSONのボーカルは、しゃがれたハスキーなものだが、 高音は結構伸びるのでそれ程気にならないし、C.J.SNARE程 甘ったるさを感じないので、むしろFIREHOUSEよりすんなりと 聴けるかも知れない。[83]

BAPTURE / DRAGONLORD

アメリカのスラッシュ・メタル・バンド、TESTAMENTの ギタリスト、ERIC PETERSONを中心としたプロジェクト。 SADUSのドラマー、JON ALLEN、SADUS、DEATH、TESTAMENTの ベーシスト、STEVE DIGIORGIO、TESTAMENTのギタリスト、 STEVE SMYTH等が参加しており、ERIC PETERSON自身がボーカルを 取っている。方向的にはエクストリーム系の作品で、キーボードを 導入した荒涼としたメロディとブラスト・ビートと言う、いわゆる 北欧ブラック・メタルの手法を使ったものと言って良いだろう。 耽美なゴシック・メタル的なエッセンスも取り入れ、非常に ダークで破壊的な世界観を作り上げている。[86]

BEYOND REALITY / DREAMTALE

フィンランドのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。その 音楽性はジャーマン・パワー・メタルをベースとし、そこに北欧 メタルらしい叙情性の感じられるメロディを加えており、幾分 爽やかな感じに仕上げており、SONATA ARCTICA等に近い音楽性と 言って良いだろう。楽曲の出来にはやや波が感じられるが、 メロディの作り方等は中々秀逸で、完成度も高く、その資質の 高さを感じさせるアルバムだ。Heart's Desireと Where The Rainbow EndsではSINERGY、NIGHTWISHのベーシストで TAROTのボーカリスト、MARCO HIETALAがリード・ボーカルを 取っている。[84]

DRAGONSLAYER / DREAM EVIL

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 ギタリスト兼キーボードのメロディック・デス・メタル系ではその 名を知られるプロデューサー、FREDRIK NORDSTROMを中心とした バンドで、MYSTIC PROPHECY、FIREWINDのギタリスト、GUS Gとの コラボレートとなっている。音楽的には、FREDRIK NORDSTROMが 関わってはいるが、正に正統派ヘヴィ・メタルと言ったサウンドを 聴かせてくれている。叙情的なメロディにアップ・テンポの 扇情感を加えており、聴き応えのある格好の良い作品に 仕上がっている。楽曲自体はオーソドックスで目新しさはないが、 クオリティは非常に高い。[85]

HOLY WAR / DRAGONLAND

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。 キーボードを配し、北欧らしい憂いを帯びた叙情的なメロディの、 メロディアス・スピード・メタルと言って良いだろう。 ツー・バスを使い、ドラマティックでジャーマン・パワー・メタル 的な雰囲気を匂わせるが、割と流麗に仕上げられており、それ程 臭いと言う訳でもない。目新しさはないが、楽曲展開は 起伏があって、ドラマティックさを上手く出している。 FREDRIK NORDSTROMがプロデュースしているが、この辺りが上手く 効果を出しているのだろう。ドラマーのJONAS HEIDGERTが ボーカルを兼任しているが、透った声質で決して下手と言う 訳ではないものの、粗も感じられるし専任のボーカリストを 探した方が良い。[81]

REAL LIFE / DRIVE, SHE SAID

アメリカのハード・ロック・バンドの10年振りの4thアルバム。 1980年代初頭に、アメリカン・プログレッシヴ・ハード・ロックの 中堅バンドとして活躍した、TOUCHのキーボード、MARK MANGOLDを 中心とするバンドだ。その再結成第1弾となるアルバムだが、 方向的にはこれまで通りの産業ロック系のハード・ロックと 言えるものだ。キャッチーで洗練された産業ロックから、TOUCHの 流れを汲む、アメリカン・プログレッシヴ・ハード・ロックまで、 割と幅の広い音楽性を持っている。はっきり言って、かなり 古臭さを感じさせるが、キャッチーで聴き易く、旧来の産業 ロックが好きな人向けだ。[82]

REALITY BITES / DRILLER KILLER

スウェーデンのハード・コア・パンク・バンドの1998年に リリースされた4thアルバム。方向的にはリフを前面に押し出した スラッシィなサウンドで、スラッシュ・メタルとかなり クロス・オーバーする部分があると言って良いだろう。この位 スラッシュ・メタルっぽいと、ハード・コア色の強い スラッシュ・メタルとそう大差ないので、スラッシュ・メタルの ファンにも十分聴けるだろう。この手のものらしく、長くて 3分台の非常にコンパクトにまとめられた短い楽曲で 構成されており、テンポ良く流れて行くので聴き馴染みも良い。 [82]

COLD, CHEAP & DISCONNECTED / DRILLER KILLER

スウェーデンのハード・コア・パンク・バンドの6thアルバム。 方向的にはこれまでの延長線上と言えるもので、ロックンロール 的なエッセンスを押し出した、疾走感のあるハード・コアを 聴かせてくれている。全体的に短めの楽曲が中心で、展開が 早いので一気に聴く事が出来る。荒々しくて邪悪なエナジーも 感じられる、暴力的な雰囲気が漂っている。ややドラムが前面に 出る様になっており、今一つボーカル・ラインにインパクトが 感じられないのが少し残念だ。これまでと比べると、楽曲の魅力が 伝わりにくく、JOAN JETTのカバー、I Love Playing With Fireが 一番面白かった。[81]

EVILIZED / DREAM EVIL

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。 メロディック・デス・メタル系で著名なプロデューサー、 FREDRIK NORDSTROMを中心としたプロジェクトで、 MYSTIC PROPHECYのギタリスト、GUS G.等が参加している。 基本的には前作同様、オーソドックスな叙情派ヘヴィ・メタルを 聴かせてくれている。楽曲はこの二人が書いている事が 多いのだが、この楽曲のレベルが中々高く、他のメンバーの メロディ・センスの素晴らしさも伺わせる。NIKLAS ISFELDの 透ったボーカルが、作品に透明感をもたらし、GUS G.の ギター・プレイもあいまって、かなりレベルの高い作品に 仕上がっている。[88]

VALLEY OF THE DAMNED / DRAGONFORCE

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には シンフォニック・メタルと言えるもので、ツー・バスを効かせた 大仰でドラマティックなジャーマン・パワー・メタルのスタイルを ベースに、北欧的な爽快で憂いを感じさせる叙情的なエッセンスを 加えている。ZP THEARTのボーカルは、かなり高音が出るのだが、 ハイ・トーンでは力んで歌う場面もあり、こう言ったところでは ややヒステリック過ぎて癇に障る。VADIM PRUZHANOVの キーボードは、CHILDREN OD BODOM式のピーヒョロとしたもので、 好き嫌いは分かれるかも知れない。やや垢抜けない 部分もあるのだが、メロディ・センス等は悪くないので、将来的な 希望が持てる。[82]