FUNK-O-METAL CARPET RIDE / ELECTRIC BOYS

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。しかし、その方向性は多くの北欧 メタル・バンドとは、かなり趣を異にしており、 アルバム・タイトルが示す通り、ファンキーな作品に 仕上がっている。ANDY CHRISTELLのリズムの良いベース音で跳ねる 様なリズムのPsychedelic Eyesに始まり、ヒップ・ホップ調の All Lips N' Hipsに続く辺りは非常に面白いし、彼等の 意図するところもうまく出せていると言って良いだろう。しかし、 そう言った部分がその後続かず、せっかくの彼等の音楽性が 散漫なものになってしまっているのは非常に残念だ。もっと 一貫してアルバムが作れていれば、かなり良い作品になったと 思えるだけに特に。[84]

GROOVUS MAXIMUS / ELECTRIC BOYS

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には前作とほぼ同じ延長線上ではあるが、 ファンキーさがやや減退して、ブルージィさが出て来ている。 サイケデリックでファンキーなヘヴィ・メタルで、キャッチーな メロディーが印象的な作品だ。前作のPsychedelic Eyes等に 比べれば、やや普通になったと言う感じで、インパクトと言う 面では薄れたが、アルバムを通しての出来は決して劣っていないと 言っても良いだろう。コーラスもこういった作品には良く 合っているし、彼等のアイデアとオリジナリティは良く 出ている。[83]

FREEWHEELIN' / ELECTRIC BOYS

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2年振りの3rdアルバム。これまで彼等が強く押し出していた ファンク的な要素はやや薄れ、よりブルージィな作品作りをする 様になってきている。よりアメリカ的な土臭さを感じる作品で、 これはこれで悪くないのだが、グルーヴィさが減少した分、旧来の ファンからすると少し残念な気がする内容だ。その分落ち着いた 感じのアルバムに仕上がっており、のり的には今一つと言う 感じもする。とは言ってもファンクさが全く無くなった 訳ではなく、サイケデリックな部分も出ているし、出来自体は 悪くない。[82]

ELECTRIC LOVE HOGS / ELECTRIC LOVE HOGS

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。方向的には、色々なサウンドを取り入れ、言わば ミクスチャーとも言える様な音楽性を確立している。 ハード・ロックンロールが中核に据えられており、そこに ファンキーでグルーヴィな色合いを付けるとともに、ヘヴィな 作品に仕上げている。さび等は非常にキャッチーでファンキーで、 独特の味わいを出している。渇いたからっと晴れた様な澄んだ サウンドは、いかにもアメリカ的と言えるだろう。特別これと言う 様な楽曲はないのだが、平均的に良く出来ていて、悪くない アルバムだ。[80]

LABYRINTH OF DREAMS / ELEGY

オランダのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。方向的には非常にメロディアスなヘヴィ・メタルで、 パワフルな作品に仕上がっている。メロディ・センスには眼を 見張るものがあるし、アルバムの全体的な出来はかなりの線に 達しており、新人離れしたレベルのアルバムだと言っても 良いだろう。愁いを帯びた叙情的なメロディに、ハイ・トーンを 主体としたボーカルは、日本人好みのサウンドだと思うのだが、 どことなくのり切れないまま淡々と進んでいってしまうと言う様に 感じられる。特にボーカルとの相性が今一つと言う感じで、 EDUARD A.HOVINGAのボーカルは奇麗で透った声をしているにも 関わらず、燃える物が無い。[80]

SUPREMACY / ELEGY

オランダのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には前作の延長線上と言えるもので、 叙情的でメロディアスな正統派ヘヴィ・メタルと言ったところだ。 大きなメンバー・チェンジがあり、キーボード、ドラム、ギターの 片割れが脱退し、結局パーマネントなキーボードを補充しないで 作成されている。そのためもあってか、前作と比べると非常に ダイナミズム溢れる作品に仕上がっており、キーボードが 無くなったのが却って良い結果になったと言って良いだろう。 前作でも感じられたEDUARD A.HOVINGAのボーカルとの相性の悪さは ここでも変らず、遊離した様に聞こえるのは遺憾ともし難い。[82]

BIG CITY / ELEKTRADRIVE

イタリアのハード・ポップ・バンドの1984年にリリースされた 3rdアルバム。方向的にはキーボードをフュチャーした軽快な ハード・ポップで、非常に聴き易いし、楽曲も結構日本人 好みなものではないだろうか。爽やかで明るい楽曲は、 アメリカン・ハード・ポップ的な感じも受ける。曲によって落差が 少し感じられるのが残念だが、出来自体は悪くはない。Big Cityの 様にビートの効いた楽曲は、のりが良く出ていてそれなりに 聴きごたえがある。かなりエッヂの効いたギターを 入れていたりするが、それ程ハードさは感じられない。[82]

EARTHQUAKE / ELECTRIC SUN

ドイツのハード・ロック・バンドの1979年にリリースされた デビュー盤。SCORPIONSの元ギタリスト、ULI ROTHを中心とした ソロ・プロジェクト的指向の強いバンドだ。SCORPIONSを脱退して 最初に出したアルバムで、それ故SCORPIONS色がまだ強い ハード・ロック・アルバムに仕上がっている。ULI ROTH自身、 SCORPIONS時代に何曲かリード・ボーカルを取っていたが、 ここでは全曲、彼自身がボーカルを取っている。ワイルドだが、 お世辞にも上手いとは言えないボーカルだけに、アルバムを 通してというのは少し辛いものがある。後々に強める シンフォニック色よりはハートフルな感じがする作品に 仕上がっている。[83]

FIRE WIND / ELECTRIC SUN

ドイツのハード・ロック・バンドの1981年にリリースされた 2ndアルバム。SCORPIONSの元ギタリスト、ULI ROTHによる バンドで、ボーカルは前作同様ULI ROTHが自ら取っている。 SCORPIONSでもリード・ボーカルを何曲か取っていたとは言え、 これだけ続けて聴くとボーカリストとしての力量が気になるのは 前作と変わりない。前作と比べると、SCORPIONS色は幾分 薄れているが、まだスカイ・ギター全開と言うところまでは 至っておらず、それ以降ほどシンフォニック色は強くない。 むしろハード・ロック然とした作品で、スカイ・ギターをかき 鳴らしているところでも、SCORPIONS的な色合いを残している。 [81]

LOST / ELEGY

オランダのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には メロディアスなヘヴィ・メタルをやっていて、デビュー以降その 姿勢は変わらない。1stではメロディックな部分のイメージだけが 先行しているだけである意味、退屈なアルバムだった。そう言った 欠点も徐々に解消されて来ており、今作ではトータル的な完成度は 随分上がってきている。一方でメロディアスさはやや控え目にした 作品になってきているようにも思えるが、むしろこの位の方が バランス的に良いだろう。楽曲は確かに格好良いのだが、アレンジ 面でもう少し工夫がないと、パターンにはまってしまっていて、 聴き飽きてくる。[88]

...AND OTHER REASONS / ELBERETH

詳細は良く判らないが、恐らくスペインの ゴシック・メタル・バンドのアルバム。THE 3RD AND THE MORTAL 同様、女性ボーカルを配しているのだが、KARI RUESLATTENに 比べるとやや線が細く儚げだ。またそれを意識した雰囲気の 楽曲にしている事が成功していると言って良いだろう。 THE 3RD AND THE MORTAL程サウンドは重厚ではなく、 LOLA MARQOUINEZの儚い歌声を引き立てている。LOLAは バイオリンも兼任していて、このバイオリンがまた良い 味付けになっている。THE 3RD AND THE MORTALよりは流暢で淡泊で 軽いが、それがこのバンドの個性と言って良いだろう。全体的に 泣きがあって、流麗かつ耽美で独自の雰囲気が出ており、出来 自体は素晴らしい。[96]

LES TENEBRES DU DEHORS / ELEND

詳細は良く判らないが恐らくオーストラリア辺りの ブラック/ゴシック・・メタル・バンド。バンド構成は、ソプラノ 2人とバイオリン兼キーボードが二人という感じで、ギターのない シンフォニック・ブラック・メタル風の作品だ。ソプラノは バック・コーラス的で、キーボードのうち一人がやる ブラック・メタル特有のスクリーミングがどちらかといえば 中心だ。ゴシック・メタル的な耽美感よりもむしろ扇情感を煽る サウンドではあるが、アンビエント系の作品が好きでないと、 アルバム一枚を通して聴くのはやはり辛い。際物的なものだが、 MORTISなどよりは起伏がありまだ聴けるだろう。[62]

SEEDS OF RAGE / ELDRITCH

イタリアのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの デビュー盤。TERENCE HOLLERのボーカルは、イタリアのこの手の バンドとしてはまともできちんと歌えている。楽曲は DREAM THEATER風だが、よりテクニカルな方向に走っており、楽曲 自体はジャーマン・パワー・メタル的な感じを 受けるところもあるものの、割とヘヴィ・メタル然としていて聴き 易い。しかし、一方でテクニカルな感じがかなり大仰で、演奏 自体は聴いていて少し辛いところもあり、切迫感はあるものの、 曲の展開の流れが悪く感じられる。メロディなどは部分的には 良いので、この点が改善されればかなり良くなるはずだ。[80]

PRIMAL INSTINCT / ELEGY

オランダのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの ミニ・アルバム。元VENGEANCEのボーカリスト、IAN PARRYが 加入してから初の音源となる作品で、新曲は一切なく、既存の アルバムからのナンバーをリメイクした アコースティック・アルバムになっている。ELEGYからすると、 VENGEANCE、ソロともっとポップな路線でやってきた ボーカリストだったので、その相性を心配したが、IAN PARRYには 無用なものだったと言って良いだろう。IAN PARRYの歌唱力の 素晴らしさを再確認すると同時に、次のアルバムを 期待させるだけのクオリティを保っている。[84]

STATE OF MIND / ELEGY

オランダのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの 4thアルバム。ボーカリストとしてソロとしても活躍していた、 元VEANGENCEのIAN PARRYを迎えたが、元から実力派として 知られているだけあって、アルバムのクオリティをあげるの大きく 貢献している。とにかくアルバムの出来云々を抜きにして、彼の 情感溢れる艶のある扇情的なボーカルが非常に素晴らしい。楽曲を 取ると、以前から哀愁を効かせた叙情的な楽曲は 物足りなくもあったが、出来は決して悪いという 物ではなかったが、今作では楽曲の練りなど、一歩進化した 感じはある。とは言うものの、名曲と呼べるだけの曲を 生み出すにはまだまだ物足りなさを感じる。とにかくIAN PARRYの 素晴らしいボーカルを堪能するだけでも価値がある。[86]

MANIFESTATION OF FEAR / ELEGY

オランダのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。扇情的な ヘヴィ・メタルと言う路線は変っていないが、楽曲によっては 変則的な部分も感じられる。IAN PARRYの加入は、ボーカルの 違いがこれだけ受ける印象を変えると認識させられたが、その情感 豊かさとパワフルさを兼ね備えた素晴らしい歌唱は今作でも何ら 変る事はない。メロディの出来も良いし、楽曲自体の出来も 悪くないのだが、やや楽曲の幅が狭いので、似た様な楽曲が続き、 食傷気味であると言えなくもない。だが、楽曲にはこれまで以上に フックが感じられるし、のりがあって決して悪い作品ではないのは 確かだ。[84]

ODYSSEY INTO DARKNESS / ELEGEION

詳細は全く不明だが、2人組みのゴシック・メタル・バンドの 1997年にリリースされた3曲入りのミニ・アルバム。方向的には、 今では逆に珍しくなったと言っても良い様な、正統派の ドゥーム/ゴシック・メタルだ。スロー・テンポを中心とした 耽美で、静寂感が漂うサウンドは非常に素晴らしい。ゲストの女性 ボーカル、NATASHA MARTINEICを前面に押し出しているが、この 儚げなボーカルが非常に効果的だ。荘厳で冷たい ギター・メロディと非常に良くマッチしており、雰囲気を 倍加している。DECORYAHを女性ボーカルにした様な感じで、非常に 幻想的で、ダークで素晴らしいアルバムに仕上がっている。近年の ゴシック・メタルとしては傑作の1枚に挙げれるアルバムで、早く フル・アルバムを聴いてみたい。[94]

ELECTRIC WIZARD / ELECTRIC WIZARD

イギリスのドゥーム・メタル・バンドのデビュー盤。ジャケットを 含めて、いわゆるCATHEDRAL型のドゥーム・メタルと言って 良いだろう。CATHEDRALの様なテンポの良さはなく、 サイケデリックな部分を除けば、BLACK SABBATHの スロー・テンポの楽曲を集めたような感じだ。サイケデリックで 沈み込むようなダークな雰囲気を醸し出している。ストーナー的な 浮遊感を伴い、非常に幻想的な作品で、雰囲気が良く出ている。 この手のものの中でも、特にスロー・テンポなバンドで、こう言う ダウナー系の楽曲が聴けないと苦しいかも知れないが、出来は 悪くない。[82]

SUPERCOVEN / ELECTRIC WIZARD

イギリスのドゥーム・メタル・バンドの1998年にリリースされた ミニ・アルバム。前作でもスロー・テンポの楽曲ばかりだったが、 この作品ではそれがより磨きがかかっている。特にSupercovenは スペイシーな楽曲で、前作と比べるとトリップ感たっぷりの サウンドが延々と続く、ヘヴィ・ロックともストーナーとも 言えるものに仕上がっている。2曲入りで32分と言う、この 手としては珍しく超大作指向で、余りにもスローでヘヴィーな サウンドが続くので、この手の作品に聴きなれていないと少し 飽きが来るかもしれないが、出来は非常に素晴らしい。[88]

FORBIDDEN FRUIT / ELEGY

オランダのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。バンドの 音楽的支柱であった、OLAF VAN DER LAARSが脱退し、その先行きが 心配されたが、新作用にOLAF VAN DER LAARSが曲作りをしていた 事もあって、今作ではそれ程大きな影響は見られない。新しく ギタリストにはソロ活動を中心に行っていた、フランス人の PATRICK RONDATが加わっており、彼とIAN PARRYが曲作りの 中心となるであろう次作こそが試金石と言って良いだろう。 今作でもこの2人による楽曲が3曲含まれているが、それ程違和感は 感じられない。ただ、よりプログレッシヴ・メタル的な色合いが 感じられるので、次作ではそう言った方向性を強めるのかも 知れない。PATRICK RONDATのプレイはテクニカルで、バンドの 色合いに割と合っていて悪くないし、IAN PARRYは相変わらず 素晴らしい歌唱を聴かせてくれている。[82]

DOPETHRONE / ELECTRIC WIZARD

イギリスのドゥーム・メタル・バンドの3年振りとなる 3rdアルバム。正にドゥーム・メタルと言った様な、非常に 重低音で重厚なサウンドは圧巻だ。世界で最もヘヴィと言って良い 程重厚な作品に仕上がっていると言って良いだろう。非常に スロー・テンポで歪ませたサウンドは、ストーナーらしいダウナー 系の雰囲気が漂っている。ここまで来ると行き過ぎと言う 感じもあって、聴く人間を選ぶだろうが、ここまで徹底してやれる 事に敬意すら感じてしまう。ドゥーム・メタルが好きでないと 厳しいかも知れないが、ある意味究極のドゥーム・メタルと言って 良いアルバムだ。[83]

ELEMENT OF FRICTION / ELEMENT OF FRICTION

アメリカのロック・バンド、BABYS、BAD ENGLISHの元ベーシスト、 RICKY PHILLIPSによるプロジェクトのアルバム。元GRAND PRIX、 M.S.G.のボーカリスト、ROBIN McAULEY、元OZZY OSBOURNEの ドラマー、TOMMY ALDRIDGEが全面的に参加している。方向的には アメリカン・ハード・ロックと言った感じの作品で、意外と ハードな作品に仕上がっている。今では逆に珍しくなった様な 1980年代のキャッチーなメロディのハード・ロックを思わせる 様な楽曲で、メロディの出来等は中々良いし、フックもあって聴き 応えがあり、レベルが高くて安心して聴いていられるアルバムだ。 [83]

LET US PREY / ELECTRIC WIZARD

イギリスのドゥーム・メタル・バンドの2年振りの4thアルバム。 サイケデリックでスペイシーなサウンドは、 ストーナー・ロックとも言える様な内容だが、よりメタリックで 重厚なサウンド作りがなされている。ハウリングを起こしそうな 歪ませた重低音のサウンドは他に類を見ない程で、非常に強烈な インパクトを与えてくれる。この手のバンドとしては最もtヘヴィな バンドと言えるだろう。ここまで徹底されたら凄まじいの一言しか 言えないが、強烈な個性と異彩を放っているアルバムだ。ダウナー 系で、万人受けするとは思い難いが、こう言うバンドもいたって 良い。[82]

PRINCIPLES OF PAIN / ELEGY

オランダのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの6thアルバム。 前作では中心人物だったOLAF VAN DER LAARSが脱退したものの、 その影響を感じさせない出来だったが、クリエイティヴ 面においても、OLAF VAN DER LAARSが全く関わっていないと言う 意味では大きな意味を持つ作品だ。そう言う意味では、 OLAF VAN DER LAARSの脱退がここに来て影響を見せている感じで、 楽曲の魅力と言う点においてどうしても前作より見劣りする。 それを補う様に、テクニカルな面を強く押し出す事によって、 緊張感を出しているが、楽曲自体の面白みに欠けると言う欠点を 補うまでには至っていない。[80]

THE SON OF ODIN / ELIXIR

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた初の アルバムに、未発表音源をボーナス・トラックに付け、 リマスターしたものだ。N.W.O.B.H.M.末期に登場したバンドだが、 その頃のバンドに多かったハード・ポップ系とは一線を画し、 旧来のロックンロールを基調とした、哀愁を帯びた ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。プロダクションも良いとは 言い難く、如何にも中堅N.W.O.B.H.M.バンドと言った感じの 作品だが、この手のものとしてはよりメタリックでスピード感を 出しており、扇情感を感じさせてくれるアルバムに 仕上がっている。[86]

THROUGH THE EYES OF REGRET / ELEGEION

オーストラリアのゴシック・メタル・バンドの初の フル・アルバム。ミニ・アルバムからも5年振りと言う久し振りの 作品だが、その所為もあってかANTHONY KWANのプロジェクトと言う 形態になっている。前作同様、女性ボーカルを入れた、非常に ダークなゴシック・メタルで、バイオリンやチェロ、ピアノ、 アコースティック・ギター等も入れた正統派の暗黒系 ゴシック・メタルと言って良いだろう。前作でのバイオリンの入れ 方の絶妙さや、浮遊感の漂う儚げな女性ボーカルの美しさと言う 部分は継承されており、前作のファンならば必ずや 満足するだろう。やや地味な音楽性だけに、14分を超えるThoughts 等、大作指向である事も相俟って、アルバム1枚遠してとなると、 バラエティさに欠いて聴き飽きて来る部分はあるのだが、それでも 素晴らしいアルバムには違いない。[95]

BLIND LEADING THE BLIND / ELSESPHERE

スウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンドのアルバム。 基本的にはDREAM THEATERの影響を受けた、テクニカルで ドラマティックなプログレッシヴ・メタルと言えるもので、楽曲の 構築美を感じさせるものなのだが、楽曲が転調したときに CANDLEMASSを思わせる様な神秘的なエッセンスを醸し出しており、 この手の音楽にドゥーム・メタルを組み合わせると言うのは非常に ユニークで面白い試みだろう。JONNY "BIX" BERNDTSSONの ボーカルは、決して下手ではないのだが、こう言った 楽曲をやるにはやや弱く感じる部分もある。とは言え、透った 声質もあって、その妖しい雰囲気を良く出しているのは確かだ。 [80]