スイスのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた恐らく デビュー盤。スイスのバンドと言うこともあってか、ミックスは 元STORMBRINGER、現ZEROのANGI SCHILIROが担当している。 方向的にはかなりアメリカナイズされたヘヴィ・メタルだが、少し 散漫な感じがする。Give It Upと言った叙情的で愁いを帯びた メロディの格好良いキャッチーなメロディの楽曲から、 ブルージィ色があるWHITESNAKEっぽい楽曲まで、幅広いと 言うよりはまとまりがないと言う感じだ。ただ、その メロディ・センスは中々のものだし、楽曲単位で見るとその レベルは高い。JOSE ANTONIO MANZANOのボーカルも良く 透っていて、楽曲に良く合っている。[83]
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの1994年に リリースされたオリジナル・メンバーで再結成しての第2弾となる アルバム。どちらかと言うとテクニカルなと言う印象のある バンドだが、GREG LAKEのその後の活動の影響もあってか、非常に 叙情的でシンフォニック・ロックよりも更にキャッチーで簡素な 感じのする作品に仕上がっている。難解な部分やテクニカルな 部分はほとんどなく、非常に叙情的でキャッチーな楽曲で 構成されている。その分、昔を知らない人には非情に聴き易い 作品だと言えるが、もう少しフックは欲しい様な気がする。[79]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドのアルバム。ボーカルは やはりこの手のもの特有のヒステリックな金切り声の ブラック・メタル・ボイスだが、これは特にヒステリックであまり 愉快とは言えない。ギターのSAMOTHは殺人事件、テロ、教会放火 等で悪名高きBURZUMに在籍していた事でも知られるが、あの様な シンフォニックさはない。サウンドはブラスト・ビートに キーボードが絡んだりと、実験的な部分があり面白い。 ギター・メロディもそれなりに出来ているし、ブラスト・ビートを 用いたものの中では随分聴き易いし、良く出来ているとは 思えるが。[79]
オーストラリアにしては珍しい メロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー作。しかし、 まだ全体的にその方向性は定まっておらず、散漫な印象も受ける。 湿っぽい曲を情感たっぷりに歌うSTEVEのボーカルは悪くないが、 やや不安定さを見せているのが気がかりだ。ストレートな曲は いまいち面白くないので、もっとメロディアスな方向に絞り込んだ 方が良いのではないだろうか。叙情的な曲も、それほど オリジナリティがある訳ではないがヘヴィさがあって ドライヴ感はある。今一つ洗練されてはいないが、素朴さを 感じさせる部分などは評価出来る。[82]
スイスのハード・ロック・バンドのアルバム。方向的には WHITESNAKE風あり、北欧風あり、ネオクラシカル風ありといろんな タイプの曲があって、少し散漫な感じがする 作品となってしまっているが、ただしサビだけは全て アメリカン・ハード・ロック風である。ミドル・テンポの ハードな部分は意外につまらないのでバラードとアップ・テンポを 中心にした方が良かっただろう。アップ・テンポの楽曲などは 哀愁があってなかなか良く出来ている。ミックスはZEROの ギタリスト、ANGI SCHILIROが担当している。[83]
詳細は良く判らないが、ドイツの二人組の ブラック/ゴシック・メタル・ユニット。 オーケストラレーションを使った楽曲に、しゃがれてはいるが ブラック・メタル特有のスクリーミングといわゆるその手の 方向性なのだが、ボーカルのMARKUSは スクリーミングだけではなくて、TRISTITIAのような野太い憂欝な ボーカルを中心に使い分けているし、バックも シンセサイザーだけではなくて、ギターがかなり露出している。 これらの多用性が、楽曲にめりはりと変化を与えており、 壮大さを感じさせる。[86]
オーストラリアのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。 楽曲的には、ポップでキャッチーなメロディの ハード・ロックだが、前作より更に洗練されて親しみやすい 作品に仕上がっている。しかし、プロダクションは全体的に 軽めで、フックがあまり感じられず、楽曲によっては聴き 流せそうなものになってしまっている。KISSのカバーの DETROIT ROCK CITYが一番インパクトが感じられる様では、 物足りないとしか言い様がない。メロディを始め、出来自体は 決して悪くないので、1、2曲これと言った楽曲があればかなり 締まった作品になったのではないかと思うのだが。[79]
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの2枚組みライヴ盤。 1974年と1977年に行われたアメリカでの公演の模様をラジオ番組 放送用に収録した貴重なライヴ音源をCD化したものだ。その他にも インタビューやライヴと言った映像も収録されている。各々の 演奏のレベルの高さはもちろん、このシリーズの作品だけあって、 20年以上前の音源とは思えない様な奇麗な音源で、そう言った 意味でも全く問題はない。1974年のものの方が勢いが 感じられるが、C'est La Vieの様な名曲のある1977年のものも それはそれで捨て難い作品で、ファンにとっては必聴と言って 良いだろう。[82]
イタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドのデビュー盤。 タイプ的にはいわゆるDREAM THEATERタイプで、楽曲はもっと ヘヴィ・メタル然としている。演奏はかなりテクニカルだが、楽曲 自身は意外とストレートな感じすらする。楽曲の練りも もう一ひねり欲しいし、アイデアがやや整理されていなくて 洗練さが足りなく感じるが、演奏力もあるし、センスもなかなか 悪くない。特にギター・メロディなど結構良い出来だし、部分 部分は結構良いものを持っている。楽曲のアレンジ力がもう少し つけばかなり良くなる要素を持っている。[81]
ドイツのシンフォニック・ゴシック/デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。アコースティック・ギターやフルートを 使っているが、デビュー盤よりもアコースティック的な部分は それ程強くない。気だるく壮大な感じのする楽曲で、 アコースティック・パートも良い味付けになっている。デビュー盤 同様、この壮大なメロディが非常に良い出来で、じっくり聴き 込める作品だ。MARKUSがデス・ボイスとクリア・ボイスを使い 分けているのだが、デス・ボイスの割合は随分減退しており、 決してうまいとは言い難いが、クリア・ボイスが主流になっていて 聴きやすくなった。[84]
イギリスのプログレッシヴ・バンドの1970年に行われたワイト島 フェスティバルでのライヴの模様を収めたファン・クラブ盤の アルバムをCD化したもの。デビュー前の初のライヴとは言え、 各人とも、既に層々たる経歴を持っていただけに、後々バンドの 代表曲となるMUSSORGSKYの展覧会の絵の35分にも及ぶ ライヴ・パフォーマンス等、さすがと思わせるだけのものはある。 スタジオ盤よりはまだストレートで勢いがあって聴き易いと言う 印象を受けるが、それでもすんなりと言う感じは受けない。音質は あまり良いとは言い難いが、30年近く昔のものである事を考えれば それ程酷いものではない。[79]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドのデビュー 盤。IN FLAMESのANDERS FRIDENがプロデュースしており、方向的も そういう感じなのだが、よりめりはりがあってドラマティックな サウンドになっている。全面的にピアノを配し、より叙情的な メロディで、楽曲の構成も中々良く練られていて展開もある。 新人でこれだけの楽曲が作れるのならば文句はつけれないだろう。 KALLE JOHANSSONのデス・ボイスはかなり強烈な咆哮型で、 ブラック・メタル・ボイスとも言っても良い様な感じだが、 安定していてメロディアスな楽曲と対比出来て悪くない。 やや冗長と言うかごてごてと飾り付け過ぎと言う 感もなきにしもあらずだが、聴きごたえのある素晴らしい 作品だ。[86]
カナダのヘヴィ・メタル・バンド、PAINが名前を変えての再 デビュー作。方向的には叙情的でキャッチーなメロディの ヘヴィ・メタルで、楽曲によってはDOKKENやHAREM SCAREMにも 通ずる作品に仕上がっている。PAINに比べれば、もっと憂いを 強め、中々美しいアルバムに仕上がっている。楽曲によっては 波がなくもないが、Heart Of Stoneを始め、総じて楽曲のレベルは 高い。アコースティック・バラードのDesperation Sleep等は 哀愁に満ちていて、非常にドラマティックで美しいナンバーだ。 メロディ・センスの秀逸さが良く出た作品で、PAINよりも楽曲の 出来は遥かに良い。[87]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。 方向的にはこれまで同様のブルータリティな ブラック・メタルだが、よりグラインド・コア的な要素を強くし、 シアトリカルでアグレッシヴなアルバムに仕上がっている。 しかし、楽曲にはかなり起伏と展開が付けられており、ある程度 飽きさせない様に作っている所などは考えて作っていると 感じられる。IHSAHNEのスクリーミングはどちらかと言うとだみ 声で、聴き易い部類に入る方だが、楽曲的には攻撃的な ブラック・メタルが聴けないと少し辛いかも知れない。変則的な 部分が気にならなければ、出来的には中々のものだと思うが。[85]
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの1992年に リリースされた再結成第1弾となるアルバム。それまでにも、 CARL PALMERの代わりに、COZY POWELLを加えて、 EMERSON, LAKE & POWELLとして活動しているので、厳密には再結成 第1弾と言えないかも知れないが、オリジナル・メンバーによる 正真正銘の復活作だ。あまり複雑な事や難解な事はやっておらず、 かなり聴き易い作品に仕上がっていると言って良いだろう。落ち 着いたと言う印象を受けるが、その分何だか盛り上がりにも欠ける 様な気がする。楽曲の出来は決して悪くないし、安心して聴く事は 出来るが、もう少し演奏中心でも良い様に思える。[79]
カナダのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。方向的には 叙情的なメロディのハード・ロックで、同郷のHAREM SCAREMを思い 起こさせる部分もあるが、もっと哀愁を前面に押し 出したものになっている。カナダのバンドらしい、透明感のある 叙情的なメロディに、厚いコーラスとMIKE DMITROVICの泣きの ギター・プレイが実に味わい深い。楽曲はドラマティックで非常に レベルは高いし、大したものだと言って良いだろう。 メロディ・センスの素晴らしさが楽曲の端々に現れているし、 全体的に非常に良く出来たアルバムだ。これと言った飛び抜けた 楽曲はないが、前作同様素晴らしい作品に仕上がっている。[85]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの初のライヴ盤。1999年に イギリスで行われたヨーロッパ・ツアーの模様を収録したものだ。 この手のブラスト・ビートを駆使したものと言うと、録音した テープをより高速で再生しているのではないかと言う様な、実際に 演奏出来るのかと疑問に思える事も多々あるが、このライヴを聴く 限り、彼等演奏技術は高く、十分満足出来るだけのレベルに 達している。IHSAHNEのブラック・メタル・ボイスは、一辺倒と 言うより割合とノーマルなだみ声も使っていて、スタジオ盤程 強烈な感じはなく、却って聴き易くなっていると言って 良いだろう。[84]
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの1994年に リリースされたベスト盤。未発表曲はないが、 Karn Evil 9-1st Impression Part 2-、Black Moon、 Fanfare For The Common Manのバージョン違いと、GREG LAKEの ソロ・シングル、I Beleive In Father Christmasの オリジナル・バージョンの4曲がレア音源として収録されている。 バージョン違いといっても、それ程大きく手が加えられている 訳ではないし、選曲にもやや不満が残るところだが、一世を 風靡したバンドだけに、そのクオリティの高さは流石と 言えるだけのものはある。[83]
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの1971年に リリースされた3rdアルバム。イギリスでの公演で ライヴ・レコーディングされたもので、彼等の代表作の1枚と 言える作品だろう。前作、TARKUSの大ヒットに続く作品で、彼等の ステータスを決定付ける事になった。クラシックのピアノ組曲、 MUSSORGSKYの展覧会の絵をベースにして作り上げられた作品で、 オリジナルの楽曲を挟みながら、彼等の独自の解釈を持ち込んだと 言うところだろう。クラッシク的なメロディと、 プログレッシヴ・ロックらしいキーボードで織り成す幻想的な 世界が広がっている。[86]
カナダのハード・ロック・バンドのライヴ盤。1999年にカナダで 行われた公演の模様を収めたものだ。方向的には、同郷の HAREM SCAREMのかつてのサウンドを継承したもので、良質の メロディアス・ハード・ロックを聴かせてくれているし、この ライヴ盤における演奏力も十分満足の行くものだ。ただ、 HAREM SCAREMと比べると知名度は低いし、まだアルバムを2枚しか 出していない段階では、このライヴ盤のリリースはやや唐突に 感じられる。実際、収録されている楽曲はAGE OF INNOCENCEからの 楽曲が中心で、選曲のバランスも何もない。ただ、そう言うものを 抜きで、楽曲も演奏も十分良く出来ているだけに、ライヴ 盤としての意義はともかく出来自体は良い出来だ。[83]
イタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドの4年振りとなる 2ndアルバム。前作ではDREAM THEATERのフォローワー的な色合いの 濃いバンドだったが、今作でもそう言う部分は 残ってはいるものの、よりシンフォニック色の強い作品に 仕上がっている。プログレッシヴ・メタルらしい変則的で凝った 部分も多いものの、より自然で聴き易い作品となっている。あまり 重厚さはなく、ハードではあるが割と軽めのサウンド 作りがされており、ややあっさりしてしまっている様にも 感じられるが、逆に押し付けがましくなく好感が持てる。 GIOVANNI DE LUIGIの透明感のあるボーカルが、楽曲に非常に良く 合っている。[81]
カナダのハード・ロック・バンドの3rdアルバム。これまで、 叙情的でキャッチーなメロディのハード・ロックを 聴かせてくれていたが、そのメロディの質はますます 磨きがかかって、非常に高いレベルに達している。カナダの メロディアス・ハード・バンドと言うと、HAREM SCAREM等が 有名だが、この作品は更に上を言っていると言っても良い位で、 これ程のバンドが今一つ知名度が上がらないのは非常に残念だ。 適度に湿り気があって非常に美しいメロディは、結構日本人 向きだと思うし、重厚なコーラス等も素晴らしいし、結構エッヂの 効いた楽曲もあり、聴き応えがある。[90]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの2年振りとなる 4thアルバム。ブラスト・ビートを中心とした攻撃的なリフと、 荒涼としたメロディと言う、如何にも北欧ブラック・メタルらしい 邪悪な香りのする作品だ。そう言う意味ではこれまでの延長線上と 言える作品だが、これまでの作品と比べるとよりはっきりと プログレッシヴ・ロック的なエッセンスが強く打ち出されており、 かなり難解なものへと変貌していると言って良いだろう。 それだけに初期のファンからするとやや聴き難い部分も 多いはずで、これを彼等の進化系として受け入れられるかどうかは 意見の分かれるところだと思う。このアルバムが彼等としては 最後の作品になるが、ここでこれ程テクニカル・ロックっぽさを 出してきた事は興味深い。[87]
ドイツのプロジェクト・バンドのアルバム。UDO DIRKSCHNIDERの 弟、PETER DIRKSCHNIDERのバンドとして知られる、VANIZEの ギタリスト、ROLF MUNKESによるプロジェクトだが、 注目されるのは何と言ってもその豪華なゲスト陣だろう。 元WHITESNAKE、GARY MOORE、BLACK SABBATH等のベーシスト、 NEIL MURRAY、BALANCE OF POWERのボーカリスト、KANCE KING、 元YNGWIE J.MALMSTEEN、RING OF FIREのボーカリスト、 MARK BOALS、RHAPSODY、元SILVER MOUTAIN、YNGWIE J.MALMSTEENの ドラマー、ANDERS JOHANSSON、元RAINBOWのキーボード、DON AIREY 等が参加している。VANIZEがACCEPT型の正統派ヘヴィ・メタルを やっているのに対して、ここで聴かれるのは叙情的なメロディの ヘヴィ・メタルで、あくまでも歌を前面に押し出したものだが、 適度にキャッチーでメロディの出来も中々のものだ。[84]
カナダのハード・ロック・バンドの4thアルバム。カナダの ポップで叙情的なハード・ロック・バンドと言う事で、 HAREM SCAREMの後続的な位置付けな存在になっているのだが、 今作よりそのHAREM SCAREMの元ドラマーであるDARREN SMITHが 参加している。洗練されたキャッチーなメロディの ハード・ロックではあるが、HAREM SCAREMと比べるとより 憂いのあるメロディを押し出した扇情的な曲もあり、これが中々 ハードで聴き応えがある。メロディ・センスも素晴らしく、 全体的な完成度としてはかなりレベルが高いと言えるだろう。[85]