アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの恐らく自費出版の デビュー盤。方向的にはプログレッシヴ・メタルでも、最も ヘヴィ・メタルよりの作品と言えるだろう。もちろん、 プログレッシヴ・メタル的な部分もあるのだが、キーボードや 細かいおかずは、あくまで脇役でしかない。FATES WARNINGを もっと扇情的にした感じで、かなり正当派ヘヴィ・メタル的に 感じられる。サウンドはかなりパワフルで、メロディは判り易く、 すんなりと受け入れることが出来るだろう。自己プロデュースだが これが弱点になっており、プロダクションさえしっかりすれば かなりの傑作になったと思えるだけに残念だ。曲作りに関しては アレンジも含めて中々の出来で、センスの良さがうかがえる。[85]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年に唯一残した アルバム。N.W.O.B.H.M.のバンドとしては御多分に漏れずチープな サウンドだが、それがまた郷愁を誘う様な内容の作品だ。方向性は あまり一つにまとまっておらず、哀愁のメロディのものもあれば、 ロックンロール調ののりを重視したものもある。ただ、全体的に DOUG SHEPPARDのそれ程力強くはないが、憂いを帯びたボーカルが うまく使われている。楽曲はいかにもこの手のバンドらしいものが 中心で、特に哀愁味溢れるEleanor Rigby等は素晴らしいが、 ブギー調のStaying On My Mind等は少し異彩を放っている。[84]
詳細は良く判らないが、 ゴシック/ドゥーム/プログレッシヴ/シンフォニック・ブラック・メタル・バンドの アルバム。こう書くと多彩な感じも受けるが、どちらかというと 的を絞れていないという方が正解だろう。いきなり ややゴシック的なキーボードを配した プログレッシヴ・メタルっぽいFLESH MADE WORDで始まったかと 思うとその後はシアトリカルでドゥーミィなサウンドが 続いたりするし、シンフォニック・ブラック風な インストルゥーメンタルが来たりする。やりたい事はそれ程 わからなくもないが、全体的に統一感に欠けるし、面白味にも 欠ける。[65]
詳細は全く判らないが、アメリカのパワー・メタル・バンドの 1994年にリリースした2ndアルバムに新曲を加えて再 リリースしたものの様だ。録音状態はそれ程悪くないのだが、 全体的に作りが粗い印象を受けるし、かなりB級臭い感じだ。 全体的な演奏もそうだが、KEITH SUDANOのボーカルも非常に B級臭さを感じさせる。楽曲の出来はそれ程酷いという 程のものでもないが、途中いかにもSTEVE HARRISを 思わせるようなベース・ラインがあちこち飛び出てくるし、 IRON MAIDENの影響が見て取れるが、総じてはそれ程 IRON MAIDENらしい作品にはなっていない。全体的に抜きんでる 所はないのだが、評価出来るとすれば、JAMIE MAZURの キーボードが結構良い味を出していることとこのベース・ソロが 面白かったりする所だろう。[67]
スウェーデンのデス・メタル・バンドのデビュー盤。バックは これまでの数あるデス・メタルのどのバンドよりも、1980年代の ヘヴィ・メタル的だ。もし、ここからデス・ボイスを 抜いてしまえば全くそのものだと言っても良いだろう。 アップ・テンポでパワフルでのりの良いヘヴィ・メタルで、 B級っぽくはあるが中々格好良い。In My Recent Shapeを始め、 ギター等は部分によっては非常にIRON MAIDENっぽく感じる 時もある。それなりに展開もあって、楽曲は練られているし、 迫力のある良く出来た作品だと言って良いだろう。いわゆる メロディック・デス・メタルとは一風趣を変えており、こういう 方向性で何故わざわざデス・ボイスなのかと言う 疑問もなくはないが。特にJOHN CARLSSONのデス・ボイスがかなり きついシャウト型なので一層そう感じられる。[82]
詳細は良く判らないが、恐らくイギリスの2人組の ゴシック/プログレッシヴ・メタル・ユニットの 2ndアルバムだろう。前作では、ドゥーム・メタルや シンフォニック・ブラック的な要素もあり、方向的に散漫な印象を 受けたが、今作ではよりプログレッシヴ・メタル的な方向に 絞ってきた感じだ。キーボードが思いっきり全面に押し 出されており、DAVID DANDOのボーカルもあいまって、非常に シアトリカルな作品に仕上がっている。その半面、ゴシック的な 要素は前作以上になくなり、あまり耽美と言ったような印象は 受けない。Heal辺りになると叙情的で静寂感を持った サウンドになり、ゴシック・メタル的な面影を残しているが。[78]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には、 ネオ・クラシカル的なエッセンスも感じられる北欧メタルと言った 風なサウンドだ。帯びに書かれているような ジャーマン・パワー・メタルと言った部分がない訳でもないが、 それが王道だと言うのは明らかに誇張だろう。メロディは非常に 良く出来ており、彼等のメロディ・センスの良さは十分伺える。 情感の深い、愁いのこもったメロディは非常に素晴らしい出来で、 MICHAEL SCHINKELのボーカルも、難がない訳ではないが、透った 声質で方向的には良く合っている。適度にヘヴィで叙情的な メロディの出来も良く、フックもあってデビュー盤としては十分 満足出来るだけのアルバムに仕上がっている。[85]
詳細は全く不明だが、恐らくトルコのゴシック・メタル・バンドの アルバム。専任バイオリニストを含んだ5人編成で、耽美な ゴシック・メタルをやっている。バイオリンをかなり前面に押し 出してはいるが、方向的には軽めでかなり オーソドックスなもので、かなり聴き易いサウンドだ。女性 ボーカルのGIZEM BERKの声質は、軽い透ったボーカルで、バンドの 方向性に合ったものと言えるが、残念ながらお世辞にも上手いとは 言い難い。TAYLAN CIHANのクリア・ボイスのバック・コーラスの 方が上手いと感じるくらいだ。彼のギターは泣きがあって叙情感を 良く出しているが、どうもたまに調子が外れる。ELATION / ETERNAL SADNESS
詳細は全く不明だが、恐らくドイツの ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの1996年に リリースされた自費出版アルバム。咆哮型のデス・ボイスも差し 挟んで来るが、基本的にはクリア・ボイスが中心だ。方向的には パワー・メタル風の速くてヘヴィなものから、 Descending Glancesの様なLACRIMOSA風のシアトリカルなものまで 幅は広めだ。基本的に叙情的なメロディを中心としたもので、 そこに耽美なテイストが付け加えられている。その耽美さは主に TIMO LECHNERのキーボードと、朗々としたクリア・ボイスから 来ている。楽曲の出来も悪くないし、ゴシック・テイストも 出過ぎず、引っ込み過ぎずと言う感じだ。[83]PAPYRUS / ETERNA
ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの1999年にリリースされた 自費出版による恐らくデビュー盤。方向的にはドラマティックで 大仰なパワー・メタルで、同郷のANGRA等と比べると、より ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスが強い 作品となっている。全体的に演奏のレベルは中々のもので、 ALEXANDRE EMANUEL CLAUDIOのボーカルは低音部でややダミ 声っぽくなるのを除けば、安定感があって高音部も張りと 伸びがあって十分満足出来る。パートによっては意外な程 DOUGLAS CODONHOキーボードが前面に出て来るが、これが 気にならなければ十分納得出来るだろう。楽曲のレベルが上がって もう少し練ればかなり評価出来るバンドに化ける可能性はある。 [77]OUT OF CONTROL / ETERNAL DARKNESS
詳細は全く不明だが、恐らくドイツのパワー・メタル・バンドの デビュー盤。方向的には、いわゆるジャーマン・パワー・メタルと 言うやつで、キーボードを大幅に導入して、より叙情的で ドラマティックなものにし様としている。しかしやりたい事は良く 判るのだが、残念ながらそれを表現するにはテクニックが 心もとないところが随所にある。とにかくこの手のもので 致命的なのは、ボーカルが下手だと言う事だが、正にそれを地で 行っていると言う様な感じだ。プロダクションの悪さがこれに輪を 掛けており、あまりにも未熟さが見える アルバムになってしまっている。それ以外の部分はそれ程悪いとは 思わないだけに、これだけ酷くなったのは少し勿体無いとは 思うが。[45]CHAOTIC BEAUTY / ETERNAL TEARS OF SORROW
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。方向的には、ALTTI VETELAINENのデス・ボイスが 少しブラック・メタル・ボイス的であるのと、チープな キーボードが入って、荒涼としたメロディが続く事から、 始めのうちは如何にもブラック・メタル的だなと感じさせる 楽曲もあるのだが、しばらくするとバックは完全に パワー・メタルと言った風になって来て、ボーカルを除けば ブラック・メタルっぽさは左程でもなくなる。全体的に叙情的な メロディのパワー・メタルと言った感じで、楽曲は中々良い 出来だ。SINERGYのKIMBERLY GOSSがゲスト参加しているが、中々 強烈なデス・ボイスだけに特になくても良かった様な気がする。 EDGE OF SANITYのBlack Tearsはともかく、IRON MAIDENの Flight Of Icarusのカバーは今一つあっていない様な気がする。 [85]THROUGH THE EYES OF HATRED / ETERNAL OATH
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの1999年に リリースされたアルバム。如何にもメロディック・デス・メタルと 言った感じの叙情的で扇情的な作品で、特に目新しさはないが、 全体的に良く出来たアルバムだ。PETRI TARVAINENと PETER NAGYによる、ツイン・ギターが醸し出す泣きのメロディは、 耽美な感じもあって中々美しい。叙情的な場面から アップ・テンポに展開して勢いを感じさせたり、それなりに聴き 飽きない工夫もされている。JONI "GOSTA" MAENSIVUの咆哮型 デス・ボイスは強烈で、少し聴き難いかも知れないが、 出来としては決して悪くない。[80]A VIRGIN AND A WHORE / ETERNAL TEARS OF SORROW
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの 4thアルバム。そのバンド名が想像させる様に、非常に憂いの 強いサウンドで、ゴシック・メタル的なエッセンスも強く 感じさせる。それはボーナス・トラックとしてPARADISE LOSTの As I Dieが収録されている事でも容易に想像が付くだろう。 臭いまでに泣きのキーボードを導入し、甘ったるい程耽美な 雰囲気を出しており、やや華美に過ぎる様にも思えるが、楽曲の 出来自体は中々のものだ。とは言え、ALTTI VETELAINENの ボーカルは、The River Flows Frozenで聴かせるクリア・ボイスは まだましだが、デス・ボイスに関してはそれにしても酷く、 雰囲気を壊していると言って良いだろう。[80]TERRA NOVA / ETERNA
ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。基本的には ドラマティックなヘヴィ・メタルで、元々ANGRA等に繋がる大仰で ジャーマン・メタルっぽさを感じさせる、シンフォニックな ヘヴィ・メタルをやっていただけに、ここでもその影は見える。 だがよりテクニカルで、DREAM THEATERの影響も感じさせる様な、 プログレッシヴ・メタルのエッセンスを取り入れる事により、また 独特の雰囲気が感じられる様になっている。演奏のレベルも 低くないし、出来としてもそれなりに評価出来ると思うが、 それでもブラジルと言う地理的な問題もあるのか、どことなく 洗練されておらず、芋臭さを感じさせる作品でもある事は確かだ。 [80]