PARADOXES / EVERON
ドイツのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1994年に
リリースされたデビュー盤。方向的には、シンフォニック・ロック
的な要素の感じられるプログレッシヴ・ハード・ロックで、RUSH
辺り影響がうかがわれる。流麗で透明感のあるサウンドは非常に
清々しく、シンフォニック・ロックにハードな要素を付け加えた
様な感じだ。それ故、プログレッシヴ・メタル的な部分を
期待するならば、多分その期待は外されるだろう。叙情的で清廉な
メロディは心に染み入って来るし、じっくりと聴かせてくれる
味わい深いアルバムに仕上がっている。[83]
EVERST / EVEREST
カナダのハード・ポップ・バンドの1984年にリリースされた
デビュー盤。方向的には、シンフォニック・ロック風の
ハード・ポップで、キーボードを前面に押し出して、
プログレッシヴ・ロック的な味付けがなされている。とは
言うものの、難解な部分はなく、全体的に叙情的でAOR風の
ポップさを持っていて、かなり聴き易い作品に仕上がっている。
プロダクションが、エコーを掛けすぎの様に感じられるのが興を
殺がれるが、楽曲自体の出来は悪くない。mixは同郷のよしみか、
RUSHのGEDDY LEEが行っている様だが、RUSHっぽさはない。[82]
ONE STEP AWAY / EVEREST
カナダのハード・ポップ・バンドの2ndアルバム。デビュー盤では
RUSHのGEDY LEEがミキシングを担当していたが、この
今作では同じRUSHのALEX LIFESONがミキシングを担当している。
それから考えると、恐らくRUSHに縁のあるバンドだったのだろう。
デビュー盤では幾分プログレッシヴ・ロック風の部分も
見せていたが、今作ではもっとストレートなハード・ポップ作品に
仕上がっており、聴き易いし、完成度も上がっている。TOTOの
How Does It Feelをカバーしているが、バンドの方向性からして
割とあっているので不自然さは感じられない。[85]
FLOOD / EVERON
ドイツのプログレッシヴ・ロック・バンドの2ndアルバム。
基本的には前作からの大きな違いはないのだが、より
シンフォニック・ロック的で完成度を増している。バックの
サウンドはこの手のものとしては、かなりヘヴィなもので、
ドラマティックで起伏が適度にあり、退屈しない。オーケストラを
使ったり、ボーカルの歌唱スタイル等はプログレッシヴ・ロック
的な姿勢強く出ており、それから受ける印象が大きいので、厚い
サウンドながらもハード・ロック的な感覚はあまりしない。楽曲の
出来も中々良く、まずまずのレベルの高さを誇っている。[84]
EVIL WINGS / EVIL WINGS
イタリアのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドのアルバム。
多分にテクニカル・ロックとしての素養のあるサウンドで、楽曲は
かなり難解な部分がある。しかし、この難解でテクニカルな
部分が、ただただ難解で変則的なだけで面白味が全くないのは
いかんともし難い。通常の割とストレートな部分は、メロディ等
それなりに聴けるし、悪くないだけに、そう言った展開に入ると
聴いていて辛いところがある。もう少し全体の構成に目を配って
整合性を考える必要があるだろう。かなり
プログレッシヴ・ロックとしての素要が強く、そう言った音楽に
免疫がないと少し辛いかも知れない。[78]
VENUS / EVERON
ドイツのプログレッシヴ・ロック・バンドの3rdアルバム。
シンフォニック・ロック的な伸びやかで広がりを感じるような
透明感のある楽曲だ。メロディは良く出来ていて非常に
馴染みやすい作品で聴いていて気持ちが良く、
Until The Day Breaks等、盛り上げかたも見事で、
ドラマティックだ。シンフォニック・ロック的な静の部分と、
ハード・ロック的な動の部分があり、静の部分では非常に
落ち着いていて安心して聴いていられるし、動の部分での
ギター・プレイなどはハードかつ生々しく、ハード・ロック系の
人でも十分聴ける内容だ。とは言っても作品の根底にあるのは
プログレッシヴ・ロックであり、そこにハードな
味付けをしているに過ぎないのでシンフォニック・ロック的な
作品があまり受け付けないなら厳しいかも知れない。
この手のものとしては非常に出来の良い作品に仕上がっている。
[89]
THE DARK DISCOVERY / EVERGREY
詳細は全く不明だが、恐らくスウェーデンのイェテボリ出身の
パワー・メタル・バンドのアルバム。全体的に粘質的で扇情的な
ドラマティックなパワー・メタルで構成されている。
TOM S.ENGLUNDのパワフルだがねちっこい節回しもこういった
方向性に割と合っている。NEVERMORE等より更に叙情的な哀愁味を
増した様な感じだが、残念ながら全体的に盛り上がりどころが
ないのだ。それ故、さびの印象が薄く、楽曲はそれなりに
出来ているとは思えるが、印象に残る曲がない。それは全てさびで
ねちっこく伸ばしながら歌うようなものしかない事に
起因していると言ってもよいだろう。元々の素材としては結構
良いものもあると思えるので、そういった部分で曲作りが
改善されればかなり良くなるはずだ。せっかく女性ボーカルを
ゲストで入れているなら、もう少し効果的に使っても欲しい。[79]
ELECTRIC SKIES / EVENT
アメリカのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの
デビュー盤。方向的にはDREAM THEATERと言うよりは、より
プログレッシヴ・ロック的なアプローチがなされている。変拍子や
転調を繰り返す、難解で複雑な展開は、少し取っ付き
難いかもしれないが、緻密な構成は大した物だ、テクニカルで
楽曲も良く練られており、非常に高いレベルの作品に
仕上がっている。SPOCK'S BEARD等、テクニカル・ロック的な
一面を持ったバンドが好きならば聴けるはずだ。一方で、より
オーソドックスで判りやすい作品が好きならば、少し受け
付けないかもしれない。[84]
HEAR ME OUT / EVEN VAST
詳細は全く不明だが、恐らくイタリアの
ゴシック・メタル・バンドのアルバム。ドラムがおらず、
リズム・マシーンを使っているために、この手のものとしては妙に
ドカドカした様な印象を受けるのには、非常に違和感を受けて
遺憾ともし難い。女性ボーカリストのAUTHOUIETTA SCILIPOTIの
歌声が遊離しており、全体的なバランスがかなり悪くなっている。
方向的には、ドゥーミィでおどろおどろしさを感じるような、
呪術的な一風変った作品と言って良いだろう。荘厳さも耽美さも
それ程感じられないが、AUTHOUIETTA SCILIPOTIのボーカルも
ドゥーミィな楽曲も独特で、出来は悪くないだけに、もう少し
全体のバランスに気を配った方が良い。[81]
PATH OF THE ANGELS / EVEN SONG
詳細は全く不明だが、恐らくノルウェイの
ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。
男女のクリア・ボイスにデス・ボイスと言う構成だが、
主軸となっているのはAGNES TOTHの儚げでか細いソプラノだ。
楽曲が、どちらかと言うと流麗で耽美なものだけに、特別上手いと
言うタイプではないこのボーカルが生きてきている。
MIHALY LZABOの咆哮型デス・ボイスははっきりと言って邪魔で、
これならない方が雰囲気を壊さないだろう。楽曲は軽めだが、
GABOR OLAHの奏でるギター・メロディが中々秀逸で、引き込んで
来るものがある。[86]
FANTASMA / EVERON
ドイツのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの
4thアルバム。方向的には前作の延長線上と言えるもので、
シンフォニック・ロック的な空間の広がりを感じさせる様な
叙情的なメロディに、ハードなギター・サウンドが
上乗せされている。しかし、サウンドのハードさを演出していた、
ギタリストのRALF JANSENが脱退した事もあって、生々しさが
無くなった分、こじんまりした作品に感じられてしまう。
創作面において一手に握っているOLIVER PHILIPSが健在なので、
ドラマティックなアルバム自体の雰囲気は変らないが、名作と
言えるだけの出来だった前作と比べると、楽曲の魅力も今一つだ。
[80]
OF MAN'S FIRST DISOBEDIENCE(EXPULSION FROM THE DIVINE ABODE) / EVEN SONG
ハンガリーのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。
キーボード兼任の女性ソプラノ、AGNES TOTHとギタリスト兼任の
男性クリア・ボイス、MIHALY SZABOによるツイン・ボーカルだ。
AGNES TOTHのソプラノは儚げな感じが出ていて良く透っているが、
今一つ弱すぎると言う感じがするし、MIHALY SZABOの
クリア・ボイスは大部分が余りにものっぺりとし過ぎて面白味に
欠ける。ダークで耽美な色合いのある楽曲だが、割とテンポに
変化があって、場面によってはかなりアップ・テンポになる。
とは言っても、耽美さがこの手のものとして薄過ぎるし、
ボーカル・ラインの面白味が今一つ欠ける為に全体的に締まりが
悪い感じがする。[82]
SOLITUDE + DOMINANCE + TRAGEDY / EVERGREY
スウェーデンのパワー・メタル・バンドのアルバム。方向的には
前作の延長線上と言える様なドラマティックでパワフルな
作品だが、扇情感がより増しており、ドラマティックな雰囲気が
一層盛り立てられている。TOM S.ENGLUNDのハスキーだが
パワフルな透ったボーカルが、彼等のサウンドに中々良く
合っている。幾分ダークな雰囲気もある叙情的な愁いを帯びた
メロディは、雰囲気をより際だている。パーマネントな
キーボード奏者はいないのだが、意外とキーボードが前面に押し
出されており、プログレッシヴ・メタル的な色合いも
感じられる。[84]
BRIDGE / EVERON
ドイツのプログレッシヴ・ロック・バンドの2年振りとなる
5thアルバム。方向的にはシンフォニック・ロックと
言えるものだが、これまで同様ハード・ロック色の強い
作品となっている。Bridgeではピアノを交えて極彩色的な
イメージのするロマンティック・ゴシック風の雰囲気を醸し
出していたりもする。とは言え、基本的にベースとなっているのは
あくまでもシンフォニック・ロックであり、そう言った方面に
免疫がないと聴いていて苦しいかも知れない。エモーショナルで
情感豊かなアルバムに仕上がっており、そのレベルは高い。[82]
FLE$H / EVERON
ドイツのシンフォニック・ロック・バンドの6thアルバム。前作、
BRIDGEと対になる作品で、本来同時にリリースするつもりだった
様だ。その割には前作とはやや趣の違う作品となっているのが
特徴と言って良いだろう。これまで、ギターを前面に押し出し、
ハード・ロック的なエッセンスも持ったバンドであったが、この
アルバムではそう言う方法論は取っていないのだ。
オーケストレーションを押し出し、壮大で大仰な作品に
仕上がっている。女性ボーカルを導入し、より叙情性を増し、
渋みと深みを感じさせる熟練された落ち着いたアルバムだが、
ハードでなくなった分焦点がぼやけている様にも感じられる。[77]