イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 唯一のアルバム。M.W.O.B.H.M.末期に登場し、紆余曲折を経て、 これからと言う時に解散してしまったバンドだ。イギリスのらしい 愁いを含んだ叙情的なメロディながら、N.W.O.B.H.M.の他の バンドと比べると、非常に洗練されたセンスを感じさせる アルバムだ。扇情的でアップ・テンポの楽曲は非常に格好良いし、 その出来も素晴らしい。B級臭さは少し感じるが、Fightを始め 佳曲がずらりと並んでいて、素晴らしいアルバムに 仕上がっている。楽曲的には初期BON JOVIの愁いのある楽曲から、 産業っぽさを削ったような感じで、決して上手いと言う 訳ではないが、PAUL McBRIDEのしゃがれたボーカルが良い味わいを 出している。[93]
カナダのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 4年振りの6thアルバム。スラッシュ・メタルが認知されるよりも 前に登場し、その先駈け的なバンドとして1983年に デビューしながら、METALLICAやMEGADETHの後塵を拝し続けてきた 訳だが、それでも尚、昔のパワフルで荒々しい姿を示し 続けている。オリジナル・メンバーのJOHN RICCIが 復帰したものの、DAN BEEHLERと2人だけしかいないのでは先が 思いやられるが、それでも活動を続ける意志を示した事は 意義がある。メロディック・ファースト・メタル的な楽曲は 扇情的で悪くないのだが、サウンド的にはチープだし、B級的な 色合いから脱しきれていない。[79]
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 5thアルバム。方向的にはこれまでと比べるとかなり変化が 見られ、メロディ・ラインがよりはっきりと中心に据えられ、 グルーヴィさと聴き易さに配慮が為されている。うねりの 感じられるのりには、これまでのファンには拒絶反応も起こすかも 知れないが、これまで聴いたことがない人には取っ付き易い 作品かもしれない。それにしてもBitchでホーンまで 導入しているのは少しやり過ぎと言う気もしなくはないが。 彼等としては異色とも言える作品で、一概にお勧めできる 作品ではないが、出来自体は悪くない。[83]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた デビュー盤。方向的には、アメリカらしい非常にファンキーで ポップ・センスを持ったヘヴィ・メタルだが、その一方で他の バンドにはないユニークでオリジナリティを持っている。 NUNO BETTENCOURTのギター・プレイは新世代のギター・ヒーローと 言える域に達しており、演奏的にも非常にレベルは高いし、 GARY CHERONEのボーカルもめりはりがあって透った声質で、こう 言うサウンドには良く合っている。楽曲も平均的に良く 出来ているが、これと言った柱となる楽曲がないのは残念だ。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には前作の延長線上と言えるもので、前作の ファンにも十分楽しめる作品だと言って良いだろう。むしろ楽曲の 質が上がっており、平均的な楽曲が並んでいた前作よりも 聴きどころが多い作品になっている。特に、Decadence Danceや More Than Wordsと言った、抜きんでた楽曲があるので、 めりはりがあって聴きごたえのあるアルバムに仕上がっていると 言って良いだろう。NUNO BETTENCOURTのギター・プレイは 相変わらず素晴らしいし、のりが非常に良くなっていて、 前作より数倍楽しいアルバムだ。[86]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた ミニ・アルバム。これまでシングル・カットされた5曲に、 アルバム未収録曲が1曲とメンバーからのメッセージと言う 構成になっている。シングル・カット曲のうち、Little Girlsと Decadence Danceはシングル・エディット・バージョン、 Mother(Don't Wanna Go To School Today)は シングル・リミックス・バージョンとなっている。唯一のアルバム 未収録曲、Nice Place To Visitは、彼等らしいファンキーな ナンバーで、悪くはないが特に取りたててどうと言う事もない 楽曲だ。[79]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3rdアルバム。豪奢でファンキーだった前作と比べると、 ファンキーである事には変わりないが、よりソリッドでシンプルな 感じのするアルバムに仕上がっている。その分楽曲によっては シンプルでオーソドックスな感じのする作品で、盛り上がりと言う 面では前作に劣る。全体的なレベルは決して悪くないのだが、 前作が傑作と言えるレベルの作品だっただけに、どうしても Decadence DanceやMore Than Wordsと言ったクラスの楽曲がない 分だけ寂しい作品になってしまっている。[84]
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1990年にリリースされた アルバム。ドラムに元ANTHRAXのJOHN TEMPESTAを迎えた、メジャー 第一弾の意欲作。非常にコアなサウンドのスラッシュ・メタルで、 鋭角的なリフ中心の楽曲は馴染めない人もいるだろうが、攻撃的で 中々良い出来だ。昔、バンドに在籍していたKIRK HAMMETTがいる METALLICA等、多くのスラッシュ・メタル・バンドがメロディ 中心にバンドのスタイルをシフトしていったのに対して、 対極にあるアルバムに仕上がっている。ザクザクとリフを切り 刻んで畳み掛けて来る辺りは、非常に迫力がある。時流もあってか これ以上にインパクトのある作品を残せなかったのが残念だ。[84]
アメリカのハード・ロック・バンドの4thアルバム。当初、 アルバム発表前に出したシングルが、あまりに不評だったために 心配されたその内容だが、不評故に作り直しただけあって、 これまでの作品とそれほど違和感は感じられない。方向的には ファンキーさを残しているため、相変わらずという気もするが、 大きく違うのはそのグランジ的なサウンドだろう。そのために、 ファンキーであってもその地味な印象はいかんともしがたい 気がする。確かに悪いという内容ではないのだが、今までの ファンが聴いてどう思うか難しいところだ。[78]
オランダのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの10年ぶりの 2ndアルバム。DREAM THEATERと比べると、ヨーロッパの バンドらしいより哀愁の強い楽曲で構成されている。全体的に チープな音質で、プロダクションもまだまだといった感は いがめない。所々のギター・メロディなど、それなりに面白い 部分はあるのだが、全体的に整理されていない印象があり、 アレンジ部分での弱さを感じずにはいられない。ギターの露出度が 高く、奏でる哀愁のメロディは割と良い出来で、キーボードも それにマッチしたものだ。プログレッシヴ色よりは ヘヴィ・メタル的な感覚の方が強い。[78]
N.W.O.B.H.M.期に活躍し、METALLICAがカバーしたことで 有名になったブリティッシュ・ハード・ロック・バンドの 人脈関係のバンドの音源を集めたコンピレーション・アルバム。 TREDEGAR、BOMBSHELL、FREEZ、TITUS OATS、SIX TON BUDGIEの 5つのバンドの音源で、ファンクラブ用に出たTITUS OATS、 FREEZの音源を含むTREDEGARのアルバムと幾分楽曲が重複するが、 初CD化のものも散見される。N.W.O.B.H.M.っぽいややチープな ものが多いが、出来的にはそれ程悪くないし、音質も割と良い。 1066の様な扇情的なナンバーは情感があって結構 聴きがいがある。[78]
かつてMETALLICAのKIRK HAMMETTが在籍していた事で著名な アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの復活第一弾となる ライヴ・アルバム。1stアルバム時のライン・アップで、当時の 楽曲を中心としたデビュー時の再現を行っているが、その後徐々に パワー・ダウンしていった事を考えれば当然の 選択なのかもしれない。ハード・コア的要素が強く、リフを ザクザクと切り刻んでくる辺りは実に格好良い。そのパワーと ほとばしるエナジーは実に圧巻で、今やスラッシュ・メタルの 惨状を考えると、かえって新鮮な位だ。[85]
イギリスのグラインド・コア・バンドのフルレンスとしては 9年振りとなる2ndアルバム。NAPALM DEATHのボーカリスト、 MARK "BARNEY" GREENWAYが参加しているが、この作品の後すぐに NAPALM DEATHに復帰している。そのせいもあってか かなりNAPALM DEATHっぽい感じも受ける作品だ。 ブラスト・ビートを使ったデス・メタルっぽい作品だが、 サウンドの疾走感とハード・コアっぽいメロディはあくまでも デス・メタルとは一線を画する。ボーカルの交代の他にも ドラマーとして元CRADLE OF FILTHのWASが加入している。[75]
スウェーデンのテクニカル・デス・メタル・バンドのデビュー盤。 何だかのれそうでのれない妙な曲調と展開がユニークで、中々 面白い。そう言った中でも正統派ヘヴィ・メタル的な ギター・メロディを挟み込んだり、まるで万華鏡の様にころころと その姿を変えていく。テクニカル・デス・メタルとしてはより 叙情的なメロディが登場し、アコースティック・ギターや フルートまで取り入れている。かと思うと、いきなりブルータルに 展開する所など、このバンドの真骨頂と言えるだろう。但し、この 手のバンドとしては、DAVID HUSVIKのデス・ボイスを除くと、 全体的にブルータルと言う感じは低く、今一つインパクトに 欠けるかも知れない。[81]
ギリシャのメロディック・デス・メタル・バンドの2ndアルバム。 IN FLAMESのFREDRIK NORDSTROMとJESPER STROMBLADがゲスト 参加しており、FREDRIK NORDSTROM自身が プロデュースしているところからも判る通り、方向的には IN FLAMES風のパワー・メタル系メロディック・デス・メタルだ。 より攻撃的なサウンドの中にも北欧的な美しく扇情的な泣きの ギター・メロディは非常に素晴らしい。IN FLAMESよりも めりはりの効いたアグレッシヴな楽曲は非常に聴きごたえがある。 楽曲の出来は素晴らしいし、そのメロディ・センスは特筆するに 価する。パワー・メタル系メロディック・デス・メタルとしては 完成度も非常に高く、飛び抜けた存在の一つと言って良いだろう。 SEPULTURAのカバー、TerritoryはSEPULTURAの雰囲気を 残しながらも彼等らしい部分を見せてくれている。[88]
ギリシャのメロディック・デス・メタル・バンドの3rdアルバム。 今作でもプロデュースはIN FLAMESのFREDRIK NORDSTROMが 担当しており、言わばIN FLAMESのフォローワーとも言える バンドだ。とは言え、単なる二番煎じに終わっておらず、この 手のものとしてはかなりレベルの高い内容だと言って良いだろう。 IN FLAMESがバックを割と一般のパワー・メタルと言った域にまで 持っていったのに対して、このバンドはエクストリーム系らしい 荒涼さを残し、よりスケール感の感じられるドラマティックな アルバムに仕上がっている。扇情的でドラマティックなメロディは 聴き応えがあり、エッヂのたった生々しいサウンドが実に格好 良い。[84]
ノルウェイのメロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。とは言っても、それ程メロディを主体に押し 出しておらず、どちらかと言えばよりプログレッシヴで、 テクニカルな作品に仕上がっている。CYNICの様なフュージョン 的な要素はなく、より正統的でバイオリン等を使った メロディックなパートを上手く組み込みながらも、テクニカルな プレイを中心として構築した楽曲は、中々難解ながらも ユニークだ。ブルータリティ溢れるPETER ESPEVOLLの デス・ボイスは中々破壊的だが、こう言ったサウンドには 効果的だ。正しく構築美と言った感じの、アグレッシヴな 作品だが、アイデアは良いと思うし、それを表現出来るだけの 技術がある。[85]
イギリスのグラインド・コア・バンドの1995年にリリースされた ベスト盤。と言っても、フルレンスのアルバムは1枚しか リリースしていないので、そういう意味で、細々とした音源を 集める様なファンにはともかく、彼等の音楽を追う上では それなりに有り難味を感じる。音楽的には、この手の バンドとしては最もパンク色が濃いもので、ツー・バスを ドカドカやる事はあっても、ブラスト・ビートと言う 感じのものはない。スラッシィな感覚も無きにしもあらずだが、 むしろハード・コアと言った感じが慄然とあり、NAPALM DEATHの 様なメタル的な色合いはほとんど感じられない。[71]
アメリカのグラインド・コア・バンドの2ndアルバム。その タイトルが示す様な悪趣味なジャケットには二の足を踏むが、 内容の方はこの手のグラインド・コアとしては意外と聴き易い。 もちろんグラインド・コアらしいブラスト・ビートと高速リフ 満載だし、MATT HARVEYのボーカルは吐き捨て型の デス・ボイスで、如何にもと言った感じの作品なのだが、ボーカル 部分はバックは意外とストレートで左程聴き辛くはない デス・ボイスが前面に押し出されており、バランスも中々良い。 スピード感もあるし、怒涛のサウンドには息を呑む緊迫感があり、 ブルータルで聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。[82]
イギリスのグラインド・コア・バンドの3rdアルバム。 CRADLE OF FILTHのギタリスト、GIAN PYRESが加わっているのを 始め、大幅なメンバー・チェンジが施されている。音楽的には 当然ブラスト・ビートを中心としたグラインド・コアなのだが、 パンク的な色合いはほとんど消え、デス・メタル的な色合いが より強くなっていると言って良いだろう。攻撃的で凶悪さを 感じさせるサウンドは凄まじく、かつブルータルだ。 ブラスト・ビートだけではなく、スラッシュ・メタル的なリフが 前面に押し出されており、デス・メタル系のリスナーには聴き 応えのある作品だろう。[81]
アメリカのプロ具烈士ヴ・メタル・バンド、MAGELLANの ボーカリスト兼キーボード、TRENT GARDNERを中心とした プロジェクトの2ndアルバム。元MEGADETHのギタリスト、 MARTY FRIEDMAN、元U.K.、MISSING PERSONSのドラマー、 TERRY BOZZIO、DREAM THEATERのボーカリスト、JAMES LaBRIE、 元KANSASのギタリスト、KERRY LIVGREN、DREAM THEATERの ベーシスト、JOHN MYUNG、KANSASのキーボード、STEVE WALSH等と 言った、層々たるメンバーが参加している。2曲の長大な 組曲からなっており、彼らの音楽的レベルの高さを感じさせる 非常に緻密に構成されていて、叙情的でシンフォニックな作品に 仕上がっている。よりシンフォニック・ロック的な色合いが強く 出ており、それ程プログレッシヴ・メタル的なエッセンスは 感じない。[83]