FAIR WARNING / FAIR WARNING
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた
デビュー盤。その実態はZENOで、ZENOからZENO ROTH本人を除く
TOMMY HEART、ULE W.RITGEN、CC HEHRENSの3人にギタリストの
2人を加えたメンバー構成となっている。音楽的方向性は、ZENOの
それを受け継ぎながらも、よりハード・ロック然とした作品
作りがなされている。明るめの叙情的で愁いのある良質の
メロディの楽曲がずらりと並んでおり、ULE W.RITGENのセンスの
良さが伺えるアルバムに仕上がっている。しかし、その中でも一番
光っているのはZENO ROTHによるThe Heat Of Emotionで、今後、
もう一段楽曲の質向上が望まれる。[83]
LIVE IN JAPAN / FAIR WARNING
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
ライヴ盤。同年に行われた日本公演の模様を収めたもので、
ミュージシャンとしての経歴が長いだけに、デビュー直後とは
思えない様な素晴らしいライヴ・パフォーマンスを
聴かせてくれている。時期が時期だけに、カバーやZENO時代の
ナンバーを交えてのライヴとなっているが、それ程違和感は
感じさせない。TOMMY HEARTの扇情的なボーカルは素晴らしく、
ライヴでも実に良く映えている。プロダクションも満足出来る
レベルだし、彼等の魅力は十分伝わって来る作品だ。[85]
INTRODUCTION YOURSELF / FAITH NO MORE
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1987年にリリースされた
2ndアルバム。方向的には、ミクスチャー的な作品で、
ハード・ロック、ファンク、ラップと言った要素の伺える
アルバムに仕上がっている。定型的な形に捕らわれない
ユニークさがあり、斬新なスタイルを築き上げている。
楽曲的には、飛び抜けたものはないが、どれもオリジナリティに
溢れているだけに、飽きさせる事もない。純粋なヘヴィ・メタルを
求めるリスナーには違和感を感じるかも知れないが、これこそが
彼等の個性であり、Chinese Artithmeticでは結構
メロディアスなところも見せてくれている。[82]
THE REAL THING / FAITH NO MORE
アメリカのハード・ロック・バンドの1989年にリリースされた
3rdアルバム。ファンク、ハード・ロック、ラップ等を取り入れた
彼等のミクスチャー的なサウンドは、ここで完成されたと言っても
過言ではない作品だ。特にシングル・ヒットとなったEpicでの、
独特のラップ感を持った彼等のセンスは非常にユニークで、
後半での扇情的なメロディへと流れていく展開は鳥肌が立って
来る。彼等のハード・ロックの枠に収まらない音楽性は好き嫌いが
分かれるかも知れないが、閉塞的なシーンに新しい風を吹き
込んだと考えれば十分貴重な存在だろう。BLACK SABBATHの
War Pigsをカバーしている辺りに、彼等の原点が伺える。[88]
EPIC / FAITH NO MORE
アメリカのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた
ミニ・アルバム。タイトル・トラックの
シングル・カット・ナンバーにライヴが4曲と言う
構成になっている。シングル・カットされたEpicは、全米で
大ヒットし、今更何も言うことはないだろう。ライヴでは、
THE REAL THINGで恐らくヘヴィ・メタル系のリスナーの最も
関心があっただろうWar Pigsも集録されている。録音状態は、
ステージ脇でマイク取りされたと思しき出来で、お世辞にも
良いとは言えないが、ライヴ自体の出来は悪くなさそうだ。[79]
LIVE AT THE BRIXTON ACADEMY / FAITH NO MORE
アメリカのハード・ロック・バンドの1991年にリリースされた
ライヴ盤。所謂ミクスチャー系のバンドだが、ライヴの出来栄えは
中々面白い。The Real Thingでの狂気に満ちたボーカルで伸ばして
行く辺りは非常に面白いし、Epicでもスタジオ盤とはまた違った
ボーカルを聴かせてくれている。MIKE PATTONのボーカルは、
決して上手いと言う感じのタイプではないが、ライヴでは独特の
魅力を発揮していることが伺える。EpicからWar Pigsへと、前半が
あまりにもハイ・テンションなため、後半がやや息切れと言う
感じもなくはないのだが、のりと勢いを感じさせてくれる
ライヴ盤だ。[83]
ANGEL DUST / FAITH NO MORE
アメリカのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた
4thアルバム。これまでの作品より、ファンキーさを大幅に押えた
作品作りがなされており、よりハードでドラマティックな
アルバムに仕上がっている。こう書くと、何かとてもこの
バンドらしくない様に感じられるが、むしろこのバンドが元々
持っていたハードな部分をより強く押し出した感じで、バンドの
オリジナリティと言うものは全く失われていない。かなりコアで、
ポップ色が下がった分、一般受けするかどうか心配されるが、
アイデア自体は悪くないし、アルバムの出来自体も中々良い。[84]
IT AIN'T OVER 'TILL IT'S OVER / FAST EDDIE CLARKE
元MOTORHEAD、FAST WAYのイギリス人ギタリストの1993年に
リリースされた初のソロ・アルバム。華麗なギター・テクニックを
売りにする様なギタリストでないだけに、全曲歌ものの
アルバムになっているのは当然の選択だろう。FAST WAYでコンビを
組んでいたDAVE KINGとの共作があるが、方向的には
FAST WAYよりはMOTORHEAD近いと言った方が良いだろう。
ワイルドなハード・ロックンロールで、LEE HEARTとの
コンビによる、後期FAST WAYから比べると、自分らしさを出した
作品であると言えるだろう。ボーカルは全曲、彼自身が
取っており、お世辞にも上手いとは言えないが、ワイルドさは
感じられる。[79]
WAKE ME WHEN IT'S OVER / FASTER PUSSYCAT
アメリカのバッド・ボーイズ・ロックンロール・バンドの1989年に
リリースされた2年振りの2ndアルバム。方向的には
グラム・ロックっぽいハード・ロックンロールである訳だが、
GUNS'N'ROSEよりも能天気な感じのする作品だ。その分、
GUNS'N'ROSEの様なカリスマ的な地位を得るには至らなかったが。
デビュー時には、GUNS'N'ROSEに比べると出遅れた感の強い
バンドだが、House Of Painのヒットでようやくブレイクしたと
言った感じだろう。演奏的な技術力云々と言うのは全く
度外視して、とにかくのりの良さで勝負しているバンドで、この
アルバムも非常にのりが良くて楽しいアルバムに仕上がっている。
[83]
LIVE AND RARE / FASTER PUSSYCAT
アメリカのバッド・ボーイズ・ロックンロール・バンドの1990年に
リリースされたミニ・アルバム。バージョン違いやライヴ音源を
集めた日本独自の企画盤で、未発表音源はないのでそれ程貴重とは
言えない作品だ。とは言え、シングルやら何やら集めないと
聴けないと思うと、こうして1枚にまとめられているのは有り
難い。リミックスが2曲、エディット・バージョンが2曲、ライヴが
2曲と言う構成で、ここで注目されるのはやはりライヴだろう。
とにかく驚くのは、バンドのイメージとは違い、意外と演奏が
まともだと言うことだろう。ラフながらものりを保ちつつ、
スタジオ盤の雰囲気を再現している。[80]
WHIPPED! / FASTER PUSSYCAT
アメリカのバッド・ボーイズ・ロックンロール・バンドの1992年に
リリースされた3年振りの3rdアルバム。グラム系の
ハード・ロックンロールで、基本的な路線は前作と
変わらないのだが、今作ではミドル・テンポの楽曲が増え、
前作までに感じられた破天荒なのりがかなり弱くなっている様に
思える。楽曲自体は成長の後が伺えるし、出来が悪いとは
思えないだけに、何だか煮え切らなさだけが残った様な
気がするのは非常に残念だ。もう少しアップ・テンポの楽曲を
入れていけば、かなりめりはりのついた作品になったと
思うのだが。[80]
ON TARGET / FASTWAY
イギリスのハード・ロック・バンドの1988年にリリースされた
5thアルバム。今作よりボーカリストとしてLEE HEARTが加入し、
やはりと言うべきか音楽的に大きな方向転換を果たしている。
LEE HEARTと聴いただけで多くの人が想像するとおり、ここで
聴かれるのはDAVID KINGが居た頃の、HUMBLE PIE的な
ハード・ロックではなく、キャッチーでコマーシャルな
ハード・ポップだ。楽曲の出来自体は決して悪いとは思わないが、
何故これをFASTWAY名義でリリースしなければならなかったのか
理解し難いところだ。これまでのファンにとっては落胆を感じる
アルバムと言う他ない。[80]
PARALLELS / FATES WARNING
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの1991年に
リリースされた6thアルバム。非常に流麗で叙情的なメロディの
プログレッシヴ・メタルで、オリジナリティを感じさせてくれる
作品だ。DREAM THEATRE程、変則的な部分がなくて、
プログレッシヴ・メタルはちょっとと言う人にも十分
聴けるはずだ。前作と比べると、かなりシンフォニックな
感じのさせる作品で、RUSHっぽさも少し感じるが、メロディは
哀愁を帯びていてよりストレートだ。楽曲の出来がとにかく良く、
特にEye To Eyeは名曲と言って良いだけの出来だ。NO EXITに
比べると、非常に大人しい作品に聴こえるかも知れないが、むしろ
格調高さを感じさせ、素晴らしいアルバムに仕上がっている。[93]
INSIDE OUT / FATES WARNING
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの1994年に
リリースされた3年振りの7thアルバム。方向的には前作の
延長線上と言えるもので、非常に流麗でシンフォニックな
プログレッシヴ・メタルだ。前作で全く同じ事をやっている訳で、
新鮮味と言うものがどうしても欠けてしまうのは遺憾ともし
難いが、楽曲自体の出来は決して前作に劣っていない。
惜しむらくはEye To Eye位印象的な楽曲が1曲
欲しかったところだが、それも非常にレベルの高いところでの
話だ。アコースティック・ギターを取り入れているところ等、この
バンドに非常に良く合っていると言えるだろう。[87]
THE SPECTRE WITHIN / FATES WARNING
アメリカのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの1985年に
リリースされた2ndアルバム。まだこの頃は
プログレッシヴ・メタル的な方法論を取り入れはじめる前の
作品で、IRON MAIDENクローンと言われていた頃のものだ。
ボーカルもまだオリジナル・メンバーのJOHN ARCHが在籍していた
頃で、楽曲もかなりB級臭いしオリジナリティもあまり
感じられない。この手のものとしては曲はましな方だし、
IRON MAIDENクローンの先鞭を付けた訳で、特別悪い作品とも言い
難いのだが、やはりこれといったものが感じられない。[74]
NO EXIT / FATES WARNING
アメリカのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの1988年に
リリースされた4thアルバム。バンドにとって、最高傑作とも
言われる作品で、このアルバムで独自とも言えるスタイルを
確率させて来たと言って良いだろう。楽曲には展開の妙があり、
若干プログレッシヴ・ロック的な要素を持ったサウンドは、
QUEENSRYCHEとDREAM THEATERの中間を行っている様な印象を
受ける。演奏のポテンシャルもこれだけのものをやるだけの
レベルに達しているからこそ出来た作品だ。実力派ボーカリストの
RAY ALDERが加わったのは非常に大きな意味を持って来ている。
その後のより流麗とした、RUSH的な方向から比べると、より
ヘヴィ・メタル的なサウンドに仕上がっている。[89]
AWAKEN THE GUARDIAN / FATES WARNING
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた
3rdアルバム。初代ボーカリストであった、JOHN ARCH在籍時最後の
アルバムで、この頃までIRON MAIDENクローン的な扱いの
バンドではあったが、このアルバムではその色合いは薄くなって
来ていると言って良いだろう。これまでも特にそう言った色合いが
強かった訳ではないが、前作ではIRON MAIDEN的な色合いが
感じられる作品だった。今作ではどちらかと言うとQUEENSRYCHE
的なアプローチを試みているが、IRON MAIDENとQUEENSRYCHEの
中間という感じで、今一つ中途半端な印象を受ける
作品になってしまっている。ボーカルのJOHN ARCHの実力不足が
露呈してしまっているのも痛い。それを悟ったかのように彼は
バンドを去り、RAY ALDERの加入でQUEENSRYCHE的な
アプローチながらも、彼等独特の世界を確率して行く、その
過渡期的な作品と言って良いだろう。[79]
SCRATCHI'N SNIFF / FATE
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた
4thアルバム。MERCYFUL FATEがKING DIAMONDと分裂する形で、
ギタリストのHANKを中心として結成されたバンドだが、そのHANK
自身がもうバンドにはいない。その方向性は、MERCYFUL FATEの
シアトリカルな路線とは全く違い、北欧らしい哀愁も併せ
持っているものの、アメリカナイズされた、キャッチーな
メロディを主体としている。曲によって出来の差異はあるが、
演奏も併せて全体的にクオリティは高い。ただMERCYFUL FATEの
ファンが聴けば戸惑うだろうし、そういう関連性を持って聴かない
方が良いだろう。[86]
KING FOR A DAY FOOL FOR A LIFETIME / FAITH NO MORE
アメリカのミクスチャー・ロック・バンドの5thアルバム。
クロス・オーヴァー時代の寵児とも言えるバンドだが、今作でも
そのクロス・オーヴァー度はさらに磨きがかかって来たように
思える。BLACK SABBATHのカバーをやっていた頃より、ハードさは
かなり減退しており、ハード・ロック・ファンにはますます辛い
内容かもしれない。ポップスあり、ホーン入り乱れと結構色々と
やっている訳だが、ハード・ロック側から見ると面白いかどうかは
別の話だ。バンドが登場したときはともかく、今やこういう
パターンはもう目新しくない。[80]
LIVE AT HOME / FAIR WARNING
ドイツのハード・ロック・バンドのミニ・アルバム。本国での
アコースティック・ツアーの模様を納めたライヴ・アルバムで
楽曲の良さ、演奏のレベルはアコースティックで改めたこうして
聴かされるとさすがと思える。メロディアスな楽曲も、
アコースティックに良く映えるが、こういったメロディ中心の
楽曲はアコースティックでやると地味に感じられる。これだけ
良質の楽曲を書くバンドだけに、録音がそれほど良くもなく、
盛り上がりに欠けるので飽きが来るのは残念だ。落ち着いたものを
聴きたいぶんには良いかもしれないが。[81]
RAINMAKER / FAIR WARNING
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。メンバーが
かつて所属していたZENOの1stアルバムでは、何処か一歩
ハード・ロックとは一線を画した異質な不思議な魅力を
湛えていた。それに対してこのバンドは、よりハード・ロック的な
気質を持っていて普遍的だ。センスの良いメロディはより
磨きがかかり、1stに比べると随分リラックスした雰囲気を感じる
事が出来る。ヨーロッパのバンドらしい叙情的なメロディの中に
アメリカのバンドのような壮快さを併せ持っていて、スケールの
大きさを感じさせてくれるが、今一つ緊張感を
感じさせてくれないのが惜しい。[86]
CHASING TIME / FATES WARNING
アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・グループの
ベスト・アルバム。このバンドの場合、初期は結構IRON MAIDEN
クローン的であったが、後にプログレッシヴ的な方向へと
変身している。プログレッシヴがかっているといってもそれほど
色合いが顕著ではなく、QUEENSRYCHEとDREAM THEATERの中間と
言ったところでより流麗で普遍的だ。決して亜流になることなく、
オリジナリティを持ち、ある程度確固としたステータスが
あるだけに内容はかなり濃い。未発表曲2曲の未発表バージョン
1曲が収納されていて、その未発表曲のうちAt Fates Fingersは
バンドとしてはどちらかと言えばプログレッシヴ色の強い
インストゥルーメンタル・ナンバーだが特にどうと
言う程のものではないものの、Circlesはいかにもこの
バンドらしい佳曲だ。[87]
MYSTERY / FALCON
ドイツのハード・ロック・バンドのデビュー盤。
メロディアス・ハード・ロックの宝庫、LONG ISLAND RECORDと並ぶ
レーベル、Liga Records所属のドイツのバンドで、その中でも
メロディ・センスは抜きんでていると言って良いだろう。
キーボードを全面に配した非常に美しいハード・ロックで、
ポップで哀愁のある曲は郷愁をそそり非常に素晴らしい出来だ。
ただし、プロダクションには疑問を抱かざるをえないし、
MICHAEL SIEBERTのボーカルはお世辞にもうまいとは言えないのが
残念だ。それらの点を除けば全体的に楽曲の出来はずば抜けていて
捨て曲がなく満足の行くものなだけに、ボーカルの交代は考えた
方が良いだろう。[89]
WE CARE A LOT / FAITH NO MORE
アメリカのミクスチャー・ロックの代表格とも言えるバンドで、
1985年にリリースされたデビュー盤。初代ボーカリストである
CHUCK MOSLEYが歌っていた頃の作品だが、彼のボーカルは
MIKE PATTONほど切れておらず、その後の彼等の破天荒さはあまり
感じられないが、キーボードの使い方や楽曲は、確かに
THE REAL THINGに通ずる様な彼等の独特の世界を構築している。
それ以降の作品と比べると、よりラップ的な色合いが強く、
作品としてはプロダクションが今一つではあるものの、その後の
アルバムとまでは言えないが、決して悪い出来ではない。[75]
CHARTSCRAPER / FALCON
ドイツのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。
ベース、ボーカル、ドラムが交代し、レコード会社もLigaから
変わっての出直し作となるが、憂いの帯びた叙情的なメロディは
相変わらずである。前作同様、幾分洗練されていない気はするが、
その美しいメロディはさすがで、情感に訴える物はある。しかし、
全体的に整いすぎて引っ込んだ感じがし、否応にも1Stより
地味さを感じずにはいられない。Warのように印象的な
メロディもあるだけに惜しい。もう少し洗練され、曲に
めりはりが出れば非常に良い作品になっただろう。[84]
ANGELS OF HEAVEN / FAIR WARNING
ドイツのメロディアス・ハード・ロック・バンドの3rdアルバム
GO!からのシングル。アルバムとはバージョン違いの
Angels Of Heaven、I'll Be There、Without Youは
アルバム・バージョンの方が厚い音作りになっている。
Angels Of Heavenのカラオケ・バージョンはボーカルを
抜いているだけなのでどれくらい価値があるかは難しいが、やはり
注目はアルバム未収録曲であるLight In The Darkだろう。
オーケストラを使った、やさしくて暖かい壮大なバラードで、
アルバムに収められなかったとはいえ、たいした出来である。[84]
FAITH TABOO / FAITH TABOO
スウェーデンのハード・ロック・バンドのデビュー盤。北欧の
バンドだが、全体的にアメリカのバンドの様な乾いた雰囲気を
持っており、すがすがしさを感じさせる。楽曲はフックが
効いていて、ブルージィな部分があったりファンキィなところが
あったりする。楽曲によってはおしゃれな
ハード・ポップという感じのものもある。全体的にそれほど
ハードというような部分はなく、朗々とした感じが好感を持てる。
派手さはないがリラックスして楽しめる部分もあるし、
欠点と言うべき部分もあまりなく安心して聴ける。[83]
END OF REGULATION TIME / FATAL ATTRACTION
スウェーデンのプログレッシヴ・ハード・ポップ・バンドの
デビュー盤。全体的に軽やかで湿り気のある軽い
ハード・ポップで、落ち着いた印象の受ける楽曲が並んでいる。
AOR的なセンスが一貫してあるのだが、楽曲によっては
フュージョン風の部分やシンフォニックなものがある。
Child Of An Angel等は、フルートが入れられていたり、
オーケストラレーションが施されていて、中々面白い仕上がりだ。
ソフトで灰汁のない分、派手さはどうしてもないが、
メロディー・センスは悪くないし、出来自体は結構良い。
アルバムのラストでコーラスで盛り上げていくさまなども
見事だが、もう少しフックのある曲がいくらかあると尚
良かったのだが。[81]
GO! / FAIR WARNING
元ZENOのメンバー等によるドイツのハード・ロック・バンドの
3rdアルバム。とにかくメロディアスで非常に良く出来た
アルバムの一言に尽きる。叙情的な非常に美しいメロディの
楽曲も、情感豊かで切ないスカイ・ギターも、伸びやかな高音の
TOMMY HEARTのボーカルも全てがマッチしている。アレンジも
プロダクションも素晴らしいし、ここまで来ると少し嫌みたらしい
位だ。哀愁のあるメロディなのだが、スカイ・ギターの暖かく
優しい音色が心地よさを醸し出している。とにかく叙情的で
美しいメロディが好きならお奨めの作品だ。[88]
A PLEASANT SHADE OF GRAY / FATES WARNING
アメリカのベテラン・プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの
8thアルバム。RAY ALDERのやや粘質な声質もあいまって、独自の
世界を持っており、方向的にはこれまで同様の
メロディアスな内容だが、変則的な部分を強く押し出しており、
プログレッシヴ的な色合いをより強く意識しているのだろう。
今作では元ARMARD SAINTのJOEY VERA、同じく元DREAM THEATERの
KEVIN MOOREがゲスト参加しており、テクニカル的な側面を
サポートしている。アルバム一枚で一曲の壮大な
組曲になっており、アイデアは評価できるのだが、
これまでの淡々とした雰囲気が薄れ、肩に力の入った作品に
思える。PARALELLS等に比べて、場面によっては
やや拍子抜けなところもあるのだが、やはり長い組曲の
弊害だろう。[81]
SAVE ME / FAIR WARNING
ドイツのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの最新アルバム
GO!からの2ndシングル。シングル・カット曲の
Save Meはともかくとして、ここで注目されるのは残りの
3曲だろう。All On Your Ownのバージョン違いと、未発表曲が
2曲という構成で、特にCome Onはアルバムが素晴らしい
出来であったがそれでもこの曲を収録しなかったのが不思議と
言って良い佳曲だ。アップ・テンポで哀愁のメロディの叙情的な
ナンバーで、実に美しく格好良い。もう一曲の未発表曲
Give In To Loveはヘヴィでバンドでは珍しい曲であり、
さすがにアルバムの曲に比べれば落ちる。[85]
ALBUM OF THE YEAR / FAITH NO MORE
BLACK SABBATHをカバーした事でも知られる、
ミクスチャー・ロックのパイオニアとでも言うべきアメリカの
ロック・バンドの5thアルバム。そのどことなくラップがかった
MIKE PATTONの歌いまわしは健在だが、より普遍的になった
感がなくでもない。特に前に出したのが、前作が割と初期に近い
感じの作品であった事と、初期の音源のマテリアルをリリースした
事もあって、やはりヘヴィ・メタル的な印象は薄くなる。それでも
方向性に大きな変化があった訳でもないし、楽曲の出来は決して
悪いというほどのものでもなく、
駄作というようなものではないのだが、やはりインパクトに
欠ける。[76]
DIGGIN THE GRAVE / FAITH NO MORE
アメリカのミクスチャー・ロック・バンドの1995年に
リリースされた5thアルバム、KING FOR A DAYよりの1stシングル。
タイトル・トラックのシングル・カット曲を含む、アルバム
収録曲が2曲にカバー曲2曲の全4曲と言う構成になっている。
やはり注目されるのはアルバム未収録の2曲だが、BEE GEESの
カバー曲、I Stand A Jokeはともかくとして、BOROTHERS FOURの
Greenfieldsはバンドとしてはかなり趣の異なるものだ。特に
いきり立つ様な注目すべきものではないのだが、彼等らしい
味付けがされていて、シングルのおまけの遊びと思えば中々
ユニークで面白いとは思える。[76]
RICOCHET / FAITH NO MORE
アメリカのミクスチャー・ロック・バンドの5thアルバム、
KING FOR A DAY FOOL FOR A LIFETIMEから1995年にリリースされた
2ndシングル。シングル・カット曲以外にアルバム未収録曲が2曲、
ライヴが1曲の全4曲と言う構成になっている。アルバム未収録曲は
非常にノイジィでハード・ロックンロール風に仕上げている
I Wanna F**k My Selfとアコースティカル中心のオールディーズ
風のSpanish Eyesの2曲がカバー曲だ。両方とも彼等としては
一風変わった楽曲で、カバーと言う事も含めて、アルバムでは
味わえないものがある。Midlife Crisisのライヴも出来は
悪くないし、収録曲も割と価値がある内容だ。[81]
EASY / FAITH NO MORE
アメリカのミクスチャー・ロック・バンドの1993年に
リリースされた、日本独自のミニ・アルバム。内容は
タイトル・トラックのLIONEL RITCHIEが在籍していた事で知られる
THE COMMODORESのカバーと、1992年のツアーからの
ライヴ・テイク、6曲の全7曲と言う構成になっている。カバーの
EASYに関しては割とオリジナルにそった作りで、スロー・テンポの
爽やかさを感じさせるバラードだが、彼等がやったからと言って、
それ故の特別面白味と言うものはあまり感じられない。むしろ
Be Aggressiveのライヴ・テイク等の方が、彼等らしさが出ていて
結構面白い。[78]
DREAMING EZEKIEL / FAKE I.D.
女性二人のソング・ライターと男声ボーカルによるアメリカの
ロック・プロジェクト・バンドのデビュー盤の様だが、この
女性陣はプロデュースと曲作りは行っているものの、演奏の方は
全くタッチしていないようだ。方向的にはいわゆる
ハード・ポップよりのロック・アルバムという感じで、ALIENにも
曲を提供しているだけあって、いかにも初期ALIENと言った
感じだ。ボーカルのGENE MILLERの声質も尚更そういった感を
強めているが、ALIENに比べれば更にAORよりの作品だ。ALIENの
1stに提供された曲も含まれており、出来はなかなか良いのだが、
どれも平均的で飛び抜けた曲が内容に思える。[83]
LIVE AND MORE / FAIR WARNING
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの3枚目のライヴ・アルバム。
昨年行われた日本ツアーの模様を収めたもので、新曲3曲の
スタジオ盤と2枚組みという内容になっている。元々演奏には
定評のある彼等だけに、ライヴは安心して聴いている事が出来る。
LIVE AT HOMEはアコースティック・ライヴを収めた企画盤の
様なものだったから、LIVE IN JAPANからすると5年振りという事で
リリースするペーストしても悪くない。叙情的な美しいメロディは
ライヴでも見事に再現されていて、TOMMY HEARTのボーカルも
素晴らしい。スタジオ盤に収められた新曲は彼等らしい
メロディアスな楽曲で、悪くはないが特にどうこう言うほどの
曲でもない。[85]
STILL LIFE / FATES WARNING
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの2枚組み
ライヴ・アルバム。1枚目は前のスタジオ・アルバムでアルバム
丸ごと1曲と言う事をやった、A Pleasant Shade Of Grayを
そのままライヴで演奏して収録すると言う暴挙を行っている。
この曲はバンドとしては特に優れた楽曲とも思えないし、端的な
展開と言うものもないので、実際にライヴを見ていた
オーディエンスはさぞかし退屈した人が多かったのではないかと
思うのだが。2枚目では往年の楽曲が演奏されていて、ここでは
さすがと思わせてくれる。このライヴ・アルバムも2枚目だけなら
印象は随分変ってきたと思うのだが。特にThe Eleventh Hour等、
名作PARALLELSから3曲も収められているのが嬉しい。欲を
言うならば、名曲Eye To Eyeも入れて欲しかったがそれでも
十分だ。ボーナス・トラックとしてSCORPIONSのIn Tranceが
収められているが、選曲のセンスも、出来も非常に良い。[80]
INTO THE MIND / FATES PROPHECY
詳細は全く不明だが、ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドの
アルバム。方向的には、扇情的なヘヴィ・メタルで、勢いがあって
のりが良いタイプだ。B級臭さはあるものの、メロディアスで
疾走感のある楽曲の出来自体は悪くないし、ギター・ソロ等は
それなりに聴きごたえがある。ANDRE BORAGINAのボーカルは、
高音部はそれなりに出てるし、場面によってはきちんと
歌えているのだが、ときに中低音部が少し辛くなる事がある。
まだまだ粗削りの部分はあるし、楽曲の出来は波があって、
改善すべき余地は多いにあるが、勢いで押し切っている
感じがする。[78]
HEART ON THE RUN / FAIR WARNING
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム、FOURからの先行
シングル。シングル・カットのタイトル・トラック曲に、アルバム
収録曲からBreak Free、Foreverとアルバム未収録の
For The Lonelyの4曲と言う構成になっている。
シングル・カット曲のHeart On The Runは、彼等らしい情感豊かな
楽曲に、叙情的なスカイ・ギターのメロディがマッチした
素晴らしい出来で、これだけで新作を期待出来るだけの秀逸な
楽曲だ。Break Freeは特にどうと言うことはないバラードで、
バンドとしてはやや特異な感じのする曲だが、むしろアルバム
未収録となったFor The Lonelyの方が、情感が良く出ていて
訴えかけて来るものがある。Foreverは扇情的で
めりはりがあって、Heart On The Runに劣らぬ素晴らしい出来だ。
アルバム収録曲も、全てアルバムとはバージョン違いなので、
ファンなら聴いてみても良いだろう。[93]
4 / FAIR WARNING
ドイツのハード・ロック・バンドの3年振りとなる4thアルバム。
正しく彼等らしい叙情的なヘヴィ・メタルと言えるが、その
完成度はこれまでのどの作品より高いと言って良い。とにかく
楽曲の出来が良く、特にHeart On The Run等は名曲と言って
良いだけの楽曲だし、その他にもずらりと素晴らしい楽曲が
並んでいる。HELGE ENGELKEのスカイ・ギターは非常に効果的で
美しく、TOMMY HEARTの透ったボーカルが良く映えている。作り
過ぎと言う感が強かったRAINMAKERに比べると、エッヂがあって
より自然に感じられる作品に仕上がっている。名盤と呼べるだけの
アルバムで、メロディアスなハード・ロックが好きならば決して
外す事はないだろう。[95]
STILL I BELIEVE / FAIR WARNING
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの来日記念盤のミニ・アルバム。
タイトル・トラックは、日本盤のボーナス・トラックだった曲で、
どうと言う事のないものだ。アルバム未収録の音源としては、
I Fight、Through The Fire、Tell Me I'm Wrong、Eyes Of Loveの
ディファレント・バージョンと未発表曲のClose Your Eyesの
全6曲と言う構成になっている。ディファレント・バージョンは、
アルバムでHelge Engelkeがソロを弾いていた曲は
ANDY MALECEKが、ANDY MALECEKがソロを弾いていた曲は
Helge Engelkeがそれぞれ入れ替わって弾いている。未発表の
Close Your Eyesはテンポの良いのりのある楽曲だが、彼等の
曲としては特別どうと言う事のないものだ。[82]
DISCONNECTED / FATES WARNING
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの3年振りとなる
9thアルバム。前作、A PLEASANT SHADE OF GRAYではアルバムを
通しての組曲と言う、凝った事が却って災いとなった様な、
めりはりの欠ける作品であったが、今作では元の彼等らしい作品に
戻っている。元々かなり流麗なところを見せるバンドだったが、
楽曲にフックをつけるためか、かなりビート感を押し出した作品
作りがなされている。そう言った音作りは賛否の
分れるところだろうが、シンフォニックな部分を求めるファンには
少し期待と違うところかも知れない。メンバーの
補充はされておらず、今作でも元ARMARD SAINTのJOEY VERAと
元DREAM THEATERのKEVIN MOOREによるゲスト参加でしのいでいる。
[83]
LAST CUP OF SORROW / FAITH NO MORE
アメリカのミクスチャー・ロック・バンドの1997年に
リリースされたミニ・アルバム。来日記念盤のアルバム未収録の
ミックス違いの音源を集めたものだ。タイトル・トラックの
シングル・バージョン、アメリカのロック・バンド、
BONEHADEによるミックス、プロデューサー、ROLI MOSSIMANNによる
ミックス、Pristinaの共同プロデューサー、BILLY GOULDによる
ミックス違い、Ashes To AshesのDILLINJAによるミックス違い、
She Loves Me NotのSPINNAによる2種類のミックスの全7曲と言う
構成になっている。Pristina等、割とダブ風に
ミックスしているものも多く、普段の彼等とはかなりイメージの
異なる仕上がりで、中々ユニークな作品集だ。[80]
FALCONER / FALCONER
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。解散した
ヴァイキング・メタル・バンド、MITHOTYNのギタリスト、
STEFAN WEINERHALLとドラマー、BARSTEN LAUSSONが中心となって
結成されたバンドだ。方向的には哀愁のメロディを前面に押し
出した、如何にも北欧メタルらしい作品で、より疾走感を強く押し
出している。MATHIAS BLADのボーカルは、元CONCEPTIONの
ボーカリスト、ROY KHANを思わせる様なクールな声質で中々
良い。MITHOTYNでやっていたヴァイキングらしい勇壮さは
A Quest For The Crown等でも見られるが、そう言った
MITHOTYNらしさを残しながらもUpon The Grave Of Guiltの様な、
MITHOTYNからの脱却も試みられている楽曲もある。[85]
THE SOUND OF RAZORS THROUGH FLESH / FAILED HUMANITY
イギリスのデス・メタル・バンドのデビュー盤。ボーカリストの
ADAM CATCHPOLE、ドラマーのZAC O'NEILがEXTREME NOISE TERRORの
メンバーである事からも判る通り、その音楽的方向性はいわゆる
グラインド・コア系のデス・メタルだ。ブラスト・ビートを
駆使し、強烈なアグレッションとブルータルな香りを撒き散らす、
破壊力溢れるアルバムに仕上がっている。ややテクニカル・デス
的なエッセンスも感じられ、MORBID ANGEL等に
通じるところもある。流石にこれだけのものをやるだけあって、
演奏的にもレベルは高いし、この手のものとしては完成度の高い
作品だ。[81]
A DECADE OF FAIR WARNING / FAIR WARNING
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのベスト盤。叙情派の
メロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドとして1990年代に最も
重要な位置を占めたバンドだが、内部分裂して今や開店休業
状態になっている。このベストでは、ビジネス上の問題から初期の
2枚からはわずか4曲しか収録されておらず、ややバランスの悪い
ベストとなってしまっているが、元々秀逸な楽曲を数多く
排出してるだけに、全体的なレベルの高さは疑い様もない。FOURに
収められていたFind My Way、For The YoungとStill I Believeの
シングルのカップリング曲だったClose Your Eyesのバージョン
違いが収められたボーナスCDとの2枚組みになっている。[85]
CHAPTERS FROM A VALE FORLORN / FALCONER
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。
バイキング・メタルの雄、MITHOTYNの元ギタリスト、
STEFAN WEINERHALL、ドラマーのKARSTEN LARSSON等による
バンドだ。MITHOTYNのクリエィテヴ面を担っていた
STEFAN WEINERHALLが曲を書いているだけあって、MITHOTYNの様な
叙情的で勇壮なヘヴィ・メタルをやっている。MITHOTYNとの大きな
違いはクリア・ボイスかどうかと言うだけと言っても良いが、
プロダクション面で格段の進歩が見られる。MATHIAS BLADの
ボーカルは、非常に透ったボーカルで、ミドル・テンポの歌を
淡々と歌っている感じで、正統派に転向してもバンドの
ユニークさは変わらない。[82]
OF WARS IN OSYRHIA / FAIRYLAND
フランスのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。実際は
プロジェクトで、ボーカリストにはDARK MOORの
ELISA C.MARTINで、その事実からも想像が付く通り、いわゆる
シンフォニック・メタルと言えるもので、ツー・バスを
駆使し、大仰でドラマティックな臭いヘヴィ・メタルを
聴かせてくれている。バックにオペラティックなコーラスを
被せ、分厚いサウンドを構成しており、アイデアとしては中々
良いと思えるのだが、楽曲自体の魅力は今一つ感じられない。
特にこれだけ分厚いサウンドにすると、ELISA C.MARTINの
ボーカルではパワー負けしている様に感じられる。[78]