WAR OF WORDS / FIGHT
イギリスのヘヴィ・メタル・バンド、JUDAS PRIESTの元
ボーカリスト、メタル・ゴッド、ROB HALFORD率いる新バンドの
1993年にリリースされたデビュー盤。音楽的な方向性としては、
モダン・ヘヴィネスとして語られることが多いし、実際そう言う
部分は多々感じられる。しかし、その中にも重厚なヘヴィ・メタル
的なエッセンスを残しており、JUDAS PRIESTのファンもそれなりに
楽しめる部分はあるだろう。しかしそれにしても、Kill Itの様な
インダストリアル・ロック的な、先進的な楽曲まで入れられると
幾分辛いところがあるかも知れない。[81]
MUTATIONS / FIGHT
イギリスのヘヴィ・メタル・バンド、JUDAS PRIESTの
元ボーカリスト、ROB HALFORD率いるバンドの1994年に
リリースされた企画盤。ライヴが4曲と既発音源のミックスものが
5曲と言う構成になっている。ライヴで注目すべきは、
JUDAS PRIESTのFreewheel Burningが演奏されている事だろう。
ややヘヴィネスっぽいものの、割とオリジナルに近い
アレンジにしているが、バックの違いがはっきりと感じられ、特に
ギターがBRIAN TILSE一人しか居ない為に、音の厚さが
感じられない。ミックスの方は、かなり思い切って手が
加えられており、最早インダストリアル・ロックと言って
良いもので、企画としては面白いが、単純に
楽しめるものではない。[79]
FIREHOUSE / FIREHOUSE
アメリカのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた
デビュー盤。今では珍しいと言って良い程ストレートで
メロディアスなアメリカン・ハード・ロックだ。全体的に愁いを
帯びていて、All She Wrote等は中々の佳曲に仕上がっている。
甘ったるい程キャッチーなメロディは、人によっては拒否反応を
起こすかも知れないが、メロディ・センスは秀逸だと言って
良いだろう。C.J.SNAREのちょっとワイルドな感じがする、透った
ハイ・トーン・ボーカルが楽曲に良く合っている。アレンジ、
プロダクションと言った部分でも、全体的に良く出来ていて、新人
離れした内容だ。[83]
HOLD YOUR FIRE / FIREHOUSE
アメリカのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた
2ndアルバム。方向的には前作の延長線上と言えるもので、
甘ったるいキャッチーなメロディの
アメリカン・ハード・ロックだ。愁いを帯びた扇情的な
メロディは、相変わらず彼等のセンスの良さを窺わせてくれる。
Reach For The Skyを始め、佳曲がずらりと並んでおり、安心して
聴いていられるアルバムに仕上がっている。前作のファンならば、
安心して聴けるだけのクオリティの高い作品に仕上がっている。
C.J.SNAREのボーカルは相変わらず楽曲同様甘く透った
ボーカルをしていて、楽曲に良く合っている。[85]
THE REALITY OF MY SURROUNDINGS / FISHBONE
アメリカのファンク・ロック・バンドの1991年にリリースされた
3年振りの4thアルバム。ホーンセクションを大胆に取り入れた、
ブラック・コンテンポラリー・テイストの感じられるファンキーな
ロック・アルバムだ。割とハードなサウンドだが、
ハード・ロックと言う感じはなく、あくまでもブラック・ロックと
言った方が良いだろう。ミクスチャー的な色合いがあって、その
他にもソウルフルであったり、パンキッシュであったりもする。
陽気で楽しい感じが良く伝わって来る作品で、非常にのりの良い
アルバムに仕上がっている。[81]
TURN THE HELL ON / FIST
N.W.O.B.H.M.バンドの1980年にリリースされた1stアルバム。
方向的には如何にもN.W.O.B.H.M.らしい、物悲しさを漂わせた
ロックンロール調のヘヴィ・メタルだ。オーソドックス過ぎると
言っても良い位、N.W.O.B.H.M.を象徴した様なサウンドは、
N.W.O.B.H.M.のファンには訴えるものがあるだろう。
KEITH SATCHDIELDのボーカルは、N.W.O.B.H.M.の
ボーカリストとしてはかなりましな方で、パワフルなボーカルを
聴かせながらも、Collision Courseの様なしんみりとした
バラードも味わい深く歌い上げている。目新しさは
見当たらないが、楽曲の出来も中々良いし、この手としては
プロダクションもましな方なので、聴いていて白ける事はない。
[87]
BACK WITH A VENGEANCE / FIST
N.W.O.B.H.M.バンドの1981年にリリースされた最後となる
2ndアルバム。MCAから古巣のNEAT RECORDSに復帰しての作品で、
前作ではよりN.W.O.B.H.M.らしい愁いを湛えた作品だったが、
今作ではロックンロール的な要素を強く押し出している。
Turn The Hell OnやS.S.Giroを始め、ハードでドライヴ感のある
楽曲が並び、その一方でLost And Foundの様な泣きのバラードも
含まれているものの、ブリティッシュらしい愁いは減退している。
クリエイティヴ面で大きな支柱をになっていた、リーダーの
KEITH SATCHDIELDがバンドから抜けてしまっている事が大きく
影響している事を感じさせる。新しく加わったGlenn Coatesの
ボーカルはKEITH SATCHDIELDをより透った声質にした感じで、
それ程ボーカルが変った違和感は感じられない。[84]
YANG / FISH
イギリスのポンプ・ロック・バンド、MARILLIONの
元ボーカリストのベスト盤。今回2枚同時にベスト盤が
リリースされたが、こちらはシングルを中心にした
内容となっている。彼のバスト盤とは言っても、MARILLION
時代から、ソロまで全時代的に渡った楽曲が収録されており、
殆どが今回再録音されたものだ。表題が示すように明るめの楽曲が
多いが、もたっとしていてあまり美しさを感じられない作品だ。
これと言う楽曲もないので、同時にリリースされたもう一枚の
YINに比べると、凡庸な感じのする内容に終わってしまっている。
ポンプ・ロックといっても、今のMARILLIONを期待すると
外すだろう。[76]
YIN / FISH
イギリスのポンプ・ロック・バンド、MARILLIONの
元ボーカリストによるベスト・アルバム。2枚同時に
リリースされたもののうちの1枚で、もう1枚がシングルからの
選曲であるのに対して、こちらはアルバムからの
選曲となっている。YANGに比べるとタイトルが示す通り、陰りを
持ったメロディの曲が中心となっており、叙情的ではあるものの、
あまり扇情感はない。メロディ・センスの良さを伺わせ、出来
自体は悪くないのだが、彼が抜けた後のMARILLIONのように感情を
揺り動かされる様なものは残念ながら感じられない。[81]
A SMALL DEADLY SPACE / FIGHT
元JUDAS PRIESTのボーカリスト、ROB HALFORDのバンドの2nd
アルバム。ROB自身の歌声はもともとあまり
好きではなかったので、こういう方向性を目指すことにも特に
感慨はないのだが、世間ではやはりJUDAS PRIEST的なサウンドを
求められるだろう。彼が長い間JUDASの
ボーカリストであったのだし、そういうイメージを持たれても
しかたないのだが、そういう意味ではFIGHTは良くとれば
イメージの打破ともとれる。だが、インダストリアル的な
サウンドにはどうも違和感を感じる。出来自体はそんなに
悪いアルバムだとは思わないのだが。[80]
3 / FIREHOUSE
アメリカのハード・ロック・バンドの3年振りの3rdアルバム。
ポップ・センス溢れる典型的なアメリカン・ハード・ロックで、
甘く高く伸びるC.J.SNAREの声質はバンドの方向性に非常に良く
合っている。楽曲もそれに合った甘い温かい曲で良い出来だが、
これまでと比べると、哀愁味のある曲はなくなり、少しねちっこい
感じがしつこいように思える。全曲とも平均以上の出来だが
バラードを抜けば飛抜けた曲は無いので少し盛り上がりに
欠けるのが残念だ。Two Sidesのようなアップ・テンポの曲が
もっとあった方がバランス的に良かっただろう。[83]
LABYRINTH / FIREHOUSE
アメリカに同名のバンドがいるが、それとは全く別ものの
イタリアの正当派ヘヴィ・メタル・バンドで、これがおそらく
デビュー盤。イタリアのヘヴィ・メタル・バンドにしては、
ENZO CARUSOのボーカルはまだそれなりに聴けるが、決して
上手いと言えるレベルのものではない。録音状態が悪いのは
いかんともし難いが、扇情的で、どことなく爽やかさを
持っている、憂いを帯びたメロディはなかなか良い出来だ。泣きを
持った古臭いB級メタルと言ったところで、マイナーなL.A.メタル
辺りのB級ファンには来るものがあると思う。[83]
CHRISTMAS WITH YOU / FIREHOUSE
結局クリスマスには間に合わなかったが、アメリカの
ハード・ロック・バンドのクリスマス用の企画シングル盤。
タイトル・トラックのシングル曲で自作のクリスマス・ソング、
Christmas With Youに最新アルバム、3に収められている
Here For You、Reach For The Skyのライヴ・バージョンの計3曲と
言う構成になっている。Christmas With Youはハートフルな
アコースティック・ナンバーで、特に取り立てて
騒ぐほどのものでもないが、出来は悪くない。ライヴの
Reach For The Skyはドラムの音が薄っぺらい感じがするがそれを
除けば良い出来だ。[80]
BANG THE DRUM / FIGHTER
アメリカのハード・ロック・バンドで1992年にリリースされた
2ndアルバム。ボーカルは男女のツイン・ボーカルだが
コーラスではなくて、それぞれが曲によってリード・ボーカルを
取るという形態だ。AMY WOLTERは通った伸びやかな声に対して
SEAN MURPHYはワイルドでややJON BON JOVIに似通っている。故に
Where Can Liove Me FoundなどはBON JOVIがやっても
おかしくないような楽曲だが、全体的にはAORっぽい軽目の明るい
ハード・ロックという感じで良く出来てはいる。洗練された
ハード・ロックと言う感じで悪くないが、その一方で逆に
飛抜けたものも感じられない。[80]
GOOD ACOUSTICS / FIREHOUSE
アメリカのメロディアス・ハード・ロック・バンドの
アコースティック・アルバム。既発曲の
アコースティック・バージョンが7曲、新曲が3曲、カバーが1曲と
言う構成になっている。叙情的なメロディを作り出すセンスは
流石で、アコースティックで聴くと尚更際立っている。珠玉と
言える楽曲をアコースティックでプレイしたところで、その魅力は
何等減じるところはない。渇いた甘いポップ・センス溢れる
サウンドが好きなら買って損はないだろう。この手の
アコースティック・アルバムとしては非常に良く出来ていて、
じっくり落ち着いて聴ける作品だ。[87]
LOUD, LOUD, LOUD / FIST
N.W.O.B.H.M.に同名のバンドがいるが、こちらはカナダの
ベテラン・ハード・ロック・バンドでこれは1995年に
リリースされたアルバム。ラフでワイルドなロックンロールを
基調とするミドル・テンポ中心のヘヴィ・メタルで、音質と
言いいかにもB級臭さが漂っている。どことなく哀愁を漂わせる
ヘヴィな音作りの作品となっている。BIFF BYFORDを骨太で
だみ声にしたようなRAN CHENIERのボーカルが、尚一層そういった
感を強くさせている。だが、ドライヴ感、破天荒さはある程度
出ており、これはこれで面白いと思える中々味のある
作品になっている。[83]
TODAY TILL TOMORROW / FIORE
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。HAREM SCAREMの
HARRY HESSとPETE LESPERANCEの二人がプロデュースと作曲で
参加しているだけあって、その音楽的方向性にも近いものが
感じられる。明るめの楽曲は今一つだが、爽やかではあるものの、
哀愁味たっぷりの叙情的なメロディは、さすがHAREM SCAREMと言う
位、良く出来ている。特に後半ではアコースティック・パートも
増え実に味わい深い内容に仕上がっている。キャッチーな
メロディと言う感じの部分よりも、心に染み入るという感じの
部分の方がじっくり聴かせてくれていて味わい深い。[84]
TOO HOT FOR LOVE/RHYTHM OF LIFE / FISC/JIMMY MARTIN
詳細は全く判らないが、恐らくフランス辺りの
ヘヴィ・メタル・バンド、FISCの1987年にリリースされた
アルバム、TOO HOT FOR LOVEと、バンドのボーカリスト、
JIMMY MARTINのシングルなどの音源をカップリングしたものの
様だ。叙情的で憂いを帯びた流麗なヘヴィ・メタルだが、ギターが
結構生々しくて扇情感がある。コーラスもかなり厚く、
聴きごたえのある作品に仕上がっており、ややB級臭さも
感じなくはないが、この頃のメロディアスな
ヘヴィ・メタルとしてはまずまず良く出来ていると言って
良いだろう。ソロの音源の方は、よりハード・ポップ色が
強まっており、キーボードがかなり多用されていて、やや
フックさは欠けるが、楽曲の出来としては悪くない。[83]
CATEGORY 5 / FIREHOUSE
アメリカのハード・ロック・バンドの5thアルバム。方向的には
企画盤に近かった、前作のGOOD ACOUSTICSの延長線上とも
言えるべき作品で、アコースティック色が強いアルバムに
仕上がっている。そのため、どちらかと言うとミドル・テンポ
中心の作品になっており、彼等のメロディ・センスの良さは
相変わらずだが、初期の勢いのあるメロディアス・ハードと言う
部分は今作でも見えない。出来的には決して悪い作品とは
思わないが、その一方でやや盛り上がり欠けると言う感が
いがめない。初期のファンからすると、ドラマティックさに欠け、
やや地味な作品に感じるのではないだろうか。[80]
WHERE YOU GONNA RUN / FIREFLY
アメリカのハード・ポップ・バンドのデビュー盤。叙情的な
メロディの洗練されたハード・ポップで、どことなく落ち着いた
雰囲気のさせる作品だ。適度にポップで適度にハードだが、
こなれ過ぎた感じのする楽曲は、何か今一つ面白味に欠ける。
メロディ・センスも悪くないし、楽曲、プロダクション、演奏と
言った色々な面で、出来は決して悪くないのだが、何か
物足りなさを感じる。Money等、エッヂの効いた
楽曲であるべきであるのに、そういう感じはあまり受けず、盛り
上がりに欠けるのが残念だ。中途半端に産業ロック的で、この
バンドが本来持つ魅力を出し切れていないように感じられる。[79]
ALL I FEEL / FIORE
カナダのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。プロデュースは
前作に引き続き、HAREM SCAREMのHARRY HESSが行っており、楽曲も
HARRY HESSとPETE LESPERANCEがほとんどの曲作りに
関わっているとあって、まさしくHAREM SCAREMの世界が
展開されている。JON FIOREのボーカルもややかすれ過ぎている
様には思えるが、声色が似ているので、ほとんどクローン状態の
様に感じられる。楽曲の出来も、HAREM SCAREMに大きく
劣るわけではないし、HAREM SCAREMのファンならば聴いて外す
事はないだろう。その一方で、オリジナリティと言うものは当然
感じられないのだが。[81]
FIFTH ANGEL / FIFTH ANGEL
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた
デビュー盤。その後、ソロやATALNTIS RISINGで今も活躍する
ギタリストのJAMES BYRD率いるバンドで、レーベルがSHRAPNELと
言う風に書くと単なるギター・アルバムの様に思われるかも
知れないが、どちらかと言うと正統派のメロディアスな
ヘヴィ・メタル・バンドだ。叙情的なメロディのヘヴィ・メタルで
楽曲の出来は素晴らしいし、フックもあって演奏も十分良い
出来だ。特にSHRAPNELと契約するだけあって、JAMES BYRDの
ギターも素晴らしい。どちらかと言うとヨーロッパのバンド的な
香りのする作品で、Fifth Angel等愁いを含んでおり、むしろ
アメリカでは珍しい系統と言っても良いだろう。[87]
TIME WILL TELL / FIFTH ANGEL
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた
2ndアルバム。バンドのリーダーとも言えるJAMES BYRD、その後
HOUSE OF LORDS、BAD MOON RISINGで活躍するKEN MARYが
脱退すると言う危機的な状況を迎える中で製作されている。
しかし、その中でももう一人のギタリスト、ED ARCHERの
ソング・ライティングは冴え渡り、叙情的で非常に美しい
メロディの正統派ヘヴィ・メタル・アルバムに仕上がっている。
哀愁に満ちた素晴らしい楽曲がずらりと並んでおり、この作品を
持ってバンドが解散してしまったのは非常に惜しい事だ。UFOの
カバー、Lights Outもうまく調理していて、見事に
マッチしており、叙情派メロディアス・ヘヴィ・メタルの
ファンには堪えられない作品に仕上がっている。[90]
RAINGODS WITH ZIPPOS / FISH
イギリスのポンプ・ロック・バンド、MARILLIONの
元ボーカリストによる6thアルバム。これまでよりも、より
ポンプ・ロック的な方向に立ち返っているが、決してポップな
部分もなくなってはいない。素朴で、静寂感を持った
プログレッシヴ・ロックで、MARILLIONのファンにはより受け
入れられ易いアルバムだと言って良いだろう。MARILLIONの
中心人物であっただけあって、楽曲のセンスも良いし、安心して
聴いていられる作品だ。トータル的に聴くならばともかく、
ここぞと言うところがどうしてもないし、メタル系のリスナーには
静かすぎるかも知れないが。[81]
BRING 'EM OUT / FIREHOUSE
アメリカのハード・ロック・バンドのライヴ盤。1999年に行われた
日本ツアーにおける、大阪公演の模様を収めたものだ。
C.J.SNAREの伸びやかで美しいボーカルは、スタジオ盤でも十分
知らしめていたが、ライヴでもその実力を遺憾無く
発揮しているところを見せてくれている。Overnight Sensationや
All She Wroteはもっと最後に持ってきても良かった様な
気もするが、元々楽曲の良いバンドだけにそれ程中だるみすると
言った風には感じない。その割には意外と淡々とした感じで、
ライヴとしての熱さがもう少し伝わって来るともっと良かったと
思えるのだが。[80]
FIREBIRD / FIREBIRD
イギリスのハード・ロック・バンドのデビュー盤。このバンドの
中心人物は、メロディック・デス・メタル・バンド、CARCASSの元
ギタリスト、BILL STEERで、CARCASS脱退以来の復帰作だ。
方向的には、元々同僚だったのMICHAEL AMOTTのバンド、
SPIRITUAL BEGGARSよりも純然とブルージィなハード・ロックだ。
SPIRITUAL BEGGARSの様な、デフォルメされた部分はあまりなく、
より素朴で本格的な1970年代風のサウンドだ。BILL STEER自身が
ギターとボーカルを兼任している他、ベースにはCATHEDRALの
LEO SMEE、ドラムはSPIRITUAL BEGGARSのJOHANNES Wと言う
構成になっている。BILL STEERのボーカルには、今一つパンチが
足りないような気もするが、バンドのカラーには合っているし、
楽曲の出来自体も渋いが中々良い出来だ。[86]
BREAK OUT / FISC
フランスのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた
アルバム。N.W.O.B.H.M.期、フランスに登場した数多くのバンドの
一つで、その方向性は当然N.W.O.B.H.M.に影響を受けたものだ。
アップ・テンポのロックンロール調の楽曲からなっており、
楽曲によっては結構哀愁味を帯びている。TOO HOT FOR LOVEより
B級臭さは強いし、流麗と言う感じも劣るのだが、厚いコーラス
等は健在だし、フランスのこの手のアルバムとしては決して出来は
悪くない。とは言え、N.W.O.B.H.M.のバンドと比べても決して良く
出来ているとは言えないだけに、一部のマニア向けと言った
感じである事はいがめない。[78]
O2 / FIREHOUSE
アメリカのハード・ロック・バンドの6thアルバム。方向的には
これまでの延長線上と言えるものだが、The Darkはラップを入れて
来たりしていて、部分によってはFAITH NO MOREっぽさがあって、
これまでとはやや趣が違ったりもする。全体的に明るい
楽曲ばかりで、これまで聴かれた愁いのある哀愁の
ナンバーがないのが残念だ。爽快でリラックスした楽曲が取り
揃っており、彼等らしいキャッチーでポップなメロディは随所に
出て来るので、彼等のファンならばそれ程大きく外す
事はないだろうと思うが、諸手を挙げてと言うには弱い気がする。
[80]
AFTER THE FIRE / FIREFLY
アメリカのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。前作では
産業ロック的なハード・ポップと言う感じがあり、今作でもそう
言うエッセンスは引き継がれているのだが、よりハードで硬質な
作品に仕上がっており、聴き応えのあるアルバムに
仕上がっている。フックが足りなかった前作の反省もあってか、
そう言う部分はかなり改善されていると言って良いだろう。
JOE ELIOTをハスキーにした様なボーカルとそう言うサウンドの
変質もあって、ややDEF LEPPARDっぽさも感じなくはないが、
もっと叙情的でワイルドなアメリカン・ハード・ロック
然としている。[82]
PROGRESSIVE HARDROCK BEYOND THE MAINSTREAM / FIVE FIFTEEN
フィンランドのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた
恐らくデビュー盤。今でこそ北欧メタル・シーンもかなり
多様になってきたが、北欧のバンドの中ではフィンランドは
HANOI ROCKSを筆頭に特に異質な存在だったと言って良いだろう。
このバンドもまさにそう言ったバンドの一つと言えるもので、
同郷のプログレッシヴ・ロック・バンド、KINGSTON WALL的な
PATE KIVINENのハモンド・オルガンを中心としたメロディに、
アメリカ的なキャッチーさやサイケデリックさを持ち
合わせていると言う、中々ユニークなサウンドを作り上げている。
やや古めかしい感じのするプロダクションで、不思議な
浮遊感があって面白い作品だ。[81]
DELUXE / FIREBIRD
イギリスのデス・メタル・バンド、CARCASSの元ギタリスト、
BILL STEERによるハード・ロック・バンドの2ndアルバム。
CATHEDRALのベーシスト、LEO SMEE、SPIRITUAL BEGGARSの
ドラマー、LUDWIG WITTと言うラインナップはそのままだ。
相変わらず透ってはいるがやや線の細さを感じさせるBILL STEERの
ボーカルにはやや不満を感じるが、元々専門家ではないだけに致し
方ないところだろう。前作よりグルーヴ感を増し、
エモーショナルな作品に仕上がっているだけに、聴き応えがあって
格段に良くなっていると言って良いだろう。演奏、楽曲とも
中々のもので、シンプルでブルージィなハード・ロックには好感が
持てる。[87]
JAKTENS TID / FINNTROL
フィンランドのブラック・メタル・バンドの2年振りとなる
2ndアルバム。方向的には民族音楽的な色合いの強い
ブラック・メタルと言って良いだろう。フォーク的なメロディに
ヘヴィ・メタル的なサウンドを乗せているのだが、TROLLHORNの
アコーディオン的なキーボードの音色が独特の味わいを
出している。このキーボードがポルカ・メタルと称される、スラブ
的なフォーク色を非常に濃いものとしており、実に面白い作品に
仕上がっている。この民謡調のダークさが、ブラック・メタルと
言う本質に上手くマッチしていて、アイデアを上手く
生かしていると思う。KATLAのブラック・メタル・ボイスも余り
きついものではなく、適度に歪んでいて邪悪さを醸し出している。
[85]
FELLINI DAYS / FISH
元MARILLIONのイギリス人ボーカリストによる2年振りの
7thソロ・アルバム。映画監督の故FEDERICO FELLINIの肉声を取り
入れ、彼に捧げられた作品だ。より叙情的でシンフォニックな
方向に進んで行ったMARILLIONに対して、同じくシンフォニックな
作品ながらも、ここではもっと厚みのある音作りがなされており、
よりプログレッシヴ・ロック的なエッセンスの強い作品に
仕上がっていると言って良いだろう。ジャケットにも
現れているが、FEDERICO FELLINI監督にインスパイアされ、映像を
コンセプトに作られているのだが、これが中々面白い
マッチングになっていて、中々良いアルバムだ。[84]
SIX DIMENSIONS OF THE ELECTRIC CAMEMBERT / FIVE FIFTEEN
フィンランドのハード・ロック・バンドの4thアルバム。
HAWKWINDのInnocence Is No Excuseをカバーしている事からも
判る様に、KINGSTON WALL的なスペイシーさを感じさせる
1970年代的なハード・ロックをやっている。ライヴが追加
収録されているが、Springtime Of Your LifeではHAWKWINDの
サックス奏者だったNIK TURNERがゲスト参加している。そう言った
スペイシーなサウンドにアメリカ的なキャッチーさと
サイケデリックさを持ち込んだ、ユニークな音楽性を
見せていたが、この作品では更にブリティッシュ・ロック的な
エッセンスを強めている。隠しトラックとしてLED ZEPPELINの
Kashmirをカバーしている辺りにもそう言ったところが
感じられる。[82]
WHERE DO WE GO FROM HERE / FILTER
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドの
プロモーション・シングル。リリース予定の最新アルバム、
THE AMALGAMUTからカットされたタイトル・トラックの
エディット・バージョンとアルバム・バージョンの全2曲と言う
構成になっている。メジャーとしての成功も収めているし、楽曲の
出来は流石と思わせるものがある。やや憂いを帯びた、叙情的な
メロディのオルタナティヴ・ロックで、情感が良く出ていて
素晴らしい楽曲だ。これだけの楽曲が入っているならば、
THE AMALGAMUTの内容にも十分期待出来ると言って良いだろう。
[83]
BETWEEN HEAVEN AND HELL / FIREWIND
ギリシャのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。
MYSTIC PROPHECY、DREAM EVILのギタリスト、GUS G.を中心とした
バンドで、ボーカリストには元KENZINERのSTEPHEN FRESRICHが
参加している。GUS G.のギター・プレイ自体は
YNGWIE J.MALMSTEENの影響を感じさせるスタイルだが、音楽的には
正統派のメロディアス・ヘヴィ・メタルで、ネオ・クラシカル的な
色合いは感じられない。MYSTIC PROPHECY自体はクリエイティヴ
面で関わっていなかった事もあって、余り共通点は感じられない。
STEPHEN FRESRICHのボーカル自体は非常にパワフルで、力み過ぎと
言う感じにもさせられるが、上手い事は確かだ。[85]
THE AMALGAMUT / FILTER
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3年振りの3rdアルバム。
元NINE INCH NAILSのギタリスト兼ボーカリスト兼プログラマーの
RICHARD PATRICKを中心としたバンドだ。ボーカル・ラインは
あくまでキャッチーなメロディで、そこに如何にも今風のモダンで
ヘヴィなサウンドが乗って来る。音楽的にはこれまでの延長線上と
言えるものだが、単純にヘヴィ・ロックやラウド・ロックに
走らずに、ポップ・ロックとしての形を残しながら、こう言った
サウンドを取り入れて行く辺りのアイデアは相変わらず面白い。
不快感を感じさせる様な機械音やノイズがあったり、
Where Do We Go From Hereではオルタナティヴ・ロックっぽい甘い
メロディがあったりと幅の広さも感じさせる作品だ。[84]
THE FIRST WAVE / FINAL FRONTIER
カナダのメロディアス・ハード・ロック・バンドのアルバム。
VON GROOVEのギタリスト、MLADEN HAZEとMORATTIのボーカリスト、
ROB MORATTIによるプロジェクトだ。基本的にはオーソドックスな
アメリカン・プログレッシヴ・ハード・ロックと言った感じの
作品で、その音楽性はVON GROOVEやMORATTIとはまた少し
違ったものとなっている。1970年代におけるJOURNEY的な色合いが
濃く、楽曲によってはよりポップでFIREHOUSEっぽさを感じさせる
部分もあったりする。オリジナリティや目新しさは全くないが、
メロディ・センスの良さが出ていて、安心して聴いていられる
アルバムである事は間違いない。[81]
NO.3 / FIREBIRD
イギリスのハード・ロック・バンドの3rdアルバム。
元NAPALM DEATH、CARCASSのギタリスト、BILL STEERを中心とする
バンドで、今作よりSPIRITUAL BEGGARS、THE QUILLのベーシスト、
ROGER NILSSONとTHE QUILLのドラマー、GEORGE "JOLLE" ATLAGICが
加わっている。音楽的にはブルーズ色を強く押し出した、
1970年代のハード・ロックだったこれまでの延長線上と
言えるものだ。派手さはないが、骨太なブルーズ・ロックは、実に
渋くて味わい深い。SPIRITUAL BEGGARS等のヘヴィ・ロックとは
また違った、1970年代のロックをリスペクトした世界が
ここにある。[84]