イギリスのヘヴィ・メタル・バンド、JUDAS PRIESTの元 ボーカリスト、メタル・ゴッド、ROB HALFORD率いる新バンドの 1993年にリリースされたデビュー盤。音楽的な方向性としては、 モダン・ヘヴィネスとして語られることが多いし、実際そう言う 部分は多々感じられる。しかし、その中にも重厚なヘヴィ・メタル 的なエッセンスを残しており、JUDAS PRIESTのファンもそれなりに 楽しめる部分はあるだろう。しかしそれにしても、Kill Itの様な インダストリアル・ロック的な、先進的な楽曲まで入れられると 幾分辛いところがあるかも知れない。[81]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンド、JUDAS PRIESTの 元ボーカリスト、ROB HALFORD率いるバンドの1994年に リリースされた企画盤。ライヴが4曲と既発音源のミックスものが 5曲と言う構成になっている。ライヴで注目すべきは、 JUDAS PRIESTのFreewheel Burningが演奏されている事だろう。 ややヘヴィネスっぽいものの、割とオリジナルに近い アレンジにしているが、バックの違いがはっきりと感じられ、特に ギターがBRIAN TILSE一人しか居ない為に、音の厚さが 感じられない。ミックスの方は、かなり思い切って手が 加えられており、最早インダストリアル・ロックと言って 良いもので、企画としては面白いが、単純に 楽しめるものではない。[79]
アメリカのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。今では珍しいと言って良い程ストレートで メロディアスなアメリカン・ハード・ロックだ。全体的に愁いを 帯びていて、All She Wrote等は中々の佳曲に仕上がっている。 甘ったるい程キャッチーなメロディは、人によっては拒否反応を 起こすかも知れないが、メロディ・センスは秀逸だと言って 良いだろう。C.J.SNAREのちょっとワイルドな感じがする、透った ハイ・トーン・ボーカルが楽曲に良く合っている。アレンジ、 プロダクションと言った部分でも、全体的に良く出来ていて、新人 離れした内容だ。[83]
アメリカのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には前作の延長線上と言えるもので、 甘ったるいキャッチーなメロディの アメリカン・ハード・ロックだ。愁いを帯びた扇情的な メロディは、相変わらず彼等のセンスの良さを窺わせてくれる。 Reach For The Skyを始め、佳曲がずらりと並んでおり、安心して 聴いていられるアルバムに仕上がっている。前作のファンならば、 安心して聴けるだけのクオリティの高い作品に仕上がっている。 C.J.SNAREのボーカルは相変わらず楽曲同様甘く透った ボーカルをしていて、楽曲に良く合っている。[85]
アメリカのファンク・ロック・バンドの1991年にリリースされた 3年振りの4thアルバム。ホーンセクションを大胆に取り入れた、 ブラック・コンテンポラリー・テイストの感じられるファンキーな ロック・アルバムだ。割とハードなサウンドだが、 ハード・ロックと言う感じはなく、あくまでもブラック・ロックと 言った方が良いだろう。ミクスチャー的な色合いがあって、その 他にもソウルフルであったり、パンキッシュであったりもする。 陽気で楽しい感じが良く伝わって来る作品で、非常にのりの良い アルバムに仕上がっている。[81]
N.W.O.B.H.M.バンドの1980年にリリースされた1stアルバム。 方向的には如何にもN.W.O.B.H.M.らしい、物悲しさを漂わせた ロックンロール調のヘヴィ・メタルだ。オーソドックス過ぎると 言っても良い位、N.W.O.B.H.M.を象徴した様なサウンドは、 N.W.O.B.H.M.のファンには訴えるものがあるだろう。 KEITH SATCHDIELDのボーカルは、N.W.O.B.H.M.の ボーカリストとしてはかなりましな方で、パワフルなボーカルを 聴かせながらも、Collision Courseの様なしんみりとした バラードも味わい深く歌い上げている。目新しさは 見当たらないが、楽曲の出来も中々良いし、この手としては プロダクションもましな方なので、聴いていて白ける事はない。 [87]
N.W.O.B.H.M.バンドの1981年にリリースされた最後となる 2ndアルバム。MCAから古巣のNEAT RECORDSに復帰しての作品で、 前作ではよりN.W.O.B.H.M.らしい愁いを湛えた作品だったが、 今作ではロックンロール的な要素を強く押し出している。 Turn The Hell OnやS.S.Giroを始め、ハードでドライヴ感のある 楽曲が並び、その一方でLost And Foundの様な泣きのバラードも 含まれているものの、ブリティッシュらしい愁いは減退している。 クリエイティヴ面で大きな支柱をになっていた、リーダーの KEITH SATCHDIELDがバンドから抜けてしまっている事が大きく 影響している事を感じさせる。新しく加わったGlenn Coatesの ボーカルはKEITH SATCHDIELDをより透った声質にした感じで、 それ程ボーカルが変った違和感は感じられない。[84]
イギリスのポンプ・ロック・バンド、MARILLIONの 元ボーカリストのベスト盤。今回2枚同時にベスト盤が リリースされたが、こちらはシングルを中心にした 内容となっている。彼のバスト盤とは言っても、MARILLION 時代から、ソロまで全時代的に渡った楽曲が収録されており、 殆どが今回再録音されたものだ。表題が示すように明るめの楽曲が 多いが、もたっとしていてあまり美しさを感じられない作品だ。 これと言う楽曲もないので、同時にリリースされたもう一枚の YINに比べると、凡庸な感じのする内容に終わってしまっている。 ポンプ・ロックといっても、今のMARILLIONを期待すると 外すだろう。[76]
イギリスのポンプ・ロック・バンド、MARILLIONの 元ボーカリストによるベスト・アルバム。2枚同時に リリースされたもののうちの1枚で、もう1枚がシングルからの 選曲であるのに対して、こちらはアルバムからの 選曲となっている。YANGに比べるとタイトルが示す通り、陰りを 持ったメロディの曲が中心となっており、叙情的ではあるものの、 あまり扇情感はない。メロディ・センスの良さを伺わせ、出来 自体は悪くないのだが、彼が抜けた後のMARILLIONのように感情を 揺り動かされる様なものは残念ながら感じられない。[81]
元JUDAS PRIESTのボーカリスト、ROB HALFORDのバンドの2nd アルバム。ROB自身の歌声はもともとあまり 好きではなかったので、こういう方向性を目指すことにも特に 感慨はないのだが、世間ではやはりJUDAS PRIEST的なサウンドを 求められるだろう。彼が長い間JUDASの ボーカリストであったのだし、そういうイメージを持たれても しかたないのだが、そういう意味ではFIGHTは良くとれば イメージの打破ともとれる。だが、インダストリアル的な サウンドにはどうも違和感を感じる。出来自体はそんなに 悪いアルバムだとは思わないのだが。[80]
アメリカのハード・ロック・バンドの3年振りの3rdアルバム。 ポップ・センス溢れる典型的なアメリカン・ハード・ロックで、 甘く高く伸びるC.J.SNAREの声質はバンドの方向性に非常に良く 合っている。楽曲もそれに合った甘い温かい曲で良い出来だが、 これまでと比べると、哀愁味のある曲はなくなり、少しねちっこい 感じがしつこいように思える。全曲とも平均以上の出来だが バラードを抜けば飛抜けた曲は無いので少し盛り上がりに 欠けるのが残念だ。Two Sidesのようなアップ・テンポの曲が もっとあった方がバランス的に良かっただろう。[83]
アメリカに同名のバンドがいるが、それとは全く別ものの イタリアの正当派ヘヴィ・メタル・バンドで、これがおそらく デビュー盤。イタリアのヘヴィ・メタル・バンドにしては、 ENZO CARUSOのボーカルはまだそれなりに聴けるが、決して 上手いと言えるレベルのものではない。録音状態が悪いのは いかんともし難いが、扇情的で、どことなく爽やかさを 持っている、憂いを帯びたメロディはなかなか良い出来だ。泣きを 持った古臭いB級メタルと言ったところで、マイナーなL.A.メタル 辺りのB級ファンには来るものがあると思う。[83]
結局クリスマスには間に合わなかったが、アメリカの ハード・ロック・バンドのクリスマス用の企画シングル盤。 タイトル・トラックのシングル曲で自作のクリスマス・ソング、 Christmas With Youに最新アルバム、3に収められている Here For You、Reach For The Skyのライヴ・バージョンの計3曲と 言う構成になっている。Christmas With Youはハートフルな アコースティック・ナンバーで、特に取り立てて 騒ぐほどのものでもないが、出来は悪くない。ライヴの Reach For The Skyはドラムの音が薄っぺらい感じがするがそれを 除けば良い出来だ。[80]
アメリカのハード・ロック・バンドで1992年にリリースされた 2ndアルバム。ボーカルは男女のツイン・ボーカルだが コーラスではなくて、それぞれが曲によってリード・ボーカルを 取るという形態だ。AMY WOLTERは通った伸びやかな声に対して SEAN MURPHYはワイルドでややJON BON JOVIに似通っている。故に Where Can Liove Me FoundなどはBON JOVIがやっても おかしくないような楽曲だが、全体的にはAORっぽい軽目の明るい ハード・ロックという感じで良く出来てはいる。洗練された ハード・ロックと言う感じで悪くないが、その一方で逆に 飛抜けたものも感じられない。[80]
アメリカのメロディアス・ハード・ロック・バンドの アコースティック・アルバム。既発曲の アコースティック・バージョンが7曲、新曲が3曲、カバーが1曲と 言う構成になっている。叙情的なメロディを作り出すセンスは 流石で、アコースティックで聴くと尚更際立っている。珠玉と 言える楽曲をアコースティックでプレイしたところで、その魅力は 何等減じるところはない。渇いた甘いポップ・センス溢れる サウンドが好きなら買って損はないだろう。この手の アコースティック・アルバムとしては非常に良く出来ていて、 じっくり落ち着いて聴ける作品だ。[87]
N.W.O.B.H.M.に同名のバンドがいるが、こちらはカナダの ベテラン・ハード・ロック・バンドでこれは1995年に リリースされたアルバム。ラフでワイルドなロックンロールを 基調とするミドル・テンポ中心のヘヴィ・メタルで、音質と 言いいかにもB級臭さが漂っている。どことなく哀愁を漂わせる ヘヴィな音作りの作品となっている。BIFF BYFORDを骨太で だみ声にしたようなRAN CHENIERのボーカルが、尚一層そういった 感を強くさせている。だが、ドライヴ感、破天荒さはある程度 出ており、これはこれで面白いと思える中々味のある 作品になっている。[83]
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。HAREM SCAREMの HARRY HESSとPETE LESPERANCEの二人がプロデュースと作曲で 参加しているだけあって、その音楽的方向性にも近いものが 感じられる。明るめの楽曲は今一つだが、爽やかではあるものの、 哀愁味たっぷりの叙情的なメロディは、さすがHAREM SCAREMと言う 位、良く出来ている。特に後半ではアコースティック・パートも 増え実に味わい深い内容に仕上がっている。キャッチーな メロディと言う感じの部分よりも、心に染み入るという感じの 部分の方がじっくり聴かせてくれていて味わい深い。[84]
詳細は全く判らないが、恐らくフランス辺りの ヘヴィ・メタル・バンド、FISCの1987年にリリースされた アルバム、TOO HOT FOR LOVEと、バンドのボーカリスト、 JIMMY MARTINのシングルなどの音源をカップリングしたものの 様だ。叙情的で憂いを帯びた流麗なヘヴィ・メタルだが、ギターが 結構生々しくて扇情感がある。コーラスもかなり厚く、 聴きごたえのある作品に仕上がっており、ややB級臭さも 感じなくはないが、この頃のメロディアスな ヘヴィ・メタルとしてはまずまず良く出来ていると言って 良いだろう。ソロの音源の方は、よりハード・ポップ色が 強まっており、キーボードがかなり多用されていて、やや フックさは欠けるが、楽曲の出来としては悪くない。[83]
アメリカのハード・ロック・バンドの5thアルバム。方向的には 企画盤に近かった、前作のGOOD ACOUSTICSの延長線上とも 言えるべき作品で、アコースティック色が強いアルバムに 仕上がっている。そのため、どちらかと言うとミドル・テンポ 中心の作品になっており、彼等のメロディ・センスの良さは 相変わらずだが、初期の勢いのあるメロディアス・ハードと言う 部分は今作でも見えない。出来的には決して悪い作品とは 思わないが、その一方でやや盛り上がり欠けると言う感が いがめない。初期のファンからすると、ドラマティックさに欠け、 やや地味な作品に感じるのではないだろうか。[80]
アメリカのハード・ポップ・バンドのデビュー盤。叙情的な メロディの洗練されたハード・ポップで、どことなく落ち着いた 雰囲気のさせる作品だ。適度にポップで適度にハードだが、 こなれ過ぎた感じのする楽曲は、何か今一つ面白味に欠ける。 メロディ・センスも悪くないし、楽曲、プロダクション、演奏と 言った色々な面で、出来は決して悪くないのだが、何か 物足りなさを感じる。Money等、エッヂの効いた 楽曲であるべきであるのに、そういう感じはあまり受けず、盛り 上がりに欠けるのが残念だ。中途半端に産業ロック的で、この バンドが本来持つ魅力を出し切れていないように感じられる。[79]
カナダのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。プロデュースは 前作に引き続き、HAREM SCAREMのHARRY HESSが行っており、楽曲も HARRY HESSとPETE LESPERANCEがほとんどの曲作りに 関わっているとあって、まさしくHAREM SCAREMの世界が 展開されている。JON FIOREのボーカルもややかすれ過ぎている 様には思えるが、声色が似ているので、ほとんどクローン状態の 様に感じられる。楽曲の出来も、HAREM SCAREMに大きく 劣るわけではないし、HAREM SCAREMのファンならば聴いて外す 事はないだろう。その一方で、オリジナリティと言うものは当然 感じられないのだが。[81]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた デビュー盤。その後、ソロやATALNTIS RISINGで今も活躍する ギタリストのJAMES BYRD率いるバンドで、レーベルがSHRAPNELと 言う風に書くと単なるギター・アルバムの様に思われるかも 知れないが、どちらかと言うと正統派のメロディアスな ヘヴィ・メタル・バンドだ。叙情的なメロディのヘヴィ・メタルで 楽曲の出来は素晴らしいし、フックもあって演奏も十分良い 出来だ。特にSHRAPNELと契約するだけあって、JAMES BYRDの ギターも素晴らしい。どちらかと言うとヨーロッパのバンド的な 香りのする作品で、Fifth Angel等愁いを含んでおり、むしろ アメリカでは珍しい系統と言っても良いだろう。[87]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 2ndアルバム。バンドのリーダーとも言えるJAMES BYRD、その後 HOUSE OF LORDS、BAD MOON RISINGで活躍するKEN MARYが 脱退すると言う危機的な状況を迎える中で製作されている。 しかし、その中でももう一人のギタリスト、ED ARCHERの ソング・ライティングは冴え渡り、叙情的で非常に美しい メロディの正統派ヘヴィ・メタル・アルバムに仕上がっている。 哀愁に満ちた素晴らしい楽曲がずらりと並んでおり、この作品を 持ってバンドが解散してしまったのは非常に惜しい事だ。UFOの カバー、Lights Outもうまく調理していて、見事に マッチしており、叙情派メロディアス・ヘヴィ・メタルの ファンには堪えられない作品に仕上がっている。[90]
イギリスのポンプ・ロック・バンド、MARILLIONの 元ボーカリストによる6thアルバム。これまでよりも、より ポンプ・ロック的な方向に立ち返っているが、決してポップな 部分もなくなってはいない。素朴で、静寂感を持った プログレッシヴ・ロックで、MARILLIONのファンにはより受け 入れられ易いアルバムだと言って良いだろう。MARILLIONの 中心人物であっただけあって、楽曲のセンスも良いし、安心して 聴いていられる作品だ。トータル的に聴くならばともかく、 ここぞと言うところがどうしてもないし、メタル系のリスナーには 静かすぎるかも知れないが。[81]
アメリカのハード・ロック・バンドのライヴ盤。1999年に行われた 日本ツアーにおける、大阪公演の模様を収めたものだ。 C.J.SNAREの伸びやかで美しいボーカルは、スタジオ盤でも十分 知らしめていたが、ライヴでもその実力を遺憾無く 発揮しているところを見せてくれている。Overnight Sensationや All She Wroteはもっと最後に持ってきても良かった様な 気もするが、元々楽曲の良いバンドだけにそれ程中だるみすると 言った風には感じない。その割には意外と淡々とした感じで、 ライヴとしての熱さがもう少し伝わって来るともっと良かったと 思えるのだが。[80]
イギリスのハード・ロック・バンドのデビュー盤。このバンドの 中心人物は、メロディック・デス・メタル・バンド、CARCASSの元 ギタリスト、BILL STEERで、CARCASS脱退以来の復帰作だ。 方向的には、元々同僚だったのMICHAEL AMOTTのバンド、 SPIRITUAL BEGGARSよりも純然とブルージィなハード・ロックだ。 SPIRITUAL BEGGARSの様な、デフォルメされた部分はあまりなく、 より素朴で本格的な1970年代風のサウンドだ。BILL STEER自身が ギターとボーカルを兼任している他、ベースにはCATHEDRALの LEO SMEE、ドラムはSPIRITUAL BEGGARSのJOHANNES Wと言う 構成になっている。BILL STEERのボーカルには、今一つパンチが 足りないような気もするが、バンドのカラーには合っているし、 楽曲の出来自体も渋いが中々良い出来だ。[86]
フランスのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた アルバム。N.W.O.B.H.M.期、フランスに登場した数多くのバンドの 一つで、その方向性は当然N.W.O.B.H.M.に影響を受けたものだ。 アップ・テンポのロックンロール調の楽曲からなっており、 楽曲によっては結構哀愁味を帯びている。TOO HOT FOR LOVEより B級臭さは強いし、流麗と言う感じも劣るのだが、厚いコーラス 等は健在だし、フランスのこの手のアルバムとしては決して出来は 悪くない。とは言え、N.W.O.B.H.M.のバンドと比べても決して良く 出来ているとは言えないだけに、一部のマニア向けと言った 感じである事はいがめない。[78]
アメリカのハード・ロック・バンドの6thアルバム。方向的には これまでの延長線上と言えるものだが、The Darkはラップを入れて 来たりしていて、部分によってはFAITH NO MOREっぽさがあって、 これまでとはやや趣が違ったりもする。全体的に明るい 楽曲ばかりで、これまで聴かれた愁いのある哀愁の ナンバーがないのが残念だ。爽快でリラックスした楽曲が取り 揃っており、彼等らしいキャッチーでポップなメロディは随所に 出て来るので、彼等のファンならばそれ程大きく外す 事はないだろうと思うが、諸手を挙げてと言うには弱い気がする。 [80]
アメリカのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。前作では 産業ロック的なハード・ポップと言う感じがあり、今作でもそう 言うエッセンスは引き継がれているのだが、よりハードで硬質な 作品に仕上がっており、聴き応えのあるアルバムに 仕上がっている。フックが足りなかった前作の反省もあってか、 そう言う部分はかなり改善されていると言って良いだろう。 JOE ELIOTをハスキーにした様なボーカルとそう言うサウンドの 変質もあって、ややDEF LEPPARDっぽさも感じなくはないが、 もっと叙情的でワイルドなアメリカン・ハード・ロック 然としている。[82]
フィンランドのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた 恐らくデビュー盤。今でこそ北欧メタル・シーンもかなり 多様になってきたが、北欧のバンドの中ではフィンランドは HANOI ROCKSを筆頭に特に異質な存在だったと言って良いだろう。 このバンドもまさにそう言ったバンドの一つと言えるもので、 同郷のプログレッシヴ・ロック・バンド、KINGSTON WALL的な PATE KIVINENのハモンド・オルガンを中心としたメロディに、 アメリカ的なキャッチーさやサイケデリックさを持ち 合わせていると言う、中々ユニークなサウンドを作り上げている。 やや古めかしい感じのするプロダクションで、不思議な 浮遊感があって面白い作品だ。[81]
イギリスのデス・メタル・バンド、CARCASSの元ギタリスト、 BILL STEERによるハード・ロック・バンドの2ndアルバム。 CATHEDRALのベーシスト、LEO SMEE、SPIRITUAL BEGGARSの ドラマー、LUDWIG WITTと言うラインナップはそのままだ。 相変わらず透ってはいるがやや線の細さを感じさせるBILL STEERの ボーカルにはやや不満を感じるが、元々専門家ではないだけに致し 方ないところだろう。前作よりグルーヴ感を増し、 エモーショナルな作品に仕上がっているだけに、聴き応えがあって 格段に良くなっていると言って良いだろう。演奏、楽曲とも 中々のもので、シンプルでブルージィなハード・ロックには好感が 持てる。[87]
フィンランドのブラック・メタル・バンドの2年振りとなる 2ndアルバム。方向的には民族音楽的な色合いの強い ブラック・メタルと言って良いだろう。フォーク的なメロディに ヘヴィ・メタル的なサウンドを乗せているのだが、TROLLHORNの アコーディオン的なキーボードの音色が独特の味わいを 出している。このキーボードがポルカ・メタルと称される、スラブ 的なフォーク色を非常に濃いものとしており、実に面白い作品に 仕上がっている。この民謡調のダークさが、ブラック・メタルと 言う本質に上手くマッチしていて、アイデアを上手く 生かしていると思う。KATLAのブラック・メタル・ボイスも余り きついものではなく、適度に歪んでいて邪悪さを醸し出している。 [85]
元MARILLIONのイギリス人ボーカリストによる2年振りの 7thソロ・アルバム。映画監督の故FEDERICO FELLINIの肉声を取り 入れ、彼に捧げられた作品だ。より叙情的でシンフォニックな 方向に進んで行ったMARILLIONに対して、同じくシンフォニックな 作品ながらも、ここではもっと厚みのある音作りがなされており、 よりプログレッシヴ・ロック的なエッセンスの強い作品に 仕上がっていると言って良いだろう。ジャケットにも 現れているが、FEDERICO FELLINI監督にインスパイアされ、映像を コンセプトに作られているのだが、これが中々面白い マッチングになっていて、中々良いアルバムだ。[84]
フィンランドのハード・ロック・バンドの4thアルバム。 HAWKWINDのInnocence Is No Excuseをカバーしている事からも 判る様に、KINGSTON WALL的なスペイシーさを感じさせる 1970年代的なハード・ロックをやっている。ライヴが追加 収録されているが、Springtime Of Your LifeではHAWKWINDの サックス奏者だったNIK TURNERがゲスト参加している。そう言った スペイシーなサウンドにアメリカ的なキャッチーさと サイケデリックさを持ち込んだ、ユニークな音楽性を 見せていたが、この作品では更にブリティッシュ・ロック的な エッセンスを強めている。隠しトラックとしてLED ZEPPELINの Kashmirをカバーしている辺りにもそう言ったところが 感じられる。[82]
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドの プロモーション・シングル。リリース予定の最新アルバム、 THE AMALGAMUTからカットされたタイトル・トラックの エディット・バージョンとアルバム・バージョンの全2曲と言う 構成になっている。メジャーとしての成功も収めているし、楽曲の 出来は流石と思わせるものがある。やや憂いを帯びた、叙情的な メロディのオルタナティヴ・ロックで、情感が良く出ていて 素晴らしい楽曲だ。これだけの楽曲が入っているならば、 THE AMALGAMUTの内容にも十分期待出来ると言って良いだろう。 [83]
ギリシャのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 MYSTIC PROPHECY、DREAM EVILのギタリスト、GUS G.を中心とした バンドで、ボーカリストには元KENZINERのSTEPHEN FRESRICHが 参加している。GUS G.のギター・プレイ自体は YNGWIE J.MALMSTEENの影響を感じさせるスタイルだが、音楽的には 正統派のメロディアス・ヘヴィ・メタルで、ネオ・クラシカル的な 色合いは感じられない。MYSTIC PROPHECY自体はクリエイティヴ 面で関わっていなかった事もあって、余り共通点は感じられない。 STEPHEN FRESRICHのボーカル自体は非常にパワフルで、力み過ぎと 言う感じにもさせられるが、上手い事は確かだ。[85]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3年振りの3rdアルバム。 元NINE INCH NAILSのギタリスト兼ボーカリスト兼プログラマーの RICHARD PATRICKを中心としたバンドだ。ボーカル・ラインは あくまでキャッチーなメロディで、そこに如何にも今風のモダンで ヘヴィなサウンドが乗って来る。音楽的にはこれまでの延長線上と 言えるものだが、単純にヘヴィ・ロックやラウド・ロックに 走らずに、ポップ・ロックとしての形を残しながら、こう言った サウンドを取り入れて行く辺りのアイデアは相変わらず面白い。 不快感を感じさせる様な機械音やノイズがあったり、 Where Do We Go From Hereではオルタナティヴ・ロックっぽい甘い メロディがあったりと幅の広さも感じさせる作品だ。[84]
カナダのメロディアス・ハード・ロック・バンドのアルバム。 VON GROOVEのギタリスト、MLADEN HAZEとMORATTIのボーカリスト、 ROB MORATTIによるプロジェクトだ。基本的にはオーソドックスな アメリカン・プログレッシヴ・ハード・ロックと言った感じの 作品で、その音楽性はVON GROOVEやMORATTIとはまた少し 違ったものとなっている。1970年代におけるJOURNEY的な色合いが 濃く、楽曲によってはよりポップでFIREHOUSEっぽさを感じさせる 部分もあったりする。オリジナリティや目新しさは全くないが、 メロディ・センスの良さが出ていて、安心して聴いていられる アルバムである事は間違いない。[81]
イギリスのハード・ロック・バンドの3rdアルバム。 元NAPALM DEATH、CARCASSのギタリスト、BILL STEERを中心とする バンドで、今作よりSPIRITUAL BEGGARS、THE QUILLのベーシスト、 ROGER NILSSONとTHE QUILLのドラマー、GEORGE "JOLLE" ATLAGICが 加わっている。音楽的にはブルーズ色を強く押し出した、 1970年代のハード・ロックだったこれまでの延長線上と 言えるものだ。派手さはないが、骨太なブルーズ・ロックは、実に 渋くて味わい深い。SPIRITUAL BEGGARS等のヘヴィ・ロックとは また違った、1970年代のロックをリスペクトした世界が ここにある。[84]