オランダのプログレッシヴ・ロック・バンドの1994年に リリースされた2ndアルバム。方向的にはポンプ・ロックと 言えるもので、叙情的で美しいメロディのロック・アルバムに 仕上がっている。叙情的で愁いの帯びたメロディの楽曲がずらりと 並んでおり、出来は中々良い。全体的にストレートで、変則的な 部分もないので、随分と聴き易い作品だと言って良いだろう。 そう言った意味では、MARILLION等にも通ずる部分があるが、より 装飾性を削って、ロック然とした作品に仕上げている。 派手さはないが、メロディの出来は良いし、安心して 聴いていられる作品だ。[82]
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 2ndアルバム。音楽的方向性は、剛直な感じのするコアな スラッシュ・メタルで、メロディよりも攻撃的なサウンドを求める 人向けだろう。特にBone Crackin' Feverは凄まじく、金属的な 不快感を催すようなギター・リフが何とも印象的で良い感じだ。 楽曲に展開があって、その組み立ても面白いし、決してメロディ 主体に走らないところに好感が持てる。Bone Crackin' Feverの 出来があまりにも良すぎるため、他の楽曲にインパクトが 感じられず、徐々に失速して行ってしまうのは何とも残念だ。 しかし、Bone Crackin' Feverはスラッシュ・メタルの名曲と 言えるだけの出来だし、これだけでも聴く価値はある。[86]
元RAINBOW、M.S.G.EL&P、BLACK SABBATHのドラマー、 COZY POWELLを中心としたプロジェクト・バンドの1988年に リリースされた2ndアルバム。RAY FENWICKが引き続き参加している 他、元FOCUSのギタリスト、JAN AKKERMANも参加している。 RAY FENWICKとCOZY POWELLが中心となって楽曲を書いているが、 方向的には前作の延長線上と言った感じで、ハード・ロック的な 色合いはなく、どちらかと言うとハード・ポップやキャッチーな ロックと言った感じの楽曲が並んでいる。Heartache等は中々良い 楽曲だが、全体的に見て面白いと思えるかと言うと 難しいところだ。[78]
元RAINBOW、M.S.G.、EL&P、BLACK SABBATHのドラマー、 COZY POWELLを中心としたプロジェクト・バンドの1989年に リリースされた3rdアルバム。前作に引き続きRAY FENWICKと 元FOCUSのギタリスト、JAN AKKERMANが参加している他、 元RAINBOW、M.S.G.、ALCATRAZZのボーカリスト、GRAHAM BONNETも 参加している。方向的には、これまで同様ハード・ポップと言った 感じの作品だが、GRAHAM BONNETがパワフルなボーカルを 聴かせてくれている分、これまでよりハードな作品と言った印象を 受けなくもない。楽曲自体はよりキャッチーな方向へと 向いており、ホーン・セクションまで持ち込んでいる辺りは拒否 反応を起こすかも知れないが。[77]
アメリカ、イギリスの混成ロック・バンドの3年振りとなる 1994年にリリースされた8thアルバム。ボーカリストとして LOU GRAMMが復帰し、ベスト・メンバーと言える形で戻ってきた 訳だが、プログレッシヴ・ロック的なエッセンスはなく、素朴な アメリカン・ロックと言った感じで、LOU GRAMM在籍時末期の 延長線上と言った感じのアルバムに仕上がっている。 MICK JONESのメロディー・メイカー振りは流石と 思えるだけのものはあるし、楽曲自体は安定した出来で大人の ロック・アルバムと言ったところだ。LOU GRAMMの表現力豊かな ボーカルは、相変わらず素晴らしい。[81]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。音楽的にはキーボードを全面に押し出した、 憂いのあるキャッチーで叙情的なメロディの作品で、北欧メタルの ファンには十分訴えるものがあるだろう。キーボードが全面に 押し出されているといっても、ギターも同様に押し出されており、 キーボードによるあざとさが感じさせないのは好感が持てる。 BENNY SODERBERGの舌足らずな感じのするボーカルも、甘くて 楽曲の方向性にはあっている。飛び抜けた楽曲はないものの、 メロディ・センスの高さは非常に素晴らしく、中々良く出来た アルバムに仕上がっている。[86]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2ndアルバム。前作では憂いのある叙情的でキャッチーな メロディのヘヴィ・メタルを聴かせてくれていたが、今作でも 基本的な方向性は変わりない。しかし、メロディ的な部分は キャッチーさも叙情的な部分もやや減退し、よりヘヴィさに重点を 置いた作品に仕上がっている。全体的にダークな雰囲気が 強くなっており、前作での叙情性やキャッチーさを求めるなら 当てが外れるかもしれない。自らのメロディ・センスを殺ぐ 結果となっており、彼等の良さが今一つ伝わってこない。[80]
アメリカのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。スウェーデンのバンドとは同名異バンドだが、同様に 素晴らしいメロディ・センスをしている。方向的には叙情的な メロディのアメリカン・ハード・ロックで、扇情的でフックのある 楽曲は中々の出来だ。BOB VOSEの張りのあるボーカルが良く 合っており、JERMY HEUSSIのハモンド・オルガンも雰囲気が 出ている。オープニング・ナンバーのStraight Aheadは佳曲と 呼べるだけの出来で、その後の楽曲も悪くないのだが、もう一山 有って欲しかったところだ。それでも、新人離れした十分満足 出来るだけのレベルのアルバムに仕上がっている。[89]
イギリス人ドラマー、COZY POWELの ハード・ロック・プロジェクトによる1990年にリリースされた 4thアルバム。前作では極端にポップな作りであったと同時に、 曲の出来もお世辞にも良いとは言えないもので、取るに足りないと 言った出来の作品だったが、今作では幾分ハードになり、楽曲の 出来もかなり良くなっている。RUSS BALLARDの作品を採用したり、 JIMI HENDRIX、BAD COMPANY、DON HENLEYの等を取り上げて カバーしているので安心は出来るところだ。ボーカルは前作同様、 GRAHAM BONNETが担当しており、それ以外はゲストとして DON AIREY、BERNIE MARSDEN、MICKY MOODY等が参加している。[80]
北欧ハード・ポップ・バンドの3rdアルバム。1stはかなり甘い ハード・ポップで、ポップ派のファンからかなり指示を受けたが、 ちょっと甘すぎると言う印象を受けた。一方でその後出た2ndは 急激にハードな方向へと転換したが、あそこまでやるとヘヴィ 過ぎて、逆に彼等の持ち味であるポップさがまるで感じられないと 言っても良い程だった。それに対してこの3rdは、その良作品の 中庸と言う感じで、適度にハードで良い感じだ。1stの洗練された ポップさとは違い、やや古臭さも感じさせるようなストレートな ハード・ロックンロールと言う感じだ。デビュー当時のポップさを 求めるファンにはこれでもまだ満足出来ないかもしれないが、 そう言う事は考えなければ割と聴けると思う。[80]
アメリカのスラッシュ/パワー・メタル・バンドの2ndアルバム。 元OLVER MAGNUMのボーカル、JAMES RANDELEが脱退し、新 ボーカリストとしてBILL DOLLINSを迎えている。彼のボーカルは 割とストレートな声質で、少しパワー不足で地味に感じる。 サウンド的にはアグレッシヴで機械的なリフは緊迫感があって、 FORCED ENTRYの様な部分もあって中々面白いのだが、曲自体に 面白味に今一つ欠ける。全体的にインパクトに欠けるので、 リスナーの耳を引き付け続けるのは難しいかも知れないが、 扇情的でメロディはそれなりに印象的だ。[80]
同名異バンドが沢山いるが、アメリカのハード・ロック・バンドの 2ndアルバム。基本的には前作の延長線上で、良く出来たAOR系の 産業ロックと言った面持ちだが、今作ではそれがより 露になっている。それ故、前作と比べると落ち着いた 雰囲気があり、アダルトな感じだが、それ故に生きの良さという 物があまり感じられない。楽曲自体の出来は前作に優るとも 劣らない出来で、しっとりと歌いあげるBOB VOSEのボーカルも中々 味がある。レゲエ調のJamaicaには違和感を覚えなくもないが、 全体的に良い出来だ。[86]
1980年代に活動したドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1986年に リリースされたライヴ・アルバムで唯一残したアルバム。 その他にもシングルをリリースしているが、 ボーナス・トラックとして収録されており、多分これで全ての 音源と思われる。ボーカルはややひ弱だが微妙にビブラートが かかっていてそれなりに味がある。プロダクションも あまり良くなく、N.W.O.B.H.M.の流れを汲む B級メタル・バンドと言った趣もある。楽曲はロックンロール的な 色合いがあり、哀愁も持っているが、いも臭さは いかんともしがたい。JUDAS PRIESTのBreaking The Lawや IRON MAIDENのHallowed Be Thy Nameもカバーしているが、 そういうカバー曲でもバンドの色はあまり変わらない。 カバー曲以外は歌詞が全てドイツ語の様だが、それほど違和感を 感じることはない。ボーナス・トラックのシングルは1985年に リリースされたもので、ライヴと内容的には大差ない。[79]
ギリシャのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの1996年に リリースされたデビュー・ミニ・アルバム。方向的には ドラマティックで大仰な作品で、難解というよりややくどくて 分かり難いという感じがある。バックなどはLEVIATHAN等を 思わせる部分もあるが、あれよりはもっとしっかりしている。 ボーカルがややバックから遊離しているような感じが気になるが、 メロディアスで叙情的なソロを奏でているときのギター・プレイは 中々聴きごたえがある。もう少し全体の流れを整理して、聴き 易くしてくれるとかなり良くなるような気がするのだが。[78]
アメリカのスラッシュ/パワー・メタル・バンドの3rdアルバム。 力強いリフのパワフルな楽曲は全体的に勢いが感じられる。 メロディはOctoberでOZZY OSBOURNEっぽいイントロを 持ってきたり、結構印象的なさびもあるのだが、それをうまく 生かしきれていないような感じがする。結局全て聴きおわった 後で、これと言う印象に残る楽曲が今一つないのが残念だ。 DAVID THOMPSONのアップテンポにおける画一的な歌メロが今一つ 面白味に欠ける様に思えるのが原因かもしれない。ギターはリフ、 メロディとも結構格好良くて面白いのだが。[81]
スイスのハード・ロック・バンドの1988年にレコーディングされた アルバム。ボーカルはGOTTHARDのSTEVE LEEで、ギタリストとして LEO LEONIも参加している。今回のリリースにあたって、 CHRIS VON ROHRがリマスターしており、そのおかげもあってか、 プロダクションはなかなか良い。GOTTHARDと比べると、もっと キャッチーなメロディで、ポップな感じをさせるものだ。楽曲は 叙情的なメロディが主体となっており、ポップさを全面に押し 出した曲は今一つだが、哀愁のメロディ等はなかなか素晴らしい 出来だ。STEVE LEEのボーカルはGOTTHARDに比べるとやや 抑え目という印象を受けるが、さすがにうまい。[85]
日本のデス・メタル・バンド、HELLCHILD、MULTIPLEXの メンバーによるプロジェクト・バンドの1stアルバム。方向的には これらのバンドで見られるような、ブルータルなグラインド・コア 系デス・メタルで、畳み掛けるような攻撃的なリフが凄まじい。 破壊力のある強烈なブラスト・ビートのリフに、原川司の怒りを 叩き付けるようなデス・ボイスの咆哮には圧倒的な迫力がある。 グラインド・コア、モダン・ヘヴィネスと言った部分が 聴けないと、到底ついていけない作品で、聴くものを選ぶが、 強烈なアルバムに仕上がっている事は確かだ。[81]
詳細は全く判らないが、恐らくチェコのプログレッシヴ/ゴシック/ テクニカル/メロディアス・デス・メタル・バンドの2枚組み アルバム。女性2人を含む5人組みで、主体は強烈な咆哮の デス・ボイスで、これに、HANKA HANA NOGOLOVIAの女性コーラスが 入ると言う形態になっている。ゴシック・メタル的な耽美的な 部分も少しはあるものの、主体はメロディック・デス・メタルと 変則的なプログレッシヴ・メタルと言って良いだろう。更に 楽曲によってはテクニカル・ロック的な演奏を 聴かせてくれたりもする。演奏レベルは意外と良いし、 プロダクション的には問題はない。とても万人向けと言う 作品ではないし、こう言う作品を2枚組みでと言うのも少し 厳しいものがあるが、意外に出来は悪くない。[82]
元KING CRIMSONのIAN McDONALD等による、イギリス人、 アメリカ人の混成ハード・ロック・バンドの1979年に リリースされた3rdアルバム。この頃、出すアルバムは全て 大ヒットしていただけあって、さすがにレベルの高い作品に 仕上がっている。次作の4と比べると、全体的にやや小粒と言う 感じも受けなくはないが、Love On The Telephone、Head Games、 Blinded By Scienceと言った良質の楽曲が並んでおり、良い作品に 仕上がっている。これらの楽曲に、LOU GRAMMの扇情的な ボーカルが非常に良く合っており、情感を出していて効果的だ。 [84]
イギリスのブルーズ・ロック・バンドの2枚組のライヴ盤。元々 1998年にリリースされていたものだが、中心人物である LONESOME DAVE PEVERETTの死去に伴い、追悼盤として 再リリースされたもので、新曲が2曲追加収録されている。 オリジナル・メンバーで復活し、1996年に行われたアメリカでの 公演の模様を収めたものだ。ブギー色のあるハードなナンバーは、 サザン・ロック辺りが好きな人にも十分訴えるものがあるだろう。 彼等の代表曲とも言えるI Just Wanna Make Love To Youで幕を 開ける辺りは圧巻だ。臨場感もあり、ドライヴ感の感じられる 素晴らしいライヴ作品に仕上がっていると言って良いだろう。 新曲は2曲とも哀愁のこもったバラードで、特にAngel Of Mercyは ハモンド・オルガンとギター・ソロの組み合わせが効果的だ。[85]
ポルトガルのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの デビュー盤。ややプログレッシヴ・メタルっぽいメタリックな 感じをさせるところもあり、楽曲的にはDREAM THEATER的な エッセンスも感じられる。とは言え、全体的にシンフォニックな 音作りがなされており、MIGUEL VALADARESの奏でるキーボードが 前面に押し出されている。RICARDO FALCAOのギターは憂いを 感じさせ叙情感を増しているが、その優しい音色は シンフォニックさをより増し、内省的な雰囲気を出している。 LINXのボーカルは、慣れぬ英語で唄っているせいもあるのか、 お世辞にも上手いとは言えないし、ハード・ロックと言うよりは プログレッシヴ・ロック畑の声質と言って良いだろう。20分を 超えるA Journey等は圧巻だが、シンフォニック・ロックに 馴染みがないと、聴き飽きて来るかも知れない。[81]
カナダのヘヴィ・メタル・バンドの2001年にリリースされた、 自主製作によるデビュー盤。カナダのバンドではあるが、 音楽的にはカナダやアメリカのバンド的な部分は無く、 ヨーロッパに見受けられる、叙情的でドラマティックな メロディアスなヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。RHAPSODY 辺りにリスペクトされたと思える様な音楽性で、シンフォニックで クラシカルなヘヴィ・メタルが好きならば受け入れられるだろう。 楽曲の出来としてはまずまずといったところで、飛び 抜けたものはないが、決して悪い出来ではない。女性ボーカルの SONIA PINEAULTの声質も適度にパワーがあって、流麗で中々良い 感じだ。[79]
アメリカのロック・バンドの3年振りの4thアルバム。元々は 元NIRVANAのドラマー、DAVE GROHLが全てのパートをこなして 作り上げたソロ・プロジェクトから始まり、やがてバンドとしての 形態を取って活動するに至っている。そう言ったグランジ、 オルタナティヴ・ロックの風味を残しながらも、ロックンロールを 基調とした独自の世界を作り上げている。DAVE GROHLの クリエイターとしての能力の高さを示してくれる作品で、彼の ポップ・センスが上手く溶け合っている。最早元NIRVANA等と言う 肩書きも必要ない位ビッグになったが、それに相応しいだけの 内容だ。[88]