アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、WHITE LIONの 元ボーカリスト、MIKE TRAMP率いるバンドの1993年に リリースされたデビュー盤。扇情的な哀愁を感じさせた WHITE LIONの初期からすると、末期には哀愁より侘しさを 感じさせる方向へと向かって行ったが、この作品も正にその末期の 路線を更に押し進めたものと言えるだろう。しかも、この侘しさを 感じさせる楽曲はまだしも、それ以外の楽曲は残念ながら 面白いとは言い難い内容だ。とは言え、MIKE TRAMPの独特の歌唱が アルバム全体に味わいをもたらしており、それなりに聴ける アルバムとなっているのだから、不思議と言うか流石だ。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2ndアルバム。前作より侘しさといった感じは減退し、 ヘヴィではあるがそれだけと言った感のある アルバムとなっている。MIKE TRAMPの独特の歌唱にもあまり 合っているとは思えず、今一つ持ち味の生きていない焦点の ぼやけたアルバムとなってしまっている。WHITE LIONの扇情的な メロディの世界を捨ててまでこう言う 事をやりたかったのだとしたら、オルタナティヴ・ロックの影響を 悪い方向に受けてしまったと言う他はない。まぁ、それでも それなりにちゃんとしたアルバムに仕上がっている辺りは流石と 言うべきか。[79]
元BLACK'N BLUEのボーカリスト、JAMIE ST.JAMESを中心とした アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。ギタリストには元WARLOCKのTOMMY BOLANが 加入している。これが意外に面白い取り合わせで、You等は中々 ユニークなナンバーだ。ただ、アルバムを通してとなると、 こうした面白い楽曲ばかりと言う訳にも行かず、平凡な楽曲も 散見される。WARLOCKの様な楽曲は全くなく、如何にもアメリカ 的なナンバーが並んでいるが、TOMMY BOLANが書く楽曲は、より ヘヴィでテンポの良い楽曲が多い。[80]
アメリカのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。元VOODOO Xで、現CROWN OF THORNSのギタリスト、 TOMMY LAFFERTYを中心とするバンドだ。それからも判る様に、 非常にポップ・フィーリングに溢れた作品で、それらのバンドより 更にAOR的な作品に仕上がっている。メロディの素晴らしさは 流石と言う他ない程の素晴らしい出来なのだが、あまりにも 整い過ぎと言う印象はなきにしもあらずだ。楽曲の出来自体は 良いと思うし、フックもそれなりに感じられるのだが、どことなく 煮え切らなさがある。とは言っても、女性ボーカルとの デュエット、Spark And Flame等は非常に格好良いし、産業ロック 的なハード・ポップが好きならば、聴いても損はないだろう。[82]
ドイツのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。音楽的には、非常に叙情的でキャッチーな なメロディのアメリカン・テイスト溢れる メロディアス・ハード・ロックだ。Stephan Kaemmererの粘質的な ボーカルが、楽曲の憂いに良く合っていて、雰囲気的に悪くない。 メロディ・センスの素晴らしさは良く出ているが、一方でこれと 言った飛び抜けた楽曲がないのも残念だ。全体的に楽曲にフックは 感じられるし、決して悪い出来だとは思わないのだが、どうしても 小粒と言った感じの楽曲が多いし、全体的に楽曲がHeaven Knowsや Victim Of Madnessと言ったレベルにまで引き上げられれば、 かなりの作品となっただろう。[83]
ドイツのハード・ロック・バンドのアルバム。と言っても、全編 アコースティック・ナンバーの、言わば企画盤的な作品だ。タイプ 的にはアメリカン・ハード・ロックで前作ではデビュー盤とは 思えないクオリティのアルバムだった。あまり知名度が 高くないであろう新人バンドが何故、ここで突然 アコースティック・アルバムという企画盤を出して来たのか理解に 苦しむし、アルバム一枚まるごとというのは少し辛い。とは 言うものの楽曲は決して悪くないし、聴いて損をすると言う 様なものではないのは確かだ。まぁ、新作を期待して待たせる位の 内容ではある。[81]
元TOTOのFERGIE FREDERIKSENと元BAD ENGLISH、COVERDALE/PAGEの RICKY PHILLIPSによるユニットで、多彩なゲストを迎えて 作成されたアルバム。MR.BIGのPAT TORPEY、ROBIN MacCAUULEY、元 RATTのROBIN BLOTZER、JOURNEYのNEAL SCHON、DEEN CASTRONOVA、 BRUCE GOWDY等々が参加している。ホーン・セクションも取り 入れて、ポップでキャッチーではあるがブルージィな部分が 多分にある。楽曲によっては渋味を取ったPAUL RODGERSの様な 雰囲気も感じられる。参加メンバーがメンバーだけにバックの 演奏もしっかりしているし、楽曲の出来はかなり高く、 叙情味もあって良く出来たAOR風の聴きごたえのある ロック・アルバムに仕上がっている。[87]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのミニ・アルバム。 デビュー盤、FREAK OF NATUREからの1stシングルである タイトル・トラック・ナンバーにWhat Am I、 Turn The Other Wayのアコースティック・バージョンと未発表曲が 2曲と言う構成になっている。アコースティック・バージョンに 関しては、オリジナルよりも侘しさが出ていて、WHITE LIONの 末期の様で味わいがある。未発表曲のWartimeはどうと言う 事のない楽曲で、アルバムに納められなかったのは納得なのだが、 Can't Find My Wayは侘しさ漂うドラマティックなバラードで、 実にらしくて良い楽曲だ。[83]
スウェーデンの変態スラッシュ・メタル・バンドMESHUGGAHの ギタリストFREDRIK THORDENDALの初のソロ・アルバム。先鋭的な MESHUGGAHのサウンドだが、このアルバムではもっと 突き抜けてしまった、難解なサウンドを構築している。 フュージョン風のメロディを時にはジャジィーに、時には アバンギャルドに展開するさまは到底常人には 思い付かないだろう。不快感すら意識的に出している様な演奏は、 エクストリームというにふさわしいし、先進的ではあると思うが、 リスナーはあまり付いてこれないだろう。全2曲で 組曲になっているのだが、そのメロディの脈絡のなさには そういう事すらあまり意識できないだろう。[78]
ドイツのメロディアス・ハード・ロック・バンドの2ndアルバム。 実際には企画盤的なアコースティック・アルバムが間に リリースしている。デビュー盤ではそのメロディの良さと、 完成度の高さで非常に素晴らしいアルバムだったが、そういった 意味ではこのアルバムも決して劣らない出来だ。元々 アメリカ指向的なサウンドだったが、それはより顕著になり AOR的な匂いが漂うこの作品はまさしくJOURNEYのそれである。 落ち着いたじっくり聴かせる楽曲が非常に多くなり、出来は 良いもののその分インパクトに欠ける感がある。[80]
元MOON'DOCのCHRIS BAY、ILKER ERSIN、GAMMA RAYの DAN ZIMMERMANN等によるドイツのプロジェクト・バンドの アルバム。方向的には如何にもジャーマン・パワー・メタルと 呼べるもので、クラシカルな味付けがされていて、ANGRA的な エッセンスを感じる作品に仕上がっている。Shine Onでのリフの 盛り上げ方は見事だし、非常に良く出来たアルバムだ。 CHRIS BAYのボーカル・スタイルはANDI DERISとANDRE MATOSの 中間的なスタイルで、灰汁が強すぎず聴き易い。アレンジの センスも素晴らしいし、全体的に良く出来ている。[84]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、WHITE LIONの 元ボーカリスト、MIKE TRAMP率いるバンドの未発表音源集。 既発表曲のアウトテイクやアコースティック・バージョン等が 9曲あって、未発表曲はわずか4曲だけだが、決して寄せ集め的な 印象は受けないし、出来は中々良い。MIKE TRAMPの下手うま的な 枯れた哀愁を感じさせるボーカルは、いつ聴いても味わいがあり 情感が感じられる。やはり、WHITE LIONを望む声の方が 大きいだろうが、このバンドだって決して悪くなかった。もう既に バンドは存在しない様だが、それも惜しいと思わせるだけの 作品だ。[83]
元MOON'DOCのCHRIS BAY、ILKER ERSIN、GAMMA RAYの DAN ZIMMERMANN等によるドイツのプロジェクト・バンドの ミニ・アルバム。メンバーはデビュー盤とそのまま同じで、 アルバムでの勢いをそのまま持続していると言う感じだ。新曲が 2曲にカバーが1曲、デビュー盤収録曲の別バージョンが2曲と言う 構成になっている。Dancing With Tears In My EyesはULTRAVOXの カバーと言う変わり種で、ボーカル・ラインは確かにそう言う 違和感があるのだが、バックは完全に ジャーマン・パワー・メタルらしくアレンジされているので、 聴いていてそうおかしくは感じない。新曲の出来も彼等らしい 楽曲で、特にHeart Of The BraveはANGRA的だ。[81]
スウェーデンのテクニカル・ロック・バンドの4thアルバム。 方向的には、叙情的なメロディを持った、テクニカルな ハード・ロックで、楽曲的にはKING'S Xの様なファンキーな素要を 持ちながらも、より愁いを感じさせる作品に仕上がっている。 MATTIAS IA EKLUNDHのギター・テクニックはもちろん、印象的な ギター・メロディも中々内容が濃い。単純にテクニカルに 走るのではなく、キャッチーな楽曲を壊さずに上手く 生かしている。やや地味な感じはあるし、途中少しまとまりの 悪さを感じたりもするが、楽曲、演奏ともレベルは高いので、 安心して聴いていられる。[82]
ドイツのハード・ロック・バンドの4thアルバム。半分以上が 前作をミックスし直したものなので、純粋に新作と言って 良いかどうか判らないが、相変わらず質の高いメロディアスな ハード・ロックを聴かせてくれている。1980年代の アメリカン・ハード・ロックと言った感じのポップ・センス溢れる 叙情的なメロディは素晴らしく、エッヂのたったサウンドが曲を 引き立てていて非常に格好良い。STEPHAN KAEMMERERの RIK EMMETTっぽいボーカルがまた味わい深く、中々聴き応えのある アルバムに仕上がっている。ときには哀愁味を醸し出し、楽曲の レベルも高いし、もう少し評価されても良いバンドだと 思うのだが。[84]
ドイツのパワー・メタル・バンドの2ndアルバム。GAMMA RAYの ドラマー、DAN ZIMMERMANNとMOON'DOCのボーカリスト、 CHRIS BAYを中心としたバンドだ。その音楽性は、CHRIS BAYの 声質もあってか、若干ANGRAっぽくも感じられる部分もあるが、 楽曲はより大仰でいわゆるジャーマン・パワー・メタルの フォローワーと言えるものとなっている。Freedom Callの イントロやPalace Of Fantasyのさび等は勇壮で格好良く、 全体的にドラマティックな作品に仕上がっている。路線的に 目新しさを感じさせる様なものはないのだが、より愁いを効かせた 楽曲があったりと、バラエティ豊かなので聴き飽きさせない。[80]
アメリカのハード・ポップ・バンド、SHERIFF、ALIASの 元ボーカリストのソロ・ベスト盤。とは言えソロ・アルバムは DREAMER'S ROADだけなだけに、半分はALIASの音源で 占められている。未発表曲が2曲含まれている他、イタリアの レーベルからリリースされた事もあってか、イタリア語 バージョンが3曲含まれている。全体的にソフトで叙情的な メロディのハード・ポップで、アメリカらしい洗練された キャッチーさが感じられる。メタル側のリスナーには少し 物足りなく感じるかも知れないが、Haunted Heart等は割と ハードさのあって聴き応えもある。[81]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの5年振りとなる3rdアルバム。 元々JOURNEY的な産業ロック系のハード・ロックを 聴かせてくれていただけに、叙情的でキャッチーな メロディ・センスは相変わらず素晴らしい。時として聴き 流してしまえそうな楽曲なだけに、エッヂを立てて扇情感を 際立てている辺りのアレンジは悪くないが、変にエコーが効き 過ぎていたりするプロダクションは痛し痒しだ。 STEPHAN KAEMMERERの粘着質なボーカルも、こう言った扇情感を 出すのに良い方向に働いているが、これまでと比べてややハスキー 過ぎる気がする。[83]