SPACE IN YOUR FACE / GALACTIC COWBOYS
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
2ndアルバム。いわば、ミクスチャー的な作品で、THE BEATLESの
様なポップなメロディがあったり、グランジっぽい
部分があったりしながらも、ヘヴィ・メタル的な重厚さを
サウンドに持ち込んでいる。そのアイデアのユニークさもさる
事ながら、楽曲のクオリティも中々のものである。
Circles In The Fields等にはMETALLICAっぽさも感じたりするが、
もっとクールな感じがして、逆に煮えきえらなさを
感じたりもする。デビュー盤よりはもっとストレートな作品
作りがなされているが、その方が正解だろう。[80]
LYNX / GALLEON
スウェーデンのネオ・プログレッシヴ・ロック・バンドの1994年に
リリースされたデビュー盤。方向的には、MARILLIONやPENDRAGONと
言ったポンプ・ロック・バンドの影響の見えるサウンドだ。流麗な
メロディの楽曲に、ネオ・プログレッシヴ・ロックらしい壮大さを
感じさせるアルバムに仕上がっている。ただ、この手の作品に多く
感じられるフックのなさはこのアルバムも同じで、Submission位
ドラマティックなナンバーは聴いていて飽きることはないが、それ
以外のナンバーはどうしても冗長に感じる。肝心のメロディの
出来は悪くないので、アレンジ面でかなり
改善できるのではないかと思えるが。[80]
HERITAGE & VISIONS / GALLEON
スウェーデンのネオ・プログレッシヴ・ロック・バンドの1994年に
リリースされた2ndアルバム。方向的には前作の延長線上と
言えるもので、スペイシーな奥行きを感じる清涼なサウンドだ。
前作よりやや軽い音作りがなされている様に感じられ、フックの
無さは残念ながらより一層顕著になっている様に思える。
ULF PETTERSONのキーボードの音数が多くなった様に思えるが、
だからと言って重厚さが増した訳ではない。メロディ・センスは
悪くないし、バイオリンを持ち込んだりするアイデアは
悪くないので、やはりもう少し抑揚をつけたドラマティックさが
欲しい。[80]
INSANITY AND GENIUS / GAMMA RAY
ドイツのパワー・メタル・バンドの1993年にリリースされた
3rdアルバム。元HELLOWEENのボーカリスト兼ギタリスト、
KAI HANSEN率いるバンドで、方向的にはいわゆる
ジャーマン・パワー・メタルと言うやつだ。このアルバムより
リズム隊が一新されており、その所為もあるのかどうか
判らないが、彼等のアルバムとしては最も
ジャーマン・パワー・メタル的な香りの薄い作品に
仕上がっている。もちろんジャーマン・パワー・メタルらしい
大仰なメロディ展開もない訳ではないが、どちらかと言うと
JUDAS PRIESTっぽく、彼等らしさがやや希薄に感じなくもない。
[81]
WE WANT MOORE! / GARY MOORE
アイルランド人ギタリストの1985年にリリースされたライヴ盤。
1984年に行われたヨーロッパ・ツアーの模様を中心に
収めたものだ。途中でメンバー・チェンジがあったりと、ライヴ
作品としての一貫性が今一つ感じられず、日本でのみ
リリースされたROCKIN' EVERY NIGHT LIVE IN JAPANと比べても
生々しさと臨揚感の欠ける作品となってしまっている。メンバー
的にも、ベスト・メンバーと言って良い様な陣容であった
ROCKIN' EVERY NIGHT LIVE IN JAPANに対してやや物足りなさを
感じる。但しEmpty Roomsが集録されていて、
ROCKIN' EVERY NIGHT LIVE IN JAPANではなかったバラードが
聴けるのは嬉しい。[82]
STILL GOT THE BLUES / GARY MOORE
アイルランド人ギタリストの1990年にリリースされたアルバム。
叙情的なメロディの格好の良いハード・ロックを聴かせてくれる
事で人気もあったが、この作品では何を思ったのか
オールド・スタイルのブルーズ・アルバムとなっており、
彼がこれまでやってきた音楽の微塵も感じられないアルバムに
仕上がっている。この作品の成功で、以降ハード・ロックとは全く
無縁のギタリストとなってしまい、ファンの悲嘆を誘ったが、そう
言う背景を考えなければ、売れただけあって確かに良い
アルバムだ。ホーン・セクションまで持ち込んだ、本格的な
ブルーズ作品で、Oh Pretty Woman等は非常に渋いし、半分は
ブルーズのスタンダードとも言える楽曲のカバーなので、
ブルーズが好きならば聴いてみる価値はあるだろう。[80]
STILL GOT THE BLUES(FOR YOU) / GARY MOORE
アイルランド人ギタリストの1990年にリリースされた
ミニ・アルバム。シングル・カットされた
タイトル・トラック・ナンバーに元々2枚組みとなる予定だった
アルバム、STILL GOT THE BLUESから漏れてしまったアルバム
未収録曲4曲を含む全5曲と言う構成になっている。それ故、
方向的にはSTILL GOT THE BLUESと全く同じ、
ブルーズ・アルバムだ。バラードの
Still Got The Blues(For You)には、愁いがあって、ギターの
泣きはらしいと言えばらしいが、あくまでもブルーズ然とした
作品に仕上がっている。[80]
AFTER HOURS / GARY MOORE
アイルランド人ギタリストの1992年にリリースされたアルバム。
前作で、オールド・スタイルのブルーズへ転身し、ファンを
驚かせたが、彼としては最も成功したアルバムとなった。その
影響があるのかどうか判らないが、ハード・ロックに回帰する事
無く、前作の延長線上と言えるアルバムに仕上がっている。前作に
比べると、オリジナルの楽曲が増えているが、カバーを
積極的にやっていると言う構成も変わらない。
ホーン・セクションを入れたりと、サウンド的な構成も
変わらないが、よりハードな感じのする作品作りになっており、
前作よりはそれまでのファンには聴ける作品かもしれない。とは
言え、基本的な部分はまるで変っていないので、前作がある程度
聴けないと厳しいかもしれない。[81]
BLUES ALIVE / GARY MOORE
アイルランド人ギタリストの1993年にリリースされたライヴ盤。
1992年に行われたAFTER HOURSのプロモーション・ツアーの模様を
収めたもので、日本盤のみ4曲入りライヴ・シングルの付いた変則
2枚組みとなっている。ライヴの目的からして、当然ブルーズに
転向してからの楽曲のみになっているのだが、唯一だけ
Parisienne Walkwaysだけ、昔のナンバーが収められている。他の
ブルーズ・ナンバーに混ぜても違和感がそれ程ないのと、彼の
ハード・ロック時代の代表曲であると言う事で
入れられたのだろう。アレンジも、かなりブルーズ
的なものになっているが、旧来のファンには唯一嬉しい
部分だろう。内容的には、演奏的にはもちろん、プロダクションも
含めて、良い出来だと思うが。[82]
SENTIMETAL / GARY SCHUTT
アメリカのハード・ロック・バンド、TAKARAのベーシストによる
初のソロ・アルバム。ボーカルはTAKARA同様、JEFF SCOTT SOTOが
担当しているが、それ以外のパートは全て彼が演奏している。
ソロ・アルバムと言うことで、TAKARAとはやや趣の違う
作品となっており、ややプログレッシヴ・ロック的なエッセンスの
感じられるアルバムになっている。しかし、TAKARAの楽曲の
充実度を考えると、幾分中途半端で物足りなく感じられるのは
遺憾ともし難い。よりキャッチーな作品にしている割には、聴き
易いと言った訳でもないし、今一つのり切れないアルバムだ。[80]
END OF THE WORLD / GASKIN
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた
デビュー盤。N.W.O.B.H.M.らしい、叙情的なメロディの
ハード・ロックンロールで、よりキャッチーさを感じさせる
アルバムに仕上がっている。この手のバンドとしては、やや
プログレッシヴ・ロック色の感じられる作品だが、派手な
展開がある訳でもないし、キャッチーな分だけ聴き易い。美しい
メロディにドラマティックな楽曲は素晴らしく、特に
Sweet Dream Makerは名曲と言って良いレベルだ。
N.W.O.B.H.M.らしく、ご多望に漏れずプロダクションは酷いが、
N.W.O.B.H.M.を語る上で忘れることの出来ない名盤だ。[90]
NO WAY OUT / GASKIN
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1982年にリリースされた
2ndアルバム。デビュー盤はやや
プログレッシヴ・ロックがかった、叙情的な憂いを帯びた
メロディのN.W.O.B.H.M.における名盤の一つと呼べる傑作だった。
今作では、これらのエッセンスが希薄になり、悪い意味で
普通になってしまったと言う感じがする。Dirty Money等には、
プログレッシヴ・ロックの香りは残っているし、叙情的な
メロディが全くなくなってしまった訳ではないが、
キャッチーさが減退し、普通のハード・ロックンロールと言った
香りが強い。ドラマーのDAVE NORMANのソング・ライティングに
置ける比重が増しているが、残念ながら良い結果を生んだとは
言い難い。プロダクションだけは前作より格段に
良くなっているのだが。[81]
VICTIM OF THE FUTURE / GARY MOORE
元THIN LIZZYのアイルランド人ギタリストのアルバム。いまやもう
すっかりブルーズ路線に走ってTHIN LIZZY時代や1980年代の
ソロ活動に比べるとハード・ロック・ファンからは無縁とも言える
人になってしまったが、これはまだその
ハード・ロック然としていたころの作品。名曲の一つといえる
泣きのバラード、Empty Roomsは心に染み入る実に素晴らしい曲だ。
それ以外にもスピーディなMurder In The Skiesや格好良い
Hold On To Loveなど非常に美しいメロディックなナンバーが
収録されている反面、捨て曲も何曲かあるのは事実だ。[84]
RUN FOR COVER / GARY MOORE
元THIN LIZZYのアイルランド人ギタリストの1985年に
リリースされたソロ・アルバム。このアルバムの目玉は、やはり
何と言ってもTHIN LIZZY時代以来、久々のPHILIP LYNOTTとの
ジョイントとなったOut In The Fieldsだろう。しかも、これが
PHILIP LYNOTTの遺作となった訳なのだから尚更感慨深くなる。
Empty Roomsのリメイク等、楽曲のクオリティもかなり
高いのだが、Out In The Field以外ののりが、今一つ悪いのが
気にかかる。Empty Roomsの様な、泣きの名曲がこのアルバムでは
新たにないのが残念だし、その分凡庸なアルバムに思える。[83]
BLUES FOR GREENY / GARY MOORE
元THIN LIZZYのアイルランド人ギタリストによる、1995年に
リリースされたアルバム。アイルランド人特有の哀愁溢れる
ヘヴィ・メタルで人気を博していたが、何を思ったのかブルーズに
走ってなまじ売れてしまったものだから、そのままブルーズの
世界にいついてしまった感がある。今回も全くその路線で、
思いっ切りブルーズしているので、昔の彼の作品を求めるならば
聴かなくて良いだろう。単なるブルーズ・アルバムとしては出来は
決して悪くないし、最早別世界の人の作品と思えば、これはこれで
良いと思うのだが。[72]
WILD FRONTIER / GARY MOORE
元THIN LIZZYのアイルランド人ギタリストによる、1987年に
リリースされたアルバム。哀愁のあるメロディアスな
ハード・ロックをやっていたときのアルバムで、楽曲、演奏とも
相変わらず高レベルな作品だ。今までの作品から比べると、
アイリッシュ的な色調をより強めたことが大きな特徴と言って
良いだろう。タイトル曲のWild Frontierや
Over The Hills And Far Away等、牧歌的な色合いが強い曲が
並んでいる。キーボードも、より前に押し出しており、その
効果を更に強めている。インストルーメンタル・ナンバーの名曲
The Lonerも素晴らしいし、名曲が目白押しの名盤と呼べるだけの
作品である。[87]
CORRIDORS OF POWER / GARY MOORE
元THIN LIZZYのアイルランド人ギタリストの1982年に
リリースされたソロ・アルバム。ドラマーにIAN PAICE、
ベーシストにNEIL MURRAYと言う、WHITE SNAKEのメンバーを迎えて
制作された作品だ。後にブルーズを本格的にやるようになるが、
ここでは、どちらかと言うとブルーズ・ロックをベースにした
メロディアスなハード・ロックが展開されていると言って
良いだろう。ブルーズ一本槍になる前では最もブルーズがかった
作品だが、その根底はあくまでブルーズ・ロックであり、ファンの
期待に反するものではない。FREEのWishing Wellをカバーしている
辺りにもその姿勢が窺える。[82]
WE WANT MORE! RECORDED LIVE IN CONCERT / GARY MOORE
元THIN LIZZYのアイルランド人ギタリストの1985年に
リリースされたライヴ盤。1984年に行われたツアーからの寄せ集め
音源で構成されているのだが、その割には選曲は今一つだ。
楽曲によって参加しているメンバーが違うため、その辺りの
整合性も気になる。ミドル・テンポのヘヴィなナンバー中心で、
彼本来のアイルランド特有の叙情的なメロディの曲は
ほとんどない。そのため、どうしても物足りない感がするのは
いがめないが、名曲と言えるバラード、Empty Roomsから
Don't Take Me For A Loserへ続く展開は圧巻で素晴らしい。[80]
ROCKIN' EVERY NIGHT LIVE IN JAPAN / GARY MOORE
元THIN LIZZYのアイルランド人ギタリストの1983年に
リリースされたライヴ盤。同年に行われた来日公演の模様を
収めたもので、割と生々しくライヴの模様を伝えてくれている。
JOHN SLOWMANが専任のボーカリストとして加入し、キーボードには
渡り鳥DON AIREYが加入している。更にドラムは現DEEP PURPLEの
IAN PAICE、ベースがNEIL MURRAYと中々豪華な布陣となっている。
アップ・テンポのナンバーが中心で、彼の持ち味の一つといえる
バラードがないのは残念だ。一気に最後まで聴かせてくれる
作品で、最後をスロー・ナンバーのSunsetでしっとりと
纏めているところも良い。[85]
KING OF ARAGON / GALLEON
スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの3rdアルバム。
音楽的にはシンフォニック・ロック的な要素が強く、この
手のものとしては幾分ハードな音作りがなされているが、全体的に
ほのぼのとした雰囲気が漂っている。シンフォニックでトラッドな
楽曲をキーボード中心で盛り上げていく、ミドル・テンポ中心で
落ち着いた優しい感じのサウンドだ。前作までは色々粗が
見えていたものの、今作ではそう言った欠点が改善され、随分
完成度が高くなっているが、逆にこじんまりとしてしまい、これと
言った個性があまり見えてこないのが残念だ。[78]
SLEEPERS / GALAHAD
イギリスのポンプ・ロック・バンドのアルバム。同郷のMARILLION
等よりはキーボードがもっと前面に押し出されていて
プログレッシヴ・ロック的な要素がもう少し強いのだが、
シンフォニック・ロックと言う程強くもない。全体的に優しさの
染み入る叙情的なサウンドで、テンポも結構良いので耳に非常に
心地好く聴ける作品となっている。美しさを強調した、リリカルな
楽曲の出来は確かに中々良いのだが、特にボーカルはひ弱さを
隠せないので、流麗な分だけ全体的に訴えて来る部分が弱く、
印象にあまり残って来ないのが難点だ。[80]
LAND OF THE FREE / GAMMA RAY
ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム。元HELLOWEENの
KAI HANSEN率いるバンドで、所謂ジャーマン・パワー・メタルと
言うやつだが、これがとにかく全編に渡って素晴らしい
出来である。元々、ジャーマン・パワー・メタルの仰々しさが
鼻について、今一つ好きになれなかったのだが、この作品ではその
仰々しさが自然な姿として昇華され、わざとらしさが
感じられないのには好感が持てる。流れるようなメロディも、
コーラスの出来も十分評価できる。楽曲の出来も文句なく良いし、
非常に素晴らしいアルバムに仕上がっている。[94]
SILENT MIRACLES / GAMMA RAY
ドイツのパワー・メタル・バンドの最新アルバム、
LAND OF THE FREEからの2枚目のミニ・アルバム。Miracleは
LAND OF THE FREEの収録曲である、Man On A Missionの
バラード・バージョンだが、全くといっていいほど違う
曲になっている。その他の収録曲は、新曲のFarewell、
The Silenceを録音しなおしたものに、LAND OF THE FREEに
時間的な都合で収録出来なかったバラードの
A While In Dreamlandと言う内容になっている。ロック・オペラ
的な要素があったりとバラードが中心ではあるが結構幅
広いものになっている。[85]
MACHINE FISH / GALACTIC COWBOYS
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には、
メロ・コア的な部分があったりして、
ロックンロール・スラッシュとでも言うような雰囲気を
漂わせている。楽曲によってはメロディがENOUGH Z'NUFFを思い
起こさせる部分もあるが、もっとワイルドで醒めていない
感じのする作品だ。非常にキャッチーなメロディで、これに
被さって来るバックのハードなリフが、独特の味わいを
出している。特に飛抜けた曲はないし、ワン・パターンではあるが
粒は揃っているし完成度も割と高いアルバムだ。[83]
ALIVE '95 / GAMMA RAY
来日したばかりのドイツのヘヴィ・メタル・バンドの
ライヴ・アルバム。昨年のヨーロッパ・ツアーから、5ヶ所での
ライヴの模様を収録したもので、半分の楽曲が最新
アルバムからだが、良い作品であっただけに、むしろ興味深い
アルバムだと言って良いだろう。臨揚感も良く出ているし、
フルセットのアルバムでないのが勿体ない位の出来だ。演奏自体も
良いし、ライヴ・アルバムとしての出来は非常に良いと言って
良いだろう。ただし、どうしても気になるのはKAI HANSENの
ボーカルで、オーバー・ダヴしていないにしてもラフ過ぎる。[87]
THE ALL EUROPEAN HERO / GALLEON
スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの4thアルバム。
楽曲の盛り上げ方、構成等はこれまでより進歩を窺わせており、
彼等の作品としては最も良く出来たアルバムと言って良いだろう。
全体的にシンフォニック・ロック的でトラディショナルな静寂感
漂うと言った感じだが、メロディのセンスも良いし聴いていて
気持ち良い作品に仕上がっている。若干キーボードが大仰で
うざったい部分もあるのだが、全体的にはむしろスペイシーで
しっとりと落ち着いた作風だ。GORAN FORSのボーカルは上手いとは
言い難いが、バンドの色としては合っており十分聴ける
レベルではある。[81]
END OF THE WORLD/NO WAY OUT / GASKIN
N.W.O.B.H.M.のバンドで1981年にリリースされた
デビュー・アルバムEND OF THE WORLDとその翌年にリリースされた
2ndアルバムNO WAY OUTをカップリングしたもの。日本では
それぞれボーナス・トラック入りでリリースされており、
こだわるならそちらを手に入れるべきだろう。そのサウンドは
N.W.O.B.H.M.のバンドとしては、Man Of Coloursのような
プログレッシヴ然とした曲はないが、LIMELIGHTと並んでもっとも
プログレッシヴ的指を持っているで、LIMELIGHTよりはさらに
ヘヴィな内容だ。特にEND OF THE WORLDはこの手の
バンドとしては御多分に洩れず録音状況は最低だが、名作と言って
良い作品で、Sweet Dream Makerを始め、哀愁を感じさせる美しい
メロディアスな佳曲が揃っている。NO WAY OUTではよりシンプルで
タイトな方向に向かっており、1stの劇的なメロディアスさが影を
潜めており、音質は向上しているが、内容的には落ちる。[86]
A BLOODRED PATH / GATES OF ISHTAR
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
デビュー盤。IRON MAIDENを思わせるメロディと曲展開を持つ
サウンドは素晴らしいの一言に限る。非常に印象的なメロディと
リフで、IRON MAIDENそのままのパワー・メタル風だが、
展開に合わせてブラック・メタル風にブラスト・ビートを
織り込んでくる。楽曲はアレンジも合わせて非常に素晴らしい
出来だし、演奏も結構いけるのだが、録音が少しチープなような
気がするのが惜しい。W.A.S.P.のI Wanna Be Somebodyを
カバーしているが、さびまで気がつかないし、これはなくても
よかったような気がする。非常に充実した内容で、傑作に値する
出来だ。[89]
DARK DAYS IN PARADISE / GARY MOORE
一時ブルーズに走り、そのヒットとは裏腹にファンを
落胆させていたアイルランド人ギタリストの新作だが、
ハード・ロックへ回帰すると言われたその噂は期待を裏切る
結果になっている。非常にエレクトリックな処理をされた
サウンドのロック・アルバムで、もったりとした気だるい作品に
仕上がっている。非常にお洒落という感じはするし、
Like Angels等楽曲自体も悪くないので、GARY MOOREの作品とさえ
思わなければ良いのかも知れないが。ただ、ブルーズ時代よりは
彼の泣きのギターを堪能出来る事は確かだ。もう彼は
ハード・ロックをやるつもりはないのだろうか。[78]
THE HORSE THAT BUD BOUGHT / GALACTIC COWBOYS
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。方向的には
演奏はヘヴィネス的な雰囲気すらあるスラッシィなものだが、
逆に歌メロは非常にポップで不思議な世界観を作り上げている。
アップ・テンポな楽曲でも何処となく気だるさを感じさせ、随分と
グランジ的な方法論を取るようになったなと
感じさせるところがある。サイケデリックな感覚すらあり、それ
程めりはりは感じないが、盛り上げるところではきちんと盛り
上げている。グランジをよりヘヴィにしたような感じなので、
グランジ方面が嫌いな人には少々辛いかもしれない。[77]
THE DAWN OF FLAMES / GATES OF ISHTAR
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
2ndアルバム。リズム隊がTHE EVERDAWNに移籍してしまったため、
入れ替わってしまっているが、それ程目にみえた影響は
感じられない。方向的も大きな変化はなく、いわゆる
IRON MAIDEN的なパワー・メタルを主体としている。
MIKAEL SANDORFのデス・ボイスは相変わらず強烈で、その咆哮は
好き嫌いが分かれるところだろう。プロダクションを含めて
完成度は上がっているが、その代わりややこじんまりと
聞えてしまわなくもない。もう少し破天荒な部分があるともっと
めりはりが出たのではと思うが、出来自体は良い。[87]
PRECIOUS ONES / GARY HUGHES
イギリスのハード・ロック・バンドTENの
メイン・コンポーザーでもあるボーカリストの6年ぶりの2nd
ソロ・アルバム。ギタリストもTENのVINNY BURNSと言う事で、正に
TENの世界が展開されている。TENよりはハードさを抑え目にした
感じだが、叙情的なメロディは正にそれだ。中にはIn Your Eyesの
様なWHITESNAKEのIs This Love?を思い起こさせるような
楽曲があったり、TENで既に聴いた様な楽曲があったりと、
相変わらずパターンの狭さを露呈しているが、メロディの出来
自体は非常に良く出来ている。あまりオリジナリティとかを
気にしないのであれば、この叙情的で美しいメロディは十分聴き
惚れる事が出来るはずだ。[85]
AT DUSK AND FOREVER / GATES OF ISHTAR
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの3rd
アルバム。バンド内の確執でメンバーが二転三転したが、結局
ボーカルのMIKAEL SANDORF、THE EVERDAWNのOSKAR KARLSSONが
復帰してゲスト・ミュージシャンを起用してアルバムを
リリースする事になった。メイン・コンポーザーの
MIKAEL SANDORFが復帰した事でこれまでのファンも納得出来る
作品になっている。スピードのある楽曲は同じく復帰した
OSKAR KARLSSONの激烈なドラミングにより、色褪せることなく
体現されている。バックは扇情的なパワー・メタルで、楽曲の
出来は素晴らしいし、演奏の方も問題無い。
メロディック・デス・メタルとしては最高峰のバンドの一つと
言えるだけの出来に仕上がっている。ボーナス・トラックとして
MOTLEY CRUEのRed Hotを取り上げているが、意外に面白い組み
合わせだ。[88]
AT THE END OF THE DAY / GALACTIC COWBOYS
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。リフを
ザクザクと切り刻んでくるスラッシュ・メタル的なサウンドに
ポップなメロディと言う印象があったが、今作ではよりポップな
メロディに重きを置いている様に思える。気だるさを湛えたやや
グランジっぽさもあるメランコリックな楽曲は独特の雰囲気を
持っている。楽曲によってはALICE IN CHAINSをよりテンポ
良くした様な感じもあり、アップ・テンポの
ロックンロール・ナンバーまでアルバムの中でもある程度
変化はある。オリジナリティの強いバンドだけに好き嫌いは
分かれるだろうが、出来は悪くない。[83]
OUT IN THE FIELDS-THE VERY BEST OF / GARY MOORE
アイルランド人ギタリストの2枚組ベスト・アルバム。最近では
ハード・ロック的な位置から全く外れてしまっているが、この
ベスト盤では何故か、殆どハード・ロック時代のもので
占められている。1枚目は通常のベスト盤と言う感じなのだが、
2枚目がかなり貴重で、アルバム未収録の音源で構成されている。
殆どがシングルのB面等に収められていたライヴ・バージョンで、
CD化は始めてと言うものも多い。新しい音源はないが、昔の
ファンにも初心者向けにも聴ける作品だ。アイルランド・テイスト
溢れる叙情的で哀愁味のあるメロディは、今聴いても独特の
味があり、素晴らしい。[84]
POWERPLANT / GAMMA RAY
ドイツのパワー・メタル・バンドの6thアルバム。元HALLOWEENの
KAI HANSEN率いるだけあって、その方向性は変るはずもなく、
言わずもがなのジャーマン・パワー・メタルだが、これまでの
作品と比べると、基本線は崩していないもののバラエティに
富んでいて、幅を広げたように思える。その分散漫な
感じがしなくもないが、PET SHOP BOYSのカバー、It's A Sinは
その分自然に感じられて面白い。楽曲の出来は相変わらずレベルが
高いし、アルバムの出来自体は中々素晴らしい。ドラマティックで
メロディアスな楽曲はそれだけで聴くだけの価値があるし、
KAI HANSENの決してうまいとは言えないボーカルは楽曲を大仰に
感じさせないし味がある。[85]
SOULBURNER / GARDENIAN
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンド、
IN FLAMESの元ギタリスト、NICLAS ENGELIN率いるバンドの
2ndアルバム。前作と比べると、IN FLAMES的な色合いは薄れ、より
ヘヴィでアグレッシヴなサウンドになっている。よりIRON MAIDEN
的な下敷きをはっきりと打ち出し、NICLAS ENGELINのスラッシィな
ギターを入れており、ARCH ENEMYっぽさの方が強く感じる。
JIM KJELLのデス・ボイスの他に、ゲストでクリア・ボイスと女性
ボーカルを入れてアクセントを付けているのも悪い選択ではない。
どうせなら、もっと女性ボーカルのパートを多くしても
良かったのではないだろうか。楽曲の出来は素晴らしいし、
演奏的にも十分納得出来るだけの中々の好盤に仕上がっている。
[85]
PERRENETTE GANDILLION / GANDILLION
詳細は全く不明だが、恐らくオランダの
ゴシック・メタル・バンドの1998年にリリースされたアルバム。
FEMKE FEENSTRAの女性クリア・ボイスを擁した流麗な
ゴシック・メタルで、バイオリンやアコースティック・ギター、
ピアノを導入したスペイシーな耽美系と言って良い作品だ。あまり
ゴシック・メタル的な荘厳さやドゥーム・メタル的な
ダークさはないので、割と聴き易いアルバムに仕上がっている。
その割にはヘヴィ・メタルらしいギター・メロディもあって、
それなりに聴きごたえがあって、好感が持てる。清廉な感じのする
FEMKE FEENSTRAのボーカルも、バンドのイメージに会っていて
悪くない。もう少し楽曲の質が上がれば、かなり良い作品を作れる
様になるだろう。[87]
A DIFFERENT BEAT / GARY MOORE
アイルランド人ギタリストのソロ・アルバム。
メロディアス・ハード系のギタリストとして日本でも人気を
得たが、ブルーズに転身、更に前作ではドラムンベースと
ハード・ロックからは距離を置いてしまっているだけに、今作も
ハード・ロック色は薄い作品となっている。今作では、またまた
方向性を変えており、リズム感のあるユーロ・ビート系の
サウンドになっている。それなりにキャッチーだし、聴き易くて
楽曲の出来は悪くない。これはこれである意味面白い
作品ではあると思うが、ハード・ロック側のリスナーからすると
やはり寂しさは隠せない。[80]
BLOOD OF EMERALDS-THE VERY BEST OF PART 2 / GARY MOORE
アイルランド人ギタリストの1998年にリリースされたベスト盤、
OUT IN THE FIELDS-THE VERY BEST OFに続く第2弾となる
アルバムだ。スウェーデンでのみリリースされたもので、
初回限定盤は2枚組みとなっている。前回同様、ハード・ロック
時代からだけの選曲で、前回落ちた重要な楽曲が
カバーされている。だが、むしろ重要なのはボーナスCDの方で、
貴重な音源が満載されている。Empty RoomsやFirday On My Mindの
12インチ用のロング・バージョンを始め、ライヴや
Falling In Love With Youのインストルゥーメンタルが
収められている。7分を超えるThe LonerやEmpty Roomsは
聴きごたえ十分で、ファンは必聴だろう。[84]
STAND OR FALL / GASKIN
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの未発表音源集。2枚の
アルバムをリリースして、1982年に解散したN.W.O.B.H.M.
バンドだ。当時のこの手のバンドとしてはロックンロール色が
薄く、よりキャッチーなメロディに、プログレッシヴ・ロック的な
エッセンスを持っていた。ソング・ライティングのクレジットが
PAUL GASKINだけで、DAVE NORMANの名前がない事を考えると、
NO WAY OUTA以前のものが中心なのだろう。確かにアルバムに
入れられなかっただけのレベルのものもあるが、City Of Lightsや
Stand Or Fall等は流石と思わせるだけのPAUL GASKINの
メロディ・センスが発揮されている。流石にプロダクションの
出来はお世辞にも良いとは言えないが、僅か2枚のアルバムで音楽
シーンから姿を消して行ったPAUL GASKINの才能は十分感じられる
作品だ。[83]
LET IT GO / GALACTIC COWBOYS
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの6thアルバム。その
メロディの根底にはあくまでもTHE BEATLES的なエッセンスが
漂っているが、同様のバンドと異なるのは、かなりグランジ的な
感じを伺わせる事だ。KING'S Xのドラマー、JERRY GASKILLが
参加しているが、正にKING'S X的な感じもするが、更にそこに
彼等らしいスラッシィなリフが織り込まれて来るのがユニークだ。
全体的にキャッチーでポップな楽曲は非常に聴き易いが、その
一方でやや淡白な感じがあって、今一つ盛り上がりに欠けると言う
感はいがめない。スラッシィでヘヴィなリフがフックを幾分
付けているが、まだ物足りないと言う感じがする。[80]
BLAST FROM THE PAST / GAMMA RAY
ドイツのパワー・メタル・バンドの2枚組みベスト盤。旧来の
楽曲は、現在のメンバーで録音し直しており、企画盤的な色合いの
感じられる作品だ。現行の体制で録音された楽曲に関しては
リマスターのみが施されているが、それ以外は全てのパート、
あるいは現行のメンバーでないパートは新たに
レコーディングしている。ファン投票で選曲したと
言うだけあって、集録されている楽曲は概ね満足出来るし、録音し
直した事で違和感を感じる事もなく、パワフルで十分納得出来る
内容だ。新曲は全くないが、アルバムの趣旨からするとむしろその
方が良いと思える。[83]
THE GREATEST / GARY MOORE
元THIN LIZZYのアイルランド人ギタリストによる1998年に
リリースされたベスト盤。日本独自の企画盤で、同じ頃に
ワールド・ワイドにベスト盤が出ているのと比べると、そちらは
ハード・ロック時代に特化していたのに対して、こちらは
全時代的で方向の統一性はなく、珍しい音源も皆無と言う事で、
あまり有り難味のない作品と言えるだろう。何故この時期にこの
様な作品を出したのか理解に苦しむが、ブルーズ時代も含めて、
彼の楽曲を聴く事が一応出来る訳で、それだけの意味はあるかも
知れない。ただし、ブルーズの比率が割と高いので、その点も
不満に感じられるが。[79]
DEADLY FAIRYTALES / GANDALF
フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの1998年に
リリースされたデビュー盤。方向的には同郷のSENTENCEDがまだ
メロディック・デス・メタル的な色合いを失う前の頃の様な
サウンドだ。攻撃的なサウンドに叙情的な泣きの
ギター・メロディが絡んで来たりする。Eternal Fireで
アコースティック・ギターを絡ませたりしながら、
ドラマティックに進めるところ等は、決してSENTENCEDにも
劣らないところを見せているが、全体的に聴いてみると楽曲の
出来に波が感じられる。もう少し哀感を出せていれば、より
ドラマティックで良かったと思うが。[79]
FUTURE DRUG / GARGOYLE
日本のパワー・メタル・バンドの2年振りとなる7thアルバム。
音楽的には、ガキ帝國等、スラッシィな感じのするリフの
楽曲もあるが、割とはっきりとメロディを打ち出しており、
スラッシュ・メタル的なエッセンスも感じられるパワー・メタルと
言ったところだ。バイオリンを始め、三味線や琵琶まで導入し、
一種独特の味わいを出している。とは言っても、捻り過ぎと言う
感じもなく、勢いがあって適度にコアで聴き応えのある作品に
仕上がっている。歌詞は日本語で、そのためもあってか
Open The Gate等は歌メロは日本のロックと言う感じが強くする。
[80]
BACK TO THE BLUES / GARY MOORE
元THIN LIZZYのアイルランド人ギタリストによるソロ・アルバム。
ハード・ロックからブルーズに転向し、更にここ2作では
ドラムン・ベースに挑戦したりと、旧来のハード・ロック時代の
ファンンからは遠ざかって行っていたが、今作ではその
アルバム・タイトルが示す通り、最目成功したしばらく前の
ブルーズ時代に立ち戻っている。前作等よりは、アグレッシヴで
泣き満載の彼らしいギター・プレイが随所に聴けるので、
ファンにとっては有り難いだろう。しかし、如何にも王道を行く
様なブルーズで、こう言った作品に聴きなれていないと中々
辛いところもあるのは確かだ。[80]
SINDUSTRIES / GARDENIAN
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの
3rdアルバム。北欧のメロディック・デス・メタルらしい、憂いを
含んだメロディの、パワー・メタル的な作品と言って良いだろう。
前作と比べるとゴシック・メタル的な色合いが強くなっており、
よりメランコリックな作品となっていると言って良いだろう。
JIMのボーカルがデス・ボイスとクリア・ボイスを使い分ける
様になったため、そう言った印象をより一層受ける。ダンサブルで
アップ・テンポの攻撃的なリフがビート感を出し、のりの良さが
非常に良く出ている。楽曲の出来は前作にも劣らないし、
ゴシック・メタル的なセンスを上手く活かした良盤に
仕上がっている。[85]
HEAVEN OR HELL / GAMMA RAY
ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム、
NO WORLD ORDERからの1stシングル。シングル・カットの
タイトル・トラックに、Solid、アルバム未収録のTHIN LIZZYの
カバー、Angel Of Deathの全3曲と言う構成になっている。
Heaven Or Hellは彼等としては最もキャッチーさを前面に押し
出した楽曲で、それ程ジャーマン・パワー・メタル的な色合いは
強くない。むしろSolidの方がそう言うらしさがあるのだが、楽曲
事体は完全にJUDAS PRIESTの焼き直しで疑問の残るところだ。一番
評価出来るのはAngel Of Deathで、上手くアレンジしていて
源曲とはまた違った趣がある。[80]
NO WORLD ORDER! / GAMMA RAY
ドイツのパワー・メタル・バンドの7thアルバム。音楽的には
いわゆるジャーマン・パワー・メタルと言わるるものだが、この
作品では楽曲によってはその音楽性が発散している様に思える。
Dethrone Turanny等は如何にも彼等らしい楽曲ではあるが、その
一方で、あからさまにJUDAS PRIESTやIRON MAIDENそのものと
言った感じの部分もあり、今更こう言ったオリジナリティとは
反対の方向へと進む意味合いが全く判らない。
The Heart Of The Unicorn等は明らかにJUDAS PRIESTだし、
New World OrderはIRON MAIDEN的だ。特にJUDAS PRIEST的な
色合いが強く、決してそれが悪いと言う訳ではないが、元からの
彼等らしい楽曲の出来は素晴らしいだけに、あえてこう言う作品
作りを行った事には疑問を感じずにはいられない。[80]
ロマン / GARLIC BOYS
日本のミクスチャー・バンドのアルバム。ファンク、
ハード・コア、スラッシュ・メタル、プログレッシヴ・ロック、
ヘヴィ・ロックと言った様々なエッセンスが伺える作品だ。歌詞は
非常にユニークなもので、逆に拒否反応を起こすかも知れない。
その割に、憂いを帯びたメロディが飛び出したりと、その辺の
アンバランスさが非常に面白い。時にはヒステリックに、時には
ダークに、疾走感を伴いながらも変化して行く楽曲は中々良い
出来だ。ぱっと見は色物的に思えるかも知れないが、アイデアは
豊富で意外と良く出来たアルバムで、一気に聴かせるだけの
エナジーが感じられる。[80]
EXORCISM / GALLOWS POLE
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。元SCANNERの
ベーシスト兼ボーカリスト、JOHN A.B.C.SMITH率いるバンドだ。
JOHN A.B.C.SMITHのボーカルは、ANDI DERRISを思わせる様な
声質である事もあって、やや最近のHELLOWEENっぽさを思わせる
部分もある。ただし、楽曲的にはアイリッシュっぽさを
入れていたり、もっとアメリカナイズされていたりして、
ジャーマンっぽさはあまり感じられない。Politicians等では
IRON MAIDENっぽいフレーズ等も入れたりしているが、単なる
物真似ばかりと言う訳ではなく、全体的には楽曲の出来も良いし、
意外と良く出来た作品だ。[82]
4 / GAMMA
アメリカのハード・ロック・バンドの再結成第一弾となる
20年振りの4thアルバム。元MONTROSEのギタリスト、
RONNIE MONTROSEを中心としたバンドで、MONTROSE時代からの
盟友で、WHITESNAKEやMICHAEL SCHENKER GROUP、HEARTでも
活躍したドラマー、DENNY CARMASSIがここでも加わっている。
ブルージィなエッセンスを持ちこんで、時には憂いを帯びて
ドラマティックに、時にはシャッフル調ののりの良い楽曲と、
懐かしさも感じさせてくれる様な、アメリカン・ハード・ロックを
聴かせてくれており、ベテランらしい味わい深さを
感じさせてくれるアルバムに仕上がっている。[82]
RECYCLE / GARLIC BOYS
日本のミクスチャー・ロック・バンドの2枚組のアルバム。
1996年から2000年にかけて録音された未発表音源を集めたものに、
ライヴ等の映像を集めたボーナスDVDを付けた構成になっている。
歌詞はほとんどが日本語で、言わば馬鹿ロックとも
言えるものだけに、あまり興味を持てない人も多いだろうが、デモ
音源とは思えないくらいレベルは高い。ボーナスDVDは1985年、
1989年〜1992年、1994年、1996年〜1998年、2000年、2001年に
行われた日本での公演と2001年に行われたドイツでの公演の模様を
収めたもので、これまでプライベートに残していたライヴ映像を
編集したと言う感じで、特に昔のものは録音状態が良くない。[80]
倭 / GARGOYLE
日本のヘヴィ・メタル・バンドの8thアルバム。方向的には
スラッシュ・メタルのエッセンスを盛り込んだ、パワー・メタルと
言った感じだが、ギタリストの与太郎が脱退し、ギターが
1本になった事も影響してか、スラッシュ・メタル的な
エッセンスはかなり薄くなっている。ベース・ソロ等も結構押し
出されており、前半はそれ程悪影響は感じられないが、後半、
ミドル・テンポの楽曲が多くなって来るとややパワー不足を
感じずにはいられない。ヴィジュアル系と言える
ファッション・スタイルと日本語の歌詞に違和感を憶えるかも
知れないが、そのレベルは決して低くない。[79]