THE REAPER / GRAVE DIGGER

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた再結成 第一弾となる5thアルバム。方向的には、初期に戻った感じで、 オーセンティックでごりごりとした力押しして来る ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。それ故、プロダクションは 良いものの、垢抜けない感じがして、その分B級臭さの感じる 作品となっている。出来自体は決して悪いとは思わないのだが、 全体的に楽曲に面白味が欠け、更に一本調子であるが故に、 アルバムを通して聴いていると最後には飽きが来る。やや JUDAS PRIESTっぽいところがあるが、出来ればもう少しメロディを 押し出して欲しいところだ。[78]

HEAVY METAL BREAKDOWN/RARE TRACKS / GRAVE DIGGER

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた デビュー盤、HEAVY METAL BREAKDOWNに、アルバム未収録曲を ボーナス・トラックとして11曲追加して1994年にリリースされた アルバム。方向的にはごりごりと力押しして来る感じの ヘヴィ・メタルで、CHRIS BOLTENDAHLの歌い方もあって、 ACCEPTっぽさを感じる作品だ。楽曲的のはもっと JUDAS PRIESTっぽさを感じさせる剛直さがあって、悪くない 作品だ。ただ、オリジナリティと言う点では今一つだし、 プロダクションの悪さもあいまって、どうしてもB級と言う 感じがするのは遺憾ともし難い。[78]

WITCH HUNTER/WAR GAMES / GRAVE DIGGER

ドイツのパワー・メタル・バンドによる、1985年にリリースされた 2ndアルバム、WITCH HUNTERと1986年にリリースされた 3rdアルバム、WAR GAMESをカップリングしたもの。方向的には 前作の延長線上と言えるもので、JUDAS PRIESTっぽさを感じさせる 重厚なヘヴィ・メタルだ。プロダクションのチープさは、 デビュー盤から比べると、2ndアルバムはかなり ましになっているし、3rdアルバムは更にちゃんとしたものに 仕上がっている。とは言え、全体から匂って来るB級臭さは 相変わらずで、それはLove Is Breaking My Heartの様な バラードで特に顕著だ。楽曲自体は割と粒が揃っていて、特に WAR GAMESは出来は悪くない。[80]

SYMPHONY OF DEATH / GRAVE DIGGER

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた ミニ・アルバム。再結成後、ドラマーが安定せず、今作で クレジットされているJORG MICHAELも、リリースされる頃には RUNNING WILDに移っている。これまで同様、JUDAS PRIESTっぽさを 感じさせる部分はあるが、よりパワー・メタル的な作品に 仕上がっている。CHRIS BOLTENDAHLのボーカルは、より中低音を 中心としたものになっている、そのためRUNNING WILDっぽさが 増した故だろう。AC/DCのSIN CITYをカバーしており、バンドの スタイルからすると、やや合っていない様な気もするが、そこは アレンジで上手くカバーしている。[81]

GREAT WHITE / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた 初のアルバム。DON DOKKENのプロでユースにより、自主制作で リリースされたデビュー・ミニ・アルバムの成功で、いきなり メジャー・デビューを獲得した訳だが、結論から言えばこの アルバムでは成功とは程遠い結果で、いきなりメジャーから ドロップしてしまった。Out Of The Night、On Your Knees、 Dead Endと言った、ミニ・アルバムにも集録されているナンバーを 再録し、方向的にはその路線を引き継いだものと言える。 愁いのある扇情的なヘヴィ・メタルと言った感じの バンドであるにも関わらず、Substituteの様な、能天気な楽曲が 入っていたり、その他でもミニ・アルバムと変わり映えしない 割には、盛り上がりどころが作れていないのも大きな問題だろう。 [82]

ONCE BITTEN / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた 3rdアルバム。インディにドロップしながらも、メジャーに 復活した前作と比べ、全体的にブルージィな色合いが出て 来ている。シャッフル調の哀愁を効かせたナンバー、Rock Meは 彼等の代表曲の一つとも言えるもので、中々の名曲だ。前作までの ヘヴィ・メタル然とした色合いを残しながらも、彼等の最大の ヒット作となる、ブルーズ色の強い次作との中間的な色合いの 作品で、彼等の特徴が良く出ているアルバムと言って良いだろう。 楽曲の出来は良いし、バラードのSave Your Loveで締める辺りも 感動的だし、傑作と言って良いレベルのアルバムに 仕上がっている。[88]

RECOVERY:LIVE! / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた 企画盤。アメリカ、イギリス、日本でそれぞれフォーマットの 違ったものがリリースされたが、これはそのアメリカ盤だ。 1982年にリリースされた自主制作のデビュー・ミニ・アルバム、 ON YOUR KNEESにデビュー盤から5曲、全てカバー曲で 構成されているスタジオ・ライヴが5曲と言う内容だ。L.A.メタル 初期に、そのステータスを築いたデビュー・ミニでは扇情的で中々 良いメロディアス・ヘヴィ・メタルを効かせてくれている。 スタジオ・ライヴは、ROBERT PLANT的と言われるJACK RUSSELLの ボーカルを存分に生かしたLED ZEEPLINのカバー、 Immigrant SongやRock N Roll、JIMI HENDRIXのRed House、 HUMBLE PIEのI Don't Need No Doctor等と言う中々興味深い 選曲がされている。[86]

RECOVERY:LIVE! / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた 企画盤。アメリカ、イギリス、日本でそれぞれフォーマットの 違ったものがリリースされたが、これはその日本盤だ。内容的には ほとんどベスト盤と言えるもので、アメリカ盤に比べてアルバム 未収録のものが少ないのだが、ここで注目されるのは LED ZEPPELINのカバー、Since I've Been Loving Youと Face The Dayと言う2曲のライヴが収められている事だろう。特に 素晴らしいのはSince I've Been Loving Youで、JACK RUSSELLが ROBERT PLANTばりのボーカルを聴かせてくれており、実に 素晴らしい出来で、これだけでも十分聴く価値がある。[85]

...TWICE SHY / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 4thアルバム。前作でブルージィな色合いを見せていたが、 今作ではそれがより顕著になっている。その分、愁いの感じられる 扇情的なメロディはかなり減退しており、よりアメリカ的な 感じのする作品になっている。彼等としては最大の ヒット作となった訳だが、メロディアス派のリスナーからすると、 この路線変更はかなり不満の残るところであっただろう。とは 言っても、彼等らしいメロディはまだ随所に聴けるし、次作程 極端になっていないのは救いと言えるかも知れない。 The Angel SongやShe Onlyは前作のSave Your Loveタイプの美しい 愁いのあるバラードだ。[84]

...TWICE SHY / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 4thアルバムの日本盤。アメリカ盤との違いは、 ボーナス・トラックとして、ROLLING STONESのカバー、 It's Only Rock'n'rollとBitch、FOREIGNERのカバー、Womenを シャッフル調にアレンジしたメドレーと、Wasted Rock Rangerが 集録されている。Wasted Rock Rangerはオリジナルが誰かは 判らないが、如何にもカントリーらしい作品で、メタル系の リスナーにはあまり興味は持てないだろう。メドレーの方も、 試みとしては面白いし、如何にも彼等らしさが出ているが、 ボーナス・トラックの範疇を超えるものではない。[83]

HOOKED / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 5thアルバム。徐々にブルージィな色合いを増してきていた 彼等だが、その前作の成功もあってか、今作はより一層顕著に ブルーズ色を強く打ち出している。ただ、ここまで来るとやり 過ぎと言う感があり、2ndでの扇情的な愁いのあるヘヴィ・メタル 色は全くなくなり、この頃のファンからすると聴きどころのない 作品とさえ言ってしまえる内容だ。彼等のルーツとして ブルースがあるのは判るし、そう言った色合いを出すことが全く 悪いとは思わないし、決して悪い出来の作品とは思わないのだが、 あまりにも趣味に走り過ぎたと言えるだろう。せめてこれまで 聴かせてくれていた哀愁のバラードでも入っていれば 良かったのだが。[80]

LIVE IN LONDON / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた ライヴ盤。1989年に行われたALICE COOPERのイギリス公演で サポートとして出演した模様を収めたものだ。...TWICE SHYが リリースされた後のもので、当然そのアルバムからが 多くなるのだが、注目は何と言ってもデビュー・ミニ・アルバムに 集録されていたOn Your Kneesを演奏している事だろう。 RECOVERY:LIVE!のイギリス盤以来のライヴ盤と言う事になるが、 前座で僅か40分しかない事もあって、楽曲が少な過ぎて、尺的に やや物足りない感じがする。とは言え、彼等のライヴの魅力は十分 伝わって来るし、出来は悪くない。[83]

THE BLUE EP / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 来日機記念盤のミニ・アルバム。これまで未発表となっていた テイクを集めたもので、これまでの彼等とはかなり趣の 異なったものとなっており、中々興味深い作品に仕上がっている。 特にCLARENCE CLEMONSがサックスとしてセッションに参加している Train To NowhereやDown At The Doctorと言った ブルーズ・ナンバーはHOOKEDへ色濃く反映されている。扇情的な ヘヴィ・メタルを期待するのであれば外すだろうが、彼等の異なる 一面と考えれば、アルバムに収めず、こう言う企画盤的に出して 来るのは、それはそれで意義がある。[80]

PSYCHO CITY / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 6thアルバム。大ヒットとなった4thアルバムと比べると、前作は セールス的には失敗と言える結果となった。その原因は、前作では 非常にブルーズ色の強い作品作りで、その分ハードさが 感じられなかった事と言って良いだろう。今作はその失敗の 反省もあってか、よりロック色の強い、昔の作品作りに揺り 戻している。とは言っても、ブルーズ色をなくしてしまった 訳ではないので、デビュー時と言うよりは前々作と 言ったところだ。楽曲の出来も踏まえて、中々扇情的で良い アルバムに仕上がっている。ボーナス・トラックとして JAFFERSON AIRPLANEのSomebody To Loveをカバーしているが、 これが実に良い出来だ。[87]

SAIL AWAY / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 7thアルバム。初回限定盤では、1993年にアメリカで行われた ツアーの模様を収めたライヴ盤がボーナスCDとして付いた 2枚組みとなっている。アメリカの音楽事情もあって、再び メジャーからドロップしての作品となっている。その混乱は 彼等にもあるのか、ここ数作の作品作りの方向性の迷走がそれを 物語っている。前作ではHOKKEDでのブルーズ路線から、ハードな 路線に揺り戻したかと思えば、今作では非常にアコースティック 色の強い作品となっている。ブルーズ色も前作以上に表に 出ているが、HOOKED程露骨ではない。ライヴ盤の方は、HOOKEDの ボックス・セットのものと似た雰囲気のブルージィ色の 強いものではあるが、楽曲はあまりダブっていないので、その 補完的な価値はあるだろう。[82]

SAIL AWAY / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 7thアルバムの日本盤。日本盤も海外盤と同様に初回限定盤として 1993年にアメリカで行われたツアーの模様を収めたライヴ盤が、 ボーナスCDとして付いた2枚組みとなっているのだが、こちらは 更に2曲追加されている。ColdーHearted Lovin'とMista Boneの 2曲だが、他にもっとやって欲しい楽曲はあるものの、 ブルージィな楽曲中心のライヴ盤としては、ライヴの流れ的には 壊さないものだし、妥当な線と言って良いだろう。本作もライヴも ブルージィな色合いが濃いので、彼等のそういう面が好きでないと 少々だれるかも知れない。[81]

NOBITING / GRETA

アメリカのロック・バンドの1993年にリリースされたデビュー盤。 方向的には、オルタナティヴ・ロックと言ったものを中心に 据えながらも、様々の要素が感じられる作品に仕上がっている。 パンキッシュで、ファンキーでありながらも、SCOTT CARNEGHIの ドラムやKYLE BAERギターはヘヴィ・メタル的な色合いを 感じさせる。アグレッシヴで硬軟取り混ぜてあって、 楽曲によってはFAITH NO MOREっぽさを感じさせる 部分があったりして、中々ユニークで面白いアルバムに 仕上がっている。シングル向きと言った楽曲はないが、アイデアは 悪くないし、まずまず良く出来た作品だ。[80]

SEE YOU IN HELL / GRIM REAPER

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた デビュー盤。N.W.O.B.H.M.中期に登場したバンドで、この アルバムもご多聞に漏れずプロダクションは良くない。後により パワー・メタル然として行くが、ここではまだN.W.O.B.H.M.らしい ロックンロール調的な色合いが若干残ったものとなっている。 それでも、N.W.O.B.H.M.としては最もヘヴィ・メタル然とした 作品で、アップ・テンポ中心の楽曲はメロディも良くて中々格好の 良い作品に仕上がっている。STEVE GRIMMETTのパワフルな ボーカルは効果的で、力強さを感じさせる作品に仕上がっている。 [83]

FEAR NO EVIL / GRIM REAPER

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた 2ndアルバム。前作でビルボードのアルバム・チャートに ランク・インし、DEF LEPPARDとIRON MAIDENを除けば、 N.W.O.B.H.M.バンドとしては異例のヒットとなった。しかし、 前作ではプロダクションと言う致命的な問題があったが、今作では それが大幅に解消されている。楽曲も平均的に良く出来ていて、 前作に劣らぬ粒の揃った作品となている。方向的には前作の 延長線上と言えるもので、N.W.O.B.H.M.としてはより ヘヴィ・メタル然とした作品で、中々格好の良い作品だ。[83]

ROCK YOU TO HELL / GRIM REAPER

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた 3rdアルバム。プロダクションはこれまでより格段に 良くなっており、楽曲の質の高さもあいまって、彼等の最高傑作と 言えるだけの作品に仕上がっている。契約問題のトラブルで、 これを最後に活動を停止してしまったのは、非常に 惜しまれるところだ。N.W.O.B.H.M.バンドとしては、アメリカで DEF LEPPARD、IRON MAIDENに継ぐステイタスを 築くまでになっていただけに、このまま活動してたらと 残念でならない。この手のものとしては、非常にヘヴィ・メタル 然とした作品で、楽曲によってはジャーマン・パワー・メタル 臭さを感じさせるドラマティックさがある。[87]

HOOKED + LIVE IN N.Y. / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 5thアルバムに、ライヴ・アルバムをパッケージした日本のみの 企画ボックス盤<宴Cヴ盤の方は、HOOKEDのリリース後に 行われた、ラジオで生放送されたニュー・ヨークでのライヴの 音源をそのままアルバムにしたものだろう。ライヴ・アクトとして それなりに評価されているにも関わらず、いまだにきちんとした ライヴ盤を出していないが、これまで企画盤的に出た数多くの ライヴ盤と比べると、選曲的には今一つと言った感じだ。HOOKED リリース後のアメリカでのライヴと言う事で、当然ブルージィ色の 強いものとなっており、選曲も新しいものが中心だ。旧来の ファンからすると、Rock Meをやっている事だけが救いと 言えるだろう。ラジオの生放送と言う事もあって、DJによるMCが 入っているが、ライヴとしての出来は悪くない。[80]

POWER OF INNER STRENGTH / GRIP INC.

元SLAYERのDAVE LOMBARDOと元DESPAIRのWALDEMAR SORYCHTAの 新バンドの1stアルバム。とはいうもののSLAYERやDESPAIRとは 路線がまた異なっており、全く新しいバンドと考えた方が 良いだろう。メイン・コンポーザーがWALDEMARである関係上、若干 DESPAIRっぽくもあるのだが、DESPAIRの様な無機質的な暗さは 感じられない。DESPAIRでは感じられたこういった個性があまり 見えてこないので、今一つ中途半端だという感がいがめない。 DAVE LOMBARDOのドラムは相も変わらず激しいし、演奏的には さすがと思わせるものがあるのだが、楽曲に魅力が 感じられないのも残念だ。[81]

STAGE / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2枚組みライヴ盤。 L.A.メタル期に登場したサンフランシスコのバンドで、考えれば 今まで沢山のライヴ・マテリアルを出していたが、企画盤とか 言った類を除けば初めてと言えるまともなライヴ・アルバムだ。 とは言うものの選曲がブルーズに傾倒しだしてからのものが 中心で、いかにも渋いと言った感じの作風になっている。もちろん Face The Dayと言った初期の定番と言った楽曲も 含まれてはいるが。演奏面でもそう言う事が感じられて、本来、 のりの良いはずの楽曲にのりが感じられないのが残念だ。スローな ナンバーでは、逆に非常にうまくまとめていてさすがと言う 感じはするが。[78]

LET IT ROCK / GREAT WHITE

アメリカのハード・ロック・バンドのアルバム。1992年に 発表されたPSYCHO CITYは久々にファンが望む、GREAT WHITEらしい 作品だった。ちょうど彼等の一番良い時期であったと言える SHOT IN THE DARK、ONCE BITTENの中間のような作品の 佳作だった。その後Zoo Recorsと契約してからの方向性は一歩 後退してしまった感があったが、今作ではやはり昔に近い 作品になっている。とは言っても、SHOT IN THE DARKとはやや 違い、明らかにブルーズ色があり、ロックンロール的でむしろ TWICE SHYの頃に近い内容だ。GREAT WHITEにのりの良い部分を 求めるなら良いだろうが、むしろメロディアスな部分を望むなら SHOT IN THE DARKはもちろん、PSYCHO CITYにも及ばないだろう。 出来的には十分満足出来るものだし、スロー・ナンバーの Pain Overloadの円熟した上手味等、中々たいしたものだ。今回も カバーとして、XのBurning House Of Loveを ボーナス・トラックとして収録しているが、これも中々出来が 良い。[85]

IN CONCERT / GREG LAKE

KING CRIMSON、EMERSON, LAKE & PALMER、ASIAと言った層々たる プログレッシヴ・ロック・バンドを渡り歩いたイギリス人 ボーカリストのソロ・ライヴ盤。ラジオ番組、 King Biscuit Flower Hour用のマテリアルをCD化したもので、 1981年のレデンイング・フェスティバル後に行われたツアーから HAMMERSMITH ODEONでの模様を収録している。ギタリストとして GARY MOOREが参加しており、彼の名曲Parisienne Walkwayを GREG LAKEが歌い、21st Century Schizoid ManをGARY MOOREが 弾くという、今や考えられないシチュエーションで、非常に興味 深い。その他、ドラムに元M.S.G.のTED MCKENNA等が 参加している。ライヴ音源としての状態も悪くなく、貴重な 作品と言えるだろう。[86]

GREAT KING RAT / GREAT KING RAT

既に解散したスウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドで1992年に リリースされた唯一のアルバム。メンバーのうち、LEIF SUNDINは その後一度は再結成M.S.Gに参加するし、MIKAEL HOGLUNDは THUNDERで、TOMAS BROMANはELECTRIC BOYSに参加して活躍するなど メンバーの実力は確かだ。楽曲はそれほど北欧のバンド的な部分は 強くなく、ブルージィで非常にエモーショナルで メロディ・センスも素晴らしいし、良い作品に仕上がっている。 これだけ素晴らしいアルバムを作るバンドが、その意志とは 関わり無く解散せざるを得なかったのは残念なことだ。[86]

NEMESIS / GRIP INC.

元SLAYERのドラマーDAVE LOMBARDOを中心とした スラッシュ・メタル・バンドの2ndアルバム。DAVE LOMBARDOの ドラミングは相変わらず凄い。デビュー盤では楽曲の出来が 今一つで、DAVE LOMBARDOのドラムばかりが注目される 作品になってしまっていたが、ここに来てバンドとして 機能しはじめたというところだろう。DESPAIRの メイン・コンポーザーだったWALDEMAR SORYCHTAだが、 DAVE LOMBARDOのドラムを生かすべく、DESPAIRとは趣を変えた 曲作りを心がけているようだが、これはこれで悪くない。 スラッシュ・メタルらしく攻撃的で迫力のある作品に 仕上がっている。[83]

GRAVITY KILLS / GRAVITY KILLS

アメリカのインダストリアル・ハード・コア・ロック・バンドの デビュー盤。テクノ風の機械的なディスコ・ミュージックという 感じが強くするが、歌メロが意外とポップで聴きやすい。 楽曲によっては非常にグルーヴ感とビート感の強い 作品になっている。ヘヴィ・メタル的な色合いは全くないので、 単純にディスコ・ミュージックを聴けない人にはかなり辛い 作品かもしれない。それを承知でという事ならGoddbye等では 意外な程ポップなメロディが飛び出して、結構悪くない作品だ。 全体的にダークでニヒルな雰囲気があって、ポップと言っても 心踊る様な感じではあまりない。[78]

WHEN DAYLIGHT'S GONE / GRAVEWORM

詳細が全く判らないが、メロディック・デス・メタル・バンドの アルバム。FIORI STEFANのブラック・メタルっぽい スクリーミングとうなるようなデス・ボイスの2種類のボーカルを 使い分けている。スクリーミング自体はそれ程でも無いのだが、 このデス・ボイスが中々凄すぎて魅力は半減だ。叙情的で泣きを 奏でるギター・メロディは素晴らしく、オーケストラレーションも 効果的に挿入されている。暗い、哀愁のメロディは実に美しいし、 全体の構成も結構良いので、このデス・ボイスがもう少しましなら 素晴らしい作品になったと思うのだが。[81]

BOSNIA / GRAND FUNK RAILROAD

アメリカのハード・ロック・バンドの2枚組みライヴ盤。 1970年代、一世を風靡したバンドだが、再結成後のアメリカでの 公演の模様を収めたものだ。長い間解散していたとは言え、その ライヴ・パフォーマンスは十分安心して聴いていられる 水準であり、中々良い出来だと言って良いだろう。名曲中の名曲、 Heartbreakerを始め、往年のヒット曲である We're American Band、The Loco-Motion等、選曲もつぼを 押さえている。サックスを入れたりと結構捻りを 加えたりもしており、ショウとしての構成もそれなりに 考えられている。[82]

SOLIDIFY / GRIP INC.

元SLAYERのDAVE LOMBARDO、元DESPAIREのWALDEMAR SORYCHTA率いる アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの3rdアルバム。 DAVE LOMBARDOのドラミングはいつもと変らぬ凄まじさを 見せてくれているが、今作ではWALDEMAR SORYCHTAの鬼才振りが いかんなく発揮された作品だと言って良いだろう。方向的には これまでの路線を押し進めたものではあるが、これまでの彼の 音楽的傾倒からすると、新たなエッセンスを持ち込んだと言っても 良いだろう。これまでのダークなサウンドに、変則的なリフを織り 交ぜ、非常に勢いを感じさせる作品に仕上がっている。緊迫感が 非常に強く漂っており、楽曲の出来も中々だし、演奏も十分満足 出来るだけの素晴らしい作品に仕上がっている。[86]

GREAT ZEPPELIN A TRIBUTE TO LED ZEPPELIN / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドによるLED ZEPPELINの カバー・ライヴ・アルバム。これまでもライヴでは I'm Gonna Leave Youを演奏したり、RECOVERY LIVEでは、アメリカ 盤でImmigrant Songのスタジオ・バージョンや、日本盤では Since I've Been Loving Youのライヴ・バージョンを収録する等、 LED ZEPPELINのカバーをやっていただけに、こういうライヴの 期待がなくもなかった。KINGDOME COMEのLENNY WOLF等と並んで、 ROBERT PLANT的として知られていただけに、JACK RUSSELLの ボーカルは圧巻である。最早、本物以上に本物らしい歌唱は 素晴らしいとしか言い様がない。MARK KENDALLのギターも雰囲気を 良く出している。惜しむらくはAUDIE DESBROWのドラムが JOHN BONHAMとはまた違ったタイプだという事くらいだろう。 Since I've Been Loving Youも素晴らしいし、最後は ハード・ロックに止まらない、スタンダード中のスタンダード、 名曲Stairway To Heavenで締めるところも素晴らしい。[88]

FIGHT OR THE GRIFFIN / GRIFFIN

詳細は全く不明だが、恐らくアメリカのヘヴィ・メタル・バンドの アルバム。いつの時代の作品化も判らないが、恐らく1980年代に 作られたアルバムではないだろうか。方向的にはJUDAS PRIEST型の ごりごりのヘヴィ・メタルだが、プロダクションは非常に悪く、 その完成度は遠く及ばない。混沌として、未整理な部分も多いが、 そのエナジーは十分感じる事が出来る。Heavy Metal Attackと言う 様な曲名を付けるセンスも凄いが、楽曲自体のセンスは悪くない。 Submissionでは、泣きの感じられるギターを入れたりと、 ヨーロッパの臭いB級ヘヴィ・メタルと言う感じもする。[75]

CAN'T GET THERE FROM HERE / GREAT WHITE

アメリカのハード・ロック・バンドの3年振りのアルバム。 方向的にはブルーズ的な彼等の趣向が出ているが、HOOKED程 ブルーズ的過ぎると言う感じではないが、2nd等で見られた愁いを 含んだヘヴィ・メタルと言う部分はなくて、ほのぼのとした アメリカン・ハード・ロックンロールに仕上がっている。 Loveless Ageは中期のブルージィなバラードで、如何にも 彼等らしい楽曲だが、全体的に見ると、プロデューサーの JACK BLADESやDON DOKKENが曲作りに全面的に参加しており、 これまでよりやや趣が違う作品と言う感じも受ける。しかし、 これらの曲を良く消化しており、本質的な部分はこれまでと 変りはない。[84]

...OUT OF THE CAN... / GREAT KING RAT

スウェーデンの再結成第1弾となる、7年振りの2ndアルバム。 当時、実力派として、一部で話題になったものの、レコード 会社とのトラブルもあって、商業的な成功からは程遠い結果で 終わってしまった。むしろ、実力派メンバーだけあって、その後の 活躍の方が有名だろう。PONTUS NORGENはTALISMAN、 TOMAS BROMANはELECTRIC BOYS、AMAZE ME、LEIF SUNDINはM.S.Gの 他、THE JOHANSSON BROTHERS、JOHN NORUMのアルバムに参加、 ANDERS NILSSONもJOHN NORUMのアルバムに参加し、 MIKAEL HOGLUNDはTHUNDERにと、そうそうたる活躍をしている。 方向的には、デビュー盤同様、ブルーズ的な部分も感じられる 叙情的で明るいハード・ロックだ。この作品は、実際には、 1990年から1992年までに録音された未発表音源を集めたもので、 純粋な新作ではないのだが、その内容はデビュー盤にも劣らず 素晴らしい。[83]

EXCALIBUR / GRAVE DIGGER

ドイツのパワー・メタル・バンドの9thアルバム。従来、 ジャーマン・パワー・メタルと言うよりは、もっと剛直な 感じのするパワー・メタルだったが、今作ではよりメロディを 前面に押し出して来ている。以前は剛直なだけで、面白味に 欠けると言わざるを得ない所があったが、これほどメロディを打ち 出して様になるとは正直思わなかった。より叙情的な作品になった 事で、音楽性の懐が広がった感じで、アルバムを通して 聴かせるだけの力がやっと付いて来たと言った感じだ。 元々あった、剛直的な部分が緊迫感を産んでいるし、 期待していなかっただけに、思いの外良い出来だ。[84]

ASCEND / GREG HOWE

アメリカ人ギタリストによる6thソロ・アルバム。いわゆる ギター・インストルゥーメンタルと言うやつで、この手としては 最もジャズ/フュージョン色の強いギタリストだが、 VITALIJ KUPRIJとのコラボレートが何とも言えない奇妙な色合いを 映し出した作品になっている。VITALIJ KUPRIJが加わった事で、 ARTENSIONっぽいプログレッシヴさが加わっているが、その一方で クラシカルさがあまり融合していない様に感じられるのだ。 VITALIJ KUPRIJのクラシカルなキーボード・プレイは 控えめではあるとは言え、それとの対比が意外と面白い。 フュージョン系が好きでないと少し厳しい作品ではあるが、 これまでの彼の作品よりは取っ付き易いと思う。[81]

THE FIRST ALBUM / GRAND PRIX

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた デビュー盤をリマスターしたもの。N.W.O.B.H.M.初期に登場した バンドだが、この手のバンドとしてはかなり異彩を放っている。 方向的にはかなりポップな作品で、ハードさはほとんど 感じられない。N.W.O.B.H.M.後期に登場する、SHYやFMと言った ハード・ポップ系のバンドの先立ちかと言うとそういう 訳でもなく、キーボードが押し出されている愁いの感じられない 爽やかでキャッチーなサウンドの作品に仕上がっている。 ボーカリストは後にPRAYING MANTIS、URIAH HEEPに加入する BERNIE SHAWが取っている。[80]

THERE FOR NONE TO SEE / GRAND PRIX

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1982年にリリースされた 2ndアルバム。いわゆるN.W.O.B.H.M.ムーブメントにおける バンドの一つだが、その中ではハード・ポップを主流に置いた 系統で、この手のバンドとしては最も初期のバンドと言って 良いだろう。前作では元PRAYING MANTIS、URIAH HEEPの ボーカリスト、BERNIE SHAWが参加していたが、今作では後に M.S.G.に加わる事になる、ROBIN McAULEYに交代している。 前作ではかなりポップな作品であったが、今作ではややヘヴィさも 打ち出している。その分聴き応えは出ているが、楽曲にやや 面白味が欠ける気がする。[79]

SAMURAI / GRAND PRIX

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた 最後の作品となる3rdアルバム。N.W.O.B.H.M.としては ハード・ポップ系の先駆けとも言えるバンドだが、その後出てきた バンドとは違い哀愁味はなく、爽やかなメロディの、どちらかと 言うとアメリカナイズされたバンドと言って良いだろう。前作で ヘヴィ・メタル的な味付けがされる様になったが、今作でそう 言ったエッセンスがより自然に消化出来ている様に思える。後に M.S.G.に加わるROBIN McAULEYのボーカルが、より自然に溶け 込んでいて、彼等としては最もグレードの高いアルバムに 仕上がっている。[80]

THE BOOK OF HOW MAKE IT / GRAND ILLUSION

スウェーデンのハード・ロック・バンドの1stアルバム。元々は PROMOTIONと言うバンド名で活動しており、実質的には 3rdアルバムと言う事になる。方向的には爽快でキャッチーな メロディのハード・ロックで、透明感を持った如何にも北欧らしい 作品に仕上がっている。方向的にはTERRA NOVAに近いものだが、 もっと煌びやかで派手に装飾されている様な感じを受ける。 とことどころ憂いのあるメロディが織り込まれており、叙情的な メロディではあるが、全体的に爽やかで泣きのメロディと 言ったものはない。楽曲、プロダクションとも中々高い レベルにあり、フックも感じられるし、産業ロック系の北欧 ハード・ロックが好きなら結構いけるだろう。[84]

JOURNEY TO THE END OF THE NIGHT / GREEN CARNATION

詳細は全く不明だが、恐らくノルウェイの ゴシック・メタル・バンドのアルバム。方向的には、 ドゥーム・メタルがかった重苦しいサウンドの ゴシック・メタルで、楽曲によっては ホラーがかったものとなっている。メンバーとして クレジットされているボーカリストはRX DRAUMTANZERだけだが、 複数のボーカリスト起用されており、彼がパーマネントな メンバーかどうか判らない。RX DRAUMTANZERの声質は、 JEFF TATEっぽさを感じさせ、ヘヴィ・メタル色の強いところも 見せているが、全体的にシアトリカルさを感じさせ、 おどろおどろしい雰囲気を醸し出している。楽曲の出来も 悪くないし、ソプラノのコーラスを入れたり、この手の作品が 好きならそれなりに聴けるだろうが、如何にも暗黒系と言った 部分は中々厳しいところだ。[78]

IN THE BEGINNING / GRAND ILLUSION

スウェーデンのハード・ポップ・バンドの2枚組の音源集。かつて まだPROMOTIONと言うバンド名で活動していた頃の音源で、 1997年にリリースされたデビュー盤、NOT FOR SALEと1998年に リリースされた2ndアルバム、YEAH YEAHをカップリングし、 未発表曲を4曲追加収録したものだ。現在と大きく違うのは サックスとトランペットを全面的に取り入れられている事で、 これに違和感を憶える人もいるかもしれない。音楽的には現在に 繋がる叙情的でキャッチーなメロディで、透明感のある爽やかな 作品にしあがっている。メロディ・センスのレベルの高さは 確かなので、THE BOOK OF HOW MAKE ITが気に入ったのならば 聴いても損はないだろう。[78]

GRAND MAGUS / GRAND MAGUS

スウェーデンのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。方向的には 1970年代的な、サイケデリックでドゥーミィな、いわゆる ドゥーム・ロックやストーナー・ロックと言われるバンドの一つと 言って良いだろう。ただ、これらのバンドから、彼等の音楽を 特徴付けているのは、ブルーズ・ロック的なエッセンスを盛り 込んで事でかなり骨太で熱さを感じさせるサウンドとなっており、 楽曲は似通っていてもかなり独自の色合いが出ていると言って 良いだろう。やや楽曲が画一的な感じもしなくはないが、 IAN ASTBURY似のJANNEのボーカルもパワフルで中々格好良い。 [83]

THE GRAVE DIGGER / GRAVE DIGGER

ドイツのパワー・メタル・バンドの2年振りの10thアルバム。 今作よりギタリストのUWEが脱退し、元RAGEのMANNI SCHMIDTが 参加している。方向的には、メロディを強く打ち出して来た 前作より延長線上と言えるものだが、そのメンバー・チェンジが このメロディアス路線にぴったりとはまったと言って良いだろう。 MANNI SCHMIDTのメロディアスなギター・ソロとエッヂの効いた プレイが、彼等の楽曲に命を吹き込んでいる。彼等の元から 持っていた剛直さに、RAGEのメロディと疾走感が加わり、中々聴き 応えのある、格好の良いアルバムに仕上がっていると言って 良いだろう。[85]

MASTERS OF CHANT CHAPTER II / GREGORIAN

ドイツのポップ・バンドの2年振りの2ndアルバム。実際には ENIGMAの元メンバーで、プロデューサーのFRANK PETERSONGSによる プロジェクトと言う方が正しいかも知れない。単純に 言ってしまえば、過去のロック、ポップスの名曲のカバーと言う 事になるが、これをグレゴリオ聖歌で歌わせ、グランド・ビートと 融合させると言うアイデアが凄い。ある意味、初期ENIGMAに通ずる 音楽性で、非常に不可思議な雰囲気が漂う、癒し系の作品と 言えるだろう。DEEP PURPLEのChild In TimeやLED ZEPPELINの Stairway To Heaven、MEAT LOAFのHeaven Can Waitと言った、 ハード・ロック系のリスナーにもお馴染みのナンバーが カバーされているので、こう言ったアンビエント系の作品に 抵抗がないのであれば聴いてみるのも良いだろう。[85]

ROOTS / GREGG ROLIE

元SANTANA、JOURNEY、STORMのアメリカ人キーボードによる 4thソロ・アルバム。方向的には、JOURNEY、STORMと言った、 洗練された産業ロックと言うよりは、SANTANAやABRAXAS POOLと 言った、ラテン的なサルサを前面に押し出した、トライバル感 溢れるロック・アルバムに仕上がっている。言わばABRAXAS POOLの 延長線上とも言える作品で、洒落たラテン・ロック作品に 仕上がっており、ABRAXAS POOLが気に入ったのならば、聴いて 損はないだろう。ハードな部分は全くない、アダルトな雰囲気に 満ち溢れた中々良い作品だ。ABRAXAS POOLで共演したベーシストの ALPHONSO JOHNSONやパーカッションのMICHAEL CARABELLOが 全面的に参加している他、NEAL SCHONもゲスト参加している。[84]

SCOURGE OF MALICE / GRAVEWORM

イタリアのメロディック・デス・メタル・バンドの3rdアルバム。 メロディック・デス・メタル系と言うとパワー・メタルを ベースにしたサウンドを思い起こさせるが、このバンドにはそう 言ったバンドとは少し毛色が違う。ブラスト・ビート等も用いて、 ブルータルで凶悪さを感じさせると同時に、耽美で憂いを帯びた メロディを全面的に配して、実に倒錯的な世界観を作り 上げている。特にSTEFANのボーカルが、ブラック・メタルの スクリーミング的なので、ブラック・メタルの荒涼とした凶悪さが 感じられる。バイオリンやビオラ、チェロと言った楽器も導入し、 美しくも哀しく、そして狂気を感じさせる彼等のスタイルは、 これまでより遥かに完成度をましている。[85]

THE FINAL CUTS / GREAT WHITE

アメリカのハード・ロック・バンドのアルバム。こちらは フランス盤だが、アメリカではRECOVERのタイトルで リリースされており、いわゆるカバー曲集と言う事で、以前 リリースされたRECOVERY:LIVE!の続編の様な位置付けだろう。 彼等のカバーとしてはお馴染みのAC/DCのSin City以外は、メタル 側のリスナーには聞き馴染みのないアーティストも多いし、 THE CULTやSTATUS QUO、ROLLING STONES、BOB DYLAN等、意外な 選曲が多い様な気がする。それでもFREEのFire And Waterや Bad CompanyのReady For Loveと言ったPAUL RODGERSのナンバーを 熱唱するJACK RUSSELのボーカルは素晴らしい。[80]

SOMA HOLIDAY / GREENWHEEL

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。音楽的には モダンなヘヴィ・ロックと言えるもので、この手のものとしては オルタナティヴ・ロックの流れを汲む方向性と言って良いだろう。 オルタナティヴ・ロックの影響を感じさせる部分もあるが、より メランコリック色を打ち出し、オルタナティヴ・ロックにおける ニヒリスティックなメランコリックさに比べると、より扇情感を 煽って来る。特にRYAN JORDANの微妙にビブラートがかかった ボーカルが、そう言った感をより助長している。憂いを帯びた メロディは実に印象的で、意外と空間の広がりを感じさせてくれる アルバムに仕上がっている。[89]

THANK YOU...GOODNIGHT / GREAT WHITE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。2001年に アメリカで行われた公演の模様を収めたものだ。L.A.メタル期に 登場し、1980年代後半には大きな成功を収めたが、その後下降線を 辿っていっただけに、ここで終止符を打つのも致し方ないかも 知れない。このバンドの大きな特徴である、JACK RUSSELLの ボーカルは、今まで以上に艶やかで素晴らしい。このボーカルを 聴くだけでも価値があったと思えるし、全体的にこのボーカルを 活かしたアダルトな雰囲気を感じさせる。その一方で、やや 落ち着いた感じがするだけに、もう少し派手さを感じさせて欲しい 気もする。このアルバムのプロモーション・ツアーの事故で TY LONGLEYや多くの観客が亡くなったのを思うと複雑な気分だ。 [82]

RHEINGOLD / GRAVE DIGGER

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの11thアルバム。 RICHARD WAGNERが北欧神話を元に創作されたクラシック曲の THE RING OF THE NIBELUNGSを題材とした コンセプト・アルバムだ。元々パワフルなヘヴィ・メタルを 聞かせながらも、どことなく垢抜けないところがあったが、 元RAGEのギタリスト、MANNI SCHMIDTが前作から加わった 事により、そのグレードはかなり上がった様に思える。 スピーディでメタリックで大仰な楽曲は、よりメリハリが効いて 聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。クラシック的な要素も 取り込み、よりダイナミズムさを感じさせるところも良いが、 楽曲の魅力からすると前作にやや劣る気もする。[83]