ICED EARTH / ICED EARTH

アメリカのパワー・メタル・バンドの1991年にリリースされた デビュー盤。方向的にはIRON MAIDEN、QUEENSRYCHEと 言ったところを思わせるドラマティックで展開のある パワー・メタルだが、ややヒステリックな感じがあり、 ヨーロッパのバンド的なより叙情性を押し出した作品だと言って 良いだろう。アメリカのバンドとしては、かなり希有な感覚を 持ったバンドで、その試みは賞賛に値する。しかし、まだその 試みは実を付けるまでには至っておらず、楽曲としてのまとまりの 悪さが感じられる。そのため、どうしてもB級臭さが 感じられるが、ダークで扇情的な楽曲は、特にそのリフに特徴が 良く現れており、将来が楽しみな素材である事は間違いない。[80]

NIGHT OF THE STORMRIDER / ICED EARTH

アメリカのパワー・メタル・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。デビュー盤ではIRON MAIDEN型のドラマティックな パワー・メタルを聴かせてくれていたが、どうしても粗さばかりが 目立つ作品であったのに対して、今作ではその内容は格段に 進歩している。Angels HolocaustではCarmina Buranaをイントロに 導入し、混成のコーラスを入れる等、そのドラマティックさは 遥かに増している。ヒステリックなまでに扇情的で ドラマティックな楽曲は、新加入のボーカリスト、JOHN GREELYの ボーカルが非常に良く映えている。楽曲の展開も見事で、構築美の 極致と言えるだけのアルバムに仕上がっている。[89]

ICON / ICON

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた デビュー盤。いわゆるL.A.メタルと言われるものの中では、かなり ヘヴィで正統派的な王道路線を行ったバンドと言って良いだろう。 L.A.メタル的なコマーシャル性はなく、剛直な感じのする サウンドには好感が持てるが、同時に期待されながらも華々しい 成功とは無縁に終わってしまったのは何とも残念だ。扇情的な メロディ・センスは素晴らしく、彼等のポテンシャルの高さが 伺える。コーラスも実に格好良いし、愁いを感じさせる楽曲は 日本人向きと言った感じのする作品だ。[85]

NIGHT OF THE CRIME / ICON

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた 2ndアルバム。デビュー盤では、L.A.メタルとしては珍しい位 剛直な正統派ヘヴィ・メタルを聴かせてくれていたが、この 作品ではその方向性を大きく変えている。デビュー盤で成功を 得れなかったためか、外部のライターとしてBOB HALLIGAN JR.を 迎え、彼が大半の曲を書いた事によって、非常にポップな作品に 仕上がっている。デビュー盤でのヘヴィ・メタル 然としたところはなくなって、ハード・ポップと言って良い内容の アルバムに仕上がっている。ヘヴィ・メタル側でも名の知れた ライターだけに、叙情的でキャッチーなメロディは素晴らしく、 非常に美しい楽曲が並んでいる。デビュー盤でのあの重厚な スタイルを愛したファンからすると複雑なところだろうが、 デビュー盤とは違った意味で良く出来た作品だ。[86]

BURNT OFFERINGD / ICED EARTH

アメリカのパワー・メタル・バンドの3rdアルバム。前作 NIGHT OF THE STORMRIDERは、非常に優れたメロディの楽曲で 構成されており、パワー・メタル史上の傑作アルバムの一つに 挙げれる出来だった。今作ではメロディなどは前作の 延長線上ではあるものの、よりダークネスな作風になっており、 その分緊迫感は増している。ただ、その為にメロディがあまり 生きてこず楽曲の出来は前作より幾分面白味に欠けると言っても 良いだろう。ドラマティック的な素養は強くなっているのだが、 全体的な流れが悪いのも難点だ。それでも出来自体は素晴らしく、 前作に比べれば落ちると言うレベルなだけなのだが。[85]

THE DARK SAGA / ICED EARTH

アメリカのパワー・メタル・バンドの4thアルバム。かなり スラッシィなリフに非常にドラマティックなメロディが絡んだ 楽曲をやっている。このバンドの持ち味はやはり、 ドラマティックで暗く、寂涼感のあるメロディだが、2ndの NIGHT OF THE STORMRIDERでは楽曲によっては非常に秀逸なものが あったのが3rdのBurnt Offeringsは全体的に面白味に欠け、今一つ のり切れないアルバムだった。今作では大仰さがかなり 押さえられてきていてこじんまりした感もなくはないが、 ドラマティックなメロディが中々秀逸で、美しさが良く出ている。 ラストの組み曲The Sufferingは圧巻でSlave To The Darkから A Question Of Heavenへの展開は素晴らしい。[89]

LOVE IN CRIME / ICE TIGER

オーストラリアのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。ださい ジャケットやバンド・ロゴ等を見ると、いかにも配給元の LONG ISLAND RECORDSっぽい、ポップな作品を思い起こすし、実際 ポップな部分もあるのだが、思いの他ハードで受ける印象が少し 違う。曲によってポップであったり、もっとハード・ロック 然としていたりする。情的な泣きのメロディは秀逸だが、それ 以外のものは、外と中庸でさほど面白くない。メロディ・センスは 中々たいしたものなので、この辺りを生かせばかなり優れた 作品になっただろうと思うのだが、アレンジ・センスの無さが 災いしている様に思える。[82]

AN EVEN MORE PERFECT UNION / ICON

L.A.メタル期に登場したアメリカのヘヴィ・メタル・バンドの カセットのみで1987年にリリースされた3rdアルバムを CD化したもの。ボーカルがこの作品よりSTEPHEN CLIFORDから JERRY HARRISONに変わっているが、甘く朗らかで通った声は バンドにはあっている。ギタリストのJOHN AQUILINOが脱退し、 代わりにキーボードにKEVIN STOLLERを入れているが、 突出しすぎずバランス的にはちょうど良いだろう。全体的に明るい サウンドが主流だが、適度に湿り気を入れており、その辺りの バランスも抜群だ。今回のCD化にあたってボーナス・トラックに 7曲収録されているが、これも結構良い出来だ。こういう アルバムがカセットでしかリリースできず幻のアルバム 扱いされるのは残念なことだし、こうやってリリースされたのは 素晴らしい事だ。[89]

DAYS OF PURGATPRY / ICED EARTH

アメリカのパワー・メタル・バンドのアルバムで、一種の 企画盤と言って良いだろう。アメリカのバンドだが、 ヨーロッパ的な扇情的でドラマティックなメロディーを 体言している。1stと2nd及びデモの初期の音源から選曲したものを 再録音し直したものだ。ボーカルは質的に同方向なのでほとんど 違和感はないし、むしろうまいのでこちらの方が 聴きごたえがあるといっても良いだろう。1stは内容的に 今一つだったが、2ndは名作といえるアルバムだし、そこから 選曲されただけに楽曲の質はかなり高い。1st、2ndを知らない人は 買って損はない内容だろう。[86]

ELECO / ICEBREAKER

詳細は良く判らないが、恐らく1997年にリリースされたアメリカの ハード・ロック・バンドの自費出版によるデビュー盤。方向的には やや懐かしい感じのする古臭い感じの叙情的な アメリカン・ハード・ロックだ。クレジットがないので 判らないが、楽曲によっては女性ボーカルと思しきボーカルが リード・ボーカルをとっているが、これが曲の雰囲気に合っていて なかなか良い。キャッチーなメロディで聴きやすいが、 ありきたりで新鮮さはあまり感じられない。逆に Imaginary Lover等の泣きのメロディをフューチャーした 楽曲等は、ギターの音色も良く、かえって格好良く感じられる。 スペシャル・サンクスとして日本人と思しき Sensei Kenichi Haramotoなるクレジットがあるが、彼がどういう 人物で、かつどういう経緯でこのバンドに関わったのかは、 判らない。[84]

SOMETHING WICKED THIS WAY COMES / ICED EARTH

アメリカのパワー・メタル・バンドの5thアルバム。大幅な メンバー・チェンジがあったものの、その音楽的な路線は全く 変っていない。パワフルでアップ・テンポなヘヴィ・メタルで、 今時これだけ大仰でドラマティックな正統派然としたバンドは アメリカでは珍しいだろう。これまでと比べると、キーボードが やや派手目に入っているが、バンドの色合いを壊すと言った 程のものではない。楽曲の出来は、名作 NIGHT OF THE STORMRIDERに並ぶとまではいかずとも、これまでの 作品の中でもレベルは高い方で、ギターの泣きが抑揚を 強めている。[83]

ALIVE IN ATHENS / ICED EARTH

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ・アルバム。 アテネでのライヴの模様を収めたもので、3枚組み、全31曲、 180分と言う長大な作品となっている。ヨーロッパでは日本では 考えられない位、人気があると言うだけあって、会場からの熱気が 十分伺える。IRON MAIDEN型のパワー・メタルではあるが、より 扇情的で緊迫感のあるサウンドをやっているのだが、それが見事に ライヴでも再現されている。むしろ、無難に纏めてしまっている スタジオ・アルバムよりは、生々しい音作りでフックがあって、 緊迫感がより伝わって来る。スタジオ・アルバムでも、こう言った 風に作っていれば、日本での評価ももっと 上がっていたのではないかと思えるほどだ。3rdアルバム以降の 楽曲も、こうやって聴くと、良い曲だったという事が判る。演奏の 出来も素晴らしいし、彼等の作品としては最高傑作と言って 良いだろう。[88]

1984:LIVE BOOTLEG / ICON

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。1984年に行われた ニュー・メキシコでのライヴの模様を収めたものの様だ。 アルバム・タイトルが示す通り、きちんと録音したものでないのは 明らかで、とにかくプロダクションが悪すぎる。ライヴ盤を 出していないだけに貴重な作品であるとは言えるのだが、 それにもまして音が悪すぎるのは遺憾ともし難い。例え彼等の ファンであったとしても、とても奨めれるレベルではないし、 何故こんなものが出て来たのか理解に苦しむ。ライヴ自体の出来は 良さそうな雰囲気が伝わって来るだけに残念でならない。[58]

HORROR SHOW / ICED EARTH

アメリカのパワー・メタル・バンドの6thアルバム。今作より リズム隊に元DEATH、TESTAMENTのベーシスト、STEVE DiGIORGIO、 元DEATHのドラマー、RICHARD CHRISTYが加わっている。タイトな 演奏を見せるこのリズム隊のおかげで、かなり引き締まった様な 印象を受ける。手数も多く、これまでよりパワフルな作品に 仕上がっている。アルバム・タイトルが示す通り、ホラー小説等を モチーフにしているためか、楽曲はややおどろおどろしさを 感じさせるが、元々のダークな路線から大きく 外れるものではない。題材に合わせてIRON MAIDENの Transylvaniaをカバーしているが、作品に上手くはまっており、 違和感はない。[83]

ICE BLUE / ICE BLUE

スペインのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。今のスペインの ヘヴィ・メタル事情とは大きくかけ離れる内容で、方向的には 初期BON JOVIがやっていた様な、キーボードを使った、憂いを 帯びた叙情派のヘヴィ・メタルをやっている。この手のバンドは 最近いなかっただけに、時代錯誤的ではあるが、珍しいアルバムと 言えるだろう。ややアップ・テンポ気味に扇情的に哀愁を 訴えかけて来るSweet Dreams等はあまりにもBON JOVI的だし、 You Just Waitのイントロは一瞬Runawayを思わせる。まぁ全体的な 完成度を見ると20年前のBON JOVIにも及ばないし、たまに現れる この手のバンドとしても決してレベルが高い訳ではないが、これは これで面白い。[79]