アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 1stアルバム。CHRIS IMPELLITTERIと言う新しい ギター・ヒーローの元、作成された何とも示唆深い作品だ。 デビュー・ミニ・アルバムではROB ROCKがボーカルを 取っていたが、この作品ではGRAHAM BONNETを迎えて 制作されている。しかもSince You've Been Goneと Somewhere Over The Rainbowまで演奏していると来れば、誰の 目にも恣意的にやっているのが判ると言うものだ。 CHRIS IMPELLITTERIのギター・スタイルがいわゆる ネオ・クラシカル系と言われる部類なだけに、RAINBOWを 模したところがある訳だが、彼のYNGWIE J.MALMSTEENに優るとも 劣らないプレイは圧巻だ。[85]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 4年振りの2ndアルバム。前作でボーカルを取っていた GRAHAM BONNETに代わり、デビュー・ミニ・アルバムで歌っていた ROB ROCKとのコンビを復活させている。その他、ベースには CHUCK WRIGHT、ドラマーにはBAD MOON RISINGのKEN MARYと言う 布陣となっている。前作ではGRAHAM BONNETのボーカルにRAINBOWの カバーと、クラシカルな要素が強かったが、今作ではより アメリカン・テイストが強く感じられる作品となっている。とは 言っても、CHRIS IMPELLITTERIのネオ・クラシカル的な ギター・プレイは変っておらず、その相性はそれ程悪くないが、 如何せん楽曲の面白味は今一つだ。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2年振りの3rdアルバム。CHRIS IMPELLITTERIのネオ・クラシカルな ギター・プレイはより露出し、そう言った路線を強く押し 出している感じはするのだが、肝心の楽曲がかなりモダンな 色合いを帯びている。このクラシカルなプレイとモダンな楽曲の 取り合わせに違和感を感じなくもないし、楽曲に今一つ魅力が 感じられない。前作でのアメリカ色の強い作品への反動かも 知れないが、ファンとしてはむしろデビュー・ミニのより クラシカルな作品を望むのではないだろうか。[81]
アメリカ人ギタリスト、CHRIS IMPELLITTERIが率いるバンドの 1987年にリリースしたデビュー・ミニ・アルバム。 マスター・テープが行方不明という話だったが、こうして無事 リリースされた。録音状態は決して良くないが、よりパワフルで アグレッシヴなCHRIS IMPELLITTERIのギター・プレイは見事だ。 後のモダン・ヘヴィ的なエッセンスはここでは全くなく、より ヘヴィ・メタル然としていて、クラシカルで聴きごたえがある。 特にLost In The Rainは素晴らしい出来で、佳曲と言っても良い 楽曲だ。1stフルではGRAHAM BONETTがボーカルを取っていたが、 ここではBOB ROCKが歌っており、パワフルな歌唱を 聴かせてくれている。[84]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。基本的には 前作ANSWER TO THE MASTERと全く同じ路線と言えるもので、 様式美的なヘヴィ・メタルにどことなくモダンな感じのする アルバムに仕上がっている。ROB ROCKとのコンビも変わらずで、 ROBの叙情感溢れるボーカルは素晴らしいし、 CHRIS IMPELLITTERIのギター・プレイは言わずもがなだ。しかし、 楽曲に関しては悪くはないと思うが変化に乏しく、一本調子の 感はいがめない。前作からそうだったのだから尚更その感は 強いが、アルバム一枚を聴かせる位の出来ではあるし、これ単体で 取ればそれなりに楽しめる。[82]
カナダのハード・ロック・バンドの3年振りとなる2ndアルバム。 全体的にファンキーな作品で、ミクスチャー的な方向性は 変わっていない。そこから醸し出されて来るグルーヴ感は 相変わらず素晴らしいし、楽曲、演奏ともに中々良く出来ている。 どことなくニヒルな感じがして、 オルタナティヴ・ロックっぽさもあって、実に今風な作品に 仕上がっていると言って良いだろう。ブルージィな香りも 漂っていて、若干気だるさを感じさせる中々味わいのある アルバムだが、残念ながら日本ではこう言う作品はあまり 受けないだろう。[84]
アメリカ人ギタリスト、CHRIS IMPELLITTERI率いる ヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。パターンにはまった 曲作りで、ここ2枚のアルバムは新鮮さと面白味に 欠けるものだった。今作でもパターンにはまっている事には 変わりないのだが、楽曲さえ良ければそう言ったものを凌駕出来る 事を実感させてくれる。とにかく曲が今までのアルバムでもかなり 曲の出来は上の部類と言ってよいだろう。後半、 アコースティカルな軽いナンバーのOn And On等、今までの パターンから多少外し、変化を入れているのも良い結果を生み 出している。[86]
スウェーデンのデス・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には グラインド・コア的なエッセンスも持ち込んだ、 スラッシュ・メタル型のデス・メタルだが、アコースティックを 差し挟んで来たりと楽曲に起伏を入れているし、メロディも押し 出すところではそれなりに押し出してきている。ザクザクと切り 刻むスピーディなリフも中々聴きごたえがあるし、不安感を誘う 様な展開や、ブルータルな部分が聴けるなら、AT THE GATES、 THE UNANIMATED等のファンにも結構受け入れられるはずだ。演奏 自体も中々テクニカルでしっかりとしており、この先が楽しみな バンドだ。MARTIN AKESSONのデス・ボイスは咆哮型だが、 安定はしているので、聴きなれれば大丈夫。[82]
詳細は良く判らないが、ブラジルの プログレッシヴ/ドゥーム/ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの 1998年にリリースされたアルバム。メロディアスで非常に ドラマティックな作品だが、楽曲によってはかなり扇情的で シアトリカルさもある。デス・ボイスも入れて来たりするが、 それは極一部なので、それ程気にする必要はないだろう。ダークな 雰囲気すら漂っていて、まだまだこなれておらず、未整理に感じる 部分も多いが、その発散するエナジーとアイデアは十分評価 出来る。ドゥーム・メタル色が一番強い様に思えるが、それは SOLITUDE AETERNUSのそれだ。疾走する荒々しい展開があったり、 叙情的なメロディを強く打ち出して来たり、女性ボーカルの 耽美なアコースティック・ナンバーEmpty Cradleを入れて 来たりと、飽きさせないところも良い。楽曲の出来も悪くないし、 中々聴きごたえのあるアルバムに仕上がっている。[87]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの6thアルバム。基本的には 前作の延長線上と言えるものだが、色々考えてますと言う様に モダンな部分を取り入れたり新しい事をやろうと言う姿勢を 感じるのは確かだ。その割には新味があまり感じられず、こう 言った試みも上滑りしてしまっている感はなくはない。楽曲の 出来も前作を上回っているとは言い難いし、ファンにとっては拒否 反応を起こす様な作品ではないと言うよりも、むしろある程度納得 出来る作品ではあると思うが、手放しで喜べるものでもない様に 思える。後半になると、やや失速して来る様にも感じられるが、 決して悪い出来ではない。[81]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの5thアルバム。バンドと 言っても2人しかおらず、HORGHがドラムを叩いている以外は、 全てのパートをABBATHが担当している。方向的にはパワー・メタル 型のブラック・メタルで、サウンド的には メロディック・デス・メタルと言っても良い様な作品だ。ABBATHの ブラック・メタル・ボイスも、スクリーミングではなくて唸る様な デス・ボイス的なものなので、尚更そう言った感じがする。 ブラック・メタルっぽい荒涼感も少しあるが、楽曲的には、 パワー・メタルと言って良いもので、スラッシュ・メタル的な 要素もある。メロディ等は中々良く出来ているし、そのためかなり 聴き易いと言う印象を受けるアルバムだ。[80]
フィンランドのブラック・メタル・バンドの6thアルバム。 CHILDREN OF BODOMのギタリスト、ALEXI "WILDCHILD" LAIHOが 加入した事もあってか、かなり正統派ヘヴィ・メタル然と ギター・フレーズが聴かれる。とは言っても、これまで同様の 荒涼としたメロディと、ブルータルなブラスト・ビートは決して 失われておらず、あくまでもエッセンスとするに止まっている。 それでも違和感を感じる部分があるので、これ以上やれば バランスが崩れてかなりあざといものになっただろう。楽曲の 出来は悪くないし、ベテランらしいそつのないアルバムに 仕上がっている。[80]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの7thアルバム。トリオ 編成と言うコンパクトなメンバー編成で、ABBATHがギタリストと ボーカリストを兼ねている。ABBATHのブラック・メタル・ボイスは どちらかと言うとしゃがれ声のデス・ボイスと言った感じで、それ 程聴き難いものではない。方向的には、パワー・メタル型の ブラック・メタルで、ブラスト・ビートも使って暴虐感を 出しながらも、意外と聴き易い作品だ。この手のバンドとしては キーボードが使われていないので、他の北欧 ブラック・メタル・バンドとは違い、左程荒涼感は感じられない 作品になっている。[80]
フィンランドのブラック・メタル・バンドのレア・トラック集。 北欧ブラック・メタル・バンドとしては最も初期から活躍する バンドだけに、最近の北欧ブラック・メタルの様な、 シンフォニックなキーボードも荒涼としたメロディもない。 ただただ、ブラスト・ビートを全面に押し出し、 ブラック・メタルの源流とでも言うべき、グラインド・コア的な ブルータルさで覆われている。短い楽曲が並び、全部で33曲も 収められているところに、バンドのそう言った方向性が伺える。 初期北欧ブラック・メタルとしては貴重な資料だろうが、この 手のものに興味のない人にとっては無用の長物だろう。[78]
アメリカのブラック・メタル・バンドのアルバム。アメリカの エクストリーム・シーンのバンドだけあって、ブラスト・ビートを 全面に押し出した、テクニカルな作品に仕上がっている。特に ALEX HERNANDEZのドラミングは驚嘆の一言で、彼の繰り出す ブラスト・ビートは、この手のものでも最もテクニカルと言って 良いだろう。北欧のバンドの様なメロディさは全くなく、 方向的にはMORBID ANGEL等に繋がるバンドと言って良いだろう。 とにかくブルータルで禍禍しく、狂気の域に達していると 言えそうな暗黒の息吹を感じるアルバムだ。全体的な完成度も 高く、アメリカのテクニカル・デス系統の作品が好きなら是非 聴いてみると良い。[82]
スウェーデンのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には スラッシュ・メタル型のデス・メタルと言えるもので、 ザクザクと切り刻んでくるリフと、攻撃的なギター・メロディが 特徴と言えるだろう。ブラスト・ビートはほとんど 使われていないし、メロディも割合はっきりと出ていて割合と聴き 易い作品だと言って良いだろう。MARTIN AKESSONのボーカルは 野獣の咆哮を思わせる様なだみ声のデス・ボイスで、ベーシストの ROBIN SORQVISTがこれにクリア・ボイスを時たま被せて来る。 リフの出来も中々良いし、スラッシュ・メタル型の デス・メタルとしては中々レベルの高い作品だ。[83]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの デビュー盤。この手のものとしては最もブルータルな作品で、 ブラスト・ビートを交えながら、スラッシィなリフを中心とした メロディック・デス・メタルを聴かせてくれている。北欧らしい 叙情的なメロディを所々で入れながらも、あくまで暴虐で ブルータルなサウンドで、硬軟織り交ぜたドラマティックさを 感じさせる作品だ。疾走感たっぷりの攻撃的な、非常に聴き 応えのある作品に仕上がっている。ときにはブラック・メタル的な ブラスト・ビートも織り交ぜ狂気を感じさせ、中々良く出来た アルバムだ。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りとなる7thアルバム。 元RAINBOW、ALCATRAZZのボーカリスト、GRAHAM BONNETが 13年振りに復帰してのアルバムだ。とは言え、彼が参加していた STAND IN LINEの頃の様な方向性に戻る訳でもなく、今回の コラボーレションの意義が良く判らない作品だ。方向的には最近の 彼等の音楽性を引き継いだもので、ダークでモダンな ヘヴィ・メタル作品に仕上がっている。出来自体は決して悪い 訳ではないが、GRAHAM BONNETが復帰した事で、昔の彼等を 期待した人にはさぞかし肩透かしとなった事だろう。ただし、 GRAHAM BONNETのパワフルなボーカルは十分味わえる。[81]
フィンランドのブラック・メタル・バンドの7thアルバム。 EMPERROR等と比べるとどうしても知名度は落ちるが、北欧 ブラック・メタル・バンドの草分け的存在の一つと言えるだろう。 元々エクストリーム・ミュージックらしい攻撃的でカオチックな 音楽性を持っていたが、徐々に聴き易い方向性へと シフトしており、特に今作ではパワー・メタル色を増しており、 IRON MAIDENっぽさを感じさせるメロディの判り易さは 顕著だろう。まるで機関銃の様な機械的なREPE MLSANTHROPEの ドラミングは非常に特徴的で、好き嫌いが判れそうな気がする。 [82]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの7thアルバム。北欧 ブラック・メタルとしてはベテランとも言えるバンドだが、それ 故に現代の荒涼としたメロディとオーケストレーションを用いた ブラック・メタルとはやや趣が異なり、よりストレートで パワフルでブルータルなサウンドを聴かせてくれている。変に 北欧ブラック・メタル然としていないだけに、より不偏的な エクストリーム・メタルと言う印象を受ける作品で、より間口を 広く受け入れられるだろう。適度におどろおどろしく、適度に メロディの入れ方も上手く、流石と思わせるだけのレベルの高さを 感じさせる作品だ。[84]
カナダのハード・ロック・バンドのアルバム。アルバム未収録曲と スタジオ・ライヴからなる、言わば企画盤的な作品だ。純粋に アルバム未収録音源なのはLevitateの アコースティック・バージョンで、彼等らしいファンクさを 出しながらも、アコースティックによる独特の憂いを感じさせて 面白い。スタジオ・ライヴも既発表曲ばかりで、1997年に 録音されたものなので初期の楽曲に偏っているし、特に 目新しいものはないが、彼等らしいグルーヴさがより 発揮されており、非常にノリの良さが感じられて、特に Earth, Sky & C等は聴き応えがある。[83]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。方向的にはスラッシュ・メタル型の メロディック・デス・メタルと言えるもので、強烈な アグレッションを効かせたサウンドの、リフを前面に押し 出したものとなっている。最近のこの手の北欧のバンドらしく、 適度に憂いのあるギター・メロディを織り交ぜて来る事により、 より感情を掻き立ててくるところがある。ややハード・コアっぽく 怒涛のリフを聴かせて来たり、不穏なメロディを入れて来るので、 ARCH ENEMY等のメジャーなバンドと比べると、やや聴く人を 選ぶところもあるのだが悪くない。[82]