RISE / JACKAL
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた
デビュー盤。メロディアスなヘヴィ・メタルで、その後の作品と
比べると幾分意識してアメリカナイズされている様に感じられる。
その分、よりキャッチーな感じのする作品だが、これはこれで
悪くない。そう言った作品にも関わらず、ヘヴィな
インストルゥーメンタルが差し挟まれていたり、楽曲の方向性に
やや統一感が伴わない感じがするが、違和感を感じる
程でもないので、それ程気にならないだろう。プロダクションは
お世辞にも良いとは言えず、正統派と言えるバンドだけに、音質の
チープさが浮き彫りになってしまっているのは残念だ。[76]
VAGUE VISIONS / JACKAL
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
2ndアルバム。ボーカリストのBRIAN RICHがNARITAのデビュー盤に
参加していた事からもその先行きが注目されたが、BRIAN RICHの
NARITA参加はあくまでもヘルプであった様で、今作でも彼が引き
続きボーカルを取っている。彼のボーカルもあって、やや
IRON MAIDEN的な感じのする作品に仕上がっている。とは言え、
IRON MAIDENの様な楽曲の展開はなく、前作と比べると、
キャッチーな色合いはかなり落ち、正統派
メロディアス・ヘヴィ・メタルと言った感じだ。前作であった
プロダクションの難は解決されていて、ダイナミズム溢れる
作品に仕上がっている。[83]
A SAFE LOOK IN MIRRORS / JACKAL
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
3rdアルバム。前作での北欧らしい叙情的なメロディながら、
かなり重厚な音作りがなされていたのに対して、今作では北欧的な
エッセンスがかなり薄れてしまっていると言って良いだろう。
重厚さと言う点では前作以上に重厚なのだが、メロディはそれ程
強く打ち出されておらず、どちらかと言うとのりが重要な位置を
占めていると言って良いだろう。メロディ・ラインが今一つ魅力が
感じられず、楽曲に面白味が欠ける様な気がする。BRIAN RICHの
ボーカルは相変わらずBRUCE DICKINSON的で中々パワフルな
ボーカルを聴かせてくれている。[80]
JACKYL / JACKYL
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1992年に
リリースされたデビュー盤。音楽的には明らかにAC/DCに
インスパイアされたと感じられる作品だが、彼等独自の
オリジナリティも持ち合わせている。AC/DCの様な一直線と
言うよりは、アメリカらしいファンキーさがあり、うねりがあって
よりグルーヴィな作品に仕上がっている。The Lumberjackにおける
チェーンソー・ソロの様なアイデアもユニークで面白い。
JESSE DUPREEのボーカルも、バンドのカラーに合っているし、
楽曲もまずまず良くて、古き良きハード・ロックンロールを
踏襲しながらも独自の持ち味を持っており、中々の有望株と言って
良いだろう。[87]
PUSH COMES TO SHOVE / JACKYL
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1994年に
リリースされた2年振りの2ndアルバム。それなりの成功を収めた
前作と基本的に路線は変わりないのだが、全体的にやや
ストレートになった印象がする。その分、うねりが今一つ
感じられず、グルーヴィさと言う点では前作に劣る。前作では中々
ファンキーな作品に仕上がっていたが、今作ではかなり硬派な
印象を受ける楽曲があるのもそう言う部分を
強調してしまっている。もう少しメロディのファンキーさを前作
並みに打ち出しても良かったのではないだろうか。チェーンソーは
相変わらず使用されており、彼等のサウンドの
アクセントとなっている。[83]
INSIDE OUT / JADED HEART
ドイツのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた
デビュー盤。元LETTER Xのボーカリスト、MICHAEL BOMANN率いる
バンドで、彼の少し粘着質で透った美しいボーカルが堪能出来る。
Inside Out等は、非常に叙情的でメロディアスで、彼のボーカルに
実に良く合っている。その一方で、楽曲の出来に波があり、
どうしてものり切れないところがあるのが残念だ。全体的に
ミドル・テンポが中心で、地味目な印象のためそう言った感じが
より一層強く受ける。ただ、全体的に漂うメロディの切なさは
MICHAEL BOMANNらしいセンスに溢れている。もっと楽曲のレベルが
安定すればかなり良くなる素要は十分にあると言って良いだろう。
[82]
MORE THAN MEETSTHE EVE / JADIS
イギリスのシンフォニック・ロック・バンドの1992年に
リリースされたデビュー盤。楽曲は爽やかで聴き易く、PENDORAGON
等のポンプ・ロックを思わせるところもある。全体的に
ミドル・テンポの楽曲が中心で、落ち着いたアルバムに
仕上がっている。こう言う作品だけに、どうしてもやや単調に
感じられてしまうところはあるが、メロディの出来等は悪くない。
演奏にもそれなりにめりはりがあって、そう言う欠点を上手く
カバーしている。特にGARY CHANDLERの情感豊かなギター・プレイが
楽曲に彩りを付けており、叙情感と美しさを増している。[81]
POWER GAMES / JAGUAR
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた
デビュー盤。方向的にはパワフルで荒々しい
ハード・ロックンロールで、N.W.O.B.H.M.のバンドとしては
それ程憂いを押し出してはいない。もちろんMaster Gameの様な
哀愁のアコースティック・ギターをフューチャーした様な
楽曲もあるが。全体的にパンキッシュな感じもさせる
アップ・テンポの楽曲が並び、この手のバンドとしては最も勢いを
感じさせてくれる。適度にメロディアスで、楽曲によっては
ベース・ライン等、IRON MAIDENっぽさを感じるところもあるが、
中々格好の良いアルバムに仕上がっている。
N.W.O.B.H.M.ものだけにプロダクションはあまり良いとは
言えないが、この手のものとしてはかなり良い部類だ。[86]
OCTOGLOMERATE / JAMES BYRD
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、FIFTH ANGELの
元ギタリストによる初のソロ・アルバム。ソロ・アルバムと言う
事で、ギター・インストルゥーメンタルとなっているが、
音楽的にもこれまでの活動してきた、FIFTH ANGELや
ATLANTIC RISINGでのそれと異なり、フュージョンっぽさを
感じさせるアルバムに仕上がっている。それだけに、様式美系の
ヘヴィ・メタルを期待するであろう旧来のファンに、どれだけ
訴えるものがあるかは疑問だ。全くメロディアスでハードな
部分がなくなった訳でもないし、彼のギター・プレイも十分堪能
出来るので、決して悪い作品ではないと思うが。[80]
RUDE AWAKENING / JAMES CHRISTIAN
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、HOUSE OF LORDSの
ボーカリストによる初のソロ・アルバム。HOUSE OF LORDSでは
成功を収められなかったが、彼のボーカリストとしての力量を
知らしめただけあって、ここで聴かれる彼の歌唱もパワフルで
張りのあるボーカルを披露している。DEF LEPPARDっぽい
Don't Start Me Upで幕を開けるが、以降はアメリカらしい
叙情的なメロディのハード・ロックを聴かせてくれている。
ミドル・テンポの楽曲が中心だが、パワフルで彼のボーカルに
良く合っている。元STONE FURYのBRUCE GOWDYやMITCH PERRY等が
ゲスト参加している。[82]
NOTHING'S SHOCKING / JANES ADDICTION
アメリカのハード・ロック・バンドの1988年にリリースされた
デビュー盤。方向的には破天荒でファンキーでパンキッシュな
ハード・ロックで、めりはりをつけながらも、どことなく
気だるさを感じさせる。他にあまり例を見ない、かなりユニークな
音楽スタイルだと言って良いだろう。後々もっと
オーセンティックに昇華していった様に感じられるバンドが
出てくるだけに、こう言ったアイデアを結実させただけでも
価値があると言って良いだろう。楽曲の出来も悪くないし、
PERRY FARRELLのボーカルは意外と味を出している。[81]
RITUAL DE LO HABITUAL / JANE'S ADDICTION
アメリカのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた
2ndアルバム。彼等の出世作ともなった作品で、方向的には前作の
延長線上とも言える作品で、Stop等、よりファンキーで
シニカルさを感じさせる作品となっている。前作で形作られた
骨組は、この作品で更に進化し、完成したと言って良いだろう。
メロディが幾分キャッチーになり、楽曲に聴きどころが
出来ているのは大きな進歩だ。前作では一直線と言う
感じだったのが、緩急も上手くつける様になっており、より
オリジナリティが感じられるアルバムに仕上がっている。[84]
I GOT DEM OL' KOZMIC BLUES AGAIN MAMA! / JANIS JOPLIN
アメリカ人ロック・ボーカリストの1969年にリリースされた
3rdアルバム。ブルーズ・ロック・シンガーとしては伝説的と
言えるだけの人だけに、ここで聴かせられる彼女のボーカリストは
素晴らしいの一言に尽きる。張りと伸びのあるパワフルな
ボーカルは、情感が出ていて感動的だ。今作では新たなバンド
形式で作成されているが、ホーン・セクションが大胆に
導入されている事が大きな違いだろう。その完成度は、30年以上
昔に制作されたとは思えないもので、かなりハードだし、
ブルーズ・ロックが好きならば是非とも彼女の作品には
触れておきたいところだ。[91]
PEARL / JANIS JOPLIN
アメリカ人ロック・ボーカリストの1971年にリリースされた
4thアルバム。実際には彼女は1970年に死亡しており、死後に
リリースされた遺作となる作品だ。Move Overはハードでのりの
良い名曲で、FASTWAY等もカバーしているので、メタル系の
リスナーにも馴染みがあるだろう。異色といえるのは
Mercedes Benzで、アカペラとなっている。このアルバムでも
変わらずハスキーながら張りのある情感豊なボーカルを
聴かせてくれており、アルバムが完成する前に急死するとはとても
信じられない出来だ。楽曲の出来も良いし、全体的にハードな
作りになっていて聴き応えがある。[93]
SHOT TO PIECES / JANSTATE
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
デビュー盤。この頃のイギリスにおけるメタル系のバンドの扱いの
悪さもあってか、プロダクション的に問題がある。楽曲も
どことなく乗り切れなくて、アレンジ面でも課題となるだろう。
その一方で、イギリスのバンドらしい憂いを含んだ叙情的な
メロディは、はっとさせるところがあり、持っているセンスは
決して悪くないと思う。センスは悪くないのだが、イギリスの
バンド特有の煮え切らなさが彼等の場合は災いしている様に
思える。これらの欠点が解消されればかなり良くなると
思えるのだが。[78]
STIGMA / JACK IN THE BOX
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。その
方向性は、いわゆる北欧メタルとはかなりかけ離れており、
どちらかと言うと、方向的にはグランジ風の作品
作りがなされている。プロダクション的には、もっとヘヴィな
音作りで、全体的にどことなく明るくヘヴィなSAIGON KICKと言う
感じがするアルバムだ。独自感が出ているし楽曲も決して
悪くないから、シアトル系のサウンドがいけるなら結構
聴けるはずだ。ただ、全体的に単調で変化に欠けているので
飽きがどうしても来るのは如何ともし難い。[81]
PERSPECTIVE / JASON BECKER
元CACOPHONYのアメリカ人ギタリストの2ndソロ・アルバム。
ジャケットにオーケストラが映っているが、まさしくそれは
このアルバムの内容を表している。まるまるオーケストラが
演奏しているクラシックもろの曲もあるし、出だしは
アラビア風ともアフリカ風とも言えるような不思議な感じの
曲があったりブルーズをやったりと幅広い音楽性をみせている。
特にクラシックの影響は大きく、CACOPHONY時代からはあまり
想像もつかないが、彼の作曲家としての才能を発揮している。
ALSと言う難病に冒され、今後どのような音楽活動が出来るのか
不安視されるが、これだけの才能だけに何とも残念な話だ。[83]
SON OF MAN / JAMES BYRD
アメリカの正統派ヘヴィ・メタル・バンド、FIFTH ANGELの
元ギタリストによる、全編インストルゥーメンタルの2nd
ソロ・アルバム。1stソロでは何か勘違いをしたとしか思えない
様な、FIFTH ANGELとは全く違う方向性のアルバムでファンの
失望を買ったが、今作では彼らしいクラシカルな面を押し出した
作品に仕上げられている。東洋風のメロディがあったりと
叙情的で、扇情的なギターの音色はULI JON ROTHを思い
起こさせるし、彼のギター・プレイも変わらず素晴らしい。
FIFTH ANGELとは又違った魅力がある作品で、楽曲の出来も
悪くない。[83]
RAISED BY WOLVES / JAMES YOUNG GROUP
アメリカのハード・ロック・バンド、STYXの元ギタリストによる
バンドのデビュー盤。STYXの中ではもっともヘヴィな部分を
司っていたギタリストだけに、STYXよりも随分ハードな作品に
仕上がっている。ENUFF'Z NUFFのCHIP ZNUFFとDONNIE VIEの
コンビもソング・ライティングで参加しているが、STYXの様な
メロディ中心の方向性ではなく、むしろワイルドな
ハード・ロックと言う感じの作品に仕上がっている。バランス
的には中庸でちょうど良いという感じだが、楽曲によっては
面白味に欠けるきらいもある。[82]
NIGHT OF THE LIVING DEAD / JACKYL
アメリカの縦ノリのハード・ロックンロール・バンドの
ライヴ・アルバム。2ndアルバム直後の1994年のライヴを
収録した物。一応ベースはAC/DC型縦ノリなのだが、歌メロでは
かなり独自性を出していてオリジナリティのあるバンドだ。
The Lumberjackの電気ノコギリ・ソロが話題を呼んだが、この
ライヴでも健在だ。スタジオ・アルバム2枚出しただけなので
ライヴ・アルバムはまだ少し早いような気がする。
ライヴ音源としてはその破天荒さがあまり伝わってこないし、
この時期ライヴ・アルバムを出す必要性があったのか疑問だ。[77]
A FINE PINK MIST / JAKE E LEE
元OZZY OSBOURNE BANDの日系アメリカ人ギタリストの初の
ソロ・アルバム。BADLANDSでVOODOO HIGHWAYを発表してから実に
5年、その動向が心配されたが、やっとソロ・アルバムが
リリースされた。方向的には一部ボイスが入っているものの、
基本的にはギター・インストゥルメタンタルで、OZZY OSBOURNEや
BAD LANDSのそれとはまた異色な作品だ。多分にブルージィな
部分があり、ハモンド・オルガン風の音を入れたりやや古めかしい
感じの作品で、ソロ作品としては面白いが、やはりどうせなら
ボーカルが入ったアルバムが欲しい。[80]
MARBLE ROSE / JACKLYN
詳細は良く判らないが、オランダのJACKLYNという女性ボーカルを
中心とする3人組のメロディアスなハード・ロック・バンド。
JACKLYNは少しハスキーで情感溢れる力強い、女性らしい
しっとりとした声質の良いボーカリストだ。エッヂの立った
ハードなギターに、キーボードの配分も良く、軽快なテンポで
印象深いメロディだ。ドラムは残念ながら打ち込みだが、
この内容ならば打ち込みは合わないだろう。全体的に
メロディ・センスの良さが滲み出ていて、コーラスも良く
出来ているし、捨て曲がないとは言い切れないが、美しい
ロック・アルバムに仕上がっている。[85]
$LAVES AND MASTERS / JADED HEART
元LETTER XのボーカリストMICHAEL BORMANN率いるドイツの
メロディアス・ハード・ロック・バンドの2ndアルバム。ポップで
叙情的なメロディの楽曲が並び、哀愁も良く効いている。全体的に
ミドル・テンポ中心だが楽曲の盛り上げ方が実に素晴らしい。
また、MICHAEL BORMANNの扇情的な甘く美しい声がそれに
一役買っている。LETTER XやJ.R.BLACKMORE GORUPで素晴らしい
歌唱力を見せてくれていたが、それはこのアルバムでも
変わらない。全体的にテンポに変化が少ないので似たような
パターンの曲が多いようにも思えるが、プロダクションも
素晴らしく、実に良く出来たアルバムだ。THE BEATLESのHELPを
源曲と似ても似つかぬバラードに仕立て上げるセンスなども結構
良い。キャッチーな哀愁漂う曲が好きな人は聴いて
損はないはずだ。[88]
ACROSS THE WATER / JADIS
イギリスのシンフォニック・ロック・バンドの1994年に
リリースされた2ndアルバム。メンバーのうち、MARTIN ORFORDと
JOHN JOWITTはポンプ・ロック・バンドのIQと掛け持ちしている。
楽曲はいかにもシンフォニック・ロックらしい、爽やかで清涼感の
溢れるメロディで、GARY CHANDLERのギターは中々
めりはりがあってハードだ。Daylight Fadesのイントロの様に
印象的な部分もあるし、ギター・ソロ等も結構聴きごたえがある。
かえって歌メロが弱く感じるくらいで、もう少しボーカルが
強ければ、メタル側のリスナーにも十分聴ける
作品になっただろう。メンバーの実力も確かで、心地よい作品に
仕上がっている。[85]
CUT THE CRAP / JACKYL
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの3rdアルバム。
いわゆるAC/DCフォローワーに数えられる彼等だが、実際のところ
AC/DC程、一直線という感じはなく、ややうねった様な
感じがあり、グルーヴ感が非常に強く、オリジナリティを醸し出す
事に成功している。デビュー盤で見せたチェイン・ソー・ソロは
インパクトがあったが、それはここでも健在だ。昔ながらの
オーソドックスなものと同時に、こういったユニークな面を
持っていた事が、1990年代のアメリカ市場でこのバンドを
成功させたのだろう。ロックンロール然とした曲はやや減り、
変わりにじっくり歌い上げる様な部分が少し増えている。[81]
SOMERSAULT / JADIS
イギリスのシンフォニック・ロック・バンドの3rdアルバム。
方向的にはこれまでの延長線上と言えるもので、ポンプ・ロック
的な部分もあるが、MARILLIONの様な叙情一辺倒の
サウンドではなく、結構めりはりのあるサウンドだ。今作ではこう
言った傾向がよりはっきりと出ているが、結構ハードな部分もある
ギター・プレイを前作よりもリズム中心に打ち出しているところが
大きいだろう。それ故に楽曲にかなり起伏が感じられ、単なる
BGMに陥っておらず、聴きごたえのある作品に仕上がっている。
優しく叙情的に乗せて奏でられるヘヴィーなギターは臨揚感を盛り
上げて中々生々しい感じを与えてくれる。[81]
MYSTERY EYES / JADED HEART
元LETTERX、BONFIREのボーカリスト、MICHAEL BORMANN等による
ドイツのメロディアス・ハード・ロック・バンドの3rdアルバム。
ヨーロッパのバンドらしい哀愁のメロディも併せ持っているが、
前作よりさらにアメリカナイズされたキャッチーな
ハード・ロックという感じも強い。故に、MICHAEL BORMANNの
ねっとりと絡み付くような歌唱がそれ程多くないのが少し残念だ。
個人的にはMystery Eyesの様な楽曲がもう少し多かった方が
嬉しいのだが、楽曲の出来自体は全体的に悪くない。叙情的で
ミドル・テンポ中心のため、やや地味さを感じる楽曲だが、
MICHAEL BORMANNのそういった歌唱による盛り上げはなかなか
効果的だ。[84]
SEASONS OF GREY / JAVELIN
詳細は全く判らないが多分北欧辺りのパワー・メタル・バンドの
ミニ・アルバム。ややダークな雰囲気のあるパワフルな
ヘヴィ・メタルで、扇情的なメロディが持ち味と言えるだろう。
アップ・テンポの楽曲はある程度展開を持っており、
ドラマティックさも感じさせる。楽曲の出来はばらつきがあって、
この尺でも後半もうすでにだれて来はじめているような感も
なくはない。どこかしらB級臭さが感じられるのはいがめないが、
全体として出来は決してそれ程悪くはない。扇情的に盛り
上げていく演奏とCARSTEN HILLEの中高音は結構聴ける。[78]
DON'T BELIEVE IN LOVE / JACKIE BODIMEAD
N.W.O.B.H.M.バンドGIRLSCHOOLの元ボーカリストによる
ソロ・アルバム。LEA HEARTのプロデュースで、しかもほとんどの
曲が彼の昔の曲ということで大した期待はしていなかったのだが、
LEA HEARTも、良い曲だけを集めてくればなかなか質の高い曲も
書いていたのだなと思えるから不思議だ。彼の曲だから、内容は
当然ハード・ポップなのだが、結構ハードな作りになっていて良い
アルバムに仕上がっている。JACKIEのボーカルも伸びやかで、
内容的にもあっていて良い出来だ。昔の人脈関係からか
BRIAN ADAMSがプロデュースで絡んでいる。[83]
CRIMES OF VIRTUOSITY / JAMES BYRD'S ATLANTIS RISING
今はなき、アメリカの正統派ヘヴィ・メタル・バンド、
FIFTH ANGELのギタリスト率いるバンドの7年振りの2ndアルバム。
とは言っても、もはや彼のソロ・プロジェクトと言って良い
作品で、彼のソロ・アルバムのメンバーがほとんどそのまま
流用されている。但し、この作品が彼のソロ・アルバムと大きく
違う所は、初期RAINBOWやYNGWIE MALMSTEENを思わせる様式美的な
ヘヴィ・メタルをやっている事だ。JAMES BYRSのギターの音色は
むしろULI ROTHを思い起こさせるのだが、その取り合わせは
決してマイナスになっていない。その情感豊かなギター・プレイも
あいまって、雰囲気の盛り上げ方など実に素晴らしい。飛び抜けた
楽曲はないが、全体的な出来は非常に良いし、様式美が好きならば
聴いて損のない作品だ。[88]
AS DAYLIGHT FADES / JADIS
イギリスのシンフォニック・ロック・バンドのライヴ・アルバム。
叙情的で爽やかなメロディの美しい、透明感のある
シンフォニック・ロックで、ライヴでもその情感は良く
出ているし、演奏的にも悪くなく、良く出来た
ライヴ・アルバムだ。GARY CHANDLERのギターが実に味わい深く、
その情感を良く出している。ポンプ・ロックとも言える様な落ち
着いたサウンドが主流だけに、実際にライヴを見ると間が
持つかと言う疑問もあるが、間奏では色々と趣向を
凝らしているし、ただ単純に淡々と進んでいくと言う
訳ではないのが好感を持てる。[82]
OVER THE EDGE / JAMILYA
詳細は全く不明のヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。
キャッチーでポップで叙情的なメロディのヘヴィ・メタルで中々
素晴らしいメロディ・センスを持っている。どうも自主レーベルの
様に思えるが、そう言った感興もあってか、プロダクションは
今一つ良くない。方向的には、アメリカの叙情派ハード・ポップと
言う感じもする作品で、楽曲の出来自体は非常に良い線を
行っている。特に軽快なRun For Your Lifeや泣きのメロディの
Can't Stand The Heartache等、中々の佳曲が取り揃っている。
KEVIN WILLISONのボーカルにはやや不安を感じる部分もあるが、
プロダクションさえ良くなればかなり大化けする可能性を
秘めている。[85]
FEEDING THE MACHINE / JAMES MURPHY
元DEATH、OBITUARY、CANCER、DISINCARNATE、TESTAMENT、
KONKHRAのアメリカ人ギタリストによる2ndソロ・アルバム。
これらのデス/スラッシュ系のサウンドを基本とはしているが、
それだけに囚われず、彼の幅広い音楽性を見せてくれている。
ボーカルにも、TESTAMENTのCHUCK BILLYの他に、ARTENSIONの
JOHN WEST、MAGELLANのTRENT GARDNER、GEEZERのCLARK BROWNと
言った、ジャンルに捕らわれぬ人選がされている。その他にも
ARTENSIONのキーボード、VITALIJ KUPRIJ等が参加している。
テクニカル・ギタリストらしいギター・プレイもさる事ながら、
単にギター・アルバムに終わっておらず、楽曲もバラエティに
富んでいて、聴きごたえのある作品に仕上がっている。[83]
THE AGE OF MASTERY / JAG PANZER
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。かつて、
ギタリストとして名の売れている、JOEY TAFOLLAが無名時代に
在籍していた事で知られているバンドだ。前作でJOEY TAFOLLAが
突如復帰し、あっと言わせたが、今作では再び脱退している。
新しく、CHRIS BRODERICKも腕前としては中々のもので、マイナス
要素にはなっていない。方向的にはパワー・メタルと言って良い
様なパワフルな作品で、どちらかと言うと、ヨーロッパのバンド
的な叙情的なメロディに溢れている。やや、芋臭さも
感じるものの、特にギター・リフの出来が良く、扇情的な
仕上がりで、めりはりのある、中々聴きごたえのある作品に
仕上がっている。[81]
JAILHOUSE / JAILHOUSE
アメリカのハード・ロック・バンドの1998年にリリースされた
アルバム。実際には解散してから未発表音源を集めて
リリースされたものだ。1989年にリリースされた
ライヴ・ミニ・アルバム、ALIVE IN A MAD WORLDも併せて
集録されている。メンバーは元ROUGH CUTT、現ORGYの
AMIR DERAKHを中心に、現NEVEのMICHAEL RAPHAELも在籍している。
方向的には、割とキャッチーなアメリカン・ハード・ロックだが、
アコースティック・ギターも交えて、ややブルージィっぽい、
土臭さを感じさせる部分もある。NELSONに提供されたReligionや
Tell Meも集録されており、出来は悪くない。[81]
NOTHING'S SHOCKING / JANE'S ADDICTION
アメリカのハード・ロック・バンドの1988年にリリースされた
デビュー盤。ハード・ロックと言うよりは、ミクスチャー的な
バンドで、ヘヴィ・メタル、ファンク、パンクと言った様な要素が
感じられる。この当時としては、かなり斬新で目新しいと思える
様な作品だ。不思議な浮揚感を感じさせるサウンドで、勢いのある
楽曲が中心だが、Summertime Rollsの様な気だるさを感じさせる
様な楽曲もある。ファンクさを抜けば、後の
アルタネイティヴ・ロック的な要素も感じられる。これに
PERRY FARRELLのボーカルが効果的で、中々面白いアルバムに
仕上がっている。[84]
THE RASPBERRY JAMS / JASON BECKER
元CACOPHONY、DAVID LEE ROTH BANDのアメリカ人ギタリストの
3rdソロ・アルバム。筋萎縮側索硬化症と言う重病に犯され、最早
ギター・プレイ等全く不可能な状態である事からも判る様に、
これはまだ彼が元気だった頃、発病後ではあるがまだギターが
弾ける状態だった頃に録音されたデモ音源をCD化したものだ。
実際にはCACOPHONY時代から、DAVID REE ROTH時代、発病して
バンドを去った後の1987年から1992年までに録音されている。録音
状態が必ずしも良くないものが多数あるが、
ギター・インストルゥーメンタルとして、楽曲の出来は
悪くないし、彼のギター・プレイを十分堪能できる。[82]
THE BEST OF MY HEART / JAIME KYLE
アメリカ人女性シンガー・ソング・ライターのベスト盤。HEARTに
楽曲を提供していることもあって、The Best Of My Heart等、
後期HEARTを感じさせる様な楽曲もある。HEARTに提供した
Strandedも当然含まれており、そう言う印象を受けるが、
全体的にはむしろそれ程産業ロック的な整ったと言う感じより、
より扇情的でハードなロック・アルバムと言う感じがする。
叙情的なキャッチーなメロディ・センスはさすがで、ルックスは
かなり良いのでもっと騒がれても良い様な気がする。声質的には
中低音部はややハスキーな感じがするが、高音部は伸びがあって
中々良い。[87]
IV / JADED HEART
元BONFIRE、LETTER Xのドイツ人ボーカリスト、MICHAEL BORMANNを
中心としたハード・ロック・バンドの4thアルバム。
プロデューサーにAXEのBOBBY BARTHを迎え、元々流麗だった
音楽性がより顕著になるかと思われたが、意外とそうはならず、
Under The Sky Of Africa等は結構ポップさが表に出ている。
流麗なメロディアス・ハードと言った側面も
決してなくなってはいないのだが、これまでの様なややフックに
欠けると言った感じはそれ程強くない。RAINBOWのStone Coldや
PHILIP BALEYのEasy Loverをカバーしているが、こちらはどうと
言うことのないカバーだ。[85]
JUSTICIERO ARCAICO / JASON
消息は全く不明だが、恐らくアルゼンチンの
ヘヴィ・メタル・バンドの1997年にリリースされたアルバム。
方向的には、叙情的なメロディのB級っぽい正統派の
ヨーロピアン・ヘヴィ・メタルと言った感じだ。Tano Majorellの
ボーカルは、ハイ・トーンを中心としたものだが、これが安定感が
悪くビブラートし、下手ウマ的なボーカルとなっている。
楽曲によってはこのボーカルとバックのサウンドとの相性が悪く、
非常に居心地が悪く感じられるアルバムとなってしまっている。
楽曲自体の出来はそこそこと言った感じではあるので、こう言った
部分が改善されればかなり良くなるとは思うが。BLACK SABBATHの
Heaven & Hellをカバーしているが、左程面白くない。[57]
UNDERSTAND / JADIS
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの3年振りとなる
4thアルバム。これまでもかなり流麗なシンフォニック・ロックと
言った感じの作品だったが、この作品ではそう言った色合いがより
一層濃くなっている。割と変化を持たせて、エッヂのたった
サウンドを聴かせてくれているところなどでは、結構聴き
応えがあるのだが、それ以外の単調さが浮き出してしまっている
様に感じられるのは残念だ。空間の広がりを感じさせる楽曲に、
叙情的なメロディは流石と思わせるだけのものがあるのだが、
今一つ盛り上がりの欠ける作品となってしまっている。[80]
WAKE ME / JAGUAR
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの16年振りとなる再結成
第1弾の3rdアルバム。とは言ってもその趣はかなり変っており、
昔のファンからするとどの程度ついていけるかかなり疑問だ。
今風のモダンさがあって、楽曲によってはヘヴィ・メタルと言う
感じをさせないものもある。モダンと言っても洗練さはなくて
新味もないので、新しいリスナーを獲得出来るかと言うとそれも
疑問だ。その一方で、Occasional Hellと言った如何にも
彼等らしい、アップ・テンポの勢いを感じさせるロックンロール
調の楽曲もあって、まとまりの無さすら感じさせる。[76]
GLOOM ROCK ASYLUM / JACK FROST
オーストリアのゴシック/ドゥーム・メタルの・バンドの
4thアルバム。方向的には、ロマンティック・ゴシックの楽曲を
ドゥーム・メタル的な重い演奏で処理したと言う感じだろう。特に
PHRED PHINSTERの野太いクリア・ボイスにそう言った雰囲気が
感じられる。You Are The Cancer等と言った割とアップ・テンポで
のりの良い楽曲は良いのだが、How Will I Sleep等と言った、
死を感じさせる様なひたすらダークで重苦しい楽曲は、
スロー・テンポであるだけに、初期CANDLEMASSと言った辺りが
好きでないと厳しいだろう。ややリフを重視し過ぎるために、
楽曲にも波がある様に感じられる。[78]
DIARY 1990ー2000 / JADED HEART
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのベスト盤。元LETTER X、
BONFIREのボーカリスト、MICHAEL BORMANNを中心としたバンドだ。
全体的に彼のエモーショナルで情感豊かなボーカルに合った、
叙情的なメロディアス・ハード・ロックだ。ほとんどが
リミックスされており、やや整い過ぎで今一つ切れの悪かった
INSIDE OUTの楽曲等も、やや生々しさ出ておりまだ聴き
応えがある。未発表曲のAin't Gonna Play With The Fireは
アコースティック・ギターをフューチャーした叙情的な
ナンバーで、彼等の楽曲としては悪くない出来だ。アイスホッケー
世界選手権の公式ソングだったChampionは、彼等としては
ちょっと異色の楽曲で、しみじもとしながらもドラマティックに
盛り上げて行くバラードだ。[84]
2 / JAMES LaBRIE'S MULLMUZZLER
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンド、DREAM THEATERの
ボーカリスト、JAMES LaBRIEによるソロ・プロジェクトの
2ndアルバム。楽曲的にはDREAM THEATERの延長線上と
思えるものだが、DREAM THEATER程ヘヴィさはなく、当然彼の
ボーカルをより押し出した形の作品に仕上がっている。
DREAM THEATERと比べると、当然演奏的なおかずは少なくなるし、
DREAM THEATERを冗長に感じる人には幾分すっきりとした作品に
感じられるだろう。それだけにより万人向けとは思えるが、
プログレッシヴ・ロック的なエッセンスはそのままなので、
DREAM THEATERのファンにもそれ程不満はないだろう。[82]
POWER GAMES:THE ANTHOLOGY / JAGUAR
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの2枚組のアルバム。1983年に
リリースされたデビュー盤、POWER GAMESと2000年に
リリースされた3rdアルバム、WAKE MEと
カップリングしたものだが、更にボーナス・トラックとして
シングルのBACK STREET WOMAN、AXE CRAZYやセッション等のレア
音源が収録されており、全35曲と言う構成になっている。
N.W.O.B.H.M.らしい憂いを幾分帯びながらも、どちらかと言えば
荒々しいスピード感を前面に押し出した内容と言って良いだろう。
方向性を変えたTHIS TIMEの曲を聴けるのも興味深いところだ。
[84]
FOR YOU / JACK RUSSELL
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、GREAT WHITEの
ボーカリストによる7年振りの2ndソロ・アルバム。KING CRIMSONの
ベーシスト、TONY LEVINを始め、バックはメタル系以外の
ミュージシャンで固められている事もあり、音楽的には
GREAT WHITEの様なヘヴィ・メタル的なエッセンスはほとんどなく、
全体的に落ち着いたブルージィなポップ・ロックをやっている。
アコースティック・ギターをフューチャーし、しっとりをした
雰囲気を醸し出している。彼の艶かしいボーカルは相変わらず
素晴らしいが、楽曲によってはそれ程目立たないのが残念だ。
派手さはないが、十分彼らしさは出ているし、楽曲もそれなりに
悪くない。[82]