NOT OF THIS EARTH / JOE SATRIANI
アメリカ人ギタリストの1985年にリリースされたデビュー盤。
いわゆるギター・インストルゥーメンタルで、ヒット作となり、
一躍ギター・ヒーローにのし上がった次作、
SURFING WITH THE ALIENと方向的には同じだが、
SURFING WITH THE ALIENが、内容をかなり整理して、キャッチーで
判り易い作品に作り上げているのに対して、この作品ではまだ
テクニックが先走りしていて、やや難解な感じのする
作品となっている。ただ、SURFING WITH THE ALIENに通ずる様な、
彼らしい軽快でキャッチーなサウンドは随所に出て来て、
SURFING WITH THE ALIENの原点も感じられるアルバムだ。[78]
SURFING WITH THE ALIEN / JOE SATRIANI
アメリカ人ギタリストによる1987年にリリースされた
2ndアルバム。方向的にはいわゆる
ギター・インストルゥーメンタルと言うやつで、STEVE VAIに
ギターを教えていたと言うだけあって、系統的にもやや近い。
フュージョン系と言った感じの作品だが、フュージョンに走り
過ぎず、ロックさを持ったドライヴ感覚のある作品に
仕上がっている。彼にとっては出世作とも言える作品で、
ギター・インストルゥーメンタル作品としては珍しく、
ビルボードのアルバム・チャート上位にまで進出するヒット
作となった。Surfing With The Alien等、明るくて軽くてのりの
良い楽曲は、馴染み易くて気持ちが良い。[86]
DREAMING #11 / JOE SATRIANI
アメリカ人ギタリストによる1988年にリリースされた
ミニ・アルバム。新曲The Crush Of Loveに、Ice Nine、
Memories、Hordes Of Locustsのライヴ・バージョンの全4曲と言う
構成になっている。新曲は方向的には大ヒットした前作の
延長線上と言えるもので、もう少し落ち着いた印象を
与えるものとなっている。ライヴ音源としては初めてのものだが、
安定していて流石と思わせるだけの演奏を聴かせてくれているし、
プロダクションも悪くない。但し、ボーカルがいないだけあって、
曲間のMCの盛り上げが下手で、臨揚感と言う意味では
寂しいものとなっている。[83]
FLYING IN A BLUE DREAM / JOE SATRIANI
アメリカ人ギタリストによる1989年にリリースされた
3rdソロ・アルバム。方向的には前作の延長線上と
言えるものだが、ボーカルが何曲か入っており、前作の様な
フル・ギター・インストルゥーメンタルとはなっていない。
そのため、ややアルバムとしてのバランスの悪さが感じられるし、
前作のようなポップさを打ち出した作品とは違い、幾分
ギター・アルバムとしての演奏の難解さが持ち込まれている。
出来としては決して悪いとは思わないが、前作と比べると
どうしても聴き易さと言う点で劣るので、面白味に欠けると言う
感じがする。[80]
THE EXTREMIST / JOE SATRIANI
アメリカ人ギタリストによる1992年にリリースされた
4thソロ・アルバム。前作では何曲かボーカル入りの
楽曲があったが、そのおかげで却ってバランスの悪さを感じる
様になってしまっていた。その反省もあってか、今作では全曲
ギター・インストルゥーメンタルとなっている。楽曲的には前作の
延長線上と言えるもので、楽曲のキャッチーさよりはもっと
トータル・バランスを意識した作品になっている。
SURFING WITH THE ALIENの様な楽曲の面白味は感じないが、
雰囲気が良く出ていて、出来は決して悪くない。[82]
TIME MACHINE / JOE SATRIANI
アメリカ人ギタリストによる1993年にリリースされた2枚組みの
5thソロ・アルバム。方向的には前作のそれを押し進めたもので、
SURFING WITH THE ALIENの様なテンポの良さも、キャッチーさも
一部の楽曲を除いて残念ながら感じられない。一貫してこう言う
方向性へと変化して来た訳なので、当然の帰結と言えば
それまでだが、どうしても味気なく感じられてしまう。演奏的には
彼だけに、文句のつけ様もないのだが、妙にエコーを効かせた
部分があったりと、プロダクションのバランスの悪さが気になる。
2枚組みと言うのも、インストルゥーメンタルを聴き続けるのは
冗長だし、またボーカル入りの楽曲をやっているのも問題だ。[81]
GUITAR DOMINANCE / JOE STUMP
アメリカ人ギタリストの1993年にリリースされたデビュー盤。
方向的にはいわゆるネオ・クラシカルと言うやつで、
YNGWIE J.MALMSTEENのフォローワーと言っても良い様な作品だ。
年齢的にはYNGWIE J.MALMSTEENより年上な位で、これだけの人が
良く今まで埋もれていたなと感じられる。今や往年の輝きが
感じられないYNGWIE J.MALMSTEENと比べれば、かつての幻想を追う
人にとっては彼の方がむしろ素晴らしいと言っても良いだろう。
全編ギター・インストルゥーメンタルなのだが、そのテクニック、
楽曲の出来とも十分納得の行く作品だと言って良いだろう。[84]
INFRAーBLUE / JOEY TAFOLLA
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、JAG PANZERの
元ギタリストによる1991年にリリースされた3年振りの
2ndソロ・アルバム。いわゆるギター・インストルゥメンタルと
言うやつで、前作がかなりメタル的な
ギター・アルバムであったのに対して、今作はかなりフュージョン
的な色合いが濃くなっている。MIKE VARNEY関連と言う事で、
テクニックもしっかりとしているし、意外と楽曲もそこそこ
良いのでまずまず聴ける作品に仕上がっている。しかし、彼の
これまでの経歴を知っている人には、この作品は唐突に
思えるだろう。[80]
PLEASE DON'T LEAVE ME / JOHN SYKES
元THIN LIZZY、WHITESNAKEのイギリス人ギタリストによる1992年に
リリースされたソロ・アルバム。実際には過去の音源を集めた
企画盤と言えるもので、新しい音源は全くない。ほとんどが
TYGERS OF PANG TANGでの音源なのでソロ名義であるのも
疑問のあるところだが、貴重な音源が集録されている。初の
ソロ・シングルで、後にTHIN LIZZY加入の布石となった、1982年に
リリースされるタイトル・トラック曲である。このしみじみとした
バラードにPHIL LYNOTTが参加した事がきっかけだが、これが初の
CD化だ。残りはTYGERS OF PANG TANG脱退寸前のものばかりだが、
特にどうと言う楽曲はない。[81]
JOKER / JOKER
アメリカのハード・ロック・バンドの1991年にリリースされた
デビュー盤。方向的には叙情的なメロディの、いわゆる
アメリカン・ハード・ロックと言うやつで、最近こう言った
タイプのバンドが減っているだけに、逆に新鮮に感じる
部分もある。Lorraineの様なアメリカらしいカラッとした
ほのぼのとしたナンバーもあるが、そう言った楽曲はむしろあまり
面白くない。それよりもI Want LoveやParty For Your Lifeと
言った、キャッチーで格好の良い楽曲が素晴らしく、少しべた
過ぎると言う気もするが、1980年代を思わせる中々良質の
メロディのナンバーが取り揃っている。[83]
NO.1 / JONAS HANSSON BAND
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた
デビュー盤。SILVER MOUNTAINの元ギタリスト、JONAS HANSSONを
中心に、ALCATRAZZのメンバー等と共に結成したバンドだ。北欧の
バンドらしい叙情的なメロディではあるが、SILVER MOUNTAINとは
やや趣を異にし、ややアメリカナイズされたコマーシャルさが
感じられる。楽曲自体、ロックンロール色が
強いものとなっており、テンポの良さが感じられる。MIKE STONEの
ボーカルが、ややだみ声がかっているので、一層そう言った感が
強くする。それ故、SILVER MOUNTAINのファンからすると
期待したものとは違っているかも知れないが、その出来は決して
悪くない。[81]
BLAZE OF GLORY / JON BON JOVI
アメリカのハード・ロック・バンド、BON JOVIの
ボーカリストによる1990年にリリースされた初のソロ・アルバム。
映画、YOUNG GUNS IIに何曲か提供されており、半分
サウンド・トラックとなっている。方向的には、後期BON JOVIに
通ずる様な叙情的なアメリカン・ロックで、バンドのそれ程
ハードな部分はない。それ故、全体的に優しく朗らかな印象のする
作品に仕上がっている一方、変化に少し欠け、これと言った
決めになる楽曲がない。平均的に良く出来ていて、安心して
聴いていられるが、それ以上の感動というのは難しいかも
知れない。[80]
THE HAND IS QUICKER THAN EYE / JOSHUA
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの1984年に
リリースされたデビュー盤。ギタリスト、JOSHUA PERAHIAを
中心としたバンドで、ギターをバリバリに弾く部分もあるが、割と
楽曲を中心に立てている。方向的にはメロディアス・ハードと
言った感じなのだが、この楽曲がほとんどがどうと言う事のない
つまらない内容だ。プロダクションも今一つであるにも関わらず、
このアルバムの名をなさしめているのは名曲、
November Is Going Awayのおかげだ。扇情的な泣きのメロディは
美しく、この曲を聴くだけでも価値はある。[78]
SURRENDER / JOSHUA
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの1985年に
リリースされた2ndアルバム。前作ではNovember Is Going Awayと
言う名曲を産んだが、逆に言えばそれ以外は楽曲的にはかなり
劣る作品だった。今作ではそれと対照的に、飛び抜けた名曲と
言うものは存在しないが、平均的で波がない。方向的には愁いを
持った叙情的なメロディのハード・ロックだ。前作と比べると
JOSHUA PERAHIAのギターは、もちろん要所要所で
弾きまくっているが、全体では幾分控えめになっており、代わりに
キーボードがかなり前面に押し出されている。プロダクションも
良くなっているので、全体的にそれなりに聴ける作品だ。[80]
JOEY C.JONES AND THE GLORY HOUNDS / JOEY C.JONES AND THE GLORY HOUNDS
アメリカのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた
1stアルバム。L.A.メタル・バンド、SWEAT SAVAGEの元
ボーカリスト、JOEY C.JONESを中心とするバンドで、元POISONの
C.C.DEVILがゲスト参加している。音は軽い
バッド・ボーイズ・ロックンロール的な明るいサウンドと、枯れた
ブルージィなサウンドが混在しており、何とも言えない不思議な
雰囲気を醸し出している。曲にこれはといったものがないのが
残念だが、She Loves等、それなりに粒が揃っていて、それほど
悪いというわけでもない。但し、こういうサウンドで生き残れるか
どうかは少々疑問ではあるが。[82]
A PLACE TO CALL HOME / JOEY TEMPEST
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンド、元EUROPEの
ボーカリストのソロ・アルバムだが、聴けばそういう事実など
吹飛んでしまうだろう。方向的には単なる
アメリカン・ロック・アルバムで、EUROPEのあの美しいメロディは
影も形もない。これをEUROPEのJOEY TEMPESTの作品だと思って
聴けば多分失望させられることは必至だろう。内容的には
ハード・ロックという事ですらないし、JOEY TEMPESTが
こういう事をやりたいのなら今後ハード・ロック・ファンには
無縁のアーティストだと言うことになる。[71]
ANOTHER DESTINATION / JOHN NORUM
かつて一世を風靡したスウェーデンのヘヴィ・メタル・バンド、
EUROPEの元ギタリストの3年振りとなる3rdソロ・アルバム。とは
言うものの、彼のソロ作品もだいぶ趣を変えてきており、もはや
このサウンドからはあのEUROPEのメロディ溢れるサウンドはあまり
想像出来ないアルバムとなっている。メロディアスな部分が全く
失われた訳ではないものの、ヘヴィネスな楽曲で、中には
PAUL RODGERSがやってそうな楽曲もある。JOEY TEMPESTの
変身よりはましだとも言えるかも知れないが、旧来のファンには
少し辛い内容かもしれない。Shimmering Highsの様な曲は、
これでまた味があるのだが。[78]
JOE SATRIANI / JOE SATRIANI
RITCHI BLACKMOREのDEEP PURPLE脱退で、DEEP PURPLEの日本公演に
代役ギタリストとして参加するという思いもよらぬ
出来事があったが、再びソロ・アーティストとして活動を
再開した。ここ2作はボーカルを入れていたが、今作では
インストルゥーメンタル中心の構成になっている。しかし、
出世作となったSURFING WITH THE ALIENとは趣を異にし、
陽気さというのは感じられず、スローなナンバーが中心でダークな
雰囲気がある。中にはブルーズの曲もあり、今までの楽曲からの
変化には面食らうだろう。[78]
NOTHINGS CHANGED / JOE LYNN TURNER
ソロ・アルバムとしては久々の作品となる元RAINBOWの
ボーカリストの2ndアルバム。これまでの彼の活動を考えると
ポップでキャッチーな作風を考えてしまうが、この作品では
これまでとは全く違う音楽にチャレンジしており、ブルージー色の
見えるロック・アルバムに仕上がっている。特にスローな
ナンバーなどは如何にもBAD COMPANYを思い起こさせるもので、
それ故にRAINBOWや前のソロ・アルバムを期待して聴くと
外すことになるが、出来的には全く問題ない。ギターの
AL PITRELLIは作曲を含めて良く彼の持ち味を出しているし、
ベースのGREG SMITH、ドラムのJOHN O'REILLYはその後RAINBOWに
加入して活躍している。特にGREG SMITHは来日公演でその腕の
確かさを披露している素晴らしいベーシストだ。[79]
BACK TO THE INNOCENCE / JONATHAN CAIN
元JOURNEYのアメリカ人キーボードによるソロ・アルバム。当初
北欧でのみリリースされていたが、その後内容を多少変え
アメリカでもリリースされている。キーボードの奏者の
ソロ・アルバムだけあって、全編にピアノがフューチャーされ、
アダルトな雰囲気のAORと言う感じの作品に仕上がっている。落ち
着いた感じの優しいサウンドは、JOURNEYの様な盛り
上がりはないものの、楽曲の出来は良く、心静かな音楽を
聴きたいときにはぴったりだろう。心が洗われるような
しっとりとした軽快なポップ・アルバムだ。[84]
SHAKE / JOHN SCHLITT
その昔、RASS BALLARD関係でRAINBOWと同時期にI Surrenderや
Since I've Been GoneをやっていたHEAD EASTのアメリカ人
ボーカリストであり、最近17枚目のアルバムをリリースした
クリスチャン・ロック・バンド、PETRAのボーカルの
ソロ・アルバム。これといったものはないが、いわゆる
アメリカン・ロックでキャッチーなメロディの楽曲は、
派手さはないものの粒が揃っている。前述のようなRAINBOW的な
部分はなくて、アメリカ風の明るく軽いノリのものが中心だ。
Show Me Tha Wayのような優しいメロディも良い。[82]
NIGHT OF THE LIVING SHRED / JOE STUMP
アメリカ人ギタリストによるギター・インストゥルメンタルの2nd
ソロ・アルバム。この手のアルバムではテクニックばかりで、
肝心の楽曲はおざなりというパターンが良くあるが、この人の
場合、なかなかどうして良質のメロディが揃っている。
YNGWIE J.MALMSTEENタイプで、その影響は端々に見え、
オリジナリティと言う点では疑問符が付くが、最近のYNGWIEから
考えると、むしろこちらの方がテクニック的にも、楽曲的にも心の
琴線に触れてくるものが多い。ネオ・クラシカルな
ギター・インストルゥメンタルのファンにはたまらない
内容だろう。[83]
UNDER THE RED AND WHITE SKY / JOHN WESLEY
先頃LONG ISLANDからリリースされたアメリカの
ハード・ポップ・バンド、AUTODRIVEのメンバーと言う経歴で、
他の元メンバー達もこのアルバムに参加している。MARILLIONの
前座を務め、そのサポート中に作成されたアルバムだが、
MARILLION風のポンプ・ロックやAUTODRIVE風のハード・ポップとは
趣が違う。空間の広がりを感じさせるアメリカの
ミュージシャンらしい清々しいサウンドで、叙情的で
フォーク・ロック的な作品に仕上がっている。メロディは非常に
美しいので静かなメロウなものが聴けるならもってこいの
作品だろう。[88]
LISTEN / JORDAN RUDESS
元SPEEDWAY BOULEVARDのアメリカ人キーボード・プレイヤーの
1993年にリリースされたソロ・アルバム。サウンド的には
シンフォニック・ロックよりもプログレッシヴ・ロック色、
ポップス色を強くした感じで叙情味も醸し出している。当然ながら
キーボードが前面に出ていて、いわゆるハード・ロック的な
色合いは全くないと言って良いだろう。かなりポップな
口当たりなので、テクニカルなキーボード・プレイの割には聴き
易いアルバムだ。ハード・ロック方面のリスナーとは縁遠い
作品だと思うが、流れるようなメロディで、出来自体は悪くない。
ドラムには元FIFTH ANGELのKEN MARYが全曲参加している。[78]
POSITIVELY THE BLUES / JON BUTCHER
アメリカ人ギタリストの初のソロ・アルバム。かつて自己の
バンド、JOHN BUTCHER AXISを率いて活動していた
ブルーズ・ロック・ギタリストで、結構ハードな作品だが、
正にブルーズという感じで、ブルーズが聴けない人には
辛いところがあるだろう。例えるならばSTEVIE RAY BORN風で、
ヘヴィ・メタル系のバンドがやる様なブルーズ・ロックよりもっと
本格的なブルーズ作品だ。楽曲によってはホーン・セクションが
導入されていたりと、かなり本格的にやっている。演奏レベルは
かなり高く、エモーショナルなギター・プレイを
聴かせてくれている。[81]
LIGHT IN THE SKY / JOE STUMP'S REIGN OF TERROR
アメリカ人ギタリストによる3rdアルバム。今作では、実質的にも
名称的にもバンド編成となっており、バンド名義では初の
アルバムだ。前2作ではYNGWIE J.MALMSTEEN風の
ギター・インストゥルーメンタル・アルバムだったが、今作より
バンド編成に変えたことによってボーカルも入れて、より通常の
バンド風の作品に仕上がっている。YNGWIE J.MALMSTEEN風の
楽曲もあるが、むしろメロディアスな正当派ヘヴィ・メタルと
言った感じで、ノリも中々良い。全体的に扇情的なパワー・メタル
的でBRAIN SARVELAのボーカルもそれによくあっている。[87]
SECOND TO NONE / JONAS HANSSON BAND
元SILVER MOUNTAINのギタリスト率いる自己のバンドの
2ndアルバム。基本的には前作の延長線上で、
SILVER MOUNTAINのような北欧美旋律系的要素もあるが、1stより
もっとポップさを減退させた、いかにもハード・ロックらしい
骨太なサウンドになっている。全体的にプロダクション、
アレンジが1stより良くなっていて、完成度は上がっていると
思う。ボーカルとベースが交代しているが、新しいSTANLEY ROSEは
タイプ的に前のボーカリストMIKE STONEと大きく違わないが、
もっと通ったパワフルなボーカリストで、アルバムの方向性からは
悪くない選択だろう。もっと北欧っぽい美旋律を求めるならば
JONAS HANSSONの方向性は外れてきているとしか言い様がない。
[80]
SONIC WINTER / JOHANSSON
元SILVER MOUNTAIN、YNGWIE J'MALMSTEEN'S RISING FORCE等に
在籍したJOHANSSONS兄弟を中心としたプロジェクト・バンドで、
THE JOHANSSON BROTHERS名義前作に続く2作目。ボーカルは
M.S.G.への加入が決まった元GREAT KING RATのLEIF SUNDINが
前作に続き取っている。楽曲は非常にキャッチーなのだが、
その曲をベースにクラシカルであったり、ジャージィで
あったりする演奏は圧巻だ。特に11分の大作Enigma Suite等は
凄いし、All Opposable ThumbsでのJENS JOHANSSONのキーボードも
聴きどころだ。楽曲の出来は特にこれと言ったものはないが、
悪いと言うものでもない。[83]
SUPERSONIC SHRED MACHINE / JOE STUMP
JOE STUMP'S REIGN OF TERRORのバンド名義のアルバム、
NIGHT OF THE LIVING SHREDからわずか半年でリリースされた
3rdソロ・アルバム。どういう経過かは判らないが、
JOE STUMP'S REIGN OF TERRORとはJOE以外メンバーが違うので、
バンドとは全く独立した活動なのだろう。ソロ名義と言うことで
ギター・インストルゥメンタル・アルバムになっていて、
ボーカルを入れるかどうかで、バンドとの差別化を計るのかも
知れない。今やYNGWIEよりもYNGWIEらしいネオ・クラシカル
路線で、これまでよりさらにエモーショナルさを押し出した
ギター・プレイだ。最近のYNGWIEに落胆するならばこの人の
アルバムを聴けば良いだろう。但し、楽曲の練りという点では
これまでの作品より一歩落ちる。[80]
TRIAL BY FIRE / JOURNEY
アメリカン・ハード・ロック・バンドの再結成第一弾となる
アルバム。解散前のメンバーそのままの再結成ということで、
相変わらずのアダルタな雰囲気たっぷりの、キャッチーで
メロディアスな作品に仕上がっている。Separate Waysや
Crying Nowと言った名曲に並ぶと言うまでの楽曲はないが、十分
素晴らしい出来で、旧ファンならずとも楽しめる作品だ。
バラードが少し多いという気がしないでもないが、それを歌い
上げるSTEVE PERRYのボーカルが合っていて佳曲が多い。彼等の
メロディ・センスの素晴らしさが良く出ていて、地味な印象を
受けるものの完成度は高いアルバムだ。[88]
WORLDS AWAY / JOHN NORUM
元EUROPEのスウェーデン人ギタリストによる4thソロ・アルバム。
EUROPEや1stソロ・アルバムのTOTAL CONTROLの様なアルバムは
もう望むべくもないのだろう。THIN LIZZYをモダンにしたような
スタイルで、ややアメリカナイズされた楽曲は旧来からのファンが
どのくらい満足出来るか不明だが、これ単体で考えれば、
出来的にはそれほど悪くない。哀愁を感じさせるメロディも
幾分かあるのだが、モダンでヘヴィな作品作りでダークな印象を
与えている。楽曲によってはオルタナティヴ的な感が
あるものすらある。KELLY KEELINのボーカルは確かに
こういう作品に向いていると思うが。[77]
UNDER COVER / JOE LYNN TURNER
今更略歴を述べる必要もないだろう、元RAINBOWのアメリカ人
ボーカリストによるソロ・アルバム。前作辺りから、意識的か
あるいは喉に変化があったのか、かなりハスキーでしゃがれ声に
感じる部分がある歌唱になっている。自身がRAINBOWに
在籍していた時の名曲Street Of Dreamsを始め、全曲カバーという
内容となっている。全体的にソウルフルに感じる部分が大きく、
洒落た作品に仕上がっている。DEEP PURPLEのカバー
等もやっているのだが、全体的にハード・ロック色はあまりなく、
どちらかと言うとR&B色が強いアルバムだ。[82]
DESTINATION ANYWHERE / JON BON JOVI
BON JOVIのボーカリストのソロ・アルバム第2弾。前作は割と
ハード・ポップ的な部分もあったが、この作品ではそういう部分は
削ぎ落ち、よりロック・アルバム的な指向が強くなっている。
ハードな部分はまるでなく、実に素朴な渇いた
アメリカン・ロックで構成されている。そういう意味では楽曲は
割と良い出来なのだが、実に地味な作品と言わざるをえない。
August 7, 4:15の様な曲がもう少しあれば変化があって良かったと
思う。リラックスした雰囲気の洒落た作りの作品だが、平坦な
感じがして盛り上がりにかける。ややモダンなどんよりとした
音作りがそういった感を尚強くしているように思えるのだが。[78]
ARKANGEL / JOHN WETTON
ASIA等のプログレッシヴ・ロック・バンドで活躍したイギリス人
ボーカリストの3年ぶりのソロ・アルバム。いかにも彼らしいと
言った感じのメロディの作品で、冷めて淡々としながらも、
伸びやかに透ったボーカルを聴かせてくれている。ASIAの様な
ハードさはないが、非常に洗練された、お洒落で
ポップ・センスのあるプログレッシブ・ロック・アルバムだ。実に
凛とした、都会の静けさを感じさせるような、叙情的な作品で、
感傷的に聴き入るにはもってこいの作品だ。アレンジも含めて、
楽曲の出来は良く出来ているし、中々素晴らしい作品だ。[86]
MIND JOURNEY / JOHN WEST
JUDAS PRIESTの新ボーカリストとも噂されたARTENSIONの
アメリカ人ボーカリストによる初のソロ・アルバム。ARTENSIONが
そうであったように、ここでもネオ・クラシカル系の
テクニカル・ヘヴィ・メタルを展開している。楽曲の出来は決して
悪い訳ではないが、Veil Of The Blind等は曲としてまとまりに
欠ける感じで、全体的に出来はARTENSIONより落ちる。
演奏の方ではJOHN WESTのボーカルは問題無いし、バックは
YNGWIE MALMSTEENのBARRY SPARKSやバンド・メンバーの
MIKE TERRANAはともかく、その外の無名のミュージシャンも実力は
確かだ。[82]
JOHNNY LIMA / JOHNNY LIMA
アメリカ人のシンガー・ソング・ライターによるソロ・アルバム。
方向的には、非常にキャッチーでポップな明るい
アメリカン・ハード・ロックで、さびのコーラスや、そこに連なる
部分などではDEF LEPPARDを思い起こさせる部分がある。楽曲
全体で見れば叙情的で昔のBON JOVIをもっと落ち着かせた様な
感じのもので、彼のボーカルもJOHN BON JOVIを意識した
唱法になっている。落ち着かせた感じといってもアダルトな
雰囲気はあまりなく、適度にめりはりが効いていてそれなりに
ダイナミズムは感じられる。楽曲の出来も良い出来で、非凡な
メロディ・センスを感じさせるし、出来は悪くない。[86]
THE POWER STATION YEARS 1980-1983 / JOHN BONGIOVI
アメリカのハード・ロック・バンド、BON JOVIのボーカリスト、
JON BON JOVIの初期音源集。彼の従兄弟で、
プロデューサーとしても著名なTONY BONGIOVIが、彼の無名時代に
TONY BONGIOVIのプロデュースで録音された未発表音源を勝手に
リリースしたと言う非常に危ない作品だ。BON JOVI結成前の
音源だが、基本的にはそれ程大きく路線は違う訳ではない。ただ、
よりAOR的な指向が前に出ていて若さが出ていて微笑ましい事は
確かだ。楽曲は取りたててこれといった程のものはないが、
それなりの出来ではある。ボーカルは元々うまい人ではないので、
ここで今更実感してもショックは少ないだろう。[74]
A THOUSAND FACES / JOEY VERA
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、ARMORD SAINTの
元ベーシストによる1994年にリリースされた初のソロ・アルバム。
最初の出だしこそ結構ハードでのりの良い楽曲があるが、その後は
何となく気だるさを感じさせるようなブルージィな感覚を持った
のりの良いハード・ロック・ナンバーで固められている。この
落差には少し違和感を感じるし、ARMORD SAINTのファンからすると
期待したものとは違うと言って良いだろう。DAVE MUSTAIN風の
ボーカルをやや普通にしたようなJOEY VERAのボーカルだが、こう
言う楽曲では単に灰汁が抜けたくらいにしか思えない。決して悪い
出来だとは思えないが、これと言ったものもないのは確かだ。[75]
MORE MUSIC FROM THE POWER STATION YEARS / JOHN BONGIOVI
アメリカのハード・ロック・バンド、BON JOVIのボーカリスト、
JON BON JOVIのデビュー前のデモ音源集第2弾。どうも内容を聞く
限りでは、前作より更に昔のものが中心の様だ。BON JOVIの
デビュー当時の様なハード・ロック色はまるでなく、古臭い
チープなパーティ・ロックで、出来としてもあまり
取るべきものはない。元々上手いタイプのボーカリストではない
JON BON JOVIだが、ここではそれが更に顕著で聴いていて少し
辛い。Runawayのインストルーメンタル・バージョンが
入っているが、単にボーカル・パートをギターに置き
換えているだけだ。[10]
FACE IT LIVE '97 / JOHN NORUM
元EUROPEのスウェーデン人ギタリストによるライヴ盤。今年
行われた来日公演の模様を収めたものだ。バックは全て同郷の
スウェーデン人からなっているが、元GREAT KING RATの
ベーシスト、ANDERS FASTADER等中々の実力者ぞろいで、特に
元GREAT KING RAT、M.S.G.のボーカリストのLEIF SUNDINの
伸びやかな歌唱は素晴らしい。さすがにWishing Wellは
オリジナルのPAUL RODGERSの情感の深さには及ばないが、
全体としては良い出来だ。主にFACE TH TRUTHとWORLDS AWAYからの
選曲だが、彼のギター・プレイは良く情感が出ている。[84]
SECOND COMING / JOE STUMP'S REIGN OF TERROR
アメリカ人ギタリスト率いるバンドの2作目。
インストルゥーメンタルでアルバムを作るときはソロ名義で、
歌ものをやるときはバンド名義でという
切り分けをしているようで、これはボーカル入りという事になる。
いわゆるYNGWIE MALMSTEENクローンとも言える人で、本家の衰えが
目立つ中、YNGWIEよりもYNGWIEらしいギタリストだ。こうやって
歌ものを聴くと、ボーカル・ラインにややアメリカン・テイストを
感じない訳でもないが、全体的にネオ・クラシカルな線は
崩れていない。ボーカルがBRIAN TROCHに交代しているが、やや
めりはりを欠いたような感があるのが不満だ。[82]
JANIE, DON'T TAKE YOUR TO TOWN / JON BON JOVI
BON JOVIのボーカリストによる2ndソロ・アルバム、
DESTINATION ANYWHEREからの2ndシングル。シングル・カット曲
のタイトル・トラックに、未発表曲のSad Song Nightと
August 7, 4:15のアコースティック・バージョンと言う全3曲の
構成になっている。Sad Song Nightは単なる
ロックンロール・ナンバーでさして面白いと言う
様なものではないが、August 7, 4:15は切々と歌う
スタイルになっており、これがアコースティックのバックと
渾然一体となり、アルバムとはまた違った魅力を放っていて、
これだけは一聴の価値はある。[80]
LOVELAND / JOHN SYKES
自らのバンドSYKESを率いるイギリス人ギタリストの
ソロ・アルバム。バラードばかりで構成された、言わば企画盤的な
作品で、彼の名曲Please Don't Leave Meも新たに
録音しなおしている。どちらかと言うと優しい雰囲気の
落ち着いたものが中心で、ゆったりと聴けるものが多い。
泣きの哀愁という感じの曲がないのが寂しいし、その分
バラエティに欠ける感もあるが、楽曲自体は割かし良く
出来ている。全体的に淡白な感じがあり、これはという部分を
感じさせるものが欲しかったような気がする。[83]
UNNAMED II / JOKERS DEATH & TAXES
詳細は全く不明だが、どうもアメリカのハード・ロック・バンドの
1994年にリリースされたアルバムのようだ。女性二人を含む
7人組みで、メンバーの年齢層もかなり幅が広そうな感じだ。
全体的にのりの良い、軽快でややハードな
アメリカン・ロックという感じで、割と整っていて出来は
悪くない。アコースティックも交えながら進行する、渇いた明るく
のどかな雰囲気が感じられるが、このアルバムで面白いのは
そういう路線から外れた楽曲だ。特にFaded Beautyはアルバムの
統一感からすると、これを入れるのは違和感を感ぜずには
いられないのだが、扇情感たっぷりの疾走するギター・メロディが
なかなか良い。[78]
CRYSTAL PLANET / JOE SATRIANI
アメリカ人ギタリストの通算7作目のソロ・アルバム。ここ最近は
よりダークな感じのする作品を作っていて、彼の出世作
SURFFING WITH THE ALIENとはかなり方向性を
異にしていたのだが、本作ではそういった作風に立ち戻っており、
初期のファンを安心させるアルバムになっていると言って
良いだろう。軽快で爽やかな作風で、彼らしい、情感豊かな
ギター・インストルゥメンタル・アルバムに仕上げている。
やや長すぎると言う感もなくはないが、所々アクセントを
入れてみたりと結構聴きごたえのある内容だ。[82]
RAPID FIRE RONDO / JOE STUMP
アメリカ人ギタリストで、RAIN OF TERRORというボーカル入りの
バンド名義の作品とギター・インストルゥメンタルのソロ作品を
平行してリリースし続けているが、こちらはソロとして
4枚目となるアルバム。YNGWIEタイプのネオ・クラシカル系の
作品だが、スラッシィなリフも入れたりと、単なるYNGWIE
フォローワーに終わっていないところは評価出来る。YNGWIEにも
劣らぬギター・プレイは素晴らしいし、楽曲の出来も納得
出来るだけの作品には仕上がっている。全体的にアップ・テンポで
展開も持たせてあって、飽きさせぬような
作品作りにはなっているものの、もう少し彩り豊かにして
欲しかった。[83]
WHEN YOU WERE MINE / JOHN WAITE
アメリカのロック・バンド、BABYS、BAD ENGLISHの
元ボーカリストによるソロ・アルバム。これまでの作品と
比べると、ピアノやアコースティック・ギターを大幅に導入して、
非常に素朴な作りのアルバムに仕上がっている。どことなく
わびしさを感じさせるアメリカン・ロックで、アコースティック
色を強くしたことが一層そういった雰囲気を助長しているし、彼の
ボーカルがまたそれに非常に合っている。今までの彼の作品では
最もハードでない作品の部類になるが、楽曲の出来も結構良いし、
悪くない出来のアルバムだ。ソロでもヒットを飛ばして知られる
人だが、そう言う楽曲はないものの素朴で良い作品だ。[82]
AKUSTIKA LIVE IN AMERIKA / JOHN WETTON
ASIA、UK等を渡り歩いたイギリス人ボーカリストの
ライヴ・アルバム。ソロ・アルバムVOICE MAILとASIA、UK時代の
楽曲から構成されている。バックはアコースティック・ギターと
キーボードのみで、このアコースティック・ギターとピアノも
彼自身が弾いているようだ。シンセサイザーは
クレジットがないため誰が弾いているかは不明だが、それ程
露出している訳ではないので、ステージは恐らく彼一人しかいない
弾き語り状態だったのではないだろうか。しっとりとした雰囲気の
ライヴが彼のボーカルに非常に合っていて、わびしさと
ほのぼのとした雰囲気が入り交じる不思議な情景を醸し
出している。大ヒット曲のHeat Of The Momentもこういう切り口で
聴くと、また違った味がある。ASIA等のようなハードさは全く
感じられないが、優しい雰囲気に包まれた素晴らしいライヴだ。
[90]
GREATEST HITS LIVE / JOURNEY
アメリカのロック・バンドの1981年から1983年にかけて行われた
ライヴの音源を集めて作られたライヴ・アルバム。彼等としては
最も脂ののっていた時期であったESCAPE、FRONTIERSでの
ツアーで、Don't Stop Belivin'、Separate Ways、
Who's Crying Now、Open Armsと言ったそうそうたる楽曲が
並んでおり。まさにアルバム・タイトル通り、
GREATEST HITS LIVEと言った内容だ。死蔵されていた古いライヴ
音源ではあるが、録音状態は悪くないし、演奏の出来も十分評価
出来るだけの作品と言って良いだろう。STEVE PERRYの伸びやかな
ボーカルも堪能出来るし、初心者入門用にもうってつけの
素晴らしいアルバムだ。[87]
HURRY UP AND WAIT / JOE LYNN TURNER
元RAINBOWのアメリカ人ボーカリストによる4thソロ・アルバム。
ブルーズに傾倒したりと、RAINBOWでの彼の活動を知っている
人間には期待にそぐわない作品が続いてストレスが溜まる人も
多かったろうが、今作では久々にハード・ロックらしい方向性の
作品作りになっている。RAINBOWやその他のバンドっぽい楽曲が
それ程沢山占められている訳ではないが、中盤の
Game Of Rock'n RollやNo Room For Love辺りはいかにもらしい
楽曲だ。ここ最近感じられるボーカル・スタイルの変化はここでも
同じで、高音部もかなりだみ声になっていて、もう昔の様な歌唱は
無理なのかも知れない。[82]
JOSETTE / JOSETTE
アメリカ人女性シンガーのソロ・デビュー盤。プロデュースは
DAKOTAのJERRY G.HLUDZIKが行っている他、同じくDAKOTAの
JOHN LORANCEが曲作りで参加している。そう言ったところからも
判るように非常にハードなサウンドで、彼女の伸びやかで力強い
ボーカルもあいまって、中々パワフルな作品に仕上がっている。
楽曲はやはり叙情的なアメリカン・ハード・ロックで、
ミドル・テンポの楽曲は今一つ面白くないのだが、のりのある
楽曲は中々の出来だ。楽曲にバラエティさを持たせたが故の
結果かもしれないが、一本調子に聞えても的を絞った方がまだ
良かった。[82]
PERMANENT MARK / JOHN WEST
アメリカのネオ・クラシカル系ヘヴィ・メタル・バンド、
ARTENSIONのボーカリストの2ndソロ・アルバム。前作で素晴らしい
プレイを見せてくれていたギタリスト、GEORGE BELLASは同じく
ARTENSIONのキーボード、VITALIJ KUPRIJのアルバムに
参加しているためか、今作では何曲か作曲しているものの
レコーディングには参加していない。その代わりに、
KEVIN CHOWNの関係からか、元EDWIN DEARのJEFF KOLLMANギターを
弾いている。その性もあってか、前作からするとやや
ネオ・クラシカル的な色合いは減退し、よりソウルフルで扇情的な
ヘヴィ・メタル作品に仕上がっている。JEFF KOLLEMANのギターを
始め、演奏も素晴らしいし、楽曲の出来も悪くないし、良い
メロディアス・ヘヴィ・メタル作品に仕上がっている。[85]
UNDER COVER 2 / JOE LYNN TURNER
元RAINBOWのアメリカ人ボーカリストのソロ・アルバム。カバー
曲ばかりを収録したアルバム第2弾と言うことになるが、ロックの
スタンダードと言える様なものを始め、古い楽曲が中心だった事は
変わりないが、前作から比べるとよりハード・ロックのファンに
馴染み深い楽曲が中心になっている。全体的な味付けも、
ハード・ロック的になっており、彼のファンのニーズには前作より
合っていると言って良いだろう。FREEのWishing Wellや
FOREIGNERのWainig For A Girl Like You等も非常にハードな
味付けになっていて聴きごたえはある。UFOのRock Bottomや
WHITESNAKEのFool For Your Loving、RAINBOWの
Lost In Hollywoodと言ったおなじみのナンバーも
収録されている。しかし、彼が何故こういうアルバムを2作も
作らねばならないのか、その意義が判らない。梶山章や
AL PITRELLI等も参加していて、選曲的には疑問に
感じるものもあるものの、決して悪い出来だとは思わないが。[79]
KING BISCUIT FLOWER HOUR PRESENTS / JOHNNY VAN ZANT
アメリカのハード・ロック・バンドのライヴ盤。1985年に行われた
ライヴをラジオ番組KING BISCUIT FLOWER HOURの放送用に
収録したものだ。個人名義になっているが、これは彼が当時
率いていたVAN ZANTのライヴで、JOHNNY VAN ZANT BAND
時代のものもあるが、半数以上はVAN ZANTの楽曲だ。中には
未発表と思われる楽曲もあり、結構貴重な音源だ。叙情的で
キャッチーなメロディのハード・ロックで、楽曲の出来は
素晴らしい。特に後半の展開は圧巻で、Rock Survivors、
She's Out With A Gun、In Your Eyes等素晴らしい佳曲がずらりと
並んでいる。JOHNNY VAN ZANT自身のボーカルに若干不満を
感じない訳でもないが、演奏も良いし、音質も十分過ぎるほどで、
彼のファンなら聴いて損はない。[87]
THE LAST VIKING / JOHANSSON
元SILVER MOUNTAIN、YNGWIE MALMSTEENのキーボード、
JENS JOHANSSONとドラマー、ANDERS JOHANSONのスウェーデン人
兄弟によるプロジェクトの3rdアルバム。ギターとベースには
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、SYMPHONY Xの
MICHAEL ROMEO、ボーカルには元MAIDSON、YNGWIE MALMSTEEN、
GLORYのGORAN EDMANと中々豪華なラインナップになっている。
方向的には、このメンバーからも想像が付くように、これまでの
アルバムの中でも最もネオ・クラシカル色の強い作品に
仕上がっている。特にJENS JOHANSSONのキーボードが全面に押し
出されており、彼の実力が発揮されている。GORAN EDMANの
ボーカルも素晴らしく、非常に良く出来たアルバムだが、
ネオ・クラシカル然としていて万人向けとは言い
難いかもしれない。ただ、この手の音楽のファンであるならば、
必ずや満足できるだあろうレベルのアルバムだ。[85]
CLASSICA / JONAS HANSSON
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンド、SILVER MOUNTAINの
元ギタリストによる初のソロ・アルバム。合唱が入っているが、
全曲、ギター・インストルゥーメンタルで、
オーケストレーションを大幅に取り入れて融合している。いわゆる
ネオ・クラシカルと言った感じの作品で、
速弾きはほとんどないが、情感を大切にした作品である。泣きの
叙情的なギター・メロディが至る所に配され、そこに被さって来る
オーケストレーションが一体となった様は中々圧巻だ。アルバム
1枚聴けば、お腹いっぱいと言うタイプなので、そうしょっちゅう
聴きたいとは思わないが、出来は中々素晴らしい。[83]
THE ROCKS / JONAS HANSSON BAND
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンド、SILVER MOUNTAINの
元ギタリスト、JONAS HANSSON率いるバンドの3rdアルバム。
方向的には、これまでの路線を踏襲した叙情的な北欧フレーバーの
感じられるものだ。RAINBOWの影響が感じられる、様式美
サウンドは悪くない。楽曲は、メロディも良いし、フックがあって
平均的に良く出来ているし、飛び抜けた楽曲はないが、安心して
聴いていられるだけの作品に仕上がっている。JONAS HANNSONの
ギターだけではなく、DAVID SWAN MONTGOMERYのボーカルも
素晴らしいし、演奏、楽曲とも良く出来たアルバムだ。[83]
ZOOMA / JOHN PAUL JONES
イギリスのロック音楽史上に名を残す、LED ZEPPELINの
ベーシストの初のソロ・アルバム。LED ZEPPELINが解散して20年、
映画音楽をやったりはしていたが、本格的な活動がなかっただけに
正に待望の作品だと言って良いだろう。しかも、年取って落ち
着いた感じの作品になっているのだろうと言う想像は全く
裏切られ、非常にアグレッシヴな作品に仕上がっている。ベースを
中心したインストルゥーメンタルで、本当にやりたい事をやって
見せたと言うところだろう。それ故、彼のファン以外に、どれだけ
訴えるものがあるのかは疑問だが、ファンならばそんな事を抜きに
凄いと思える作品のはずだ。[85]
SHINE ON / JOHNNY LIMA
アメリカのシンガー・ソング・ライターによる2ndアルバム。
方向的には、前作同様キャッチーなメロディーのハード・ポップと
言う感じの作品で、それがより徹底されていると言って
良いだろう。My Country 'Tis Of Thee等は、売れ出した頃の
BON JOVIのヒット曲と言う風の、愁いを含んだ
メロディアス・ハードのナンバーだ。全体的に楽曲の質は
上がっており、甘いメロディが好きな人には聴く
価値があるだろう。ミックス・ダウンをTENのGARY HUGHESが
行っているが、それが功を奏したのか、やや生々しい音作りで、
扇情感があってフックが感じられる。彼のメロディ・センスの
良さが出た、中々好感の持てる良いアルバムに仕上がっている。
[86]
NOMANS LAND / JOHN WETTON
イギリス人ベーシスト、ボーカリストによるソロ・ライヴ盤。
1998年に行われたポーランドでの公演の模様を収録したものだ。
しかし、それにしてもここ最近の彼のライヴ盤と未発表曲集の
リリース・ペースには凄まじいものがある。スタジオ盤よりも速い
ペースでライヴ盤を出し続ける辺りは、少し疑問にも思える。
ASIA、UK、KING CRIMSONと言った名だたる
プログレッシヴ・バンドを渡り歩いてきただけに、楽曲の出来は
やはり安心して聴いていられる出来だ。アコースティックも大幅に
取り入れられているが、DAVID KILMINSTERのハードな
ギターもあり、中々聴きごたえがある。ここ最近の彼のライヴ
音源としては、生々しくて臨揚感があって、出来は良い。ASIAの
ヒット曲が省かれたのは、アルバムとしての統一性を考えると
いたしがたないか。[83]
LIVE IN STOCKHOLM / JOHN NORUM
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンド、EUROPEの
元ギタリストによる、1990年にリリースされたミニ・アルバム。
全5曲のうち4曲は、アルバム・タイトル通り、1988年に行われた
ストックホルムでのライヴの模様を収めたもので、それに
未発表曲が1曲と言う構成になっている。会場の熱気は今一つ
伝わってこないが、GORAN EDMAN、MARCEL JACOB等が
サポートしていて、中々良いパフォーマンスを
聴かせてくれている。未発表曲のFree Birds In Flightは、
メロディアスでスリリングな
インストルゥーメンタル・ナンバーで、悪くない。[82]
SLIPPED INTO TOMORROW / JOHN NORUM
スウェーデン人ギタリストの5thソロ・アルバム。方向的には
これまでの作品と趣を異にしており、かなりTHIN LIZZYっぽい
アルバムに仕上がっている。ある意味ではJOHN SYKESっぽい
作品で、叙情派北欧メタルの旧来のファンからすると賛否両論に
分かれるアルバムだろう。Blackscape等は、
オルタナティヴ・ロック的な色合いも感じるし、
Freedom Is My TruthはかなりALICE IN CHAINSっぽい楽曲に
仕上がっている。彼自身がボーカルを取っているために、そう
言った感がより一層強くなっていると言って良いだろう。アルバム
自体の出来は悪くないので、そう言った要素を受け
入れられるかどうかが分かれ目だろう。[83]
CAUGHT IN THE CROSSFIRE / JOHN WETTON
元ASIA、UK、KING CRIMSONのベーシスト、ボーカリストによる
1980年にリリースされた初のソロ・アルバム。翌年にASIAを
結成する訳だが、Baby Come Backと言った様な、その源流が
感じられる楽曲もある。全体的には、もっとシンフォニックな
作品ではあるが、彼の涼やかなボーカルと、キャッチーで
コマーシャルなセンスの溢れる楽曲が聴ける。全体を通すと、AISA
程ポップ過ぎると言う感じはなくて、もっと素朴な感じのする
アルバムに仕上がっている。やや流麗過ぎる様な気もするが、
楽曲の出来もまずまずだし、悪くないアルバムだ。[82]
HOLY MAN / JOE LYNN TURNER
元RAINBOW、DEEP PURPLE、YNGWIE J.MALMSTEENのアメリカ人
ボーカリストによる6thソロ・アルバム。前作では再びカバー
作品を制作したが、今作ではHURRY UP AND WAIT同様の、
ハード・ロック然としたオリジナル作品となっている。日本の
RAINBOWトリビュート・プロジェクト、虹伝説の縁でか、前作に
続いて梶山章がゲスト参加しているが、特筆すべきは彼が半分
以上の楽曲を書いている事だろう。それ故か、RAINBOW的な
味わいがあちこちに感じられ、中々感慨深い作品に
仕上がっている。そう言った意味でも梶山章がこのアルバムに
参加した意義は大きいと言って良いだろう。ギタリストには、
梶山章の他、AL PITRELLI、ANDY TIMMONS等も参加している。[85]
ARRIVAL / JOURNEY
アメリカのハード・ロック・バンドの4年振りのアルバム。
バンドの要の一人でもあるボーカリストのSTEVE PERRYが脱退し、
新たにSTEVE AUGERIが加入した他、元OZZY OSBOURNE BANDの
ドラマー、DEAN CASTRONOVOも加入している。NIGHT RANGERの
JACK BLADESも曲作りに参加している事もあって、部分的には
NIGHT RANGERっぽいところも見受けない訳ではないが、
NEIL SCHONらしいギター・フレーズも聴けて、全体的に
見るとらしい作品に仕上がっている。STEVE AUGERIのボーカルも
悪くないが、STEVE PERRY程の灰汁の強さがない分、やや印象が
薄くなってしまっている様な気がする。全体的に明るめの
曲ばかりで、愁いのある楽曲も欲しかった。[83]
NUCLEAR COWBOY / JOHN SYKES
元WHITESNAKE、THIN LIZZYのギタリストによる3年振りとなる
ソロ・アルバム。その間にTHIN LIZZY再結成による
活動もあったが、方向的にはBLUE MURDER以降の彼のソロ
作品らしいアルバムとなっている。THIN LIZZY的なフレーズが
ふんだんに取り入れながらも、打ち込みが多用されてたりと
モダンな感じのする作品に仕上がっている。その割には新味も
感じないし、そう言った変革がお世辞にも上手く行っているとは
言い難い。キャッチーなメロディも悪くないし、グルーヴ
感もあって、決して悪い作品ではないのだが、今一つ決めに欠ける
気がする。[80]
STARFIRE / JORN
元VAGABOND、THE SNAKES、ARKで現MILLENIUMのノルウェイ人
ボーカリストによる初のソロ・アルバム。THE SNAKESで
DAVID COVERDALEばりのソウルフルなボーカルを
聴かせてくれていたが、この作品でもその素晴らしいボーカルは
全く変らない。FOREIGNERのカバー、Break It Upでは
LOU GRAMMばりのボーカルを聴かせてくれているし、
上手いだけでなく器用さも感じさせてくれる。JOURNEYのカバー、
Edge Of The BladeやDEEP PURPLEのカバー、Burnでも中々
張りのあるパワフルな歌唱だ。その他にもJEFFERSON STARSHIPや
CITY BOYとカバーが多いが、彼のボーカルを聴くためのアルバムと
思えば左程気にならない。[83]
WELCOME TO HEAVEN / JOHN WETTON
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド、ASIA、UKの
元ボーカリストによる3年振りのソロ・アルバム。VOICE MAIL、
ARKANGELと併せてのコンセプト・アルバムで、その完結編となる
作品だ。方向的には、彼らしいポップ・センスに溢れた作品で、
楽曲のレベルも中々高い。そう言う意味では、ASIAの
ファンであれば十分満足出来るアルバムと言って良いだろう。
ASIA的なキャッチーな楽曲に、割とハードな音作りがされており、
本来ASIAが今、アルバムを出すなら、こう言う作品を出して
欲しいと思える作品だ。元THE BEATLESのRINGO STARRや
JIM VALLANCE等が共作者としてクレジットされているが、楽曲に
不自然さは全くない。元SURVIVOURのJIM PETERIK、
GREG BISONETTE、FORIGNERのIAN McDONALD、KING CRIMSONの
ROBERT FRIPP、元GENESISのSTEVE HACKETT等が参加している。[87]
ARRIVAL / JOURNEY
アメリカのハード・ロック・バンドのアルバム。先行発売された
日本盤に対して、アメリカ盤では楽曲が何曲か入れ替えている。
バラードのI'm Not That Wayが削られて、World Gone Wildと
Nothin' Comes Close、日本盤ではボーナス・トラックだった
To Be Alive Againが加えられている。バラードが削られて、
アップ・テンポのナンバーが加えられただけに、
ロック・アルバムとしてのめりはりがより強く出ている。両方とも
彼等らしいキャッチーなメロディの楽曲だし、特に明るい楽曲が
多かっただけに、湿り気の感じられるWorld Gone Wildが
加えられたのは良い結果になったと思える。[88]
LIVE IN SAN FRANCISCO / JOE SATRIANI
アメリカ人ギタリストの2枚組ライヴ盤。2000年に行われた
アメリカでの公演の模様を収めたものだ。アメリカ的な暖かい
叙情的なメロディの楽曲が並んでいるが、ここで注目されるのは
やはり彼のギター・プレイだろう。収録時間は2時間半近くにも
及び、その間ほとんどがギター・インストルゥーメンタルで
聴かせてしまう辺りは圧巻だ。とにかく延々とギターを弾きまくる
そのパフォーマンスは素晴らしいが、流石に少し食傷気味とも
言えなくもないが、テクニックの垂れ流しで楽曲がつまらない
凡百のギタリストと違い、楽曲も良く出来ているだけにこれだけ
長い作品でも聴いていられる。[82]
SLAM / JOE LYNN TURNER
元RAINBOW、DEEP PURPLEのアメリカ人ボーカリストによる
ソロ・アルバム。前作でも参加していた元PRECIOUSのギタリスト、
梶山章が今作では作曲を含めて全面参加している。梶山章の参加が
多いに功を奏しており、梶山章の作るRITCHIE BLACKMORE的な
楽曲に、ストラトキャスターの音色がまさしくRAINBOWや
DEEP PURPLEを思い起こさせる。これまでどうしてもブルージィな
楽曲が入って来て、バランスの悪さを
感じたりするところもあったが、この作品では音楽性に
統一感があり、また彼のボーカルが良く合っている。ライヴ
感のあるプロダクションも良く、素晴らしい作品に
仕上がっている。[85]
G3 LIVE IN CONCERT / JOE SATRIANI ERIC JOHNSON STEVE VAI
アメリカの3人のギタリストによる1997年にリリースされた
ライヴ盤。G3と銘打って、1996年に行われたアメリカでの公演の
模様を収めたものだ。JOE SATRIANI、ERIC JOHNSON、STEVE VAIと
言う名うてのギタリストのコラボレート・ライヴで、それぞれの
ステージが収められ、最後に3人でのセッションと言う
形になっている。それぞれのプレイと、カバー曲による3人の
セッションが3曲ずつと言う構成になっている。さすがG3と
銘打つだけのライヴで、最後の3人によるJIMI HENDRIXの
Red HouseやFRANK ZAPPのMy Guitar Wants To Kill Your Mania
等は圧巻だ。[81]
FEEDING THE WHEEL / JORDAN RUDESS
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンド、DREAM THEATERの
キーボードによる2年振りの4thソロ・アルバム。彼の
ソロ・アルバムと言う事で、当然キーボードを中心に置いた
インストルゥーメンタル作品で、彼の超絶プレイを押し
出しながらも適度にポップで意外と聴き易いアルバムに
仕上がっている。楽曲の出来は悪くないし、単なるテクニックの
垂れ流しになっていないところは好感が持てる。TERRY BOZZIO、
STEVE MORSE、JOHN PETRUCCI、BILLY SHEEHAN等と言った、彼に
劣らぬミュージシャン達がゲスト参加しており、その競演も中々
興味深い。[82]
FACE THE TRUTH / JOHN NORUM
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンド、EUROPEの
元ギタリストによる1992年にリリースされた5年振りの
2ndアルバム。パワフルでテンポの良いヘヴィ・メタルで、
北欧らしい叙情的なメロディも聴かせてくれている。しかし、
それよりもTHIN LIZZYの影響が強く出ており、楽曲によっては
完全にそれっぽさが出ている。DON DOKKENで一緒だった
ベーシスト、PETER BALTESが参加しているが、ここで
注目されるのは長年活動休止状態だった元DEEP PURPLEの
ベーシスト兼ボーカリスト、GLENN HUGHESの復活で、久しぶりに
素晴らしい声を聴かせてくれている。ファンからすると、もう少し
北欧よりの哀愁味のある叙情派メロディを期待するかも
知れないが、出来は悪くない。[83]
FIGURE IN A LANDSCAPE / JOHN WAITE
元BABYS、BAD ENGLISHのアメリカ人ボーカリストによる4年振りの
7thソロ・アルバム。ソロでも1980年代にMissing Youの全米
ナンバー・ワン・ヒットで馴染みのある人も多いだろう。
ハートフルでアダルトなバラードが並んでおり、如何にも彼らしい
アルバムに仕上がっている。1980年代のアメリカらしい、
洗練された叙情的なメロディのロック作品で、楽曲のクオリティは
非常に高く、ややハスキーで円熟味を感じさせるボーカルも含めて
安心して聴いている事が出来る。ややハードな部分も
見せてくれるが、基本的にはバラードが中心で、やや甘過ぎると
言う気もしなくはない。[83]
THE THUNDERTHIEF / JOHN PAUL JONES
イギリスの伝説的なハード・ロック・バンド、LED ZEPPELINの
元ベーシストによる2年振りの2ndソロ・アルバム。方向的には
前作の延長線上と言える、ベースを前面に押し出したハードな
サウンドを聴かせてくれている。但し、かなりジャジィな
音楽性となっており、その分非常にプログレッシヴ・ロック的な
エッセンスの感じられる作品に仕上がっており、その分、やや
好みの判れる作品だと言って良いだろう。前作では全編
インストルゥーメンタルだったが、今作では彼自身がボーカルを
取った楽曲が含まれており、中々興味深いアルバムだ。[85]
WORLDCHANGER / JORN
MILLENIUM、ARK、元YNGWIE MALMSTEEN、VAGABOND、THE SNAKESの
ノルウェイ人ボーカリスト、JORN LANDEによる
2ndソロ・アルバム。DAVID COVERDALE的なソウルフルなボーカルで
知れられている彼だが、この作品でもそのボーカルの持ち味を
存分に聴かせてくれている。基本的にはスロー・テンポから
ミドル・テンポの壮大でドラマティックな叙情派ヘヴィ・メタルで
中々出来は良いのだが、残念ながら後半はややそのクオリティを
保持出来ていない。元TINDRUMのベーシスト、SID RINGSBY等も
参加しているが、注目されるのはやはり何と言っても
JAN AKSEL "HELLHAMMER"で、彼はMAYHEMやCOVENANTと言った
畑違いとも思える活動をしているドラマーだ。[81]
DON'T WORRY ABOUT ME / JOEY RAMONE
アメリカ人ボーカリストの初のソロ・アルバム。伝説的な
アメリカのパンク・ロック・バンド、RAMONESの
元ボーカリストで、生前にソロ・アルバムをリリースするために
作製されたものだ。彼自身は2001年に亡くなったため、最後の
ソロ・アルバムと言って良いだろう。メロウでキャッチーな
メロディのロックンロール色が強いパンク・ロックで、如何にも
彼らしい作品と呼べるアルバムに仕上がっている。如何にも
1970年代的と言った感じのポップなパンク・ロックで、好き嫌いは
分かれるかも知れないが、RAMONESのファンであれば十分
満足するだろう。[80]
SOMETHING TO SAY / JOSHUA PERAHIA
アメリカのクリスチャン・メタル・バンド、JOSHUAの
元ギタリストによる初のソロ・アルバム。JOSHUAの後、M PIREで
アルバムを1枚リリースしたが、それ以来の7年振りとなる作品だ。
ボーカリストのJERRY GABRIELを除いてM PIREのメンバー編成で、
楽曲自体もM PIREで見せたよりアメリカナイズされた方向性と
言って良いだろう。ただし、バラードの割合が多く、
ヘヴィ・メタルと言うよりは、もっとアメリカン・ロック的な
色合いが濃いアルバムで、それだけに派手さはないが、渋さを
感じさせてくれる味わい深い作品で、しみじみと聴かせてくれる。
[82]
RED 13 / JOURNEY
アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの
ミニ・アルバム。STEVE PERRYがいなくなり、完全にNEIL SCHON
主導の体制になった事もあってか、非常にハード・ロック色の強い
作品に仕上がっている。その分、ヒット曲嗜好に囚われていない
為か、全体的に大作志向になっている。STEVE AUGERIの
ボーカルは、STEVE PERRYと比べると灰汁はないが歌唱力は申し
分なく、ハードになった楽曲にも負けていない。
Intro:Red 13/State Of Grace等は、今までとかなりイメージが
違うか、それでもWalking Away From The Edgeを始め、彼等らしい
メロディが随所に盛り込まれている。[85]
EARTH MAKER / JOHN WEST
ROYAL HUNT、ARTENSIONのアメリカ人ボーカリストによる、
4年振りの3rdソロ・アルバム。ROYAL HUNTやARTENSIONと言った、
ネオ・クラシカルや様式美系のヘヴィ・メタルとは距離を置いた
作品で、ソウルフルでアメリカらしいオーセンティックな
ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。そう言う意味では、前作を
更にバンドとは離れた方向性に持っていっている訳で、SAVATAGEの
ギタリスト、CHRIS CAFFERY、HALFORDのドラマー、
BOBBY JARZOMBEKとギタリスト、METAL MIKE CHLASCIAKと言った、
バンドを離れた参加メンバーもそう言った方向性を
意識してのものだろう。その一方で、When Worlds Collideで
ANDRE ANDERSENとVITALIJ KUPRIJ共演を実現させている辺りは中々
つぼをついている。[83]
ROCK OF FAITH / JOHN WETTON
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド、ASIA、UKの
元ボーカリストによる2年振りのソロ・アルバム。
プロデューサーの1人にPENDORAGONのCLIVE NOLANが名を
連ねているが、そう言った部分の影響が強いのか、非常に
シンフォニック色の強い作品に仕上がっている。やや
オリエンタルなエキゾチックさを取り入れながらも、
イギリスらしい憂いに満ちたメロディを押し出している。全体的に
しっとりと落ち着いた叙情的なナンバーを、彼が切々と歌い
上げると言うスタイルになっており、彼のボーカルを思う存分
堪能出来るが、その一方でポンプ・ロック的な色合いが強く、
スロー・テンポの曲が多過ぎる気もする。[84]
JLT / JOE LYNN TURNER
アメリカ人ボーカリストの2年振りの7thソロ・アルバム。
RAINBOWっぽさを伴ったIn Cold Bloodで幕を飽け、
HUGHES TURNER PROJECTとの切り分けはと感じたが、その後は
ブルージィな泥臭さい楽曲もあり、割とバラエティは豊かだ。
全体的にはキャッチーなセンスは変わらないが、アメリカ的な
泥臭さを感じさせるかと思えば、ブリティッシュっぽい憂いを
出して来たりもする。そう言った相反する音楽性を備えながらも、
彼らしいアルバムに仕上がっている辺りは中々つぼを心得ている。
オーセンティックで適度にグルーヴ感もあり、聴き応えがある
作品だ。[83]