イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1974年にリリースされた デビュー盤。K.K.DOWNING、GLEN TIPTONのツイン・ギター、 ROB HALFORDのボーカルと、後のバンドの骨格は既にこの当時出来 上がっていたが、サウンド的には、1970年代らしいハードな ブルーズ・ロックと言う感じで、機械的とも言える様な ヘヴィ・メタル然としたサウンドは、この当時まだ見えてこない。 ツイン・ギターと言っても、それ程音の厚みを出している 訳ではないし、メタル・ゴッドと言われる様になる、 ROB HALFORDのボーカルに後の面影が見える程度だ。[77]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1976年にリリースされた 2ndアルバム。前作ではまだ自身の音楽的方向性を見定められず、 ハードなブルーズ・ロックと言った程度の印象しか 受けなかったが、まだまだ未整理で混沌とした部分はあるものの、 今作では後の彼等らしいヘヴィ・メタル的なサウンドの方向性が 見え始めている。特にRipper等は、扇情的でROB HALFORDの ヒステリックなシャウトが威力を発揮しており、格段の進歩の 跡が伺える。Dreamer Deceiverと言った泣きのバラードも、 味わいがあってアルバムの出来自体は決して悪くない。[81]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた ベスト盤。恐らく版権上の問題でこう言う作品が出たのだろうが、 SIN AFTER SINの収録曲、Diamonds And Rustを除けば、全て初期の 2枚のアルバム、ROCKA ROLLAとSAD WINGS OF DESTINYからの 楽曲で、アルバム未収録曲と言ったレア音源もないし、これらの アルバムを持っている人には意義はないと言って良いだろう。 初心者入門用に初期の音源を聴くと言うレベルの意義しかなく、 何故こう言う作品がリリースされたのかは謎だが、まだ彼等の 方向性がはっきりと定まる前の彼等の音楽を聴く事が出来る。[78]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた アルバム。TURBO以降で見せた彼等らしい、変わり様のない サウンドがここでも聴ける。このアルバムを最後にボーカルの ROB HALFORDが脱退し、バンドは長い沈黙を守る事になるが、 ここではまだそう言う影響は感じられない。Painkillerを始め、 Night Crawler等、如何にもと言った感じのヘヴィ・メタルが 聴けるし、彼等のファンとしては安心して聴けるアルバムだと 言って良いだろう。メタル・ゴッド、ROB HALFORDの驚異的な ハイ・トーンも聴けるし、流石と言っただけの作品に 仕上がっている。[85]
カナダのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。LOVERBOYの元ボーカリスト、MIKE RENOを中心とする バンドで、NEAL SCHON等がゲスト参加している。方向的には LOVERBOYと言った経歴からも伺える様な、キャッチーな ハード・ロックを聴かせてくれているが、LOVERBOY程ドライヴ 感覚を前面に押し出しておらず、叙情的なメロディがあくまでも 中心になっている。とは言っても、やはりのりの良さは 失っていないし、楽曲の水準も決して低くない。ただ、飛び抜けた 楽曲がないために、アルバムとしての核になる部分が 感じられないのが残念だ。[80]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた アルバム。方向的には、ワイルドでのりの良い、扇情的な緊迫感を 持ったハード・ロックをやっている。恐らく、デビュー盤で自費 出版されたものをLONG ISLANDが ディストリビュートしたものだろう。楽曲は割とありがちで、 中にはRAGEやKINGDOM COME等にも通ずる様な楽曲もあるものの、 出来自体は悪くない。Crack It Upのイントロで、トルコ行進曲を 絡めてきたりと、それなりに工夫もしている様だ。何が まずいかというと、MICKのボーカルがたまに調子が外れることで、 折角良い雰囲気で流れているだけに残念だ。MICKの声質はRAGEの PEAVY似で、扇情的なハード・ロックをやるには問題ないし、 バンド事体には合っているのだから、この点だけが惜しい。[79]
GREAT WHITEのボーカリストによる1stソロ・アルバム。こういう 場合、バンドと方向的な差異が非常に気になるところだが、 ここではまさしくGREAT WHITEの世界だと言えるだろう。 GREAT WHITEは一時期、濃いブルーズ・ロック路線を行ったことが あるが、ここでもブルージィさを感じさせる部分はあるものの、 むしろ、ソリッドなハード・ロックという感じで、最近や ONCE BITTENの頃のGREAT WHITEと言える内容で、これをバンドの 新作だと言われても全く違和感はない。ONCE BITTEN収録の Save Your Loveをヴァイオリンとアコースティック・ギターで やっているが、雰囲気的にはオリジナルと変わらない。演奏的には バックはGREAT WHITEより少し引っ込み気味で、ボーカルをより 押し出した感じがする。楽曲の出来が全体的に粒が揃っていて 良い出来だ。[87]
メタル・ゴッド、ROB HALLFORD脱退により長い沈黙を続け、 PAINKILLER以来、実に7年ぶりとなるアルバム。ROB HALLFORDに 代わり、新ボーカリストとして元WINTERS BANEの ‘RIPPER’ OWENSを加えているが、WINTERS BANE時代よりも更に 破壊力を増し、迫力が出ている。ROB HALLFORDとはまた違った タイプのボーカリストだが、バンド自体も音楽性が変質しており アルバム自体にはあっている。楽曲自体はほぼミドル・テンポで 統一されており、ヘヴィネスでメロディをあまり 感じさせないため、もう少し変化が欲しいところだが、出来は 悪くない。[80]
アメリカのロック・バンドのデビュー盤。メンバーは元 DAVID LEE ROTHのDESI REXX、元BAD FINGER、JAMES YOUNG GROUPの KENNY HARCK、元TORA TORAのEUGENE STRENTZ等々によって 構成されているのだが、方向的にそういう色合いは全くない。 むしろプロデューサーのCHIP Z'NUFFのバンドENOUGH Z'NUFFの方が 近いくらいで、気だるさを湛えたニュー・ウェーヴ系の ロックという感じで、グランジっぽく感じる部分もある。 Metal Heart等というACCEPTを思い起こさせるような名前の 曲もあるが、これも御多分に漏れていない。しかし、楽曲の出来も 良いし、これはこれで結構面白い作品に仕上がっている。[82]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1978年から1986年までの シングルのB面に入っていたナンバーを集めた日本独自の企画盤。 TURBO LOVERのhi-octane mixを除けば全てライヴで、初CD音源と 言う事で中々貴重な作品だ。ボーカルは当然全曲若き日の ROB HALFORDが歌っており、非常に伸びやかな歌声を 聴かせてくれている。初期の名曲Beyond The Realms Of Deathを 淡々と歌い上げる所などは、今より彼のボーカルの幅が広かった 事を再認識させてくれる。さびでもきっちり歌い上げている所に 好感を持てる。今のようにシャウトが主流のスタイルより、 この頃のスタイルの方が好きだ。[81]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの2枚組みライブ・アルバム。 日本公演でも演奏されなかった4曲を加え、全24曲、2時間を 超えると言う辺りは圧巻だ。注目すべきはPIPPER OWENSが 加入しての初のライヴ・アルバムと言う事だが、完璧と言って 良い。まずROB HALFORDに似た声質で、過去の楽曲もイメージを 壊すことなく、またうまい。楽々と声が出ているので、 リラックスし過ぎと感じるほどだ。バックの出来も悪くないし、 演奏的には安心して聴いていられる。複数のライヴから 選曲したようだが、継ぎ接ぎという感じは全くない。攻撃的で 扇情的なライヴで、非常に心を沸き立たせてくれる部分があって 良い出来だ。[85]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた ベスト・アルバム。とは言うものの、実際は世界的にブレイクする 以前の1970年代のアルバムからの選曲で、その後の様な非常に メタルチックなサウンドはほとんど見えず、翳りの強い ハード・ロックと言う感じだ。そのため、全体的に古臭さを 感じるのはいがめないが、The Ripper等が収められていて 選曲的にもまずまずで、初期のバンドを知るにはマテリアルとして 悪くないだろう。ROB HALFORDのクレジットも ROBERT HALFORDになっていて、メンバー・ショットも実に 若々しい。[80]
アメリカのバット・ボーイズ・ハード・ロックンロール・バンドの ライヴ盤。デビュー当時の1989年に行われたアメリカでの公演の 模様を収めたもので、ブルージィで土臭さの感じられるのりの良い ハード・ロックンロールを聴かせてくれている。録音状態は良いと 言う訳ではないが、特別酷くもなく、ライン取りで取ったまま、 ほとんど編集されていないのではないかと思える程生々しい ライヴの模様を伝えている。それだけに彼等の魅力もダイレクトに 伝わって来るし、ライブ作品としては悪くない。如何にも アメリカのハード・ロックンロールと言った感じで、懐かしさの 感じられる作品だ。[81]
日本のスラッシュ・メタル・バンドの2年振りのアルバム。 音楽的には非常にコアでシアトリカルなスラッシュ・メタルで、 SLAYER型の非常に速い攻撃的なサウンドを聴かせてくれている。 不安感を誘う様なシアトリカルさが、ある種 プログレッシヴ・ロック的な味わいを感じさせてくれる。特に Who Saw Him Die?におけるギター・プレイ等は、如何にも KING CRIMSON的な感じのするものだ。特に日本語の歌詞がより一層 コアで呪術的で一種独特の味わいを出している。それ故聴くものを 選ぶだろうが、日本のスラッシュ・メタルを支えた バンドだけあって、その出来はオリジナリティがあって 中々のものだ。[81]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた 6thアルバム。メタル・ゴッドと呼ばれ、ヘヴィ・メタルの 体現者と言える、彼等のターニング・ポイントとも言える作品だ。 N.W.O.B.H.M.が当時勃興し、彼等によってリスペクトされる部分も 大きかっただろうが、彼等自身もリスペクトされる部分も 多かったのではないかと思える。初期には入っていたバラードが 完全に廃され、ヘヴィなリフによる楽曲がずらりと並んでいる。 流石に今聴くとやや古臭さを感じさせるところもあるが、彼等の 代表曲とも言えるBreaking The Lawを始め、攻撃的で格好の良い 作品に仕上がっている。ボーナス・トラックの未発表曲、 Red, White & Blueは国歌風の勇壮なナンバーだが、さして 面白いものではない。[82]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた 8thアルバム。前作辺りから、よりヘヴィでロックンロール的な 色合いを濃くしており、この作品はその延長線上と言えるだろう。 Heading Out To The Highway等ではギターの泣きも感じられるが、 ワールド・ワイドに成功を収め結実する次作、 SCREAMING OF VENGEANCEへの過渡期的な時期だ。ドライブ感を強く 押し出すためか、ややロックンロール色を強く出し過ぎている 気もするが、Desert Plains等は次作のBloodstoneっぽさを 感じさせる。ボーナス・トラックの未発表曲、Thunder Roadは バンド初期の楽曲だが、1987年に録音されただけあって、後期の 彼等らしさを湛えている。Desert Plainsのライヴは、より アップ・テンポのアレンジとなっていて、中々面白い。[82]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りの14thアルバム。 元WINTERS BANEの‘RIPPER’ OWENSを加えて作成された前作は、 彼のボーカリストとしての実力を見せ付けながらも、 ミドル・テンポ中心の楽曲が今一つ面白みに欠けていたが、 今作ではスピード感があって、アグレッションが効いていて聴き 応えがある。ROB HALFORDが居た頃と比べて変化が受け付けない ファンも居る様だが、元々要所要所で変化があった様に、この位の 変化はあってもおかしくないだろう。モダンさを取り入れながらも 彼等らしいフレーズはあり、楽曲の出来は前作より良いし、結局は このモダンさを良しとするかどうかで評価は分かれると思う。[85]
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1991年に リリースされた2ndアルバム。POISONやGUNS'N'ROSESと言った、 バット・ボーイズ・ハード・ロックンロールの様な、この頃隆盛を 極めていたバンド達のグラマラスなサウンドとはやや違い、ピアノ 等を取り入れながら、もっとブルージィで昔ながらの オーソドックスなハード・ロックンロールを聴かせてくれている。 ワイルドでタフなBack On The Streetsや、バラードの Slippin' Away等、楽曲のレベルは中々高い。フックがあってのりが 良く、中々聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。[83]
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1989年に リリースされたデビュー盤。方向的には、この頃流行していた バッド・ボーイズ・ハード・ロックンロールとはやや違い、もっと オールド・スタイルのハード・ロックンロールの埃っぽいタフな ハード・ロックンロールと言って良いだろう。この方向性は次作で よりブルージィな作品作りへと強調されていくが、この作品では パンキッシュなエッセンスが感じられるが、もっとストレートに ロックンロールを聴かせてくれている。やや軽く感じられるが、 テンポが良くて、のりと勢いの感じられるアルバムに 仕上がっている。[82]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた 2枚組のライヴ盤。UNLEASHED IN THE EAST以来、8年振りとなる ライヴ盤で、1986年に行われたツアーの模様を収めたものだ。 UNLEASHED IN THE EASTがBRITISH STEEL以前の作品である事を 考えると、SCREAMING FOR VENGEANCEからTURBOにかけての一番 バンドの勢いがあった頃のライヴと言う意味で意義は 大きいだろう。実際、今回ボーナス・トラックとして納められる 事になったHell Bent For Leather以外に重複する楽曲がない。 プロダクションもクリアで十分素晴らしく、彼等のライヴ 作品として相応しい出来だ。ボーナス・トラックとして他に Screaming For VengeanceとRock Hard, Ride Freeが 収められているのも嬉しい。[87]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 16thアルバム。TURBOがシンセサイズド・ギターを持ち込んで、 かなり実験的とも言える内容であったが、やや作り過ぎと言う 印象も受けた。そう言った意味では、これまでの延長線上を 保ちながらも、前作よりオーソドックスな形になっていると言って 良いだろう。楽曲的にはSCREAMING OF VENGEANCEに譲るが、 TURBOの先進性を幾分残しながら、彼等らしいヘヴィ・メタル観を 上手く表現している。CHUCK BERRYのJohnny B.Goodeをカバーした 事でも話題になったが、実に彼等らしい味付けになっている。[84]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの4年振りの2枚組ライヴ盤。 2001年に行われたイギリスでの公演の模様を収めたものだ。 収録時間は2時間10分にも及び、ライヴの模様が完全に 収められている。プロダクション、演奏面でも十分満足の行く レベルで、彼等らしいライヴ作品となっており、選曲もベストに 近く、この作品単体で考えれば素晴らしいライヴ盤だと言えるが、 続けてライヴ盤をリリースする意義と言うのが感じられないのも 確かだ。とは言え、そのクオリティは流石メタル・ゴッドと 言えるだけ高く、ヘヴィで、エナジーを感じさせるアルバムである 事は間違いない。[85]