HEADING FOR TOMORROW / KAI HANSEN(GAMMA RAY)

ドイツのパワー・メタル・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。HELLOWEENの中心人物だったギタリスト兼 ボーカリストのKAI HANSENのソロ・プロジェクトとして立ち 上がったバンドだが、その後正式にバンドとして活動して行く 事になった。KAI HANSENが楽曲を書くだけあって、初期 HELLOWEENのジャーマン・パワー・メタル然とした、大仰な メロディのパワー・メタルを聴かせてくれている。14分を超える Heading For Tomorrow等はKeeper Of The Seven Keys やHelloweenと同じ指向と言って良いだろう。あまりにも HELLOWEENの面影が見え過ぎて、HELLOWEENからのファンには期待 通りだろうが、それ以外には少し苦しい感じがする。特に KAI HANSEN自身のボーカルが弱点となっているだけに尚更だ。[80]

KATMANDU / KATMANDU

元FASTWAYのアイルランド人ボーカリスト、DAVE KINGと元KROKUS、 ASIAのスイス人ギタリスト、MANDY MEYERによる ハード・ロック・バンドの1991年にリリースされた唯一の アルバム。曲作りはDAVE KINGとMANDY MEYERが半々行っており、 両者がイニシャティヴを取っていた事が良く判る。楽曲は ブルージィさが散りばめられたハード・ロックで、MANDY MEYERの スイスらしいアメリカナイズされた感覚に、DAVE KINGの エモーショナルなボーカルが絶妙なコンビネーションを織り 成している。FASTWAYの様な1970年代っぽさがないところに、 好みが少々分かれるかも知れないが、中々良く出来たアルバムだ。 [84]

SEE SEE THE SUN / KAYAK

オランダのプログレッシヴ・ロック・バンドの1973年に リリースされたアルバム。後年、もっとクラシカルな方向に 向かっていった様だが、ここではまだそう言った要素は強くなく、 よりプログレッシヴ・ロック色の強い作品であると言える。 ポップス指向がある程度強く、聴き易いメロディと言う印象を 受けるが、ヒット曲指向と言う訳ではない。ある程度 展開はあるが、プログレッシヴ・ロックではあるが、難解さを 感じさせない作品だと言って良いだろう。あまり難解なのはと言う 人でもお手軽に聴ける、聴き易い作品だ。[75]

FREAKS OF NATURE / KANSAS

アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの7年振りとなる アルバム。方向的には、いわゆる アメリカン・プログレッシヴ・ハードと言える作品だ。この手の 系統では実にポップで非常に聴き易い作品で、このバンドらしい 内容に仕上がっている。DAVID RAGSDALEのヴァイオリンは実に 自然に楽曲に溶け込んでいて印象深く、メロディも秀逸で格好良い 楽曲が並んでいる。ハード・ロックというほどハードではないが、 壮快で全体的に良く出来たロック・アルバムだ。好き嫌いが 分かれそうな感じもするが、作品の出来はなかなかのものだ。[84]

DEMO RECORDINGS 1995 / KARI

ノルウェイのゴシック・メタル・バンド、 THE 3RD AND THE MORTALの元ボーカリスト、KARI RUESLATTENの デモ音源をCD化したプロモーション用のソロ・アルバム。 方向的にはTHE 3RD AND THE MORTALとは少し違った趣向で、 THE 3RD AND THE MORTALを離れた理由はこの辺りかもしれない。 トラディショナル・フォークにかなり影響を受けているようで、 全体的にそういう匂いが感じられる。アコースティックを 中心としたバックにソプラノ・ハイトーンの美しい歌声で切々と 歌いあげる。ヘヴィ・メタルとはもはや縁遠い サウンドではあるが、所々THE 3RD AND THE MORTALが見せていた 陰鬱さ程ではないものの暗い翳りが見える。 THE 3RD AND THE MORTAL同様、ここでも彼女の素晴らしい歌唱力は 相変わらずだ。[87]

KASHMYR / KASHMYR

ドイツのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー作。 正統派のヘヴィ・メタルであるが、非常に扇情的な楽曲でかつ ヘヴィな作品だ。フックが効いているし構成は単純ではないので メロディアスなバンドにありがちな軽く聴き流せてしまうような こじんまりしたところは全くない。バラードは見事に泣かせるし 近年の正統派のヘヴィ・メタルとしては非常に掘り出し物と言って 良いだろう。楽曲のレベルも高いが、残念ながら楽曲によっては 雰囲気を若干異にしていて疑問がない訳でもない。 CARSTEN HISLEYの声質は若干PAUL STANLEYを思わせる所があるが、 特にバンドのカラーに合っていないと言う訳ではない。だが、 最後のPURPLE RAINだけはあまりにも色合いが違うのでやめた方が 良かっただろう。[89]

ETERNITY / KAMELOT

フロリダのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。非常に メロディアスでドラマティックでクラシカルな作品で、この手の メロディアスなパワー・メタルが好きな人にはたまらない作品だ。 ボーカル・ラインはJEFF TATEっぽくメロディに大仰に のりかかってくるのは大仰過ぎて好き嫌いが分かれるところだし、 MARK VANDERBILTのボーカルが高音で少し不安定に感じる 部分があるのが残念だ。リズム・チェンジに複雑な展開と構成は IRON MAIDENなどに通ずる部分もある。ICED EARTHの NIGHT OF THE STORMRIDER辺りがいけたならこちらも 聴けるだろう。[89]

DOMINION / KAMELOT

フロリダ出身のパワー・メタル・バンドによる2ndアルバム。 デビュー盤では良質の叙情的でメロディアスなパワー・メタルを 聴かせてくれていたが、今作ではメロディ的な部分ではあまり 変化がないものの、楽曲にある程度展開を持たせており、より ドラマティックな作品となっている。だが、残念な事にあまり 上手く消化出来ておらず、それによって却って散漫な 作品になってしまった様な印象を受ける。キーボードも良い 味付けになっているし、大仰なパワー・メタルという事で心引く 部分はあるのだが、この辺りのアレンジがもう少し 何とかならないと名作と呼ぶ域には中々達しないだろう。[81]

SPINDELSINN / KARI RUESLATTEN

ノルウェーのゴシック・メタル・バンド、 THE 3RD AND THE MORTALの女性元ボーカリストの ソロ・アルバム。これ以前にデモCDをリリースしているが、正式な ものとしては初のアルバムとなる。デモ同様、 トラディショナル・フォークを基調としたロック・アルバムで、 THE 3RD AND THE MORTALとは耽美さはあるものの、かなり違う 作品になっている。美しく静寂間を持った楽曲を淡々と歌う KARI RUESLATTENのボーカルは味わい深い。ボーカリストとしての 力量は疑うべきもないので、安心して聴いていられる。 落ち着いた寒々しい雰囲気をじっくり味わえる出来に 仕上がっている。THE 3RD AND THE MORTALを期待するには 静かすぎるないようだろうが、彼女のボーカルを 堪能したい分には十分だろう。[89]

SIEGE PERILOUS / KAMELOT

アメリカのパワーメタル・バンドの3rdアルバム。今作より ボーカルが元CONCEPTIONのROY KHANに交代している。しかし、 良くも悪くもこのボーカリストの交代が、このアルバムの印象を 決定付けている。確かにROY KHANの方が前任のボーカリストより うまいのは間違いないのだが、彼の個性にバックが負けていて、 CONCEPTIONの新作に思えてしまうのだ。これは彼の個性が CONCEPTIONで大きな役割を果たしていたと言う事と同時に、この アルバムの楽曲が個性と言う点で弱いと言う事を物語っている。 メロディの印象度が低いので、楽曲としてあまり 訴えるものがなく、結果としてボーカルばかりに耳が 行ってしまうのだ。決して悪い出来ではないのだが、もっと楽曲の 出来を高める必要があるだろう。[80]

ALWAYS NEVER THE SAME / KANSAS

アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの過去の 名曲をリメイクしたアルバム。今回のリメイクに当って、 ロンドン・シンフォニー・オーケストラと競演しており、これらの 名曲に全く新たな息吹を与えていると言って良いだろう。元々 バイオリニストが居るバンドだったが、また一風違った味わいが 出ている。オーケストラと絶妙にマッチしていて壮大で叙情的な 素晴らしい作品に仕上がっている。選曲もベストと言っても 良いし、ファンにも初心者にもお勧め出来る作品だ。 オリジナル・バイオリニストのROBBY STEINHARDTが 復帰しているのも大きなポイントだ。これまでも多くの名作を 作ってきた彼等だが、それに相応しいリメイク作品だ。[92]

MESMERIZED / KARI RUESLATTEN

ノルウェイ人女性ボーカリストの3rdソロ・アルバム。 ノルウェイのゴシック・メタル・バンドの初期の ボーカリストだったが、ソロとして独立してからは、トラッド色の 強いロック・アルバムを発表してきていた。今作では、トラッド 色はやや薄れ、よりポップ色の強い作品になってきている。それに 合わせて、ボーカル・スタイルもやや変えてきており、 ハイ・トーン・ソプラノよりは甘い歌声を聴かせると言った 感じだ。方向的には、KATE BUSHを思わせるところもあり、歌声も そう言った感じがする。前作以上にロック色が下がっているので、 ヘヴィ・メタル側のリスナーには少し辛いかも知れないが、彼女の 歌唱の素晴らしさは十分出ている。[85]

KING BISCUIT FLOWER HOUR PRESENTS / KANSAS

アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドのライヴ盤。 1989年のアメリカでのライヴの模様をラジオ番組放送用に録音した 音源をCD化したものだ。時代的にはギタリストとして 現DEEP PURPLEのSTEVE MORSEを迎えて再結成し、再び解散する 直前のライヴと言う事になる。やはりバイオリンがいないので、 昔の楽曲に関しては残念ながら少し違和感を憶えるところだろう。 とは言え、音質的にはこのシリーズらしくプロダクションは 良いし、演奏もききっちりまとまっているし、ライヴの 臨揚感もあって中々良く出来たライヴ盤に仕上がっている。[83]

THE FOURTH LEGACY / KAMELOT

アメリカのパワー・メタル・バンドの4thアルバム。前作より ボーカリストが元CONCEPTIONのROY KHANに交代したが、楽曲、 演奏とも全体的にROY KHANのボーカルに負けていると言う感が 強かった。今作ではよりドラマティックな楽曲作りとなっており、 インパクトを十分出している。個性的な歌唱を聴かせてくれる、 ROY KHANが歌うだけあって、CONCEPTION的な感じがしてしまうのは 少し残っているが、それでも彼等ならではのスタイルを出せるに 至っている。ROY KHANの透った冷ややかなボーカルは相変わらず 素晴らしいし、扇情的でドラマティックなアルバムに 仕上がっていて、聴きごたえはある。[84]

CLOSE TO THE FIRE / KAYAK

オランダのプログレッシヴ・ロック・バンドの再結成第1弾となる 19年振りのアルバム。叙情的で愁いのあるメロディの プログレッシブ・ロック作品で、変らずメロディ・センスの良さを 感じさせてくれる。現代的に洗練されており、爽やかさも醸し 出しており、完成度も上がって進化した姿がここにある。 プログレッシヴ・ロックと言っても、変則的な部分が多々あると 言う訳ではないし、フルートやバイオリンも使われているが、 非常に聴き易い作品であると言えると思う。心洗われる様な美しい メロディで、非常に美しいアルバムに仕上がっている。[87]

SOMEWHERE TO ELSEWHERE / KANSAS

アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドのアルバム。 リユニオン・ブームの最中、このバンドも20年振りに オリジナル・メンバーに戻ってのアルバムだが、正しく初期の ファンの期待に沿える様なドラマティックで叙情的な美しい メロディのアルバムを作り上げたと言って良いだろう。 ROBBY STEINHARDTの美しいバイオリンも良く映えており、適度に ハードなフレーズも織り込まれている。全体的に良く 出来ているが、但しこれと言った飛び抜けた楽曲がないのも 確かで、もう一押し欲しいと言う物足りなさも感じるが。[84]

THE PROPHECY(STIGMATA OF THE IMMACULATE) / KATAKLYSM

カナダのデス・メタル・バンドの4thアルバム。方向的には スラッシュ・メタル型のブルータル・デス・メタルと 言えるもので、ブラスト・ビートを持ち込みながらも、 ギター・メロディははっきりと打ち出されている。そう言う 意味ではAT THE GATESタイプのバンドと言えるが、重厚なリフから ブラスト・ビートに切り替わったりとかなりテクニカルな要素の 強い作品となっている。Stormland等は中々硬質のリフで独特の 味わいがあってかなり面白い。縦横に変化するリフと暴虐さを醸し 出すサウンドは破壊力があり、迫力を感じさせてくれる アルバムだ。[83]

THE EXPENDITION / KAMELOT

アメリカのパワー・メタル・バンドの初のライヴ盤。2000年に 行われたヨーロッパ・ツアーの模様を収めたもので、ボーカルは もちろん元CONCEPTIONのKHANに代わってからのものだ。中々 アグレッシヴで聴き応えのあるサウンドを聴かせてくれており、 スタジオ盤よりエッヂが聴いていて格好が良いし、KHANの ボーカルも張りがあってライヴ・バンドとしての実力を 感じさせてくれる作品に仕上がっている。ライヴ8曲に、 未発表曲が3曲と言う構成になっているが、この未発表曲も ボツになっていたのが勿体無いと思えるくらい中々格好が良い。 [83]

SWAMPLORD / KALMAH

フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの デビュー盤。ベーシストのALTTI VETELAINEN、ドラマーの PETRI SANKALA、キーボードのPASI HILTULAと3人が ETERNAL TEARS OF SORROWのメンバーが入っているだけあって、 こちらも同じくパワー・メタル型の メロディック・デス・メタルだ。ETERNAL TEARS OF SORROWでは ALTTI VETELAINENがボーカルを取っていたが、ここではバンドの 中心人物であるPEKKA KOKKOがボーカルを取っており、しゃがれ 声のデス・ボイスを聴かせてくれている。正統派パワー・メタルと 言えるバックは、エッヂの立ったサウンドで実に格好良く、 キーボードも絶妙で、この手のものとしてはかなりレベルが高い アルバムだ。[85]

THE BEST OF KANSAS / KANSAS

アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1984年に リリースされたベスト盤。バンドとしては最も勢いのあった 全盛期と言える1970年代の楽曲が当然中心となるだけに、 Carry On Wayward SonやDust In The Windと言った シングル・ヒット曲も含んでおり、そのレベルの高さは疑い 様もない。プログレッシヴ・ロックらしいキーボードを フューチャーしながらも、叙情味溢れるメロディを前面に配した 楽曲は素晴らしい。サウンドも適度にハードで、聴き応えがあり、 彼等の魅力を存分に味あわせてくれる作品と言って良いだろう。 [85]

KARMA / KAMELOT

アメリカのパワー・メタル・バンドの5thアルバム。これまでも 元CONCEPTIONのボーカリスト、KHANを迎え、それなりにレベルの 高さを伺わせていたが、KHANのボーカルとのマッチングに違和感の 感じられるものだった。今作ではようやくその取り合わせが上手く 融合した感があり、KHANのボーカルがようやく活かせた様に 思える。楽曲の出来も素晴らしく、ドラマティックで憂いを帯びた メロディは非常に良く出来ているし、オーケストラを導入する アイデアも上手くはまっている。楽曲、演奏、プロダクションとも 非常に良く出来ており、傑作と言えるだけのアルバムに 仕上がっている。[91]

NIGHT VISION / KAYAK

オランダのプログレッシヴ・ロック・バンドの再結成第2弾となる 12thアルバム。この作品に当たって最も驚かされたのが ボーカリストの交代で、何と元VANDENBERGのBERT HEERINKが 加入している。THE FLOWERKING等、ヘヴィ・メタル系の ミュージシャンがプログレッシヴ・ロック方面でも活動すると 言うのは珍しい話ではないが、彼等の様な超ベテラン・バンドにと 言うのは聴かない話だ。音楽的には彼等らしい、古臭い シンフォニックなプログレッシヴ・ロックだが、メロディは結構 ポップなので聴き易い作品と言って良いだろう。VANDENBERG解散 以来、ソロやUNDERCOVERで細々と活動していたBERT HEERINKだが、 特に昔と変わりはないボーカルを聴かせてくれている。[84]

THE POETRY OF WAR / KATAKLYSM

カナダのデス・メタル・バンドの5thアルバム。1993年に 作成されたデモとの2枚組みの限定盤。ブラスト・ビートを 主軸としたブルータルなデス・メタルだが、同郷のCRYPTOPSY等が グラインド・コア系のテクニカルなサウンドであるのに対して、 こちらは暴虐的ながらもヨーロッパのバンド的なメロディを はっきりと取り入れている事である。非常に攻撃的な 作品でありながら、スラッシィなリフやメロディが打ち 出されており、北欧的なダークさを築いている。ブラスト・ビート 等はかなり高速で激烈だが、このメロディアスさが決して聴き 難いものにしていないのがこのバンドの特徴と言えるだろう。[82]

NOTES FROM THE PAST / KAIPA

スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの20年振りの 6thアルバム。現THE FLOWERKINGSのギタリスト、ROINE STOLTと キーボードのHANS LUNDINによる再結成で、他のメンバーは セッションであるため、パーマネントな復活ではなさそうだ。 音楽的には、ROINE STOLTがTHE FLOWERKINGSでそのまま引き 継いでいるだけに、THE FLOWERKINGSしか知らないファンにも十分 馴染み易いものと言って良いだろう。ギターがやや乖離した様な 感じがするのが気になるが、爽快な叙情感を持った、空間の 広がりを感じさせるシンフォニック・ロックで、レベルは中々 高い。[84]

THEY WILL RETURN / KALMAH

フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。基本的には前作の延長線上と言える、 パワー・メタル型のメロディック・デス・メタルと言って 良いだろう。ただし、今作ではPASI HILTULAのキーボードの入れ 方がかなり特徴的になっており、時にはCHILDREN OF BODOMの 様な、疾走するピコピコしたサウンドを聴かせたり、荒涼とした ブラック・メタル的な感じを出したりと、その存在感がより 増している。非常にアグレッシヴで勢いを感じさせる作品で、 楽曲の出来も良いし、オリジナリティも出せていて、成長の後を 伺わせるアルバムだ。[86]

KAAMOS / KAAMOS

スウェーデンのブラック・メタル・バンドのアルバム。方向的には オールド・スクールのスラッシュ・メタルやハード・コア的な エッセンスを強く押し出したものだ。それ故、この手のものに つきもののブラスト・ビートは、あまり表には出てこない。 おどろおどろしく、スピードを重視した楽曲ではあるが、それは あくまでもオールド・スタイルのコアなスラッシィーな部分での 話であり、スラッシュ・メタルのファンなならばかなり聴き易い 作品であるはずだ。咆哮型のデス・ボイスも、パワフルだがあまり 歪ませていないので聴き易く、尚更そう感じるだろう。パワフルで 疾走するサウンドは格好良く、中々良く出来たアルバムだ。[83]

EPICA / KAMELOT

アメリカのパワー・メタル・バンドの6thアルバム。元々優れた 叙情派パワー・メタル・バンドではあったが、前作辺りから CONCEPTIONのKHANとのコンビネーションも完璧に機能し始め、 前作と並んでその完成形と言えるアルバムだろう。KHANの冷めた ボーカルに好き嫌いは分かれるかも知れないが、シンフォニックで ドラマティックな楽曲に、叙情的なメロディと楽曲は言うに 及ばず、プロダクションまで含めてこの手のバンドとしては群を 抜く存在になったと言って良いだろう。前作と比べると あざとらしさが減って、より自然になった様に感じられる。前作の ファンはもちろん、叙情的な正統派パワー・メタルが好きならば 聴く価値ありだ。[89]

DEVICE-VOICE-DRUM / KANSAS

アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの2枚組 ライヴ盤。6月に行われたスタジオ・ライヴの模様を 収めたものだ。スタジオ・ライヴであるためか、緊迫感があると 言うより、どちらかと言うとリラックスした雰囲気に満ちている。 ベテランらしい落ち着いた深みのある演奏が聴けるし、徐々に ドラマティックに盛り上げて行く様は流石だ。憂いを帯びた切ない メロディを切々と訴えかけて来る様に歌い上げ、情感を揺り動かす 様に奏でる辺りは壷を抑えているベテランらしい経験の賜物だ。 選曲もほぼベストと言えるもので、初心者入門用にも丁度 良いだろう。[85]

SWAMPSONG / KALMAH

フィンランドのメロディック・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。スラッシュ・メタル的なエッセンスを取り入れ、 ザクザクとしたリフを切り刻むので非常にノリが良く、勢いも 感じられる。ブルータルなサウンドやキーボードの使い方などは 北欧ブラック・メタルっぽい荒涼感を醸し出すところもあるが、 全体的にピーヒョロとした音を聴かせる事があり、 CHILDREN OF BODOMっぽさも感じなくはない。このPASI HILTULAの キーボード・メロディがかなり前面に押し出されており、 ANTTI KOKKOのギター・プレイと伴に、オリジナリティを 感じさせて、バンドのサウンドにおける柱となっている。[84]