MURDER ONE / KILLERS

イギリスのヘヴィ・メタル・バンド、IRON MAIDENの 元ボーカリスト、PAUL DI'ANNO率いるバンドの1992年に リリースされたデビュー盤。STEVE HARRISがいないのだからある 意味当然かもしれないが、その音楽的方向性には IRON MAIDENっぽさは全くない。N.W.O.B.H.M.らしい ロックンロール色を押し出したヘヴィ・メタルで、彼のこの 作品でのボーカル・スタイルもあって、楽曲によっては若干 SAXONっぽさも感じられる。楽曲的には悪くないが平凡で、 IRON MAIDENの様なドラマティックさもなく、IRON MAIDENの ファンはあまり食いついて来ないだろう。[80]

MENACE TO SOCIETY / KILLERS

イギリスのヘヴィ・メタル・バンド、IRON MAIDENの 元ボーカリスト、PAUL DI'ANNO率いるバンドの1994年に リリースされた2ndアルバム。前作の商業的不振もあってか、その 音楽的方向性は大きく変化させている。前作でもヘヴィな 音作りはなされていたが、今作では更にそれが押し 進められており、楽曲的にもPANTERAの成功があってか、 モダン・ヘヴィネス的な色合いがかなり濃くなってしまっている。 彼のボーカル・スタイルからして、それがあまり間違いだとは 言えないところだが、彼の音楽的キャリアを考えるとあまりにも 離れ過ぎていて、これまでのファンは付いてこないだろうし、 これで新たな成功を掴めるかと言うと怪しいところだろう。[75]

DIRTY WEAPONS / KILLER DWARFS

カナダのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた 4thアルバム。方向的には、叙情的なメロディの アメリカン・ハード・ロックと言った感じで、のりの良い アップ・テンポの楽曲に、やや愁いを含んだ爽快な楽曲は、 キャッチーで中々格好良い。メロディの質も高いし、哀愁味が 情感を揺さぶって来るし、聴き応えのあるアルバムに 仕上がっている。RUSSのボーカルは、ハイ・トーンを生かした 伸びのある歌声が楽曲に実に良くあっている。地味な 存在ではあったが、洗練されていて良質のアルバムを作っていた バンドだった。[86]

METHOD TO THE MADNESS / KILLER DWARFS

カナダのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた 5thアルバム。方向的にはこれまで同様、叙情的なメロディの アメリカン・ハード・ロックと言った感じの作品なのだが、 前作までと比べると哀愁味がかなり減じていて、アメリカ的な カラッとした渇いた感じの作品となっている。彼等らしい愁いが 減った分だけ、よりL.A.メタルっぽい作品となっており、持ち味が 感じられなくなってしまっている。全体的に、前作より ミドル・テンポ中心となっており、テンポの悪さがそのままのりの 悪さに繋がってしまっている感じだ。とは言え、前作と言う高い レベルで比べればと言う事で、その出来は決して悪くない。[82]

KINGDOM COME / KINGDOM COME

ドイツのハード・ロック・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。元STONE FURYのボーカリスト、LENNY WOLFを 中心とするバンドで、あまりにもLED ZEPPELIN的だと言う事で 有名になったアルバムだ。それが災いして、このアルバムでは それなりの成功を収めるが、以降苦戦を続けて細々と続いて行く 事となった。What Love Can Beは Since I've Been Loving Youだし、Get It On等、その他にも 元ネタが伺われる楽曲が数多くある。しかし、それもこれも LENNY WOLFのROBERT PLANT的なボーカルがあってこそ為し得た 結果だろう。ちょっとネタの引き方があざとかった様な 気もするが、その出来は中々素晴らしい。[84]

IN YOUR FACE / KINGDOM COME

ドイツのハード・ロック・バンドの1989年にリリースされた 2ndアルバム。デビュー盤では、LED ZEPPELINの フォローワーとしての成功を収めたが、あまりにもそう言う捉え 方をされる様になったためか、今作ではオリジナル色を打ち出して 来ており、それが災いして商業的に失敗する事になってしまった。 エッヂの立ったソリッドなハード・ロックで、LENNY WOLFの 特色のあるボーカルが際立った作品となっている。楽曲的には オリジナリティを出しているが、前作から大きく路線変更している 訳ではなく、前作であったそう言う部分をより押し出した作品と 言って良いだろう。[82]

HANDS OF TIME / KINGDOM COME

ドイツのハード・ロック・バンドの1991年にリリースされた 3rdアルバム。今作から専任のギタリストもおらず、バンドの中心 人物であるボーカリストのLENNY WOLFのソロ・プロジェクトと言う 色合いが濃くなっている。デビュー時にあった、LED ZEPPELINの フォローワーと言う色合いは完全に消されており、前作での独自の 方向性をより強めた作品となっている。楽曲的には ミドル・テンポでよりドラマティックな方向となっており、彼の シニカルでクールなボーカルがより強く押し出された アルバムとなっている。専任ギタリストがいなくなった 事もあってか、これまでと比べるとギター・リフがかなり 引っ込んだ様な音作りになっており、その分サウンドに切れが 感じられないのが残念だ。[80]

READY TO STRIKE / KING KOBRA

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた デビュー盤。元OZZY OSBOURNEのドラマー、CARMINE APPICEを 中心としたバンドで、彼を除くメンバーを若手でブロンドの ミュージシャンで固めて話題にもなった。当時、L.A.メタルの 隆盛時と言う事を意識した様な作品で、アメリカ的な キャッチーさを感じさせるヘヴィ・メタルをやっている。愁いの 感じられる叙情的なメロディを持ったポップな楽曲は、当時の アメリカ市場を意識していたと言っても良いだろう。Hunger等は 楽曲の出来は粒が揃っていて悪くないし、その後もソロ等で 活躍したMARK FREEのボーカルも情感があって格好良い。[84]

THRILL OF A LIFETIME / KING KOBRA

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた 2ndアルバム。前作では、市場を意識た様なキャッチーな ヘヴィ・メタル作品で勝負してきたが、思った程の成果が 挙げられなかったためか、今作では若干方向転換がなされている。 特に前半ではそれが顕著で、よりポップで如何にもLOVERBOY的な 楽曲が並んでいる。Home Street Homeではラップっぽい歌い 方がなされており、かなり違和感も感じられる。終盤では前作の 路線と言った感じの愁いのあるキャッチーなメロディの楽曲になり 前作のファンにも一安心と言うところだ。Iron Eagleは映画の タイトル・トラックとして使われたが、この作品も結局成功を 収める事が出来なかった。前半の見誤ったとしか言えない方向 転換はあまり頂けないところだ。[80]

KINGSTON WALL / KINGSTON WALL

フィンランドのプログレッシヴ・ロック・バンドの1992年に リリースされたデビュー盤。アラビア風のジャケットを見ても判る 様に、中近東風のオリエンタルなエッセンスを感じさせる様な メロディがところどころ出て来るが、それ程顕著でもない様な 気がする。のりの良いロックンロール調の楽曲もあるが、彼等の 独特のメロディの楽曲からは浮いている様に感じるし、もう少し 方向性に統一性が欲しいところだ。まだ音楽的に 固まりきっていない様な感じが受けるが、彼等独特の インプロビゼーションとメロディはそれはそれで 面白いものがあると思う。[80]

KINGSTON WALL II / KINGSTON WALL

フィンランドのプログレッシヴ・ロック・バンドの1993年に リリースされた2ndアルバム。デビュー盤でのオリエンタル風の エッセンスは更に押し出され、We Cannot Moveでは如何にも中東と 言った感じのメロディが、独特の世界を作り上げている。 フュージョン的な部分があったり、サイケデリックっぽさと、 プログレッシヴ・ロックらしさと、色々な音楽に影響を 受けつつも、独自のスタイルに昇華して行ったと言う感じだ。 北欧らしい透明感と叙情感があって、中々味わい深いアルバムに 仕上がっているし、前作より彼等の音楽的スタイルがより結実した 作品だ。[82]

OUT OF THE SILENT PLANET / KING'S X

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。ファンキーな色合いのある独特の味わいの ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。ミドル・テンポ中心の キャッチーな楽曲が並んでいるが、だからと言って在り 来たりでないのが彼等の彼等たる所以だろう。この後綿々と引き 継がれていく彼等のファンキーで独特な音楽性が、この作品でもう 既に確立されている。彼等の音楽スタイルが嫌いな人には、この 作品も受け付けない作品だろうが、楽曲の出来も悪くないし、 流石と言った感じのアルバムに仕上がっている。[81]

FAITH HOPE LOVE / KING'S X

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 3rdアルバム。方向的には如何にも彼等らしいファンキーな ヘヴィ・メタルだ。ブラックっぽさがあったりと、様々な音楽的 エッセンスの感じられる、ある意味ミクスチャー的な音楽性で、 実にオリジナリティのある作品に仕上がっている。ミドル・テンポ 中心のキャッチーな楽曲は、聴き易くて耳馴染みが良く、 印象的だ。彼等としてはデビュー以降音楽性が統一されており、 もう少し変化が合っても良いかとも思うが、この音楽性こそが 彼等のユニークさなのだし、十分納得出来る内容だ。[84]

KING'S X / KING'S X

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 4thアルバム。方向的にはファンキーなヘヴィ・メタルと言う 従来の延長線上と言えるものだが、よりハードな部分を押し 出したり、ミドル・テンポ一辺倒だったのに対して、 アップ・テンポの楽曲を入れる等、割と幅を持たせた 作品となっている。バラエティに富んでいると言えば聞こえは 良いが、どちらかと言うと散漫になったと言う感じで、折角の 彼等のサウンドのオリジナリティが見えづらくなった様な 気もする。とは言え、彼等の個性が失われてしまった訳では 決してないし、出来自体は決して悪くない。[82]

DOGMAN / KING'S X

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 5thアルバム。前作から伺える、よりハードな部分を押し出した 作品作りはここでも健在で、彼等としては最もヘヴィな作品と 言って良いだろう。ファンキーさは決して失われていないが、 ギターには愁いがあったりと、より情感の伺える作品で、 Pretend等、楽曲によってはブルージィな感じのする アルバムとなっている。こう言った新味が、これまでのファンに 受けるかどうかは判断がつかないが、これはこれで味わい深い。 前作と比べれば、方向的にはそれ程拡散されておらず、それなりに 統一感も感じられる。[83]

DYNASTY / KISS

アメリカのハード・ロック・バンドの1979年にリリースされた 7thアルバム。1970年代後半のハード・ロック・シーンを牽引した 彼等の代表作の一つと言っても良い作品だろう。何と言ってもこの アルバムで特筆されるのは、彼等の代表曲と言える I Was Made For Lovin' Youだろう。DESMOND CHILDとの共作で、 ディスコ調の愁いを含んだキャッチーなナンバーは、実に格好 良い。ただ、この楽曲が彼等としても特異と言えるものだけに、 他の楽曲から浮いていると言う感じもあり、その インパクトのため、それ以降の楽曲がやや印象の 薄いものとなってしまっている。[83]

CRAZY NIGHTS / KISS

アメリカのハード・ロック・バンドの1987年にリリースされた アルバム。1970年代のアメリカ・ロック・シーンを牽引してきた 彼等も、1980年代に入りやや失速してしまった感のある状況の中で 制作された作品だ。I'll Flight Hell To Hold You等は、如何にも ここ最近の彼等らしい、愁いをまとったメロディの、 アップ・テンポののりの良い楽曲で、中々格好の良いものに 仕上がっている。しかしその一方で、ここ最近の作品同様、彼等の カリスマ性が影を潜めており、作品の出来としては十分 良いものであるにも関わらず、今一つ盛り上がりに欠ける 気がする。[82]

HOT IN THE SHADE / KISS

アメリカのハード・ロック・バンドの1989年にリリースされた アルバム。ここ数作では、若干愁いの感じられるメロディの ハード・ロックを聴かせてくれていたが、今作ではより ストレートなハード・ロックと言う感じの作品に仕上がっている。 楽曲はかなりロックンロール調が強くなっており、やや面変りした 作品となっている。そのため、楽曲はのりが良くなっているが、 その一方でそれ以外にこれと言ったところが見られない。 楽曲によってはDEF LEPPARDっぽさも感じられるし、出来自体は 決して悪いものではないのだが、今一つ決め手に欠けると言った 感じだ。[80]

REVENGE / KISS

アメリカのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた 3年振りのアルバム。ドラマー、ERIC CARRの病死と言う アクシデントを乗り越えての作品だ。前作ではこれまでと違った ハード・ロックンロール的な方向へと転換していたが、今作では 更にヘヴィなハード・ロック作品へと転換している。前作であった ロックンロールののりの良さを生かしながらも、テンポはやや ミドル・テンポに抑え、重厚さを増したサウンドとなっている。 彼等としては、最もヘヴィ・メタル然とした作品だが、楽曲作りに VINNIE VINCRNTが関わっているところも大きく寄与しているのかも 知れない。[81]

KISS OF THE GYPSY / KISS OF THE GYPSY

イギリスのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。ブルーズを基調としたハード・ロックだが、 イギリスのバンドとしては土臭さの感じられるサウンドで、 アメリカのバンドかと見違える内容だ。哀愁漂うバラードの Take The Old Heart等も中々良い楽曲で、全体的にそつなく出来た アルバムと言う感じは受けるが、そのためこれはと言ったものが 今一つ感じられない。表現力もあるのではと思えるのが、 情感があまり伝わってこない辺りが問題だ。ボーカリスト、 TONY MITCHELLの声質もあって、若干BON JOVIっぽさも 感じられる。[79]

BLOW MY FUSE / KIX

アメリカのハード・ロック・バンドの1988年にリリースされた 4thアルバム。方向的にはいわゆるハード・ロックンロールと 言うやつで、AC/DCよりはもっとテンポ良くのりを良くした 楽曲だが、AC/DCのフォローワーと言えるバンドだ。この アルバムで特異なのは、彼等としては唯一のと言って良い バラード、Don't Close Your Eyesが収められている事だが、 皮肉にもこの最も彼等らしくない楽曲が彼等唯一のヒット 曲となっている。哀愁漂う美しいバラードで、確かに佳曲と 言えるだけの素晴らしい楽曲である事は確かだ。[85]

HOT WIRE / KIX

アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1991年に リリースされた3年振りの5thアルバム。AC/DCのフォローワーとも 言える様なのりの良いハード・ロックンロールだが、その スタイルは今作でも全く変わりない。前作では、彼等唯一と言える バラード、Don't Close Your Eyesがヒットし、一躍その名を 知られる様になったが、それに味をしめてまたバラードを入れる 様な事はせず、彼等本来のハード・ロックンロール一辺倒で 勝負している。それが災いしてか、前作程のヒットには 恵まれなかったが、如何にも彼等らしい作品だと言えるだろう。 とは言え、前作よりもよりハードな音作りで、ソリッドな ハード・ロックンロールに仕上がっていて、好感が持てる作品だ。 [84]

LIVE / KIX

アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1993年に リリースされたライブ盤。彼等のテンポの良い ハード・ロックンロールが生きた、のりの良いライヴを 聴かせてくれている。彼等の唯一のバラード、 Don't Close Your Eyesが収録されていて、ここでやや雰囲気が 変ってしまうのだが、彼等の最大のヒット曲とも言える 楽曲だけに、これを外す事が出来ないのは仕方がないところか。 ここだけあれば、流石ヒットしただけの曲だけはあるし、その 情感は良く伝わってきて素晴らしい出来だ。エッヂの立った楽曲は 尚更ライヴ映えしており、ライヴ・バンドとしての面目躍如と 言ったところだ。[83]

KILLING MACHINE / KILLING MACHINE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、L.A.GUNSのギタリスト、 TRACY GUNSのソロ・プロジェクトによる1994年にリリースされた アルバム。絶えないL.A.GUNSの解散の噂の中で、バンドの アルバムと同時にだされた訳だが、L.A.GUNSとは少し毛色の違う サウンドに仕上がっている。シアトル風のボーカルの取り方に スラッシュっぽいサウンドに仕上げられている。曲の出来に 関してはまずまずと言ったところで、特に取り立てる 事もないのだが、荒々しいサウンドは中々好感を持てる。 少なくとも今の中途半端なL.A.GUNSよりは、迷いがない分だけ 面白いと思う。[82]

WALL OF SOUND / KILLER

ベルギーのヘヴィ・メタル・バンドの1982年にリリースされた アルバム。N.W.O.B.H.M.に影響を受けたヨーロッパのバンドの 一つで、リリースした時期もあって、そのメロディ、リフに影響が 非常に良く現れている。荒々しいのりのロックンロールを 基調としたヘヴィ・メタルで、楽曲によってはMOTORHEADやTANKを 想起させ、のりと勢いだけは非常に良い。楽曲の出来は 今一つだし、プロダクションもあまり良いとは言えず、B級の域を 出ていないのだが、それ以上にのりで押し切るだけの パワフルさがある。メロディ主体の楽曲もそれなりに 聴かせてくれるのし、悪くないアルバムだ。[81]

SHOCK WAVES / KILLER

ベルギーのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた アルバム。N.W.O.B.H.M.的な色合いが濃かった前作と比べると、 その音楽性は若干変化しており、よりMOPTORHEAD的な色合いの濃い 作品に仕上がっている。もちろんN.W.O.B.H.M.らしい 楽曲もあるが、ややだみ声っぽくなったボーカルがそう言った感を 強くさせる。全体的な作りも、荒々しく激しい サウンドになっており、その分のりは良く出ている。全体的に やや垢抜けた感じを見せる様になっており、それがかえって バンドとしての特色を中途半端な感じにさせている。しかし、 インストルゥーメンタル、King Kingの様な前作の延長線上の曲も 結構いけるし、悪い作品ではない。[75]

READY FOR HELL / KILLER

ベルギーのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。方向的には これまでの作品から感じられた2極性が、よりはっきり感じられる 様になっている。MOTORHEADっぽい、ワイルドな ハード・ロックンロールと、いかにもといった感じの、 N.W.O.B.H.M.的な哀愁味のあるブリティッシュ・ロックンロール 的な楽曲で構成されている。異なるタイプのリード・ボーカルを 二人で分け合っているために、そう言った感が尚更強く 感じられる。Ready For Hellの様なMOTORHEAD的な楽曲と、 Secret Loveの様な、のりと哀愁を併せ持ったB級臭いN.W.O.B.H.M. 的な楽曲の解離性が少し強すぎて、1枚のアルバムとしては バランスの悪さが気になる。このバンドのアルバムとしては、 楽曲の出来は良い方なので、その点が少し残念だ。[78]

KING KOBRA III / KING KOBRA

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 3rdアルバム。OZZY OSBOURNE BANDを首になったCARMINE APPICEが L.A.METAL期に組んだバンドで、2ndアルバムをリリース後に一旦 解散していたが、オリジナル・メンバーだった DAVID MICHAEL OHILLIPSと再び組んでリリースされた最後の アルバムだ。ビジュアル的な面が先行してしまったために、その サウンドが評価されることがあまりなかったが、クオリティは 高かった。特にこれと言った特徴はなかったが、いかにも アメリカのヘヴィ・メタル・バンドと言う感じだ。この作品では、 今までと比べると洗練さが幾分なくなった様に感じるが、楽曲の クオリティは相変わらず高い。[84]

NO RULES / KIK TRACEE

アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1991年に リリースされたデビュー盤。方向的には、この当時隆盛を 誇っていたバット・ボーイズハード・ロックンロールと言う 感じではなく、むしろそれ以前のL.A.らしい作品となっている。 SIMON & GARFUNKELのMrs Robinsonをカバーしているが、 彼等らしい切り口でアレンジしている。STEPHEN SHAREAUXの ボーカルは、時にはDAVY VAINっぽいねちっこさを見せたり、 時にはSEBASTIAN BACHっぽいワイルドさを見せたりと、中々面白い 味わいを出している。熱くワイルドな雰囲気が良く出ていて、中々 聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。[81]

MIDNITE DYNAMITE / KIX

アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1985年に リリースされた3rdアルバム。方向的には、このバンドとしては 一貫している通り、AC/DC型の縦のりハード・ロックンロールと 言う路線は全く変っていない。同じ縦ノリではあるのだが、 AC/DCよりは更に奔放で、アメリカのバンド的なキャッチーさを 持っている。その分、AC/DCほど硬派な感じはしないので、逆に 入り易いかも知れない。全体的に生々しい音作りで、この バンドの迫力を感じさせてくれる野も良い結果を生んでいる。 楽曲の出来もまずまず良いし、中々聴きごたえのあるアルバムに 仕上がっている。[84]

DOUBLE PLATINUM / KISS

アメリカのハード・ロック・バンドの1978年にリリースされた 2枚組みのベスト盤。年代的に、当然バンドの第1次黄金期の 頃のものと言う事になるが、2枚組みにしても内容が薄くならない 辺り、さすがと言うべきだろう。代表曲とも言える Detroit Rock CityやRock And Roll All Nite、Bethを 始めとする、知名度の高い楽曲群で構成されており、これぞ まさしくベストと言う内容だ。選曲は確かで、初期の音源の 入門用には持ってこいのアルバムだろう。ファンも安心して 聴いていられる内容で、メイク時代の彼等の音楽を良く 伝えている。[85]

GRETCHEN GOES TO NEBRASKA / KING'S X

アメリカのハード・ロック・バンドの1989年にリリースされた 2ndアルバム。方向的にははクロス・オーバーした幅広さを 持っており、Summerland等はLED ZEPPELIN的な雰囲気があったりと 拡散的な作品だ。幾分ファンキーでブルージィなロックで、中には オリエンタル風なメロディがあったりと、中々味わいがある アルバムに仕上がっている。ヘヴィな面とソフトな面を合わせ 持っていて、一風変わったバンドでオリジナリティがあるのは評価 出来る。Over My Head等、割とキャッチーで聴きやすいメロディを 持っていて、出来は結構良い。[84]

THE SPIDER'S LULLABYE / KING DIAMOND

デンマークのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。シアトリカルな ヘヴィ・メタル・バンド、MERCYFUL FATEのボーカリストである KING DIAMONDが率いるバンドで、MERCYFUL FATEの再結成に 伴って、二足のわらじを履いての活動となっている。 MERCYFUL FATEよりはシアトリカルさを押えた感じはするが、 KING DIAMONDの非常にシニアトリカルなボーカル・スタイルは ここでも変わることなく、これに耐える事が出来ないなら到底聴く 気にはなれないだろう。楽曲に関してはダークな雰囲気を持った ドラマティックでヘヴィなサウンドであり、このボーカルが 異端性を醸し出している。[79]

SHOW BUSINESS / KIX

アメリカのハード・ロックンロール・バンドの6thアルバム。 AC/DCのその手法を受け継いだ縦のり、かに走り ロックン・ロールだが、今までと比べるとかなりキャッチーさを 持ったサウンドになっている。Fireballsの様な完全にAC/DC路線の 曲もあるのだが、キャッチーな曲はパーティ・ロック風で、 AC/DCっぽさはあまり強く感じられない。そう言った意味では 今までと一味違う作品になっていると言って良いだろう。 BLOW MY FUSEではDon't Close Your Eyesというヒット曲を 飛ばしたが、バンドの方向性からするとむしろ特殊な曲で、その 路線の曲は全くない。[80]

TRI-LOGY / KINGSTON WALL

フィンランドのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの 3rdアルバム。民族音楽的な中近東風のメロディで独特の世界を 作り上げている。前作までと比べるとサイケデリックな 雰囲気がより強まり、けだるさを醸し出した呪術的な香りのする サウンドになっている。ギターはよりハードでエッヂがたった 感じがするが、依然プログレッシヴ・ロック色が強い作品に 仕上がっている。やや後期LED ZEPPELINっぽい部分も 無きにしもあらずだが、どちらかと言うとPINK FLOYD風で、 ハード・ロックと言うには一線を画した感がある。[82]

KING JAMES / KING JAMES

元WHITE CROSSのギタリスト、REX CARROLL率いるアメリカの クリスチャン・メタル・バンドのアルバム。 テクニシャン・バンドと言われていたWHITE CROSSだが、この 作品では特に派手なギター・プレイを見せている訳ではないので それを期待してはいけない。しかし他のパートも含めて演奏は しっかりとしているし、楽曲の間に差し挟んでくる アコースティック・ギター等は十分テクニックを見せ 付けてくれるし、叙情的で安心して聴けるが。Prisoner辺りは 如何にもDOKKEN風で、メロディックなヘヴィ・メタルを 展開しているし、楽曲的にも粒が揃っていて悪くないアルバムだ。 [84]

THRAK / KING CRIMSON

今更説明の必要もない程の大物と言って良いのだが、イギリスの プログレッシヴ・ロック・バンドの10年振りの11thアルバム。 その発想は流石と言うべきか、ダブル・トリオ編成というど肝抜く バンド編成になって帰って来た。先立ってリリースされた ミニ・アルバム、VROOOM同様ヘヴィさを強調したもので、RED等に 通ずる部分も感じられる。ヘヴィで歪ませたギターが一種独特の 雰囲気を作り上げていると言って良いだろう。その音楽は、 ヘヴィ・メタルとはまた世界を異にするものだし、その独特な 世界は好き嫌いが分かれそうだが快作には違いない。[92]

MTV UNPLUGGED / KISS

アメリカのハード・ロック・バンドの アコースティック・ライヴ盤。昨年行われたMTVでの アンプラグド・ショウの模様を収めたもので、現在のメンバーに ACE FREHLEYとPETER CHRISSが参加している。通常のライヴとは かなり異なった選曲をしている様で、意外なナンバーも数多く飛び 出して来る。Do You Love Me、Rock And Roll All Niteを除くと、 それほどKISS的な匂いは感じず、枯れたアメリカン・ロック風で アコースティックというシチュエーションが良くはまっている。 それだけに淡々として盛り上がりには欠けている感がするのは 仕方がないが。[80]

TWILIGHT CRUISET / KINGDOM COME

ドイツのハード・ロック・バンドの5thアルバム。今や中心 人物であるボーカリスト、LENNY WOLFのソロ・プロジェクト的な 様相が色濃くなっている。1stアルバムがLED ZEPPELIN的という 事で非常に話題を呼んでヒットしたものの、以降そのことが マイナス・イメージとしてバンドに付きまとう事になったが、 LENNY WOLFの魅力はむしろ違うところにある。ROBERT PLANT的と 言われる彼の声だが、シニカルでクールなボーカルは非常に 扇情的で、特にポップながらどことなくもの哀しい、ニヒルな ハード・チューンには良く合っていて、心を打つものがある。 楽曲の出来も中々のもので、メロディアスな良いアルバムに 仕上がっている。[85]

EAR CANDY / KING'S X

アメリカのハード・ロック・バンドで6thアルバム。その音楽性は 形容の難しいバンドだが、ヘヴィ・メタルと言うのも少し違うし、 ミクスチャーと言ってしまうのも語弊があるような気がするし、 オルタナティヴ・ロックともまた少し一線を画している気がする。 ポップ・センスのあるメロディで、ファンキーな部分もあり、 ヘヴィな部分もあるし、ブルージィなセンスもあるし、 ソウルフルで、それらのエッセンスが絶妙にブレンドされていて、 独自の世界を築きあげている。スローなテンポで漂うような 雰囲気は実に不思議で、独特の世界を築いている。[84]

THE GRAVEYARD / KING DIAMOND

MERCYFUL FATEと二足のわらじを履く、KING DIAMONDの自己の バンドの6thアルバム。今回も一つのストーリーからなる コンセプト・アルバムで、KING DIAMONDのシアトリカルさを より押し出した作品となっている。演劇的なその内容はさらに 押し出されており、独自の世界を作りあげている。ここで 問題となるのはやはりKING DIAMONDのそのボーカルだろう。 大袈裟でヒステリックなハイ・トーンは聴く者を選ぶが、 それこそがKING DIAMONDの持ち味であり、演劇的な効果を 強めている。楽曲は展開と起伏に富み、狂気じみた世界は他では 決して聴くことが出来ないものだ。[82]

LIVE & UNPLUGGED / KINGDOM COME

LENNY WOLF率いるバンドのスタジオ・アルバムTWILIGHT CRUISERに 続くライヴとアンプラグド・アルバムのカップリングした2枚組み アルバム。ライヴ・アルバムはLENNY WOLFの扇情的なボーカルの 魅力が良く出ている。選曲もベストに近いと言って良いし、 フルレンスのライヴもいずれ出して欲しい出来だ。しっとりと 仕上げられたアンプラグドは普段とはまた違った部分を そこはかとなく感じさせる。THE BEATLESのカバー And I Love Herはボーカルの扇情的な部分を押さえて ほんわかとした雰囲気をたたえているし、楽曲によってかなり イメージが違う。[85]

THISCONVERSATIONSEEMSLIKEADREAM / KIP WINGER

ハード・ロック・バンドWINGERを率いていたアメリカ人ベーシスト 兼ボーカリストの初のソロ・アルバム。WINGER次代のめりはりの 効いたハードなサウンドからすると、よりAOR風であり、 デビュー時よりは解散前に近い作品になっている。 そういう意味ではさらりと聞き流されてインパクトのない 作品になっている。とはいうもののKIP WINGERの メロディ・センスは評価出来るし、独特の世界も なくなってしまった訳ではない。もう少しハード・ロック然とした 曲が入っていればアルバムに起伏が出来て良かったと思うのだが。 日本盤は未発表曲等の入ったボーナスCDがついていてお得だ。[78]

EPITAPH OFFICIAL BOOTLEG:LIVE IN 1969 / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの1969年の第一期 メンバーでのライヴ音源を集めた2枚組みライヴ盤。とにかく 30年近くも昔の音源であるとは言え、ブートレグと言うだけあって プロダクションはかなり酷い。音質は最低ではあるが、しかしその 一方で、内容の濃さは最高と言って良い素晴らしい作品だ。初期の いくつかの音源を集めただけあって、同じ曲が何度も 登場するのだが、それはこの際関係ない。とにかく心洗われる 美しい演奏に楽曲は心に染み入るし格好良い。演奏も 文句無しだし、音質にさえ目をつぶれば完璧な作品だ。[91]

ANOTHER CROSS II BARE / KILL II THIS

元CHINA BEACHのギタリストMARK MYNETT率いる、イギリスの ヘヴィ・メタル・バンドの1stアルバム。CHINA BEACHとはかなり 趣を変え、モダン・ヘヴィネス的な部分も持ちながら、 アップ・テンポの楽曲はよりスラッシュ・メタル的で、独自の 世界を作っている。混沌とした雰囲気の中をパワフルに 押し進めていく様は中々面白いし、女性ボーカルを 挿入したりして、アイデアは多様で、飽きさせない。 DEEP PURPLEのBURNのカバーはバックがやや浮いているように 感じるが、NICK ARLEAのボーカル・スタイルは貫き 通している事には説得力を感じる。[81]

CARNIVAL OF SOULS / KISS

アメリカのハード・ロック・バンドのアルバム。リユニオンにより お蔵入りとなった、1995年に制作されたBRUCE KULICKと ERIC SINGER在籍時の最後の録音となる未発表音源だ。その 音楽性の変化は顕著で、何故お蔵入りとなってリユニオンへと 向かったか納得出来る作品だ。モダン・テイストに溢れた サウンドに、どことなくグランジっぽさを感じさせるメロディは、 もはやかつての彼等とは別物と言って良いだろう。このアルバムを 単体で取れば別として、彼等としてリリースする意味があるのかは 疑問なところだ。リユニオンの結果お蔵入りになったとはいえ、 むしろそれで良かったとも思わなくもない。かつてや昨今の彼等を 期待するならば聴かない方が良いだろう。[74]

EPITAPH VOLUMES THREE & FOUR / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの2枚組みライヴ盤。 第一期メンバーによって、1969年に行われた公演の模様をを 集めたものの第二弾だ。古い上に海賊盤の音源も 混じってるだけあって、音質の酷さはやはり前作にも 劣らないのだが、それでも貴重な音源ではあるし、そのライヴの 内容も非常に濃い。VOLUME TREE、VOLUME FOUR共にほとんど 同時期のライヴであるので、楽曲はほぼ重複しているのだが、その 演奏は扇情的で実際に生で聴いていれば非常に素晴らしい ライヴであったと体感出来ただろう事は想像に難くないだけの 充実感がある。[86]

THE NIGHTWATCH LIVE AT THE AMSTERDAM CONCERTGEBOUW NOVEMBER 23RD 1973 / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの2枚組みの ライヴ・アルバム。1973年に行われたオランダでの公演の模様を CD化したもので、DAVID CROSS、ROBERT FRIPP、JOHN WETTON、 BILL BRUFORDからなる第7期のメンバーによるものだ。ここ数年 旧来のライヴ音源を次々とCD化してリリースしているが、これも その1枚となる。前回CD化したEPITAPHに比べると遥かに良い録音 状況で、ライヴとは思えない素晴らしい演奏もあいまって、 その素晴らしいライヴが堪能出来る。むしろこれだけのものを 今まで良く死蔵していたなと感嘆する位の出来だ。[87]

ANOTHER WAY / KIP WINGER

アメリカのメロディアス・ハード・ロック・バンド、WINGERの 中心人物だったKIP WINGERのソロ第2作目。とはいうものの、 純然たる新曲はタイトル・トラックのAnother Way1曲のみで、 前回のソロ・アルバムから4曲と、それ以外は全てWINGER時代の 楽曲だ。但し、全編アコースティックで単なる リレコーディングというだけでなく、新風を吹き込んでいる。 旧来のファンが期待するものとは違うかもしれないが、しっとりと 歌い上げるKIP WINGERのボーカルはなかなか味がある。楽曲も これまでのベスト的な選曲で粒が揃っているだけに安心して聴ける 作品だ。[83]

BEST OF KING'S X / KING'S X

アメリカのハード・ロック・バンドのベスト・アルバム。これまで リリースされた6枚のアルバムより13曲と未発表の音源4曲を 加えたもので、未発表曲3曲とライヴ1曲という構成になっている。 熱いかと思えば、どこか冷たさを感じさせる独特のクールな サウンドに包まれていて、不思議な空間の広がりを 感じさせてくれる。この冷たさと熱さの同居がこそが、彼等の 世界を作り出している。未発表曲もやはり彼等らしい作品だが、 残念ながら特別どうこうというほどのレベルの曲ではない。 Over My Headのライヴはなかなか熱さを感じさせてくれる熱演で、 彼等のライヴを是非見たいと言う気にさせてくれる。[83]

ABSENT LOVERS / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドのライヴ盤。1984年に 行われたアメリカでの公演の模様を収めたもので、時期的には最も プログレッシヴ・ロック的な色合いが強く、逆にハード・ロック 的な色合いが薄いと言える時代の作品である。難解で アグレッシヴな楽曲群で、到底聴きやすいと言う 感じではないのだが、ライヴという生々しさがスリルのある作品に 繋がっている。ライヴとしての出来も良いし、1980年代の彼等の 魅力が味わえて、KING CRIMSONのハード・ロック的でない部分も 大丈夫と言う人は結構楽しめるアルバムのはずだ。[83]

PSYCHO CIRCUS / KISS

アメリカのハード・ロック・バンドのリユニオンによる初の スタジオ・アルバム。リユニオンと言う事でファンが期待する様な 作品に仕上がっており、そういう意味ではここ最近の彼等の アルバムとは趣がかなり異なるのは確かだ。かなりポップで キャッチーな作品のため、メイクを落として以降の ファンからするとかなり軽いと言う印象を 受けるのではないだろうか。楽曲の出来も悪くないし、全体的な クオリティも高いとは思うが、曲によっては特にWithin等、作風に そぐわないような印象を受ける曲もあり、散漫な感じを受ける。 昔のファンならばかなり気に入るアルバムではないかと思う。[82]

TAPE HEAD / KING'S X

アメリカのハード・ロック・バンドの7thアルバム。キャッチーな メロディとハードでグルーヴィなサウンドが彼等の持ち味だが、 それは今作でも変る事はない。シンプルな楽曲に骨太なサウンドと 言う彼等独特の雰囲気はここでも十分味わえて、彼等の ファンであるなら十分満足出来るだろう。Walter Bela Farkasの ライヴ・バージョン等はかなり破天荒ではあるが、全体的に彼等の 枠を超えるような部分はなく、一本調子と言う感じで、最後辺りは どうしても聴き飽きてくる部分はいかんともし難い所だ。楽曲の 出来は悪くないし、非常に安定した作品ではあるが、もう少し アクセントが欲しかった様な気がする。[79]

A SEARCH FOR REASON / KILGORE

アメリカのヘヴィネス系バンドの2ndアルバム。ヘヴィネスと 言っても、いわゆるPANTERA風のごりごり一辺倒と言った感じの 作品ではなくて、多分にオルタナティヴ・ロック的でもある。 もちろん、随所にそう言った怒りと言った様なものも差し 挟んでくるのだが、Lullaby For Your Casketの様なわびしい女性 コーラスを入れて来たりと、それなりに変化がある。ヘヴィネス 色が強い部分でも、割とのりが良いので、それ程きついと言う 印象は受けないかも知れない。全体的にオルタナティヴ・ロック 的な一面に、ヘヴィネス風等のエッセンスが盛り込まれた作品で、 それなりにいける作品だ。ボーナス・トラックとして LED ZEPPELINのBlack Dogがカバーされているが、出来としては それなりだ。[81]

CONSIDER THIS... / KICK

イギリスのハード・ロック・バンドのデビュー盤。キャッチーな メロディのハード・ロックで、楽曲の出来は粒が揃っている。 初期BON JOVI的な色合いも感じるが、もっとアダルトで整った 作品に仕上がっている。イギリスのバンドらしい叙情的な湿った メロディに、アメリカ的な洗練さが持ち込まれており、むしろ 初期ROKOと言った感じをさせる。楽曲によっては能天気な ロック・ナンバーをやっていたりと今一つ統一感が 感じられないのが残念だ。これと言った曲はないが、全体的な 出来としては悪くないので、それなりに聴ける。[80]

CIRKUS / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの2枚組みライヴ盤。 1975年にリリースされた A YOUNG PERSON'S GUIDE TO KING CRIMSONの ライヴ・バージョンとも言うべきベスト・コンピレーションだ。 そのうち半分は比較的新しい、1990年代の音源で、録音状態は概ね 良好だ。さすがに1960、70年代の古い音源は、あまり良い状態とは 言えないが、それでも特別悪いと言う訳ではない。DISC1は割と プログレッシヴ・ロック色の強い、比較的新しい音源が中心で、 メタル系のファンには、お馴染みの21st Century Schizoid Manを 中心としたDISC2の方が聴き易いだろう。演奏の出来、楽曲の 選曲も良いし、初心者向けにも悪くない。[84]

THE COLLECTOR'S KING CRIMSON VOLUME ONE / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドのライヴ盤。 DGMコレクターズ・クラブで、会員にのみ通販で出されていた3枚の ライヴ盤、LIVE AT THE MARQUEE 1969、 LIVE AT JACKSONVILLE 1972、THE BEAT CLUB, BREMEN 1972を ボックス・セットとして一般に売り出したものだ。30年近く昔の 音源であるのも大きいが、正規にリリースされたライヴ盤と 比べても音質は悪いので、あくまでもコレクターズ・アイテムと 言ったところだろう。特に貴重なのは、 THE BEAT CLUB, BREMEN 1972で、JAMIE MUIRが在籍していた時の 音源だ。LIVE AT JACKSONVILLE 1972における演奏の凄みは 凄まじいし、ROBERT FRIPP、IAN McDONALD、GREG LAKEと言う 層々たるラインナップのLIVE AT THE MARQUEE 1969も初期 KING CRIMSONの空気は十分味わえる作品で、中々興味深い ボックス・セットだ。[86]

1989 / KING OF HEARTS

アメリカのロック・バンドの幻のデビュー盤。デビュー盤が リリースされるよりも、更に5年前の作品で、多くの楽曲はその後 1stや2ndで再録されている。方向的には、キャッチーで、甘い AOR的な作品で、ハード・ロック系のリスナーには少し 大人しすぎるかもしれない。しかし、ここで何と言っても 注目されるのは、当時NIGHT RANGERが解散したばかりの KELLY KEAGYが参加している事だ。パーマネントなメンバーとして 全てのドラムを叩いている他、リード・ボーカルも2曲 取っている。割とシンプルな作りだが、楽曲の出来はさすがと 言えるものなので、AORが聴けるならいけるはずだ。[80]

BLUE / KICK

STEVE HARRISの創設したレコード会社からデビューした、 イギリスのハード・ポップ・バンドのミニ・アルバム。デビュー 盤にも収められていた、タイトル・トラックのBlueとその バージョン違いに新曲を3曲の全5曲と言う構成になっている。 Letting Goは疾走感のあるアップ・テンポの叙情的でハードな 楽曲で、中々格好の良い佳曲だ。洗練された、ドラマティックで 叙情的なナンバーのLet's Make Love Tonightにほのぼのとした Wake Me Up When It's Overも悪くない出来だ。アルバム未収録と 言ったも、質は決して低くないし、バンドのポテンシャルの高さを 窺わせてくれる。[85]

THE LOST YEARS / KING KOBRA

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの未発表音源集。1980年代に、 元BLACK SABBATHのCARMINE APPICEが結成したバンドだ。詳しい クレジットがないため、いつ、どう言う経緯で録音された音源かは 判らないが、未発表とは侮れない出来である。MARK FREE 時代から、JOHNNY EDWARDS時代の曲まで収録されており、多分 それぞれのアルバムから漏れた楽曲を収めたものだろうが、特に Mean Street Machine等は佳曲と言えるだけの出来で、中々内容の 濃いアルバムだ。単なる寄せ集めと言う以上のクオリティがあり、 彼等のファンとしては必聴と言っても良いだろう。[85]

THE COLLECTORS' KING CRIMSON VOLUME TWO / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドのライヴ盤。 DGMコレクターズ・クラブで、会員にのみ通販で出されていた LIVE AT CAP D'AGDE 1982と2枚組みのKING CRIMSON ON BROADWAYの ライヴ盤をボックス・セットとして一般に売り出したものだ。 前作が30年近く昔のものであったのに対して、今作は1982年と 1995年と割と新し目の音源なため、音質の点では格段の差がある。 通常にリリースするレベルなので、彼等のファンであれば買って 決して損はないと思う。前作よりはハード・ロック的な色合いが 薄いので、ハード・ロック側のリスナーには取っ付き難いかも 知れないが。[81]

THE CONSTRUKCTION OF LIGHT / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの5年振りとなる 12thアルバム。方向的には前作の延長線上と言えるもので、 彼等としてはヘヴィ・メタル的な色合いの強い作品と言って 良いだろう。まぁ、ヘヴィ・メタル的と言っても、純然とと言う 訳ではなく、そう言うハードなサウンドをやっていると言う事で、 ヘヴィ・メタル系のリスナーがこれを聴いてヘヴィ・メタル的と 言われると違和感を感じるかも知れないが。メンバーが 減ったせいか、ややコンパクトな感じになって、重厚さは減退した 様に思える。緊迫感があって、不安感を煽る様な楽曲は ROBERT FRIPPらしい作品と言えるだろう。[85]

SPIT / KITTIE

カナダのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。平均年齢17才の 女性ばかりの4人編成のバンドだが、そう言ったところからは想像 出来ない位激烈なサウンドを聴かせてくれている。 ヘヴィ・ロックらしい重厚でラウドでヘヴィなサウンドである 上に、アドレナリンが上がりまくっているような攻撃的で パワフルな作品に仕上がっている。緊迫感と怒りを感じさせる様な モダン・ヘヴィネス的なエッセンスも上手く取り入れ、独自の 世界を築き上げている。これだけのエナジーを放つバンドは、 一般にもそういないと言えるだけのレベルだけのアルバムだ。[84]

5TH / KIM KYUNGHO

韓国人ボーカリストの5thソロ・アルバム。前作辺りからかなり ポップな方向性へと転換してきており、今作もその延長線上と 言えるものだ。バラードの割合が増えて、しみじみと聴かせる 楽曲が多いのもこのアルバムの特徴と言えるだろう。ハングル語で 何と言う曲名なのか全く判らないが、2曲目等は愁いを含んだ実に 美しいナンバーだ。Blood等ではダンサブルなビートを取り 入れており、これも新たな変化の一つと言って良いだろう。そう 言う意味では、かつてのネオ・クラシカル的な色合いは 全くなくなっており、初期のファンは少し落胆するかも知れないが 出来は悪くない。全曲歌詞はハングル語なので、やや語尾が 変っている感じがするが、それ程違和感は感じない。[82]

THE BEST OF KILLER MAY / KILLER MAY

日本のハード・ロック・バンドの1995年にリリースされた ベスト盤。方向的にはハード・ロックンロールと言えるもので、 キャッチーなメロディは中々聴き易い。全体的にそれ程ハードさは 押し出しておらず、シンプルな演奏となっている。全編日本語の 歌詞で、如何にも日本のロックと言った感じのポップ・センスに 溢れている。もう既に解散して10年以上になるバンドだけあって、 新しい楽曲はないが、未発表曲としてFlaming Redが 集録されている。色物的な扱いも影響があったのか、その キャッチーさ程には残念ながら一般受けしなかった。[78]

HEAVY CONSTRUCTION / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドのライヴ盤。2000年に 行われた第6期のメンバーによるヨーロッパ・ツアーでの最新の 公演の模様を収めた3枚組みのアルバムだ。最初の2枚でライヴを ほぼ再現されており、45分の映像データも収められており、最後の 1枚はインプロヴィゼイション・ナンバーを集めた 構成となっている。ライヴを完全に再現したと言う訳でもない 様で、日本公演で演奏された古い楽曲は軒並みカットされており、 新しい楽曲が中心となっている。古い音源のライヴが次々と リリースされているだけに、むしろこう言う構成の方が 有り難いが。[80]

THE COLLECTORS' KING CRIMSON VOLUME FOUR / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの コレクターズ・クラブ向けに頒布された作品のボックス・セットの 第4弾。第3期の彼等の最後のライヴとなった、1974年に行われた アメリカでの公演の模様を収めたLIVE IN CENTRAL PARK 1974、 第4期の彼等の最初のライヴとなった、1981年に行われた公演の 模様を収めたLIVE AT MOLES CLUB 1981、そして1997年に行われた リハーサルの模様を収めたNASHVILLE REHEARSALS 1997と言う 構成になっている。特にLIVE IN CENTRAL PARK 1974が貴重で、 このシリーズらしく例によって音質は酷いが素晴らしい ライヴ・パフォーマンスを聴かせてくれている。 NASHVILLE REHEARSALS 1997は極最近のリハーサル音源と言う 事で、音質はやはり素晴らしいが、ライヴに感じる様な パッションはない。[86]

ORACLE / KITTIE

カナダのヘヴィ・ロック・バンドの2ndアルバム。 ティーン・エイジャーの少女達によるバンドながら、デビュー盤で いきなりミリオン・セラーを叩き出し、そのサウンドが デス・ボイスとも言える様なMORGAN LANDERのスクリーミングを 中心としたラウドでエクストリームなロックと言う音楽性に イメージの落差を感じる人も多いだろう。いわゆる ニュー・スクール・ハード・コアと言われる系統に通ずる、強烈な アグレッションを叩き出している。MORGAN LANDERは スクリーミングと同時にクリア・ボイスも併用しており、 メロウさも醸し出していて、中々ユニークなものとなっている。 [83]

DYNAMITE FROM NIGHTMARELAND / KILL FOR THRILLS

アメリカのハード・ロックンロール・バンドの1990年に リリースされたデビュー盤。ボーカリスト兼ギタリストの GILBY CLARKEが、その後GUNS'N'ROSESに加入した事でその名前を 知る人も多いだろう。それ以外にも、ベーシストのTODD MUSCATも JUNKYARDに参加している。方向的にはGUNS'N'ROSESの様な バット・ボーイズ・ハード・ロックンロールとは違い、憂いを 帯びたメロディを特徴とするハード・ロックンロールだ。そう言う 意味では、どちらかと言うと最近の北欧ハード・ロックンロールに 通ずる部分もあるだろう。但し、それ程パンキッシュではなく、 よりストレートなものとなっている。[82]

HOLLYWOOD TRASH / KING KOBRA

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第1弾の 13年振りとなる4thアルバム。元OZZY OSBOURNE BANDや BLUE MURDER、VANNILLAFUDGE等で活躍して来たドラマー、 CARMINE APPICEが、ブロンドの若手ミュージシャンを集めて 結成した事で知られるバンドだ。今作ではCARMINE APPICE 以外には、当時のメンバーとしてはギタリストのMICK SWEDAしか 参加していない。これまでと比べると、ロックンロール的な エッセンスが増し、よりドライヴ感覚を前面に押し出した、のりの 良いハード・ロックと言う感じの作品に仕上がっている。やや 盛り上がりに欠ける気もするが、出来は決して悪くない。 ボーカリストは元BLUE MURDERのKELLY KEELINGが中心に 歌っているが、オリジナル・メンバーのMARCIE FREEが 歌っているものも2曲収められている。[80]

VROOOM VROOOM / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドのライヴ盤。1996年に 行われたメキシコ公演の模様を収めたものと、1995年に行われた アメリカ公演の模様を収めた、ダブル・トリオ編成での2枚組みの 作品だ。オフィシャル・ブートレッグを含めると、彼等の ライヴとしてはプロダクションが気になるところだが、これは 非常に状態が良い。21st Century Schizoid Manが22年振りに 演奏された事が、ファンとしては一番気になるところだろうが、 その瞬間の観客の盛り上がりも凄まじく、非常に感慨深い瞬間と 言って良いだろう。ライヴ盤としての出来は素晴らしく、彼等の ファンであれば買って決して損はしないだろう。[89]

VOL 6 / KIM KYUNG HO

韓国人ボーカリストの6thソロ・アルバム。ここ最近ポップな 方向性へと向っていたが、今作ではよりヘヴィ・メタル然とした 作品で、揺り戻した形となっている。とは言っても、初期の ネオ・クラシカル的なエッセンスはなく、むしろ新たな変化と 言った方が良いかもしれない。ドラマティックでメロディアスな 楽曲はレベルが高く、アップ・テンポ気味のアレンジが失踪感を 感じさせてのりに繋がっている。その間にスローテンポの楽曲を 挟み、その変化がお互いを際立たせており、彩りの 豊かさとなっている。後半は落ち着いたナンバーが中心となり、 やや尻すぼみと言う感じがしないでもないが、その楽曲も決して 悪くない。[84]

LEVEL FIVE / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドのライヴ盤。2001年に 行われたアメリカでのツアーの模様を収めたものだ。隠し トラックを含めてもわずか6曲しか収められていないが、それでも 45分に及んでいる。基本的には1990年代以降の彼等らしい、重厚で メタリックなサウンドのライヴを聴かせてくれており、メタル側の リスナーにも十分聴ける内容だと言って良いだろう。新曲が3曲 含まれており、これも最近の彼等らしいものだし、先鋭的で 緊張感を感じさせるものと言って良いだろう。プロダクションも 文句なしなので、もっと長い尺で聴きたい気もする作品だ。[85]

ABIGAIL II:THE REVENGE / KING DIAMOND

デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りとなる 10thアルバム。MERCYFUL FATEのボーカリスト、KING DIAMONDを 中心としたバンドだ。そのタイトル通り、彼等の最高傑作である 伝説的なコンセプト・アルバム、ABIGAILの続編だ。 KING DIAMONDのファルセットを前面に押し出したボーカルが シアトリカルさを増しており、独特の雰囲気を醸し出している。 おどろおどろしいドラマティックさが、このサタニックで ホラーチックな内容に良く合っている。楽曲の出来は前編に 及ばないとしても、その作品の構築力は決して負けてはいない。 [84]

THE COLLECTORS' KING CRIMSON VOLUME SIX / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドのボックス・セット。 ファン・クラブ向けにリリースされている作品を集めて リリースしている、ボックス・セットの第6弾となる作品だ。 1998年に行われたアメリカでの公演の模様を収めた LIVE IN NORTHAMPTON 1998、1971年に行われたアメリカでの公演の 模様を収めたLIVE IN DETROIT 1971、2001年に行われた アメリカでの公演の模様を収めたLIVE IN NASHVILLE 2001と言う 構成になっている。貴重なライヴ音源ではあるが、これまでこの シリーズだけで20枚近いライヴ盤が出ている事を考えると、完全に マニア向けと言えるものだろう。とは言え、プロダクションは かなり良いし、十分納得の行く内容だ。[80]

THE POWER TO BELIEVE / KING CRIMSON

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの15thアルバム。 彼等としては珍しく、前作と同じラインナップで制作された アルバムだ。既にLevel FiveやDangerous Curvesと言った辺りは ミニ・アルバムでライヴ音源として発表されていたりするので、 新鮮味には欠ける様な気もする。彼等らしい、不安感を煽る様な 緊張感漂う作品で、前作でのヘヴィさもそのまま残しながら、 緊迫した静寂感をより引出し、静と動の対比を感じさせる作品に 仕上がっている。確かに良い意味で 緊張感をかんじさせてはくれるが、その一方で派手な盛り上がりに 欠ける部分もあり、やや地味な感じになってしまっているのが 残念だ。[83]