チェコのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。音楽的には愁いのある叙情的なヘヴィ・メタルだが、 Crusadersの様なミドル・テンポ中心の楽曲では独特の 雰囲気があり、ややハスキーでありながら高音の伸びの良い LAN KREYSONのボーカルは情感が良く出せていて説得力が非常に 感じられる。適度にヘヴィで適度にキャッチーで適度に湿り 気があって、日本人受けしそうな内容だ。隣国ドイツの メロディアス・ヘヴィ・メタルの流れを組みながらも、どことなく 垢抜けないところがあって、それが独特の味わいとなっている。 [82]
スイスのハード・ロック・バンドの1980年にリリースされた 4thアルバム。スイスでは最もワールド・ワイドに成功した ハード・ロック・バンドで、この作品はHEADHUNTERでの成功よりも 前の作品だ。ヘヴィ・メタル的な感じの受ける金属的な サウンドでありながら、HEADHUNTER同様ハード・ロックンロールと 言った感じの印象を受ける作品だ。Streamerでの哀愁のバラード 等、彼等の基本的な路線は既に築かれている事が良く判る。 MARC STRACEの独特のボーカルが印象的で、より金属的な印象を 与える事によって、硬質的な色合いを打ち出している。[83]
スイスのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた 10thアルバム。FERNAND VON ARBを除きメンバーは 一新されており、ほとんど彼のソロ・プロジェクトと言った 形態になってしまっている。PETER TANNERのボーカルが悪いと言う 訳ではないのだが、MARC STRACEの独特のボーカルでなくなった 分、印象の薄いものとなってしまっているのはいがめない。元々 縦のりのハード・ロックンロールが基調だったとは言え、 PETER TANNERのボーカルもあって、楽曲によっては何かAC/DC的な 感じの受ける作品となってしまっている。とは言え、楽曲自体は In The Heat Of The Nightと言った愁いのあるものもあって 彼らしさは感じられるが。[81]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。N.W.O.B.H.M.バンド、DAWNWATCHERのギタリスト、 CRAIG RICHARDSONを中心としたバンドだ。方向的には、 DAWNWATCHERとはやや趣を異にしており、ポップな アメリカン・ハード・ロックという感じだ。悪くはないし、録音 状況も良いがこれといったものも感じられずインパクトに欠ける 作品だ。全てに平均的に飛抜けた部分が感じられないのが 残念だが、爽やかなメロディは聴き易いことは確かだ。もう少し 聴きどころになるところがあれば良いのだが、今のレベルでは聴き 流して終わりと言った感じだ。[79]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドのアルバム。今作より リズム隊がすっかり入れ替わっているが、中々タイトな演奏を 聴かせてくれている。沈滞しているスラッシュ・メタル界の アルバムとしては、昨今数少ない快作の一つに挙げれるだろう。 楽曲の出来もさることながら、その圧倒的なスピードと迫力は 類をみない。多分にSLAYER的だが、もっとメロディを押し出した 作品作りをしており、まだまだこの辺りは改良して行く 余地があるだろう。荒々しい作品で、若干スタイルを 変えているが、それが良い結果を産んでいると思う。[85]
1991年にリリースされた、まだ当時分裂前のチェコスロバキアの ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。プロデュースに RUNNING WILDのROCK'N ROLFが携わっている事もあってか、Krayson 等はRUNNING WILDっぽい、ジャーマン・パワー・メタル風の楽曲に 仕上がっている。但し、全体的にはそれ程パワー・メタル的な 要素は強くなく、どちらかと言うと叙情的で印象的なメロディの ヘヴィ・メタルと言う感じだ。東欧のバンドとは思えない様な プロダクションの良さで、楽曲、演奏とも中々レベルは高く、この 頃の東欧のバンドとしては群を抜いていると言って良いだけの 出来だ。[84]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドのアルバム。内容は スラッシュ然としたギター・リフがよりヘヴィになっており 中々聴きごたえがある。その分MILLE PETROZZAのしゃがれた デス・ボイスのようなボーカルは奥に 引っ込んでしまっているように感じ、そのバランスが 少し悪いように思える。バック自体はアップ・テンポのものは リフが中々良く出来ているのだが、一方でミドル・テンポの曲も 増えて、メロディック・デス・メタル的な印象を受ける 部分もある。ダークな感じのする楽曲の出来自体は決して 悪くはない。[80]
チェコのデス・メタル・バンドの4thアルバム。怒涛とでも言える 様なブルータルなデス・メタルで、ブラスト・ビートを中心に 置いて進んで行くが、アクセントになる部分もあるし、 スラッシュ・メタル的な部分もあって、この手のものとしてはそれ 程聴き難いと言う様な印象は受けない。CHRISTOPHERとBRUNOの地の 底を這うような野太い咆哮のデス・ボイスはかなり 来るものがあるが、威力は十分だ。ブルータル・デス・メタルが 聴けない人にはかなり辛い作品だろうが、この系統としては出来は 結構良い方だ。破壊力のある怒涛のデス・メタルが好きな人には 一聴の価値はある。[81]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの9thアルバム。元々より メロディアスな方向へと向き出していたが、今作ではそれが一挙に 表に出た感じで、非常にダークでメロディアスになっている。 ゴシック・メタル的なエッセンスが強く出ており、 Everlasting Flame等はPARADISE LOSTをよりメランコリックにした 様にさえ感じる程だ。旧来のファンには少し戸惑う アルバムだろうが、むしろPARADISE LOSTやDARKSEEDなどの ファンの方が受け入れ易いかも知れない。LACRIMOSAの TILO WOLFFがゲスト参加している事も非常にその特徴を現している 事象だ。スラッシュ・メタルとゴシック・メタルの奇妙な融合は、 新境地を開拓したと言って良いし、出来もそれに 見合ったものになっている。[87]
スイスのハード・ロック・バンドの13thアルバム。大きな メンバー・チェンジがあり、中でも注目されるのは、 ボーカリストとして元PERSIAN RISKのCARL SENTANCEが 加入している事だろう。元々N.W.O.B.H.M.のボーカリストとしては 実力的には確かな方だったから、それ程違和感は感じられない。 これまでのハード・ロックンロールと言う方向性から比べると、 民族音楽的なHeyaがあったりと、割とグルーヴ的な面を強く押し 出している様に感じられるが、彼等らしい縦のりの ハード・ロックンロールと言うスタイルは決して 失われてはいない。[80]
ブラジルのデス・メタル・バンドのアルバム。プロデューサーは MORBID ANGELのERIK RUTANが担当している事からも判る様に、 方向的にはブルータルなテクニカル・デス・メタルと言うやつで、 とにかく圧倒的なブラスト・ビートが延々と打ち込まれて来る。 この手のものらしく、人間業と思えないようなMAX KOLESNEの 怒涛のドラミングに、ALEX CAMARGOの激烈なデス・ボイスの咆哮、 MOYSES KOLESNEの凶器のギター・ワークと、3人編成のバンドとは 思えない様な濃密なサウンドが展開されている。この手のものを 聴きなれていないと苦しい作品だが、それでも非常に完成度の高い 作品だ。[83]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの2年振りの10thアルバム。 WALTALIのギタリスト、SAMI YLI SIRNIOが加入している。前作では かなりゴシック・メタル的なエッセンスを強めていた事も含めて、 このメンバー・チェンジがどう影響するか気になるところだが、 意外や旧来のアグレッションを取り戻した、破壊力のある スラッシュ・メタルを聴かせてくれている。とは言え、ここ数作で 強めていたメロディアス指向は決して失われた訳ではなく、昔に 戻ってしまったと言う訳でもない。MILLE PETROZZAのボーカルは 吐き捨て型に戻っており、昔のアグレッションを今の作品に持ち 込んだ形となっている。[83]