アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた 2ndアルバム。L.A.メタル華やかな時代に登場し、 トリプル・ギターと言うことでも注目を受けたバンドだ。 方向的にはアメリカのバンドとしても最も正統派ヘヴィ・メタルと 言える様な、叙情的なメロディのヘヴィ・メタルで、どことなく 芋臭さの匂うB級っぽさが独特の灰汁となっている。それだけに 一般受けというのは難しいが、彼等らしい味わいと言うものが 感じられる。圧巻は彼等の代表曲とも言えるThe Callingで、 重厚なコーラスとドラマティックな盛り上がりが素晴らしい。 1980年代中期のB級メタルの傑作と言うに相応しいアルバムだ。 [85]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 3rdアルバム。方向的には前作の延長線上と言えるもので、 扇情的なメロディの正統派ヘヴィ・メタルだ。前作における The Callingの様な名曲と言えるだけのものは残念ながらないが、 全体的な楽曲の出来は上がっていると言って良いだろう。B級臭い 色合いは抜けていないが、よりドラマティックで扇情感を否応にも 増している。Michael Olivieriの粘着質のボーカルもこう言った 雰囲気を倍加させており、愁いのまとったサウンドは日本人向きと 言って良いだろう。洗練されていないが、それ故に彼等としての 灰汁が出ており、中々味わい深い作品に仕上がっている。[84]
イギリスのハード・ロック・バンドの1969年にリリースされた デビュー盤。ハード・ロックのみならず、ロック界に大きな影響を もたらした伝説なバンドだが、それにそぐわぬ出来だと言って 良いだろう。シングル・ヒットしたGood Times Bad Timesを始め、 Babe I'm Gonna Leave You、Comunication Breakdown等々、名曲と 言える楽曲がずらりと並んでいる。ブルーズ・ロックを基調とした ハード・ロックだが、決して既成概念に捕らわれないものに 仕上がっている。ROBERT PLANTの絶唱は素晴らしく、アルバムの 情感を否応にも増している。彼等の記念すべき出発点に相応しい、 素晴らしいアルバムだ。[94]
イギリスのハード・ロック・バンドの1970年にリリースされた 2ndアルバム。ブルーズ・ロックを基調としたハード・ロックで、 数々の名作を生み出した彼等としても名曲中の名曲に挙げれる Whole Lotta Loveを始め、Heart Breaker、Moby Dick Living Loving Maid(She's Just A Woman)等、素晴らしい楽曲が ずらりと並んでいる。このアルバムでBILLBOARDの アルバム・チャートで1位を獲得し、その地位を揺るぎ 無いものとしたが、そんな事実を知らずとも古典ハード・ロックの 名作として楽しめるだけのアルバムに仕上がっている。[92]
イギリスのハード・ロック・バンドの1971年にリリースされた 3rdアルバム。既にハード・ロック・バンドとしては 並ぶもののない成功を収めながらも、決してそこに安住する事無く 新たな挑戦を続ける彼等らしい作品と言って良いだろう。大胆に アコースティックを取り入れ、斬新な作品となっている。拡散美と 称され、多種多様な方向性を目指していた彼等としても大胆とも 言える試みだが、その出来は賞賛に値する。Immigrant Song、 Since I've Been Loving You等々、素晴らしい楽曲が並び、流石 彼等の作品だと言えるだけのアルバムに仕上がっている。 Since I've Been Loving Youの情感たっぷりなROBERT PLANTの 歌唱は絶品だ。[90]
イギリスのハード・ロック・バンドの1972年にリリースされた 4thアルバム。全てのアルバムが大ヒットし、数多くの名曲を 産んだ彼等としても代表曲と言えるRock And Roll、 Stairway To Heavenと言うロック・スタンダードを擁し、彼等の 代表作と言って良いアルバムに仕上がっている。これまでの作品と 比べると、楽曲の出来にやや波が感じられるのが残念だが、それも 高いレベルでの話だ。ハードなナンバーからアコースティック、 バラードまでバラエティ豊かな内容となっている。とにかく、 名曲中の名曲、Stairway To Heavenを聴くだけでも価値がある。 [91]
イギリスのハード・ロック・バンドの1973年にリリースされた 5thアルバム。方向的には前作と言うよりは、3rdでの アコースティック色を復活させた作品で、彼等の拡散的な方法論を ある意味押し出した作品と言って良いだろう。ハードさが 全くなくなった訳ではないが、これまでのブルーズ・ロック的な 方向にも捕らわれていない。意外と気だるさを感じさせる楽曲が 並び、彼等のハード・ロック的な半面のファンからするとやや盛り 上がりに欠ける様に感じられるだろう。何と言ってもこの作品で 一番印象的なのはNo Quarterで、メロトロンを前面に押し出した 幻想的なサウンドは素晴らしい。[87]
イギリスのハード・ロック・バンドの1975年にリリースされた 2枚組みの6thアルバム。前作ではよりアコースティック色の強い 方向へと進んでいたが、今作ではハードな方向へと揺り 戻している。拡散的な音楽性はこの作品でも変わらず、彼等の 豊かな音楽性を感じさせてくれるし、楽曲の出来も全体的に レベルが高く、流石と思わせてくれるだけの作品に 仕上がっている。Trampled Under FootやKashmirの印象的な リフや、In The Lightにおける緊張感のあるサウンドは 素晴らしい。2枚組みにもなるとやや冗長に感じなくもないが、 その完成度は高い。[88]
イギリスのハード・ロック・バンドの1976年にリリースされた 7thアルバム。最近での拡散的な方向性に対して、今作ではかなり ハードな方向性に統一して来た様に感じられる作品だ。この作品で 何と言っても注目されるのは、10分にも及ぶ彼等の後期の名曲とも 言えるAchilles Last Standだろう。扇情的なメロディの、 ハードで緊張感のあるアップ・テンポのナンバーで、実に格好の 良い楽曲に仕上がっている。バラードのTea For Oneも彼等らしい ブルージィさに溢れていて実に味わい深い。最初と最後にこう言う 決めのある楽曲があるだけに、より聴き応えのある アルバムとなっている。[92]
イギリスのハード・ロック・バンドの1976年にリリースされた 2枚組みのライヴ盤。1973年に行われたアメリカでの公演の模様を 撮影した、ドキュメント映画のサウンドトラックだ。全体的に ライヴでは長いアレンジがなされており、2枚組みで100分にも及ぶ 尺がありながら、わずか9曲しか収められていない。 Rock And Roll、Stairway To Heaven、Whole Lotta Loveを始め、 名曲がずらりと並んでいて圧巻だ。特にNo Quarterの出来は スタジオ盤より素晴らしく、これだけでも聴く価値はある。 そこからStairway To Heavenに行く展開等、素晴らしすぎてこれ 以上語れない。[93]
イギリスのハード・ロック・バンドの1979年にリリースされた 3年振りとなる8thアルバム。この作品のリリース後、ドラマー、 JOHN BONHAMの不慮の死でバンドは解散する事となり、言わば 最後の作品とも言えるアルバムだ。これまでの作品と比べると、 かなりクリアな音作りがなされており、3年と言う月日の流れを 感じさせる。HOUSE OF THE HOLYやPHYSICAL GRAFFITIと言った、 ハードさを抑えた方向性で、All My Loveの彼等らしい ブルージィなバラードながら、キーボードを前面に押し 出した軽やかな仕上がり等に、この作品における彼等の姿勢が 感じられる。[88]
イギリスのハード・ロック・バンドの1982年にリリースされた アルバム。1980年にドラマー、JOHN BONHAMが死去し、バンド自体 既に解散してしまっており、新作と言うよりは未発表音源集と言う 意味合いの作品だ。実際、録音された年代もバラバラで、それを JIMMY PAGEが仕上げている。そう言った趣旨の作品だけに、 これまで発表されてきたアルバムと比べると、完成度にやや 物足りなさを感じるのは確かだが、それでもこれだけの クオリティを持っているのは流石としか言い様がない。今は亡き JOHN BONHAMのドラミングも素晴らしく、彼等の最終楽章としても 不足はない。[85]
イギリスのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた 2枚組のベスト盤。そのアルバム・タイトルが示す通り、全曲 リマスタリングされている。バンド自体はもう既にないだけに、 未発表音源と言ったレアな音源はないが、ハード・ロック史上最も 偉大なバンドと言える彼等だけに、名曲がずらりと並んでいて、 初心者には持って来いの作品だろう。Whole Lotta Love、 Rock And Roll、Stairway To Heavenを始め、ロックの スタンダード言える名曲があますところなく網羅されている。 半年間の期間限定で発売されたもので、現在は中古以外では入手 出来ないのが難点だが。[90]
イギリスのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた 4枚組のベスト盤。初回のみのボックス・セットで、その後 REMASTERSと言うタイトルで2枚組としてリリースされている。後に リリースされたBOXED SET2と合わせて全ての楽曲が リマスタリングされている。初心者入門用としても良いかも 知れないが、ロック史上に残るバンドだけに普通にアルバムを 追いかけて欲しい気がする。むしろこの作品で価値があるのは 未発表バージョンが4曲ある事で、マニア向けの コレクターズ・アイテムと言う色合いが濃いと言って良いだろう。 [88]
イギリスのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた 3枚組のベスト盤。元々2枚組のリマスター・ベスト盤として リリースされたものだが、それにボーカリストのROBERT PLANT、 ギタリストのJIMMY PAGE、ベーシストのJOHN PAUL JOHNSの インタビューCDを付けたものだ。最初はHey, Hey What Can I Doや Moby Dickと言った楽曲を交えながらバンドに関して語ると言った 形式を取っており、その後個別のインタビューになっている。 既にこのインタビューCDなしのものが出ている訳で、わざわざ これのために新たに購入するかと言う事を考えると コレクターズ・アイテムと言わざるを得ないだろう。[85]
イギリスのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた 2枚組のベスト盤。言うなれば1990年にリリースされた4枚組の ボックス・セットからもれた楽曲を収めたものだが、 Good Times Bad Timesを始め、Moby Dick、Living Loving Maid 等と言った楽曲も収められており、決して余りものと言った レベルの内容に終わっていない。まずは前作の ボックス・セットから聴くのが順当だが、このアルバムでも ブルーズ・ロックを基調に、拡散的に色々な音楽性を見せてくれた 彼等の魅力は十分感じられるはずだ。そして何よりもこの作品で 注目すべきは、未発表曲であるBaby Come On Homeが 収められている事だろう。JANIS JOPLIN風のブルーズ・ロックで、 ROBERT PLANTの歌声が味わい深い。[86]
ドイツのハード・ロック・バンド、BONFIREの元ボーカリスト、 CLAUS LESSMANNと元ギタリスト、HANS ZILLERによる1993年に リリースされたミニ・アルバム。歌詞は全曲彼等の母国語である ドイツ語であるが、不自然さは全く感じない。楽曲は BONFIREっぽさも感じさせる、キャッチーなメロディの ハード・ロックで、BONFIREでやったとしてもそれ程違和感は 感じないだろう。楽曲の出来も悪くないし、CLAUS LESSMANNらしい 張りのあるボーカルがまた味わい深く、聴き応えのあるアルバムに 仕上がっている。[83]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 1stアルバム。方向的にはデビュー・ミニ・アルバムの延長線上と 言えるもので、QUEENSRYCHEのフォローワー的なバンドの一つと 言って良いだろう。このバンドを他のバンドから特色 付けているのは、CONFIDENCE NOT ARROGANCE等に見られる 変拍子だが、これが変わった味付けになっており、よりB級臭さを 増す原因となっている。JACK ARAGONのボーカル等もあいまって、 より一層B級臭い作品に仕上がっている。憂いをまとった、叙情的な メロディの正統派ヘヴィ・メタルで、全体的に香るチープな感じが 面白い。[85]
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの1992年に リリースされた、自主制作のデビュー・ミニ・アルバム。 方向的には、いわゆるQUEESRYCHEと言う事になるのだが、かなり 独自色を持っていると言って良いだろう。非常に粘質の高い メロディは、TOM BRADENのボーカルもあいまって、非常に不思議な 世界を作り上げている。演奏的には、ボーカルも含めて、あまり 上手いとは言えず、テンポがよれているように思える 事がしばしばあるのだが、これがかえって彼等の粘質的な サウンドに寄与しているので、何が幸いするか判らない。 QUEENSRYCHEより粘質的で叙情的なメロディがフィットして 出来上がった結果だ。[85]
N.W.O.B.H.M.バンドの音源を集めてCD化したもの。同じく N.W.O.B.H.M.期にアルバムをリリースした同名バンドがいたが、 こちらは当時1981年にシングル1枚をリリースしただけの バンドだ。シングルのHideawayも集録されておらず、ほとんど 全てがお蔵入りしていた音源だろう。ボーカルのCHRIS THOWは 上手いとまでは言えないものの、この頃のあまたいた バンドからすればかなり聴ける方で、高音も一応出ているし、 情感も出ていて悪くない。また、哀愁を感じさせるメロディが、 このボーカルに良くマッチしている。楽曲はN.W.O.B.H.M.らしい 哀愁を感じさせるバラードや、扇情的なアップ・テンポのナンバー 等はマニア受けしそうな佳曲で、かなり出来はよいのだが、それ 以外の曲が今一つぱっとしないのが残念だ。とは言ってもLegendや Heaven Sent、The Way Lovws Meant To Be等、これだけ心を引く 曲があればたいしたもので、哀愁のN.W.O.B.H.M.が好きな人には 必聴と言って良いだろう。プロダクションは、この手の 作品としては例に漏れず、チープな作りではあるのだが、その 方向性はN.W.O.B.H.M.ファンの心の琴線に触れてくるはずだ。[91]
カナダのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた アルバム。同名のバンドは世界中に数多くいるが、全くの新人の 様だ。カナダのバンドらしい雄大で美しいメロディと、 アメリカっぽいのりの良い楽曲からなっており、出来は中々良い。 バラードのAfter The Fallを除けば、これと言った 楽曲がないため、無難な作品に終わっている様な気がするのが 惜しいが、平均的に良く出来ている。特にDon't Believe Itでの 分厚いコーラス等は印象的で聴きごたえがある。ANDY DENTONの ボーカルはパワフルで透っていて良い出来だし、全体的な演奏も 悪くない。[83]
XTのBJORN STIGSSONがかつて在籍していた80年代中頃に活躍し、 4枚のアルバムをリリースしたスウェーデンの ヘヴィ・メタル・バンドのベスト・アルバム。年代的な 所為もあろうが一部は明らかにN.W.O.B.H.M.の影響が見える。音の 悪さまでも受け継いでおり、初期の作品はB級臭さがプンプンと 臭う。後年の曲は雰囲気が一変して録音もそれなりに まともになっているし、楽曲も非常にポップで北欧らしい美しさと 哀愁があり、年代的な切り分けに戸惑う部分がある。後年の部分は 今でも十分通用するだけの内容であるし、XTにはない 哀愁さがある。[81]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。オープニングの Up To The Skyを聴いたとたん、いかにも ジャーマン・パワー・メタルかと思わせる大仰なメロディが 展開されるのだが、それ以降の楽曲はメロディアスな普通の ハード・ロックを体現している。そのため、 オープニング・ナンバーは全体からするとアンバランスな印象を 与えるように思える。全体的に物悲しいメロディが占め、曲の 出来も良いし、日本人好みなメロディのバンドであると思うが、 まだまだ粗いところが見受けられるのが残念だが、デビュー 盤としては十分評価出来るだけの作品に仕上がっている。[84]
アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロックのデビュー盤。女性 ボーカリストのMELLISSA BLAIRを含む3人組だが、このメンバー 構成ではライヴでの再現は絶対無理なので、現状では満足な活動が 出来ていないのではないだろうか。ヘヴィ・メタル側から見ると、 DREAM THEATER等よりもプログレッシヴ・ロックよりで、むしろ YESやRUSHの方が近いと言って良いだろう。MELISSA BLAIRの ボーカルには力強さは感じないが、優しさがあって悪くない。 20分近い大作、ENTER QUIETLYも上手い展開で、あまり 飽きるというところがないし、今後を期待させるだけの 内容ではある。とは言え、プログレッシヴ・ロックの要素がかなり 強いので、そう言った方面を聴きなれていないと少し厳しいかも 知れない。[84]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの4年振りの3rdアルバム。 方向的には、いわゆるQUEENSRYCHE系のバンドと言えると思うが、 その手の曲に限って詰らない楽曲が多い。むしろ More Than I Can Sayの様な、扇情的なメロディをふんだんに取り 入れたものの方が美しさが際立っているので、そう言った路線で 攻めた方が良かったのではないだろうか。このバンドの一番の 功績は前作でMICHAEL BORMANを発掘したことで、彼はBONFIREに 加入するという噂もあったものの、その後J.R.BLACKMOREの アルバムに参加後、自身のバンドJADED HEARTで活動している。 そのMICHAEL BORMANが去って、新ボーカリストのTHOMAS KROELが 加入したわけだが、それなりで悪くはないものの、 MICHAEL BORMANに比べると今一つと言う印象はある。[80]
元BEGGARS AND THIEVESのBOBBY BORGを中心に、元SAIGON KICKの TOM DEFILE等を加えたバンドのデビュー盤。方向的には アグレッシヴでどことなくオルタナティヴ・ロックっぽい 部分もあるが、基本的にはラフでワイルドな ハード・ロックンロールだ。SAIGON KICKのデビュー盤辺りの 雰囲気に近いものがあり、パワフルでエキセントリックな EDDIE GOWANのボーカルもそれに良く合っている。終盤少しだれて 来て、最後まで勢いが続かないのが残念だが、それを除けば 全体的に良く出来ていると言って良いだろう。[80]
オランダのプログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの デビュー盤。Magna Carta所属のアーティストらしい、実に テクニカルな作品で、組み曲も含んだ大作嗜好の曲が並ぶ。タイプ 的には最近のDREAM THEATERに通ずる部分もあり、展開があって 楽曲の出来も無難だ。逆に飛抜けた曲はないが、演奏も しっかりしているし、安心して聴ける。シンフォニックな叙情的な メロディもあいまって、かなり落ち着いた印象を受け、良く出来た アルバムだとは思うが、それ以上に訴えかける物があまり 感じられないのが残念だ。プログレッシヴ・メタルでも、より テクニカル・ロックと言った感じの作品で、それ程ヘヴィさは それ程感じられない。[83]
アメリカのプログレッシヴ/パワー・メタル・バンドの復活後、 初のフル・アルバムとなる2ndアルバム。いわゆる QUEENSRYCHEタイプのバンドなのだが、一連の QUEENSRYCHEコピーとはその完成度ではっきりと一線を 画している。楽曲によりグルーヴィでヘヴィな部分と QUEENSRYCHEをより哀愁の度合いを強めたメロディをみせる 部分がある。アコースティックもふんだんに取り入れており、 Odd Shaped Pearlで閉める辺りは圧巻だ。アコースティック部分と エレクトリックな部分のコントラストがうまくマッチして 良く出来ている。[84]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのミニ・アルバムも含めて 3作目となる作品。この作品よりギタリストを除いて メンバー・チェンジしている。QUEENSRYCHEタイプの メロディアスなパワー・メタルだが、それらのクローンとは やや一線を画しているサウンドは相変わらず。 セッション・ミュージシャンを入れ、キーボードを今までより少し 押し出している。前任のボーカリストは何処となく よれよれしており、それが味であったとも言えるが、新任の JEFF WARDは良くも悪くももっとちゃんと歌えている。今までより プロダクションは格段に良くなっており、全体的に演奏力も 上がっているので、これまでのようなヘタウマ的な味が少し 消えてしまったいるのは残念だが、格好良いメロディの良質の 作品に仕上がっている。[86]
詳細は良く判らないが、多分北欧のニュー・ウェーヴ系 ゴシック・メタル・バンドのアルバム。ソプラノとよりはもう少し 下のレンジで歌うMARIANA HOLMBERGという女性ボーカルに、男性 クリア・ボイスを絡めてくる。ときおりヘヴィさを見せるが、 どちらかというとやや軽めで、アップ・テンポののりの良さを 見せることもある。キーボードがかなり前面に押し出されており、 そういった感を助長している。それ程耽美さを追う バンドではなく、浮遊したような不思議な雰囲気で、時折 怪奇的な感覚を起こさせる。跳ねたような部分はなく THE GATHERINGとは少し方向性が違う。[78]
フィンランドのSIR LUTTINEN率いる二人組みの ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの1stアルバム。 キーボードを中心としたゴシックの荘厳さを味付けとして 取り込んでいるからであり、キーボードを除けばゴシック的な 色合いはそれ程強いとうものではない。全体的に非常に力強い、 躍動感の感じるパワー・メタル的な風味を匂わせ、楽曲によっては アップ・テンポで非常にのりの良いものもある。ギター・リフ等は なかなか美しくて印象的だが、SIR LUTTINENのデス・ボイスは かなり強烈で、少し受け付けにくいかもしれない。[83]
ハード・ロック史上最も成功したバンドのラジオ曲、BBCの 放送用に録音されたスタジオ・ライヴをCD化した2枚組み ライヴ・アルバム。69年と71年からの音源で、CD化にあたって、 JIMMY PAGEによってリマスタされている。いわゆる初期の ハード・ロック的指向が強かった頃の作品だけあって、エナジーの 満ち溢れたライヴ・パフォーマンスだ。 スタジオ・ライヴであるため、一般のライヴのような観客との 親近感が感じられないのは残念だが、出来としては素晴らしい。 特にボーカルのROBERT PLANTの声は実に素晴らしく、これだけでも 十分価値がある。[88]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。前作より 加入したJEFF WARDは前任者より遥かにうまかったのだが、 やや地味な印象を拭えなかった。今作ではその持ち味をうまく 発揮して、伸びやかな高音のパワフルなボーカルを 聴かせてくれている。元々QUEENSRYCHEタイプのメロディアスな パワー・メタルをやっている訳だが、より扇情的なサウンドを 目指しているように見受けられる。前作からへたうま的なB級 臭さが消えたが、今作では更に完成度の高い作品作りを 実現している。前作ではそれが災いして、どうも 地味になってしまったというような印象を受けたが、今作では きちんと消化出来ている感じだ。これまでの作品の 傾向からすると、機械処理を強く加えた今までとは一風違った 楽曲を入れていて、やや違和感を感じなくもないのだが、全体的に 非常に素晴らしい作品に仕上がっている。[86]
オランダのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。方向的には 最近のアメリカのオルタナティヴ・ロック的なサウンドで、 楽曲によっては明らかにPEARL JAM的なものもある。 ボーカリストのJACKO Kのスタイルも一層そう言った感を 強めるものとなっている。ヘヴィなサウンドながら適度にポップで 軽快なその内容は、従来からのオランダのメロディアス系を 期待するならば必ず外すだろう。その叙情的なポップ・センスは 十分評価出来るだけのレベルにはあるので、 オルタナティヴ・ロック辺りも聴けると言う人には 結構いけるはずだ。[80]
スウェーデンのスラッシュ・メタル・バンド、MORGANA LEFAYが バンド名を変えての第1弾となるアルバム。方向的にはこれまでの 路線を引き継いだ、ダークでミドル・テンポ中心の ドラマティックなパワー・メタルよりのスラッシュ・メタルだ。 全体的にNEVERMORE的な雰囲気が強くなっており、 CHARLES RYTKONENのボーカルが、WARREL DANE的であるために 尚更そういう感が強く感じられる。前作辺りと比べると、かなり 緊迫感を保ったアルバムに仕上がっており、聴きごたえがある。 変にまとまってしまっているNEVERMOREよりも引き付けられる アルバムだ。[83]
元STONE FURY、KINGDOME COMEのドイツ人ボーカリストによる初の ソロ・アルバム。方向的には、彼が率いたバンドとそれ程大きく 変るところはなく、彼らしい作品であるとも言える。しかし、この アルバムでは全編ドイツ語で歌われており、バンド名義でなく ソロ・アルバムとしたのも頷ける。ドイツ語で歌うことにより、 発音が気になる曲もあるし、意外と自然な曲もあるが、彼の ボーカルが意外と合っている言って良いだろう。 Lass Mich Dich Sehen等中々良い楽曲だが、全体的な出来を 考えると、これまでの彼の作品と比べてやや落ちると 言わざるをえない。[76]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第1弾となる 自費出版の初のライヴ盤。1980年代後半に活躍した正統派B級 ヘヴィ・メタル・バンドで、やや芋臭いメロディの ヘヴィ・メタルで、一部熱烈な支持を受けたバンドだった。 トリプル・ギターと言う編成でも話題を呼んだが、その当時の オリジナル・メンバー全員が揃っての再結成だ。演奏も全くその 当時を思い起こさせるもので、演奏力も思った以上にあり、 パワフルでエナジーに溢れている。こうやってチョイスされた曲を 聴くと、名曲、The Callingを始め、中々良い楽曲が揃っている。 録音状態も自費出版にしては意外と悪くないし、当時のファンなら 満足出来ること受け合いだ。[86]
コロンビアのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。 SENTINEL STEEL RECORDSからのリリースと言う事で想像が付く 通り、臭いメロディのパワー・メタルだ。6曲で40分と、大作 指向で、ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスもあり、 如何にもB級的な内容なのだが、今時あまりにも真正面からこう 言う作品を作られると嬉しくなってしまう。とは言え、音楽を 表現するにはいささか練りが足りない気がするし、プロデュース 次第ではもっと違った作品になったのではないかと思えるのも 確かだ。MICHAEL GRANTのハイ・トーン・ボーカルは、洗練さが 足りないが、まぁ聴けなくはない。叙情的なギター・ソロ等は中々 良いし、メンバー・ショットを見る限り、かなり若そうなので 今後の成長に期待したいところだ。[81]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2ndアルバム。元 CORROSION OF CONFORMITYのボーカリスト、KARL AGELLと ベーシスト、PHIL SWISHERを中心とするバンドだが、 CORROSION OF CONFORMITYと比べるとかなりロックンロール的な 色合いが強い。もちろんCORROSION OF CONFORMITY的な部分も強く 残っている訳だが、そこにサザン・ロックやロックンロール的な 要素を大幅に取り入れたと言った方が正しいだろう。変な 捻りもないし、ストレートでドライヴ感のあるアルバムに 仕上がっている。のりが良くて、ワイルドで、グラマラスな 如何にもアメリカらしい土っぽい作品だ。[84]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。N.W.O.B.H.M.期の バンドだが、かつてAD 1980と言う未発表音源CDがリリースされた バンドとは同名異バンドで、むしろ当時はこちらの方が 有名だったと言って良いだろう。方向的にはどちらも似た様な 部分もあり、気だるい愁いを感じさせるメロディを持った ロックンロール調のヘヴィ・メタルで、如何にもN.W.O.B.H.M.と 言った感じの作品となっている。N.W.O.B.H.M.らしく プロダクションは悪いが、エモーショナルでエナジーは 感じられる。楽曲の出来にも波が感じられるが、N.W.O.B.H.M.の ファンならば聴いて損はないだろう。[86]
ドイツのハード・ロック・バンドの5年振りとなる6thアルバム。 最近ではボーカリスト、LENNY WOLFのソロ・プロジェクト的な 色合いが濃くなっていたが、今作ではバンド名に彼の名前を冠し、 そう言った姿勢をより鮮明に打ち出している。特に、歌詞をドイツ 語で作成したLENNY WOLFのソロ・アルバムから、英語で4曲 リメイクしている事からも判るだろう。LENNY WOLFの最初の 成功とも言えるSTONE FURY時代の楽曲も3曲リメイクしており、 新曲と言う意味では4曲しか収録されていないのが少し残念だ。 STONE FURYの代表曲とも言える、Break Dawn The Wallを 収録していないのは、全体的なバランスを考慮してだろう。バンド 名自体は若干変ったが、方向性自体は最近の彼の作品らしさを 感じさせる、しっとりと落ち着いた扇情的な愁いと熱さを 感じさせてくれるアルバムに仕上がっている。[81]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの2000年にリリースされた アルバム。方向的には、北欧ブラック・メタルらしい荒涼さを兼ね 備えた作品だが、キーボードがいな分だけブラスト・ビートと ギター・リフが中心となっている。如何にも極北の ブラック・メタル・バンドらしい、氷の様な冷たさを感じさせる ブルータルなサウンドで、ただブラスト・ビートだけに 頼るのではなく、きちんとメロディも打ち出しているのは好感が 持てる。ダークでブルータルなサウンドは、非常にダークさを醸し 出し、クリア・ボイス等も冷たさを表すために効果的に 用いられている。トリオ編成ではあるが、この手のバンドとしても サウンドの薄さは感じられないし、中々レベルの高い作品だ。[84]
ギリシャのスラッシュ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には ハード・コア的なエッセンスも感じさせるスラッシュ・メタルで、 時にはテクニカルでプログレッシヴ的な事もやろうとしている。 ボーカルはJAMES HEADFIELDS風で、作品のアグレッションさを 増すのに一役買っている。楽曲自体の出来は、攻撃的でまずまず 良いのだが、それなりに速い曲でも今一つスピード感が 感じられないのが残念だ。全体的にもやっとした音作りで こじんまりとしており、もっと音に切れの感じられるクリアな サウンド・プロダクションにすればかなり聴き応えが出たのではと 思える。[68]
アメリカのプログレッシヴ・ロック・プロジェクトのアルバム。 プログレッシヴ・メタル系のレーベルとして著名な MAGNA CARTAによるプロジェクトで、LEONARDO DA VINCIを モデルとしたロック・オペラ作品だ。DREAM THEATERの ボーカリスト、JAMES LABRIEを始め、KANSASのボーカリスト、 STEVE WALSH、SHADOW GALLERYのボーカリスト、MIKE BAKER、 ALLIANCEのボーカリスト、ROBERT BERRYと言った、お馴染みの 実力派シンガーがそれぞれキャストについて歌い上げている。 ベースとなっているのは壮大なシンフォニック・ロックで、 それぞれの歌唱は流石に素晴らしいが、シンフォニック過ぎて メタル側のリスナーには少し辛いかも知れない。[80]
イギリスのハード・ロック・バンドの3枚組みライヴ盤。1972年に 行われたアメリカでの公演の模様を収めたものだ。最近では他にも BBC SESSIONSと未発表のライヴ音源が発表される様になって 来たが、この作品はまた違った味わいがある。BBC SESSIONSは バンド初期のエネルギッシュな雰囲気を感じさせるライヴで、 ハード・ロック・バンドとしての魅力を感じさせるものだったが、 ここではもう少し円熟味を増し、完成度の高い貫禄を 感じさせるものになっている。まだハード・ロック色の濃い頃で、 馴染みの深い楽曲が多いだけに、聴き応えがある。曲間の繋ぎを もう少し考えて欲しかった気もするが、1970年代を代表する バンドだけの事はある。[92]