カナダのプログレッシヴ・ロック・バンドの1994年に リリースされた4年振りの2ndアルバム。方向的には、叙情的な メロディで、プログレッシヴ・ロックと言っても、いわゆる アメリカン・プログレッシヴ・ロックと言って良い様な非常に聴き 易い作品だ。複雑なところは全くなく、変拍子等を想像して プログレッシヴ・ロックはどうも、と言う人にも安心して聴ける アルバムに仕上がっている。憂いのあるメロディは、どちらかと 言うとヨーロッパのバンドに通ずるものがあり、そう 言ったところがKANSASやBOSTONと言ったバンドと一線を画す 事になっている。透明感のあるメロディは実に美しく、楽曲出来も 素晴らしいし、心洗われる作品だ。[90]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 4thアルバム。方向的には、ポップで叙情的なメロディの 作品だが、聴き流せてしまいそうな単純に奇麗な、あるいは格好 良いと言った作品に終わっていないところがこのバンドの魅力と 言って良いだろう。ある意味KING'S Xっぽさも感じられるが、 もっとダークでヘヴィなものとなっている。Stop The Hateでは 憂いのこもったメロディながら、変なうねりがグルーヴィ感を 出しているし、型にはまらず多様性を感じさせてくれるアルバムに 仕上がっている。楽曲の出来も良いし、ところによっては煽情感を 醸し出しながら、聴き手を引き込んで行く。[85]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた 唯一のアルバム。N.W.O.B.H.M.のバンドとしては、最も プログレッシヴ・ロックよりのバンドとして知られている バンドで、特にMan Of Coloursは ブリティッシュ・プログレッシヴ・ロック的な色合いの濃い 楽曲だ。こう言ったヘヴィ・メタル色がない楽曲がある一方で、 Metal Manの様なヘヴィ・メタル色を出した 楽曲もあったりするところがユニークだ。シングルのみで リリースされたAshes To Ashesがボーナス・トラックとして 収録されているが、バンドとしてはかなり毛色の違う楽曲だが、 UFOのDoctor, Doctorを思わせ、ネタがばればれだが中々格好 良い。[85]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた デビュー盤。N.W.O.B.H.M.バンド、TYTANの元ボーカリスト、 KAL SWAN、元STEELERのドラマー、MARK EDWARDSを中心に 結成されたバンドで、KAL SWANとギタリストのDOUG ALDRICHは BAD MOON RISINGを結成している。BAD MOON RISINGと比べると、 全体的に軽やかな仕上がりで、のりが良く出ている。 ヘヴィなだけでのりの今一つ感じられないBAD MOON RISINGよりは 遥かに良い出来だと言って良いだろう。SPECIAL EDITIONと お題目が付いているが、アニメーション映画、TRANSFORMERSの テーマ曲が追加されているだけだ。とは言え、この曲は今まで 映画のサウンドトラックでしか聴く事が出来なかったものなので、 価値はある。[86]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた 唯一のアルバム。元IRON MAIDENのギタリスト、DENNIS STRATTONが 結成したバンドだが、その方向性はIRON MAIDENの全く逆を行く様な 内容だ。キーボードを導入した、キャッチーでポップな アメリカン・ハード・ポップと言った楽曲は、明らかに意識して 新しい事をやろうとした結果だろう。IRON MAIDENの ファンからすると拒否反応を起こしそうな話だが、しかしこれが 中々秀逸なハード・ポップで、AOR的なエッセンスが良く 出ている。N.W.O.B.H.M.のハード・ポップ系のバンドとしては SHYと並ぶ位の高品質なアルバムに仕上がっている。[85]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。N.W.O.B.H.M.バンド、GRIM REAPERの 元ボーカリスト、STEVE GRIMMETTを中心に結成されたバンドだ。 ジャーマン・パワー・メタルっぽさを感じさせる、GRIM REAPERの 様な色合いとは異なり、如何にも正統派と言った感じの様式美 ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。楽曲を書いているのが ギタリストのMIKE OWERSなのだから、GRIM REAPERと違った 毛色になるのはある意味当然と言って良いだろう。やや ブリティッシュ・ブルーズ色の感じられる楽曲で、 STEVE GRIMMETTのパワフルなボーカルが良く映えている。[83]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2ndアルバム。前作でソング・ライティングの大部分を担っていた ギタリストのMIKE OWERSと、ベーシストのSTEVE OWERS兄弟が あっと言う間に脱退し、今作では元KILLERSのNICK BURRが 加入している。曲を書く人間が変わったのだから、当然と言えば 当然だがその方向性に変化が見られる。よりブルーズ・ロック的な 色合いが濃くなっており、その分様式美的な色合いは 薄くなっている。楽曲のテンポもややアップ・テンポ 気味になっており、のりが良くなった様に感じられる。前作とは 趣の違った作品となってしまったが、作品の質としては決して 低くない。[82]
イギリスのハード・ロック・バンドの1991年にリリースされた 2ndアルバム。ほぼ壊滅状態であったイギリスの ハード・ロック・シーンにTHUNDERと共に1990年代期待の星として 登場したが残念ながらその期待に添うまでの結果は残せなかった。 ブリティッシュ・ブルーズ的なエッセンスも持ちながら、 アメリカナイズされた明るいのりの良いハード・ロックンロールに 仕上がっている。アメリカ市場も意識しながらも、 ブリティッシュらしさを押し出した作品となっている。 ホーン・セクションを導入したりと色々工夫も見えるのだが、こう 言う作品が受けないところにイギリスハード・ロック・シーンの 苦悩が感じられる。[83]
イギリスのハード・ロック・バンドの1993年にリリースされた 3rdアルバム。詳しいクレジットがないため詳細は不明だが、 ライヴ・ミニ・アルバムが付いた2枚組みの限定盤だ。方向的には 前作の延長線上と言えるものだが、よりホーン・セクションを 前面に押し出したものとなっている。明るく軽快で爽やかな ハード・ロックで、聴いていて楽しい作品だ。全体的にテンポは 抑え目と言う感じがするが、ほのぼのとしていて安心して 聴いていられる。ライヴの方も、ホーン・セクションもきちんと 持ち込み、彼等らしい魅力の感じられるパフォーマンスを 聴かせてくれている。[82]
アメリカのミクスチャー・ロック・バンドの1988年に リリースされたデビュー盤。ハード・ロックを基調とした、 黒人らしいファンク・ロックとのミクスチャー・ロックで、非常に のりの良い作品となっている。ハードに演奏されているが、楽曲 自体は明らかにファンク・ロックなので、ファンク・ロックが 聴けないと苦しいかも知れない。ELECTRIC BOYSのデビュー盤等と 比べると、より黒人らしいファンキーさがあって、ハード・ロック 的なエッセンスもそれ程強く出ていない。如何にもアメリカの黒人 音楽らしい作品で、アメリカ市場でヒットとしたのも頷ける。[83]
アメリカのミクスチャー・ロック・バンドの1990年に リリースされた2ndアルバム。方向的には前作の延長線上と 言えるもので、ファンク・ロックがその中心となっている。そこに ハード・ロック的な味付けがされており、グルーヴ感をより醸し 出している。前作と比べるとややグルーヴ感が減じた感じで、 楽曲によってはもたった印象を受けるものもある。その分黒人 ブルーズ的な色合いが強くなっており、ある意味音楽的な幅が 広がったとも言えるだろう。前作と比べると、やや楽曲に波がある 様に感じられるが、作品のクオリティは決して低くない。[81]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた、 4曲入りデビュー・ミニ・アルバム。L.A.メタルの バンドとしては、最も正統派のヘヴィ・メタルと言える部類の サウンドで、LIZZY BORDENのボーカル・スタイルもあって、やや シアトリカルな雰囲気さえある。楽曲は悪くはないが、特別どうと 言う程のものでもなく、むしろ注目はなんと言ってもRAINBOWの カバー、Long Live Rock N Rollだろう。演奏は結構 ちゃんとしているのだが、録音状況は悪く、プロダクションは 今一つだ。一方で、その効果もあってか、勢いと荒々しさは 感じさせてくれる。[78]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 4thアルバム。最早バンドの形態はなく、ボーカリストで中心 メンバーであったLIZZY BORDENのソロ・プロジェクトと 化している。アグレッシヴさが全く消え、ホーンが 導入されてたりとこれまでのヘヴィ・メタル然とした アルバムとは、かなり趣の違うアルバムとなっている。演劇的な シアトリカルな要素はそれ程変わらないのだが、こういう楽曲で トータル・コンセプト的なイメージを打ち出すには、曲が あまりにもポップ過ぎるのが難点だ。出来は決して 悪くないのだが、今一つインパクトに欠けるアルバムだ。[78]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた 2ndアルバム。バンドとしては最も勢いのあった頃の作品で、特に Notoriousはバンドの代表曲の一つと言って良い佳曲だろう。 非常にシアトリカルな方向性で、やはりこういう音楽性は一般に 受け入れられるのは難しいだろうし、LIZZY BORDEN自身の ヒステリックなボーカルには拒否反応を起こす人も居るだろう。 演劇的な構成で、コンセプト・アルバム的要素が強いが、 ばらばらに聴いてもそれ程気にならない。バラードのBloody Mary 等、楽曲の出来は良いし、作品の出来は中々だ。[86]
N.W.O.B.H.M.バンドの1984年にリリースされたアルバム。実際には 1980年にリリースされた唯一のアルバム、LIMELIGHTに1982年に リリースされたシングル、ASHES TO ASHESを加えたもので、かつて 日本でCD化されたものとは何曲かがリミックスされていて、曲順が 違うだけだ。日本ではAshes To AshesがUFOのDoctor Doctorに 似ていると言う事で知られているが、実際の音楽性は N.W.O.B.H.M.のバンド中では最もプログレッシヴ・ロックよりだと 言って良いだろう。特にMan Of Coloursはプログレッシヴ・ロック 色が強く、陰鬱なキーボードを配したメランコリックな ナンバーで、N.W.O.B.H.M.の中でもかなり異色だと言って 良いだろう。[87]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた初の フル・アルバムに、デビュー・ミニ・アルバムを併せて 集録しているが、リミックスしている様だ。シニアトリカルで 演劇的な手法は、この作品ではまだまだ荒削りな印象を受けるが、 LIZZY BORDENの音楽性は良く出ていると言って良いだろう。 むしろ、その荒々しさがかえってのりを出しており、 シアトリカルな聴き難さを押える効果が出ている。その後の作品と 比べると、まだ叙情的な部分が大きく、プロダクションも 悪いので、楽曲によってはN.W.O.B.H.M.の影響を感じる 部分もある。[80]
詳細は全く判らないが、恐らくベルギーの ヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされたアルバム。 方向的には、N.W.O.B.H.M.に受けたであろうサウンドの正統派 ヘヴィ・メタルだ。B級臭いが、ドラマティックで展開のある 楽曲で、扇情的な作品だ。パワフルなWILLY BECKERSの ボーカルは、はっきり言って下手なのだが、雰囲気には何とか 合っていて我慢できる程度だ。楽曲中で転調が所々出て来るが、 それ程派手ではなくて、あまり気にならない。録音の状態はあまり 良いとは言えず、B級臭さに拍車をかけているのは残念だ。[78]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた 3rdアルバム。RANDY RHOADSに師事し、後にOZZY OSBOURNE BANDに 加入するJOE HOLMES在籍時の唯一のアルバムだ。扇情的な ギター・ソロに非凡さは伺えるものの、後にOZZY OSBOURNE BANDに 加入すると言う事を想像させる様な、目立ったプレイは 残念ながらない。曲作りにもあまり参加していないので、これを 聴いただけではJOE HOLMESの実力は計りがたいと言って 良いだろう。若干灰汁がなくなって聴き易くなっており、名作 MENACE TO SOCIETYには及ばないが、LIZZY BORDENの シアトリカルなサウンドは健在で出来自体は悪くない。[82]
オランダのプログレッシヴ・ロック・バンドのデビュー盤。今や シンフォニック・ロックの砦とも言うべきSI MUSIC所属の バンドだ。方向的には正しくその路線と言った感じの シンフォニック・ロック・バンドなのだが、かなりヘヴィな サウンドで、この手のものとしては幾分ダークな感じがする作品に 仕上がっている。MARIO DRIESSENの奏でるギター・メロディは、 叙情的な部分においてはハード・ロック方面にも 訴えるものがあるが、構成は割と変則的に展開して行くのでその 辺りは少しきつい。オーケストラの導入も割合効果的だし、 全体的に良く出来たアルバムだ。[85]
アメリカのハード・ロックンロール・バンドで恐らく 自費出版によるデビュー盤。収録曲のうち、2曲は更に リミックスしたものを重複して収録しており、実際には ミニ・アルバムに近いと言って良い作品だろう。ワイルドで エッヂの効いた、のりの良いハード・ロックンロール作品に 仕上がっている。荒々しくグルーヴィで迫力があり、 MOTLEY CRUEやSKID ROWとはまた違った魅力が感じられる作品だ。 リミックスは中々強烈で、Hammerがインダストリアル風、 Homelessがオルタナティヴ風に仕上げている。[78]
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの2ndアルバム。 全体的に流麗で、非常に美しいメロディで叙情感溢れる楽曲は中々 美しい。プログレッシヴ・ロック的な要素はあるが、特に複雑な 展開といったものは希薄で、むしろライトなハード・ポップという 感じだろう。ハード・ロックというほどにはハードでは ないのだが、それなりに音は厚く作られている。前作と比べると さらりと流せてその分、印象は薄いかもしれないが、楽曲自体は キャッチーでメロディは秀逸だ。産業ロック的なヒット曲指向の 楽曲が並んでいて、非常に聴き易い作品だ。[82]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドで7年振りの2ndアルバム。 楽曲の曲調、ボーカルの声質等ややDREAM THEATERに似ている 気もするが、あれほどプログレッシヴ的な感じはなく、結構 ヘヴィなリフもある。変拍子もあるが、これがちょうど良い アクセントになっている感じだ。重厚なギター・リフが ヘヴィ・メタル的な色彩を強めていて、ここにJAMES LaBRIEっぽく メロディを歌い、曲がドラマティックに進むところなどは中々 良い。楽曲の出来自体も決して悪いものではないし、 DREAM THEATERよりもっとヘヴィ・メタル然としている方が 好みという向きには合うだろう。[86]
元MOTORHEAD、NINA HAGENのイギリス人ギタリストの初の ソロ・アルバム。元XEROと、N.W.O.B.H.M.系統のファンには 懐かしい名前だが、殆どの人にはむしろJOHN WETTONや GLEN HUGHESと言ったゲスト陣の方に目が行くだろう。そういう ゲストにアルバム・ジャケットから想像すると、落ち着いた ロック・アルバムを想像させるものがあるかも知れないが、 実際にはもっとヘヴィでエモーショナルなサウンドに 仕上がっている。特にGLENN HUGHESが歌っている楽曲は、彼の ボーカルもあって非常にソウルフルだ。扇情的で情感も豊かで、 非常に良く出来たアルバムに仕上がっている。[87]
アメリカのハード・ロック・バンドのアルバム。1987年に リリースされたデビュー盤と1988年にリリースのミニ・アルバムを カップリングしたものだ。メンバーの5人のうち4人の ファミリー・ネームが同じで、これをバンド名にしているが、 恐らく兄弟だろう。メロディアスなハード・ポップで、 Rock On Through The Night、Broken Hearts、Rock This City、 Ghost Town Park等の哀愁を感じさせる楽曲は、臭さも感じるが心 引くものがある。アルバム・ジャケットのセンスは悪いし、 全体的には爽やかな楽曲も含めてチープで垢抜けていないが、 メロディ・センスには見るところがあるし、B級の掘り出し物的な アルバムだ。[85]
詳細は良く判らないが、ドイツの ゴシック/メロディックデス・メタル・バンド。ダミ声の咆哮型 デス・ボイスだが粘質的で結構味が有り、ボーカル・ラインも ちゃんとしているし、クリア・ボイスも使うがまともで、 RENE ROSEはこの手のものとしては良い出来だ。キーボードには ゴシック的な音色を感じさせるが、楽曲自体はそれによって ゴシック的だったりそうでなかったりする。大作 Forbidden Dreams等でのクリア・ボイスと叙情感溢れる哀愁の メロディのマッチングは素晴らしい。良いメロディ・センスを しているし、もう少しアレンジが良くなれば素晴らしい作品を 作るだろう。[87]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。ARMORED SAINTの 元ドラマー、GONZO SANDOVALを中心としたニュー・バンドだが、 このアルバム制作後GONZOは脱退し、バンド名も変えて現在は 活動している。とは言っても、このアルバムではGONZOはあまり 曲作りに関係していないので、たいした影響はないだろう。 明らかにTHIN LIZZYを意識したサウンドに楽曲で、 ギター・ハーモニーやボーカル・ラインがそのもの言っても差し 支えのない部分がそこかしことある。それでいてCREAMの Sunshine Of Your Loveまでカバーしてしまうところなど圧巻だ。 オリジナリティは全く感じられないが、アイデアは買えるし 悪くないアルバムだ。[80]
スウェーデンのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの 2ndアルバム。キーボードがかなり前面に出されており、 プログレッシヴ・ロック的な色合いを強く見せている。 キーボードがかなり前面に押し出されていて、軽めだった1stに 比べれば、Shadows等の様にヘヴィなギター・リフを 取り入れている曲があり、かなり重厚さを増しているように 思える。ドラマティックな曲は臨揚感が出て効果的だが、 そうでない曲はかえって聴きどころがなくなって散漫になった 印象も受ける。アルバムの流れが出来ればこういった点も 改善されるのではないだろうか。[82]
アメリカのバンドのデビュー盤だが、多岐のジャンルに渡っている そのサウンドは中々ユニークで一言では現し難いものだ。 スクラッチャーとしてラップ・バンドのHOUSE OF PAINの DJ LETHALが加わっており、ボーカルのFRED DURSTのスタイルも 明らかにラップだ。楽曲的にはハード・コアでもあるし、 ヘヴィネスという感じもあるし、グランジ的な事もやっている。 気だるさを感じさせるような事もやればいきなり攻撃的な部分も 出してくる。GEORGE MICHAELのFaithのカバーなどその極みと 言っても良いだろう。決してヘヴィ・メタルという 感じはないが。[78]
N.W.O.B.H.M.バンド、GRIM REAPERのボーカリストだった STEVE GRIMMETT率いるイギリスのヘヴィ・メタル・バンドの 3rdアルバム。デビュー直後にソング・ライターのOWERS兄弟が 脱退するという前途多難なスタートを切ったが、今作でも ギタリストが元TYKETTOのBROOKS ST.JAMESに交代している。 BROOKS ST.JAMESが曲を書いているだけあって、全体的に TYKETTOっぽい内容になっている。アメリカ風の洗練された 叙情的なメロディが漂っており、これまでの作品とはやや趣が 異なる。方向性は変ったものの、BROOKS ST.JAMESの作り出す メロディはなかなか質が高く、これはこれで良い作品だ。[83]
KING CRIMSONのTONY LEVIN、DREAM THEATERのMIKE PORTNOY、 JOHN PETRUCCI等によるプロジェクト・バンドの インストルゥーメンタル・アルバム。演奏はともかく、楽曲的には 部分部分でDREAM THEATER的なエッセンスが感じられるが、 KING CRIMSONやDREAM THEATERとは一歩も二歩も違った フィーリングの作品に仕上がっていると言って良いだろう。 そういう意味では、特にKING CRIMSONのファンからすると期待した 内容とは違うと言う結果になるかも知れない。流麗でポップな 部分もあればテクニカルな部分もあり、あまりハードさは 感じさせない作品に仕上がっている。[78]
北欧メロディック・デス・メタル・バンドTHEATRE OF TRAGEDYの 女性ボーカリストによるソロ・アルバム。デス・ボイスがないのは もちろんだが、むしろヘヴィ・メタル的な色合いも非常に薄い。 THEATRE OF TRAGEDYよりもっと耽美だが、ゴシック・メタル的な 荘厳さはなく、非常にニュー・ウェーブ的な色合いが強い。 DIE LAUGHINGの様なテンポの良さもないが、彼女の儚げな ボーカルは不思議な雰囲気を醸し出していて悪くない。淡々と 進んでいくので盛り上がりと言うものは感じられないのだが、 美しい事は間違いない。楽曲の出来も悪くないので、美しさに 浸るのであれば結構いけると思う。[82]
アメリカのパワー・メタル・バンドの1988年にリリースされた アルバム。方向的にはIRON MAIDEN型のパワー・メタルと言って 良いだろうが、もっと正統派パワー・メタル的なエッセンスが 強い。特にこのアルバムから加わったボーカリスト、 JOSEPH COMEAUのボーカル・スタイルがBRUCE DICKINSONに 似ているため、そういう印象を強く与えるのだろう。RAINBOWの Kill The Kingをカバーしているが、この曲だけは何故か ボーカル・スタイルを変えている。ドラムがややもたる 事はあるが、全体的に演奏も良いし、楽曲もこれはと言った物が 無いが悪くはない。METAL BLADEからリリースされ、 プロデュースをTERRY DATEが担当しているだけあって、この頃の この手のバンドとしては、プロダクションが格段に良い。[78]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1996年にリリースされた自費 出版によるデビュー盤。アメリカのバンドらしい叙情的な ヘヴィ・メタルで、ややB級臭さはあるがキャッチーで楽曲の 出来は中々良い。イントロからさびにいたるまでその流れを含めて 意外に良く出来ており、このバンドのメロディ・センスの良さが 伺える。演奏的にも割と良く出来ていて、PETE WHITEのボーカルも 楽曲に合っていて中々のものだ。Evil Eyesのキーボード等がやや チープで洗練さが足りないと言う感じもなくはないが、それ程 気になるものではない。GREGG LIVESAYのギターが美しい メロディをより際立たせていて、中々掘り出し物と言ったところの 作品だ。[84]
アメリカのミクスチャー・ロック・バンドの1991年に リリースされた来日記念の企画盤。ファンキーな ブラック・ミュージックとロックを混ぜ合わせた様なサウンドで、 JAMES BROWN、JIMI HENDRIX等のカバーを含めたミニ・アルバムに ボーナス・トラックとして未発表のライヴ音源を9曲 追加したものだ。元々ハードな音楽性も持っていたが、ライヴでは 更にLED ZEPPELINのThe Oceanをカバーしており、そう言った 部分を更に体現している。割とハードな音楽性の中にも ファンキーな部分が根っこにあり、ソウルフルな感じを 強くさせている。こう言った部分が楽しめるなら、結構 ハード・ロックっぽい部分もあるので、それなりに 楽しめるだろう。[78]
詳細は全く不明だが、恐らくオランダかドイツの ハード・ロック・バンドのアルバムだろう。方向的には産業ロック 的な面を強くしていた、後期のHEARTと言う感じで、 MARIJ SNELS-DRIESSENのボーカル・スタイルもそれをかなり 意識している事が伺える。全体的によりヘヴィーで、Love Me等、 楽曲によっては更に叙情的な部分を打ち出している部分も 見られるが、HEART風のキャッチーなメロディが配されている。 アップ・テンポなナンバーでは、MARIJ SNELS-DRIESSENの 歌いまわしが気になる部分もあるが、声質もきれいで悪くない。 楽曲の出来はHEARTまでとは言えないが、それなりの 出来ではあるので、それなりに聴けるアルバムだ。[80]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。 これまでの作品では、よりプログレッシヴ・メタル的な匂いを放つ アルバムだったが、今作では重量感のある激しい音作りで、より ヘヴィ・メタル的な面を強調した作品と言って良いだろう。 エッヂの効いたリフがより全面に押し出されており、 KAY BACKLUNDのキーボードがプログレッシヴ・メタルっぽさを 散りばめながらも、パワフルで重厚な作品に仕上がっている。 彼等の音楽性としては、畑違いのレーベルとでも言うべき CENTURY MEDIAから離れ、ほぼ自主制作に近い形になっている。 CITY BOYSのカバー、The Day The Earth Caught FireはQUEEN的な コーラスを入れた、この作品中でも最もプログレッシヴなもので、 如何にも彼等らしい仕上がりだ。JUDAS PRIESTのカバー、 A Touch Of Evilもキーボードを大幅に取り入れて、彼等らしい 味付けがなされている。ボーナス・トラックとなっているバンドの タイトル・ナンバー、Lions Shareがこれまでの彼等に最も近い 雰囲気を出している。[83]
アメリカのハード・ロック・バンドの再結成第1弾となる、 7年振りの5thアルバム。解散後から書き溜めていたマテリアルと 言う事だけあって、7年と言う歳月の流れにも、彼等のサウンドは 失われてはいない。キャッチーなメロディの中にも、彼等らしい 独特なフックのある楽曲は、今聴いてもユニークだし、 色褪せていない。ピアノによる泣きのメロディのバラード、 When It Rains等は圧巻と言っても良いだろう。彼等特有の灰汁の 強さが全体を覆っており、聴く人間を選り分けるかも知れないが、 楽曲の出来も良いし、素晴らしいアルバムに仕上がっている。[84]
元IRON MAIDENのギタリスト、DENNIS STRATTONがIRON MAIDEN 脱退後に結成したN.W.O.B.H.M.バンドの2枚組み未発表音源集。 デビュー前に録音されたものと、結局発表される事無く 解散してしまった2ndアルバムからなっている。方向的には IRON MAIDENとは全く違った方向性を目指した彼等らしい サウンドで、中々興味深い作品だ。内容的には、玉石混合と言った 感はいがめないのだが、メロディアスでキャッチーな楽曲は決して 悪くない。2ndアルバムでもプロダクションに差があるのは 残念だが、お蔵入りになったのだがら仕方ないだろう。叙情的で 憂いがあって、アメリカナイズされた楽曲が並んでいる。[82]
アメリカのミクスチャー系バンドの2ndアルバム。方向的には、 ラップ、ヒップ、ホップ、グランジ、ヘヴィ・ロック等を取り 混ぜたものだ。FAITH NO MORE等よりヘヴィ・メタル色が薄いので、 メタル系のリスナーにはそれ程馴染めない作品かもしれない。 全体的にミドル・テンポ中心となっており、前作であった ハード・コア色がなくなっているため尚更気だるさを湛えた様な サウンドになっている。それでもヘヴィ・ロックらしい サイケデリックで重厚なギターが随所に出て来るので、 聴きごたえは十分ある。楽曲の出来は悪くないし、 オリジナリティも感じられて悪くない作品だ。[81]
DREAM THEATERのドラマー、MIKE PORTNOY、ギタリスト、 JOHN PETRUCCI、キーボード、JORDAN RUDESSとKING CRIMSONの ベーシスト、TONY LEVINによるプロジェクト・バンドの 2ndアルバム。前作は、セッション的な要素が強く、楽曲の 出来としてはかなり物足らない作品であったが、今作ではかなり 練り込んで作られており、さすがと言えるレベルのアルバムに 仕上がっている。Acid Rainを始め、楽曲にはフックがあって、各 メンバーの技術力の高さも良く出ている。展開があって、全曲 インストルゥーメンタルだが、決して聴き飽きさせないアルバムで 素晴らしい出来だ。[89]
アメリカのミクスチャー・バンドの1993年にリリースされた アルバム。来日公演に向けた日本独自の企画盤で、1993年に 行われたシカゴとパリでのライヴの模様を収めたものに、 アコースティック・スタジオライヴを4曲、アルバム未収録曲を2曲 収めたものだ。ファンキーながら、ハードなサウンドは十分 ハード・ロック系のリスナーにも通用するし、中々に 聴きごたえがある。普段がハード一辺倒のサウンドだけに アコースティック・ライヴは不思議な感じを受ける。未発表曲は このバンドとしたら特にどうと言うほどでもないが、17 Days等は KING'S Xっぽくて出来は悪くない。[80]
アメリカのミクスチャー・ヘヴィ・ロック・バンドの1993年に リリースされた3rdアルバム。黒人のバンドらしい、 ファンキーなのりのヘヴィ・ロックで、跳ねるようなサウンドが 結構心地良い。エモーショナルで、エナジーを感じさせる熱さが 感じられるアルバムに仕上がっている。Leave It Aloneや Ignorance Is Blissを始め、楽曲の出来は悪くないし、デビュー 当時より、自らの音楽性を消化して、こ慣れてきているように 思える。Bi等は、FAITH NO MOREを思わせる様な部分もあるが、 全体的にもっとファンキーな作品に仕上がっている。[83]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの4年振りの2ndアルバム。 Darkest HourでのTONY STAHLのキーボードは、如何にも DREAM THEATERと言った感じのフレーズがふんだんに 散りばめられており、悪い意味で影響を受けたのではと 思わせるが、それ以降では前作の延長線とも言える様なアメリカの バンドらしい叙情的なヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。やや ブルージィな色合いを感じるが、ブルーズに走り過ぎていると言う 程でもないので、それ程違和感は感じないだろう。ボーカリストは ANTHONY CROSSに代わっているが、特別上手いと言う 感じではないが、声に艶があって悪くない。[83]
アメリカ人女性シンガーによる1995年にリリースされた 4年振りとなる6thアルバム。4年振りと言っても、これまでもそう 変わらないペースでリリースしていたので、順当と言っても 良いだろうか。伝説の女性ハード・ロック・バンド、RUNAWAYSの メンバーだった人で、前々作ではOZZY OSBOURNEとのデュエット 曲、Close My Eyes Foreverで良く知られるところだろう。 前作でもヒットに恵まれたが、メジャーからドロップしてしまい、 この頃のヘヴィ・メタルに対するレコード会社の待遇が窺い 知れる。今作ではこれまでよりもよりロック然とした 作品となっており、楽曲によってはブルーズ色を強く打ち 出している。シンプルな感じになったとは言え、ハードな部分が 決して失われた訳ではない。ただ、楽曲の魅力としてはこれまでの 作品と比べるとこれと言った飛び抜けたものが感じられない。その 他注目されるのは、KATMANDU以降、一線から姿を消してしまった DAVE KINGがゲスト参加している事だ。[79]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの11年振りの復活第1弾となる 5thアルバム。ボーカリストのLIZZY BORDENを中心に、末期には 彼のソロ・プロジェクト的なバンドとなっていたが、今作でも 多くのミュージシャンが参加しており、プロジェクトとしての 復活となっている。後にRANDY RHOADSにも教えを受けていた ギタリストのJOE HOLMESがOZZY OSBOURNE BANDに迎えられた事で 知られる様になった。L.A.メタルのバンドとしては異色の バンドだったが、ここで聴かれるサウンドは、当時の彼らしい シアトリカルで湿り気のあるヘヴィ・メタルを 聴かせてくれている。ALICE COOPERのGeneration Landslideや BLUE OYSTER CULTの(This Ain't)The Summer Of Love、 SCORPIONSのWe'll Burn The Skyと言ったカバーも収められていて 出来としては悪くない。[81]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1995年にリリースされた ベスト盤。ミクスチャー的な色合いが強く、非常にファンキーな サウンドを聴かせてくれているバンドらしい作品に 当然なっている。これを最後にバンドは解散してしまったが、 最後に相応しいベストな選曲がなされており、初心者が彼等の 音楽に触れると言う意味では持って来いだろう。ファンキーで エナジー溢れる熱いサウンドは彼等の凄さを再認識させてくれる。 ここで注目されるのは未発表曲が4曲収められている事だが、 彼等としては可もなし、不可もなしと言ったレベルの楽曲だ。[80]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りとなる 4thアルバム。元々プログレッシヴ・メタル的な音楽性を持った バンドだったものの、前作ではそう言った部分を薄めてきており、 今作では更にそれを押し進めた作品と言って良いだろう。 MATS OLAUSSONがゲスト参加しているものの、キーボードの KAY BACKLUNDが居なくなった事と、ボーカリストが 元NIVAのTONY NIVAに交代しており、彼の透明感のある透った 声質を活かすためにそう言った方向性を選んだのだろう。より オーセンティックでストレートなヘヴィ・メタルになった分、 もう少し変化が欲しい感じがする。[80]
ブラジルのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。方向的には 北欧メタルやジャーマン・メタルの影響を受けた、メロディアスな 正統派ヘヴィ・メタルと言えるものだ。別に巻き舌と言う 訳ではないが、部分的にはスパニッシュ・メタルっぽさを伺わせる B級感がある。曲にはそれなりにフックもあるし、 メロディ・センスも良いし、バックの演奏も悪くない。にも 関わらず、今一つのりきれないのは、VILLO NOLASCOの平坦な ボーカルのせいだ。全体的な出来自体は決して悪くないのに、 声域が狭く、ボーカル・ラインのドラマティックさの欠如が 致命的と言って良いだろう。[72]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2枚組の初のライヴ盤。 PSYCHOSCHIZOPHRENIA以降、10年近く新作を発表出来ないと言う 不遇を託っているが、こうやって改めて過去の楽曲を聴くと、 彼等が如何に素晴らしいバンドであったかと言う事が良く 感じられる。彼等の最高傑作、POETIC JUSTICEからの選曲が 少ないのは残念だが、それだけに彼等が良い楽曲を数多く 排出している事が判る。彼等独特の憂いを帯びた扇情的な メロディは、こうやってライヴで聴いても実に素晴らしい。 RON TAYLORのボーカルも良く情感を出しており、雰囲気を盛り 上げてくれる。[84]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3年振りの2ndアルバム。 基本的にはオルタナティヴ・ロック的などことなく憂いを 感じさせる楽曲をベースとして、ヘヴィなサウンドに仕立てた今の ヘヴィ・ロックらしいクールさを兼ね備えた作品で、そこにラップ 的な手法も加え、刺激的で聴き応えのあるアルバムに 仕上げている。適度にコマーシャル性も兼ね備えていて、3分 前後にコンパクトにまとめられた楽曲は、その中に強弱の切り 換えがなされており、テンポ良く切り替わって行き、聴き 飽きさせない。流石、デビュー作で1500万枚もの売上を 記録しただけの事はあると思える内容だ。[86]