フィンランドのハード・ロックンロール・バンド、HANOI ROCKSの 元ボーカリストによる1987年にリリースされた2年振りの 2ndソロ・アルバム。HANOI ROCKSのクリエイティヴ面を 支えていたのはギタリストのANDY McCOYだっただけに、 HANOI ROCKSそのままと言う訳にはいかないが、それ程外している 訳でもない。HANOI ROCKSと比べると、同じ ハード・ロックンロールでも、ANDY McCOYの作り出すメロディに 比べて、ストレートな作品に感じられる。HANOI ROCKS程の個性も 捻りもないが、出来自体は悪くないし、HANOI ROCKSのファンは 諸手を挙げて喜ぶまでは行かなくとも、それなりに満足 出来るはずだ。[83]
イギリスのハード・ポップ・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。元PRAYING MANTISのボーカリスト、DOOGIE WHITE 等によるバンドで、その後彼がRITCHIE BLACKMORE'S RAINBOWに 加入するに及んでバンド自体は消滅してしまった様だ。叙情的な メロディのハード・ポップだが、アダルトで洗練された雰囲気を 持っている。ミドル・テンポ中心の、憂いを帯びたメロディは 派手さはないが美しい。PRAYING MANTISもそうだが、 DOOGIE WHITEの透ったボーカルは、こう言った叙情的でポップな ナンバーに良く似合う。やや地味に感じなくもないが、アルバムの 出来は決して悪くない。[82]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。音楽的には、北欧らしい透明感のある叙情的な メロディのヘヴィ・メタルだ。全体的にチープではあるがエッヂの 立った生々しいプロダクションとなっており、このライヴ感が中々 良い感じだ。キャッチーなメロディは、憂いを帯びていて中々良い 出来だし、バラエティに富んでいるので聞き飽きさせないのも評価 出来る。90ー60ー90のさび等、中々印象的だしクリエイティヴ面でも 彼等の才能を感じさせてくれる。出来ればこれと言った飛びぬけた 曲が1曲欲しかったところだが、全体的に良く出来ているし、十分 満足出来る内容だ。[85]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。音楽的には、ややプログレッシヴ・メタル的な エッセンスを持った、先鋭的な感じのするヘヴィ・メタルだ。 QUEENSRYCHEにパワー・メタル的にアレンジし、ジャーマン的な ドラマティックさを付加させた様な感じの作品で、彼等としての オリジナリティは出ている。楽曲の出来は決して悪くないのだが、 やや平凡と言った感じを脱しきれておらず、アグレッシヴさを 活かすまでには至っていない様にも思える。ただ、全体的に エッヂのたったサウンドで勢いはあって、それを補っていると 言って良いだろう。[82]
アメリカのインダストリアル・ロック・バンドの1989年に リリースされた4thアルバム。インダストリアル・ロックとしては 最も著名なバンドであり、最もヘヴィ・メタル側に クロス・オーバーしているバンドと言って良いだろう。これは 彼等としても最もスラッシュ・メタルよりの作品作りをしていた 頃の作品の1枚と言えるもので、デジタル音による 軽さはあるものの、スラッシィなリフを取りこんだ攻撃的で速い 作品に仕上がっている。Burning Inside等はダンサブルさも 感じさせるが、却ってそれがのりの良さを出している。 エフェクトされたALIEN JOURGENSENのボーカルが、攻撃的な シャウトをしながらも、彼等らしいデジタルさを感じさせる。[84]
アメリカのインダストリアル・ロック・バンドの1992年に リリースされた3年振りとなる5thアルバム。音楽的には、 デジタル・スラッシュとでも言うべき、非常にユニークな インダストリアル・ロックで、前作で見せてきた スラッシュ・メタル的な手法はこの作品で完成したと言って 良いだろう。サンプリングを中心としたデジタル・サウンドで スラッシィなリフを構築している様は圧巻で、特にN.W.O、 Just One Fixでそれは結実していると言って良いだろう。攻撃的な リフとサウンドはスラッシュ・メタルのリスナーにも十分満足の 行くものだと言って良いだろう。[88]
ユーゴスラビア人ギタリストの1993年にリリースされた デビュー・ソロ・アルバム。ギタリストのソロ・アルバムと言う 事で、ギター・テクニックのあるところを存分に 見せているのだが、良くあるギタリストのマスターベーションに 終わらず、楽曲本位と言う姿勢が見えるのは好感が持てる。それ 故、ギター・インストルゥーメンタルと言えるものは、短めの 小曲が2曲だけで、他はボーカルが導入されている。ELEGYの ボーカリスト、IAN PARRY、BLACK SABBATHのボーカリスト、 TONY MARTINと言う実力派のボーカリストを迎え、ポップな ナンバーから様式美のヘヴィなナンバーまで、幅の広い音楽性を 見せてくれており、中々の好盤に仕上がっている。[84]
イタリアのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた アルバム。オランダに同名のバンドが存在するが、それとは別の バンドだ。方向的には初期QUEENSRYCHE系の プログレッシヴ・メタル・バンドだ。楽曲のレベルは並だが、 ストレートなサウンドの中にも、湿ったメロディがちらほらと見え 隠れしていてそれ程悪くない。しかし、演奏レベルには不満を 憶えるし、更に問題なのは、イタリアのバンドに散見される様に、 ALESSANDRO VEREDELLIのボーカルが非常に下手だと言う事だ。 ちょうどSUBWAYのPEACH STOCKLIに似たタイプではあるが、 それより更に下手なのはいかんともし難い。はっきり言えば プロとしてお金を取って聴かせる様なものではないし、録音状況も あまり良くないので救われない。[69]
ユーゴスラビア人ギタリストの2ndソロ・アルバム。デビュー盤が 好評を博し、アルバム・タイトルが示す通り、その続編と言う 事になるのだろうが、しかしながら何を勘違いしたのか、それとも 売れ線を狙ってみたのか実につまらない凡庸な アルバムになってしまっている。欠点をあげつらうほど悪い部分は 特にないのだが、如何せんこれと言う物も感じられない。楽曲に 関しては、随分メロディ的な部分が減退して ポップになったものの、さして面白いと言う程のものでもない。 ギター・アルバムとしても、そうでない面でも、さして取り上げる 部分がないのは残念だ。[76]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、SYMPHONY Xのギタリストの ソロ・アルバム。SYMPHONY Xの1stは一部で非常に 受けたようだが、MICHAEL ROMEOのギター・プレイを除けば 音質は悪いしさして面白いとは思えないアルバムだった。 この作品では部分部分のメロディなどはそれなりに良いが、通して 一曲の出来となるとあまり良い評価は出来ない作品だ。 だいたいこういうテクニック垂れ流しのアルバムはどういう 評価をしたものか困るが、ギター・プレイはともかく曲が 面白くないともう一度聴こうという気になれない。[77]
詳細は良く判らないが二人組の メロディック・ブラック・メタル・バンド。最近よく見る バロック調のオーケストラを導入し、それをベースにして弦楽器を 被せている。ボーカルは如何にもというヒステリックな 金切り声だが、ボーカル導入部はかなり音が厚いのでそれほど 気にならない。MORTISのようにオーケストラを延々とそれだけ 繰り返すのではなく、起伏がある程度あるし、破壊的な部分が 間を持たせていて美しいメロディを引き立てる事にある程度 成功している。この手のものでは珍しく幾分まともに 聴くことが出来るし、楽曲、演奏の出来もそれなりだ。ただ、 こういうのがどれだけ需要があるのか疑問だが。[81]
ドイツのハード・ロック・バンドのデビュー盤。ラフなのりの良い ハード・ロックで明るい楽曲が中心だが、優しく歌い上げる ロック・オペラの様なOne Day In Paradiseや、扇情的な Highlife In The Night、泣きのバラードのDown By The Quayが あったりと結構バラエティに富んでいる作品だ。メロディアスで FAIR WARNINGに通ずる部分も無きにしもあらずだが、残念ならが 全体的にプロダクションがチープだしアイデアを生かし 切っていない感じがする。サウンド・プロダクションが良くなれば かなり良いアルバムになっただろうが。[84]
カナダのハード・ロック・バンドのデビュー・ミニ・アルバム。 当初自費出版として出されたが、その後インディー・レーベルから リリースされ、黄色一色のシンプルなジャケットに 変更されているが、ジャケットに関しては元のものの方が 良かった。HEREM SCAREMのHARROLD HESSがエンジニアを 担当しているが、それ程HAREM SCAREM的な部分はなく、もっと のりの良いハード・ロックンロール的な作品だ。ボーカルの ANTHONY MARCELLOの声質はDAVE MUSTAINEに若干似ているが、 楽曲のタイプが違うのであれほど個性は強調されていない。 いかにもオーソドックスなハード・ロックで出来自体は良いが、 これといったものもない。[84]
自費出版でアルバムを出していたスウェーデンの ハード・ロック・バンド、CRASHのボーカルだったシンガーの初の ソロ・アルバム。CRASHもなかなかポップなアルバムを 作っていたが、まだまだハード・ロック然としていたのに対して、 こちらは完全にポップスと言った面持ちがある。ハードさはあまり 感じさせず、ポップかつ叙情的でメロディアスな楽曲、センスは 非常に素晴らしいと言って良いだろう。彼の声質もあってか、 全体的に甘ったるすぎる感がなくもないが、憂いに満ちた心に染み 入る流れるようなメロディが秀逸な落ち着いた作品だ。[87]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。前作と 比べるとポップさがかなり減り、むしろグルーヴィな楽曲が 増えている。前作はわりと在り来りな内容であまり印象に 残らなかったのだが、今作はパンチが効いていているし、印象的な メロディもあり、出来は中々良い。方向的にはかなりハードな作品 作りをやっているのでめりはりがある。日本盤の ボーナス・トラックであるバラードのLovely Eyesが割と 洒落ていて秀逸なのが勿体ない。陰のあるメロディは特に 素晴らしいが、それ以外が少し落ちる。方向転換は概ね 良い結果をもたらしているようだが、もう少しのりだけではなく メロディを強調した方が良かったのではないだろうか。[83]
オランダのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 自費出版の恐らくデビュー盤。同名のイタリアのバンドとは全く 無関係で、ここで聴かれる音楽性はQUEENSRYCHEのPROMISEDLANDの それである。もちろんあそこまでの完成度を自費出版で初めて レコードを出したようなバンドに求めるのは無理があると 言うものだが、QUEENSRYCHEに先駆けてこう言うものを やったということは大いに評価が出来るだろう。坦々と静の世界が 展開されて、盛り上がりには欠けるものの、ドラマティックで 非常に美しい作品だ。曲の出来も結構良いし、構成も 練られており、録音もちゃんとしているので、結構掘り出し物的な 作品だ。ROBERT VAN HARENのハイ・トーンを含めたボーカルも JEFF TATE的で中々良い味を出している。[96]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの2ndアルバム。前作の 流れを汲む、正当派的なサウンドは相変わらずだが、多少 アメリカナイズされ、聴き易い作品に仕上がっている。その分 フックは多少減って、印象が散漫になった感もなくはないが、 楽曲の完成度は上がっているのでそれほど悪い作品とは 言えないだろう。アメリカっぽいのりの良さが目立つが、 Evolution等での叙情的なメロディ・センスの素晴らしさは さすがと思わせるところがある。ギタリストが2人とも 脱退してしまい、ギタリストが新加入のGARRET MATZKOの 1本だけになってしまった事もあって、すっきりした作品 作りになっている。[82]
アメリカのインダストリアル・ロック・バンドの6thアルバム。 THE MIND IS A TERRIBLE THING TO TASTE辺りからヘヴィな ギター・リフを取り入れ、スラッシュ・メタルっぽいサウンドを 試みていたが、今作ではもっとモダン・ヘヴィネス的な色合い的な 感じを受ける作品に仕上がっている。例えば、前作で見られた N.O.W.のような疾走感溢れる楽曲はなくなり、どちらかと言えば ミドル・テンポの楽曲が中心になっているのだ。サンプリングと ヘヴィなギター・リフを併せたサウンドはオリジナリティがあり 魅力的だが、この疾走感を感じることが出来ないのが残念だ。[83]
アメリカのクリスチャン・メタル・バンド、STRYPERの 元ボーカリストによる2ndソロ・アルバム。方向的にはシンプルな ロック・アルバムで、アコースティック・ギターが前面に押し 出されている。STRYPERの様なハードな部分はほとんどないのを 不満に思う人もいるかも知れないが、楽曲のレベルは高く、 安心して聴く事が出来る作品に仕上がっている。STRYPERで 見せていたメロディ・メイカーぶりはここでも変わらず見られ、 心温まる美しいメロディが堪能出来る。STRYPER時代の Always There For Youのアコースティック・バージョンも 中々のものだ。[85]
スウェーデン人ボーカリストの2ndソロ・アルバム。 デビュー盤ではハード・ポップ・アルバムとしてかなり高い評価を 受けたが、今作ではより軽いサウンドのポップ・アルバムに 仕上がっている。楽曲はどことなく明るくなりきれない、湿り気を 帯びた、北欧らしい暗さがある。かつて彼はCRASHと言う ハード・ロック・バンドのメンバーとして、自費出版でアルバムを 一枚リリースしているが、このアルバムで数少ないハードな 曲のうち、Hot ShoesにCRASH時代のAnginaの面影が伺える。 軽すぎると言う印象はどうしても拭えない作品なのだが、彼の甘い ボーカルにはむしろあっているかも知れない。[80]
STEELER、TALAS、WAYSTED、MSG等を渡り歩いたアメリカ人 ギタリストのソロ・アルバム。方向的には、いわゆる ギター・インストゥルーメンタルと言うやつで、曲名の中に GARY MOORE、JEFF BECK、PAT THRALLといった名前を織り 込んだりしていて、彼が音楽的に受けた影響が見えて来る。 テクニックはもちろんだが、寧ろエモーショナルで情感溢れる、 表現力豊かなギター・プレイの方が注目されるだろう。 Mediterranean Mosaic等、派手さはない曲でも美しいメロディは 十分堪能出来る作品となっている。[81]
カナダ人ブルーズ・ロック・シンガーの11年振りとなるアルバム。 音楽的には土臭いキャッチーなアメリカン・ロック作品で、 洒落ていてCandylandを始め、楽曲にはセンスの良さを 感じさせられる。全体的に渇いた感じで、楽曲に関しては非常に ポップだが、ギター・サウンドはときにより、結構ハードさを 見せている。これと言った楽曲がないのが残念だが、内容に 関してはまさしくアメリカ南部風のイメージで、全体的な出来は 良い方だ。しかし、ジャケットのセンスの悪さはもう少し 何とかならなかったのだろうか。[80]
元HELLOWEENのボーカリストによる1stソロ・アルバム。方向的には HELLOWEENとは少し違い、幅広い音楽性を見せている。 ドラマティックなヘヴィ・メタル・ナンバーからしっとりと 落ち着いたアダルトなバラードまで多用だが、全体的に キャッチーな歌メロを持っていて聴き易いが、全ての曲が良い 曲だとも思わないし、HELLOWEENを期待する人には尚更期待を 裏切ることになるだろう。ヘヴィな曲はともかく、全体的には ヘヴィ・メタル色はそんなに強くない。歌の旨さはさすがだし、 HELLOWEENから脱退して3年、その間の平穏さがもたらしたのか、 実にリラックスした感を与える。[86]
UFOを再び脱退した、ドイツ人ギタリスト、MICHAEL SCHENKER 率いるハード・ロック・バンドの復活第一弾となるアルバム。 ボーカリストに、アルバム一枚で解散してしまったスウェーデンの GREAT KING RATのLEIF SUNDINを迎えているが、実力的には申し 分なく、今までのボーカリストとはタイプが違いソウルフルな 歌声で、バンドとして新味を加えている。全体的に明るいが泣きの メロディがそこかしこにあり、いかにもMICHAEL SCHENKERらしい 部分がある。非常にリラックスした雰囲気があり、緊迫感は 感じられないが、悪くない作品だ。[82]
OBSESSION、日本のLOUDNESSといったバンドで活躍し、現在は YNGWIE MALMSTEENと共に活動しているアメリカ人ボーカリストの ソロ・プロジェクト。Say A PrayerとWords Unspokenに YNGWIE MALMSTEENやDOUG ALDRICHやAL PETRELLIが 参加していることを除いてバック・メンバーにはそれほど派手に 活躍した人はいないが、決してその出来は悪くない。コーラスを 多用してオペラティックに聴かせる曲もあるが、 ハード・ロックらしい楽曲が並び、全体的に中々良い出来だ。 ホーンを取り入れたりと色々チャレンジしているが、そういう 部分にのみ囚われず、エモーショナルでパワーのあるアルバムに 仕上がっている。[85]
アメリカの叙情派ハード・ロック・バンドEYEWITNESSの ギタリスト、RALF SANTOLLAの サイド・プロジェクト・バンドによる1stアルバム。EYEWITNESSの デビュー盤は、非常に哀愁味を持ったメロディの叙情派 ハード・ロックで、興味引くところが大きかったが、2ndでは ダークな方向へと転身して期待を大きく裏切ってくれた。 このアルバムはEYEWITNESSのデビュー前の曲からなっており、 そういった意味ではEYEWITNESSの1stにまだ近いのだが、 叙情的ではあるものの、哀愁はそれ程強くなく、よりポップな サウンドになっている。故に、その分当たり障りのなさを 感じるし、実際の評価は次のアルバムになるのだろう。少なくとも EYEWITNESSの2ndよりはましだが。[81]
元MADISON、ALIEN、BEWARP等を渡り歩いたスウェーデン人 ボーカリストPETE SANDBERG率いる北欧ヘヴィ・メタル・バンドの 1stアルバム。いわゆるネオ・クラシカル風の叙情的な ヘヴィ・メタルだが、キャッチーな哀愁のメロディは良く 出来ていて、楽曲によるがPETE SANDBERGの扇情的なボーカルが 結構マッチしている。CHRIS PALMのギターもそれに合わせた様な 情感豊かなプレイで、生々しい作りの中々良く出来た作品だ。 この生々しさがややあざとく感じられない訳でもないが、 JADED HEARTをよりヘヴィで扇情的にしたようなBLACK NIGHT等 楽曲も良く出来ている。[87]
スウェーデン人ボーカリストの3rdソロ・アルバム。かつてCRASHと 言うハード・ロック・バンドでキーボードも兼任していた人物だ。 方向的には2ndアルバムと同一線上のアコースティック色の強い ポップ・アルバムだが、楽曲は全体的にどことなく気だるさを 湛えるようになっている。その分より地味な作品になったと言う 感があるのだが、メロディ・センスは相変わらず変る事はなく、 さすがと思わせるアルバムに仕上がっている。哀愁味のある 叙情的なメロディは楽曲によっては減退した感があるし、もう少し アップ・テンポの楽曲があっても良いと思うが、出来としては 決して悪いものではない。[81]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。 哀愁を漂わせた非常に扇情的なメロディだが、これが民族音楽的で 非常に印象的だ。吐き捨てるようなデス・ボイスは今一つ 聴きがたい感もあるが、このメロディだけでも十分価値がある。 これに男女の混声によるクラシック風のコーラスも荘厳さを 醸し出しており、これまでのメロディック・デス・メタルとはまた 一線を画した素晴らしい作品に仕上がっている。メロディ自体も 斬新と言う感じは受けないが、これまでの メロディック・デス・メタルには見られないユニークかつ 素晴らしいものだ。北欧らしい哀愁があり、クラシックと 民族音楽が融合したようなその音楽観が良い。[88]
ドイツ人ギタリストMICHAEL SCHENKER率いる ハード・ロック・バンドの来日公演を収めたもの。30曲全てを 収めたファン・クラブ盤と28曲のフランス盤が存在する。 MICHAEL SCHENKERのこれまでの活動を全時代的に網羅した ライヴで、SCORPIONSのデビュー盤から In Search Of The Peace Of Mindまでやっている。ボーカリストは 二人いて、DAVID VAN LANDINGが中心に歌っているのだが、 どうせなら元GREAT KING RATのLEIF SUNDINにもっと歌って 欲しかったところだ。こうして聞くと本当に佳曲がずらっと 並んでいる感じで壮観だし、MICHAEL SCHENKERのギター・プレイも 思いのほか充実している感じがする。[88]
元WHITE LIONのデンマーク人ボーカリストによる初の ソロ・アルバム。FREAK OF NATUREのKENNY KORADE等が 参加していることもあって、ややFREAK OF NATUREっぽさを 感じない訳でもないが、FREAK OF NATUREの様なグランジっぽさは 無く、メロディなどはむしろWHITE LION的な色合いが強いと言って 良いだろう。どことなくわびしさを感じるキャッチーなメロディは いかにも彼らしい作品であり、へたうま的な彼の独特の歌唱が 大いに生きている。全体的にアコースティック・ギターや ハモンド・オルガンを導入し、WHITE LIONの様なヘヴィ・メタル 然とした所はなく、アメリカン・ロック的な面持ちのある作品に 仕上がっている。メロディの出来も良いし、彼の独特の雰囲気を 楽しめる人にはお奨めだ。[85]
フランスのプログレッシヴ/ゴシック/デス・メタル・バンドの 4thアルバム。IN FLAMESのJESPER STROMBLADとANDERS FRIDENが 参加している。ELENDのANDERS FRIDENもサポートしているが、 ELENDの様なシンフォニック的な色合いは全くないので、 シンフォニック・ゴシック系が嫌いな人にも安心だ。ときには クラシック的なフレーズを入れたり、ときには ジャズ・ロック風になったり、シアトリカル、ブルータルにと あまりの激烈な展開は壮絶の一語に尽きる。 S.A.S DE L'ARGILLEREはデス・ボイスとクリア・ボイスを使い 分けているが、割と聴きやすいし、うまく使い分けている。 演奏面でもこれだけ難解な事をやるだけのテクニックを各自とも 持っており、ソロ・パート等も圧巻だ。特にベースの JEAN JAEGUES MOREACは超怒級と言っても良いくらいの テクニックがある。これだけの事をやっているので、ゴシックの 耽美さとなるとやや希薄なのだが、楽曲の出来、構成の複雑さ、 演奏とも他の追随を許さない超一級品だ。[91]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの4年振りとなる3rd アルバム。前作まではかなりポップさがあったが、この4年間に どういった心境の変化があったのか、かなりパワフルな正統派 ヘヴィ・メタルへと変心している。これがかなりフックがあって、 楽曲によってはDEEP PURPLEやRAINBOWっぽいところもあって、 ハモンド・オルガンが大幅に挿入されていたりでそう言った感が 尚更強く感じる。サウンド的にはパワー・メタルと言って良い程 音が厚くなっており、これまでのファンからするとうるさすぎると 感じるかもしれない。楽曲の出来自体は悪くないし、エナジー 溢れる作品で、方向転換があながち悪い結果になっていないと 思う。[84]
元MADISON、ALIEN、SNAKE CHAMER、BEWARPのボーカリスト PETE SANDBERG率いるスウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの 2ndアルバム。前作も確かに悪い作品ではなかったが、今作では 遥かにレベル・アップしている。特に北欧らしい哀愁に満ちた メロディが随所に出てくる様になったが、これが非常に美しく、 素晴らしい事が一番大きい。扇情的に迫ってくる哀愁のメロディは 心に迫ってくるものがある。Don't Get Me Wrong等で見られる プロダクションの妙もこのアルバムの価値を大きく上げていると 言って良いだろう。こういったアイデアが功を奏して、在り 来たりの北欧メタルと言ったところから抜け出している。楽曲の 出来も素晴らしく、生々しい演奏も良い結果になっている。北欧 メタルの傑作の一枚と言えるだけの作品に仕上がっていて、非常に 美しい、哀愁を感じさせてくれるアルバムだ。 Don't Get Me Wrongを始めI Belive等名曲が目白押しで、哀愁の 北欧メタルが好きならば聴いて決して損はしないだろう。[94]
スウェーデンのヴァイキング・メタル・バンドの2ndアルバム。 方向的にはアップ・テンポのパワー・メタル型 メロディック・デス・メタルに大仰なキーボードとヴァイキングの 歌声を思わせるようなコーラスが配されているところが一風 変っている。ジャーマン・パワー・メタル風のギター・ソロや ブラック・メタル風のブラスト・ビートを交えた攻撃的な メロディは、目新しさはないが、良く出来ている。特に Under The Bannerのギター・メロディ等は非常に面白い。 RICHARD MARTINSSONのボーカルはスクリーミングに近い スタイルで、楽曲演奏の出来も中々のもので、より パワー・メタルに近いブラック・メタルが好きならば 結構いけるはずだ。[85]
スウェーデンの ミクスチャー/インダストリアル/スラッシュ・メタル・バンドの 1994年にリリースされたデビュー盤。ボーカリストと プログラマーの二人組みのバンドで、楽曲によってはMINISTRY等の 様なインダストリアル/スラッシュ的なイメージも受けるが、 ヘヴィネス的なエッセンスもあり、かなりユニークな作品だと 言って良いだろう。ボーカルは非常にクールなクリア・ボイスと 狂気を伴ったような強力なシャウトによる対比を見せており、中々 面白い。狂暴さと渾然一体となった、非常にグルーヴィでのりの 良いサウンドは不思議な味わいがあって聴きごたえのある作品に 仕上がっている。[85]
アメリカのクリスチャン・メタル・バンド、STRYPERの元 ボーカリストによる3枚目のソロ・アルバム。これまでは彼らしい キャッチーなロック・アルバムを作ってきたが、ここでは大きな 路線変更が見受けられる。いきなりオルタナティヴ・ロック風の Truthで始まると、ボーカル・スタイルもそれに 合わせたようなものになってしまっており、驚かされてしまう。 ただ、彼らしいメロディ・センスが全く皆無と言う訳でもないし、 Blue Bleeds Through等の甘いメロディにはゾクゾクと 来るものがある。One、Rain、Stoneと言った彼らしい 楽曲もあるので、これまでの彼を期待しても、全く外すと言う 訳ではないが、それだけを期待するならば少し趣向が違う。 作品的にやや統一性が欠けるのと、楽曲の出来に波があるのが 残念だ。[82]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。正統派と言う 印象の強かったこれまでの作品と比べると、明らかに DREAM THEATERを意識した作品に苦笑させられる。特に MARIO LE MOLEのJAMES LaBRIEを意識したボーカル・スタイルが そう言った感をより強めている。特に動から静へと映る展開と ボーカルはそのままと言っても良いだろう。それを除けば、楽曲の 出来も、演奏も素晴らしく、彼等のセンスの良さが良く出ている アルバムに仕上がっていて悪くない。TOTOの St George And The Dragonをカバーしているが、割とオリジナルに 忠実なものになっている。[84]
元UFOのドイツ人ギタリスト率いるヘヴィ・メタル・バンドの復活 アルバム。日本公演での事件には、皆呆れて今更彼に 期待するものもあまりいないのではないかと言う様な気もするが、 意外とまともなアルバムを作ったなと言う印象を受ける。 MICHAEL SCHENKERらしいギターも聴けて、これはこれで 悪くないのだが、その一方で非常に地味な 作品になってしまっている。哀愁の泣きのバラード、 Forever And Moreを始め、楽曲の出来も決して悪くないのだが、 折角のKELLY KEELINGのボーカルに合っていないのだ。煮え 切らないまま最後まで行ってしまうので、聴いていて少し 歯がゆい。[78]
元HELLOWEENのドイツ人ボーカリストによる2ndソロ・アルバム。 方向的には、これまでの彼の経歴から全く離れた作品だと言って 良いだろう。ポップでキャッチーなメロディの軽い ロック・アルバムで、Could Cry等は中々ユニークな楽曲だと 思う。全体的に悪い作品ではないが、取りたててこれと言う程の 楽曲もなくて、今一つ平凡な作品で終わっている。歌い方もまだ こう言った楽曲を歌い慣れていないと言う印象を受けて すっきりしない。もう少しあっさりとした歌い方が出来れば、 また違った印象を受けたのだろうが。ファンの期待から外れてこう 言う作品を作った割には不満の残るアルバムだ。[75]
アメリカのモダン・ヘヴィネス・バンドの2ndアルバム。この 手のものとしては、最もメロディを強く打ち出しており、 RODDY JANEのボーカルもそれを意識してか、クリアな歌い 方になっている。バックの演奏を除けば、全体的にグランジ的で、 モダン・ヘヴィネスをバックにグランジをやっているような印象を 受ける。割とキャッチーなメロディが奇妙に合っていて、新鮮さが 感じられる作品だ。楽曲はそれなりで、取りたててどうこう言う 程でもないが、出来自体は決して悪くない。クリアな ボーカルのために、灰汁のなさが災いしており、それを補うような インパクトが楽曲に今一つ感じられないのが残念だ。[80]
アメリカのインダストリアル・バンドのアルバム。この 手のものとしては、リフを重視した、最もスラッシュ・メタル的な サウンドで、ヘヴィ・メタルのリスナーにも良く知られている バンドだ。ΚΕΦΑΠΗΞΘの頃に比べると、その方向性は スラッシュ・メタルに的なものに限らず、もっと 拡散されたものになって来ている。NURSING HOMEを始め、 スペイシーでダークで陰鬱な楽曲が増えている事が特徴的だ。 その分、ヘヴィ・メタル的な素要は希薄になっているが、 ノイジーでメタル方面のリスナーにも聴ける要素はなくはない。 [80]
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた アルバム。女性ボーカルを擁した、扇情的なヘヴィ・メタルで、 フックのある楽曲の出来が非常に素晴らしい。その後TINDRUMにも 在籍したTOVEの力強い透ったボーカルが、非常に美しく、楽曲にも 映えているし、情感も良く出ていて、女性ボーカルとしては トップ・クラスと言って良いだろう。扇情的な メロディアス・ヘヴィ・メタルが好きならば聴いてみて損はないと 言える位、楽曲の出来は良いし、ボーカルも素晴らしい。 北欧らしい愁いを帯びたメロディは、十分耳を引き付けるだけ 出来だし、隠れた名盤と言えるだけのアルバムだ。[89]
元UFOのドイツ人ギタリストによる1993年にリリースされた アコースティック・アルバム。元々はファン・クラブのみで リリースされたもので、1998年にはオーケストラ付きの編集盤も 出されたが、これはオリジナルのオーケストラなしのものだ。 M.S.GがMcAULEY SCHENKER GROUPになり、楽曲のクオリティも急激に 下がっていった彼だが、ここではまだ、彼らしいメロディと ギター・プレイが聴かれる。Escape From The Boxでは詩の朗読が 入るが、どうせなら一層の事、全曲 アコースティック・ギター・インストルゥーメンタルにしても 良かったと思う。[85]
スウェーデンのバイキング・メタル・バンドの3rdアルバム。 方向的には、いわゆるメロディック・ブラック・メタルと言った 感じのもので、バック自体はジャーマン・パワー・メタル等にも 通ずるものがある。しかし、その中にも、北欧的な牧歌的 メロディを取り込んでおり、単なるコピーに終わっていないのは 好感が持てる。勇壮でドラマティックなサウンドは、特に コラースを始め、如何にもバイキング・メタルらしく、扇情的で 中々聴きごたえがある。RICKARD MARTINSSONの吐き捨てるような デス・ボイスも特に悪くはない。ベタベタで、臭さも感じるが、 楽曲の出来は悪くないし、オリジナリティも感じられて良い 作品だ。[83]
フランスの プログレッシヴ/ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの アルバム。前作ではよりメロディック・デス・メタルとしての 完成度を高め、そのアバンギャルドでプログレッシヴな曲展開と、 ゴシック・メタル的な荘厳さが渾然とした様は見事としか言い 様がなかったが、今作ではより メロディック・デス・メタルとしての方向性を強く押し 出している。そのため、ある意味では非常に聴き易い作品には 仕上がっているが、逆に前作であったインパクトがあまり 感じられない作品だ。決してプログレッシヴな部分が無くなった 訳ではないが、あの変態的な部分が引っ込んでしまったのは何とも 残念だ。JEAN JAEGUES MOREACの怒級のベース・プレイも前作と 比べると控えめで、今一つ物足りない。とは言っても、前作の 出来が飛び抜けていた訳で、このアルバムの出来も中々 良いのだが。[84]
ユーゴスラビア人ギタリストの4年振りの3rdソロ・アルバム。 ボーカルは今作ではMARTY SMITHなる無名のボーカリストが 担当しているが、エナジーに満ちていて情感豊かで中々良い シンガーだ。方向的には、キャッチーな アメリカン・ハード・ロックを中心に、しみじみと歌い上げる 楽曲まで、割と幅広くこなしている。これまでの作品と比べると、 よりアメリカナイズされた様に感じられる。Say My Name等は 中々良く出来たバラードで、実に味わい深い 仕上がりになっている。何か勘違いしたのではないかと思わせる 前作に比べれば、随分と良くなった。[80]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。元THRESHOLDの GLYNN MORGANがボーカリストとギタリストを兼任し、リズム隊が 脇を固めると言うシンプルな編成のバンドだ。方向的には THRESHOLDと違って、CONSEPTION的な プログレッシヴ・ヘヴィ・メタルと言う雰囲気があって、かなり 重苦しい雰囲気の漂うサウンドをやっている。GLYNN MORGANの 冷たい感じのするボーカルが、より一層そう言った感じをさせる。 ただ、よりヘヴィでテンポが良く、聴き易いのだが、その一方で、 アルバム全体で変化に乏しく、一本調子と言う 感じもしなくはない。クールでヘヴィなサウンドは、 オリジナリティがあるだけに、少し残念だ。[80]
アメリカのハード・コア・パンク・バンドの復活第2弾となる 4thアルバム。かつてDANZIGのGLENN DANZIGが在籍し、METALLICAが GARZGE INC.でカバーした事で、メタル系のリスナーにも良く 知られているバンドだ。方向的には、GLENN DANZIGが在籍していた 頃の、ゴシック・ロック的なエッセンスを持った、キャッチーな メロディのメロコア的な作風をそのまま維持している。楽曲の 出来は、昔と変らず良いし、GLENN DANZIGが楽曲を書いていないと 言う事はそれ程マイナスになっていない。ジャケットの厳つさとは 裏腹に、テンポが良く、憶え易いポップな作品だ。[82]
ドイツのプログレッシヴ・メタル・バンドの1997年に リリースされたデビュー盤。方向的には、DREAM THEATER等より 更にメタル的なニュアンスの強いもので、かなりエッヂのたった サウンドのアルバムに仕上がっている。JORG PIRONのボーカルは、 特別上手いといった所はないのだが、ある程度ハイ・トーンも 出るし、無理のないボーカル・ラインでそれなりに聴ける。演奏、 プロダクションに関しても全く同じで、特別凄いと言う感じは 全くしないが、無難な感じの作品ではある。それ故に面白味も 今一つで、強く訴えかけて来る部分がないのは残念だ。[78]
アメリカのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。EYEWITNESSの ギタリスト、RALPH SANTOLLAを中心とするバンドで、ボーカルの J.TODD PLANT、ドラマーのOLIVER HANSONもEYEWITNESSの メンバーだ。初期EYEWITNESSに通ずる様な、キャッチーな メロディの哀愁味たっぷりのアメリカン・ハード・ロックだ。 とにかくメロディ・センスの素晴らしさは群を抜いており、実に 美しい作品に仕上がっている。その完成度は、EYEWITNESSの デビュー盤を遥かに上回っており、PRAYING MANTIS等が好きな 人は、聴いて決して損はないだろう。愁いを帯びた伸びやかな J.TODD PLANTのボーカルやコーラスを始め、演奏的にも十分満足 出来るし、プロダクションも良く出来ていて、傑作と言って良い アルバムに仕上がっている。[90]
フィンランドの伝説的なハード・ロックンロール・バンド、 HANOI ROCKSの元ボーカリストによる3年振りの 3rdソロ・アルバム。JERUSALEM SLIM、DEMOLITION 23とバンド 形態の活動は上手く行かず、結局ソロでの活動と言う 形になっている。彼のHANOI ROCKS後のアルバムというのは、 方向的には破天荒なハード・ロックンロールなのだが、 HANOI ROCKSのそれとはやや異なり、HANOI ROCKSの持つ キャッチーさ、パンキッシュさはそれ程感じられない。それはこの アルバムでも変る事はなく、HANOI ROCKSのサウンドは彼と ANDY McCOYがいればこそだったのだなと言う感慨を受ける。 彼らしいワイルドで破天荒なボーカルが聴ける一方で、もう少し 楽曲に魅力が欲しいところだ。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、ARCH RIVALの ギタリストによる3rdソロ・アルバム。いわゆる ギター・インストルーメンタルと言うやつで、あくまでもバンドと 言う形態で、楽曲を強く押しだしていたARCH RIVALとは、全く 毛色が違う作品だと言って良いだろう。方向的には ネオ・クラシカル風なのだが、フュージョン的な要素がかなり強く 出ており、哀愁を感じさせるメロディと言う部分はなく、かなり 流麗さを感じさせるアルバムに仕上がっている。楽曲的な出来は 悪くないが、あくまでもギター・インストルーメンタルと言う 範疇を出るものではなく、楽曲単位で楽しめるかどうかは疑問だ。 [79]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。北欧の 叙情派メロディアス・ヘヴィ・メタルで、方向的な路線は これまでと全く変りはない。JONAS REINGOLDが書き上げる楽曲と、 PETE SANDBERGのボーカルのマッチングは絶妙のコンビだと言って 良い。哀愁感漂う、非常に美しいメロディの楽曲に、 PETE SANDBERGが情感豊かに歌い上げる様は素晴らしいの一言に 尽きる。楽曲によって多少出来に波がある事はあるが、どの曲も 一定のレベルをクリアしているし、質の高い アルバムであることには変わりない。名曲と言える、Nemesisを 始め、Conqueror、King Of Broken Hearts、You And I等、佳曲が 目白押しだ。アルバム後半は、やや失速する感も 無きにしもあらずだが、叙情派北欧メタルが好きならばお奨め 出来る。EUROPEのSeven Doors Hotelをカバーしている辺りは 御愛敬と言った感じだが、悪くない。[90]
ドイツ人ギタリスト、MICHAEL SCHENKER率いる ハード・ロック・バンドの2枚組みライヴ盤。今年アメリカで 行われた最新のライヴの模様を収めたものだ。最新のライヴと 言っても、演奏されている楽曲はUFO、M.S.G.初期の楽曲が多く、 楽曲的には馴染み易いはずだ。しかし、淡々と進んで行く様な ライヴで、特に1枚目の後半まで熱くなるものが全くない。 ボーカルはSTEELHOUSE LANEのKEITH SLACKと元BATON ROUGE、 BLUE MURDERのKELLY KEELINGが取っており、KELLY KEELINGに 交代して馴染みのOn And On、Attack Of The Mad Axemanが出て 来た辺りでやっと盛り上がって来たと言う感じだ。これならば、 1枚目の大半をカットしてしまって、1枚にまとめてしまった方が 良かっただろう。[77]
スウェーデンのバイキング・メタル・バンドの1996年に リリースされたデビュー盤。リマスターされて ボーナス・トラックが付けられて日本盤がリリースされた。既に バンド自体は解散してしまっているが、まさに バイキング・メタルの雄と言うに相応しい勇壮な作品に 仕上がっている。音楽性自体はメロディック・デス・メタルと 言って良いものだが、独特の哀愁を感じさせるキーボードが自らの スタイルを確立させている。ボーナス・トラックの As Brothers Now BondedとIn The Bower Of Shadowsは、どう言う 経緯で制作されたのか判らないが、クリア・ボイス中心でより 哀愁味をました仕上がりで、中々面白い。[83]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。 中心人物である、ギタリストのVICTOR SMOLSKIがRAGEに 加入したため、その先行きが危ぶまれたが、取りあえずRAGEと 平行して活動していく様だ。方向的には前作の延長線上と 言えるもので、プログレッシヴ・メタルやパワー・メタル的な 要素を持った叙情的なヘヴィ・メタルだ。楽曲の完成度は 上がっているし、コーラスの多用も中々良い感じだ。 MARIO LE MOLEのボーカルはややパンチが足りなくてひ弱な 感じがするのは残念だが、エッヂのたった中々良い作品で、 これまでで一番出来が良い。[85]
スウェーデンのヴァイキング・メタル・バンドの1997年に リリースされた2ndアルバムにボーナス・トラックを付けて リリースされた日本盤。前作も同様にボーナス・トラックを付けて リリースされたが、あちらはクリア・ボイス中心の、この バンドとしては普段聴かれないタイプのものであったのに対して、 こちらはその対極にある様な、ブラック・メタル 然としたものになっている。特にRAGNAROK等はかなり速く、ある 意味やはり普段聴かれない様なもので、本編に入らなかったのも 頷けるところだ。ヴァイキング・メタル独特の叙情性と言う部分は やや希薄だし、既に輸入盤で持っているなら ボーナス・トラックのためにと言うのはちょっと弱いところだ。 [83]
ドイツ人ギタリストの初のソロ・アルバム。自らのバンド、 MICHAEL SCHENKER GROUP名義ではなく、わざわざ個人名義で出して 来ただけあって、バンド名義の作品と少々趣の違う 作品となっている。ギター・インストルゥーメンタルばかりと言う 構成になっているが、Into The ArenaやCaptain Nemoと言った、 これまでの彼のギター・インストルゥーメンタル・ナンバーとも 違って、軽めでややフュージョンっぽいファンキーな作品で、 JOE SATRIANIがやりそうなフレーズなんかも多い。ところどころ 叙情的で愁いのあるメロディが差し挟まれており、彼らしさも 感じる事は出来る。[81]
アメリカのクリスチャン・メタル・バンド、STRYPERの 元ボーカリストの未発表音源集ミニ・アルバム。ソロ・アルバムを リリースするよりも前の、1992年に録音された音源で、 ソロとしては最も古い音源だろう。STRYPERがアップ・テンポの 叙情的なメロディのヘヴィ・メタルであったのに対して、こちらは ミドル・テンポの陽気なアメリカン・ハード・ロックと 言ったところだろう。明らかにSTRYPERとは毛色の 違ったことをやろうとした事が伺えるが、それでもAll I Wanna Do 等にはSTRYPERの名残が若干伺える。STRYPERを期待するなら 外すだろうが、彼の甘いボーカルは変らず聴ける。[78]
アメリカ人シンガー・ソング・ライターの9年振りとなる 3rdアルバム。方向的にはメロディアスなハード・ポップと言った 感じの作品で、DEF LEPPARDっぽさが結構感じられる。歌い 方によっては、如何にもJOE ELIOTTっぽいハスキーなボーカルを 聴かせてくれるので、That's The WayやBlood等、DEF LEPPARDの 未発表曲と言っても通じそうな感じがする。爽快でキャッチーな メロディは良く出来ているし、DEF LEPPARDが好きなら 聴いてみても悪くないだろう。リズム・マシーンを使ってるのが 少し気になるが、楽曲の出来も含めて中々悪くない作品だ。[83]
アメリカのハード・コア・バンドの1999年にリリースされた恐らく 自費出版によるミニ・アルバム。MISFITSとMOTORHEADが好きだと 言うだけあって、パンキッシュで勢いのある ハード・ロックンロールを聴かせてくれている。全体的にダークな 雰囲気があるが、メロディは意外にキャッチーに感じられる 部分があって、まずまず聴き易いと言ったところだ。しかし、 プロダクションはデモ・レベルで、楽曲の出来も今一歩と言う 感じがあり、お世辞にも良い出来とは言い難い。少なくとも プロダクションが何とかならないと楽曲も生きてこないだろう。 [62]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1999年にリリースされた デビュー盤のプロモーション用CD。ミニ・アルバムであった ハード・コア的な色合いはかなり薄くなっており、ダークで メランコリックなものとなっている。どことなくシアトル系っぽい 感じのする作品で、そこに元からあったハード・コア的なリフが ベースにあって、テンポの良いアルバムに仕上がっている。 冷めている様で、妙な熱っぽさを感じさせてくれる作品で、 手放しで誉めれる訳ではないが、単なるハード・コアの 出来損ないと言う感じだったミニ・アルバムよりは プロダクションもオリジナリティも出来も遥かに良い。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・プロジェクトの3rdアルバム。 EYEWITNESSのギタリスト、RALPH SANTOLLAを中心とする プロジェクトで、初期EYEWITNESS的な路線を目指して 始められたが、今作でも叙情的なヘヴィ・メタルを 聴かせてくれている。ボーカリストのJ.TODD PLANTがバンドから 離れ、新たに元VAGABOND、THE SNAKES、MUNDANUS IMPERIUM、ARKの JORN LANDEがボーカルを取っている。哀愁味たっぷりの サウンドだったこれまでの作品と比べると、楽曲によってはやや 爽やかさが感じられるが、RALPH SANTOLLAのメロディ・センスの 良さは変る事はない。[86]
フランスのメロディック・デス・メタル・バンドの3枚組み ボックス・セット。1999年にリリースされたアルバム、 LIBERTINE HUMILIATIONSのピクチャー盤、1999年に行われた ツアーの模様を収めたライヴ盤、LIVE BOOTLEG、1994年から 1999年までに録音された未発表音源集、OEUVRES INTERDITESの3 作からなっている。方向的には、プログレッシヴ・ロック、 ゴシック・メタル、ジャズ、メロディック・デス・メタル等の 様々な音楽を融合させた独特のスタイルを身上としているが、 最近はよりメロディック・デス・メタル的な色合いが 強くなっており、それはLIBERTINE HUMILIATIONSにも良く 現れている。LIBERTINE HUMILIATIONSは既発作品なので、ここで 注目されるのはLIVE BOOTLEGとOEUVRES INTERDITESだが、 LIVE BOOTLEGは演奏や音質は悪くないものの、録音した位置の 問題であまり良い出来とは言い難い。OEUVRES INTERDITESも マニア向けと言った内容であくまでもファン向けのマテリアルと 言ったところだろう。[76]
アメリカのクリスチャン・メタル・バンド、STRYPERの元 ボーカリストによる4枚目のソロ・アルバム。既に輸入盤で同名の 3rdアルバムがリリースされていたが、この作品では 手直しされたものだ。前作に対して、2曲外され、新たに4曲追加 収録されている。元々が、それまでのメロディアス・ロックから かなりオルタナティヴ・ロック的な色合いの強い楽曲が目立つ 様になったが、それはここでもあまり変わりはない。特に 新曲であるSave MeとThe Ever Afterがモダンでヘヴィな 感じだったりするので尚更だ。とは言え、Blue Bleeds Throughや アコースティック・バラードのTomorrow等、良い楽曲もあるのは 確かで、彼らしい叙情的なメロディは十分感じる事が出来る。[84]
フランスのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの 恐らくデビュー盤。LUDOVICのデス・ボイス及びクリア・ボイスと ALEXANDRAのソプラノによる、この手のバンドでは良く見られる ツイン・ボーカルの構成になっている。キーボードを多用した、 メランコリックな楽曲からなっているが、同様の他のバンドと 比べると、意外とメタリックでエッヂの効いたギターを前面に 押し出しており、シンフォニックで陰鬱なだけと言った 感じになっていないのは好感が持てる。ALEXANDRAのソプラノは 儚さを感じさせるもので、線は細く感じるものの幽玄で美しい。 そんなに露出が多い訳ではないが、LUDOVICのクリア・ボイスは 野太く、TRISTITIA的な感じがするところは好き嫌いが 分かれるだろう。[82]
アメリカ人シンガー・ソング・ライターの6年振りとなる 3rdアルバム。方向的には産業ロック系のアメリカン・ロックで、 叙情的で爽やかなメロディのロックを聴かせてくれている。 SAMMY HAGAR脱退時に、VAN HALENのボーカリストとして候補にも 上がったらしいが、声質にはエモーショナルだがそれ程 パワフルさは感じられない。むしろこう言ったややハード目な ロック作品にあったボーカリストと言って良いだろう。飛び抜けた 楽曲はないが、ややCHEAP TRICKっぽさを感じさせる楽曲で、 メロディの質は高いレベルで安定していて安心して 聴いていられる。[81]
ドイツのハード・ロック・バンドのアルバム。UFO、 MICHAEL SCHENKER GROUP初期と、その類稀なるギター・プレイと 名曲の数々を世に送り出して来たが、1980年代後半以降、その 失速振りは甚だしかった。この作品ではNo Turning Backで幕を 開けた時、一瞬その輝きを取り戻したかの様に思えたが、それに 続く楽曲はそれなりに平凡の楽曲が並んでいる。ミドル・テンポで めりはりの効いた楽曲は決して悪くないが、目新しさもない。 CHRIS LOGANのボーカルは決して上手いと言う程でもないが、 ソウルフルで聴き応えがあり、それなりに味を出している。[79]
ドイツ人ギタリストのソロ・アルバム。UFOやMSG初期以降、 今一つ精細の感じられない彼だが、この作品は久々に昔の彼を取り 戻した様に感じられる。音楽的にはいわゆる ギター・インストルゥーメンタルなのだが、憂いを帯びた メロディが随所に見られる。まさしくファンが望んだのはこう言う 憂いと叙情性だと思うが、全体的な出来を考えると、 プロダクションはお世辞にも良くないし、残念ながら手放しで 喜べる作品ではないのも確かだ。とは言え、彼らしい ギター・プレイも随所に見られ、最近の彼の作品としては最も 納得の行く作品だろう。[82]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。 中心人物であったボーカリストのPETE SANDBERGが脱退し、 一枚岩と思われたPETE SANDBERGとJONAS REINGOLDのコンビが あっさり崩壊し、今作より元TALISMANのドラマーだった、 JEKYLL & HYDEのJAKOB SAMUELが加入している。この作品を 聴けば、PETE SANDBERGの脱退した理由は明白で、 PETE SANDBERG'S JADEが旧来のMIDNIGHT SUNに近い サウンドであったのに対して、この作品はかなり思い切った方向 転換を試みていると言って良い内容で、PETE SANDBERGがその 変化を良しとしなかったのだろう。この作品ではかなりヘヴィで メタリックな作品に仕上がっており、前作までのキャッチーさを 求めるファンにはやや不満が残るところかも知れない。とは言え、 JAKOB SAMUELのボーカルもその音楽性に合わせてハイ・トーンの シャウトを中心にしたものとなっており、モダンでパワフルな ヘヴィ・メタル作品に仕上がっていて、中々格好の良い出来だ。 [84]
元WHITE LIONのデンマーク人ボーカリストによる2001年に リリースされた4年振りの2ndソロ・アルバム。そのタイトルが示す 通り、WHITE LION時代の楽曲を録音し直したものだ。その内容と、 タイトルを見て、昔のメンバーは彼一人しか居ないにも関わらず、 WHITE LION名義で1999年にリリースされた同名のアルバムを思い 出すかだろう。権利関係の問題でそうしたのか判らないが、実際 そのアルバムを彼のソロ名義でリリースし直したもので、既に そちらを持っている人には全く必要のないものだ。選曲的にも 納得の行くものではないし、ジャケット、名義が違うだけの コレクターズ・アイテムでしかない。[76]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りとなる 4thアルバム。前作ではハモンド・オルガンを導入した、 オーソドックスなハード・ロックへ大きく音楽性を 変化させていたが、今作でもその音楽性を継承しながら、より オーセンティックな音作りをしている。非常にダイナミズムの 感じられる扇情的な楽曲は、エッヂが立っていて実に格好良い。 新しく加わったギタリストのJONAS HERMANSSONとボーカリストの ULRICH CARLSSONが、そう言った部分で果たした役割は大きい。 哀愁度も増しており、アコースティック・バラードのEven The Sun 等、じっくりと聴かせる部分もある。[85]
元HANOI ROCKSのフィンランド人ボーカリストによる ソロ・ミニ・アルバム。WANDERERSのカバー、 Take Them And Break Them、The Rutsのカバー、Backbitterと 新曲を含んだライヴ4曲の全6曲と言う構成になっている。今後 リリースされる予定のソロ・アルバムの予告編らしいが、 ANDY McCOYとHANOI ROCKSを再結成した今、そのアルバムもすぐに リリースされるかどうかは疑わしい。楽曲的にはANDY McCOYが 書くものこそが正にHANOI ROCKSと言えるものだけに、新曲の Just Because You're Paranoidもパンキッシュな ハード・ロックンロールではあるが、HANOI ROCKS的な部分はそれ 程感じられない。[81]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドのアルバム。方向的には 如何にも北欧のブラック・メタルらしい、ブラスト・ビートと 荒涼としたメロディを前面に押し出した、暴虐で殺伐とした ブラック・メタルと言えるものだ。この手のものらしく、 キーボードによる荘厳なオーケストラレーションを入れて 来ているのだが、その多くのバンドが非常にチープな事と 比べると、より自然で上手く融合している様に感じられる。特に ピアノを上手く入れたりして、印象的なメロディに 仕上げているし、リフ等は中々複雑で楽曲も展開があって、 一筋縄ではいかないところがのには好感が持てる。[82]
アメリカのインダストリアル・ロック・バンドのライヴ盤。 1996年に行われたアメリカとヨーロッパでの公演の模様を 収めたものだ。スラッシュ・メタルとクロス・オーバーした様な、 ギター・リフを導入し、インダストリアル・ロックとしては ヘヴィ・メタル系のリスナーには一番馴染みの深いバンドだが、 そのスラッシュ・メタル色の一番濃かったΚΕΦΑΛΗΞΘと その頃の新作であったFILTH PIGからの選曲が中心となっている。 それぞれ別々の公演からのチョイスで切り貼りされているのだが、 そのためか継ぎ接ぎした曲間が異様に短く、楽曲が次々に間髪 入れずに続くので、ライヴ間に乏しいと言う感じをどうしても 受ける。[80]
アメリカのデス・メタル・バンドのデビュー・ミニ・アルバム。 元DYING FETUSのボーカリスト兼ベーシスト、JASON NETHERTON、 ドラマー、KEVIN TALLEY、ギタリスト、SPARKY VOYLES等による バンドだ。それ故、そのサウンドはまさにDYING FETUSのそれで、 アメリカのデス・メタル・バンドらしい、ブラスト・ビートを 駆使した、テクニカルなグラインド・コア系デス・メタルと 言えるもので、その系統の音楽が好きならばたまらないだろう。 暴虐さと攻撃性を兼ね備え、強烈なアグレッションを打ち 出してくる様は圧巻で、JASON NETHERTONのデス・ボイスの方向も 破壊力十分だ。[80]
スウェーデン人シンガー・ソング・ライターの4年振りの ベスト盤。わずか3枚しかアルバムをリリースしていないので、 前回のベスト盤と多くの曲が重なるのだが、5年間も沈黙を続けて 来ただけに、もう既に彼を知らない人も多いだろうし、こうやって 彼の足跡を辿るのも悪くない。非常にポップで叙情的なメロディの 優れたハード・ポップを聴かせてくれており、非常にレベルの 高さを感じさせてくれる。新曲が2曲含まれているが、Delirious、 Tell Meとも実に彼らしい憂いを帯びた叙情的なメロディを 聴かせてくれており、彼の健在振りを感じさせてくれるので、彼の ファンも一安心と言ったところだろう。[88]
スウェーデン人シンガー・ソング・ライターの5年振りの 4thソロ・アルバム。如何にも彼らしい、叙情的で優しさに溢れる メロディのポップ・アルバムで、ブランクを感じさせない、彼の ポップ・センスの素晴らしさを感じさせる作品だ。今作は全体的に ややアップ・テンポの楽曲が増えており、彼の ボーカル・スタイルもあってCHEAP TRICKを思わせるところが そこかしこにある。そこに北欧らしい憂いを持ち込んで、彼らしい 独特のメロディの味わいを出していると言って良いだろう。甘い ポップなメロディは派手さはないが、安心して 聴いていられるだけのクオリティがある。[87]
JADED HEART、元LETTER X、BONFIREのドイツ人ボーカリストによる 初のソロ・アルバム。ほとんどのパートを彼自身が演奏しており、 マルチ・プレイヤー振りを見せてくれている。基本的には 彼らしいボーカルを活かした、BON JOVI風のロック作品で、 JADED HEARTと比べると、よりボーカル・アルバム的な部分を強く 打ち出したハード・ロック・アルバムと言えるだろう。その分、 JADED HEARTではやや焦点がぼやけていると言うイメージを 受けがちだが、こちらはよりはっきりと趣旨が見えて判り易い。 しんみりとしたバラードを歌い上げる辺りは、彼らしい 味わいのあるボーカルが聴ける。[82]
元WHITE LIONのデンマーク人ボーカリストの5年振りの 2ndソロ・アルバム。音楽的には憂いを帯びた アメリカン・ロックで、FREAK OF NATUREから前作にかけての 流れを汲む、彼らしい枯れた味わいの作品だが、より ハード・ロック的エッセンスを排除し、ソロ・アルバムとして 意義を強くしたアルバムと言って良いだろう。特別上手いと言う ボーカリストではないのだが、ややしゃがれたボーカルが非常に 強く味わいを出しており、彼のボーカルの特色が良く活きている。 やや地味な作品ではあるのだが、そう言った部分を超越した渋さが 感じられる。[84]
スウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンドのデビュー盤。 基本的にはオーソドックスなヘヴィ・メタルで、そこに プログレッシヴ・メタル的なエッセンスを付け加えているが、特に テクニカルだったり難解だったりする訳ではないので、それ程 プログレッシヴ・メタルと言う感は強くない。楽曲自体は古臭さも 感じさせるところがあるのだが、そこにモダンなダークさと ヘヴィさを取り入れているのがこのバンドの特徴と言えるだろう。 メロディ自体はキャッチーで特にダークではないので、一風 変わって感じるのだが、楽曲の魅力がもう少し欲しいところだ。 [79]
フィンランドのハード・ロックンロール・バンド、HANOI ROCKSの ボーカリストによる3年振りの4thソロ・アルバム。彼らしい パンキッシュなハード・ロックンロールが基軸となっているが、 彼のソロ・アルバムに感じられる、微妙にHANOI ROCKSと離れた 音楽性はここでも同じで、これはANDY McCOYがいないだけに当然と 言えば当然だろう。この作品の一番の特徴はカバーが多いと 言うことだが、HANOI ROCKSのアルバムもほぼ同時期に 作っているだけに、マテリアルがなかっただけかも知れない。 ただ、カバーを沢山入れる事によって、意外とメロディアスな 部分があったりと、これまで単調さが気になった彼の 作品としては、意外とバラエティさを感じさせる効果を 生んでいるのが嬉しい誤算かも知れない。[84]
アメリカのインダストリアル・ロック・バンドの4年振りの アルバム。彼等の代表作とも言うべきΚΕΦΑΛΗΞΘでは、 ヘヴィ・メタル的なエッセンスを強く打ち出し、メタル側の リスナーにもその名を知らしめたが、今作でもそのヘヴィ・メタル 的な色合いが濃い作品に戻っている。ヘヴィなリフを押し出し、 ダンサブルで非常にノリの良いスラッシィなサウンドを 聴かせてくれている。そう言う意味では、元々の インダストリアル・ロック的なエッセンスが薄まっており、旧来の ファンにはやや戸惑いを覚える作品かも知れないが、FEAR FACTORY 等も聴くメタル側のリスナーには十分訴えるものはあるはずだ。 [85]