ブラジルのスラッシュ・メタル・バンド、SEPULTURAの 元ボーカリスト、MAX CAVALERAとFUDGE TUNNELのボーカリスト、 ALEX NEWPORTによるプロジェクトのアルバム。音楽性としては、 サンプリングを多用し、インダストリアル・ロック的な色合いの 強いスラッシュ・メタルと言って良いだろう。この 2人がやっている事もあって、スラッシュ・メタルと言っても かなりハード・コア色の強いものとなっている。SEPULTURAでの コアで怒りの感じられるサウンドをよりハード・コア的にして サンプリングを導入した感じだろうか。楽曲の面白みと言う点で、 今一つと感じる部分もあるが、彼等自身のアティテュードを上手く 融合させた作品だ。[80]
イギリスのグラインド・コア・バンドの1992年にリリースされた 4thアルバム。バンドの中心人物的存在であったドラマーの MICK HARRISが脱退し、遂にオリジナル・メンバーが 全くいなくなると言う状況に至ったが、新しいラインナップで 存続する事になった。グラインド・コアと言う音楽性において、 最も重要なファクターの一つであるブラスト・ビートを叩き 出していたMICK HARRISが居なくなった事は大きな問題であるが、 代役を務めることになったDANNY HERRERAは無難にこなしていると 言って良いだろう。ブラスト・ビートを挟みながらも、楽曲は かなりスラッシュ・メタル的な色合いを増しており、随分聴き 易くなったが、その分インパクトも薄れている。[75]
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。方向的には、ネオ・クラシカル系のヘヴィ・メタルと 言えるものだが、ギタリストのHENRIK POULSENの プレイ・スタイルとギター・メロディがそうだと言うだけで、 楽曲的にはあまり様式美的な色合いはない。ボーカリストの BRIAN RICHはJACKALのメンバーでもあるが、JACKALがそうであった 様に、楽曲自体はどちらかと言うとIRON MAIDENっぽさを 思わせるものだ。BRIAN RICHのボーカルがBRUCE DICKINSON 的である事を考えると、この人選は頷けるところだ。それ以外にも 特にベーシスト、CHRIS D.RAIKAIのプレイがSTEVE HARRISを 思わせるものだけに尚更だ。楽曲の出来もIRON MAIDENの フォローワーを考えるとまずまずで、ネオ・クラシカル的な要素が 独特のエッセンスになっている。[80]
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。ボーカリストのBRIAN RICHは結局 前作きりでJACKALに復活したため、KENNY LUBCKEが加入している。 前作ではネオ・クラシカル的な要素を持ちながらも、 IRON MAIDENのフォローワーと言う範疇を 超えるものではなかったが、今作ではそう言う域から 脱しつつある。もちろんIRON MAIDEN的なエッセンスは 残っているのだが、より北欧メタル的な憂いと叙情性を 増している。KENNY LUBCKEのボーカルは、BRUCE DICKINSON タイプのBRIAN RICHと違い、伸びのある粘り気のある声で、こう 言った部分を強調するのに大きな役割を果たしているし、 ボーカリストとしての力量もかなりのものだ。[84]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。方向的には、如何にも北欧メタルらしい憂いを帯びた 叙情的なメロディのヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。 どこかで聴いた様な気もする在り来たりさもあるが、キャッチーな 洗練されたメロディ・センスは中々のものだし、新人としては 楽曲の出来はかなり上の部類に入ると言って良いだろう。 JOHNNY OHLINのギターはネオ・クラシカル的なテイストの 感じられるものだが、それ程露骨ではなくて適度に 押さえられているのも自然な感じがして良い。エッヂのたった サウンド作りがなされており、ただ綺麗なだけで終わっていない。 [84]
イギリスのハード・ロック・バンドの1992年にリリースされた 18th。今作よりBILLY RANKINが復帰し、20年以上活動を供にした オリジナル・メンバーのMANNY CHARLTONが脱退している。 方向的にはいわゆるブリティッシュ・ロックと言えるもので、 ブルーズ的なエッセンスのあるロック・アルバムだ。 楽曲によってはハードさを見せているが、全体的にはそれ 程でもない。今ではすっかりパワー・ダウンしてしまったが、 1970年代には一世を風靡した大ベテランとも言えるバンドだけに それなりに安定しているが、今のハード・ロック・ファンが 聴いても面白いと思えるかは謎だ。[80]
元TALASのボーカリスト、PHIL NARO率いるアメリカの ハード・ロック・バンドの年にリリースされたアルバム。 方向的にはハード・ポップと言えるもので、軽く感じるのは当然と 言えば当然なのだが、PHIL NAROの軽い声質がなお一層軽く 聴こえる要因となっている。曲調は憂いを帯びてメロディアスで、 非常にキャッチーなので実に聴き易い。Mama Lay Your Head Down 等は、そのボーカルもあいまって、愁いが良く出ていて中々 面白い。ミドル・テンポの楽曲が中心で、少しだれ気味に 感じられるが楽曲自体は悪くない。[86]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。 デビュー盤も非常に素晴らしい出来であったが、今作では完成度が ぐっと増し、傑作と呼べる出来になっている。より ネオ・クラシカルな要素が増していて、YNGWIE J.MALMSTEENの アルバムを思わせる。そのため、See Them Fall等は少し違和感を 感じるかも知れないが、前作でのキャッチーなメロディも 失われていないので、前作のファンも受け入れられるはずだ。 ABBAのカバー曲、Waterlooもセンス良くアレンジしていて 悪くはないもののやはり少し違和感を感じる。どの曲も平均以上に 良い曲ばかりだが、欲を言えば1曲ずば抜けた曲が欲しかった 気もする。とにかく叙情的で美しく、ネオ・クラシカル系が 好きであれば間違いない。[89]
デンマークのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。 デビュー盤ではJACKALのボーカリストをゲストに作成されたが、 ベーシストのCHRIS D.RAIKAIのSTEVE HARRISのばりのプレイばかり 目立った凡庸な作品だった。しかし、前作からパーマネントの ボーカリストとして参加した、KENNY LUBCKEは非常に素晴らしい 声の持ち主で、彼の参加がバンドのステップ・アップに果たした 役割は非常に大きい。CHRIS D.RAIKAIがデビュー盤で脱退して 全体的なバランスが良くなったのもバンドにはプラスだった。 とにかく現在のユニットは、このメロディアスなヘヴィ・メタルを やるには、非常に理想的な構成だと言えるだろう。楽曲の質も 高いし、それにも増して全体的に演奏力が高い。惜しむらくは 前作に比べるともたった感じがする部分があることだ。それに パーマネントなベーシストを早く見付けて欲しいところだ。[86]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドのデビュー盤。 ブラック・メタルらしいかなりテンポの速い作品で、 パワー・メタル然としたメロディは中々に格好良い。当然 ブラック・メタル・ボイスが主流なのだが、場面によっては 効果的にクリア・ボイスも取り入れている。楽曲的には AT THE GATES的なタイプで、ブラスト・ビートを織り交ぜながらも 叙情的で壮大なナンバーが続く。荒涼としたブルータルな メロディは、いかにもと言った感じだが、良く出来ている。演奏、 プロダクションとも問題ないし、楽曲も素晴らしく、新人としては 出色の出来だ。[86]
イギリスのグラインド・コア・バンドの7thアルバム。初期の 破天荒さはデス・メタルの浸透もあり、今はもうそれ程 感じられないが、それでもここ数作の低迷ぶりからするとある程度 納得できる出来だ。内容的にはスラッシュっぽくもあり、 インダストリアル的な部分もあるグラインド・コアという感じで、 このバンドとしてはどちらかというと割と聴きやすい。 ブラスト・ビートも出てきてそれなりにブルータルだが、 それなりになっとく出来てしまう時点で、このバンドとしての インパクトは小さいのかもしれない。[81]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの3年振りの2nd アルバム。前作よりも更に破壊力を増したブルータルな サウンドで、圧倒的な迫力と音の洪水で責め立てる。その一方で、 彼等らしいメロディが全体に貫かれており、 ブラック・メタルらしい、アティチュードは決して 失われていない。かなり早いアップ・テンポで、矢次早やに 展開していき、息をつかせぬところなどはさすがだ。扇情的な メロディは良く出来ていて、もう少し緩急を付けても良いと思う 位だが、この位徹底している方が小気味良い。ブルータリティと 言っても、デス・メタルの様な、暴虐さ一辺倒では もちろんない。[86]
イギリスのデビュー30周年と言う大ベテラン、 ハード・ロック・バンドの年振りとなる20thアルバム。とは 言うものの、ブリティッシュ・ハード・ロック的な面影はもはや あまりなく、アメリカ的な香りのする、土臭い ハード・ロックンロール、ブギーと言った面持ちだ。 DAN McCAFFERTYのボーカルはしゃがれていて、GUNS'N ROSESの AXEL ROSEを思わせなくもないが、もっとブギー色が強いので、 あれほど尖がった感じはない。ブギー的な色合いがあるものが 好きならば、楽曲の出来も演奏もベテランとも思えないような エナジーも結構受入られるのではないだろうか。[79]
イギリスの古参グラインド・コア・バンドの9thアルバム。 MICK HARRIS、CATHEDRALのLEE DRIAN、CARCASSのBILL STAIRE等を 輩出し、これらのメンバーが抜けていくと同時に パワー・ダウンしていった様な印象を受けるが、このアルバムで 新たな再生を遂げたと言っても良いだろう。ブラスト・ビートを 中心に据えながらも、ギター・メロディは割合と はっきりしており、スラッシュ・メタル的なアティチュードも 感じられる。全体的に勢いと破壊力があり、非常にのりの良い 作品に仕上がっている。楽曲の出来も十分評価に値するだけの 出来だし、MARK BARNEY GREENWAYの咆哮するデス・ボイスもこの 手のものとしては聴き易い方だ。[86]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。いわゆる ネオ・クラシカルと言われるもので、方向的には YNGWIE MALMSTEENのそれそのものだ。Dangerous Game等は MARTIN CLAESSONのキーボードがかなり全面に露出して来たり、 Shadowlandsで中世風のOutroをやったりはしているが、 CARLIOHAM GRIMMARKのギター・プレイはYNGWIE以外の 何者でもない。ボーカルのCHRISTIAN LILJEGRENは MODEST ATTRACTIONのボーカルだけあって、方向的にもあっていて 良い感じだ。楽曲の出来も悪くないし、演奏の面ではそれなりに 良く出来ている。[80]
日本のヘヴィ・メタル・バンド、ANTHEMの元ベーシスト、 柴田直人のカバー・ソロ・アルバムの2作目。元ANTHEMの 森川之雄、LOUDNESSの本間大嗣、SLYの二井原実、元VOW WOWの 厚見玲衣、BLINDMANの高谷学、SABER TIGARの下山武徳、 元VOW WOWの人見元基、元GARGOYLEの屍忌蛇、FENCE OF DEFENCEの 北島健二、元DEAD ENDの足立祐二を始め、日本のヘヴィ・メタル 界の層々たるミュージシャンが集まっているだけあって、その 出来はさすがと思わせるものがある。GARY MOOREの Over The Hills And Far Awayや、RAINBOWのFire Dance等を始め、 ハード・ロックが中心ではあるが、U.K.のNothing To Loseや、 BAD COMPANYのReady For Love等、ハード・ロックに拘らない 選曲となっている。バンドの代表曲と言われるものから外れる 楽曲もあるが、楽曲自体は良いし、聴きごたえはある。そろそろ カバーには飽きて来た感もあるのだが、出来自体は良い。[83]
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの2ndアルバム。 方向的にはMOTORHEAD型とも言える様な下品な ハード・ロックンロールで、弦楽器がギタリストのRUYTER SUYSと ベーシストのCOREY PARKSと言う、露出過剰なエロいお姉様と 言うのがそう言った印象を助長している。こう書くと単なる色物 バンドかと言う風に思えるが、これが中々良い出来だ。ワイルドで アップ・テンポな楽曲はのりが良く、勢いを感じさせてくれて聴き 応えのあるアルバムに仕上がっている。LEMYの如き、 BLAINE CARTWRIGHTのボーカルは、到底上手いとは言い 難いものだが、下品さとワイルドさが良く出ていて、楽曲に良く 合っている。[84]
イギリスのグラインド・コア・バンドのアルバム。かつては グラインド・コアとしては最も影響力を持っていた バンドだったが、BILL STAIREがCARCASSを結成し、 JASTIN BROADRICKがGODFLESHを結成し、MICK HARRISがSCORNを 結成し、LEE DRIANがCATHEDRALをと多くの人材を輩出して 行ったが、そう言う人材流出あってか、最近は昔の激烈な度合いが 薄れ、バンドとしてのテンションが下がっている様に感じられた。 この作品では、アグレッシヴでブルータルさを取り戻しており、 インパクトのある、中々聴き応えのあるアルバムに 仕上がっており、往年のエナジーを感じさせる。[85]
アメリカのグラインド・コア・バンドの1991年にリリースされた ミニ・アルバム。4曲入りの作品だが、彼等らしく全体で9分 足らずしか尺がない。後にSCORNを結成する事になる、唯一 残っていたオリジナル・メンバーであるドラマーのMICK HARRISが 脱退すると言う状況で作成されている。グラインド・コアらしい とにかく速いブラスト・ビートを軸にしながらも、それ程 多用されず、割とスラッシィな印象を受ける楽曲で、そこそこ聴き 易いと言った感じもしなくはない。激烈なサウンドで、短い 尺のため、あっと言う間に通り抜けて行った一陣の嵐の様だ。[78]
イギリスのグラインド・コア・バンドの1994年にリリースされた 5thアルバム。CARCASS、CATHEDRAL等に数多くのエクストリーム 系のバンドに人材を輩出して行ったバンドだが、今は オリジナル・メンバーは全く残っていない。方向的には ブラスト・ビートを中心とした、かなり速い グラインド・コアだが、この頃になるとそう言う部分はやや 減退して来ており、それ程強烈なアグレッションは感じられない。 もちろん楽曲によってはブラスト・ビートを押し出して、 ノイジィな彼等らしい部分も見せてくれるが、割とスラッシィな 感じのする作品となってしまっており、これまでの ファンからすると肩透かしを食らうかもしれない。[78]
イギリスのグラインド・コア・バンドの1992年にリリースされた アルバム。過去にリリースされた音源を集めた企画盤で、1991年に リリースされた編集盤、DEATH BY MANIPULATION、1992年に リリースされた4thアルバムからのシングル、 THE WORLD KEEPS TURNING、4thアルバムのイギリス初回盤にのみ 付いていたシングル、1992年にリリースされたボックスセット、 NAPALM DEATH BOXに入っていたLIVE CORRUPTIONが 集録されている。ほとんどが日本未発売の音源で、手軽にこう 言った音源を集めるには有り難い作品だ。彼等の作る 楽曲だけあって、さすがにどれも短く、全部で32曲も 収められている。ライヴはまだMICK HARRISが居た 頃のものだけあって、ブラスト・ビートを中心とした狂暴な サウンドを聴かせてくれている。[76]
イギリスのグラインド・ハード・コア・バンドの1990年に リリースされた2ndアルバム。グラインド・コアの産みの親とも 言えるバンドで、SCORNのドラマー、MICK HARRIS、CATHEDRALの ボーカリスト、LEE DRIAN、CARCASSのギタリスト、BILL STAIRE、 PAIN KILLERのJOHN ZORNを輩出し、エクストリーム・ミュージック 界では燦然たる影響力を誇ったバンドだが、この作品はまだ往年の パワーを有していた頃の作品だと言って良いだろう。 MICK HARRISの叩き出すブラスト・ビートと言い、暴虐感が 満ちていて破壊力がある。この手のものとしてはかなりメタル的な サウンドなので、ブルータル・デス・メタルと言う印象も受ける 作品だ。[79]
イギリスのグラインド・ハード・コア・バンドの1995年に リリースされた6thアルバム。前作でグラインド・ハード・コア 的な指向から脱却して見せ始めていたが、今作ではそう言った 部分がより強く出ている作品だと言って良いだろう。前作では かなりスラッシィな感じのする作品だったが、今作ではデジタル 的な感じのする仕上がりで、ブラスト・ビートも影を 潜めてしまっている。彼等の速く激しく暴虐感漂うサウンドは ここにはなく、ダブ的なエッセンスを持ち込んだ緊張感のある サウンドが展開されている。こう言った変化を進化と感じるには、 あまりにも持ち味を捨て過ぎてしまっていて、これまでの ファンにはついていけないのではないだろうか。[76]
スウェーデンのグラインド・コア・バンドの3年振りとなる 2ndアルバム。方向的には、ブラスト・ビートを用いた ブルータルなグラインド・コアなのだが、このバンドが ユニークなのは、意外と緩急を使い分け、スラッシィーなリフを 入れて来たり、楽曲によってはメロディック・デス・メタル的な ギター・メロディが入って来たりと多様性を持っている事だろう。 とは言っても、基本はあくまでもグラインド・コアであり、これに 味付けとして使われている程度であり、グラインド・コアの ファンにもそれ程反感を買う事はないだろう。聴き易くなっている 割には聴き飽きさせないし、中々聴き応えのある作品だ。[81]
イタリアのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には グラインド・コア系のデス・メタルで、テクニカルでブルータルな 作品に仕上がっている。基本的には速くて攻撃的な内容だが、 By The Dawn Of The 13thの様な、ミドル・テンポでユニークな リフの楽曲もある。全体的に跳ねたリズムを入れたり、 ブルータルな中にもアクセントとなる部分があるのは好感が 持てる。割と聴き手を選ぶジャンルの作品ではあるが、色々と 工夫はされているし、判り易いメロディがあったりと意外な程聴き 易いアルバムで、それ程大きな抵抗を感じずに聴けるだろう。[81]
イタリアのデス・メタル・バンドの3rdアルバム。方向的には アメリカのグラインド・コア系のデス・メタル・バンドに見られる 様な、ブルータルでテクニカルなデス・メタルを 聴かせてくれている。とは言えヨーロッパのバンドらしく、 それらのバンドよりはまだメロディがはっきりとしている。 プログレッシヴ・ロック的な変則的な部分が中々面白く、その アイデアを実現出来るだけの演奏力も素晴らしい。前作に比べると その持ち味である破天荒さが薄くなっているのが残念だが、非常に アグレッションの効いたサウンドで聴き応えのあるアルバムに 仕上がっている。[80]
アメリカのハード・ロックンロール・バンドの2年振りとなる 3rdアルバム。エロさ丸出しで、火を吹くパフォーマンスを行う、 ビジュアル面で大きな役割を果たしていたベーシスト、 COREY PARKSが脱退しているが、変わってやはり女性ベーシストの KATIELYNNが加入している。方向的にはMOTORHEADの流れを汲む、 お下劣で泥臭いハード・ロックンロールを聴かせてくれている。 前作ではAC/DCっぽさが加えられていたが、今作でも Keep On Fuckin'等は縦のりで非常にAC/DC的だ。ブギーや サザン・ロック的なエッセンスも取り入れ、アップ・テンポの のりの良いアルバムに仕上がっている。[86]
イギリスのグラインド・コア・バンドの4年振りとなる 10thアルバム。グラインド・コアの先駆者らしい、 ブラスト・ビートを前面に配した、激烈なサウンドを 聴かせてくれている。エクストリーム・ミュージックにおいて、 今や後続のバンド達が更なる発展させて来ているだけに、 過激さでは最早特別視出来る部分はあまりないが、一時期の低迷を 脱し、その破壊力を再び取り戻して来ていると言って良い。やや インダストリアル・メタル的な印象も受ける、機械音的な サウンドは、少し作り過ぎと言う感じも受けなくはないのだが、 彼等の妥協しない破壊性を十分良く伝えてくれている作品だ。[84]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの5年振りの 3rdアルバム。ブラスト・ビートを交えた、荒涼としたメロディの オーソドックスなブラック・メタルだが、よりヘヴィ・メタル 然としている。北欧ブラック・メタルを基本としながらも それだけに囚われず、スラッシィなリフやドラマティックな 曲展開も取り混ぜて、質の高い作品に仕上がっている。やや 憂いのあるメロディが減退した感じで、より破壊力を前面に押し 立てる形となっているが、扇情的なメロディに破壊力のある サウンドと、これまでの延長線上ながらより攻撃的で完成度を 増した感がある。[86]
スウェーデンのグラインド・コア・パンク・バンド3rdアルバム。 グラインド・コアらしいブラスト・ビートを全面に配し、徹底的に 攻撃的に攻めてくる。当然、デス・ボイスも使用しているし、 基本的にデス・メタルに近いスタンスと言って良いだろう。同様の デス・メタル・バンドと比べると、デス・メタルに感じられる 凄惨さや残虐性はそれ程感じられず、暴力的ではあるがそれ程 暗さは感じられない。そう言う意味では、デス・メタルの ファンでも、スピード追求のグラインドのファンであれば、十分 納得の行く作品である事は間違いない。強烈な破壊力と、差し 挟んでくるギター・メロディの格好良さ等はかなりのものだ。[84]