アメリカ人ギタリストの1993年にリリースされたソロ・アルバム。 いわゆるギター・インストルゥーメンタルと言うやつで、当然彼の ギター・プレイを前面に押し出したものだ。楽曲はJOE SATRIANI 辺りがやっていても不思議ではないもので、内容的にはやや フュージョンっぽさを感じさせるものだが、その演奏はかなり ヘヴィ・メタル的な金属感を感じさせるプレイだ。演奏を前面に 押し出していると言っても、叙情的なギター・メロディが中々 素晴らしく、楽曲がおろそかになっていないところに好感を 持てる。ややプロダクションがチープで、折角のギターの音色が 美しいと思えないところが残念だ。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた デビュー・ミニ・アルバム。方向的には、いわゆるQUEENSRYCHE 系と言うやつで、まずこの手のバンドとしてはボーカルが ちゃんとしているという事が評価できる。この手のバンドの多くは 下手なボーカルが多く、やりたい事と実力のギャップが 出ていたりするのだが、STEARNS BULLENはハイ・トーンも非常に 奇麗に出ていて中々の実力派だ。少し軽く感じなくもないが これだけうまければ些細な問題だ。サウンド的には、コーラスの 取り方や、低音のボーカル・ラインを入れてくるところ等、もろに QUEENSRYCHEをやっていますと言う感じだ。このコーラスも、 メンバーがやっているのかは判らないが良い出来である。曲も 良いが、QUEENSRYCHEクローン以外の何者でもなく、 オリジナリティには欠如しているとしか言い様がない。とは 言うものの、4曲しかないので一気に聴くことが出来るし、 新人としては文句のない出来なのは確かだ。[85]
アメリカのロック・バンドの5年振りの2ndアルバム。意外と ハードな部分も見せていた、デビュー盤がブレイクした双子の NELSON兄弟を要するバンドだ。アコースティック中心の 音作りになっており、前作ではまだ見られたハードさは、今作では 殆ど無くなっている。良質のポップ・センス溢れる楽曲がずらりと 並んでいるが、特にハードでもなく、軽くキャッチーで、更に甘く 優しいメロディのものが延々と続いていて盛り上がりに欠ける 感じがする。それ故にハードなものを望む人には、多分途中で 飽きが来る事になるかも知れない。[80]
詳細は良く知らないがポーランドの ゴシック/デス・メタル・バンドの様だ。一曲目のヴァイオリンと アコースティック・ギターで構成されるイントロ・ナンバーの いかにもというような耽美の美しい調べは何とも言えないが、 それ以降はかなり歪んだダミ声のデス・ボイスが入る。 メロディック・デス・メタルと同じ方法論であろうが、 このデス・ボイスが、そちらの方としてもかなり酷い部類で いかんともし難い。楽曲はゴシック系にしてはかなり アップ・テンポなものだが、バイオリンが効果的で、荘厳さを 失っておらず悪くない。[82]
アメリカのパワー・メタル・バンドの1stアルバム。一部で評価の 高かったパワー・メタル・バンド、SANCTUARYで オーセンティックなボーカルを聴かせてくれていたWARREL DANEが 中心となって結成されている。WARRELのボーカルはやはりさすがと 思わせるものがある。彼のボーカルのヒステリックな感覚は 相変わらずだが、SANCTUARY時代ほど自己主張が強くなくアクが 薄れた感じがする。楽曲的にはミドル・テンポ中心となり、 SANCTUARYとはまた違った趣をたたえている。 The Sanity Assassin等のように切々と歌い上げる部分もあり、 全体的に悪くはないのだが、逆にこれといったものも感じない。 [82]
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドのアルバム。この手の バンドもボーダレスになって来て、タイプ的に色々なものが出て 来ているが、このバンドもその一つと言って良いだろう。 スローからミドル・テンポ中心で、ディープで気だるいが、 なんとなく明るいサウンドは独創的とは言えないが特徴を良く 出している。ただそれで、アルバム一枚を通して楽しめるかと 言うと別の話だが。方向的にはヘヴィ・ロックと言うやつで、 ブルージィな色合いもある、アメリカらしい土臭さがある。 ハーモニカを入れて来る辺りにもその特徴は良く 現れているだろう。楽曲によってはどことなくクールさがあって、 TEMPLE OF THE DOGを思わせる様なものもある。[78]
イギリスのヘヴィ・ロック・バンドのアルバム。BLACK SABBATHの TONY IOMMIプロデュースにより1972年に制作されながら、バンドの 解散によりお蔵入りになっていたテープを発掘、CD化したものだ。 BLACK SABBATHのバック・アップを受けていたが、方向的にはそれ 程影響は感じられない。むしろプログレッシヴ・ロックとも言える 様な内容で、非常にブリティッシュ的なセンスを匂わせる サウンドだ。部分的にはLED ZEPPELIN的なエッセンスも 感じさせるところがある。プログレッシヴ・ロックだが、 演奏的にはかなりハードな部分もあり鮮烈だ。[84]
元SANCTUARYのWARREL DANE率いるパワー・メタル・バンドの デビュー・アルバムに続くミニ・アルバム。方向的には今一つ 乗り切れなかった1stアルバムと同じで、この ミニ・アルバム自身もなんとなく煮え切らない。但し、 MatricideはWARRELのボーカルが生きた、ドラマティックな佳曲で その次のIn Memoryのイントロ辺りまでの流れは素晴らしい。 全体的にWARRELの扇情的なボーカルは相変わらず聴きごたえが あるのだが、どうもそれを生かす曲が少ない様に感じる。それでも まだ1stアルバムよりはさまになってきているとは思うが。[80]
元SANCTUARYのボーカリスト、WARREL DANE率いるアメリカの パワー・メタル・バンドのミニ・アルバムに続く2ndアルバム。 リフをザクザクと切り込んで来る辺りはスラッシュ・メタル 的でもあり、大仰なメロディはパワー・メタル的でもある。 デビュー盤では楽曲とWARRELとのボーカルのバランスも悪く出来も 今一つだったが、先ほどのミニ・アルバム辺りからかなりこなれて 来て良くなってきた。ドラマティックでダークでヘヴィな サウンドはその独自の世界を良く築き上げていると思う。全体的に 良く出来てはいるのだが、少し変化に乏しい。[81]
金髪のNELSON兄弟率いるアメリカのポップ・バンドの お蔵入りになったアルバムをリリースしたもの。お蔵入りになった 理由が、あまりにもヘヴィだったのでということだが、確かに 大ヒットしたAFTER THE RAINに比べるとそれなりに ハードなものの、元々が甘いポップ・ソングを やっていたのだからむしろちょうど良いくらいだ。ENUFF Z'NUFFの コンビとも曲を共作したりしていて楽曲の出来も中々のものだ。 ただ、判らないのはTWEAKEDで既に発表済みの WE'RE ALL ALRIGHTまで共作になっていることだ。これまでの 作品に比べると全体的に明るさ抑え目という印象を受ける。[84]
アメリカのメロディアス・ハード・ロック・バンドのデビュー 前の1978年に録音されたマテリアルを中心にCD化したもの。 デビュー前のデモと2ndアルバムのデモに3曲の未発表曲が 追加されている。プログレッシヴ・ハード・ロックとでも言える 様な作品で、朗らかで暖かい曲調がしみじみとしていて心に優しく 染み渡る。デモ音源と言う事でお世辞にも音は凄く良いとは 言えないのだが、20年前のデモ音源としてはかなり上質だと言って 良いだろう。派手さはないが楽曲は後々アルバムに 使用されただけあって悪くない出来だし、内容的にもデモの レベルを超えていると言って良いだろう。[80]
イギリスのハード・ポップ・バンドの恐らくデビュー盤。叙情的で キャッチーなメロディの楽曲が並んでおり、全体的にかなり 爽やかな印象を受ける。どちらかと言うとアメリカ的な メロディで、楽曲によってはNIGHT RANGERのバラードを思い 起こさせる様な部分もある。全体的に整ってはいるが、その分 派手さもなく、飛び抜けたものはない。しかし、STEVE NEWMANの 透ったボーカルが意外に良い味を出しており、地味な 作品になってしまっていない所が評価出来る。楽曲の出来も 悪くないし、それなりに聴きごたえはあるので、これと言った曲が 書ければかなり良い作品になっただろう。[79]
HEARTのHAWARD LEATHの従兄妹で、PAUL SABU率いるアメリカの ハード・ポップ・バンド、ONLY CHILDの元メンバーで、現 LANA LANEのギタリストによるソロ・アルバム。全曲 インストルーメンタルでテクニカルな演奏も聴かせてくれる 部分もあるが、いわゆるギターものと言う様な感じの派手な プレイはそれ程出てこない。非常にエモーショナルな ギター・プレイで、同じくLANA LANEのERIK NORLANDERの オルガンも合間って、非常に叙情感溢れるブルーズ・アルバムに 仕上がっている。その他、TONY FRANKLINや元BRAND Xの WALTER CARCESが参加しており、割と安心して聴いていられる。 [83]
SANCTUARYの元ボーカリスト、WARREL DANE率いるアメリカの パワー・メタル・バンドの3rdアルバム。ギタリストの PAT OBRIENがCNNIBAL CORPSEに去り、新たにFORBIDDENの TIM CALVERTが加入している。しかし、その基本的な方向性に 変化はなく、シアトリカルでダークな雰囲気は変らず残っている。 楽曲はよりドラマティックな仕上がりになっており、 WARREL DANEのボーカルが、これまでの作品よりも実力を 発揮している様に感じられる。しかし、アルバムを通しての変化が 少なく、楽曲の個々の魅力がこれまで同様、今一つ 感じられないのが残念だ。[83]
アメリカのロック・バンドのデビュー盤。ギタリストの MIKE RAPHAELは元ROUGH CUTTのギタリスト、AMIR DERAKH率いる JAILHOUSE参加していた人で、昨年リリースされたJAILHOUSEの アルバムにもメンバーとしてクレジットされている。しかし、 方向的には、そう言ったハード・ロックとはやや異なり、牧歌的な ロック・アルバムだ。MIKE RAPHAELはNELSONにも楽曲を 提供しているだけあって、そのセンスは確かだ。メタル系の リスナーからすると、普通のロック過ぎるかも知れないが、楽曲の 出来は良いし、JOHN STEPHENSのハートフルなボーカルも良い 味わいを出している。[81]
アメリカのロック・バンドの5thアルバム。RICK NELSONを父親に 持った双子の兄弟がやっているバンドで、今は亡き父親の 楽曲であるLifeをカバーしている。方向的にはこれまでと 変りなく、非常にポップでキャッチーなロック・アルバムで、 灰汁がなくて聴き易い作品だ。全体的に清々しい、気持ちの良い メロディが散りばめられており、楽曲の出来も素晴らしい。NELSON 兄弟のボーカルも、洗練されていて聴き易く、万人向けの作品だと 言って良いだろう。但し、かなりポップな作品であるため、メタル 系のリスナーにはあっさりし過ぎてやや物足りないかもしれない。 [84]
イギリスのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。前作でも メロディアス・ハード系の中々良い作品を作っていたが、今作では その完成度が遥かに上がっている。The Callを始め、佳曲と呼べる 楽曲がずらりと並んでおり、非常に質の高い作品だ。こういう 叙情系のAOR系の作品は、聴き流してしまいそうなものも 多いのだが、このアルバムは非常にフックがあり、STEVE NEWMANの 表現力豊かなボーカルが、非常に聴きごたえのある 作品にしていると言って良いだろう。全体的に、楽曲の出来、 演奏、プロダクションと非常に良く出来ており、叙情派で キャッチーなメロディの軽快なハード・ロックが好きならば、聴く 価値があるアルバムだ。[89]
アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。方向的には いわゆるハード・ロックンロールと言う感じなのだが、AC/DC 等よりメロディをより中心に置いており、ブルージィっぽさも 感じられる。とは言え、あくまでものりの良い ハード・ロックンロールが中心なので、非常にテンポが良く のりのある作品に仕上がっている。DAVY VAINをワイルドにした 様なJOHNNYのボーカルは味わいがあって面白いし、グルーヴィさを 良く出している。BUCKCHERRY等よりも、もっとシンプルで オーソドックスな感じがするが、パワフルでのりの良さが良く 出ているアルバムだ。[86]
アメリカのハード・ロック・バンド、JOURNEYのギタリストによる ソロ・アルバム。彼のこれまでの作品とは、趣が大きく 異なっており、方向的にはいわゆるブルーズと言うやつで、彼が ギターを弾いているだけあって、GARY MOORE等よりは若干 ロックっぽさを感じさせるアルバムに仕上がっている。 アメリカン・フレーバーを感じさせる、土っぽさのある南部的な ブルーズで、彼のファンとしては戸惑うかも知れないが、 アルバムの出来的には中々良く出来た作品だ。 RICHARD MARTIN ROSSの枯れたボーカルも、非常に味わいがあって 良く合っている。[81]
アメリカのハード・ロック・バンドの未発表音源集。1989年に 制作されたもので、ボーカルは元RED DAWNのLARRY BAUDだ。言わば 発掘音源的な作品ではあるが、その出来はかなりの線を 行っている。方向的には、産業ロック的なポップ・センスを持った アメリカン・ハード・ロックで、キャッチーで嫋嫋的なメロディは 中々素晴らしい。エッヂが適度に立っていて、親しみやすい メロディの楽曲はセンスの良さが伺える。プロダクションに幾分 不満は残るが、アメリカのバンドらしい叙情的でメロディアスな アルバムに仕上がっているし、LARRY BAUDのボーカルも情感が良く 出ていて楽曲に合っている。[81]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。 方向的には、荒涼としたメロディを持ちながらも、 ブラスト・ビートを織り交ぜ、ブルータルに攻め込む如何にも ブラック・メタルらしいと言ったところのサウンドだ。 ギター・ソロではよりはっきりとメロディを打ち出している 部分がある様に感じられるが、メロディック・デス・メタルの 大部分のバンド様に、決してメロディに傾倒し過ぎると言う 事はない。スラッシィーでありながら、グラインド・コア的な 部分も併せ持っており、ザクザク切り刻んで来るリフとメロディ 展開はそれなりに面白いものはある。[80]
アメリカのブラック・メタル・バンドのアルバム。ギタリストの ANTON CROWLEYはPANTERAのボーカリストとしても有名な PHILIP ANSERMOだ。ヨーロッパのブラック・メタル・バンドの 様な、荒涼とした中にも叙情的なメロディが感じられるものとは 全く違い、混沌としたブルータルなサウンドを 聴かせてくれている。グラインド・コア系のブラスト・ビートを 配したサウンドで、凶悪なアルバムに仕上がっている。PANTERAの ファンが聴いて面白いと思えるかどうか疑問だし、非常に凶悪な サウンドなので一般受けしそうにはないが、出来は悪くない。[80]
アメリカのブラック・メタル・バンドのミニ・アルバム。前作 同様、PANTERAのボーカリスト、PHILIP ANSERMOはANTON CROWLEYと 言う別名を使ってギタリストとして参加している。前作では テクニカル・デス的な色合いを感じさせる作品であったが、 今作ではよりスラッシュ・メタル的な部分が強くなっている。元々 歴史の古いバンドだけあって、北欧の寂寥感を感じさせるものとは 違い、よりVENOM的な古典の色合いを感じさせる作品だ。とは 言っても、そのブルータリティ前作に全くひけを取っておらず、 最近のエクストリーム系のらしいところを見せてくれている。 むしろ最近のこう言ったバンドと比べても、かなり強烈な暴虐さを 出しているし、免疫がないと少し辛いだろう。[80]
アメリカ人ギタリストの4thソロ・アルバム。音楽的には、 いわゆるギター・インストルゥーメンタルと言うやつで、 ギター・プレイに走り過ぎず、かと言って楽曲中心になり過ぎず、 バランス良く感じられる。ややフュージョンぽさを感じさせるが、 十分ヘヴィでフックがあって聴き応えのある作品に 仕上がっている。叙情的なメロディは素晴らしいし、そこに バイオリンを絡ませる等、細かな配慮も行き届いている。そして 彼の情感豊かなギター・プレイがより一層楽曲を盛り上げていて、 インストルゥーメンタルながら決して聴き飽きさせないところが 素晴らしい。[87]
アメリカのガレージ・パンク・バンドの5thアルバム。方向的には パンキッシュなメロディアス・ハード・ロックンロールと言った 感じで、幾分THE HELLACOPTERSっぽさを感じさせるところもある。 但し、もっとスピード感溢れるかなり速い楽曲が中心で、ドライヴ 感があって勢いを感じさせてくれる作品に仕上がっている。 アグレッシヴかつワイルドな感じが良く出ており、その一方で キャッチーで聴き易いメロディは楽曲をより引き立てている。この 手のバンドとしても、楽曲の出来はかなり上の部類と言って良い 作品で、ガレージっぽいチープさが逆に良い味わいになっている。 [84]
アメリカのパワー・メタル・バンドの4thアルバム。中心 人物である元SANCTUARYのボーカリスト、WARREL DANEのボーカルを 生かした扇情的なパワー・メタルを聴かせてくれている。 SANCTUARYと比べると、よりモダンな雰囲気のするヘヴィな 作品で、やや作り過ぎと言う気もする。アコースティックを取り 入れて、静と動の対比を知ているところ等は、楽曲の ドラマティックさを高めており、情感がこれまで以上に増した様に 感じられる。SIMON & GARFUNKELのカバー、The Sound Of Silence 等は、イントロがなければそれだと気が付かない程大胆な、 彼等らしいアレンジがなされている。[82]
イギリスのハード・ロック・バンドの3rdアルバム。 方向的にはこれまで同様のキャッチーなメロディの、 ポップ・センス溢れたハード・ロックだ。叙情的で湿り気の 感じられる爽快なメロディはこれまで同様素晴らしく、彼等の ポップ・センスの素晴らしさを十分感じさせてくれる作品に 仕上がっている。馴染み易いメロディは秀逸で、産業ロック 的ではあるが、もっとイギリスらしい叙情味を打ち出している。 前作と比べると今一つと言う感もするが、それでも楽曲の出来は 非常にレベルが高く、安心して聴いていられるアルバムに 仕上がっている。[85]
イタリアのスラッシュ・メタル・バンドの再結成第1弾となる11年 振りの3rdアルバム。方向的にはSLAYER型のコアで速い スラッシュ・メタルと言えるが、SADISTの元ドラマー、PESOが 参加している事もあってか、かなりエクストリーム的な エッセンスの感じられる作品となっている。特にそれが顕著に 現れているのはFLEGIASのボーカルで、鶏声の様な ブラック・メタル・ボイスを連想させるものだ。SLAYERと違うのは イントロ等に、荘厳さを感じさせるメロディがあったりする事で、 ヨーロッパの暗黒サウンド的な色合いが、暴虐さとエクストリーム 性を否応にも増している。非常にコアで攻撃的なサウンドは、 最近のスラッシュ・メタルとしてはトップ・クラスと言っても良い 内容だ。[85]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2年振りとなる7thアルバム。 あくまでも暗い情念の炎を感じさせるそのサウンドは、まさしく 独特と言って良いだろう。アコースティック・ギターや バイオリンを用い、静かなパートから一気にダークでヘヴィな パートへの切り替えは凄まじく、カオチックな絶望感を 演出している。ジャーマン・ロックの流れを 汲んではいるのだろうが、その狂気的なカタルシスは、そう言った 源流を超越してしまっている。ゴシック・メタルの一部の バンドにも通ずるところはあるが、ここまで絶望的な美を表現した 事には驚嘆を隠せない。ただし、こう言った音楽は決して広く受け 入れられる事はないだろうが。[89]
アメリカのハード・ロック・バンド、JOURNEYのギタリストによる 4年振りの3rdソロ・アルバム。MARIAH CAREYのHero、 BRIAN ADAMSの(Everything I Do)I Do It For You、 Shania TwainのFrom This Moment On、Annie LennoxのWhy、 LEON RUSSELLのSong For You等、ヒット曲を ギター・インストルゥーメンタルでカバーしたものだ。全体的に ブルージィな色調になっており、彼の情感の深いギターを 聴かせてくれている。ポップ・ソングばかりなので、ハードな プレイはないのだが、それ故逆に味わい深いものに 仕上がっている。[80]
イタリアのスラッシュ・メタル・バンドの2年振りとなる 4thアルバム。クリエイティヴ面での中心人物であるドラマーの PESOはSADISTでの活躍でも知られているが、それからも判る様に かなりエクストリーム色の強いスラッシュ・メタルだ。音楽的には SLAYERやDESTRUCTIONの流れを汲む、コアな色合いの強い、 オーソドックスなスラッシュ・メタルだ。攻撃的で切れのある リフをザクザクと切り刻んでくるのは何とも気持ちが良い。 FLEGIASのディストーションの効いたきついボーカルは好き嫌いが 分かれるかも知れないが、古き良き時代のスラッシュ・メタルを 聴かせてくれているのは何とも嬉しい限りだ。[83]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3rdアルバム。音楽的には 退廃的でサイケデリックでトリップ感のある1970年代風の ヘヴィ・ロックで、いわゆるストーナー・ロックと 呼べるものだろう。元FU MANCHUのメンバーによるバンドだが、 FU MANCHUがサイケデリック色がない事に対して、彼等は 思いっきりサイケデリック色を出すと言う、サイケデリックさに 置いて、対極的な作品を作り上げてきたと言って良いだろう。 グルーヴィでのりが良く、如何にもストーナー・ロックらしい サイケデリックなサウンドは、ストーナー・ロックのファンには 十分満足行くものだろう。[86]
ブラジルのデス・メタル・バンドのデビュー盤。 ブラスト・ビートを配したブルータルなデス・メタルだが、 いわゆるグラインド・コア系のデス・メタルと言う要素も 持ちながらも、ベースはスラッシュ・メタル的と言って 良いだろう。徹頭徹尾、攻撃的で原始的な混沌とした雰囲気さえ 感じさせる作品に仕上がっている。強烈なエナジーを 発散しながら、猪突猛進する様はただただ圧巻あされてしまう。 楽曲自体は全体的にコンパクトにまとめられていて短く、 ミニ・アルバムと言っても良い位短く、あっという間に駆け抜けて 行く暴風雨の様だ。[84]
スウェーデンのデス・メタル・バンドの4thアルバム。 ブラスト・ビートを配したグラインド・コア系のデス・メタルと 言えるのだが、かなりはっきりとメロディを打ち出している。 このメロディが荒涼としたイメージを与え、サウンド自体は 北欧ブラック・メタルと言っても差し支えないだろう。高速の ブラスト・ビートにおけるきっちりとした演奏等、レベルの 高さを感じさせてくれる。このブラスト・ビートとメロディを 打ち出した部分を上手く配し、この手のものとしてはかなり ドラマティックな盛り上がりを出しており、聴き応えのある アルバムに仕上がっている。[82]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの初のライヴ盤。1999年に 行われたフランスでの公演の模様を収めたものだ。彼等のその ダークでドゥーミィで沈み込む様な陰鬱さを持ったサウンドが、 ライヴでどう表現されるのか興味の沸くところだが、その狂気とも 呼べるダークさが見事に再現されている。これをライヴの間 ずっと聴かされるのは、ある意味苦痛すら感じるのではないかと 思う部分も有るが、その彼等の精神世界が見事に表現されている。 基本的に長大な楽曲が多いが、プログレッシヴ・ロック的な エッセンスも取り込んで、ポップさのかけらもないのだから、 あまり気にする必要もないだろう。[85]