アメリカのハード・ロック・バンドの1987年にリリースされた 4thアルバム。デビュー当初はギタリストのBRAD GILLISが OZZY OSBOURNEで事故死したRANDY RHOADSの代わりを務めた事での 方が有名だったが、MIDNIGHT MADNESSのヒットにより、確固たる 地位を築いた。その一方でバラードばかりがヒットした事が大きく バンドの運命を狂わせたと言って良いだろう。今作では意識的か ハードな曲を中心としており、唯一バラードとしてHEARTS AWAYが 収められているが、ハード・チューンに今一つ面白みが 欠けており、結局HEARTS AWAYだけが話題になり、次作での解散に 繋がっていったと言って良いだろう。[80]
アメリカのグランジ・バンドの1989年にリリースされた デビュー盤。ポスト・パンクの旗手、SUB POPレーベルから リリースされた唯一のインディ時代の作品だ。このバンドの登場を 期に、アメリカ音楽シーンではグランジ・ブームが吹き荒れ、その 反対にハード・ロック、ヘヴィ・メタルが急速に力を失って行く 事になる。THE BEATLES的なキャッチーなメロディにパンク的な 格好良さ、ヘヴィ・メタル的なヘヴィさと、色々な音楽的 エッセンスの良いところを集めて作られた作品で、確かに面白い 内容だと言って良いだろう。シアトル的なダークさがシリアスさを 出していて、暗い情念を感じさせる。[84]
アメリカのグランジ・バンドの1991年にリリースされた2年振りの 2ndアルバム。この作品の大ヒットでグランジの一大 ムーブメントの幕を開いたと言って良いだろう。パンキッシュで キャッチーなメロディにヘヴィでダークなサウンドと言う 相反すると思える様な、様々な音楽的エッセンスの 美味しいところを集めたところは、確かにユニークだし、独特の エナジーを感じさせてくれる。特にシングル・ヒットとなった Smells Like Teen Spiritはその集大成と言って良い楽曲だろう。 1990年代の音楽シーンに重大な影響を与えた作品と言える傑作だ。 [89]
アメリカのグランジ・バンドの1992年にリリースされた ミニ・アルバム。Smells Like Teen Spiritのシングルに 収められていたAneurysmとEven In His Youth、1990年に イギリスのラジオ局、BBCで放送されたTHE JOHN PEEL SHOWでの ライヴ音源4曲の、全6曲と言う構成になっている。ライヴ音源は 全てカバーで、DEVOのTurnaround、THE WIPERSのDー7、 THE VASELINESのSon Of A GunとMolly's Lipsが収録されている。 この中では特にDー7がクールで彼等らしい格好良いカバーで、 一聴の価値はある。とは言えこの作品、現在は廃盤となっており、 かなりの高値で取引されているため入手は難しいかも知れない。 [80]
アメリカのグランジ・バンドの1992年にリリースされた レア・トラック集。シングルにのみ収録されていたナンバーを 始め、未発表曲が3曲、廃盤となったHORMOANINGから4曲、 オムニバスにのみ収録されていた2曲、バージョン違い等を含めた 全15曲と言う構成になっている。HORMOANINGでは、最も格好の良い Dー7が収録されていないのは残念だが、NEVERMIND以降の ファンとしては、昔の音源を苦労して捜さないで良い分、有り難い 企画だと言って良いだろう。未発表のHairspray Queen、 Aero Zeppelin、Big Long Nowは、特にどうと言う 事のないものだ。[80]
アメリカのグランジ・バンドの1993年にリリースされた2年振りの 3rdアルバム。中心人物であるボーカリスト兼ギタリスト、 KURT COBAINの自殺によりバンドは終焉を迎え、この作品が 最後となるアルバムだ。前作でのあまりにも予想外の大ヒットへの 戸惑いが感じられる作品で、前作であったコマーシャル性はかなり 殺ぎ落とされており、ある意味本来の彼等のスタイルに戻ったとも 言えるだろう。ただ、NEVERMIND以降のファンにとっては、 あまりにもクールで内省的過ぎる作品だ。とは言え、Rape Meや Pennyroyal Teaと言った、Smells Like Teen Spiritで見せた ロックンロール色の強い楽曲も残っているので、失望すると言う 程でもないだろう。[83]
アメリカのグランジ・バンドの1994年にリリースされたライヴ盤。 MTVの放送用に収録するために、1993年にアメリカで行われた スタジオ・ライヴの模様を収めたものだ。そのタイトルが示す 通り、全編アコースティック・ギターを中心とした ライヴとなっている。それから間もなくして、中心人物である ボーカリスト兼ギタリストのKURT COBAINが自殺と言う悲劇的な 最後を遂げ、バンドの歴史に幕を閉じた後の作品だけに、やはり 感慨深いものがある。彼等の音楽にあるクールさが、 アコースティックで演奏する事により倍化されている。その 一方で、より変化が小さく、聴いていて飽きて来る部分も なきにしもあらずだ。[82]
アメリカのハード・ロック・バンドの再結成第一弾だが、 オリジナル・メンバーはBRAD GILLS、KELLY KEAGYの 二人しかいない。最近オリジナル・メンバーで 復活してしまったために、もう既にこのラインナップ多分 存在しないのだろう。しかし、旧来のメンバーが 二人しかいないとはいえ、随分異なったイメージの作品で、何故 これをわざわざNIGHT RANGER名義で出すのか疑問だ。 NIGHT RANGERにおけるJEFF WATSONとALAN FITZ GERALDの役割が 如何に大きかったかということを図らずも露呈してしまった 形になった。やはり別のバンドとして聴くしかないが、ある程度 ポップだし曲自体は悪くないので、それなりには 楽しめるかもしれない。[78]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンド、 EDGE OF SANITYのボーカル、DAN SWANOの ソロ・プロジェクト・バンドのアルバム。内容的には EDGE OF SANITY調の曲をクリア・ボイスで歌う企画という感じだ。 EDGE OF SANITYでもMANOWARのBlood Of My Enemies等を クリア・ボイスで歌ってるので取り立てて珍しいものと言う 訳ではないが。普通の声で一応ちゃんと歌っているのですんなり 聴けるが、朗読しているに近く、ただでさえ抑揚がない 曲なだけにますます盛り上がりがないのは遺憾ともし難い。[85]
スウェーデンのハード・ロックバンドのデビュー盤。ドラムに ヘルプとしてEUROPEのIAN HAUGLANDが参加している。ドライヴ感覚 溢れる格好良いLove Is A Killerや、扇情感溢れるサビのDefender 等はなかなか聴きごたえがあって素晴らしい。それら以外は キャッチーなアメリカン・ハード・ロック風の曲が中心で、 Gamblerのギター・メロディの様にハッとする部分もあるものの、 全体的には落ち着いた感じのまずまずといった所の楽曲が多い。 音が少し古臭くてチープな感じがするのは残念だし、 Love Is A Killer位まで楽曲のレベルが上げるように目指して 欲しい。[85]
元STRIFEのGORDON ROWLEYが1980年に結成したイギリスの プログレッシヴなハード・ポップ・バンドで、これは1986年に ユーゴスラヴィアでリリースされた6thアルバムに再結成して 新たに録音された新曲を追加したもの。初期MAGNUMにおような ポップ・フィーリング溢れるプログレッシヴ・ロックという 感じで、ミドル・テンポ中心で変化に欠け淡々と進む感じがする。 6thアルバムに関しては非常に録音が悪く、それほど取り立てる 内容ではない。新禄に関してはもう少しエッヂのたった ハード・ロックンロールで、ポンプ・ロック的な部分は消え、 バンドとしての変質が伺える。[75]
BRAD GILLSを中心に3人組みで再結成されていたが、今回 オリジナル・メンバーによる編成でアルバムがリリースされた。 前回のアルバムは昔のNIGHT RANGERからはかなり離れた 作風だったが、今回はオリジナル・メンバーであっただけに、 作風も昔ながらのものになっている。JACK BLADESのボーカルは 昔のままだし、二人のギター・プレイも往年のNIGHT RANGERを 思い起こさせる。ただ、ほとんど聞こえないキーボードには ALAN FITZGERALDを連れてきた理由が全く見えないし、楽曲も それぞれ良い出来ではあるが、昔の名曲を 超えるだけの出来ものはない。Rock In Americaのリメイクも 退屈だが、昔のファンにはそれなりに納得できる出来だろう。 [83]
日本人ギタリスト、青木秀一率いるヘヴィ・メタル・バンドの 1992年にリリースされた3rdアルバム。楽曲的にはミドル・テンポ 中心の楽曲が割と多いが、残念ながら実はこれがあまり 面白くない。むしろスピード・チューンのTake My Heartと言った 楽曲の方がずっと良いし、何故こういう部分をもっと 出さなかったのかは疑問だ。中端途半にアダルトな感じがする上に、 アメリカン・ハード・ロック的な指向があるのに、たまに ヨーロピアン風の泣きをやったりするのはむしろ散漫な印象を 受ける。出来自体は特別悪い訳ではないのだが、とりたてるものも ない。[68]
青木秀一率いる日本のヘヴィ・メタル・バンドの1994年に リリースされたアルバム。どう言う心境の変化か、これまでと 比べるとかなり方向転換しており、ハードさはかなり無くなり 単なるポップ/ロック・アルバムと言っても良い様な作品に 仕上がっている。ブルージィ的な部分があったり、ほのぼのとした 曲があったりと、それはそれで悪くないと思うが、やはり 物足りない感じはするのは確かだ。Rainy Route “B”の様な アップ・テンポの曲もあるが全体的に落ち着いた内容である。 X-JAPANのTOSHIがゲスト参加しているが、まぁ、どうでも良い 話だ。[68]
詳細は全く判らないが、フィンランドの ゴシック/パワー・メタル・バンドのアルバム。TARJAのソプラノと TUOMASのクリア・ボイスのツイン・ボーカルで、TARJAの ソプラノを前面に押し出しているが、THE 3RD AND THE MORTALや ELBERETHの様な耽美さを押し出したものではなく、バックは かなりパワー・メタル然としている。特にElvenpathは明らかに HELLOWEEN等に代表されるような ジャーマン・パワー・メタルであり、そこにかぶさるソプラノが あいまって独特の非常に奇妙な世界を作り出している。ゲストで フルートを入れたりとアイデアは多種多様で、このフルートと キーボードにソプラノで切々と歌い上げるAngels Fall First等は なかなか美しいし、民族音楽的なメロディを奏でるTutankhamenの イントロも面白い。耽美さはそれ程感じられないのだが、この パワー・メタル然としたメロディとのりの良さが、ゴシックと 混在して作り出す不可思議な世界が独特で結構面白い。[85]
ギリシャのメロディック・デス・メタル・バンドの4thアルバム。 EFTHIMIS KARADIMASの吐き捨て型デス・ボイスはなかなか 強烈だが、バックはややヘヴィだがかなり普通の ヘヴィ・メタル然としている。シンフォニックなキーボードに ゴシック的な色合いが見えなくもないが、ゴシック色は ほとんどないと言って良いだろう。ツイン・リードが奏でる ギター・メロディは叙情的で翳りが感じられてなかなか心地良い。 アイデアは悪くないと思うし、メロディ・センスも悪くないので、 さび辺りがもう少し印象的で良くなれば結構良い作品になったと 思う。[82]
フィンランドのゴシック/パワー・メタル・バンドのアルバム。 TARJAと言う女性ボーカリスト擁するバンドで、既に リリースされているデビュー盤と同タイトルの500枚限定の アルバムだ。そのデビュー盤の特殊盤と言った感じの作品で、 楽曲も大半が重複しており、Once Upon A Troubadourと A Return To The Seaと言うアルバム未収録曲が2曲 収められている。Elvenpath等が収録されていないので、 ジャーマン・パワー・メタル的な色合いは全く 感じられなっている。この2曲は他の曲に比べて、どちらかと 言うとよりゴシック色を強く押し出しており、同名の通常盤よりは パワー・メタル色が薄くなっている。[83]
アメリカのハード・ロック・バンドのオリジナル・メンバーによる 復活第2弾となる7thアルバム。NIGHT RANGERらしさがあまり 感じられなかった前作に比べれば、今作はまだ彼等らしい作品と 言える。ただ、キャッチーなメロディでそれなりに良く 出来ているとは思うが、一方で名曲といえるような楽曲が 見当たらず、その分過去の名作に劣ると言わざるをえない。昔、 懐かしい郷愁に思いを馳せる事はあっても、それ以上にのめり 込ませるような部分がないのだ。Revelationの様なのりの良い曲を やらせるとさすがだなと思わせるのは確かだが。[80]
詳細は全く不明だが、恐らくブルガリアの ゴシック・メタル・バンドの1997年にリリースされたアルバム。 アコースティック色の強い静寂感を持った部分と、ドゥーミィで ヘヴィな部分の両面より構成されたサウンドだが、それ程重厚な 感じはない。特に静寂感のあるサウンドからヘヴィな部分に切り 替わるときにあまり展開が感じられないため、一本調子な 感がするのはいかんともしがたい。RADOSLAVA DIKANSKAという 女性ボーカルを全面に押し出しているが、方向的には会っている。 楽曲のテンポに変化をつけるなど、もう少しめりはりを 付けなければ、耽美型のゴシック・メタルと言えども飽きが 来る。[76]
スペインのヘヴィ・メタル・バンドの1995年にリリースされた 恐らく4thアルバム。爽やかなメロディのヘヴィ・メタルで適度に キーボードを効かせた、キャッチーなメロディは中々良く 出来ている。但し、プロダクションは最低で、とにかく録音状態が 酷いのはいかんともしがたい。こもった、チープなサウンドで、 折角の良質のメロディもだいなしとしか言い様がない。演奏的には 可もなし、不可もなしという感じだが、楽曲の出来自体はかなり 高レベルだ。テンポ良い良質のポップなメロディの楽曲を歌い 上げるボーカルも良い味を出しているだけに、この録音状況の 悪さだけが何とも残念だ。[79]
巨漢ギタリスト、青木秀一率いる日本のハード・ロック・バンドの 1990年にリリースされた2ndアルバム。渇いた叙情的な メロディは、どちらかと言えばジャパメタと言うより、 アメリカン・ハード・ロックを日本風にアレンジした様な感じだ。 特に鼻にかかった様な感じのする、青木秀一の野太いパワフルな ボーカルがそう言った感をより強めている。それなりに良く 出来ている作品ではあるが、欠点を見ると、やや変化に乏しく、 バラエティさに欠けるのと捨て曲が多い辺りが残念だ。 Don't Tell Me Nowの様な楽曲がもう少し多ければめりはりが もっと付いたと思うのだが。[77]
青木秀一率いる日本のハード・ロック・バンドの1994年に リリースされたベスト・アルバム。バンドの個々のアルバムを 取ってみると全体的にまずまずの整った楽曲が並んでいるが、 これと言った楽曲はないと言う印象が強かったが、こうやって ベストで聴くと意外に良い曲もあったんだなと思える。特にここに 並んでいる楽曲はBreath Of FireやTake My Heart,Shou等、中々 叙情的で扇情的な楽曲が並んでいて、引き付けるものがある。 こういった楽曲をもっと書けば面白いのにと思えるが、 ベストだからこれだけ濃さがあると言うのがこのバンドの 限界なのだろうか。意外に普段のアルバムよりもジャパメタ度が 強い様に思える。[79]
元PRECIOUSのギタリスト、梶山章を中心とした、日本の ミュージシャン達によるRAINBOWのトリビュート盤。その他、 ボーカルにPOWER NUDEの森川之雄、キーボードにGERARDの 永川敏郎、ドラムにGIRL U NEEDの工藤義弘、ベースに加瀬竜哉、 他CONCERTO MOONの島紀史、TERA ROSAの岡垣正志を始め、本家の JOE LYNN TURNER、DAVID ROSENTHALと言う強烈な 布陣となっている。Gates Of Babylonの前に中東風のオリジナルの 小曲、Road To Babylonを入れるなど小技を入れて来て、単なる カバーに終わっていないところにも好感が持てる。バックの演奏も 名だたるメンバーが参加しているだけに十分素晴らしいが、特に 森川之雄のボーカルは絶品だ。[85]
ドイツのメロディック・デス・メタル・バンドの2ndアルバム。 BJORN GOOβESのデス・ボイスはヒステリックな咆哮と言った 感じのタイプで、好き嫌いが分かれるかも知れない。楽曲的には 正統的なヘヴィ・メタルと言う感じで、IRON MAIDEN的な エッセンスを持ったアップ・テンポな作品だ。メロディは憂いを 帯びていて、扇情的で楽曲の出来は中々良い出来だ。JENS、 FRANKのBASTEN兄弟のギターがそう言った風情に合っていて、 情感をより倍加している。IN FLAMES程過剰なドラマティックさを 出さず、押さえ気味にしている感じで、楽曲のまとまりがかえって 出ているように思われる。[84]
ドイツのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。前作では ゴシック・メタルとジャーマン・パワー・メタルを取り入れた様な サウンドだったが、今作では明らかに正統派ヘヴィ・メタル的な 素要を強め、ゴシック・メタル的な部分はほとんど 見えなくなった。適度にキーボードを挿入した、叙情的で クラシカルなメロディのヘヴィ・メタルで、方向的には STRATOVARIUS的な部分もある。前作ではまだアイデアを 昇華しきれてなく、まとまりのなさも見せていたが、今作では 完成した一個の作品に仕上がっていると言って良いだろう。楽曲の 完成度はかなり上がっているし、TARJAの ハイ・トーン・ソプラノが面白い味付けになっている。この TARJAのボーカルと、フルートを取り入れていたりする部分を 除けばまさしく正統派のヘヴィ・メタルと言って良いだろう。[85]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの5年振りとなる2枚組みの 3rdアルバム。言葉では語り尽くせない様な混沌としたサウンドは 何とも不可思議な世界を創造している。ノイズとも言える様な音の 処理に、ゴシック・ロック的な雰囲気も持つダークなメロディに、 ときにはヘヴィに、ときには静寂感を醸し出し、良くこう言った 作品を作り上げることが出来るなと感心させられる、構築美を 感じさせるアルバムに仕上がっている。シングル向きとは到底言い 難い楽曲群だし、こういった作品がどれほど受け入れられるのか 疑問だが、TRENT REZNORの鬼才振りは十分味わえることが 出来るだろう。[86]
カナダのロック・バンドの2ndアルバム。音楽的には、 オルタナティヴ・ロックの影響が色濃く見える ロック・アルバムで、PERL JAMやMETALLICA、CREED、末期 SOUNDGARDEN辺りのエッセンスが感じられる作品だ。出来自体は そこそこの線を行っているとは思えるし、骨太のサウンドで、 それなりにフックはあるのだが、意外と聴き易い作品に 仕上がっており、楽曲によっては逆にインパクトが足りないと 言った感もなくはない。全体的に出来は悪くないのだが、その 一方でこれと言ったものがなく、少し物足りなさも感じられる。 [80]
フランスのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた アルバム。ボーナス・トラックとしてライヴが6曲 収められている。ボーカルのJEAN MARIE BOIXが亡くなったので、 その追悼盤と言う意味がある様だ。方向的には、この頃の フランスの多くのバンドが影響を受けたであろう、N.W.O.B.H.M. そのものと言った感じの作品で、愁いの漂ったロックンロール調の ヘヴィ・メタルを聴かせてくれており、プロダクションの 悪さもそのものと言った感じだ。JEAN MARIE BOIXのボーカルは、 決して上手いと言える代物ではないが、N.W.O.B.H.M.でも居そうな タイプで、むしろ雰囲気を出していると言っても良いかも 知れない。全体的に泣きのメロディが強くて、バラードの Invisible World等中々良い出来だ。[84]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。TARJAの ソプラノ・ボイスを前面に押し出したスタイルから、まず ゴシック・メタル方面から注目を浴びたが、その音楽的方向性は、 北欧的な叙情的なメロディのパワー・メタルと言えるものだ。 この取り合わせのアンバランスさが、このバンドに一種独特な 雰囲気をもたらしているのだが、ここは好き嫌いの 分かれるところだろう。ドラマティックな楽曲がこのボーカルを 意外と際立たせていて、アイデアが上手く生かされている様な 感じがする。やや流麗すぎる面があって、もう少し扇情的な部分を 押し出しても良い様な気がするが、全体的に良く出来た作品だ。 [84]
アメリカのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には、 アメリカのこの手のバンドらしく、テクニカルなデス・メタルだ。 ブラスト・ビートを中心に、変則的でアグレッシヴな演奏を前面に 押し出した、ブルータルな作品で、凶悪な雰囲気を醸し 出している。このバンドが他のアメリカのバンドと違うところは、 アルバムのジャケットでも判る様に、エジプト的な雰囲気を持ち 込んでいるところだろう。ブルータルな展開で 進行していきながら、ところどころでエジプト的な荘厳さを醸し 出すと言うアクセントを付けている。それがブルータルな サウンドに、より一層邪悪さを加えていると言って良いだろう。 [81]
BALTIMORE、BRAZEN ABBOTのブルガリア人ギタリストによる ソロ・プロジェクトのアルバム。そのアルバム・タイトルが示す 通り、ロック・オペラと言えるドラマティックで壮大なアルバムに 仕上がっている。BALTIMORE的なオーソドックスな ハード・ロックが基調になっており、ここにオペラ的な エッセンスを加えたものとなっている。元RAINBOWの JOE LYNN TURNER、ALANNAH MYLES、元DEEP PURPLEの GLENN HUGHES、元YNGWIE MALMSTEENのGORAN EDMANとJORN LANDE、 元RAINBOWのDOOGIE WHITE等と言ったボーカリストが 参加しており、ストーリーに沿った配役をそれぞれが こなしている。バックはドラマーのIAN HAUGLAND、ベーシストの JOHN LEVEN、キーボードのMIC MICHAELIと言う元EUROPEの メンバーで固められている。[85]
フィンランドのゴシック/パワー・メタル・バンドの企画盤。 最新アルバム、WISHMASTERのタイトル・トラック曲に、既発表曲の バージョン違いが2曲、OCEANBORNの日本盤ボーナス・トラック、 ANGELS FALL FIRSTの限定盤に収められていたものが2曲の全6曲と 言う構成になっている。まぁ、言わばマニア向けの作品と 言えるのだが、その割には未発表曲もないし、注目するのは バージョン違いの2曲とビデオ・クリップだけと言うのは少々 辛いか。最近のファンならば、A Return To The Seaが 収められているANGELS FALL FIRSTの限定盤等は入手が難しいと 思えるので、それはそれで価値があるだろう。[77]
アメリカのジャズ・ロック・バンドの2年振りの4thアルバム。 TALAS、MR.BIGのベーシスト、BILLY SHEEHAN等によるユニットで、 当然テクニックを前面に押し出した作品と言って良いだろう。 ジャズ・ロックと言う性質上、ある意味プログレッシヴ・ロック 的で、KING CRIMSONのRedをカバーしている辺りは中々 はまっている。BILLY SHEEHANのスパー・プレイは言うに及ばず、 JOHN NOVELLOのキーボード・プレイも大きな役割を果たしている。 編成的にはギターがいないのだが、それを気にさせない様な密度の 濃さだ。決して一般受けする様な作品ではないが、 感嘆させるだけの演奏は聴かせてくれる。[83]
カナダのヘヴィ・ロック・バンドの3rdアルバム。Never Again等は メロディが非常にグランジやオルタナティヴ・ロック的だが、 Never Againでのギター・メロディ等は非常にヘヴィ・メタル 的だ。非常にのりが良く、中々聴き応えのあるアルバムに 仕上がっている。オルタナティヴ・ロックらしい、 キャッチーではあるが、どことなく乾いたダークな楽曲は、それ程 新鮮さはないものの、実に味わい深いものとなっている。この 手のものとしてもメロディ・センスの良さは光っているし、 ソウルフルで中々レベルの高いアルバムに仕上がっている。[83]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。カバー、 1曲、新曲、2曲、リメイク、1曲、ライヴ、11曲の全15曲と言う 構成になっている。カバーはそのアルバム・タイトルが示す 透り、GARY MOOREのOver The Hills And Far Awayで、バックは そのままほぼコピーだが、そこに当然TARJAのボーカルが 乗るところが面白い。新曲の彼等らしいドラマティックな 10th Man Downと憂いに満ちたバラードのAwayも悪くない。 それよりもライヴの出来が中々のもので、TARJAのボーカルを 始め、演奏は流石と言えるレベルで、彼等の魅力を十分 伝えてくれている。[82]
フィンランドのパワー・メタル・バンドの2年振りとなる 4thアルバム。音楽的にはこれまでの延長線上と言えるもので、 女性ボーカリスト、TARJA TURUNENのソプラノを押し出した、 オペラチックなパワー・メタルを聴かせてくれている。若干あった ゴシック・メタル的なエッセンスはほとんどなくなっており、より 純然たるメロディアス・ヘヴィ・メタルと言った色合いが 強くなっている。オペラチックなだけに、ミュージカルの The Phantom Of The Operaをカバーするアイデア等は面白い。 今作からSINERGYのベーシスト、MARCO HIETALAが加入しているが、 元々TAROTではボーカリストだっただけに、Dead To The World、 Feel For You、The Phantom Of The Operaでそのパワフルな ボーカルを聴かせてくれており、TARJA TURUNENの歌声と 対比していて面白い。[86]
アメリカのデス・メタル・バンドの2年振りの3rdアルバム。 方向的には当然これまでと変わるはずもなく、ブラスト・ビートを 前面に押し出した、テクニカルなグラインド・コア系 デス・メタルを聴かせてくれている。この混沌とした世界観は、 オカルティズムに溢れており、まさしくデス・メタルとしての 畏怖を感じさせるものだ。畳み掛ける様に重厚で攻撃的なリフと、 不気味さを漂わせるメロディはドラマティックさすら感じさせる。 北欧のシーンとはまた独立したアメリカの エクストリーム・ミュージックではあるが、独自のスタイルとして ここまで昇華したのは感嘆する。[87]