SOMETHING STRONG / O'RYAN
元TRAPEZE、WISHBONE ASHのボーカリストで、PHENOMENAの
プロデューサーとしても活躍するMERVYN SPENCEの初の
ソロ・アルバム。音楽的にはAOR系の洗練された産業ロックとも
言えるもので、叙情的なメロディの聴き易い作品に
仕上がっている。バックがキーボード主体であるため、音の厚みが
やや薄いと言う印象を受けるが、彼のエモーショナルなボーカルが
それをカバーしている。彼の経歴的には、最もハード・ロックから
遠いと言える作品なので、ハード・ロック側のリスナーにはあまり
面白くないかもしれないが、キャッチーなメロディ・センスは
流石と思わせるものがある。[80]
INITIATE / O'RYAN
元WISHBONE ASHでPHENOMENAにも参加していたイギリス人
ボーカリストの2ndソロ・アルバム。PHENOMENA後は、スイスの
ハード・ロック・バンド、ZEROのANGI SCHILIROと一緒に
活動したりしていた様だ。楽曲は落ち着いたAOR系
ハード・ポップで非常に叙情的で美しい。それよりもO'RYANの
非常に美しい透ったボーカルは、筆舌に尽くしがたいほど
素晴らしい。PHENOMENAの曲を4曲リテイクしているが、それに
劣らずオリジナルも殆どそれを上回る美しい泣きのメロディを
持った楽曲で構成されている。これだけ歌の上手い人に、これだけ
良い曲のアルバムを作られると感嘆するばかりだ。[93]
BY TIME ALONE / ORPHANAGE
詳細は良く知らないが、オランダの
メロディック・デス・メタルバンド。女性コーラスを取り入れ、
時には耽美に、時にはブルータルに迫る。ドゥーミィでヘヴィで
おどろおどろしいそのサウンドは、多分に変則的でどことなく
CELTIC FROSTを思い出させる。美しいというより怪奇的という
感じで、狂気を漂わせている。ときおり
ブラック・メタル・ボイスのようなボーカルを挟んでくるのも
オーセンティックでその雰囲気を強めている。バックの奇麗な
コーラスもかえって不気味さを助長している幹事がする。
耽美なものを望む向きには、ちょっと不向きかもしれないが、
独特のカラーがあって良い。[82]
OBLIVION / ORPHANAGE
オランダのメロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。
女性コーラスを取り入れたり、と聞くといわゆる耽美なものを
思い起こすかもしれないが、実際は耽美さはまるでなく、跳ねた
リズムのグルーヴィなものだ。全体的に女性コーラスの
取り入れ方、楽曲のメロディ等を考えると、明らかに
CELTIC FROSTの手法を踏襲したものであり、実に奇怪な雰囲気を
醸し出している。うるさすぎず、静かすぎずというところであり、
これを中途半端に感じるか、どうかで評価は分かれるかも
知れないが、パターンにはまっていないバンドであることは
確かだ。[81]
BY TIME ALONE / ORPHANAGE
オランダのメロディック・デス・メタル・バンドの2ndアルバム。
日本盤には1997年にリリースされたミニ・アルバム、
AT THE MOUNTAIN OF MADNESSが全曲収録されている。女性
コーラスを配し、耽美なメロディを入れたりするところなどでは
ゴシック・メタルを思い起こさせる部分もあるし、重厚な
サウンドを聴かせる部分ではややドゥーミィさも感じさせる。
全体的には女性ボーカルの耽美な部分を所々配しながらも、
アグレッシヴで攻撃的なダークでヘヴィな
メロディック・デス・メタルという感じで、しゃがれ声の吐き
捨てるようなデス・ボイスが結構あっているし、ときには
インダストリアル風にボーカルを処理してしまっているのも
面白い。Five Crystals等の一風変わった不思議なメロディも
なかなか良い出来だ。一般受けするかどうかは別として、
オリジナリティが感じられて良い。[83]
TIME TRAVELLING BLUES / ORANGE GOBLIN
イギリスのヘヴィ・ロック・バンドの2ndアルバム。
ストーナーとしてはかなりドゥーム・メタルよりのバンドで、
初期BLACK SABBATHをよりサイケデリックにした様な印象を
受ける。ストーナーとしてはSHEAVY等程の
サイケデリックさはなく、埃っぽくてよりヘヴィ・ロック的だ。
埃っぽくて、Time Travelling Blues等はサザン・ロック的な
印象も受ける。ボーナス・トラックとして、初期
ドゥーム・メタルの雄、TROUBLEのBlack Shapes Of Doomが
収録されている所などは非常にはまっている。サイケデリックで、
ヘヴィで、古臭いサウンドが好きであるならば、楽曲の出来を始め
良く出来ているので、聴いても損はない。[84]
AT THE MOUNTAINS OF MADNESS / ORPHANAGE
ベルギーの
プログレッシヴ/メロディック・デス・メタル・バンドの
ミニ・アルバム。既発表曲である、タイトル・トラックの
At The Mountains Of MadnessとFive Crystalsのミックス違いに、
ライヴが3曲と言う構成になっている。彼等の独特ともいえる
プログレッシヴでグルーヴィなサウンドは非常にユニークで
面白く、それはこのミックス違いでも変わりない。ライヴでの
演奏の完成度も高く、アルバムでの世界を見事に再現している。
The Crumbling Of My Denialはパーカッションだけによる
トライバルな楽曲で意表を突かれる。コーラスの出来にやや不満が
残るし、3曲だけでは少し物足りない感じがするが。[82]
CANDYASS/BLUE MONDAY / ORGY
アメリカのインダストリアル系バンドの全米で
ミリオン・セラーとなったデビュー盤に、Blue Mondayの
リミックスばかりを収録したミニ・アルバムをカップリングした
2枚組みアルバム。L.A.メタル・バンド、ROUGH CUTTの元
ギタリスト、AMIR DERAKHがギタリスト兼シンセサイザーで
参加している。方向的には、ヘヴィでラウドな
インダストリアルだが、MINISTRYの様なメタル的な雰囲気のある
バンドではなく、ダークな感じのするゆったりとした感じもする
作品だ。シングル・ヒットしたBlue Mondayはややテンポ良く、
如何にもデジタル系と言った感じの楽曲で、キャッチーな
味わいがある。Blue Mondayのリミックス集は、よりデジタル的な
エッセンスを強く打ち出しているため、メタル系のリスナーには
少し辛いかもしれない。[83]
THE BIG BLACK / ORANGE GOBLIN
イギリスのヘヴィ・ロック・バンドの3rdアルバム。前作と
比べると、よりドゥーム・メタル的な色合いを強くしており、
デビュー盤の頃に揺り戻した感じだ。ストーナー的な色合いは
健在で、歪ませたサウンドは非常にサイケデリックで
グルーヴィだ。BLACK SABBATHっぽいドゥーミィさがあって、
如何にも1970年代のヘヴィ・ロックと言う感じで、埃っぽい作品に
仕上がっている。トリップした様な重厚なサウンドは圧巻で、この
手の作品としては傑作と言っても良い出来で、流石と
思わせるだけのものに仕上がっている。この混沌とした
サイケデリックさは圧巻と言うしかない。[89]
ORIGIN / ORIGIN
アメリカのデス・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には
いわゆるグラインド・コア系のブルータル・デス・メタルと
言えるものだ。ブラスト・ビートがふんだんに散りばめられて、
正に激烈と言えるものに仕上がっている。元ANGELCORPSEの
ドラマー、JOHN LONGSTRETHの叩き出すドラミングは最早
驚異的としか言い様がないが、パカパカと軽い音質が非常に
気にかかる。グラインド・コア的ではあるが、MARK MANNINGの
咆哮型デス・ボイスが意外と歌っていてそれ程聴き難いと言う
感じはしない。それでも一般的とは到底言えない暴虐さがあるのは
間違いない。[80]
VAPOR TRANSMISSION / ORGY
アメリカのロック・バンドの2ndアルバム。ヘヴィで
インダストリアル・ロック的な色合いを見せていた前作の
延長線上とも言える路線だが、方向的にはよりゴシック・ロック
的な色合いがはっきりと打ち出される様になった。
ニュー・ウェーブとゴシック・ロックを融合させた様な感じで、
ゴシック・ロックの極彩色的感覚がユニークだ。
オルタナティヴ・ロック的な色合いも感じさせる、キャッチーな
メロディは中々良い。NEW ORDERのBlue Mondeayのヒットで一躍
知られる様になったが、L.A.メタル・バンド、ROUGH CUTTの
元ギタリスト、AMIR DERAKHが参加しているのが、その
サウンドからは面影は感じられない。[82]
INSIDE / ORPHANAGE
オランダの
ゴシック/プログレッシヴ/メロディック・デス・メタル・バンドの
3rdアルバム。音楽的にはこれまで同様、ROSAN VAN DER AAの女性
クリア・ボイスを入れた耽美なメロディと、LEX VOGELAARの
デス・ボイスを中心とした、跳ねたリズムの不思議な味わいの
プログレッシヴ・ロック的な色合いの感じられる
メロディック・デス・メタルで構成されている。この跳ねた
リズムがグルーヴィさを出しており、アグレッシヴでのりの良い
アルバムとなっている。かなりオリジナリティの強いサウンドで、
それ故好き嫌いがはっきりと分れるかも知れないが、中々
ユニークな作品に仕上がっている。[82]
COUP DE GRACE / ORANGE GOBLIN
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの4thアルバム。これまで
ストーナー・ロックとしてもよりドゥーム・メタル的な
エッセンスを押し出した音楽性を聴かせてくれていたが、今作では
かなり方向性を変えていると言って良いだろう。楽曲は全体的に
アップ・テンポになっており、ハード・ロックンロール色が
濃厚になっている。サザン・ロック的ですらある埃っぽさと、
ヘヴィ・ロックらしいドゥーミィでグルーヴィなサウンドは決して
失われてはいないが、疾走感が増した分だけ攻撃的で
破壊力のあるものとなっている。それだけにエナジーが
ダイレクトに伝わって来るので、こう言う変化にも説得力がある。
[84]
INFORMIS INFINITAS INHUMANITAS / ORIGIN
アメリカのデス・メタル・バンドの2年振りの2ndアルバム。
方向的にはいわゆるグラインド・コア系のデス・メタルと
言えるもので、高速のブラスト・ビートを中心とした、激烈な
サウンドを聴かせてくれている。無慈悲なまでに暴虐で攻撃的な
作品で、伝統的なアメリカのテクニカル・デス・メタルの流れを
汲むと言って良いだろう。元ANGELCORPSEのドラマー、
JOHN LONGSTRETHによるブラスト・ビートがかなり強調され
過ぎており、ややうざったく思える部分もある。ボーカリストが
JAMES LEEに交代しているが、スクリーミング等も織り交ぜて、
破壊力を増していると言って良いだろう。[80]