スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 3年振りとなる2ndアルバム。方向的にはプログレッシヴ・メタル 的なエッセンスを持った、ややダークな感じのするヘヴィな 作品だが、前作と比べるとプログレッシヴ・メタル的な部分は かなり控えめになっており、よりストレートでシンプルな作品 作りがなされている。パーマネントなギタリストはこの 時点ではおらず、元FATEのMATTIAS EKLUNDHがゲスト参加で切り 抜けているが、彼のギターがヘヴィな音作りに重要な役割を 果たしていると言って良いだろう。重厚なコーラスはここでも 健在で、それが彼等の音楽を特徴付けている。[81]
ドイツのプログレッシヴ・メタル・バンドの1994年に リリースされたデビュー盤。パワー・メタル色が強く、 ドラマティックな音楽性はQUEENSRYCHEのフォローワー的な位置 付けになるのかも知れない。ヨーロッパのバンドらしく、より 憂いを帯びた泣きのメロディを前面に押し出しており、非常に アグレッションの強い作品に仕上がっている。JACK STEENの ボーカルの取り方もあって、かなりシアトリカルな感じのする 作品で、そう言う意味ではむしろCRIMSON GLORYに近いと言って 良いだろう。ややエッヂが立ち過ぎと言う感じの サウンド・プロダクションだが、バンドの魅力は引き立っている。 [83]
アメリカのモダン・ヘヴィネス・バンドの1992年にリリースされた 6thアルバム。元々キャッチーな部分も見せる ヘヴィ・メタルだったが、前作に至って現在の方向性を確立し、 今作でより推し進められた形となっている。モダン・ヘヴィネスと 言うジャンルを確立した、シーンのターニング・ポイントとなった 重要な作品で、この後血迷った多くのミュージシャンが自己の音楽 スタイルを捨て、彼等の亜流に走ってしまったのは何とも痛し 痒しだった。とは言っても、この作品の出来は素晴らしく、音楽 シーンにそれだけ多大な影響を与えたのは仕方がないだろう。 強烈なアグレッションとグルーブ感を持った作品で、凄まじい 破壊力を感じさせてくれるアルバムに仕上がっており、彼等の ステイタスを築いた記念すべき作品だ。[86]
アメリカのモダン・ヘヴィネス・バンドの1994年にリリースされた 7thアルバム。前作では遂に大ブレイクし、モダン・ヘヴィネスと 言うジャンルを確立したモニュメンタルな作品となった。今作も 方向的には前作の延長線上と言えるもので、如何にも彼等らしい ヘヴィでアグレッションに満ちたアルバムに仕上がっている。 PHILIP ANSELMOの怒りを吐きつける様なボーカルも、相変わらず 破壊力が満点で、作品をより強力なものにしている。前作から 変わっている部分と言うと、全体的にやや アップ・テンポになっている事だろう。BLACK SABBATHの Planet Caravanをカバーしているのは意外な選曲だが、また違った 趣があって悪くない。[84]
イギリスのゴシック・メタル・バンドの1993年にリリースされた 4thアルバム。GOTHICでロマンティックなスタイルを築き上げ、 そのアルバム・タイトルからゴシック・メタルと言うジャンルの 祖となったが、この作品でも彼等の初期のゴシック・メタルの スタイルが貫かれている。ミドル・テンポ中心の極彩色を 感じさせる様な流麗さを感じさせる。しかし、その後の アーティスト達が突き詰めていった様な流麗さや歎美さは、今 聴くとあまり感じられないのだが、彼等の作り出した ロマンティックな香りは素晴らしい。彼等の作品としてもより 完成されてきた感があり、その出来は中々のものだ。[84]
ドイツ人プロデューサー、ALEX PARCHEによる プロジェクト・バンドの1993年にリリースされた2ndアルバム。 楽曲のほとんどは、元ACCEPT、UDOのボーカリスト、 UDO DIRKSCHNEIDERとの共作となっている。その所為もあってか、 ACCEPTっぽい如何にもヘヴィ・メタルと言った金属的な 音楽性だが、その一方でかなりキャッチーなメロディ・センスが 見え隠れする。UDO DIRKSCHNEIDERの他、VICTORYのボーカリスト、 FERNANDO GARCIA、THUNDERHEADのボーカリスト、TED BULLET、 元VENGEANCEのボーカリスト、LEON GOEWIE等がゲスト 参加している。よりダイナミックな音作りがされているため、やや 生々し過ぎる気も過ぎるが、エッヂが立っていて、楽曲の出来も 悪くない。[81]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。その実態は、N.W.O.B.H.M.においてSATANと言う 名義で活動し、後にBLIND FURYに改名、その後再びSATAN名義で 活動していたバンドが、再び名義を変更してリリースしたものだ。 その音楽的方向性は、SATANやBLIND FURY時代とはやや 変化があり、ザクザクとしたリフを前面に押し出した、 スラッシィなものになっている。そう言った意味ではバンド名を 変更したのは理解できるし、出来自体も決して悪くないのだが、 N.W.O.B.H.M.時代の憂いを求めるSATANのファンに取ってはやや期待 外れかも知れない。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。その方向性は、ロックンロール色の強い ヘヴィ・メタルで、DAVID DERRICKのヒステリックな ボーカルもあって、DANGEROUS TOYSを思い起こさせる部分がある。 全体的にワイルドで破天荒ながら、よりヘヴィ・メタル的な 金属的な音作りがなされている。そんな中にも、楽曲によっては そこはかとない憂いとキャッチーなメロディがあって、意外と 味わい深さも見せている。楽曲の出来も悪くないし、硬軟両面から アプローチがなされており、モダンな感じのする新しさも 出しているユニークさがある。[83]
カナダ人ボーカリストの1990年にリリースされた デビュー・ソロ・アルバム。方向的には、キーボードを前面に 押し出した、キャッチーなハード・ロックで、BON JOVI的な エッセンスを感じさせるアルバムとなっている。もちろん個々に 違いはあるのだが、I'll Be There等はBON JOVIの楽曲と言っても それ程違和感はないだろう。洗練されたメロディ・センスは、 新人としてはかなりのレベルの高さを感じさせるし、楽曲の出来も これと言った飛び抜けたものはないが、全体的に悪くない。彼は 後にDANGER DANGERに加入しているが、こう言った作品の方が 彼には合っている様に思える。[80]
元FREE、BAD COMPANYのボーカリストによる、1993年に リリースされたソロ・アルバム。1950年代に活躍した、今は亡き ブルーズ・ミュージシャン、MUDDY WATERの トリビュート盤となっている。ギタリストとしてTREVOR RABIN、 BRIAN SETZER、JEFF BECK、STEVE MILLER、SLASH、GARY MOORE、 BRIAN MAY、NEAL SCHON、RICHIE SAMBORAと言った、名だたる ギタリストをゲストに迎え、彼がクールに、熱く歌い上げる様は 圧巻だ。トリビュート盤ではあるが、全てがMUDDY WATERの オリジナルの楽曲ばかりではなく、もっと古い楽曲も 収録されている。メタル側のリスナーにも、お馴染みの ミュージシャンが数多く参加しているが、あくまでも主眼は ブルーズなので、そう言う方面に免疫がないと退屈かも知れない。 [82]
元FREE、BAD COMPANYのボーカリストによる、1994年に リリースされたソロ・アルバム。純然たる新作ではなく、 MUDDY WATER BLUES A TRIBUTE TO MUDDY WATERSで、イギリス盤に 2枚組として付けられていた、FREE、BAD COMPANYの セルフ・カバーから、6曲と既発音源から4曲と言う 構成になっている。All Right NowやWishing Wellと言った お馴染みの音源が収められており、中々興味深いところだ。 メタル側のミュージシャンとしては、WHITESNAKEのギタリスト、 ADRIAN VANDENBERGや、JASON BONHAM、SLASH等が参加している。 [82]
元QUIET RIOT、ROUGH CUTTのボーカリストによる、1993年に リリースされたソロ・アルバム。JEFF NORTHRUPとの コラボレーションと言う形態を取り、元TOTOのボーカリスト、 BOBBY KIMBALL、元KING KOBRA、OZZY OSBOURNE、BLUE MURDERの ドラマー、CARMINE APPICE、元KINGDOME COMEのドラマー、 JAMES KOTTAK、元DAVID LEE ROTHのベーシスト、 MATT BISSONETTE、元DOKKENのベーシスト、JEFF PILSON等を ゲストに迎えて製作されている。方向的には、ブルーズ色の強い ハード・ロックで、彼の熱いボーカルに良く合っている。やや ハスキーなボーカルだが、非常に熱い歌声を聴かせてくれており、 中々聴き応えがあり、素晴らしい出来だ。[84]
アメリカ人シンガー・ソング・ライターの1994年にリリースされた 9年振りの3rdソロ・アルバム。ONLY CHILD等と言ったバンドを掛け 持ちし、プロデューサーやソング・ライターとしても幅広く 活躍しているミュージシャンだ。方向的には、キャッチーな アメリカン・ハード・ロックと言う感じで、アメリカらしい 洗練された叙情的なメロディを聴かせてくれている。やや ハスキーな彼のボーカルだが、パワフルで熱さが感じられる。 楽曲はやや波を感じなくもないが、さすが ソング・ライターだけあって、総じてレベルが高いし、 ダイナミックなプロダクションと、彼の実力を十分 感じさせてくれる。[82]
アメリカのハード・ロック・バンド、KISSのメンバーが1978年に それぞれのソロ・アルバムをリリースしたうちの1枚で、 ギタリスト、PAUL STANLEYのソロ・アルバム。同時にリリースした その他のメンバーのソロ・アルバムがKISSから、と言うより ハード・ロックから一歩離れた作品であるのに対して、この アルバムは如何にもKISS的だ。KISSのコンポーザーとしての存在を はっきりと認識させてくれる作品で、各メンバーの ソロ・アルバムの中では一番聴きごたえがある作品に 仕上がっている。こうなると、逆にソロ・アルバムでリリースする 意義が判らなくなって来るが、KISSのファンには一番馴染める 作品だろう。[84]
イギリスのゴシック・メタル・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。ゴシック・メタル的な要素は殆どなく、まだその スタイルを築く前の作品と言って良いだろう。NICK HOLMESの ボーカルも今よりデス・ボイス的であり、どちらかと言うと メロディック・デス・メタル風のアルバムになっている。楽曲も さしてこれと言ったものはない、B級のレベルと言った出来だ。 オカルティックでダークな作品で、おどろおどろしいだけの 作品だ。変則的で、実験的なサウンドは、かなりCELTIC FROSTに 影響を受けた様にも感じられる。ボーナス・トラックのライヴも さしたるものではないし、彼等のデビュー盤と言う意義を除けば あまり価値はない。[64]
イギリスのゴシック・メタル・バンドの1991年にリリースされた 2ndアルバム。元々はゴシック・メタル的な要素はほとんどなく、 デス・メタルからのアプローチを試みたバンドだったが、この 作品では女性コーラスを入れる等、後にゴシック・メタルと 呼ばれる耽美的な色合いのある要素を持ち込み、 ゴシック・メタルと言うジャンルを作り上げた金字塔的アルバムと 言える。このアルバム以降、より徐々にゴシック的な傾向を強めて 行く事になるが、この作品ではまだ1stの路線が色濃く 残っており、それ程ゴシック・メタルと言った色合いは強くない。 女性ボーカルを入れていたりするが、楽曲的にも明らかに CELTIC FROSTの影響があっての事だろう。これを ゴシック・メタルと言ってしまうの少し苦しいが、後々の方向性を 想像させるようなメロディが散見される。ボーナス・トラックの ライヴは最低で、演奏的な技術の稚拙さを感じさせる。[79]
カナダのハード・ロック・バンドのデビュー作。ヘヴィ・ロック 風であり、HAREM SCAREMをグルーヴィにした様であり、 THE ORGANIZATIONをシンプルに明るくした様であり、 グランジっぽくもある。楽曲自体の出来は悪くはないが、まだ 消化しきれておらず、可も無し不可も無しと言ったところで、 残念ながらこれと言ったものが感じられない。ヘヴィとは 言っても、ヘヴィネスと言った程ヘヴィ過ぎると言った 感じではないために、このキャッチーさを保てているとは 思うのだが、全体的に中途半端な感じはいがめない。[80]
THE 3RD AND THE MORTALを発掘したVOICE OF WONDER系列の HEAD NOT FOUNDが送るメロディック・デス・メタル・バンドの アルバム。デス・ボイスのTOM KVALSOLL、クリア・ボイスの TOM ERIK EVENSEN、女性ソプラノのZILLAという編成の トリプル・ボーカルという編成となっている。デス・ボイスは 典型的なタイプであまり有り難くないのだが、ZILLAはKARIに近い レベルの素晴らしいハイ・トーン・ソプラノを 聴かせてくれている。ただ楽曲は陰鬱でダークネスな メロディック・デスでゴシック的な要素はほとんどない。ZILLA、 TOM ERIK EVENSENのボーカルはかなり耽美だ。[74]
イギリスのゴシック・メタル・バンドの5thアルバム。前作は 一躍ゴシック・メタルの名を世間に轟かせた快作だったと言って 良いだろう。NICK HOLMESのボーカルはデス・ボイスまでとは 言えないが、ダミ声で一種独特の雰囲気を作っているものの、 これまでと比べてかなりストレートになってきている。サウンドは この手のものではかなり重厚なサウンド作りをしており、他の バンドと比べると音数が多いという感じがしないでもない。割と 親しみ易いメロディだしゴシック・メタルと言うよりは ゴシック・ロック的なエッセンスが強く、聴き易くなった 代わりに、これといった特徴が少し感じなくなってしまっている。 [83]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 オーセンティックなヘヴィ・メタル・バンド、CRIMSON GLORYの 元ギタリスト、BEN JACKSONが中心となって結成されたバンドで、 CRIMSON GLORYがそうであったように正当派ヘヴィ・メタルと 言えるサウンドの作品だ。派手さはないのだが、叙情的で美しい メロディは澄み渡っている。CRIMSON GGLORYのオーセンティックな ボーカルに比べると、オーソドックスで高音の伸びも悪くなく、 随分聴き易くなっている代わりに印象も薄い。全体的に良く 出来ているが、その一方で盛り上がりには欠けるのが残念だ。[85]
デンマークのハード・ロック・バンドのデビュー盤。北欧の バンドではあるのだが、その音楽的方向性はノリの良い アメリカン・ハード・ロックという感じだ。ファンキーで キャッチーなメロディはフックが効いていて、グルーヴ感もあって 中々良い感じだ。全体的な構成も良いし、プロダクションも しっかりしていてデビュー・アルバムとは思えない内容だが、 完成され過ぎていて逆にオリジナリティを感じないのが少し 残念だ。とは言うものの、トータル的な出来は非常に良いし、 レベルの高い作品であるのは間違いない。[86]
カナダ人ブルーズ・ロック・ギタリストのアルバム。あくまで ベースになっているのはブルーズ・ロックなのだが、グルーヴィで のりの良い楽曲に演奏、それにハードなギター・プレイは ブルーズ・ロック・ファンでなくとも十分楽しむ事が出来る 作品だと言えるだろう。テンポが良いので、飽きさせずに一気に 聴かせてくれるところに好感が持てる。GARY MOOREの様に ブルーズより過ぎる事がなく、あくまでもロックしているので、 アレルギーを持つこともないだろう。肩肘に力の入っていない 自然な雰囲気を醸し出しており気楽に聴くことが出来るアルバムに 仕上がっている。[84]
アメリカのモダン・ヘヴィネス・バンドの8thアルバム。 モダン・ヘヴィネスと言うジャンルの創始者とも言える、彼等の スタイルももう確固たる域まで来ているが、もう既に真新しさは 余り感じられない。PHILIP ANSELMOの叫びまくる ボーカル・スタイルにも食傷気味だ。土臭いブルーズと スラッシィな楽曲の組み曲となっているSuicide Noteが唯一 目新しいところだろう。割と疾走感のあるLiving Through Me等は 聴きごたえがあるが、フォローワーを数多く産んだ現在、全体的に もう斬新さは感じない。かなりノイジィな感じであり、もっと 閉塞した方向に進んでいくのだろう。[74]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた アルバムだが、バンドは既に解散している。ミドル・テンポ中心で 明るい楽曲が並び、エッヂの効いたラフでワイルドなサウンドで 如何にもL.A.という感じのバンドだ。メロディは以外に キャッチーで親しみ易く、演奏の出来も悪くない。コーラスを 多用しているが結構うまく、全体的な完成度は高いが、楽曲は 平均的に出来ているものの、飛び抜けた楽曲がないのは残念だ。 メンバー・ショットを見る限りではルックスも結構重視している 様だし、悪くないバンドなのだが。[80]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には、 いわゆるQUEENSRYCHEタイプと言えるバンドで、扇情的で ドラマティックなサウンドは前作の延長線上にある。非常に硬い 音作りをしており、鮮烈過ぎるほどだが、それが災いしてか ボーカルが少し浮いている様に感じるし、メロディの叙情さの 印象を薄くしている。ただし、ドラマティックさという点に 置いては前作を凌ぐ出来にはなっていると思うし、より ヘヴィ・メタル然としたアルバムに仕上がっている。 プロダクション的に工夫すれば、もう少し良い作品に 出来たのではないかとも思うのだが。[82]
JOHN ZORN、BILL LASWELL、MICK HARRISによるバンドの1992年に リリースされた2ndアルバム。GODFLESHのメンバーをゲストに 迎えており、ジャンル的にはデス・メタルになるのだろうか。 如何に不快な音を出すかを考えている様なそのサウンドは、 はっきり言って理解不能だし、特にJOHN ZORNのそのサックスに 譜面等というものが存在するならば見てみたいような、無秩序な 音の羅列を音楽等とあまり言いたくないし、聴いていると頭が 痛くなってくる。デス・メタルと言ってもあまりに前衛的過ぎて、 これを楽しめるという人はほとんどいないと思うのだが。[0]
アメリカのハード・オルタナティヴ・ロック・バンドが1993年に リリースしたデビュー盤。その根底に流れるものは、 ハード・ロック、ヘヴィ・メタルとはまた異なるものだが、 ヘヴィなエッヂの効いたサウンドは重厚だ。パンチはあるが、 何となくダークさがあってストレートでないのがユニークだが、 一方でそれが聴きづらかったりもする。楽曲は、その重厚さと 軽快さを織り混ぜながら進み、そのリフを含めて如何にも オルタナティヴ・ロックらしい楽曲になっている。アイデア的には 悪くないと思うが、ヘヴィ・メタル系のリスナーには楽曲的に 趣味に合わないかも知れない。[74]
DANGER DANGERに加入したカナダ人シンガー・ソング・ライターの 2ndソロ・アルバム。PAUL LAINEの加入しながらDANGER DANGERの 新作は何故かポップな路線から離れてしまったが、まだこの アルバムの方が1stソロ・アルバムで見せたポップなセンスが 見え隠れする。1stソロに比べるとややロックンロール色が 強く感じられる曲もあるが、Two Sides Of Love等に見られる ポップ・センス溢れる楽曲は如何にもらしいもので、むしろ こういった曲の方がまだDANGER DANGERには合っていたのでは ないだろうか。ちょっとバラードの数が多過ぎるような気もするが 良質のハード・ポップ・アルバムである。[82]
FREEやBAD COMPANY等の活動で知られるイギリス人 ロック・シンガーのソロ・アルバム。ブルージィな楽曲に エモーショナルなボーカルは相変わらずで、安心して 聴いていられる。カラッと明るいキャッチーなのりの良い楽曲が 中心で、もう少し湿り気のある楽曲も欲しい気がするが、 リラックスして聴けるアルバムに仕上がっている。やや THUNDERっぽい風味があるので、THUNDERが好きなら聴いてみると 良いだろう。PAUL RODGERSの歌声はもとより、バックも しっかりしているし、彼の歌唱を聴くだけでも価値がある。[86]
詳細は良く判らないが、珍しい多分オーストラリアの デス/ゴシック・メタル・バンドのアルバム。ボーカルは デス・ボイスが中心で、クリア・ボイスも織り交ぜており、 Song Of The AncientとGone等ではソプラノのゲスト・ボーカルを 入れたりと、この手のものでは割と良くある形だ。FUNERALや DYSTROPHY程重過ぎずもなく、アコースティックな部分も あったりする。耽美さはそれ程なく、叙情的な部分と おどろおどろしい部分を併せ持っているのだが、意外に アイデアをこなしきれておらず、最後まで間が持たない。印象的な メロディの割合が低いのも致命的で、オカルティックな雰囲気が 良いというのでなければ少し苦しいところだ。こういう方向を 目指すなら、もう少しドゥーム的な色彩が強い方が 面白かっただろう。[58]
スイスのハード・ロック・バンド、SERGENTの元ボーカリストで、 COZY POWELのプロジェクト・バンド、FORCEFIELDにも参加していた イギリス人シンガー、PETE PRESCOTTのプロジェクト・バンドの アルバム。叙情的なナンバーにソウルフルでややGLENN HUGHES似な ボーカルは中々合っている。PETE PRESCOTTのボーカルはうまいと 言って良いし、PAUL SINDENのギターはエモーショナルで、 全体的なプロダクションも良い出来だ。楽曲は曲によってやや出来 不出来の差があるものの、やや湿り気のあるキャッチーな メロディ・センスを持ったブルージィなもので、出来は悪くない。 [82]
バックにTOMY ALDRIDGEを迎えて、6年ぶりの久々の新作となる、 フランス人ギタリストによる3rdソロ・アルバム。いわゆる ギター・インストルゥーメンタル・アルバムで ネオ・クラシカル系の部類になる。ドラマティックで冷めた 軽やかなサウンドで、流暢なギター・フレーズを 聴かせてくれる。演奏的にも良く出来ているし、楽曲も 良くまとまっていて好印象を与えてくれる。方向的には TONY MacALPINEを思い起こさせる内容で、この手のものが好きな 人にはお奨めの中々良く出来た作品だ。[84]
デンマークのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。叙情的で 明るくリラックスしたナンバーが並ぶ。エッヂのたった生々しい 音作りに、優しく、時に力強く歌うギタリスト兼ボーカリストの TORBEN LYSHOLMの透ったボーカルの存在が大きい。バラードの The Sound Of Musicの暖かみを感じる美しいメロディも 派手さはないが中々秀逸だ。全体的にのりが良く出ていて、時には EXTREME風の一部ファンキーなギター・メロディも出てきたりして フックが感じられて悪くない。全体的にそつなく出来ているが、 飛び抜けた楽曲がないのも事実だ。[83]
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンド、PAVLOV'S DOGの 元ドラマーMIKE SAFRONが結成したバンドのミニ・アルバム。 MIKE SAFRON自身がボーカルを取っており、ヴィヴラートを 効かせた本家風の歌いかたをしているものの、比べるとやや インパクトに欠ける感はいがめない。楽曲はめりはりを効かせた キャッチーなメロディのハード・ポップという感じで、Lies等結構 ユニークなアルバムに仕上がっている。Tawnyで聴ける扇情的な 部分も面白いし、所々ではっとさせるだけのものはあるし、 全体的なクオリティも納得行くだけの作品ではある。[82]
アメリカのモダン・ヘヴィネス・バンドの初めてのライヴ盤。 1996年から1997年にかけて行われた本国でのツアーの音源から 選曲して収めたもので、以外にも結構安定した演奏力を 聴かせてくれている。楽曲は当然モダン・ヘヴィネスに転向した 後の楽曲からだけで、ファンの期待は裏切らない内容だろう。 それ故にモダン・ヘヴィネスが受け入れられない人間にはやはり 面白くも何ともない作品と言って良いだろうが、彼等のアルバムで それを期待しない人はいないだろう。スタジオ・アルバムと寸分 違わぬ演奏力は想像以上に良く、非常に良く出来た 作品になっている。[84]
アメリカのハード・オルタナティヴ・ロック・バンドが1995年に リリースした2ndアルバム。サウンドは結構重厚な部分もあるが、 方向的には普通のロック、あるいはオルタナティヴ・ロック的な 色合いが強く、ヘヴィ・メタル的な印象は全く受けない。 気だるくもやっとした音像は前作よりもはっきりと 打ち出されている。楽曲の出来はそれ程悪くないが、 ヘヴィ・メタル向けの人にはちょっと合わないかも知れない。 面白いのはボーナス・トラックとしてCHEAP TRICKのカバーを やっている事で、それなりにオリジナルの雰囲気を残しながらも バンドの個性が出せている。[76]
イギリスのゴシック・メタル・バンドの6thアルバム。元々それ程 ゴシック・メタル色が強いというようなバンドではなかったが、 この作品ではよりそれが顕著となり、普遍的なゴシック・ロック 色の強いヘヴィ・メタル的作品となっている。もちろんこれまでの PARADISE LOSTらしい部分は相変わらずあるのだが、 より聴きやすい作品になっている事は確かだ。サンプリング等も 取り入れられたりしており、出来的にはこれまでの中でもかなり 高い部類に入るが、これまでのファンに受け入れられるだろうが、 もろ手を挙げてとまで行くかどうかは微妙だ。[87]
MR.BIGのギタリストによる初のソロ・アルバム。 ギタリストとしては名の通っている彼だが、このソロでは そういった部分を押し出した、 ギター・インストルゥーメンタル・アルバムではなく、 ボーカル中心の歌もののアルバムに仕上げている。もちろん ここぞというときのギター・ソロはそこここと飛び出すのだが、 あくまでそれはアクセントに過ぎない。楽曲によっては ブリットっぽい感じの強いものがあり、あまり アメリカ人らしからぬ作品だ。彼のボーカルもそつなく こなしており、楽曲も悪くない出来だ。[81]
アメリカのハード・ロック・バンド、MR.BIGのギタリストによる ソロ・アルバム、KING OF CLUBSからの1stシングル。 シングル・カットのタイトル・トラックに未発表曲が2曲の全3曲と 言う構成になっている。未発表曲は両方とも1分台の短い小品で、 Red Roosterはアップ・テンポののりの良い ロックンロール・ナンバーで、中々聴きごたえがある。一方の Familyは、ポップなメロディの楽曲だが、取りたててどうと言う 程のものではない。この短い2曲のためにわざわざと購入を 勧めかねるが、出来自体はそれ程悪くない。[80]
元BAD COMPANY、FREE等を渡り歩いたイギリス人シンガーの ソロ・アルバムNOWからの2ndシングル。いかにも ブリティッシュ・ロックらしい枯れた侘しさを感じさせてくれる タイトル曲の他には、NOWに収められていたShadow Of The Sunの アコースティック・バージョンとアルバム未収録でこの作品中最も ハードなRide Easy, Ride Slow、タイトル曲の日本公演からの ライヴ・テイクの全4曲と言う構成になっている。彼の艶やかで 情感豊かなボーカルはいつもながら非常に素晴らしい出来で、十分 堪能出来る。未発表曲のRide Easy, Ride Slowも悪くない 楽曲だし、彼の魅力は十分伝わって来る。[85]
ドイツのパワー・メタル・バンドの1989年にリリースされた最後の 作品となる2ndアルバム。やや大仰さが会って、 ジャーマン・パワー・メタルの香が皆無な訳ではないが、 そういった要素はあまり強くなく、むしろヨーロッパのB級 パワー・メタル・バンドという感が強い。全体的に ドラマティックな作品ではあるが、リフやボーカル・スタイルに スラッシュ・メタル的な感じがする部分がかなり強く、結構コアな 印象を受ける。アップ・テンポの楽曲をややヒステリックな感じを 持ちながらも、歌い上げるCHARLY STEINHAUERのボーカルには 好みが分かれるかもしれない。[78]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には プログレッシヴ・メタル的な色合いが根底にあるが、その外にも 様々な要素が見え隠れする作品となっている。ミクスチャーと 言ってしまうにはかなり流麗な感じがあるアルバムで、メロディは 叙情的で中々美しいのだが、それ以上に訴えかけてくるものが 残念ながら感じられない。彼等のテクニックは伺える 作品ではあるが、それだけでは手放しで評価するのは少し辛い。 彼等のテクニック的ポテンシャルは素晴らしいし、アイデアもそれ 程悪くないのだから、もう少しアレンジ力をつければ、かなり 見栄えが良くなると思えるのだが。[78]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には、 演奏、メロディ等PARALLELSの頃のFATES WARNINGが一番近い 感じだが、FATES WARNINGの様なプログレッシヴ・メタル的な 色合いはなく、もっとオーセンティックで、その分、昔の QUEENSRYCHE的な匂いが紛々とする。RICK FORSGRENのボーカルも RAY ALDERに似た声質であるので、そういった感が尚一層する。 ハイ・トーンも奇麗に出ていて、この手のボーカリストとしては かなり高い評価が出来る。その外の部分についても、楽曲の出来、 演奏ともかなりハイ・レベルで、QUEENSRYCHE系のバンドとしては 飛び抜けた存在のバンドの一つと言って良いだろう。昔の QUEENSRYCHEのファンであるならば決して損はしないアルバムと 言って良いだろう。[90]
アメリカのハード・ロック・バンド、MR.BIGのギタリストによる ソロ・アルバム、KING OF CLUBSからの2ndシングル。 シングル・カット・ナンバーに2曲の未発表作品を収録した3曲 入りと言う構成になっており、Lucy Brownはのりの良い パンキッシュなオリジナル・ナンバーだ。Bennie And The Jetsは ELTON JOHNのカバーで、歪ませたボーカルもなかなか合っていて、 思いのほか良い選曲でアリ、良い出来だ。シングルはファン以外は あまり興味を引かないだろうが、特にこのELTON JOHNのカバーは 良い出来だ。ギター弾きまくりと言った部分はまるでないが、 味のある良い作品だ。[85]
数奇な運命を辿ったN.W.O.B.H.M.バンド、SATANの最後の改名した バンド名での復活第1弾となるアルバム。PARIAHとしては3rd アルバム、SATANからすると6枚目のアルバムと言う事になる。 中心人物であるSTEVE RAMSEY、GRAEME ENGLISHの二人が手動を 取っての復活の様だが、この二人がSKYCLADを脱退したと言う話は 聴かないので、一時的な復活と言って良いだろう。楽曲的には 旧PARIAHのイメージを引きずりながらも、REACTIONARY等は いかにもMEGADETH風だ。楽曲の出来はそれ程悪くないので、旧来の ファンが聴いてもある程度納得出来るはずだが、今、こういう 音楽をやるならばもう少し音に厚みを付けた方が 良いのではないだろうか.[79]
アメリカのハード・ロック・バンド、MR.BIGのドラマー、 PAT TORPEYの初のソロ・アルバム。MR.BIGのキャッチーな アメリカン・ハード・ロックとは大きく方向を違え、不思議な 世界を構築している。ジャズ風のDumb It Downsやパンチの効いた ロックンロールのJack The One Eyed Jill、LED ZEPPELINの ゆったりしたナンバーを思い起こさせるThe Rapture等、方向性が ばらばらであるのに、ある種の統一感が感じられる。PAT TORPEYも 見事に歌いこなしていて、アルバムの価値を高めていると言って 良いだろう。個人的にはパンチの効いた曲は中々面白いと思うが、 ハード・ロック的な色合いは非常に薄い作品であると言って 良いだろう。[82]
詳細は不明だが、恐らくドイツの女性ベーシストを含む ゴシック/ブラック・メタル・バンドのアルバム。MONESOLは スクリーミングとクリア・ボイスを使い分けているが、この クリア・ボイスがSAVIOUR MACHINEのERIC CLAYTONを思わせる ボーカルで、退廃感を強く感じさせ作品の叙情感を増している。 ツイン・ギターでどちらが弾いているのか判らないが、非常に 耽美なギター・ソロが非常に印象的だ。この退廃感と耽美さが 一体となった非常に美しい作品で、ギター・メロディもかなり メタル的で、スクリーミングさえ気にならないのであれば、結構 聴けるはずで、特にSAVIOUR MACHINEが好きならば一聴の 価値はあるだろう。シアトリカルさも感じさせる楽曲は扇情的で テンポが非常に良く、思わぬ掘り出しものと言って良い作品だ。 [89]
スウェーデンの プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル/テクニカル・ロック・バンドの 2ndアルバム。ファンク的な色合いは全くなくなり、 メロディアスでドラマティックなプログレッシヴ・メタル作品に 仕上がっている。そのため、よりDREAM THEATER的になったとも 言えるが、より憂いを帯びたメロディが貫かれている。叙情的で ドラマティックなサウンドは聴きごたえがあり、楽曲の出来も 十分納得出来る出来だ。扇情さを出そうとしている部分が今一つ 面白味に欠ける部分もあるが、メロディは美しいし、出来としては 悪くない。演奏的にも十分納得出来るだけのものはあるが、 パカパカしたドラム音が少し気になる。[84]
スウェーデン人キーボード奏者を中心とした、 シンフォニック・ロック・プロジェクトの2ndフル・アルバム。 バイオリンやリコーダを取り入れた、バロック調のメロディや、 ヘヴィ・メタル風のハードな泣きのギター・プレイとその彩りは 意外と豊かだ。3曲で42分と言う大作主義だが、それ程冗長な 感じは受けない。シンフォニックらしい美しいメロディや、 ヘヴィなサウンド、プログレッシヴ・ロックらしい変則的な部分と 決して一本調子に陥っていない所が、緊張感を保たせて、この アルバムを成功させていると言って良いだろう。導入されている 女性ボーカルも、美しい雰囲気を助長している。[87]
JOHN ZORNを中心にBILL LASWELLやNAPALM DEATHの MICK HARRISによるバンドの1995年にリリースされた4thアルバム。 全3曲中、Pashupatinath、Parish Of Tamaの アンビエント・バージョンを収めたアンビエントCD、大阪での ライヴの模様を収めたライヴ・アルバムの3枚組みCDと言う 構成になっている。アバンギャルドではあるが、元々 アンビエントな雰囲気があるだけに、アンビエントCDは アンビエント過ぎておどろおどろしい。JOHN ZORNの アルト・サックスも相変わらずで、彼の音楽指向が理解出来ないと 3枚ものアルバムを聴き通すのはかなり苦痛ではないかと思う。 [60]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた6th アルバム。それまではDEF LEPPARD的なポップさを感じさせる ハード・ロックであったが、前作辺りからよりヘヴィ・メタル 然とした方向へと転換し、更にヘヴィネスと言われる新たな境地を 作り上げるに至ったのはご存知の通りである。大きな転機となった この作品でも、後のヘヴィネスへの布石となる部分が 感じられるが、どちらかと言うとよりスラッシュ・メタル的で、 METALCHURCHやMEGADETHと言ったバンド的な色合いが感じられる。 スラッシュ・メタルらしいリフの効いたサウンドは非常に のりがあって勢いを感じさせてくれる。楽曲の出来も良いし、 PHILLIP ANSELMOの加入が非常に良い面に働いたと言って 良いだろう。[85]
アメリカのハード・ロック・バンド、MR.BIGのギタリストによる 2ndソロ・アルバム。全体的に明るく軽快なのりの良い ハード・ロックンロールで構成されており、彼らしい ギター・プレイも随所に聴かれる。DONNIE VIEとCHIP Z'NUFFの ENFF Z'NUFFコンビによるGirl Crazyにも彼らしい味付けが 感じられる。ENUFF Z'NUFF的なセンスを持ったSZUTERSの MIKE SZUTERとJOHNNY FEDEVICHが参加している所も興味深い。 MR.BIGと比べるとより土臭さとポップさを感じさせる作品で、 楽曲の出来も中々素晴らしい。演奏、アレンジも良く出来ていて、 優れたロック・アルバムに仕上がっている。[85]
イギリスのゴシック・メタル・バンドのベスト・アルバム。 デビュー盤、それ以降、最新と割と変節があったバンドだが、 こうして1枚のアルバムとしてまとめてみてもそれ程違和感を 感じないのは意外だ。アルバム未収録曲としては、 Forever Failureのシングル・リミックス、Rotting Miseryの ダブ・リミックス、ライヴが3曲と言う構成になっている。 Forever Failureに関してはそれ程変わりはないが、 Rotting Miseryはかなりおどろおどろしいものに仕上がっていて デス・ボイスも強烈だ。ライヴはよりゴシック・ロック色が強く 打ち出されており、女性コーラスもそう言った 趣のものになっている。[83]
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの2ndアルバム。特に Dark Room泣きのメロディでハードなギター・ソロもあり中々 聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。方向的には全体的に 古臭い感じのさせる1970年代風のプログレッシヴ・ロックで、 プロダクションもわざとかそう言う雰囲気を醸し出している。 繊細で憂いを帯びたメロディは中々良く出来ているし、 The Fall Of Room等の様に楽曲にも強弱がつけられていて決して 飽きさせない様に工夫されている。心に染み入るメロディを始め、 思わず引き込まれるだけの魅力が感じられる作品だ。[86]
詳細は全く不明だが、恐らくイタリアの ゴシック・メタル・バンドのアルバムだ。Ostracized等は、流麗な ヘヴィ・メタルと言う感じで、今のLACRIMOSAから シアトリカルさを抜いた様な感じで、SAVIOUR MACHINEの様に、 淡々と地味なメロディを紡いでいる。プロダクションが今一つで、 サウンドにめりはりがないので、今一つ盛り上がりに欠けるのは、 いかんともし難い。全体的におどろおどろしさを醸し出しており、 個性としては悪くないが、楽曲の出来不出来のレベルに差があり、 Nevrosia等の、もう少しアップ・テンポで、SAVIOUR MACHINE的な 部分を強く押し出した方が良い様に思う。[80]
イギリスのゴシック・メタル・バンドの7thアルバム。前作では どちらかと言うと、ゴシック・ロック色の強い方向へと向かって 来ており、ゴシック・メタル的な色合いの薄い作品だった。 今作では、よりゴシック・メタル色の薄い作品となっているが、 前作の延長線上と言うよりは、テクノ/ニュー・ウェーヴ系や カレッジ系的な方向に向かっていると言って良いだろう。 THE CUREやDEPECHE MODE的なエッセンスを取り入れた サウンドだが、悲しいかな、やりなれないものをやっていると言う 印象しか受けない。これらの音楽を昇華すると言うレベルまでには 達しておらず、ゴシック・メタルとしても満足出来ないし、テクノ 系としても満足できない作品だ。[77]
1970年代から1980年代にかけて活躍した、イギリスの シンフォニック・ロック・バンドの再結成後の初のアルバム。 この手の作品としてはダイナミズム溢れるもので、哀愁漂う 叙情感は日本人向きと言っても良いだろう。情感豊かで、静寂感を 持ったサウンドは、ドラマティックでじっくりと聴き込む事が 出来る。ALAN REEDの透明感のあるボーカルも情感が良く 出ており、作品の叙情性を倍加させている。フックもあるし、 楽曲の出来、演奏も安定していて、安心して聴く事の出来る 作品だ。MARILLIONのファンなら、結構気に 入るのではないだろうか。[83]
先頃MR.BIGを脱退したアメリカ人ギタリストの東京での来日公演の 模様を収めたライヴ・アルバム。ソロ・アルバムでは、かなり ポップな面も見せていたが、ライヴであるためか、全体的に ハード・ロック然としたアレンジとなっている様に感じられる。 当然といえば、当然かも知れないが、ギターが前面に押し 出されていてハードな音像となっている。ポップな楽曲も含めて そういうアレンジになっているために、既に聴いている曲とは 言え、少し新鮮な感じがする。THE SZUTERSのMIKE SZUTERや JEFF MARTIN等も参加しているだけあって、安心して聴けるだけの 内容ではある。[81]
イギリスのロック・バンド、BAD COMPANYのボーカリストによる 3年振りのソロ・アルバム。リユニオンBAD COMPANYでの活動はもう 終わりの様で、これからもやはりソロで活動していくと言う事の 様だ。彼のソロ・アルバムとしては、かなり忠実に ブルーズ・ロックと言うエッセンスを強く押し出した作品と 言えるだろう。その分装飾性はこそげ落ち、かなりシンプルな 感じのするアルバムになっている。それ故、非常に落ち着いた 渋さを感じさせ、じっくり聴かせる作品に仕上がっている。こう 言った作品の方が、彼のボーカルをより堪能できるし、楽曲の 出来も良いので、彼のファンには非常に納得出来るアルバムと 言って良いだろう。[84]
アメリカのハード・ロック・バンド、MR.BIGのドラマーによる ソロ・プロジェクト、ODD MAN OUTの2ndアルバム。元 HOUSE OF LORDSのCHUCK WRIGHT、LANNY CORDOLAを中心に、 ゲストとしてSTEVE LUKATHER、GREGG BISSONETTE、PAUL GILBERT、 BILLY SHEEHAN等が参加している。ハード・ロック的な要素が 薄いのは前作と変わらないが、方向的にはよりボーカル中心の ロック・アルバムと言って良いだろう。彼自身のボーカルは、元々 歌える人だけに、こうやってアルバム1枚歌を聴かされても全く 違和感はない。むしろ、こう言ったロック然としたアルバムには 良く映えていると言って良い位だ。[81]
スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンドの2枚組み ライヴ盤。1998年に行われたアメリカでの公演の模様を 収めたものだ。方向的には、いわゆるシンフォニック・ロックと 言われるものだが、よりアグレッシヴでエネルギッシュな ライヴになっている。女性ボーカリストのMAGDALENA HABBERGの 歌唱で愁いを帯びた叙情的な流れに切り替わるところ等は見事だ。 演奏的にも、スタジオ盤と全く遜色がなく、演奏的なレベルの 高さも感じられる。KING CRIMSONの21st Century Schizoid Manの カバーで最後を締めくくっている様などは素晴らしいが、元々 静寂感のあるバンドだけに、これだけ長い尺を聴いていて 飽きないかは微妙なところだ。[82]
アメリカのモダン・ヘヴィネス・バンドの4年振りとなる 9thアルバム。モダン・ヘヴィネスと言うジャンルを産み出し、 それに捕らわれた閉塞間が前作では感じられたが、この作品では そう言った枠組から一歩突き進んだ感じを受ける。 Yesterday Down Man Sh**等、意外とアップ・テンポの楽曲が 多く、割とヘヴィ・メタル然としていてかなり聴き易くなった様に 思える。You've Gotto Belong To Itにおける、FORCED ENTRYの Bone Crackin' Feverの様な緊迫感を感じさせるギター・リフ等は 中々面白い。これまでのモダン・ヘヴィネス的な色合いも もちろんある訳だが、それだけで終わっておらず、中々聴き 応えのあるアルバムに仕上がっている。[87]
アメリカ人ギタリストの3rdソロ・アルバム、 ALLIGATOR FARMからの先行シングル。タイトル・トラックの シングル・カット曲に、アルバム未収録曲が3曲の全4曲と言う 構成になっている。THE SZUTERSのMIKE SZUTERが今回も 参加しており、その影響が強かったのか、これまでより一層 THE BEATLES的なポップさを持ったブリット・ロック的な色合いが 非常に濃くなっている。THE BEATLESのI Can Your Nameを カバーしているが、他の楽曲とも全く違和感はない。アルバム 未収録曲と言っても、Oh Jenor、Superloudともアルバムに 入っていてもおかしくない位出来は良いし、アルバム未収録曲が 多くて中々お得なシングルだ。[84]
元MR.BIGのアメリカ人ギタリストによる3rdソロ・アルバム。 方向的にはこれまで通りの、あくまでも歌を前面に押し出した 作品で、それに合わせてギター・プレイも嫌みなく見せると言う 感じで好感が持てる。これまで通り、ポップフィーリングに溢れる アルバムではあるが、Individually Twisted等にはかなり THE WiLDHEARTS的なブリッドでコアな色合いが見える。その 一方で、Attitude Boy Will Overcome等、かなり毛色が違う 楽曲があって、バラエティに富んだアルバムに仕上がっている。 目新しさは感じられないが、ポップでキャッチーなメロディは 非常に聴き易いし、安心して聴いていられる作品だ。[84]
スウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンドの3rdアルバム。 元々方向的には、よりテクニカルなDREAM THEATERと言った感じの バンドだったが、今作ではよりシンフォニックな色合いを 強めており、静寂感を出したりとかなり聴き易い作品に 仕上がっている。その分メタル色は薄くなっており、かなり一般 受けする方向に向かっている様に思える。とは言ってもそこは 彼等だけあって、テクニカルでスリリングな展開が随所に織り 込まれており、流石と思わせるものがある。楽曲は適度に 展開していき、その流れは素晴らしく、楽曲は非常に良く 出来ている。織り込まれているメロディも美しく、聴き応えのある アルバムだ。[87]
ドイツのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。前作では パワー・メタル的なエッセンスも感じさせるブラック・メタル的な 作品であったが、今作ではそう言ったシアトリカルさや スクリーミングは残しながらも、よりメランコリックで シンフォニックな味わいの作品となっている。前作ではテンポの 良さが感じられたが、今作では大作主義になっており、じっくりと 聴かせると言った感じに変質している。クリア・ボイスの比重を 増し、スロー・テンポでより耽美で荘厳な作品となっており、 ゴシック・メタル的な方向性を全面的に押し出した作品と 言えるだろう。気だるさを感じさせるクリア・ボイスは、こう 言った死をイメージさせる悲しげな雰囲気を否応にも増していて、 中々聴き応えのあるアルバムとなっている。[88]
ドイツのパワー・メタル・バンドの復活第1弾となる11年振りの 3rdアルバム。方向的にはややスラッシィな感じを受ける パワー・メタルで、勢いと扇情感を感じさせてくれるアルバムに 仕上がっている。基本的な音楽性は全く変らないが、解散前の 作品と比べると、プロダクションも楽曲のアレンジも格段に 良くなっており、アルバムの完成度はかなり高くなっていると 言って良いだろう。前作であったB級っぽさは払拭されており、 SCORPIONSのカバー、Dynamiteも秀逸だ。ANTHRAXや METALLICAっぽいエッセンスも感じるが、ヒステリックで ドラマティックな作品で彼等らしさを十分味あわせてくれる。[85]
スウェーデン人キーボード奏者、PAR LINDAHによるプロジェクトの 3rdアルバム。方向的にはこれまで同様、教会音楽とクラシックを 融合させた様な、ELPの流れを汲むプログレッシヴ・ロックだが、 これまで以上にハードな部分を押し出し、めりはりの非常についた アルバムに仕上がっている。バイオリン兼任の女性ボーカリスト、 MAGDALENA HAGBERGの美しい歌声が鮮烈で非常に味わい深い。 PAR LINDAHの演奏は相変わらず素晴らしく、緩急豊かな楽曲と あいまって見事なサウンドが構築されている。前作に比べるとやや 複雑過ぎる気もするが、そのレベルは非常に高いと言って 良いだろう。[83]
イギリスのゴシック・メタル・バンドの8thアルバム。 DRACONIAN TIMES辺りからゴシック・メタル的な色合いが 薄くなり、よりゴシック・ロック的な作品造りをする 様になったが、この作品でもそう言った方向性は変わりない。 前作ではかなりテクノ/ニュー・ウェーヴ、カレッジ系的な エッセンスが強かったが、この作品ではどちらかと言うとやや ONE SECONDの頃に揺り戻した感じがする。全体的に淡々とした 洗練された雰囲気が漂う、出来は決して悪くないのだが、 それだけに盛り上がりが欠けるところは致し方ないところだろう。 [80]
元MR.BIG、RACER Xのアメリカ人ギタリスト、PAUL GILBERTと 彼の叔父でやはりギタリストであるJIMI KIDDの2人による プロジェクトのアルバム。ボーカル自体もこの二人が取り、 バックはPAUL GILBERT人脈と言う事でTHE SZUTERSのベーシスト、 MIKE SZUTERとドラマー、JOHNNY FEDEVICHが努めている。如何にも アメリカらしいブルーズ・ロックをやっているが、そこにも PAUL GILBERTらしいポップさが散りばめられており、 ブルージィながらもPAUL GILBERTらしいアメリカン・ロック的な 作品に仕上がっている。二人のボーカルも含めて、ブルージィな 熱さを感じるエモーショナルなアルバムだ。[82]
スウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンドの4thアルバム。 前作ではコンセプト・アルバムのPART 1と銘打っていたが、今作は その続きではなく、新たなコンセプト・アルバムとなっている。 サウンド的にはこれまでの路線を踏襲したもので、北欧的な憂いを 帯びた、叙情的なメロディのプログレッシヴ・メタルと 言えるだろう。ある意味、FATES WARNINGのPARALLELSに近い 音楽性だが、もっと情感を前面に押し出しており、ダイナミズムを 感じさせるアルバムに仕上がっている。テクニカルで難解な部分も 織り込まれているが、自己満足に終わらずに、楽曲の魅力を引き 出している辺りは流石と言えるだろう。[84]
イギリスのシンフォニック・ロック・バンドの再結成第2弾となる アルバム。シンフォニック・ロックらしい、叙情的で清廉な 作品だが、意外とハードなパートもあり、結構聴き応えのある アルバムに仕上がっている。そう言う意味では前作の延長線上と 言える作品だが、よりダイナミズムの感じられるアルバムだと 言って良いだろう。それでいて彼等らしい静寂感もあり、静と動の 変化が良く出ており、ドラマティックなものとなっている。 ベテランらしい円熟した上手さだけでなく、こう言ったフックの 感じられる音作りのアレンジ力も感じられ、壮大な額曲に美しい メロディと、実に素晴らしいアルバムだ。[88]
カナダのハード・ポップ・バンド、LOVERBOYのキーボード、 DOUG JOHNSONと元KICK AXEのボーカリスト、GEORGE CRISTONによる プロジェクトのアルバム。実際に録音されたのは1988年で、 お蔵入りとなっていた音源を掘り起こしたものだ。そう言った 事実からも判る通り、LOVERBOYの音楽性を継承した叙情的で キャッチーなメロディの洗練されたハード・ポップだ。のりの良い アップ・テンポな楽曲やバラードもバランス良く配されており、 如何にも1980年代的な洗練されたハード・ポップで、楽曲の出来も 良いのでLOVERBOYのファンならば聴いて損はないだろう。[83]
ドイツのゴシック・メタル・バンドの3rdアルバム。前作では パワー・メタル的なゴシック・メタルから、より メランコリックなものへと方向転換を試みていたが、今作ではそう 言った音楽的変化をより押し進めたものと言って良いだろう。 ダークでメランコリックな作品だが、そこにニュー・ウェーヴや モダンなエッセンスを持ちこんでおり、部分的には最近の THE GATHERINGっぽい浮遊感を感じさせてくれるところもある。 こう言う作品は淡々とし過ぎて盛り上がりに欠けるものが良く 見受けられるが、ドラマティックな構成で抑揚をきちんと 付けられているのは評価出来るだろう。基本的には クリア・ボイスなのが、スクリーミングも使う事がある。[87]
アメリカのハード・ロック・バンド、MR.BIGの元ギタリストの 5thソロ・アルバム。RACER Xではよりヘヴィ・メタル然とした スタイル、ソロではよりパワー・ポップ的なスタイルと住み 分けをしているが、この作品もそれに沿ったものとなっている。 但し、これまでのソロ作品と比べると、よりギター・プレイを 前面に押し出したものとなっていると言って良いだろう。それ故、 これまでの作品よりスピード・チューンも多いし、よりパワフルな イメージを受ける作品に仕上がっている。もちろん楽曲にはポップ 指向がきちんと盛り込まれていて、これまでのソロが好きだと言う 人も大きく裏切る事はないだろう。[84]
アメリカのニュー・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には ハード・ロックンロールを前面に押し出し、そこに今の バンドらしいモダンでラウドなエッセンスを取りこんだものと 言えるだろう。特にハード・ロックンロール的な色合いが強く 出ているM-80(Explosive Energy Movement)の勢いとのりの良さは 素晴らしい。こう言うストレートさを感じさせる楽曲も入れる 一方で、憂いを帯びたエモーショナルでコアな如何にも今風のと 思わせる部分があるが、今のラウド・ロック・バンドに比べて、 非常にのりの良さを感じさせるのがこのバンドの特色と言って 良いだろう。[84]
イギリスのハード・ロック・バンドのアルバム。元UFO、WAYSTEDの ギタリスト、PAUL CHAPMANが1980年代後半に結成して活動していた バンドで、その当時アルバムをリリース出来ずに終わったのだが、 そのお蔵入りしていた音源を発掘したものだ。方向的にはアメリカ 的なポップでキャッチーなエッセンスを取りこみながらも、 如何にもPAUL CHAPMANらしい、UFOやWAYSTEDに通じそうな、 メロディを聴かせてくれている。ややもったりとして、突き 抜けない部分もあるのだが、楽曲やプロダクションは 悪くないだけに、ヘヴィ・メタル隆盛の時期にこのレベルの アルバムが出せなかったのは何とも不思議だ。[81]
RACER X、元MR.BIGのアメリカ人ギタリストによる初の ソロ・ベスト盤。アコースティック・アルバム、GILBERT HOTELが ボーナス・アルバムとして付いた2枚組となっている。新曲の I'm Not Afraid Of The Police、 The Second Loudest Guitar In The Worldは彼らしい ハード・ポップ・チューンで悪くないし、CAROLE KINGのカバー、 I Feel The Earth Moveはハードなアレンジが実に素晴らしい。 GILBERT HOTELではENUFF Z'NUFFをカバーしている辺りの選曲が 実に面白い。選曲的には今一つ納得出来ない部分もあるが、こう 言った辺りを聴くだけでもファンには価値がある作品だろう。[82]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。 IN FLAMESのボーカリスト、ANDERS FRIDENを中心としたバンドで、 元IN FLAMESのギタリスト、NICLAS ENGELIN、 元TRANSPORT LEAGUEのドラマー、PATRICK JERKSTEN等が 参加している。方向的にはIN FLAMESとは大きく異なっており、 憂いを含んだメロディにヘヴィなサウンドと、今のアメリカの ヘヴィ・ロック的なイメージを受ける作品だ。そう言う 理由もあってか、ANDERS FRIDENのボーカルは、 クリア・ボイスのみとなっている。ただ独特のメロディ・センスも 感じさせ、不思議な魅力のあるアルバムだ。[84]