PINK CREAM 69 / PINK CREAM 68
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた
デビュー盤。後にHELLOWEENに加入するボーカリスト、ANDI DERRIS
等によるバンドだ。方向的には、非常に扇情的なヘヴィ・メタルを
聴かせてくれており、ANDI DERRISのワイルドな感じのする
ボーカルが扇情感をより増してくれている。このANDI DERRISの
特徴的なボーカルには好き嫌いが分かれるかも知れないが、
バンドとしての個性の確立に大きな役割を果たしていると言って
良いだろう。メロディアスなヘヴィ・メタルと言うと、既にやり
尽くされている面も大きく、オリジナリティの確立と言う点がどの
バンドでも課題になってくるが、このバンドには既に
はっきりとしたオリジナリティが感じられる。憂いを含んだ
メロディの出来は素晴らしく、デビュー盤とは思えぬレベルの
高さを感じさせてくれる作品だ。[85]
ONE SIZE FITS ALL / PINK CREAM 69
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
2年振りの2ndアルバム。前作でも新人とは思えぬセンスの良さを
披露してくれていたが、今作ではよりその完成度が
高くなっていると言って良いだろう。前作も素晴らしい
出来ではあったものの、これと言う楽曲がないのが欠点だったが、
今作ではLivin' My Life For Youの扇情的で非常に
ドラマティックな楽曲が雰囲気をいきなり盛り上げてくれる。
その他、バラードのBallerina等、ANDI DERRISの
メロディ・センスの素晴らしさを感じさせてくれる楽曲が
満載されている。その他にも、Do You Like It Like That等、
印象的でユニークな憂いを帯びた扇情的な楽曲が並んでいる。
非常に扇情的でパッションの感じられる雰囲気があって、
それでいてオリジナリティも持ち合わせており、傑作と
言えるだけの作品に仕上がっていると言って良いだろう。
ANDI DERRISのメロディ・センスが結実した、素晴らしい
アルバムだ。[92]
36°/140° / PINK CREAM 69
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた
ミニ・アルバム。過去の楽曲のバージョン違いが2曲、ライヴが
1曲、リメイクが2曲の全5曲と言う構成になっている。
I Only Wanna Be For Youのリメイクは、よりコーラスが
厚くなっており、成長の後を見せた完成度がより高くなっている。
Ballerinaはアコースティック・バージョンとなっており、より
しんみりとしたものに仕上がっており、バラードとしてのまた違う
魅力を引き出している。ライヴのDetroit Rock Cityは言わずと
知れたKISSのカバー曲で、彼等の楽曲とはタイプが違うとは言え、
ANDI DERRISのワイルドなボーカルが意外とあっている。
Where The Eagle Learns To Flyはアコースティックで
リメイクされており、中々味わい深いものとなっている。
Everyone's Somebodyはデビュー前のデモを
リミックスしたもので、特にどうと言う事はない。[83]
GAMES PEOPLE PLAY / PINK CREAM 69
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた
2年振りの3rdアルバム。ミュージシャンズ・ミュージシャンと
呼ばれ、非常に高い評価をされながらも、今ひとつ大きく
ブレイクするに至らない状況故の結果かも知れないが、彼等の持ち
味とも言える扇情的なメロディは後退し、よりモダンな感じのする
ヘヴィ・メタル作品となっている。モダンなヘヴィ・ロックの登場
以降、その道を誤ったヘヴィ・メタル・バンドは多いが、彼等も
その轍を踏んでしまったと言って良いだろう。もちろん、
ANDI DERRISらしい扇情的なメロディも全く失われてしまった
訳ではないが、これまでの作品と比べると随分控え
目になっている。もちろんこれはこれで出来は決して
悪くないのだが、これまでのファンに受け入れられるかと言うと
疑問に思わざるを得ないだろう。[82]
CHANGE / PINK CREAM 69
ドイツのメロディアスなヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。
2ndアルバムONE SIZE FITS ALLは非常に良質の
ハード・ロック・アルバムだった。思えばこの頃が一番バンドが
脂の乗ってるころだった。前作では、それまであった扇情的な
メロディを放棄し、非常に中途半端な作品だった。今作では更に
メイン・コンポーザーであるANDI DERISがHELLOWEENに
行ってしまった事で、これまでのような良質のメロディは
期待出来ないだろうという予感はあったが、想像以上に全く別の
バンドへと変質してしまった。シアトルっぽいところもあり
これはこれで悪くないのかも知れないが、なら別のバンドとして
出すべきだろう。[72]
THE REMIX WAR / PITCHSHIFTER
イギリスのインダストリアル・ロック・バンドの1993年に
リリースされた2ndアルバム、DESENSITIZEDからTriad、Diable、
N.C.M.、To Die Is Gainの4曲をBIOHAZARD、THERAPY?、GUNSHOTが
独自のリミックスを行い収め1994年にリリースされた風変わりな
アルバムだ。元々スラッシュ・メタル的なアティテュードの強い
バンドだけに、メタル系の人にも結構聴ける。かなり斬新な
リミックスを加えているのはTHERAPY?で、非常にグルーヴィな
テクノ調のダンサブルなナンバーに仕上げている。企画盤的な
アルバムだが、面白い部分はある。[75]
FOOD FOR THOUGHT / PINK CREAM 69
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバムで、
メイン・コンポーザーたるANDI DERISがHELLOWEENにさってからの
第2弾になる。前作より扇情的なメロディのANDI色を一掃して、
シアトル的なアメリカン・ロックへと方向転換したが、今作では
更に歌ものとしての色彩が強くなっている。コーラスを多分に
取り入れ、メロディアスなアメリカ指向の強い作品に
仕上がっている。前作よりもうANDIがいたときの様な音楽は
やらない事は判り切っていたので、今作ではそれ程
ショックはなかったものの、出来ればバンド名を変えて
欲しいというのが本音だ。そういった事を抜きにすれば、楽曲は
悪くないし、ヘヴィ・メタルではないが悪くないアルバムだ。[76]
NUMBER ONE / PISTON
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー・アルバム。
ボーカルのHENRYのボーカル・スタイルは押さえた
歌い方をする場合を除き、JAMES HEADFIELDSそのものであり、
アルバムの内容もBLACK ALBUMを思わせる部分が
そこはかとなくある。全体的にこのMETALLICA的な部分とダークで
切々と歌うややサイケデリック的な部分からなっている。
ヘヴィネスで、METALLICAより気だるさを湛えたサウンドは
オリジナリティがないようでいて、一風変った感じをさせる。
出来自体は楽曲、プロダクションも割と良く出来ているし、
演奏も悪くない。[78]
#LIVE# / PINK CREAM 69
ドイツのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの
ライヴ・アルバム。メイン・コンポーザーでもあるANDI DERISが
HELLOWEENに去って、新たにイギリス人ボーカリスト
DAVID READMANが加入してのライヴの模様を収めたものだ。
ANDI DERIS時代と、DAVID READMANが加入してからのバンドの
方向性は全く違うものであるため、その両者が混在した
このライヴでは統一感にやや欠けるが、それ程顕著に差を感じる
程でもない。ANDI DERISの個性的なボーカルに比べ、
DAVID READMANはどちらかと言うとストレートな感じの
ボーカリストであり、彼がANDI DERISの曲を歌うと灰汁の弱さが
どうしても感じられてしまうのは仕方がないだろう。それでも
中々パワフルで、下手と言う訳でもないので、結構聴ける事は
確かだ。DAVID READMANに交代した後の曲も、スタジオ盤で感じた
あのダークな雰囲気もほとんど感じないくらいで、
このアルバムの方が聴きやすい。[80]
METAL INQUISITION / PILE DRIVER
アメリカのスラッシュ/パワー・メタル・バンドの1984年に
リリースされたアルバム。五寸釘があちこちから飛び出た覆面を
被ったボーカリスト、PILE DRIVERの如何にも色物的な姿には少し
引いてしまうかも知れないが、楽曲自体は悪くない。
アップ・テンポ中心の勢いのある扇情的なメロディは迫力があって
良い出来だが、一方でこれといった楽曲はないし、B級っぽい
感じがするのはいがめない。とは言えパワフルな感じで、
スラッシュ・メタル的な楽曲は非常にのりが良い。特に
ギター・リフが良い出来で、意外に楽しむ事が出来る作品だ。[84]
WWW.PITCHSHIFTER.COM / PITCHSHIFTER
イギリスのインダストリアル・ロック・バンドの4thアルバム。
基本はインダストリアルで、サンプリング等も当然されている
訳であるが、その楽曲はドラムン・ベース等を取り入れた、非常に
ダンサブルなビート・ナンバーで、ヘヴィ・メタルとはまた一線を
画している。そういう意味ではお奨めとは中々言い難いが、非常に
ユニークで出来の良い作品だ。出だしのMicrowavedを始め、のりは
凄く良いし、メロディも良いと、あまり文句のつける所がない。
こういったデジタル処理された音が気にならないなら聴いてみて
損はないだろう。ここに至って、ついに自己の音楽を確立した
感があり、記念すべき金字塔となる可能性を秘めたアルバムだ。
[89]
ELECTRIFIED / PINK CREAM 69
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの6thアルバム。
メイン・コンポーザーたるANDI DERISがHELLOWEENに去った後、
その音楽性を一新してまるでシアトル系という様な方向に転換し、
ファンの多くの失望を買ったが、ここに来てそれを過ちと
悟ったのか、メロディアス・ヘヴィ・メタルと言う方向に立ち
返っている。特にオープニングのShame等は名作たる2nd
アルバムに入っていてもおかしくないような楽曲である。とは
言っても、全体的にANDI DERISが得意とする扇情感たっぷりの
哀愁のメロディからすると、かなり洗練されて
アメリカナイズした様な印象を受ける。そのため、初期の異様な
盛り上げかたに対して、かなり落ち着いて盛り上がりに欠けると
言うような感じだ。メロディアス・ヘヴィ・メタルに立ち返った
事は歓迎すべき事だし、楽曲の出来等、悪くはないが、今一つ
物足りないと言うのも事実である。[83]
CAST DOWN THE PLAGUE / PISSING RAZORS
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2ndアルバム。方向的には
ドーミィさはなく、どちらかと言うとよりモダン・ヘヴィネスと
言った方が正しい作品で、この手のバンドとしては異端と言って
良いだろう。そのため、JOE RODRINGUEZの怒声は、PANTERAの
PHILIP ANSERMOっぽさも感じるが、楽曲的にはより
アップ・テンポで疾走感が出ている。リフが中心で、
スラッシュ・メタル的なエッセンスもあるが、基本はあくまで
モダン・ヘヴィネスだ。単調になりそうな中にも、Reality Of War
等、小技が効いていて、飽きさせないような工夫も感じられる。
[82]
SONIC DYNAMITE / PINK CREAM 69
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの8thアルバム。
メイン・コンポーザーであったボーカリストのANDI DERISが
HELLOWEENに移籍した後も、DAVID READMANを新しいボーカルに
迎えて、オルタナティヴ的な方向へと路線を変更しつつも地味に
活動を続けて来ていたが、今作では心機一転、メロディアスな
ハード・ロックをやって来ている。楽曲を書いているのが
ANDI DERISではなくALFRED KOFFLERなので、初期とはまた少し
違った感じも受けるが、やれば出来ると言うところを見せ
付けられた訳で、溜飲を下げた思いだ。初期の様な、哀愁の
メロディを前面に押し出した感じは受けないが、さりげなく
愁いのある良質のメロディを押し出している。こう言う
楽曲ならば、DAVID READMANのボーカルにも合っているし、もう
少し楽曲が練り込まれてくればかなり良くなって来ると
思えるのだが。[83]
IS THERE ANYBODY OUT THERE? THE WALL LIVE 1980-1981 / PINK FLOYD
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの2枚組みライヴ盤。
1980年と1981年に行われたイギリスでのライヴの模様を
収めたものだ。プログレッシヴ・ロック史上に残る名盤で、
映画も作製された壮大なるコンセプト・アルバム、THE WALLの
リリースに伴うツアーでのライヴだ。観客席との間にその
タイトルが示す通りの壁を作り上げると言う、大胆な発想はこの
作品ではインナーの写真でしか見れないが、その壮大な
コンセプトと緊張感は十分良く伝わって来る。非常に良く
完成されたライヴ盤で、独特の雰囲気が伝わって来る素晴らしい
内容だ。[89]
INFOTAINMENT? / PITCHSHIFTER
アメリカのインダストリアル・ロック・バンドの1996年に
リリースされた3rdアルバム。大胆に機械処理された、如何にもと
言った感じのインダストリアル・ロックだが、そのサウンドは
攻撃的で、モダン・ヘヴィっぽく、リフはスラッシィで
ダンサブルな感じがするところもあり、ヘヴィ・メタル側の
リスナーにも結構聴けるはずだ。その一方で、Hangar 84等の
様に、プログラミングを中心としたものもある。そう言った
方向性である一方で、WHITE ZOMBIEっぽいWHITE OUT等、楽曲は
意外とコマーシャルで面白い。こう言ったコマーシャル性が彼等の
独自性を醸し出している。[82]
FIELDS OF DISBELIEF / PISSING RAZORS
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2年振りとなる3rdアルバム。
PANTERAの交流があるだけあって、その音楽的方向性はまさしく
PANTERA型のモダン・ヘヴィネスと言えるもので、それは
これまでの延長線上とも言えるものだが、今作ではより
オリジナリティが出ており、PANTERAの亜流と言う域は脱している。
PANTERAがミドル・テンポ中心のよりヘヴィネスさに重点を
置いているのに対して、彼等はかなりアップ・テンポで、
スラッシィなスピード感を前面に押し出している。また、結構
グルーヴィで、勢いを感じさせてくれるアルバムに
仕上がっており、そのためかなりのりが良く、アグレッシヴで
ブルータリティさが感じられる作品だ。[83]
PRAWLER IN THE YARD / PIG DESTROYER
アメリカのグラインド・コア・バンドの2ndアルバム。元AxCxの
ギタリスト、SCOTT HULLを中心としたバンドだが、音楽的にはAxCx
程混沌とした感じはなく、メロディや曲展開はそれなりに
出されている。長い楽曲も数曲あるが、この手のものらしくその
ほとんどが1分程度で、22曲も収録されていながら35分
程度しかない。ボーナス・トラックにその本編より多い、38曲も
収められているのも圧巻だ。グラインド・コアとデス・メタルは
かなり近い関係であるとは言え、ブラスト・ビートを
中心としながらもかなりスラッシィな部分があり、デス・メタル
的な色合いが濃い楽曲と音作りがなされている。このメタル側の
リスナーにも聴き馴染みが良いだろうと思える楽曲の出来も
良いし、アグレッションとブルータリティに満ち溢れていて、中々
聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。[84]
THE DIVISION BELL / PINK FLOYD
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの7年振りの
アルバム。元々リリース間隔の長いバンドだったが、それにも
増して久しぶりの作品だ。前作よりROGER WATERの脱退で、
DAVID GILMOURがバンドの支柱となって舵取りを取って来たが、
今作もその前作の延長線上と言って良い作品だろう。
DAVID GILMOURのハートフルなギターが前面に押し出された、
シンフォニックなプログレッシヴ・ロックで、正に
DAVID GILMOURならではと言う感じのアルバムに仕上がっている。
昔のファンからすると、ROGER WATERが織り成す、緊張感のある
構築されたサウンドとは掛け離れているだけに
不満もあるだろうが、これはこれで良い出来だ。[83]
ENDANGERED / PINK CREAM 69
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの8thアルバム。DAVID READMANに
ボーカリストが交代して以降、多くのバンドが陥ったダークな
オルタナティヴ・ロック的な方向性への転進と言う失敗をこの
バンドも侵したが、ELECTRIFIED以降、再びメロディアスな
ヘヴィ・メタルへの回帰を行っているが、この作品もその
延長線上と言える。初期のANDI DERIS時代の作品は、粘着的な
印象を受ける憂いを帯びたメロディだったが、ここ最近ではやや
アメリカ的な洗練さを見せたものになっており、それほこの作品で
より顕著になっている。ポップで明るい楽曲もあり、やや
発散してしまっている様に感じられるのは残念だが、悪くない
出来だ。[82]
PSI / PITCHSHIFTER
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの6thアルバム。前作では
メロディを前面に押し出し、モダンなヘヴィ・ロックへと
転進していたが、彼等の特色であったデジタル的な部分と
アグレッションが感じられず、彼等の作品としては違和感のある
中途半端な作品に終わってしまっていた。その反省からか、
今作では前作でのメロディを残しながらも、従来の
デジタル・パンク的なエッセンスを押し出し、新旧の折衷と言った
感じの作品に仕上がっている。しかし、これを聴いても
デジタル・パンク以外の部分の面白みはそれ程でもなく、やはり
デジタル・パンクこそ彼等の真骨頂と再認識出来る作品だ。[82]