ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた デビュー盤。後にHELLOWEENに加入するボーカリスト、ANDI DERRIS 等によるバンドだ。方向的には、非常に扇情的なヘヴィ・メタルを 聴かせてくれており、ANDI DERRISのワイルドな感じのする ボーカルが扇情感をより増してくれている。このANDI DERRISの 特徴的なボーカルには好き嫌いが分かれるかも知れないが、 バンドとしての個性の確立に大きな役割を果たしていると言って 良いだろう。メロディアスなヘヴィ・メタルと言うと、既にやり 尽くされている面も大きく、オリジナリティの確立と言う点がどの バンドでも課題になってくるが、このバンドには既に はっきりとしたオリジナリティが感じられる。憂いを含んだ メロディの出来は素晴らしく、デビュー盤とは思えぬレベルの 高さを感じさせてくれる作品だ。[85]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。前作でも新人とは思えぬセンスの良さを 披露してくれていたが、今作ではよりその完成度が 高くなっていると言って良いだろう。前作も素晴らしい 出来ではあったものの、これと言う楽曲がないのが欠点だったが、 今作ではLivin' My Life For Youの扇情的で非常に ドラマティックな楽曲が雰囲気をいきなり盛り上げてくれる。 その他、バラードのBallerina等、ANDI DERRISの メロディ・センスの素晴らしさを感じさせてくれる楽曲が 満載されている。その他にも、Do You Like It Like That等、 印象的でユニークな憂いを帯びた扇情的な楽曲が並んでいる。 非常に扇情的でパッションの感じられる雰囲気があって、 それでいてオリジナリティも持ち合わせており、傑作と 言えるだけの作品に仕上がっていると言って良いだろう。 ANDI DERRISのメロディ・センスが結実した、素晴らしい アルバムだ。[92]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた ミニ・アルバム。過去の楽曲のバージョン違いが2曲、ライヴが 1曲、リメイクが2曲の全5曲と言う構成になっている。 I Only Wanna Be For Youのリメイクは、よりコーラスが 厚くなっており、成長の後を見せた完成度がより高くなっている。 Ballerinaはアコースティック・バージョンとなっており、より しんみりとしたものに仕上がっており、バラードとしてのまた違う 魅力を引き出している。ライヴのDetroit Rock Cityは言わずと 知れたKISSのカバー曲で、彼等の楽曲とはタイプが違うとは言え、 ANDI DERRISのワイルドなボーカルが意外とあっている。 Where The Eagle Learns To Flyはアコースティックで リメイクされており、中々味わい深いものとなっている。 Everyone's Somebodyはデビュー前のデモを リミックスしたもので、特にどうと言う事はない。[83]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 2年振りの3rdアルバム。ミュージシャンズ・ミュージシャンと 呼ばれ、非常に高い評価をされながらも、今ひとつ大きく ブレイクするに至らない状況故の結果かも知れないが、彼等の持ち 味とも言える扇情的なメロディは後退し、よりモダンな感じのする ヘヴィ・メタル作品となっている。モダンなヘヴィ・ロックの登場 以降、その道を誤ったヘヴィ・メタル・バンドは多いが、彼等も その轍を踏んでしまったと言って良いだろう。もちろん、 ANDI DERRISらしい扇情的なメロディも全く失われてしまった 訳ではないが、これまでの作品と比べると随分控え 目になっている。もちろんこれはこれで出来は決して 悪くないのだが、これまでのファンに受け入れられるかと言うと 疑問に思わざるを得ないだろう。[82]
ドイツのメロディアスなヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。 2ndアルバムONE SIZE FITS ALLは非常に良質の ハード・ロック・アルバムだった。思えばこの頃が一番バンドが 脂の乗ってるころだった。前作では、それまであった扇情的な メロディを放棄し、非常に中途半端な作品だった。今作では更に メイン・コンポーザーであるANDI DERISがHELLOWEENに 行ってしまった事で、これまでのような良質のメロディは 期待出来ないだろうという予感はあったが、想像以上に全く別の バンドへと変質してしまった。シアトルっぽいところもあり これはこれで悪くないのかも知れないが、なら別のバンドとして 出すべきだろう。[72]
イギリスのインダストリアル・ロック・バンドの1993年に リリースされた2ndアルバム、DESENSITIZEDからTriad、Diable、 N.C.M.、To Die Is Gainの4曲をBIOHAZARD、THERAPY?、GUNSHOTが 独自のリミックスを行い収め1994年にリリースされた風変わりな アルバムだ。元々スラッシュ・メタル的なアティテュードの強い バンドだけに、メタル系の人にも結構聴ける。かなり斬新な リミックスを加えているのはTHERAPY?で、非常にグルーヴィな テクノ調のダンサブルなナンバーに仕上げている。企画盤的な アルバムだが、面白い部分はある。[75]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバムで、 メイン・コンポーザーたるANDI DERISがHELLOWEENにさってからの 第2弾になる。前作より扇情的なメロディのANDI色を一掃して、 シアトル的なアメリカン・ロックへと方向転換したが、今作では 更に歌ものとしての色彩が強くなっている。コーラスを多分に 取り入れ、メロディアスなアメリカ指向の強い作品に 仕上がっている。前作よりもうANDIがいたときの様な音楽は やらない事は判り切っていたので、今作ではそれ程 ショックはなかったものの、出来ればバンド名を変えて 欲しいというのが本音だ。そういった事を抜きにすれば、楽曲は 悪くないし、ヘヴィ・メタルではないが悪くないアルバムだ。[76]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー・アルバム。 ボーカルのHENRYのボーカル・スタイルは押さえた 歌い方をする場合を除き、JAMES HEADFIELDSそのものであり、 アルバムの内容もBLACK ALBUMを思わせる部分が そこはかとなくある。全体的にこのMETALLICA的な部分とダークで 切々と歌うややサイケデリック的な部分からなっている。 ヘヴィネスで、METALLICAより気だるさを湛えたサウンドは オリジナリティがないようでいて、一風変った感じをさせる。 出来自体は楽曲、プロダクションも割と良く出来ているし、 演奏も悪くない。[78]
ドイツのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの ライヴ・アルバム。メイン・コンポーザーでもあるANDI DERISが HELLOWEENに去って、新たにイギリス人ボーカリスト DAVID READMANが加入してのライヴの模様を収めたものだ。 ANDI DERIS時代と、DAVID READMANが加入してからのバンドの 方向性は全く違うものであるため、その両者が混在した このライヴでは統一感にやや欠けるが、それ程顕著に差を感じる 程でもない。ANDI DERISの個性的なボーカルに比べ、 DAVID READMANはどちらかと言うとストレートな感じの ボーカリストであり、彼がANDI DERISの曲を歌うと灰汁の弱さが どうしても感じられてしまうのは仕方がないだろう。それでも 中々パワフルで、下手と言う訳でもないので、結構聴ける事は 確かだ。DAVID READMANに交代した後の曲も、スタジオ盤で感じた あのダークな雰囲気もほとんど感じないくらいで、 このアルバムの方が聴きやすい。[80]
アメリカのスラッシュ/パワー・メタル・バンドの1984年に リリースされたアルバム。五寸釘があちこちから飛び出た覆面を 被ったボーカリスト、PILE DRIVERの如何にも色物的な姿には少し 引いてしまうかも知れないが、楽曲自体は悪くない。 アップ・テンポ中心の勢いのある扇情的なメロディは迫力があって 良い出来だが、一方でこれといった楽曲はないし、B級っぽい 感じがするのはいがめない。とは言えパワフルな感じで、 スラッシュ・メタル的な楽曲は非常にのりが良い。特に ギター・リフが良い出来で、意外に楽しむ事が出来る作品だ。[84]
イギリスのインダストリアル・ロック・バンドの4thアルバム。 基本はインダストリアルで、サンプリング等も当然されている 訳であるが、その楽曲はドラムン・ベース等を取り入れた、非常に ダンサブルなビート・ナンバーで、ヘヴィ・メタルとはまた一線を 画している。そういう意味ではお奨めとは中々言い難いが、非常に ユニークで出来の良い作品だ。出だしのMicrowavedを始め、のりは 凄く良いし、メロディも良いと、あまり文句のつける所がない。 こういったデジタル処理された音が気にならないなら聴いてみて 損はないだろう。ここに至って、ついに自己の音楽を確立した 感があり、記念すべき金字塔となる可能性を秘めたアルバムだ。 [89]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの6thアルバム。 メイン・コンポーザーたるANDI DERISがHELLOWEENに去った後、 その音楽性を一新してまるでシアトル系という様な方向に転換し、 ファンの多くの失望を買ったが、ここに来てそれを過ちと 悟ったのか、メロディアス・ヘヴィ・メタルと言う方向に立ち 返っている。特にオープニングのShame等は名作たる2nd アルバムに入っていてもおかしくないような楽曲である。とは 言っても、全体的にANDI DERISが得意とする扇情感たっぷりの 哀愁のメロディからすると、かなり洗練されて アメリカナイズした様な印象を受ける。そのため、初期の異様な 盛り上げかたに対して、かなり落ち着いて盛り上がりに欠けると 言うような感じだ。メロディアス・ヘヴィ・メタルに立ち返った 事は歓迎すべき事だし、楽曲の出来等、悪くはないが、今一つ 物足りないと言うのも事実である。[83]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2ndアルバム。方向的には ドーミィさはなく、どちらかと言うとよりモダン・ヘヴィネスと 言った方が正しい作品で、この手のバンドとしては異端と言って 良いだろう。そのため、JOE RODRINGUEZの怒声は、PANTERAの PHILIP ANSERMOっぽさも感じるが、楽曲的にはより アップ・テンポで疾走感が出ている。リフが中心で、 スラッシュ・メタル的なエッセンスもあるが、基本はあくまで モダン・ヘヴィネスだ。単調になりそうな中にも、Reality Of War 等、小技が効いていて、飽きさせないような工夫も感じられる。 [82]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの8thアルバム。 メイン・コンポーザーであったボーカリストのANDI DERISが HELLOWEENに移籍した後も、DAVID READMANを新しいボーカルに 迎えて、オルタナティヴ的な方向へと路線を変更しつつも地味に 活動を続けて来ていたが、今作では心機一転、メロディアスな ハード・ロックをやって来ている。楽曲を書いているのが ANDI DERISではなくALFRED KOFFLERなので、初期とはまた少し 違った感じも受けるが、やれば出来ると言うところを見せ 付けられた訳で、溜飲を下げた思いだ。初期の様な、哀愁の メロディを前面に押し出した感じは受けないが、さりげなく 愁いのある良質のメロディを押し出している。こう言う 楽曲ならば、DAVID READMANのボーカルにも合っているし、もう 少し楽曲が練り込まれてくればかなり良くなって来ると 思えるのだが。[83]
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの2枚組みライヴ盤。 1980年と1981年に行われたイギリスでのライヴの模様を 収めたものだ。プログレッシヴ・ロック史上に残る名盤で、 映画も作製された壮大なるコンセプト・アルバム、THE WALLの リリースに伴うツアーでのライヴだ。観客席との間にその タイトルが示す通りの壁を作り上げると言う、大胆な発想はこの 作品ではインナーの写真でしか見れないが、その壮大な コンセプトと緊張感は十分良く伝わって来る。非常に良く 完成されたライヴ盤で、独特の雰囲気が伝わって来る素晴らしい 内容だ。[89]
アメリカのインダストリアル・ロック・バンドの1996年に リリースされた3rdアルバム。大胆に機械処理された、如何にもと 言った感じのインダストリアル・ロックだが、そのサウンドは 攻撃的で、モダン・ヘヴィっぽく、リフはスラッシィで ダンサブルな感じがするところもあり、ヘヴィ・メタル側の リスナーにも結構聴けるはずだ。その一方で、Hangar 84等の 様に、プログラミングを中心としたものもある。そう言った 方向性である一方で、WHITE ZOMBIEっぽいWHITE OUT等、楽曲は 意外とコマーシャルで面白い。こう言ったコマーシャル性が彼等の 独自性を醸し出している。[82]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2年振りとなる3rdアルバム。 PANTERAの交流があるだけあって、その音楽的方向性はまさしく PANTERA型のモダン・ヘヴィネスと言えるもので、それは これまでの延長線上とも言えるものだが、今作ではより オリジナリティが出ており、PANTERAの亜流と言う域は脱している。 PANTERAがミドル・テンポ中心のよりヘヴィネスさに重点を 置いているのに対して、彼等はかなりアップ・テンポで、 スラッシィなスピード感を前面に押し出している。また、結構 グルーヴィで、勢いを感じさせてくれるアルバムに 仕上がっており、そのためかなりのりが良く、アグレッシヴで ブルータリティさが感じられる作品だ。[83]
アメリカのグラインド・コア・バンドの2ndアルバム。元AxCxの ギタリスト、SCOTT HULLを中心としたバンドだが、音楽的にはAxCx 程混沌とした感じはなく、メロディや曲展開はそれなりに 出されている。長い楽曲も数曲あるが、この手のものらしくその ほとんどが1分程度で、22曲も収録されていながら35分 程度しかない。ボーナス・トラックにその本編より多い、38曲も 収められているのも圧巻だ。グラインド・コアとデス・メタルは かなり近い関係であるとは言え、ブラスト・ビートを 中心としながらもかなりスラッシィな部分があり、デス・メタル 的な色合いが濃い楽曲と音作りがなされている。このメタル側の リスナーにも聴き馴染みが良いだろうと思える楽曲の出来も 良いし、アグレッションとブルータリティに満ち溢れていて、中々 聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。[84]
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドの7年振りの アルバム。元々リリース間隔の長いバンドだったが、それにも 増して久しぶりの作品だ。前作よりROGER WATERの脱退で、 DAVID GILMOURがバンドの支柱となって舵取りを取って来たが、 今作もその前作の延長線上と言って良い作品だろう。 DAVID GILMOURのハートフルなギターが前面に押し出された、 シンフォニックなプログレッシヴ・ロックで、正に DAVID GILMOURならではと言う感じのアルバムに仕上がっている。 昔のファンからすると、ROGER WATERが織り成す、緊張感のある 構築されたサウンドとは掛け離れているだけに 不満もあるだろうが、これはこれで良い出来だ。[83]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの8thアルバム。DAVID READMANに ボーカリストが交代して以降、多くのバンドが陥ったダークな オルタナティヴ・ロック的な方向性への転進と言う失敗をこの バンドも侵したが、ELECTRIFIED以降、再びメロディアスな ヘヴィ・メタルへの回帰を行っているが、この作品もその 延長線上と言える。初期のANDI DERIS時代の作品は、粘着的な 印象を受ける憂いを帯びたメロディだったが、ここ最近ではやや アメリカ的な洗練さを見せたものになっており、それほこの作品で より顕著になっている。ポップで明るい楽曲もあり、やや 発散してしまっている様に感じられるのは残念だが、悪くない 出来だ。[82]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの6thアルバム。前作では メロディを前面に押し出し、モダンなヘヴィ・ロックへと 転進していたが、彼等の特色であったデジタル的な部分と アグレッションが感じられず、彼等の作品としては違和感のある 中途半端な作品に終わってしまっていた。その反省からか、 今作では前作でのメロディを残しながらも、従来の デジタル・パンク的なエッセンスを押し出し、新旧の折衷と言った 感じの作品に仕上がっている。しかし、これを聴いても デジタル・パンク以外の部分の面白みはそれ程でもなく、やはり デジタル・パンクこそ彼等の真骨頂と再認識出来る作品だ。[82]