アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた ライヴ盤。1987年に行われたライヴの模様を収めたもので、前作の ライヴ盤の残りの音源をライヴ盤化したものだ。とは言っても、 単なる残り物と言うには余りある興味深い内容で、特に 未発表曲であるPoison EyesとGive It To Meが含まれている 事だろう。その他にもHeart Of A Lionのイントロとして LED ZEPPELINのDazed And Confusedを演奏していたりするのも 注目されるところだ。JEFF MARTINのボーカルはライヴで 聴いていると少し辛いところもあるのは確かだが、PAUL GILBERTの MR.BIG結成前のライブ音源としては中々貴重な作品だ。[80]
ドイツのパワー・メタル・バンドの1986年にリリースされた デビュー盤。ジャーマン・パワー・メタルと言ってもHELLOWEENの 影響は全く見えず、ストレートに疾走するパワー・メタルを 聴かせてくれている。メロディよりもパワフルなのりが 中心なので、HELLOWEENの様な大仰なメロディと曲展開を 期待するならばあまり面白くはないだろう。荒々しいまでの勢いを 感じさせる作品で、今一つ洗練されていない感を受けるのは 如何ともし難いところだろう。この作品を特徴付けているのは、 シアトリカルなヒステリックさと特徴的なさび辺りだが、まだまだ 若さを感じてしまう出来だ。[72]
ドイツのパワー・メタル・バンドの1987年にリリースされた 2ndアルバム。ストレートなパワー・メタルに、急に展開の変わる さびがこのバンドの特徴と言って良いだろう。 そのせいもあってか、HELLOWEENの様な様式美的なメロディや 展開とは異なり、かなりシアトリカルさを感じさせる作品で、やや 好き嫌いが分かれそうな感じのする作品だ。前作よりもまだ 曲の構成と言うものがちゃんと出来ていて、アレンジ面でいくらか 進歩した様に感じられて好感が持てる。まだまだ 洗練されておらず粗も目立つが、オリジナリティと可能性は 感じられる。[74]
ドイツのパワー・メタル・バンドの1990年にリリースされた 4thアルバム。ジャーマン・パワー・メタルとしては古参の バンドだけに、大仰でドラマティックなメロディと展開と言う、 HELLOWEENの影響をあまり受けていない数少ないバンドと 言えるだろう。アップ・テンポの疾走感たっぷりの楽曲に、決して 上手いとは言えないが、パワフルなPEAVEYのボーカルを 乗ってくると言う形は今と変わりない。よりアップ・テンポで、 ややシアトリカルな感じを受ける分だけ、洗練されていない様に 感じられるし、飛び抜けた楽曲もないので、勢いだけで 聴かせている感はある。[73]
ドイツのパワー・メタル・バンドの1990年にリリースされた 5thアルバム。割とストレートなパワー・メタルだった SECRETS IN A WEIRD WORLDと比べると、よりシアトリカルで 変則的なアルバムだと言って良いだろう。その分、平坦に 感じられた前作よりフックが感じられるのは確かだ。メロディも 叙情的な部分が前作より押し出されていてより魅力的で、PEAVEYの ボーカルにも合っている。一本調子だった前作に対して、静と動を 出しているのも好感が持てる。ただ、シアトリカルさが増した 分だけ、それ以外の部分との落差が激しいし、好き嫌いが 分かれるかも知れないが、これはこれで悪くない。[77]
ドイツのパワー・メタル・バンドの1992年にリリースされた 6thアルバム。これまで、シアトリカルな曲展開という アイデアはあるのだが、それが上手く出せずにさびだけが急に 変わると言う様な印象を受けたが、この作品ではかなりアレンジ 面で改善されており、全体的な整合感が取れる様になってきた。 そのためか、いままで感じられたシアトリカルさが 和らげられており、このシアトリカルさがこれまで感に触る様な 部分もあったが、より聴き易くなった印象を受ける。これまでとは 段違いに曲の構成が良くなっており、現在の彼等の原型とも言える 形が完成している。[79]
ドイツのパワー・メタル・バンドの1993年にリリースされた 7thアルバム。前作辺りからようやく自己の音楽性が確立された 感があるが、この作品ではそれが完成の域に近づいたと言って 良いだろう。アップ・テンポの楽曲は、きちんと展開が組み 立てられていて、メロディも良く練られており、楽曲の出来は これまでよりも段違いに良い出来だ。あまり上手くないと思えた PEAVEYのボーカルも安定していて、楽曲に良く合っていて 悪くない。アグレッションの聴いたサウンド作りも、彼等の音楽に 良く合っており、フックの聴いたアルバムに仕上がっている。[82]
ドイツのパワー・メタル・バンドの1994年にリリースされた 8thアルバム。何やらベスト盤の様なタイトルだが、バンド結成 10周年を記念して作成されたアルバムだ。最近はトリオ編成で 通していたが、今作よりSPIROS EFTHIMIADISと元PYRACANDAの SVEN FISCHERが加わり、再びツイン・ギターの4人 編成となっている。その分音に厚みを増し、よりパワフルな サウンドに仕上がっており、アグレッションの効いたフックのある 作品に仕上がっている。方向的には前作の延長線上と 言えるものだが、楽曲の完成度もより増して、中々素晴らしい アルバムだ。[84]
アメリカのサザン・ロック・バンドの1993年にリリースされた、 3年振りとなる3rdアルバム。骨太のアメリカ南部らしい サザン・ロックだが、かなりハードな音作りがなされており、 メタル側のリスナーにも十分聴けるだろう。 LYNYRD SKYNYRD meets METALLICA等と言うキャッチ・コピーを 付けられていたが、部分的に見ればそれは正しく、 サザン・ロックにMETALLICAらしいギター・メロディも 挿入されている。この一見、ミス・マッチな取り合わせが絶妙で、 彼等の個性として上手く生かされている。とは言え、あくまでも 主流は陽気で土臭いサザン・ロックなので、こう言った作品が 好きだと言う前提が必要だが。[81]
アルゼンチンのハード・ロック・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。方向的にはRAINBOWに代表される様なクラシカルな ハード・ロックで、この後そう言った色合いがより強くなって 行くのだが、ここではまだよりオリジナリティを重視した 内容となっている。とは言っても目新しいものがある訳ではなく、 古典的なハード・ロックに、ラテン系の独特の節回しの作品に 仕上がっている。SAUL BLANCHのボーカルは、ラテン系独特の 巻き舌の発音はあまり強くなく、それ程気にならないだろう。 プロダクションはかなり悪く、いかにもB級的雰囲気を 漂わせているが、メロディのアレンジ等中々良い。[78]
アルゼンチンのハード・ロック・バンドの1990年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には前作の延長線上とも言えるものだが、 特にStreet Of DreamsそっくりのMujer AmanteやFire Dance そっくりのEl Beso De La Bruja等、末期RAINBOW的な色合いをより 強めている。これだけ露骨にネタを使っているので、一種 RAINBOWのパロディ・バンドとも思えるが、WALTER GIARDINOの ギター・プレイも相俟って、これはこれで面白いし、 プロダクションはともかく出来は良い。末期RAINBOWの ファンならば、一度聴いてみるだけの価値はあるだろう。[81]
アルゼンチンのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 3rdアルバム。方向的には前作の延長線上と言えるもので、 RAINBOWの影響が色濃く出たものとなっている。 La Boca Del LoboはFire Danceそっくりだし、それ以外にも RAINBOWから取ったアイデアがあちこちに見える。アルゼンチンと 言う辺境の国だけに、プロダクションはお世辞にも良いとは 言えないのだが、内容自体は悪くない。割と元ネタがもろに 出ている部分もあるが、独自の味わいを出していて、アレンジも 悪くないし、RAINBOWのファンならば一聴の価値はあるだろう。 [83]
アルゼンチンのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた ミニ・アルバム。元々RAINBOWそっくりのスタイルとして強く 認識されていたバンドだが、今作ではそう言った後期RAINBOW的な キャッチーさを持ったハード・ロック的な色合いは薄れ、重厚で むしろJUDAS PRIEST的と言って良いだろう。そう言う意味では 相変わらずオリジナリティがないのだが、それこそが彼等の 個性みたいなものなのだから、それ自体の是非を問うても 仕方ないだろう。むしろ後期RAINBOWのネタが切れて来たので 安易に路線変更した様にも思えるが、日本にも良く似た様な企画が 沢山あるし、B級臭さやプロダクションは兎も角出来自体は 悪くない。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 2年振りの3rdアルバム。彼等のサウンドを表すのに、 RATT'N'ROLLと言う言葉が生まれた事からも判る様に、独特の 定型化されたワン・パターン性を持ったバンドだけに、この 作品でもこれまでの延長線上と言えるアルバムだ。それだけに 想像以上でも以下でもない、安定した安心して聴ける 作品ではあるが、それ故に新鮮味もない。言わばOUT OF CELLERSが 彼等の最高傑作で、その新鮮味が薄れるにつれ、どんどん パワー・ダウンして言った感じを受けるのは、彼等の様なバンドの 宿命とも言えるだろう。これ単体で取れば、決して悪くない 作品なのだが、飽きに負けずに引っ張っていくにはあまりにも ワン・パターン過ぎた。[83]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた 4thアルバム。L.A.メタル期に登場し、初のフル・アルバム、 OUT OF THE CELLARで最も初期から成功を収めたバンドの 一つとなったが、その成功は決して続かなかった。その大きな 原因は、自らRatt'n Rollと称した、あまりにもワン・パターンな 音楽性にあると言って良いだろう。その音楽性はここでも 貫かれており、アルバム自体の出来は決して悪くないのだが、 離れて行ったファンを再び振り向かせる事は出来なかった。ただ、 そのワン・パターンさこそ彼等の個性であったと言えるだけに、 その人気が短命で終わったのは運命と言って良いのかも 知れない。[82]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた デビュー盤。音楽的にはロックンロール調のヘヴィ・メタルで、 N.W.O.B.H.M.のバンドとしてはかなり破天荒さを前面に押し出した サウンドだと言って良いだろう。VENOM等と並んで、後の スラッシュ・メタル・シーンに繋がっていく様な音楽性は、この 当時としてはかなり特殊で、日本では今一つ認知度の低かったが、 Don't Need Your Money等は中々面白い楽曲だ。N.W.O.B.H.M.の 作品としてはかなりプロダクションは良い方だと言って 良いだろう。テクニック的な部分はともかくとしても、彼等の パッションは十分伝わって来る作品だ。[80]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1982年にリリースされた 2ndアルバム。音楽的には前作の延長線上と言えるもので、 ロックンロール調のコアなヘヴィ・メタルだ。この手のものらしく 相変わらずプロダクションは悪いが、猪突猛進を思わせる様な パワフルなサウンドがそう言ったものを吹き飛ばしている。 To The Limit/To The Topの様な憂いのある楽曲を取り入れ、その 音楽性により幅の広がりが感じられる。とは言え、基本的な部分に 変わりはなく、JOHN GALLAGHERのボーカルも前作同様 ヒステリックなもので、好き嫌いははっきりと分かれそうな 作品だ。[80]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた レア音源集。1982年にリリースされた12インチ・シングル、 CRASH, BANG, WALLOP、1980年にリリースされたシングル、 DON'T NEED YOUR MONEY、1981年にリリースされたシングル、 HARD RIDE、1983年にリリースされたシングル、BORN TO BE WILDに 収められていた8曲に、バンドのメッセージを加えたものだ。特に STEPPEN WOLFのカバー、Born To Be WildではACCEPTの 元ボーカリスト、UDO DIRKSCHNEIDERがJOHN GALLAGHERと デュエットしており、よりヒステリックさなものに 仕上がっている。[78]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 4年振りのアルバム。デビュー当事と比べると、プロダクションは 良くなり、ロックンロール色は薄れ、JOHN GALLAGHERのボーカルも ヒステリックさはなくなり、彼等のサウンドも時代に沿った変化が 感じられるが、彼等らしいパワーは決して失われていない。 破天荒さが消え、整ったパワー・メタルを聴かせてくれており、 憂いのある楽曲も入れられ、時には泣きのギター・メロディも 入っている。それ故、巷に溢れるバンドとの差別化が 難しいところだが、N.W.O.B.H.M.時と同じ事を今更 出来ないだろうし、難しいところだ。[80]
ベルギーのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた アルバム。CD番号からして恐らく自費出版されたものだろう。 スロー・テンポからミドル・テンポの楽曲が中心の オーソドックスなヘヴィ・メタルだ。KURT VERCHELDENの枯れた 感じのボーカルと、扇情的で妙にうねったメロディが、B級臭い 楽曲に独特のアクセントを付けていて良い味を出している。 アップ・テンポのHard Times等もN.W.O.B.H.M.的な匂いのする ハード・ロックロールで良い感じだ。自費製作だけあって、録音 状態も良くないのだが、かえって古臭い味付けとなっていて 悪くない。[84]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。クラブ・チッタ 川崎でのSLEEZE BEEZとのジョイント・ライヴの模様を 納めたものだ。N.W.O.B.H.M.から活動を続けている ベテラン・バンドで、VENOM、ANGEL WITCH等と並んで スラッシュ・メタル・シーンの誕生に影響を与えたバンドの 一つだ。現代ではまぁそれほどではないが当時は凄く 斬新だったし、ここでも十分パワフルで、演奏も悪くないのだが、 破天荒さというのが昔ほど感じられず、同じライヴ音源と言う 事ならLIVE AT THE INFERNOの方が面白いだろう。[80]
北欧のハード・ポップ・バンド、DALTONに在籍していたLINDMARK 兄弟が結成したハード・ロック・バンドのデビュー盤。DALTONと 比べると、それ程ハード・ポップ的な感じはしなくて、むしろ どちらかと言うとアメリカン・ロック風の明るい情感たっぷりな 楽曲群で構成されている。全体的に一本調子の感はいがめないが、 メロディも良いしメリハリも効いていて、なかなか良く 出来てはいる作品だ。ただしこれと言った印象に残る曲は無く、 全体的に小粒という感はいがめないのが残念だが、全体的に 覆われている叙情的な雰囲気が良い。[85]
ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム。途中 10 YEARS IN RAGE-THE ANNIVERSARY ALBUMという十周年の 企画盤があったが、THE MISSING LINK以来の新作となる。いわゆる ジャーマン・パワー・メタルなのだが、歴史がある程度長いので、 HELLOWEENの影響を受けておらず、それらのバンド軍とはやや趣が 違うのがこのバンドの特色だと言って良いだろう。ツー・バスを どかどかやらないし、過剰なメロディがないので他の ジャーマン・パワー・メタル・バンドと比べるとより自然さが 感じられる。ざくざくとしたリフが気持ち良いが、楽曲は ワン・パターン気味で、一本調子で抑揚がないのが難点だ。[83]
オーストリアのヘヴィ・メタル・バンドで恐らく自費出版 アルバムだろう。N.W.O.B.H.M.的な部分も無くはないのだが、 もっとMAXIMILIAN R.L.のキーボードが全面に押し出されていて、 むしろハード・ポップから没個性なVIRGIN STEELという感じだ。 N.W.O.B.H.M.というようなブリティッシュっぽさはなく、むしろ B級的な部分で相通ずるところがある。もう少しブリティッシュ 的な色合いがあるとPRAYING MANTIS等にも 通ずるところがあるだろう。B級的な部分が良くもあり、悪くも 感じるし、キーボードを前面に感じる以外は個性を感じない。 ただ、メロディアスであるのは確かで、もう少しアレンジ 能力があがればかなり良くなると思うのだが。[80]
カナダを中心に活動しているイギリス人シンガーの ソロ・アルバム。1970年代からプロとして活動していて、活動暦は 長いのだが、やっている事にあまり古臭さは感じさない。 音楽的には洗練された軽快でポップ・センス溢れる叙情的な メロディの楽曲が並んでおり、ブルージィなものから哀愁の ハード・ポップ・チューンまで変化を入れていて多様だ。特に キーボードも印象的なUnder The Gunは名曲と言っても良い 出来だし、それに劣らぬ佳曲も数多くある。彼のボーカルも それに見合った歌唱力であり、また合った声質だ。全体的に楽曲の 出来は非常にクオリティは高く、意外とハードな作品作りも好感を 持てる。[90]
ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム。実にRAGEらしい 魅力に溢れたアルバムだ。うまいというタイプではないが、 PEAVYの特徴的な情感のある力強いボーカルが良く生きている。 厚みのある演奏に、パワフルで寂涼感と扇情感のある印象的な メロディが疾走する楽曲も良い出来だ。ほぼ3、4分台の楽曲で 占められており、冗長な部分がなく聴き易いのも良いし、演奏は 生々しく録音されており、ドラマティックさを生かしていて 効果的だ。RAGEはそのスタイルというものを確立しているが、 その一つの世界の中でもさらに素晴らしい作品を作ったと 言えるだろう。全てにおいて、RAGEの最高傑作と言ってよい 出来だ。[90]
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた デビュー・ミニ・アルバムで、ボーナス・トラックを加えて フル・アルバムの体裁を取っている。変則的な楽曲は非常に 攻撃的で、方向性としては見る向きは悪くない。 中心となっているリフはまぁ良いとして、それに絡んでくる ギター・ソロが所々曲から浮いているように感じるのは楽曲の練り 自体が足りないからだろう。変則的なスタンスでこういう問題は 特に浮き彫りになるので、そういう点は修正した方が良い。 わめきちらすだけのボーカルももう少し何とかしてほしい。[75]
ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム、 END OF ALL DAYSからの1stシングル。シングル・カットされた タイトル・トラックの他、JUDAS PRIESTの トリビュート・アルバムに収められていたJawbreakerと未発表が 3曲と言う構成になっている。注目すべきはIRON MAIDENのカバー、 The Trooperだが、割合とそのままやっているので、後はこれを PEAVYのボーカルで聴いて面白いと思えるかどうかだろう。残りの 2曲の未発表曲は可もなく不可もなくといったところで、 アルバムから落ちたのも納得出来るが、Tie The Ropeは 彼等らしいスピード・ナンバーに仕上がっている。[80]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。前作がダークで 今一つ盛り上がりがなく、つまらない判り辛い作品であったのに 対して、その反省もあってか、今作では部分部分のメロディが 非常に判りやすい、印象的なものになっている。楽曲は攻撃的な スピード・ナンバーで占められており、破天荒な彼等らしいと 言える作品に仕上がっている。飛びぬけて素晴らしいとは言い 難いのだが、十分ファンには納得出来るだけの作品になっていると 思う。N.W.O.B.H.M.期に登場し、そのサウンドはかなり完成度を 増したが、彼等のスタイルは変るところはない。[83]
元DALTONのLINDMARK兄弟率いるスウェーデンの ハード・ロック・バンドの2ndアルバム。デビュー盤と比べると、 叙情的な部分は若干後退していて、カラッと明るいアメリカの バンド風のキャッチーなロック・アルバムに仕上がっている。 BON JOVIのTOKYO ROADの様なFlattered Then FloredやFIREHOUSEの アコースティック・バラードの様なSad Song等、どこかで 聴いたことのあるような曲もちらほらあるが、楽曲は割かし良い 出来だ。決めには欠けるが、安心して聴いていられるだけの作品に 仕上がっている。BO LINDMARKのボーカルも剛直だが、甘く 伸びがあって悪くない。[83]
ドイツのパワー・メタル・バンドのライヴ盤。1996年に行われた ヨーロッパ・ツアーより、ドイツでのライヴの模様を 収めたものだ。長い活動歴を誇る彼等としては初のライヴ盤だが、 残念ながらミニ・アルバムで、ライヴ・パフォーマンスの一端を 伝えているに過ぎない。楽曲は、最新作と前作からのみで、これに METALLICAのカバー、Motorbreathと言う構成になっている。何と 言っても興味深いのはMotorbreathで、割とオリジナルに忠実な アレンジになっている。パワフルでエネルギッシュなステージの 模様が伝わって来るだけに、出来ればフル・アルバムと言う 形にしてもらいたかった様な気がする。[82]
後期RENAISSANCEに加入していたイギリス人ピアニストの ソロ・アルバム。実際は1978年から1980年までに 作成されたもので、依然リリースしたソロ・アルバムとは内容が 異なるらしい。RENAISSANCEのメンバーだけあって、内容も シンフォニックな落ち着いた作品だ。ピアノを中心とした優しい 雰囲気に満ちた楽曲で、軽快なThe Games等はメロディも印象的で 面白い。ハーブも大幅に取り入れられていて インストルゥーメンタルと女性ボーカルの曲からなっている。 内容的にも楽曲、演奏とも安心でき、非常にリラックスして 聴ける。[84]
L.A.メタルの大物バンドの再結成第一弾。昔作られて 没になった曲をやってたりと、純粋に新作とは言い難いが、 それでもほとんどが新録音だ。全体的にギターが WARREN DE MARTINI一本になった影響がもろに出ており、昔に 比べれば薄く感じるのはどうしようもない。若き日の のりというようなものが今一つ出せておらず、どちらかというと 落ち着いた感じのする作品になっている。STEPHEN PEARCYの ボーカルが曲によっては苦しいDAVE MUSTEINの様な感じなのは 少々苦笑する。それでも、楽曲の出来はまずまずだし、決して悪い 出来ではないのだが。[77]
元EDDIE MONEY GROUPのTOMMY GIRVINとDON CROMWELLのアメリカ人 コンビによるプロジェクト・ロック・バンドのアルバム。 叙情的でキャッチーなメロディのいかにもという様な アメリカン・ロックで、叙情的なナンバーが取り揃っていて、 出来は確かに良い。10年くらい昔のヒット曲というような楽曲が ずらりと並び、安心して聴ける作品ではあるが、逆に全体を通して 平均的で、甘ったるい感じがするのが難点だ。ハード・ポップと 言う程ハードでもないので、注意した方が良い。TOMMY GIRVINの ボーカルは、ややしゃがれていて特別上手いと言う程ではないが、 楽曲の雰囲気にはあっている。[81]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた デビュー盤。ロックンロール風ののりの良いヘヴィ・メタルで、 明るいアメリカ的な雰囲気もある。KIX的なエッセンスがあるが、 あそこまでAC/DC的なロックンロール中心という感じではなく、 より普遍的な感じがする。WALTER WICHAのボーカルは やや鼻につかなくもないのだが、全体的には荒々しいのりが ありながらも、メロディがそれなりにきっちりと まとめられており、悪くない作品だ。B級っぽさはいがめないが、 それなりに聴きごたえのある作品には仕上がっている。[80]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた 2ndアルバム。デビュー盤の延長線上といえるアメリカ的な 作品だが、よりヘヴィ・メタル的な色合いを強く打ち出している。 KIX的なロックンロール色はかなり薄まり、グラマラスな サウンドのB級メタルだ。そこにヨーロッパのバンドらしい 叙情性が味付けされているのだが、場面場面によってはそれが かなり強調されている部分もある。特にI Wanna Runや Stronger Than Rock等は、楽曲全て良いとは言えないが、 デビュー盤ではなかったような非常にメロディアスな曲だ。[81]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1987年にリリースされた 3rdアルバムに1981年にリリースされたミニ・アルバムを カップリングしてCD化したもの。2ndアルバムより、更に ヘヴィ・メタル然とした作品に仕上がっている。アップ・テンポで のりが良い楽曲が中心だが、デビュー当時にあった ロックンロール色はあまり感じられなくなっている。やや芋臭さも 感じるが、Rockets等はなかなかメロディアスなところも 見せていて、そういう意味ではメロディ中心の方向性へ向かったと 言って良い。実質的なデビュー音源であるミニ・アルバムでは 時期も時期だけに、まるっきりN.W.O.B.H.M.を思い起こさせる 内容だ。[83]
ドイツのパワー・メタル・バンドの13作目のアルバム。これまでの パワー・メタル然としたサウンドからはやや趣を変えて、 LINGUA MORTIS的な趣向を取り入れた作品になっている。もちろん PEAVYのボーカルや、楽曲に指向に変わりはないが、RAGEらしい インパクトがあまり感じられない。要所、要所に オーケストレーションが施されており、落ち着いて引っ込んだ 印象すら受ける。どちらかというとテンポもこれまでと比べると 早い楽曲が少なく、より一層そういった感を強めている。 LINGUA MORTISが好きなファンには受けるだろうが、そうではない ファンには少し退屈に感じるかもしれない。[82]
ドイツのパワー・メタル・バンドの来日記念盤のミニ・アルバム。 最新アルバムからのシングル・カットと言える タイトル・トラックのミックスしたものの他は、日本で プロモーションのためにPETER PEAVY WAGNERとSVEN FISCHERの 二人が行ったアコースティック・ギグ4曲が収められている。 アコースティック・ギターでアンプラグドのギグが行われる 事はさして珍しくはないが、今回特筆する事はそれにピアノ、 バイオリン、チェロを入れている事だろう。THE BEATLESの カバー曲、YESTERDAYを除けば、全曲THIRTEENからの曲と言う 事で、元々オーケストラを意識した部分が大きくあった訳だが、 こうやってアコースティック・ギターで聴いてみるとまた違った 趣がある。[83]
AIDSで1993年に夭折した、元BLACK SABBATH、BADLANDSのアメリカ 人ボーカリストのトリビュート・アルバム。 プロジェクト・バンド、SUN RED SUNでの、死直前の最後の 音源や、未発表音源を集めたものだ。参加メンバーは SUN RED SUNの中心人物であるAL B.ROMANOの他は元RAINBOW、 BLACK SABBATHのBOBBY RONDINELLI、ALICE IN CHAINSの MIKE STARR等が参加している。ボツになったアウトテイク等が 入っている分だけ、楽曲はありきたりのものが多いが、 I Know A Place等は中々の佳曲だ。RAY GILLENのエナジーの溢れる ボーカルも素晴らしいし、こういう趣旨のアルバムだと思えば ある程度納得出来る。Chillin With Gillenの様なものも 入っているのはアルバムの作品上致し方ないのか。[80]
N.W.O.B.H.M.バンドの未発表ライヴ、デモ・音源を集めた希少 音源集。ブート音源等も混じっているため、録音状態は決して 良いとは言えない代物だ。だが、Firepowerや Don't Need Your Moneyを始め、荒々しいまでののりが出ていて、 非常に勢いを感じさせる。JANIS JOPLINのカバー、Move Overを やっていて、歌メロ部分は割とまともに始まるが、間奏当たりから だんだん切れだしていく様が面白い。コレクターズ・アイテム的な 作品だが、意外とこういうちゃんとした録音でないものが帰って 彼等の魅力を伝えてくれているように思える。[83]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1982年にリリースされた 2ndアルバムをリマスターしたもの。ボーナス・トラックとして、 1982年にリリースされた12インチ・シングル、 CRASH, BANG, WALLOPから、タイトル・トラックの Crash, Bang, Wallop、Run Them Down、Rock Hardの3曲を 収めている。方向的には、3曲とも彼等らしい破天荒で荒々しい ロックンロール色溢れるヘヴィ・メタルだ。プロダクションも N.W.O.B.H.M.当時のものとあってそれ程良いとは言えず、良くも 悪くも勢いだけは十分感じさせてくれる楽曲で、彼等の ファンであれば十分満足出来るものだろう。[82]
N.W.O.B.H.M.バンドの1981年にリリースされた1stアルバムを リマスターしたものに、アルバム未収録曲を ボーナス・トラックとして付けたもの。Wiped Outはアルバムに 収められているものとは別バージョンで、シングル、 Don't Need Your MoneyのB面に収められていたもの。Inquisitorは 当時、NEAT RECORDSのコンピレーション・カセット、 LEAD WEIGHTに収められていたバージョンのもので、既に CD化されている。純然たる、初CD化曲と言えるのはシングル、 Hard RideのB面に収められていたCrazy Worldで、 変則的ではあるが、彼等らしい破天荒さはある。[78]
L.A.メタル・バンドの再結成第2弾アルバム。前作、COLLAGEが かなり期待外れと言って良い作品だったが、前作は昔の 没作品をやったりと、純粋な新作と言えなかっただけに、これを 実質再結成第1弾と言った方が良いだろう。昔作った 曲をやっているせいもあって、前作では、ギターが 1本になってしまった事への影響がもろに出ていたが、今作では そう言った事も考慮して、従来の方向性を変える事で 対処している。そのため、ラットンロールと言われた頃から 比べると、ミディアム・テンポの楽曲ばかりで構成されている。 のり的には、どうしても落ちる事になるが、ソリッドで素朴な 感じのするハード・ロック・アルバムに仕上がっていて、出来は 決して悪くないとは思うが、如何せん曲に面白味が欠ける。[78]
N.W.O.B.H.M.バンドの1983年にリリースされた3rdアルバムに ボーナス・トラックを追加してリマスターしたもの。 ボーナス・トラックは、シングルのBorn To Be WildとそのB面の Inquisitor、BREAK THE CHAINのB面、 The Ballad Of Marshall Stackを収録している。方向的には、 パワフルなヘヴィ・メタルで、N.W.O.B.H.M.の中でも最も破天荒で コアなバンドだ。MICHAEL WAGENERとUDO DIRKSCHNEIDERによる共同 プロデュースと言う中々豪華な組み合わせだ。その おかげもあってか、これまでの作品より音質は良くなっている。 楽曲もAll For Oneを始め、粒は揃っているし悪くない出来の アルバムだ。[82]
ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム。方向的には、 オーケストレーションを大胆に取り入れた、LINGUA MORTIS以来の 方向性を踏襲している。大仰で非常にドラマティックな 仕上がりだが、こ慣れて来た感じがあって、自然になった分、 全体的に予定調和と感じさせる作品だ。良い意味でも、悪い 意味でも驚きの少ない作品で、良く出来ているものの期待を裏切る 程のものではない。ダークでドラマティックな世界観は、ここ 最近の彼等を良く現しているし、楽曲、プロダクションと 素晴らしい出来だと言って良いだろう。ここ最近ではやや メタルよりの音作りで、メタル系のリスナーにはそれなりに 聴きごたえはあるはずだ。緊張感もあるし、PETER PEAVY WAGNERの 扇情的なボーカルも悪くない。[83]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの12thアルバム。N.W.O.B.H.M. 時代から綿々と活動を停止する事無く、続いてきた数少ない バンドの一つだが、20年に及ぶ活動歴にも関わらず、その破天荒な 元気溌剌さは全く失われることはなく、関心せずにはいられない。 そう言った意味では、いつまでも変わらない、ファンの期待を 裏切らないバンドではある。新鮮味はないが、活きの良さが持ち 味のバンドだけに、そんな事は気にならないだろう。 スラッシュ・メタル、スピード・メタルの元祖とも言える アップ・テンポで勢いのあるサウンドは気持ち良い。[80]
カナダのブラック・メタル・バンドの1998年にリリースされた 1stアルバム。PAZUZUのRAY WELLSとENGELMACHERの ARMAND HORTOLOMEIによるプロジェクトの様だ。方向的には、 キーボードを前面に押し出した作品で、楽曲によっては シンフォニック・ブラック・メタルと言って良いアルバムだろう。 一方で、正統派ヘヴィ・メタル的な切り口を行っており、非常に 哀愁味を感じさせるメロディが盛り込まれている。ボーカルは、 一部咆哮型のデス・ボイスも入って来るが、クリア・ボイスを 主体にしていることもあって、この手のものとしてはかなり聴き 易い作品に仕上がっている。楽曲自体はバイキング・メタルを思い 起こさせる勇壮なところがあって、MISOTHINと言った辺りに通ずる 部分もある。[84]
アメリカのラップ・バンドの3年振りとなる3rdアルバム。基本的な 路線はラップなのだが、ラウドでヘヴィ・ロックやファンク、 ジャズ、ハード・コア・パンクと言った様々な音楽のエッセンスが 取り込まれており、さながらミクスチャー・ロックと言っても良い 様なアルバムに仕上がっている。ZACK DE LA ROCHAのボーカルを 始め、斬新に処理されたサウンドは、良くこう言ったアイデアが 出て来るなと感心させられる。ヘヴィなギター・メロディを 除けば、それ程ヘヴィ・メタル側にクロスして来る 部分はないのだが、レベルの高い作品であることには変わりない。 [88]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの再結成第1弾となる 13年振りの3rdアルバム。メンバーはBRUCE BOUILLETが手首痛で 参加出来ず、元MR.BIGのPAUL GILBERTが一人で弾いているのを 除けば、現JUDAS PRIEASTのドラマー、SCOTT TRAVIS、 JEFF MARTIN、JOHN ALDERETEとかつてと同様のメンバー 編成となっている。方向的には、まさしくこれぞRACER Xと言う、 アメリカ的な叙情的なメロディに、ハイ・テクニックな演奏と かつての再現と言っても良いだろう。楽曲の出来、演奏を含めて 彼等のファンならば納得出来るだけの作品に仕上がっている。[84]
詳細は全く不明だが、ゴシック・メタル・バンドのアルバム。 方向的には、アンビエント系のゴシック・メタルで、非常に 幻想的な作品だ。ギターもベースもドラムもなく、幽玄な女性 ボーカルと、キーボードと東洋的な鐘の音だけで構成されている。 それだけに非常におどろおどろしく、ダークな雰囲気に 満ちている。アイデアは面白いとは思うが、特に展開もなく、こう 言うものをアルバムを通して延々と聴いていて面白いと 思えるかどうかは疑問だ。特にメタル系のリスナーには逆に辛い 内容だと思えるし、1曲聴けば十分と言う感じもする。[58]
ドイツのデジタル・ヘヴィ・ロック・バンドのライヴ盤。1998年に ドイツで行われた公演の模様を収めたものだ。 デジタル・ヘヴィ・ロックと言う位だから、当然シンセサイザーが 前面に押し出されているが、ヘヴィなリフも取り入れられていて、 割合と重厚さは感じさせる。そう言う意味では インダストリアル・ロック的な部分もあるのだが、全体的に非常に シアトリカルな雰囲気を出しており、そう言った空間を作り出す 間と言うか、ギター・リフが入ってこないところでは、感じは 大きく違う。割とテンポはスロー・テンポが中心である事も シアトリカルな雰囲気を強くしている。[80]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。方向的にはリフ中心のスラッシュ・メタル型の メロディック・デス・メタルと言えるものだが、幾分 パワー・メタルよりでメロディもそれなりに打ち出されている。 JONAS NILSSONのボーカルは、デス・ボイスと言うよりはだみ声と 言った感じでそれ程聴き難くはない。このボーカルもあってか、 かなりシアトリカルな印象を受ける作品に仕上がっていて、この 手のものとしてはかなりユニークと言って良いだろう。リフが 中心と言う事で、のりも結構良くて、生々しい音像にはフックが 感じられる。[81]
アメリカのハード・ロック・バンド、MR.BIGの元ギタリスト、 PAUL GILBERT率いるバンドの復活第2弾となる4thアルバム。 メンバー編成は前作と同様で、かつてのメンバーから BRUCE BOUILLETを抜いた編成になっている。前作より、更に ヘヴィな作品に仕上がっており、昔に比べると段違いに楽曲が 良くなっている。JUDAS PRIESTっぽいSuperheroesもJEFF MARTINが 見事に歌い上げているし、中々レベルの高いアルバムに 仕上がっている。方向的には、如何にもヘヴィ・メタルと言った 感じの作品で、BLUE OYSTER CULTのカバー、Godzillaもそれらしい アレンジになっている。[87]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。女性 ボーカリスト、PAMELA MOORE擁するバンドだが、彼女は、 QUEENSRYCHEのOPERATION:MINDCRIMEでSISTER MARY役として、その 歌声を聴かせてくれていた人で、そのエキセントリックな ボーカルは相変わらずで素晴らしい。音楽的には、 QUEENSRYCHEとは共通点は無く、ポップなさびののりの良い ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。アメリカのバンドらしい 洗練さを感じさせる作品に仕上がっている。特にこれと言った 楽曲はないが、全体的に整った良く出来ているし、彼女の ボーカルが際立って光っている。[81]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの15thアルバム。バンドの中心 人物である、ボーカリスト兼ベーシストのPETER "PEAVY" WAGNERを 除くメンバが全員脱退し、元MIND ODYSSEYのギタリスト、 VICTOR SMOLSKIと元YNGWIE MALMSTEEN、ARTENSIONのドラマー、 MIKE TERRANAによる新編成となって作品だ。この作品の大きな 特徴といえるのは、今までPEAVYがほとんどの楽曲を 書いていたのに対して、今作では半分がVICTOR SMOLSKIの ペンによるものだと言う事だろう。これまでは良くも悪くも、 PEAVYらしいワン・パターンさが感じられたが、今作ではより バラエティに富んだ作品となっており、VICTOR SMOLSKIがなした 役割は非常に大きいと言えるだろう。クラシカルなエッセンスが 感じられ、より壮大さを感じさせるドラマティックなアルバムに 仕上がっている。[84]
ドイツのヘヴィ・ロック・バンドの3rdアルバム。方向的には ロマンティックでゴシック・ロック色のあるヘヴィ・ロックだ。 キーボードを全面に配した、エレクトリック・ヘヴィ・ロックで、 楽曲によってはインダストリアル・ロック的なエッセンスも 感じられる。女性コーラスが非常にメランコリックな雰囲気を盛り 上げており、ダークな作品なのだが、意外とフックがあって、 エモーショナルでドラマティックな作品に仕上がっている。 TILL LINDEMANNは全編ドイツ語の歌詞で歌っており、それが独特の 味わいとなっているのだが、一方でこれが気になる リスナーもいるかもしれない。[84]
イギリスのヘヴィ・ロック/ハード・コア・パンク・バンドの デビュー盤。方向的にはいわゆるモダン・ヘヴィネスと 言えるものに近いところがあり、ヘヴィなサウンドに PHILIP ANSELMO的なシャウトを聴かせてくれているFRANK REGANの ボーカルを中心に、JOHN LOUGHLINのデス・ボイス的な咆哮の ツイン・ボーカルがブルータリティを感じさせてくれる。 しかしながら、バックはかなりドゥーミィで、BLACK SABBATHの 影響を思わせるところもあって、ヘヴィ・ロックが好きなら結構 聴けるはずだ。このドゥーミィなエッセンスが禍禍しさを感じさせ 彼等のオリジナリティを出している。[84]
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。その音楽性は 単にヘヴィ・メタルと言ってしまうには、あまりにも多種多様な 作品だ。ZETのボーカルはだみ声で、ラップ的な歌唱法を 取っており、バイオリンやフルートを導入し、サンプリングや ループを使い、女性ソプラノを用いている。 インダストリアル・ロックやテクニカル・ロック、 プログレッシヴ・ロック、ラップ、ゴシック・メタル、 サイバー・ブラックと言うエッセンスを盛り込んだ、 エクストリーム・ミュージックの斬新なミクスチャー的手法と 言って良いだろう。ORPHANAGE的なプログレッシヴなメロディを 用い、MESSHUGGAH的なテクニカルな演奏とWALTARI的な ミクスチャー手法と言う、混沌とした作品ながら、その渾然とした 中にあるビートとアグレッション、エナジーは 凄まじいものがある。[92]
スウェーデンのハード・ロック・バンド、TALK OF THE TOWNの ギタリスト、TOMMY DENANDERによるプロジェクトのアルバム。 1991年にレコーディングしながらもお蔵入りとなっていた音源が 中心で、今は故人となってしまったTOTOのドラマー、 JEFF POCAROが参加しているのが興味深い。TOTOのSTEVE PORCAROと MIKE POCAROの3兄弟で参加しており、BOBY KIMBALL、 FERGIE FREDERIKSEN、DAVID HUNGATE、MSと言った、新旧のTOTOの メンバーが参加している他、その他にもポップ・ミュージック界の 大立者のDAVID FOSTERを始め、MICHAEL THOMPSON、 BRUCE GAITSCH、MATS OLAUSSON、JIM JIDHED等、30名にも及ぶ 豪華なゲストを迎えて作成されている。内容的にはキャッチーな メロディの楽曲からなっているが、アップ・テンポのハードな ロックからAOR風のポップなものまで割と幅の広い作品に 仕上がっている。TALK OF THE TOWNでも判る様に、彼の キャッチーなメロディ・センスは疑い様もないし、方向性に まとまりを欠いているのを除けば中々素晴らしい作品だ。[83]
元MR.BIGのアメリカ人ギタリスト、PAUL GILBRERT率いる ヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。今年行われたアメリカでの 公演の模様を収めたものだ。現在はJUDAS PRIESTと二足の草鞋を 履く、ドラマーのSCOTT TRAVISやJEFF MARTIN、JOHN ANDERETEと 言ったオリジナル・メンバーの他に、THE SZUTERSのギタリスト、 MIKE SZUTERがヘルプしている。再結成後の楽曲が大部分を 占めるが、昔の楽曲も5曲プレイされていて興味深いところだ。 ライヴとしての完成度も中々高く、特にPAUL GILBRERTの演奏は 言わずもがなだし、録音状況もまずまずだし悪くない出来だ。[81]
PRISONER、TALK OF THE TOWN、RADIO ACTIVEのギタリスト、 TOMMY DENANDER率いるハード・ロック・バンドのデビュー盤。 彼らしいキャッチーなメロディ・センスのハード・ロックで、 彼の他のバンドと比べると、それ程大きく異なる訳ではないが、 ブルーズ的な味付けがなされていると言って良いだろう。それに 加えて、ベーシストにはTONY FRANKLINがいるだけに、やや BLUE MURDERっぽさを感じさせる作品だ。彼が書く曲だけに、 流石にレベルが高く、安心して聴く事が出来る。ボーカリストは PRISONERと同じくGEIT RONNINGとのコンビだが、彼のハートフルな ボーカルはバンドの音楽性には合っている。[86]
ドイツのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。色物系的な 超B級のグロいジャケットを見た瞬間、購買意欲を失う人が ほとんどだろうが、意外や意外、その内容は驚く程良い。ドイツの パワー・メタル・バンドと言っても、いわゆる ジャーマン・パワー・メタルと言うものではなく、IRON MAIDEN 辺りの影響を受けながらも、アメリカの正統派的なエッセンスを 感じさせる作品だ。叙情的なメロディながらも、アップ・テンポの 疾走するヘヴィ・メタルで、ぐいぐいと引きつけてくる。やや ねちっこいボーカルだが、パワフルで伸びのあるハイ・トーンも きちんと出ていて聴き応え十分だ。今では珍しくなった 感もあるが、オーソドックスなアメリカの叙情派ヘヴィ・メタルが 好きならばお奨めだ。[87]
ドイツのパワー・メタル・バンドの16thアルバム。前作では 元MIND ODYSSEYのギタリスト、VICTOR SMOLSKIが加入して、 バンドの中心人物であるボーカリスト兼ベーシストの PETER "PEAVY" WAGNERに代わってクリエイティヴ面での主導を 取っていたが、今作でも彼が引き続き楽曲作りの 中心となっている。前作ではまだ違和感もあったが、今作では 演奏する方もかなり慣れて来たのか、自然さの感じられる作品に 仕上がっている。流石に楽曲的には昔の彼等らしさはそれ程 感じられないのだが、PEAVYが歌っているだけで彼等らしい 雰囲気は感じられる。[83]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。その ミクスチャー振りは前作と変わる事なく凄まじく、 サイバー・ブラックを始め、インダストリアル・ロック、ラップ、 ゴシック・メタル、テクニカル・ロック、プログレッシヴ・ロック 等々と言った音楽がかいま見えてくる。サンプリングやループも 使って、それを上手く組み上げて行くレベルは凄まじく高い。 浮遊感漂うソプラノのSFINXとエクストリーム・ボイスのZETによる 男女のツイン・ボーカルで、更にシアトリカルさを上手く引き 出している。ORPHANAGEやWALTARIを思い起こさせる部分もあり、 決して一般受けする作品ではないが、非常に高度な音楽的センスを 感じさせてくれる作品で、それを体現できるだけの演奏力を 持っている。[94]
イギリスのヘヴィ・ロック・バンドの2年振りの2ndアルバム。 最近のヘヴィ・ロックらしい、モダンでラウドな作品で、 ボーカリスト、FRANK REGANのPHILIP ANSELMO的なシャウトは 変わらないし、BLACK SABBATH的なドゥーミィなエッセンスも 失われていないが、よりハード・ロックンロール的なエッセンスを 強く出した作品に仕上がっている。パンキッシュで破天荒さを 感じさせる爆走型のロックンロールを上手く現代の ラウド・ロックに採り入れた作品で、オリジナリティを感じさせる そのアイデアもさる事ながら、良く結実させていると言って 良いだろう。[86]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、MILLENIUMの ギタリストによる初のソロ・アルバム。いわゆる ギター・インストルゥーメンタルと言うもので、彼の ギター・プレイを全面的に配したものとなっている。 MILLENIUMでは、哀愁を帯びたキャッチ−なヘヴィ・メタルを 聴かせてくれていたが、この作品ではインストルゥーメンタルと 言う性格上のためか、むしろもっとフュージョン的なエッセンスを 強く押し出している印象を受ける。そう言った中にも、彼らしい 叙情的なメロディを盛り込みながらも、ULI JOHN ROTH等、彼が 影響を受けたであろうギタリストのスタイルが出ている。 オリエンタル的なエッセンスを盛り込んだり、目先を変えて 単調にならない様にしているのも悪くない。[80]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。JADED HEART、 元LETTER X、BONFIREのボーカリスト、MICHAEL BORMANNとJORNの ギタリスト、TORE MORENによるバンドだ。MICHAEL BORMANNの ボーカルは、BON JOVI的だと言う評価を良く受けるが、この作品の 様に土臭いアメリカン・ハード・ロックさを持った、後期 BON JOVIっぽい楽曲をやられると、そう言うところがより はっきりと浮き彫りにされる。JADED HEARTの様な、憂いや 叙情性は見られず、JADED HEARTのファンにはやや肩透かしかも 知れない。主要メンバーであるはずの2人が何故曲作りに タッチしなかったのか判らないが、それでも決して内容は 悪くない。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの5thアルバム。 2002年に行われた日本公演の模様を収めた2枚組ライヴ盤、 SNOWBALL OF DOOM 2が付いた3枚組になっている。より シリアスさを増した、オーソドックスなヘヴィ・メタルだが、より パワフルさを押し出した分だけ、ややメロディの魅力が 減退している様に思える。JUDAS PRIESTの流れを汲む ブリティッシュっぽさを感じさせる様な叙情性も決して 失われていないが、Empty Manのイントロ等、むしろ VAN HALENっぽさを感じさせる部分もあり、どちらつかずで 徹底されていないと言う印象も拭えない。[82]