DAY TO DAY / RHABSTALLION
N.W.O.B.H.M.の過去の音源を集めて1994年にリリースされた
アルバム。過去に1981年に唯一リリースされたシングル、
Day To DayとそのB面、Breadlineを除けば全て未発表曲だ。
ほとんどが1980年から1984年までに録音されたもので、一時的に
再結成されたのか、Day Go DiscoとSioux Childは1993年に
録音されている。N.W.O.B.H.M.系としては、最も
ロックンロールよりのサウンドで、そこにブリティッシュ的な
エッセンスが加えられている。ロックンロール系といっても
それほどはっきりと押し出したものではなく、のりは良いが、
もっとメロディ中心でどことなく暗さが感じられる。新曲は、
当然昔の物に比べ録音状態が良くなっているが、Steve Ancliffeの
軽いボーカルが、いまひとつのりが悪くなってしまっているような
気がする。[78]
HELL OR HIGHWATER / RHETT FORRESTER
1994年に不幸な死を遂げた元RIOTのアメリカ人ボーカリストの
生前のテイクを集めたトリビュート・ソロ・アルバム。録音時期は
1983年から1993年までと、その活動の全般を網羅しており、
アルバムの趣旨からしても実に感慨深い。
リマスターされているものの、元が古い音源もあるデモなので、
楽曲にもよるが録音状況はいまいちのものもある。明るめの曲も
多く、方向性も楽曲によって違うが、これは
仕方ないことだろう。マニア向けの作品であることは
間違いなのだが、出来は決して悪くない。アルバムの最後に
しっとりと歌う歌唱は印象的だ。[81]
LEGENDARY TALES / RHAPSODY
イタリアのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。サウンド的には
いわゆるジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスを取り入れた
クラシカルなもので、ANGRAをよりジャーマンっぽくした様な
感じだ。ボーカリストはQUEENSRYCHEタイプの
プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンド、LABYRINTHにいた
FABIO LIONEで、技量、声質とも問題はない。
ジャーマン・パワー・メタルと言うとどうしても大仰さが気になる
部分だが、さりげなくてかなり自然に聴ける。キーボードが非常に
良い味付けになっており、シンフォニックな雰囲気も漂わせる
個性は十分評価できる。全体的に楽曲の出来のレベルも高いし、
良く出来たアルバムであるのは間違いない。[87]
RODLER/HULTBERG / RH FACTOR
アメリカのテクニカル・ロック・バンドの1stアルバム。
CHRIS RODLER、BRETT RODLERの兄弟は、アメリカの
プログレッシヴ・ハード・ロック・バンド、LEGER DE MAINの中心
人物で、KEVIN HULTBERG自身もゲスト参加している。元々は
DRAMAと言うバンド名で1990年代初頭に活動していたときに
作成されたデモを手直ししてアルバム化したものだ。方向的には
LEGER DE MAINより、更にテクニカル・ロック然とした作品で、
RUSHを意識したものの様だが、あれほど洗練されてはいない。
出来的には取りたてて悪いと言う訳ではないが、楽曲は
面白味もなく、LEGER DE MAINの方がまだ楽しめる。[77]
EMERALD SWORD / RHAPSODY
イタリアのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバムからの3曲入り
先行シングル。方向的にはデビュー盤の延長線上と言って
良いもので、ジャーマン・パワー・メタルの世界が
展開されている。シングル・カット曲であるタイトル・トラックは
バイオリンを入れた、いかにもと言う感じの臭いメロディの大仰な
楽曲で、この手のものが好きならば結構いけるはずだ。
Where Dragons Flyはアコースティック・ギターを挿入して、
トラッド風のメロディを入れた、民謡的なイメージの強い
ドラマティックな楽曲で、しんみりとした雰囲気が良く出ている。
Land Of Immortalsのリメイクは楽曲の路線的なイメージは
変らないものの、より扇情的になっており悪くない。[83]
SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS / RHAPSODY
イタリアのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。所謂HELLOWEEN
タイプのジャーマン・パワー・メタルのエッセンスをふんだんに
盛り込んだシンフォニック・メタルで、ANGRA等より更に
ジャーマン的な色合いが濃い作品だと言って良いだろう。北欧的な
洗練された哀愁のメロディ的な要素も少し取り入れたりしている。
バイオリンやチェロ、コントラバス等の生のストリングスを大幅に
導入している他、チェンバロ、マンドリン、バラライカ、
リコーダまで使用しており、非常にシンフォニック的な色合いの
濃い作品だと言えるだろう。メロディはあまりにも大仰
過ぎるために、好き嫌いはかなり分かれるのではないかと思うが、
出来自体は悪くない。特にLABYRINTHのFABIO LIONEと言う
シンガーを得たのも良い結果となっているが、あまりにも大仰
過ぎて最後は少し食傷気味になってくる。[83]
HOLY TUNDERFORCE / RHAPSODY
イタリアのパワー・メタル・バンドの3rdアルバム、
DOWN OF VICTORYからの先行ミニ・アルバム。アルバム収録曲の
タイトル・トラックに、アルバム収録曲の別バージョンである
Dragor, Shadowlord Of The Black Mountainの
エクステンディド・バージョン、デビュー盤に収められていた
Rage Of The Winterの新録であるシンフォニック・バージョンの
全3曲と言う構成になっている。内容的にはこのバンドらしく、
如何にも大仰でドラマテイックなジャーマン・パワー・メタル
的な楽曲を聴かせてくれており、良くも悪くも型にはまった作品と
言って良いだろう。[78]
DAWN OF VICTORY / RHAPSODY
イタリアのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りとなる3rdアルバム。
方向的にはジャーマン・パワー・メタルとも言える様な
メロディアスなシンフォニック・メタルを聴かせてくれているが、
それは今作も変わりない。オペラティックで壮大な
Lux TriumphansをSEとして幕を開けるが、以降それに恥じない様な
実にドラマティックで勇壮なヘヴィ・メタルを
聴かせてくれている。これだけごてごてと飾り付けられていると、
どうしても冗長でやり過ぎと言った風に感じる部分があるのだが、
それでも良くこれだけ構築したなと言う様式美が感じられる。
Dawn Of Victoryでの厚いコーラスも楽曲の雰囲気に良く
合っている。[85]
RAIN OF A THOUSAND FLAMES / RHAPSODY
イタリアのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。イタリアでは
最近良く見られる様になった、ジャーマン・パワー・メタルの
流れを汲むシンフォニックなヘヴィ・メタルをやりだした元祖とも
言うべきバンドで、方向的にはその路線なのだが、今作では大胆に
オーケストレーションを取り入れて、より先鋭化している様に
感じられる。それ故、やや好みの判れそうなところであるが、
これだけのアイデアを具現化する辺りは大したものだ。
コンセプト・アルバムの前編と言う位置付けで、かなり
ドラマティックなアルバムに仕上がっているが、やや冗長と言う
感もなきにしもあらずで、2枚組みにしていないのは
正解かもしれない。[78]
POWER OF THE DRAGONFLAME / RHAPSODY
イタリアのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。デビュー以来
続けて来た一大叙事詩のコンセプト・アルバムもやっと完結を
迎えた。一連の、通したコンセプト・アルバムだけに、音楽性
自体は当然これまでの延長線上と言えるもので、シンフォニックな
メロディック・スピード・メタルを聴かせてくれている。分厚い
コーラスを被せた、クラシカルなもので、ワン・パターンである
事は確かだが、完成度は高く、楽曲の出来も悪くないし、まるで
ミュージカルの様なドラマティックな臨場感も感じられる。
ジャーマン・パワー・メタル的な臭ささえ気にならなければ十分
楽しめるだろう。[82]