ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 4thアルバム。音楽的にはスラッシュ・メタル的な色合いが一番 濃いが、そこにパワー・メタル的なエッセンス等が盛り 込まれていて、ある意味ミクスチャー的な作品に仕上がっている。 こう書くと何だか随分意欲的な様に感じられるが、それが結果に 結びついているとは言えないところが問題点と言って良いだろう。 特に問題なのはSTAFFIのボーカルで、やる気のなさそうなだらけた ボーカルは、折角の攻撃的なサウンドを殺いでいると言って 良いだろう。シアトリカルさは出ているが、お世辞にも上手いとは 言えないので、ギターと兼任する位ならば専任のボーカリストを 見つけた方が良いだろう。[67]
ドイツのパワー・メタル・バンドの1992年にリリースされた 7thアルバム。元U.D.Oのベーシスト、THOMAS SMUSZHNSKI、 ドラマーにはSTEFAN SCHWARZMANNが出戻り、リズム隊が入れ 替わっている。ドイツのバンドとしてはHELLOWEENの影響を 受けなかった珍しいバンドで、独自色のある勇壮でメロディアスな パワー・メタルを聴かせてくれている。勇壮なイントロ、 Chamber Of Liesで幕を開け、ドラマティックな雰囲気を盛り 上げるのに大いに役立っていると言って良いだろう。それ以降は いつもの彼等らしい、勇壮なパワー・メタルで特に変化は無い。 [80]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1980年に リリースされた7thアルバム。ハード・ロック界は言うに及ばず、 最も成功したカナダのロック・バンドと言って良いだろう。この アルバムはその中でも絶頂期とも言える頃の作品で、ビルボードの アルバム・チャートで3位まで駆け上っている。ドラマーの NEIL PEARTによる哲学的な詩、GEDDY LEEの特徴的な シアトリカルなボーカル等々3人の才能が発揮された作品と言って 良いだろう。久々の組曲であるNatural Scienceや、 シングル・カットされた意外とポップなThe Spirit Of Radio等、 楽曲の出来も素晴らしく、流石と言った内容のアルバムに 仕上がっている。[92]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1984年に リリースされた2年振りの10thアルバム。キーボードを押し 出したより空間の広がりを感じさせる幻想的な作品だ。前作でやや その音楽的方向性を変え、それまでよりプログレッシヴ・ロック 的な変拍子を多用していたが、よりシンプルで すっきりとしたものになってきている。とは言え、彼等独特の 特徴的なサウンドは決して失われていない。NEIL PEARTの書く 哲学的な歌詞も相変わらず素晴らしいし、流石と言うだけの内容に 仕上がっている。彼等のファンならば、ここ最近の変化にやや 不満はあるかも知れないが、十分納得が行くアルバムと言って 良いだろう。[88]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1987年に リリースされた2年振りの12thアルバム。方向的にはSIGNALS以降の 転拍子を押さえた割と聴き易い路線を踏襲したものだが、ここ 最近の作品としてはALEX LIFESONのギター・プレイが割と押し 出された部分もある。その他にもTime Stand Stillでは、 'TIL TUESDAYのAIMEE MANNとデュエットしていたりと、大きな路線 変更はないとは言え、新たな試みもなされており、興味深い作品に 仕上がっている。カナダで最も成功したバンドだけあって、 全体的なレベルは非常に高いし、ファンならば十分満足出来る 内容だと言って良いだろう。[87]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1988年に リリースされた7年振り、3枚目のライヴ盤。1985年から1986年、 1987年から1988年にかけて行われたそれぞれのツアーの模様を 収めたものだ。SIGNALSを境に、その音楽性、歌詞と言った部分で 変化を見せているが、EXIT...STAGE LEFTでSIGNALS以前のライヴが 既に収められているだけに、このライヴで収録されているのは主に SIGNALS以降の楽曲が中心となっている。複雑な構成と転調を3人で 見事に再現したEXIT...STAGE LEFTに比べると、楽曲がシンプルな 分、インパクトには欠けるかも知れないが、それでもたった3人の ライヴでこれだけ見事に再現させているのには感嘆に値する。[90]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1989年に リリースされた2年振りの13thアルバム。方向的には、より シンプルで聴き易いSIGNALS以降の延長線上とも言える作品と 言って良いだろう。そう言う意味ではよりシンプルで キャッチーさを押し出した作品で、古くからのファンにとっては あまりもあっさりし過ぎていて拍子抜けする部分もあるかも 知れない。とは言っても、哲学的な歌詞に空間の広がりを 感じさせる様なプログレッシヴ・ハード・ロックは、如何にも 彼等らしい部分は決して失われてはいないし、出来自体も流石と 思わせるものとなっている。[86]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1991年に リリースされた2年振りの14thアルバム。基本的には前作の 延長線上と言えるもので、SIGNALS以降の作品としても前作と 並んでシンプルでストレートな聴き易いアルバムと言って 良いだろう。そんな中にも、よりグルーヴ感を出しており、 シンプルな中にもテンポの良さがメリハリを感じさせてくれる。 彼等特有の空間の広がりを感じさせてくれるサウンドは相変わらず 素晴らしく、見事に構築された音楽の美が感じられる。より シンプルにと言うスタイルも完成の域に達したと言っても 良いだろう。[89]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1993年に リリースされた2年振りの15thアルバム。ここ最近はSIGNALS以降の よりシンプルで聴き易いサウンドをより押し進めた形の作品 作りがなされていたが、今作では昔のかなりハードな サウンドとなっており、旧来のファンにも嬉しい内容だと言って 良いだろう。シンプルな曲構成と言う事ではここ最近の作品の 延長線上と言って良いものだが、よりハードでエモーショナルな ダイナミズム溢れるアルバムに仕上がっている。サウンドの コントラストがより際立っており、聴き応えのある素晴らしい アルバムだ。[90]
ジャーマン・パワー・メタル・バンドのベテラン・バンドの アルバム。木箱入りの特別仕様だが、内容は通常盤と 変わりはない。方向的にはワン・パターンと言って良いほど いつまでたっても変わらないバンドだ。この手のバンドではまだ HELLOWEENの影響を色濃く受ける前のバンドなので毛色が少し 違ってくる。そのためオリジナリティが感じられるが、それだけで 勝負出来るほど面白いものではない。全体的に聴き易いがその分 あくも少ないし、もう少し型を破るような部分が欲しい。 聴いていて安心は出来るのだが、B級臭い内容だ。[80]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの3年振りの アルバム。SIGNALS以降割合と落ち着いた叙情的な雰囲気の 作品が続いてきたが、前作辺りから結構ヘヴィな ギター・メロディを入れる様になってきており、今作では更にその 傾向が顕著になっている。楽曲的にはいつもながらの変わらぬ 彼等らしいものでで、完成度の高い作品だ。カナダで最も成功した バンドだけあって、流石と言えるだけのアルバムに 仕上がっている。最近の作品としては起伏をより感じる 作品なので、最近の彼等はもの足りないと感じている向きには 嗜好に合うだろう。[86]
ジャーマン・パワー・メタル・バンドの1993年にリリースされた 7thアルバム。もうベテランと呼べるだけの存在なだけあって、 現在のジャーマン・パワー・メタルとしてはHELLOWEENの影響を 受けていない数少ないバンドで、HELLOWEENのドラマティックで 大仰なサウンドに比べれば、よりストレートな方向性と 言えるだろう。芋臭いと言っても良いような叙情的なメロディに うまいとは言い難いROCK'N ROLFのだみ声のボーカルが妙に はまっている。得てしてワン・パターンに陥りそうな内容だが、 勢いで突っ切ってしまうだけのエネルギーを感じるし、 この疾走感が中々気持ちが良い。B級的なイメージは 拭いがたいが、結構良い出来だ。[84]
アメリカの西海岸のヘヴィ・メタル・バンドの1986年に リリースされた唯一のアルバムに、1984年にリリースされた やはり唯一のミニ・アルバムMETAL WITHOUT MERCYを カップリングしてCD化したもの。とにかくプロダクションが悪く、 SAMI DE JOHNのボーカルもお世辞にもうまいとは言えない出来だ。 時期的にもL.A.メタル・バンドの一つと言って良いが、他の同類の バンドと比べると、キャッチーな部分もないし、正統派と 言っても、かなり硬質でごりごりとした感じのものをやっている。 それ故に、かなりB級然として感じを受けるし、出来自体も 特筆するには苦しい作品だ。[56]
カナダを代表するプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの3枚 組みライヴ・アルバム。うち2枚は1997年のツアーの模様を 収めたもので、もう一枚は1978年のロンドンでのライヴを 収めている。1997年のライヴの方は、バンドの代表曲ともいえる Closer To Heart、2112、The Spirit Of Radio、Tom Sawyer、 YYZを除けば殆どが最近のものばかりで、昔からのファンにはやや 食い足りないかもしれないが、初期の名曲たる20分を超える組曲、 2112が完璧に収められているのは涙ものだ。その他の 楽曲にしても、トリオ編成とはとても思えないほど、 スタジオ・アルバムを見事に再現している様は凄いとしか言い 様がなく、このライヴを日本で見れないのが残念でならない。 1978年のライヴの方も、録音状況は前者に比べて古臭さを 感じさせるのはいがめないが、この当時のものとしては状態は良い 方だし、生々しくて良い出来だ。[84]
詳細はマック判らないが、恐らくスペインの ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。 方向的には、極一部にデス・ボイスが使われる以外には、 デス・メタル的な色合いは殆どなく、ゴシック・メタル的な 色合いもそれ程強くない。どちらかと言うとより普遍的な ヘヴィ・メタル的な色合いが強く、PARADISE LOSTをより メロディック・デス・メタル的なメロディにした様な感じだ。 リコーダ等を使っているが、そう言ったゴシック・メタル的な 要素はあくまでもエッセンス的なものでしかなく、やや アップ・テンポよりの楽曲がそう言った感をより強くしている。 PARADISE LOST的なだみ声とクリア・ボイスを使い分ける DONATAS ABRUTISの声もそれ程悪くない。楽曲の出来は意外と 良く、特にメロディは印象的で聴きごたえがある。[85]
ドイツのパワー・メタル・バンドの11thアルバム。そのメロディは ジャーマン・メタルらしい臭さを感じさせるが、1970年代から 活動しているベテラン・バンドだけあって、HELLOWEENの影響を 受けた、いわゆるジャーマン・パワー・メタルと言った一連の バンドとは少し趣を異にしている。大仰で臭いメロディが 中心だが、それ程ドラマティックな感じはなく、割とストレートな 感じのする作品に仕上がっている。ROCK'N'ROLFのボーカルを 始め、いつもながらに非常にB級臭いアルバムで、楽曲の出来も そこそこと言ったところだが、彼等らしさは十分伺える。[78]
リトアニアのゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。前作では リコーダを導入する等、中々面白いアイデアを 聴かせてくれていたが、今作ではリコーダは全く使っていない。 Eject IIでのMORTTIS風のアンビエント系 シンフォニック・ブラック・メタル的な導入に一瞬 不安がよぎるが、以降は前作よりもかなりヘヴィ・メタル的な 色合いの濃い作品となっている。DONATAS ABRUTISのやや だみ声的なボーカルには、むしろこういったある程度パワフルな 楽曲が会っているかも知れない。その分、昔のPARADISE LOSTに より近づいた感じで、より一般受けする作品になっていると 言っても良いかも知れない。この手のバンドとしては実力的に一歩 抜きんでていると思うが、それ程耽美感は強くない。[83]
カナダのハード・ロック・バンドの7thアルバム。日本では バンド名をHAREM SCAREMから変更しての初のアルバムだが、 欧米では既に前作からこのバンド名義に変更されている。 バンド名を変更するだけあって、前作からその音楽的方向性に 変更があったが、今作ではその変化をより押し進めていると言って 良いだろう。いわゆるパワー・ポップと言ったサウンドで、旧来の 彼等の作品より、更にポップ色の強いものとなっている。 彼等ならではのメロディ・センス・センスは流石と言った レベルにあるので、こう言う作品も作らせても良い作品に 仕上がっているのは確かだ。こう言った方向性の変化さえ受け 入れられるならそれなりに楽しめると思う。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、元WINGER、現DIXIE DREGSの ドラマー、ROD MORGENSTEINとアメリカの プログレッシヴ・メタル・バンド、DREAM THEATERのキーボード、 JORDAN RUDESSによるプロジェクトのライヴ盤。1998年に行われた フランス公演の模様を中心に収めたもので、スタジオ録音の 未発表音源も含まれている。JORDAN RUDESSに取っては、 DREAM THEATER加入前のライヴとなるが、彼のその超絶プレイは ここでも変わる事はない。ドラムとキーボードだけでライヴを 行ってしまうところも凄いが、それで全く不足を感じさせない 2人の演奏はもっと凄いと言って良いだろう。タイトルの割には 録音状態も悪くないし、ライヴとは思えない演奏は素晴らしい。 [82]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの6年振りの 17thアルバム。COUNTERPARTS以降、ややハードな音楽性への移行が 見られたが、この作品もその一環に立っていると言って 良いだろう。ただし、前作の様な行き過ぎたイメージはあまり 受けず、より自然に感じられる仕上がりとなっている。これまでの 作品と比べると、キーボード・パートが減退している分、ギター 等の音を厚くしている印象を受けるアルバムだ。彼等らしい キャッチーさと叙情的なメロディの独特で知性的なサウンドは、 流石と言えるだけの完成度を誇っており、彼等の実力の高さを 感じさせる。[87]
ドイツのパワー・メタル・バンドの2枚組ライヴ盤。2002年に 行われたドイツでの公演の模様を収めたものだ。ドイツの パワー・メタル・バンドでありながら、アイリッシュ臭さを 感じさせるB級パワー・メタルを聴かせてくれており、 HELLOWEENとはまた違った世界観を築き上げているが、その スタイルは当然ライブでも全く変わる事はない。ROCK'N'ROLFさえ 居れば変わるはずもなく、良くも悪くもROCK'N'ROLFの世界が繰り 広げられている。アップ・テンポで疾走感のあるパワー・メタルが ぐいぐい引っ張っていってくれるので、ライヴで聴いていると実に 楽しそうだ。[82]