イギリスのスラッシュ・メタル・バンドの1991年にリリースされた 2年振りの3rdアルバム。バンドの中心人物である、ボーカリストの MARTIN WALKYIERが脱退し、SKYCLADを結成するに至ってその存続が 危ぶまれたが、RITCHIE DESMONDを迎えて見事に再生した。この 作品での方向性は、そのボーカリストの交代がもろに 影響していると言って良いだろう。ダミ声のシャウトだった MARTIN WALKYIERの歌唱法に対し、RITCHIE DESMONDのボーカルは、 ややシアトリカルな感じのする、伸びのある透ったボーカルを 聴かせてくれている。それだけによりメロディを押し出した ドラマティックさの感じられる作品となっており、より シアトリカルな雰囲気が出ている。[79]
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 3年振りの3rdアルバム。方向的にはパンキッシュなハード・コア 系のスラッシュ・メタルで、パワフルな勢いのあるサウンドを 聴かせてくれている。前作からややファンキーなメロディを取り 入れて来ており、ユニークな味わいのある作品に仕上がっている。 PHIL LINDのやや野太いボーカルが、また独特の色合いを 出しており、やや好き嫌いが分かれるところかも知れない。 エッヂの効いたフックのある楽曲は聴き応えがあり、この ボーカルと相俟って、中々エネルギッシュな感じのする サウンドとなっている。[80]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1993年に リリースされた4年振りとなる10thアルバム。この手の バンドとしては、最も産業ロック的な色合いの強い、ポップな サウンドを聴かせてくれているバンドだが、このアルバムでもそう 言ったセンスの良さを伺わせながらも、意外とハードさを押し 出している。それ故、めりはりの感じられるサウンドに 仕上がっており、聴き応えのあるアルバムとなっている。楽曲は 平均的に良く出来ているが、飛び抜けた楽曲がないので、今一つ 盛り上がりに欠けると言う印象を受けるのがやや残念だ。[81]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの1994年に リリースされた11thアルバム。方向的にはこれまでの延長線上とも 言える、洒落たプログレッシヴ・ハード・ロックと言った様な 内容だが、前作と比べると、より産業ロック的なエッセンスが 強くなっており、ややハードさに欠ける様なイメージを受ける。 やや洒落た面を押し出し過ぎて、アダルトなハード・ポップと言う 感じが先に立ち、旧来のファンにはやや違和感を感じる 作品ではないかと思われる。楽曲は流石彼等だけあって決して 悪くないだけに、こう言ったアメリカっぽさを吸収したサウンドは 残念だ。[79]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。方向的には正統派のメロディアスな ヘヴィ・メタルだが、この手のものとしては女性ボーカリストを 使っているのが特徴と言えるだろう。ELIZABETH VANDALLの ボーカルは、女性らしい透ったボーカルながら、意外とパワフルで メタリックなサウンドに決して負けていない。ジャケットの センスは余り良くないが、楽曲、演奏ともかなり満足出来る レベルで、ELIZABETH VANDALLのボーカルもサウンドに良く 合っていて、中々聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。 女性キーボードのDIANE ARENSは、かつてWARLORDでSENTINELと 名乗っていた人物だが、WARLORDよりはもっと正統派で完成度の 高い作品となっている。その分、演出過剰気味であったWARLORDの 哀愁臭さはないため、単純にWARLORDを期待する事は出来ない。 [84]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 自費出版によるデビュー盤。方向的には、実にアメリカの バンドらしい、ファンキーな味わいのあるヘヴィ・メタルだ。 特にオープニング・ナンバーのCan U Feel The Music?は非常に ファンク色の強い楽曲で、違和感を感じるかも知れないが中々 面白い楽曲だ。以降は、もっとヘヴィ・メタル的な色合いが 強くなり、そこに上手くファンク色を被せていると言う感じで、 ファンク色を持ちこんだヘヴィ・メタルとしては、特に他の バンドと大きく掛け離れる事はない。Groove Slaveの様な ギター・インストルゥーメンタルが出て来たり、憂いを帯びた バラードのDon't Your Love Slip Away等、方向性がやや 定まらないところもあったりするし、プロダクション的に不満を 感じる部分もあるが、中々面白い作品に仕上がっている。[81]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた デビュー盤。音楽的にはファンクやロックンロールと言った音楽と クロスオーバーした、言わばミクスチャー的なヘヴィ・メタルと 言っても良いだろう。そう言う意味では、こう言った分野で 先鞭をつけたFAITH NO MOREの影響を感じる部分もある。ただし、 方向性にはそれ程強くまとまったものはなく、ヘヴィな 楽曲もあれば、メロディアスな楽曲もあると言う風で、ある意味 散漫とも言える様な広がりが感じられる。FAITH NO MORE意外にも 様々なバンドの影響を感じられるが、幅の広さが単純に何かの 物真似に終わらせておらず、中々面白い作品に仕上がっている。 [82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。前作でもミクスチャー的な長所を活かして幅広い 音楽性を見せていたが、今作ではFeel The Same Wayの様な ポップさやロックンロール調を入れたりと、更に懐の広いところを 見せてくれている。この引出しの多さにJASON BIELERの才能の 豊かさを感じさせてくれる。今作ではAll I Wantの スマッシュ・ヒットもあって、遂にその才能が世間に評価されたと 言って良いだろう。JASON BIELERの独特のポップ・センスと、 多彩な音楽性が渾然一体となって、素晴らしいアルバムに 仕上がっている。[85]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 3rdアルバム。前作でのAll I Wantスマッシュ・ヒットで一躍 注目を浴びたが、今作では逆にセールス的な失敗で、契約を 切られてしまう事になる。とは言え、この作品の出来が決して 悪いと言う意味ではなく、JASON BIELERらしい雑多で幅が 広いながらも、彼らしい特徴的な作品である事は変わりない。 Fileds Of Rape等は、ダークでメランコリックな憂いがあって、 中々素晴らしい楽曲だ。方向的には前作の 延長戦上ではあるのだが、サウンド作りでよりヘヴィで メタリックなものとなっている。[84]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた デビュー盤。メロディアスなヘヴィ・メタルで、非常に オーソドックスなスタイルと言って良いだろう。ドイツの バンドらしい叙情的なメロディに、フックのあるアップ・テンポの 楽曲が特徴だ。それ故に、全体的にソウルフルでパワフルな印象を 受ける仕上がりとなっている。プロダクションにやや難を 感じるが、生々しい音作りでこれはこれで悪くない。 DIRK HACKENBERGのボーカルは、音程が微妙にずれるのが 気になるし、ソウルフルながらやや一本調子で味気ないのが 残念だ。[80]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1979年にリリースされた デビュー盤。ギタリストのPAUL SAMSONを中心とする、いわゆる N.W.O.B.H.M.初期から活躍するバンドだ。一般的には、後に ボーカリストのBRUCE DICKINSONが、IRON MAIDENに引き抜かれた 事でその名を知る人も多いだろう。レコーディングの途中で 加入したBRUCE DICKINSONのボーカルで禄り直したはずだが、 何故かPAUL SAMSONがボーカルを取っていたバージョンがそのまま 使われており、CD化に伴って、ボーナス・トラックとして 収められている。こうしてBRUCE DICKINSONのバージョンを 聴いてみると、流石に彼のパワフルなボーカルは際立っており、 何故PAUL SAMSONのボーカルでリリースされてしまったのか疑問に 残るところだ。このアルバムでハイライトとも言うべきは、 Tomorrow Or Yesterdayで、プログレッシヴ・ロックの様な展開を 途中で見せる、憂いを含んだバラードは名曲と言って良いだろう。 [75]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた 2ndアルバム。この作品より、後にIRON MAIDENに加入してその名を 馳せる、BRUCE BRUCE事、BRUCE DICKINSONが正式にボーカルを 取っている。しかし、IRON MAIDENではかなり音楽性が異なり、 展開の多いメタリックなIRON MAIDENと比べると、より ストレートなサウンドと言えるだろう。最も注目されるのは、 インストルゥーメンタル・ナンバー、Thunderburstで、 IRON MAIDENのThe Ides Of Marchとうりふたつだ。この頃が 彼等にとって最盛期とも言う頃で、アルバムの出来も脂が一番 乗っていて出来が良い。[82]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた 3rdアルバム。方向的にはストレートなロックンロール色を押し 出したヘヴィ・メタルだ。後にIRON MAIDENに加入する事になる、 BRUCE BRUCE事、BRUCE DICKINSONのボーカルが、これまで以上に 活かされたものとなっている。Earth Mother等、割とのりの良い 楽曲が中心となっており、その分メロディが減退しているのは 残念だ。この作品を最後に、バンドの支柱を担っていた BRUCE DICKINSONと覆面ドラマーのTHUNDERSTICKが脱退し、 リーダーであるPAUL SAMSONだけが残されパワー・ダウンして行く 事になる。[80]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた ライヴ盤。1981年に行われたレディング・フェスティバルに 出演した時の模様を収めたものだ。THUNDERSTICKは既に 脱退しており、後にSIMPLE MINDSに加入するMEL GAYNORが急遽 参加している。この後、BRUCE BRUCE事、BRUCE DICKINSONも IRON MAIDENに加入するためバンドを脱退し、バンドの全盛期の 最後を飾るライヴだったと言っても良い。フェスティバルだけに 非常に状態の良い録音が残されており、プロダクション的にはこれ 以上望むべくもないだろう。BRUCE DICKINSONのパワフルな ボーカルを始め、中々勢いのあるライヴ・パフォーマンスを 聴かせてくれている。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。現NEVERMOREのボーカリスト、WARREL DANE擁する バンドだ。音楽的にはアメリカでは珍しい、ドラマティックな 正統派ヘヴィ・メタルで、NEVERMOREに近い部分もあるが、 スラッシュ・メタル的な要素はなく、WARREL DANEの シアトリカルなボーカルを活かした、よりオーセンティックな 楽曲となっている。この劇的なとも言えるドラマティックな構成が WARREL DANEのボーカルに良く合っているし、Die For My Sins等、 勢いがあって、一気に聴かせてくれるし、楽曲も粒が揃っている。 [84]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの海賊盤。SANCTUARYの ライヴとSATAN'S HASTのアルバムによるスプリット・アルバムだ。 SANCTUARYはNEVERMOREのボーカリスト、WARREL DANE擁し、 INTO THE MIRROR BLACKは名盤と誉れ高いだけに、馴染みの深い 人も多いだろう。ライン録りでプロダクションも悪くないし、 彼等のライヴ音源は基調だ。SATAN'S HASTは逆に無名と言って良い バンドだが、音楽的にはSANCTUARY同様、オーセンティックな ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。但し、プロダクションは かなり悪く、音楽的にはよりオカルティックなものと言って 良いだろう。[60]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。音楽的にはQUEENSRYCHEの流れを汲むフォローワーの 一つと言えるもので、その中でも初期QUEENSRYCHE的な色合いが 濃い、正統派のヘヴィ・メタルと言えるものだ。The Lawの イントロ部分等、まさしくQUEENSRYCHEそのままと言う感じを 受ける部分もあるが、全体的にはもっと繊細でヨーロッパ的な 哀愁を強く感じさせるものとなっている。VAGELIS MARANISの ボーカルの線の細さがそう言った感をより強くしているが、高音の 伸びも良く、透った声質で中々サウンドに良く合っている。 独自性も出ているし、演奏、楽曲のレベルも高く、この手の QUEENSRYCHEフォローワーのバンドとしては、頭一つ飛び抜けた 存在だと言って良いだろう。[86]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1991年にリリースされた デビュー盤。音楽的には、キャッチーなヨーロッパのバンドらしい 叙情的なメロディのハード・ロックで、テンポが良くてのりが 良いので一気に聴かせてくれる。ポップ・センス溢れるメロディは 中々秀逸で、さび等印象的なものとしてくれている。 ヘヴィ・メタル的な色合いは薄いが、ある意味DOKKEN等にも通ずる 部分がある。飛び抜けた楽曲はないが、佳曲と言えるレベルの 楽曲が並んでおり、デビュー盤としては十分満足出来るレベルの 作品に仕上がっていると言って良いだろう。ANDREW McDERMOTTの ボーカルも、適度にパワフルでしつこ過ぎずなく、楽曲に良く 合っている。[85]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。基本的には前作同様、キャッチーな メロディのテンポの良い叙情的なハード・ロックなのだが、前作が より憂いを感じさせるヨーロッパのバンド的な作品であったのに 対して、今作はややそう言った部分が殺ぎ落ち、より アメリカナイズされた作品と言って良いだろう。ドライヴ感溢れる のりの良い作品で、彼等の特徴は決して損なわれてはいないが、 この憂いが減じた分だけ不満を感じるファンはいるだろう。 前作での憂いとドライブ感を兼ね備えている楽曲はTomorrowだけと 言って良いだろう。[83]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた デビュー盤。その後、バンド名をBLIND FURYと改名し、もう一度 SATANにバンド名を戻し、再びPARIAHとバンド名を変える等、 変遷を繰り返したバンドだった。ギタリストのSTEVE RAMSEYと ベーシストのGREAM ENGLISHはバンド解散後、SABBATの ボーカリスト、MARTIN WALKYIERとSKYCLADを結成している。 いわゆるN.W.O.B.H.M.と言われるバンドの一つで、その中でも かなりメタリックなサウンドを聴かせてくれている。 イギリスらしい憂いを感じさせるメロディを織り交ぜながらも、 時にはヒステリックに攻撃的なサウンドを聴かせてくれており、 中々格好の良い作品に仕上がっている。[83]
アメリカのパワー・メタル・バンドの1989年にリリースされた 2年振りの5thアルバム。ドラマティックなアメリカでは珍しい 正統派パワー・メタルと言う方向性は変わらないが、今作ではその ドラマティックさはより増し、彼等のサウンドが完成したと言って 良いだろう。今作よりピアノを導入し、Of Rage And War等、 如何にもその後の彼等を思い起こさせる、ロック・オペラ的な スタイルが出来あがっている。彼等の代表作たる次作、 Streets A Rock Operaがこの作品の延長線上に出来た作品である 事は疑い様もなく、彼等のファンならば聴き逃せない作品の一つと 言って良いだろう。[83]
アメリカのパワー・メタル・バンドの1991年にリリースされた 2年振りの6thアルバム。前作よりピアノを導入し、より シアトリカルな方向性へと向い出して来ていたが、今作では更に ピアノが効果的に使われており、その音楽性がより先鋭化して 来たと言って良いだろう。前作での変化がこの作品で結実した 形となっており、特にJesus Saves等の緊迫感溢れる ドラマティックな楽曲は素晴らしく、彼等の代表作と言える アルバムに仕上がっている。このロック・オペラ的な作風が、 非常に独特の色合いを出しており、オリジナリティの感じられる 作品だ。[86]
アメリカのパワー・メタル・バンドの1993年にリリースされた 2年振りの7thアルバム。クリエイティヴ面を担っていた、バンドの 中心人物とも言えるボーカリスト兼キーボード、JOHN OLIVAが 脱退し、バンド存続の危機かと思われたが、SACHARY STEVENSを ボーカリストに迎え、クリエイティヴ面はこれまで同様 JOHN OLIVAが参加している。SACHARY STEVENSのボーカルは、 JOHN OLIVA程ダミ声はきつくないが、パワフルで楽曲に 合っており、聴いていて違和感はない。それ故、前作と比べて 大きな変化は無いが、ややロック・オペラ的なエッセンスは 減少しており、より純然とヘヴィ・メタル的な作品に 仕上がっている。[83]
アメリカのパワー・メタル・バンドの1994年にリリースされた 8thアルバム。前作でバンドの支柱とも言うべき、ボーカリスト兼 キーボードのJOHN OLIVAが脱退したが、今作では更にもう一方の 支柱であったギタリストのCHRIS OLIVAが事故で亡くなり、バンド 存続の危機とも言える状況であったが、TESTAMENTの ALEX SKOLNICKが加わっての再出発だ。今作でもJOHN OLIVAが クリエイティヴ面でイニシャティブを取っており、楽曲的にはそれ 程大きな変化はないと言えるものの、彼のピアノが大幅に減った 事も併せて、ロック・オペラ的なエッセンスは減じ、より純然と メタリックなサウンドとなっている。とは言っても、Chanceの 様な、如何にもロック・オペラ的な楽曲も残っており、 彼等らしさは決して失われてはいない。[82]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1979年にリリースされた デビュー盤。N.W.O.B.H.M.初期に登場した、IRON MAIDENや DEF LEPPARD等と伴にN.W.O.B.H.M.シーンを引っ張ったバンドの 一つだ。バイカーズ・バンドとも称され、テンポの良いのりのある ロックンロール調のヘヴィ・メタルながら、N.W.O.B.H.M.の バンドらしい、叙情的なメロディを併せ持っており、時には憂いも 感じさせてくれる作品だ。PETER "BIFF" BYFORDの伸びのある 独特の声質のボーカルが特徴的だ。IRON MAIDENと比べると、 日本での評価は今一つだが、Rainbow Themeから Frozen Rainbowへの流れ等は日本人向けと言って良いだろう。[83]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた 2ndアルバム。N.W.O.B.H.M.初期においては、 バイカーズ・バンドとして、すぐに逆転されてしまう事になるが、 IRON MAIDENを差し置いて、最も人気を誇ったバンドと言って 良いだろう。後にアメリカナイズして行くが、それ以前の初期の 作品としては、彼等の代表作の1枚と言って良いだろう。 音楽的にはVARDISやSPIDER同様、ブギーを取り入れた ヘヴィ・メタルだが、これらのバンドよりはブギー色は薄く、より ロックンロール色が強いと言って良いだろう。 バイカーズ・バンドを意識したアルバム・タイトルや、彼等の 代表曲と言っても良いMotorcycle Manが、その良さを 出しているだけに、こう言った方向を突き詰めていれば、 時間はかかったかも知れないが、アメリカでももっと成功 出来たのではないだろうか。[85]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1980年にリリースされた 3rdアルバム。バイカーズ・バンドとして最も脂の乗り切っていた 頃の作品で、彼等の代表曲とも言うべきHeavy Metal Thunderを 始め、佳曲が揃っている。方向的にはブギー色を取り入れた ヘヴィ・メタルだが、VARDISやSPIDERと言った、STATUS QUOの フォローワーと言うべきバンドとは違い、時には憂いを入れたり、 アップ・テンポのハード・ロックンロール的な楽曲があったりと、 独自の色合いを見せているのが彼等の強みと言って良いだろう。 ブギーののりの良さを上手く使いながらも、ヘヴィ・メタルらしい エッヂの効いたサウンドを効かせてくれていて、中々格好の良い アルバムに仕上がっている。[85]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた 4thアルバム。いちはやく本国イギリスで成功し、IRON MAIDENと 並んでN.W.O.B.H.M.を代表するバンドとなった。ブギーを 基調とする、ロックンロール色の強いヘヴィ・メタルで、 バイカーズ・バンドとして人気を得たが、このアルバムは それまでの集大成とも言える作品だろう。全体的にテンポの良い のりのある楽曲がずらりと並んでおり、そんな中にもイギリスの バンドらしい哀愁を感じさせるメロディを含んだ楽曲も彩りを 付けている。BIFF BYFORDのボーカルはパワフルながらもやや 高さのある独特の声質で、そのサウンドをより特徴付けている。 [84]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1981年にリリースされた ライヴ盤。1981年に行われたイギリスでのツアーの模様を 収めたものだ。初期のブギーとロックンロール色を押し出した ヘヴィ・メタルをやっていた、最も脂が乗り切った頃のライヴだ。 バイカーズ・バンドとして、精力的にライヴを行っていただけの 事はあり、ライヴ・バンドとしての面目躍如と言うべき内容と 言って良いだろう。彼等の代表作とも言えるだけの パフォーマンスを聴かせてくれている。ライヴの臨場感、 アジテーションを感じさせてくれる、名盤とも言える作品に 仕上がっている。[88]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた 2年振りの5thアルバム。ブギー的なエッセンスも取りこみながら、 ストレートなロックンロールを基調としたヘヴィ・メタルを 実践し、前作であるライヴ盤でその極みに達した感のあった 彼等だが、その方向性を今作では変えて来ている。N.W.O.B.H.M.の もう一方の雄であるIRON MAIDENのアメリカでの成功を 意識してか、アメリカナイズされたサウンドとなっている。特に 顕著なのはNightmareで、そのストレートな楽曲はかなり 複雑なものとなっている。とは言え、全く彼等らしさを 無くしてしまっている訳ではなく、楽曲によっては十分 彼等らしさを感じるものだ。[83]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた 6thアルバム。前作よりややアメリカよりの作品作りがなされて 来ていたが、その方向性は今作ではより際立って来たと言って 良いだろう。結局、アメリカでは成功出来ず、新たなファンの 開拓も得られず、このアルバムの失敗がバンドにとって致命的な 打撃となったと言って良いだろう。元々ブギーのエッセンスを取り 入れたのりの良いヘヴィ・メタルを聴かせてくれていたが、その シンプルさを捨て、複雑な方向に向った事が、彼等のサウンドを 判り難いものにしたと言って良いだろう。決して悪い 作品ではないし、昔の面影が全く失われてしまっている 訳ではないが、自分達の持ち味を見失ったとしか言い様の無い アルバムだ。[80]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた 7thアルバム。前作ではアメリカ的な方向性を強く押しだし、 元来あったブギー的なエッセンスは押さえられ、より ロックンロール色の強いものとなっているが、基本的にはこの 作品もその路線を踏襲していると言って良いだろう。楽曲的には シンプルな方向へと戻っているが、それ故に彼等としてはやや 能天気を強調させてしまう結果になっている楽曲もある。 インディ・レーベルからメジャーに移籍した事もあってか、 プロダクションはこれまでと比べて格段に良いのが救いだ。[81]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1988年にリリースされた 2年振りの9thアルバム。最近ではロックンロール色を強め、 アメリカ指向を押し出していたが、今作では更にポップ指向を 強めた作品となっている。信じられない程キーボードを前面に押し 出し、キャッチーで憂いを帯びた叙情的なメロディの ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。それは CHRISTOPHER CROSSのRide Like The Windをカバーしている事に 如実に現れている。昔のブギー色を押し出していた頃の面影は ほとんどないが、楽曲やメロディの出来自体は悪くなく、ポップ 指向を強めた頃の作品としては最も良く出来た作品と言って 良いだろう。ファンの期待に沿う作品ではないかも知れないが、 彼等と思わなければ悪くないアルバムだ。[82]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 11thアルバム。CRUSADERでの失敗により、アメリカ市場の開拓も 失敗し、本国でのファンも失い、長きに渡る低迷を味わう 事となったが、この作品もその後期の流れの中の作品の一つと 言って良いだろう。勢いのあるロックンロール色の強い ヘヴィ・メタルで、INNOCENCE IS NO EXCUSE辺りの方向に近いと 言えるかも知れない。楽曲はやや平凡な気もするが、のりの良さは きちんと出ていて、フックの感じられるアルバムに 仕上がっている。Iron Wheels等も憂いの感じられる渋い バラードで悪くない。[82]
N.W.O.B.H.M.バンドの1986年にリリースされた9thアルバム。 方向的にはPOWER AND THE GROLY以降のアメリカ志向のポップ 路線を継承して押し進めたものだ。Battle Cry等は叙情的で非常に キャッチーなメロディのアップ・テンポのナンバーで、これまでの ファンからするとかなり面食らうかも知れない。だが、 BIFF BYFORDのボーカルも、意外とこういうサウンドでも結構 合っている。初期のファンからするとやはり違うと言う 事になるだろうが、出来自体は決して悪くない。 Waiting For The Night等はちょっとポップ過ぎて受け 付けないが。[83]
現NEVERMOREのWARREL DANEが在籍していたアメリカの パワー・メタル・バンドの1990年にリリースされたアルバム。 パワー・メタルでは五指に入れる傑作と呼べる作品で、楽曲を 始め、完成度は非常に高いアルバムとなっている。 ドラマティックでシアトリカルな作風が緊迫感を生んで、雰囲気を 盛り上げてくれる。全体的にフックがあって、中々格好の良い、 迫力あるアルバムに仕上がっている。WARRELは卓越した ボーカリストだが、幾分ヒステリックなハイトーンのシャウトが 声質に好き嫌いが分かれるかもしれない。[90]
アメリカ人ボーカリストによる1983年にリリースされた ライヴ・アルバム。実際には1980年のLONDON HAMMERSMITH ODEON、 及びL.A. LONG BEACHでのライヴ模様を納めたものだ。 イギリスでのツアーの前座は、前年がDEF LEPPARD、このときが RIOTだった。方向的には疾走するアメリカン・ハード・ロックで、 ライヴでも中々映えるだろうと想像させてくれる内容だ。後に VAN HALENに加入するが、楽曲の内容はともかくとして、この時の 方が勢いは感じさせてくれる。選曲も悪くないし、生きの良さを 感じさせてくれるライヴ・アルバムだ。[83]
アメリカのハード・ロック・シンガーの1980年にリリースされた 6thアルバム。その後、VAN HALENのボーカリストとして迎えられ、 今やそのイメージの方が強いかも知れない。方向的には、 これまでと全く変わらない、疾走感のある ハード・ロックンロールだ。VAN HALENよりはもっとドライヴ感 たっぷりの楽曲を中心に、哀愁が感じられるRun For Your Life 等、VAN HALENでは聴く事が出来ないタイプの曲まで、 これまでよりそれなりに幅広いところがある作品に 仕上がっている。まさしくアメリカン・ハード・ロックという 感じの作品で全体の出来は良い。しかし後半は失速し、最後は少し 尻すぼみ的な感じがするのは残念だ。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた メージャー移籍第2弾となるアルバム。如何にも彼等しい楽曲と、 ソフトなSAVATAGEらしからぬ曲が混合した妙なアルバムに 仕上がっている。カバーが2曲あって、FREEのWishing Wellは それなりにらしいアレンジになっているのだが、BADFINGERの Day After Dayは明らかに違和感が感じられる。彼等らしからぬ 部分が所々に見え隠れするので、他のアルバムから見ると浮いた 作品だと言って良いだろう。メジャー移籍で、変に売れ線を 狙ってしまって失敗した例で、アルバムのトータル的なバランスの 悪さを感じる。[78]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた メジャー移籍第一弾となる2ndアルバム。彼等の魅力のその 源流とも言える様な、メロディアスでドラマティックなサウンドが 展開されている。次作でセールスを意識した様なキャッチーな 作品に転じたのとは対称的に、彼等本来の持ち味を出していると 言って良いだろう。その後より完成されていった音からするとまだ 粗さが見えるが出来は悪くない。これと言った楽曲はないが、 OLIVA兄弟の書くオペラティックな楽曲は、彼等のファンなら、 聴いてもある程度納得出来るだろう。[81]
N.W.O.B.H.M.バンドの1981年にリリースされたアルバムに、 ボーナス・トラックを7曲追加して1992年に再発されたもの。 楽曲はいかにもN.W.O.B.H.M.と言えるもので、もの哀しい メロディだがポップになり切れない醒めたうら淋しさを強く 感じさせるアルバムだ。他のこれらのバンドと大きく異なるのは キーボードで、前面に押し出されていて、かなり プログレッシヴ・ロック的な感じがする作品に仕上がっている。 ただし、楽曲はストレートで整っており、この手のものとしては かなり整理されてすっきりしている様に感じるアレンジだ。臭い 泣きのメロディもしっかりと入れられていて、B級N.W.O.B.H.M. ファン向きの作品だ。[85]
N.W.O.B.H.M.のベテラン・バンドによる12枚目のアルバム。 このバンドの特徴とも言える、BIFF BYFORDのボーカルは 相変わらずで味がある。このバンドはPOWER AND THE GLORYから アメリカ・マーケットを意識した方向へと変わって行ったが、 今作ではそう言ったメロディ重視の方向から変わって、のりを 前面に押し出した作品に仕上がっている。シャッフル調の 曲もあって、随分跳ねた感じを受けるが、一方でその分 BIFF BYFORDのボーカルが引っ込んだ印象を受けてしまうのが 残念だ。[78]
イギリスのハード・ポップ・バンドのデビュー作。 LONG ISLAND RECORDS所属という事で、想像される方向性に 沿った内容の作品となっている。どちらかと言うと、むしろより 軽快で洒落たポップなアルバムで、産業ロックともいうべき作品に 仕上がっている。メロディアスでポップでAOR風の非常に軽い 作品なので、それが許容出来ないと少し辛い作品だろう。 Keep It To Yourself等は10年前のヒット曲のような感じの キャッチーな楽曲だ。コーラスとキーボードはなかなか良い 味付けをしていて、作品に彩りを与えている。[80]
アメリカのパワー・メタル・バンドのアルバム。 STREETS A ROCK OPERAが多分にオペラ的だったが、この作品も 非常にクラシック的でオーケストラが大幅に導入されている。 SAVATAGEはドラマティックさが個性として出ていると思うので、 前作HANDFUL OF RAINと比べるとより個性を打ち出していて 良いと思う。ギターにはAL PITRELLIが参加しているが、 その演奏はバンドの個性と離れていなくて悪くない。むしろ 前任のALEXがどうもSAVATAGEにはあっていると思えなかったので 良かったくらいだ。ZACHARY STEVENSのボーカルもバンドの カラーには以外にあってるので、全体的なバランスは良い。[86]
アメリカのパワー・メタル・バンドのライヴ・アルバム。 ALEX SKOLNICK在籍時の最後の音源となるクラヴ・チッタ川崎での ライヴの模様を収めたものだ。キーボードにはミュージカル音楽 制作のためにバンドを脱退し、その後自身のバンドDR.BUTCHERを 結成している、バンドのコンポーザーたるJON OLVERがゲストで サポートしている。楽曲的にはHANDFUL OF RAINが、さして面白い 作品でなかったので、こうして過去の楽曲と一緒に聴くと、 JON OLIVA脱退以前の楽曲の良さを感じさせてくれる。 EDGE OF THORNSの様なドラマティックな楽曲はライヴで聴くと 圧巻だ。[83]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。女性2人を含む 5人組のバンドだが、キーボードはL.A.メタルでは知る人ぞ 知るWARLORDでSENTINELというステージ・ネームで演奏していた DIANE ARENSが担当している。憂いを醸したメロディアスな ヘヴィ・メタルで、女性ボーカリスト、ELIZABETH VANDALLの 女性らしい叙情感をかもしだした歌声が非常に効果的だ。 ドラマティックで扇情的で美しいが、一方では楽曲的に残念ながら 前作を越えるだけの出来のものはない。人を引き付けるだけの 扇情感があり、今後、楽曲のクオリティを上げていければ十分 楽しみなバンドではあるが。[81]
ドイツのメロディック・ハード・ロック・バンドの3rdアルバム。 このバンドの特色はアメリカナイズされたポップな ハード・ロックをやっているところにあったが、今作では若干の 変化が感じられれる。もちろんこれまで同様の、アメリカンな曲も あるのだが、若干ブリティッシュ的な風味を醸し出す様になって 来ており、ポップな部分よりのりが中心となっている様な印象を 受ける。特にTurn The Page等は、枯れたブルージィな 雰囲気があり、THUNDERを思い起こさせたりもする。この変化が 吉と出るか凶と出るかは好みによって分かれてくるだろう。 MICHAEL SESEMBELLOのヒット曲MANIACのカバーは、やや雰囲気が 違うので、御愛敬と言うレベルだ。[80]
CRISS OLIVA存命時のライヴ・マテリアルを集めたアメリカの パワー・メタル・バンドのトリビュート・アルバム。彼の兄、 JON OLIVAも脱退する前のもので、ラインナップとしては ベストだった頃のテイクと言えるだろう。しかし、少し前に 日本での公演を収めたライヴ・アルバムを出したばかりで、 タイミング的に理解に苦しむ。これだけ、短い期間でライヴを 出す意義をあまり感じられない。内容的にはバンドとしてのまと まりも、ライヴ・パフォーマンスの迫力も十分味わえ、寄せ 集めのライヴとしてはかなり良い出来だと言って良いだろう。 少なくともJAPAN LIVE '94より出来は間違いなく良い。[83]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。本国での ディールを失ったが、より多面性を持ったアルバムを伴って帰って 来た。もともとオルタナティヴ・ロック的な感性を 持っていたのだが、よりそう言った色合いを濃くしている 部分がそこはかとなく見える。気だるいロックと言える 部分もあるし、その音楽性の幅広さが出て来たと言えるだろう。 デビューしたころの様なハードさが残っている曲もあるが、 全体的にはハード・ロックの範疇のみで収まる様なものではない。 言葉に表すのは難しいが、不思議な魅力があるアルバムだ。[81]
N.W.O.B.H.M.バンドの12年振りとなる、再結成して初となる 3rdアルバム。録音状態は、同様に復活している他のバンドと 変らず、御多分に洩れない当時そのままのプロダクションを 聴かせてくれている。全体的にワイルドな感じの ハード・ロックンロールで、ボーナス・トラックではTHIN LIZZYの Are You Readyをカバーしているが、あれよりはもっと ロックンロール的だと言って良いだろう。楽曲的には特に取り 上げる程のものでもないが、可もなく不可もなくと言った感じで まぁまぁの出来と言ったところだろう。[75]
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの4thアルバム。かつて METAL MASACREの末期のシリーズでは、一人気を吐いていた 感があったバンドだ。それだけに、一般受けするとはあまり 思えないが、出来としては決してレベルは低くない。サウンドは めりはりが効いていてダークでグルーヴィだし、勢いは 感じさせてくれる。ただし、ザクザクとリフが刻まれるあたりは 中々面白いのだが、緩慢な部分がどうしてもあって、そう言う 部分はつまらないとしか言い様がない。割と コアなところがあって、ハード・コア系が好きでないと少し 辛いかも知れない。[81]
L.A.メタルではWARLORD等と共にN.W.O.B.H.M.色が強いサウンドを 押し出していたヘヴィ・メタル・バンドで、これは1983年に リリースされたデビュー・ミニ・アルバムと、1985年に リリースされた1stフル・アルバムのカップリングCDだ。 MASTER OF DISGUISEに関しては、パワー・メタル的でFear My Way 等はIRON MAIDENを思い起こさせる部分もある。音質は最悪で、 楽曲は如何にもというような臭いものが取り揃っているので、 マニア受けしそうな内容だと言えるだろう。デビュー・ミニの THE DOMINATRESSの方は楽曲的にも劣るし、ボーカルもちょっとと 言う感じで殆ど聴く価値はない。[78]
1977年にリリースされたVAN HALEN加入前のソロ時代の 3rdアルバム。MONTROSE、ソロの初期に比べ大分 ハードよりになってきてはいるが、その後に比べればまだまだ ハード・ロックというには至っていない。ソロ時代のVOA等を 期待すると肩透かしを喰うかもしれない。全てにおいてそうという 訳ではなくて、Reckless等のようなハードでドライヴィンな、 いかにもSAMMYらしいナンバーもあり、むしろ後々への過渡期的な 作品と言った方が良いだろう。[77]
アメリカの クリスチャン・プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの 1993年にリリースされたデビュー作。プログレッシヴと言っても いわゆるDREAM THEATER的なものではなく、 シンフォニック・ロック風のものであり、ニヒルで静寂感を持った 耽美なサウンドは独自の世界を構築するに至っている。ギターと シンセサイザーが作り出す荘厳で格調高いドラマティックな サウンドに、スキンヘッドのボーカリストERIC CLAYTONの ねちっこい歌声が絡んでくる。何とも不思議で魅力あるサウンドで 楽曲も良く出来ており、耽美なものが好きな人に是非 お奨めしたい。[89]
イギリスのハード・ポップ・バンドの2ndアルバム。出たのはまだ LONG ISLAND record倒産前だがLONG ISLANDではなく 自費出版の様だ。ボーカルは元2 DIE 4のANDY SHOWに 変わっているが、楽曲的にはそういう影響は見えない。むしろ もっとハードさがそぎ落とされ、ブルージィな如何にも AORとしか言えない様な方向へと来ている。THE DOORSのカバー Light My Fireも非常にムーディなアレンジで一聴しただけでは それと気がつかないほどだ。SIMPLY REDみたいなのが好きならば それなりに聴けるかもしれないが、ハードなのが好きな人には 1st以上にソフト過ぎるだろう。[78]
マレーシアのギタリストによる1994年にリリースされた 1stソロ・アルバム。MR.BIGのPAUL GILBERTやHAREM SCAREMの HARRY HESSが参加するという、マレーシアのアーティストとしては ちょっと考えられないような豪華ゲストを迎えているが、 このSAMAD自身なかなかのテクニシャンぶりを見せており、 なるほどと思わせる。全体的にはテクニカルな ギター・インストルゥメンタル・ナンバーとメロウな スロー・ナンバーのツー・パターンだが、あまりに極端で ちょっとちぐはぐな気もする。とはいうもののテクニカルな ギター・ナンバーは名かなか良い出来だし、ルックスは悪いが マレーシアとはいえ侮れない作品だ。[80]
N.W.O.B.H.M.バンドの復活第二弾となる4thアルバム。楽曲は いかにもTHIN LIZZYといった感じのフックのあるメロディで、 ボーカルのCHRIS BRADLEYの声質もPHIL LYNOTT風で、 そういった感を強めている。全体的にはTHIN LIZZYより ヘヴィだし、硬質なサウンドははるかにメタル的な印象を与える。 NEAT METALからの復活組みが昔の名前で出ています的な内容の あまり伴わないような作品が多い中では、割と頑張っていると 言っても良いだろう。特別抜きんでた作品とは言い難いが、 のりもあるしプロダクションも割と良く出来ている。[80]
L.A.のシンガー・ソング・ライターで、ソロ活動の他にも自身の バンドONLY CHILDを率いるPAUL SABUと元BONFIREの JOERG DEISINGERとANGEL SCHLEIFERによる ハード・ロック・バンドのアルバム。楽曲は全てこの3人による 共作になっているが、PAUL SABUの主導で書かれたと思われる。 アメリカ的な乾いた明るい優れたメロディの楽曲が並び、曲作りに 関してはさすがと思わせる。BONFIREの2人が加わった成果か、 PAUL SABU関連のものとしてはかなり厚い音作りで、ソリッドで エッヂの効いたハードな作品に仕上がっていて好感が持てる。[87]
アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの3rdアルバムで、 1995年3月のドイツでの公演の模様を収めたライヴ・アルバム。 クリスチャン・メタルといっても、このバンドはかなり異質な 雰囲気を醸し出しており、それがまたこのバンドの魅力だと 言えるだろう。ベースのDEAN FORSYTHもスキン・ヘッドなのだが、 ボーカルのERIC CLAYTONもスキン・ヘッドで、デス・マスク片手に 憂いを含んだ表情で歌っている中ジャケットの写真もかなり 異彩を放っている。全体的に荘厳さを醸し出しながらも非常に 退廃的な印象を与えるサウンドで、またERICのボーカルが DAVID BOWYそのままという感じで淡々と歌うので、そういった感を より強めている。浮揚感を感じさせるJEFF G.CLAYTONのギターも またその効果を出している。決してゴシック・メタルという 感じではないのだが荘厳でおどろおどろしくありながらも哀愁と 扇情感を感じさせてくれる。演奏も良いし、楽曲の練りも良く、 非常にドラマティックで良いバンドだ。[86]
ベテランN.W.O.B.H.M.バンドの1995年暮れに行われたドイツでの ツアーの模様を収めた、2枚組みライヴ・アルバム。既に1982年に 同名タイトルでライヴ・アルバムがリリースされており、 そのパート2という位置づけだが、そのため以前収録されたものは 省かれており、初期の名曲というべき曲がほとんどない。 そのため、注目すべきはアメリカナイズされた作品を 出すようになってからの曲であり、そういう意味では初期の ファン向けではなく、名前に騙されてはいけない。 YNGWIE MALMSTEENが飛び入り参加していて、Denim & Leatherを 弾いているが、あまり特筆すべきほどの事でもない。[80]
ドイツのパワー・メタル・バンドの2ndアルバム。いわゆる QUEENSRYCHEタイプのバンドで、その中でも最も質の高いバンドと 言って差し支えないだろう。デビュー盤も素晴らしかったが、 今作もそれに劣らず素晴らしい。楽曲、演奏、プロダクション、 どれをとっても高品質の作品と言える。QUEENSRYCHEと言っても 初期の方なのだが、フルレンス・アルバムよりもう少し 正統派という感じで、ときおりテクニカル・ロックの様な展開を 見せてアクセントをつけている。VAGELIS MARANISのボーカルも こういった曲をやるだけの実力がある。ドラマティックで、 憂いを含んだメロディは秀逸だし、実に良く作ってある アルバムだ。今後望むとすれば、これに名曲と言えるだけの 曲を作ってくれることで、それがあれば名作と言えるレベルまで 行ける。[87]
しばらく前に再結成し、活発に活動しているN.W.O.B.H.M.の 1983年にリリースされたデビュー盤に1979年から 1980年にかけて録音されたデモ音源5曲を加えたもの。 N.W.O.B.H.M.のバンドに違わぬ録音状態の悪さで、ノイジィで 金属音的ギターがそういった部分を更に際立たせている。 演奏もいまいちだが、エッヂのたった音像はエモーショナルかつ ドライヴ感たっぷりで実に扇情的な作品で、非常にのりが良い。 楽曲はややTHIN LIZZYっぽい雰囲気のあるより哀愁を強調した 感じのするものだ。B級という感はいがめないし、酷い 録音なのだが、意外に心を沸き立たせてくれる。[84]
N.W.O.B.H.M.バンドの1986年にリリースされた再結成後というか BLIND FURYから名前を戻しての初のミニ・アルバムとなった INTO THE FUTUREと、1987年にリリースされたSATAN名義では 2ndフルレンス・アルバムになるSUSPENDED SENTENCEを カップリングしたもの。スピード・チューン中心のサウンドだが、 初期から比べると、その後PARIAHに流れていく、よりメロディを 押さえたスラッシィーなサウンドになっている。名作 CAUGHT IN THE ACTと比べると、やや扇情的だがフックは少なく、 メロディに特徴がない分、面白味が少ないし、楽曲の出来も いま一つだ。ややIRON MAIDENっぽいIce Man等は結構 面白いのだが。[79]
ノルウェイのメロディック・ブラック・メタル・バンドの 多分3thアルバム。全体的にはMURDUKのスピードを更に 上げたような、ブラスト・ビートを用いた強烈なサウンドで 入ってくるが、場面によってはスラッシュ/パワー・メタル的な メロディに展開したり、叙情的で、メロディアスな方向へと 展開する。静と動の対比をもう少しあっても良かったかなとは 思わなくもないが、叙情的なギター・メロディがドラマティックな 方向性を出していて、引き付ける。ボーカルは ブラック・メタル・ボイスというような金切り声ではなくて、割と 聴きやすいだみ声だ。この手のものでは最もドラマティックな 作品で、楽曲の展開が良く出来ている。[85]
N.W.O.B.H.M.バンドの代表作ともいえる1980年にリリースされた 2ndアルバムと同年にリリースされた3rdアルバムを カップリングしたもの。これらのアルバムは既にCD化されており、 どうこう言うほどのものでもないのだが、問題は11曲もついている ボーナス・トラックだろう。うち、10曲はライブで、今年 取られたものが何故か4曲も混じっているが、それ以外は全て 当時の音源だ。何故こう言う中途半端な形になったのかは良く 判らないが、この当時のN.W.O.B.H.M.バンドの音源としては、 プロダクションは格段に良く、ライヴとしての価値も高い。[85]
アメリカの クリスチャン・プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの アルバム。デビュー前の1990年に作成されたデモを CD化したものだ。方向的には現在のそれと全く変らず、 違いといえばよりヘヴィな部分を見せている位だ。さすがに デビュー後の音源と比べれば、ややチープな印象を 受けなくもないが、それ程気にする程の差ではない。荘厳で ニヒルな印象を与える楽曲に、淡々と歌うERIC CLAYTONの ボーカルというスタイルは、もうこの時にほとんど 完成されており、あの独特の味わいは十分味わえる。[79]
韓国のテクニカル・プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル・バンドの 3年ぶりの2ndアルバム。方向的にはDREAM THEATERを より扇情的にしたもので、低音は平坦な感じもするが割と粘質的な ボーカルは効果的だ。特に高音の部分は印象的で扇情的で ラストなどは結構聴かせてくれる。アルバムを通して楽曲全てが 素晴らしいとは言いかねるが、緊迫感を醸し出している部分などは 十分引き付けてくる。韓国語の曲と英語の曲が混じっているが、 独特のイントネーションもないし、それ程違和感は感じられない。 特にプロダクション等、不満がない訳でもないが、韓国のバンドで ここまでのレベルがあれば賞賛に値する。[85]
元VAN HALENのボーカリストによる、脱退後の初の ソロ・アルバム。これまでのソロ・アルバムや VAN HALENでの作品と比べると、かなりハード・ロック的側面が 削られた作品になっている。SAMMY HAGERのパワフルで エモーショナルなボーカルはまるで変わりはないが、楽曲は ブルーズやファンキーなものになっており、演奏もそれに即した 派手さを押さえたものになっている。大まかに括れば アメリカン・ロックと言うべき内容で、渇いた土臭さを 感じさせる作品だ。Leaving The Warmth Of The Wombの様な ヘヴィな作りになっているものもあるが、全体的に朗々とした 感じの内容だ。[78]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1986年リリースの 2ndアルバム。L.A.メタルではWARLORD等と共にN.W.O.B.H.M.色が 強いサウンドを押し出していたバンドだった。プロダクションは 前作と変らずN.W.O.B.H.M.の多くのバンド同様にひどいのだが、 内容的にはN.W.O.B.H.M.的な傾向から少し脱却して、 ブリティッシュっぽさが減って、ややアメリカナイズされて 垢抜けて感じる。と言っても内容が良くなった訳ではなく、 楽曲的にはむしろ前作より質は落ちたと言っても良いだろう。 特にアレンジとプロダクションの悪さが気になる作品で、 お世辞にも誉められた内容ではない。[72]
かつてBRUCE DICKINSONも在籍していた事のある N.W.O.B.H.M.バンドのスタジオ・ライヴ音源を集めたアルバム。 最近ではKING BISCUIT FLOWER HOURの音源が続々とリリースされて 有名になっているが、それと並ぶ音楽番組BBCの FRIDAY ROCK SHOWに出演したときの音源をまとめたものだ。 1979年、1984年、1986年、1989年に収録されたもので、当時 BRUCE BRUCEという名前で活動していたBRUCE DICKINSONが ボーカルを取っていた頃の音源だ。元々ポップな素因はあったが、 こうして各時期の音源を続けて聴くと、このバンドが パワー・ダウンするにしたがってどんどんポップになっていった 事が良く判る。それにつれて内容もつまらなくなっているので、 後半はだれる。[76]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた アルバム。実際にはデビュー盤をリリース後、別の契約上の問題で 雌伏していた時期に録音されていたもので、ほぼ同時期に 2ndアルバム、POWER OF THE NIGHTがリリースされており、 契約上の理由でやむなく発表した作品だ。基本線はデビュー盤と 同じ路線と言えるもので、POWER OF THE NIGHTと比べると、 どうしても作りがやや粗く感じる。現在の様なクラシカルさも 完成度もないし、荒々しい出来だが、それでも彼等の原形とでも 言うべき形が形成されている。はっきり言えばそれ程面白い 作品でもないのだが。[65]
アメリカのパワー・メタル・バンドの1985年にリリースされた 2ndアルバム。その後昇華されていくオペラティックで ドラマティックな楽曲は、個性として既に形作られ始めており、 現在程大仰ではないものの、所々で原形を思い起こさせる 部分がある。今からすると、よりストレートで、 フックはあまりなく、面白味に欠けるし、アレンジ力が もっとついていかないと厳しいと思わざるを得ない作品だ。 まだまだ出来に不満を感じる作品だが、SAVATAGEらしさは 随所にあるので、ファンならば聴ける作品だろう。[68]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。 方向的にはパワー・メタル的で、IRON MAIDENっぽいメロディが ちらほらと織り交ぜてある。唸る様な咆哮型のデス・ボイスと ブラック・メタルっぽい絶叫するようなデス・ボイスを曲によって 使い分けている。結構ブルータルな部分もあるので、のりが良く 出ているし、ドラマティックな楽曲は展開があって中々良い 出来だ。走るところは走るが、楽曲にちゃんと起伏があり、決して 飽きさせない。ダークな雰囲気があり、迫力のある音作りは好感が 持てる。INITIO SILENTIUM VOCTISの様なしんみりとした インストルゥメンタルのタイプの違う曲も結構聴けるし、中々の 傑作と言って良いだろう。[87]
N.W.O.B.H.M.のベテラン・バンドの13作目のスタジオ・アルバム。 アメリカ指向に向いていた頃よりはここのところ随分とソリッドで のりの良い、勢いのある作品を作るようになったが、この作品も そうだ。むしろ今までは最もヘヴィでグルーヴ感があり、 中々格好の良い作品に仕上がっている。BIFF BYFORDのボーカルも 相変わらず個性的で良い味を出している。メロディも割と良く 出来ているが、タイトでヘヴィな作品作りが良い結果を 出している。アメリカナイズされてしまった1980年代中盤以降の アルバムとしては最も良い出来だと言って良いだろう。[85]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた 2ndアルバム。いわゆるN.W.O.B.H.M.バンドなのだが、 デビュー盤に比べればプロダクションは格段に良くなっており、 同類のバンドと比べれば十分に満足出来るレベルだ。楽曲 自体もそれなりに洗練されて来ており、進歩の跡が伺える アルバムに仕上がっている。エッヂのたったヘヴィで エモーショナルなサウンドは相変わらずだが、メロディはより キャッチーになっている。全体的なドライヴ感も変らず良いが、 その代わり扇情的な哀愁という面ではやや減退した感じがする。 そう言う意味ではデビュー盤的な方向を望む人には、メロディが 少しポップ過ぎると感じるかもしれない。[84]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの11thアルバム。その方向性は これまでと大きく変るところはなく、もはや確固としたスタイルを 確立してしまっているバンドだけに、その内容は想像の範囲内と 言ったところを超えるところはない。あからさまに 演劇的なところは全く変わらない、叙情的なヘヴィ・メタルだ。 このドラマティックなヘヴィ・メタルが好きだという人には期待を 外さない作品だろうし、そうでない人にはやはりあまり面白味を 感じないかもしれない。オペラティックな作品は他に 類するものはないし、まさに我が道を行くと言った感じの作品だ。 [82]
詳細は全く判らないが、多分アメリカの ヘヴィ・メタル・バンドで、1996年に自費出版でリリースされた これがデビュー盤だろう。3曲入りのシングルで、 自費出版という事もあってか非常に録音状態は悪い。哀愁の メロディの格好の良い正統派ヘヴィ・メタルだが、これが中々に 良い。特にオープニング・ナンバーのEscape From Timeは佳曲と 言えるもので、その外の曲もこれに及ばないまでも、まずまずの 出来だ。演奏の出来も悪くない。最も問題なのは前述の 録音状態なので、ちゃんとしたディールを取れて、 プロダクションさえしっかりすればかなり良い作品を生み出す 素質はあると思う。[84]
詳細は全く判らないが、多分北欧の ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの アルバムだろう。かなりドゥーミィな作品で、重苦しいヘヴィな 雰囲気とアコースティカルなサウンドとの対比は陰影が良く 出ている。ささやくようなボーカルの語りはMY DYING BRIDEを 思い起こさせるし、ドゥーミィなヘヴィさはANATHEMA辺りを思い 起させる。叙情的で哀愁の陰鬱にこもったメロディは中々 素晴らしい出来で、特にギターの泣きが良い。うなるような 重低音のデス・ボイスはバンドの方向性には最も合った デス・ボイスとはいえるが、これだけ耽美な雰囲気の中では やはり少々邪魔にも感じる。スロー・テンポで通されるダークで ドゥーミィな楽曲は挿入しているアコースティックな味付けも 効果的で、割と良く出来ている。[85]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのベスト盤。ドラマティックで オペラティックなヘヴィ・メタルで、非常に扇情的だ。未発表曲は VoyageとDesireeの2曲で、All That I Breedの未発表バージョンも 収録されている。Voyageはクラシック・ギターによる インストルゥーメンタル・ナンバーでそれ自体は次の曲への プロローグ的な小曲で特にどうと言うものではない。残りの DesireeとAll That I Breedは アコースティック・ピアノ・バージョンで、じっくりと聴かせる 落ち着いたバラード作品であり、SAVATAGEらしいオペラティックな 作品とはやや趣を異にする。[80]
N.W.O.B.H.M.バンドの1983年にリリースされた1stアルバムを CD化したもの。以前日本盤でCDがリリースされているが、今回、 更に3曲ボーナス・トラックとして追加収録されている。 ボーナス・トラックとしてBreak Freeのシングル・バージョンと Dynamo、Pull The Triggerが収められているが、Break Freeを 除けば、いつものSATANとはやや趣を異にするかもしれない。特に Pull The TriggerはSATANの持つ陰りがあまり感じられず、 テンポもSATANにしては遅めだ。とは言え、本編と比べて決して 悪い訳ではないので、今更日本盤というならこちらの方がお得だ。 [85]
アメリカのクリスチャン・プログレッシブ・メタル・バンドの 3rdアルバム。彼等の暗く退廃的なムードが漂う独特の世界は 変わらないし、元々劇的な感覚を持った作品作りを行っていた 訳だが、今作ではコンセプト・アルバムとしてその劇的な要素を より前面に押し出した仕上がりになっている。故に、一曲一曲の 盛り上がりはこれまでの作品と比べて見え 難くなってしまっている。特にそれは前半で顕著で、楽曲としての 全体の繋がりの良さはあるのだが、楽曲としてのめりはりがあまり 感じられない。The Birth Pangs辺りになるとやっと これまでの様なメタル的な部分が見えるのだが、このバンドは 元々メタル的な匂いをあまり感じさせないバンドなので、ここでも それ程感じる訳ではない。しかし、この非常にクラシカルな劇的な 世界は、彼等だからこそ出来るものである事は間違いない。[80]
イタリアのハード・プログレッシヴ・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。2nd同様なかなり変則的でアバンギャルドな 作品なので、ちょっと受け付けないという人がかなりいるだろう。 かなり暴虐な雰囲気を醸し出しながらも、メロディはそれなりに きちんと打ち出していて、叙情的なメロディはなかなか良い。 TREVORのデス・ボイスは聴きやすい声質だが、どことなく ねちっこく絡み付いてきて面映ゆい感じがする。テクノっぽい キーボードが独自性を感じさせ、テンポ良く思えるのだが、結構 賛否が分かれるのではないだろうか。特に ボーナス・トラックとしてa-haのTake On Meと FRANKIE GOES TO HOLLYWOODのRelaxが収められているが、 斬新というよりはっきり言って眉をひそめるようなカバーで 入れないで欲しかった。[78]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドのデビュー盤。 KING DIAMONDのギタリストANDY LA ROQUEが共同 プロデュースしているが、いわゆるそういった毛色はない。 扇情的に哀愁のメロディを奏でながら、ブラスト・ビートを絡めて 失踪する様はいかにもブラック・メタルらしい作品だ。 NISSE KARLENのブラック・メタル・ボイスはときにより デス・ボイスのようなドスの効いたものと使い分けている。 この手のものとしてはより叙情的なメロディを押し出した作品で なかなかドラマティックな仕上がりを見せている。[83]
詳細は全く不明だが ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドのアルバム。女性 クリア・ボイスとデス・ボイスのツイン・ボーカルを含む 6人組みと言う構成だ。ALEXANDRAのボーカルはソプラノという 感じではないが、はかなさを感じさせるような美しい歌唱で、逆に それが引っ込んだ感じを与えるのは残念だ。バックは耽美さを 感じさせるようなゴシック色はそれ程強くなく、どちらかというと キーボードから発散されるニュー・ウェーヴ系の色合いが強く 出た、ゴシック・メタルという感じだ。ミドル・テンポから アップ・テンポの曲調が中心で、特にアップ・テンポの部分では パワー・メタルっぽく感じさせる。全体的に平均的で、どこか強く 訴える部分がなく、悪い出来ではないが面白味に欠ける作品だ。 [74]
北海道のヘヴィ・メタル・バンドの1997年にリリースされた 6thアルバム。パーマネントなメンバーがギターの 木下昭仁だけになってしまったために、メンバーは元ANTHEMの 柴田直人、元EZOの本間大嗣、元KEELのRON KEELという プロジェクト・バンド的な色合いの強い編成になっている。 アップ・テンポの激しくヘヴィな正統派ヘヴィ・メタルで、 実力のあるメンバーが揃っているだけに演奏的にも非常に良く 出来ている。木下昭仁の弾く扇情的なギターの早弾きが実に格好 良いし、リズム隊もかっちりと締めている。STEELER等よりも更に ヘヴィな作品だが、RON KEELの歌声も決して力負けしていない。 楽曲は全体を見るとやや一本調子で飛び抜けた曲がないと言う 感がないでもないが、のりが非常に良く、テンポ良く 進んでいくのが小気味良い。現在の日本の正統派 ヘヴィ・メタル・バンドとしては最上級と言っても良いくらい センスも出来も良い。[84]
日本のヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。前作でほとんど ギタリストの木下昭仁のプロジェクト・バンドという 形態になってしまっていたが、今作では再びパーマネントな バンドの形態になっている。そのため前作で参加している RON KEELや柴田直人、本間大嗣もいないが、そのポテンシャルは 何ら劣る事はない。ボーカリストの下山武徳は中々パワフルな ボーカルを聴かせてくれていて、RON KEELよりもむしろバンドに 合っていると言っても良いだろう。木下昭仁のエッヂのたった 扇情的なギターも相変わらず格好良いし、テクニックも文句 無しだ。楽曲の出来も悪くないし、今の日本の ヘヴィ・メタル・バンドとしてはトップ・クラスと言って良い 作品に仕上がっている。[86]
ドイツのハード・ポップ・バンドが1994年にリリースされた 自主制作による恐らくデビュー盤。非常に軽やかなサウンドで、 叙情的かつ非常に優しく心に響くサウンドだ。キャッチーな メロディは心地良く、透明感があり、非常にソフトだ。 ハード・ポップと言う程すらハードさは感じられないので、ソフト 過ぎると感じるかも知れないが、楽曲の出来は非常に良い。 全体的に哀愁味を漂わせており、非常に日本人好みのメロディだと 言って良いだろう。この路線で、サウンドがハードでないので、 非常に地味に感じられるのはいかんともしがたいが、落ち着いて じっくりと聴き込める良い作品だ。[85]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの2nd アルバム。DANIEL SVENSSONがIN FLAMESに加入したが、ここでは まだ彼がドラムを叩いており、今作では彼がボーカルも 取っている。方向的に前作の延長線上であり、バックは哀愁を 漂わせたパワー・メタル風のサウンドで、緩急があって中々良い。 メロディを強く押し出しながらも、攻撃的な部分は 失われておらず、勢いがあって好感が持てる。DANIEL SVENSSONの スクリーミングに近いデス・ボイスも迫力があって、バンドに 合っている。アコースティック・ギターを導入して、楽曲により 深みを与えているのも好感が持てる。楽曲にやや ドラマティックさが減少したのが残念だが、良い作品だ。[87]
アメリカのスラッシュ・メタル・バンドのライヴ・アルバム。 スタジオ盤では意外に捻りも感じられず、今一つ面白味に欠けると 言うような印象を持っていたが、こうやってライヴを聴くと意外と ライヴ向きのバンドと言う感じがする。演奏はタイトで、バンドの グルゥーヴィな部分がのりを出していて勢いが感じられて中々 良いライヴ・パフォーマンスだ。楽曲的には平均的でこれと言う 程の物もないので最後はやや聴き飽きてくるが、ちょっと聴く 分にはいかにもスラッシュ・メタルと言うらしさが出ていて良い。 BLACK SABBATHのWar Pigsをカバーしているがバンドと元曲の イメージを壊さずそこそこ無難にこなしている。[80]
詳細は不明だが、フィンランドの ゴシック/デス・メタル・バンドの1996年にリリースされた アルバム。LASSE PYYKKOのボーカルは、透ったクリア・ボイスや デス・ボイス等も入れてくるが、どちらかと言うとPARADISE LOST 風のクリア・ボイスが中心だ。楽曲によってはもっとテンポが良い PARADISE LOST的なものとも言えるが、全体としてはどちらかと 言うとよりメロディック・デス・メタル的で、それ程 ゴシック・メタル的な耽美さは押し出されていない。ただ、所々 ゴシック・メタル的なエッセンスが取り込まれていて中々良い味を 出している。ギター・メロディが中々印象的で、テンポも 良いので、聴いていて飽きさせない。ゴシック・メタル的な 部分だけを求めるならば肩透かしを食らうかもしれないが、リフも 印象的だし出来は良い。[87]
北海道のヘヴィ・メタル・バンドの昔の楽曲を現在のメンバーで レコーディングし直した企画アルバム。インディ時代のものと言う 事で、楽曲のほとんどは歌詞が日本語だ。初期のデモ・テープに 収録されているIron ArmyとMetal Riderは歌詞を全て書き 直している。下山武蔵の非常にパワフルなボーカルとヘヴィで エモーショナルな演奏は非常に力強さを感じさせてくれる。楽曲も 過去の代表曲を寄せ集めただけに悪くないし、企画盤とは言え かなり聴きごたえのある作品だ。日本語の歌詞に拒否反応を 起さないのなら、メジャー後の彼等が好きであるならこの作品も 受け入れられるはずだ。[83]
アメリカのハード・ロック・バンド、元SLYBOYZの残党によって 結成された新バンドの1stアルバム。SLYBOYZが初期EXTREMEを思い 起こさせる様な、明るいアメリカン・ロックであったのに対して、 こちらは憂いを帯びた叙情的なハード・ロックで、かなり大きな 方向転換をしたと言って良いだろう。その意味からも新たな バンドで再出発したのは正解だと言って良いかも知れない。 DARIO DiPIETRANTONIOの泣きのギターも中々つぼにはまっていて、 SLYBOYZよりは日本人向けのサウンドだ。この泣きのメロディが 中々秀逸で、キャッチーでありながら心に染み入ってきて 聴きごたえがある。EARLE LORDのボーカルも、バンドのカラーに 合っていて、雰囲気を良く盛り上げている。[87]
1980年代前半に活躍した、SANTERS兄弟率いるカナダの ハード・ロック・バンドが残した3枚のアルバムと お蔵入りになった4thアルバムをボックス・セットにしたもの。 注目すべきはやはりこれまで幻となっていた4thアルバム、 TOP SECRETだろう。それまでのアルバムと比べると、よりポップな 作品作りがなされており、プロダクションもかなり 良くなっている。楽曲も粒が揃っており、さすがRICK SANTERSと 言える素晴らしいメロディ・センスを発揮している。しかし、その 一方で、かなり売れ線でポップになったためにまとまり過ぎと言う 感も受けなくもないのが残念だ。[85]
N.W.O.B.H.M.バンドのライヴ盤。1980年に収録されたBBCのラジオ 番組、FRIDAY ROCK SHOWの放送用のスタジオ・ライブ、1982年に 収録されたスタジオ・ライヴ、1986年の レディング・フェスティバルの模様をやはりFRIDAY ROCK SHOWの 放送用に収録したもので、BBCが所蔵する音源をCD化したものだ。 良くもこういった音源が残っていてCD化されたなと思える、珍しい 作品で、録音状態もさすがに放送用とあって、中々クリアだ。特に バンドの勢いが最もあった1980年に収録した音源はバンドの魅力を 余す事無く伝えている。中盤、The Eagle Has Landed以降になると アメリカ指向を見せてきた、POWER AND THE GLORY以降の楽曲が 多くなってくるので、やや趣が変わってくるが、出来自体は 悪くない。[83]
N.W.O.B.H.M.バンドの1980年に行われた、ドニントンでの フェスティバルでの音源を収めたライヴ・アルバム。音質は、やや こもった部分もあり、あまり良いとは言えないが、この頃の 音源としてはそれ程酷いと言う程のものでもない。N.W.O.B.H.M.が 始まってまだ間もない時期で、まだアメリカナイズされる前の、 彼等らしいロックンロール・テイストが溢れたステージを 聴かせてくれている。Motorcycle ManやWheels Of Steel、747を 始め、初期の名曲がずらりと並んでいるので、初期のファンには 見逃せない作品だ。ライヴの出来としても、中々良いので、録音 状態さえ多少我慢すれば、聴きごたえは十分だ。[82]
元VAN HALENのアメリカ人ボーカリストによる、12作目の ソロ・アルバム。VAN HALENの影は完全に払拭され、独自の サウンドが感じられる。VAN HALEN加入前の、 アメリカン・ハード・ロックンロールともやや色合いが違い、 ハードさが押えられ、より普遍的なアメリカン・ロックンロールと 言った感じの作品に仕上がっている。安心して聴いていられる分、 今一つ感情を沸き立たせてくれるものがないが、 Lay Your Hand On Meの盛り上げ方等はさすがだと言えるだろう。 High And Dry Again等も中々素晴らしい佳曲だが、これくらいの ハードさでアルバムを通してのテンションが保てれば 良かったのだが。[82]
アメリカ人シンガー、PAUL SABUとドイツの ハード・ロック・バンド、BONFIREの元ギタリスト、 ANGEL SCHLEIFERとベーシスト、JOERG DEISINGERによる プロジェクト・バンドの2ndアルバム。方向的には、 PAUL SABUらしい、アメリカ的なキャッチーさを持った叙情的な メロディの楽曲が取り揃っており、BONFIREの2人が加わる 事によって、よりハードな音作りになっている。楽曲は、 STEVIE WONDERのカバー、I Was Made To Love Herを除けば、全曲 PAUL SABUとANGEL SCHLEIFERによる共作で、パワフルな ハード・ロックに仕上がっている。STEVIE WONDERのカバー、 I Was Made To Love Herも、それとは思えぬほどのハードな アレンジとなっている。[84]
フランスのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた アルバム。方向的にはB級の正統派ヘヴィ・メタルと言った 感じだが、一部のコラースやメロディ等はプログレッシヴ・ロック 的な色合いを感じさせる。SamouraiとかTokyo Geishaと言った 曲名を付けるセンスには苦笑させられるし、楽曲の出来自体も 並みと言ったところだが、STEPHANE BONNEAUのエモーショナルな ギター・ソロや、プログレッシヴ・ロック的なエッセンスが アクセントとなっていて決して悪い作品ではない。 プロダクションも音のバランスが悪くて、お世辞にも良いとは 言えないのだが、それなりに味わいのあるアルバムだ。[79]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1995年にリリースされた プロモーション用のサンプラー盤。ZACHARY STEVENSは クレジットされておらず、JON OLIVAが全曲ボーカルを 取っている。更にCRISS OLIVAがクレジットされており、 STREETS A ROCK OPERA以降の楽曲が含まれていない事を考えると、 恐らく1990年頃のライブ音源だろう。バンドが一番勢いのあった、 GUTTER BALLETの頃のライヴ音源と言う事を考えると、中々貴重な ライヴ・アルバムだ。サンプル盤と言う事もあってか、手は ほとんど入れられていない様で、荒々しくも感じるが、全16曲を 十分堪能は出来る。[81]
スイスのゴシック/ブラック・メタル・バンドのミニ・アルバム。 STEFF TERRYのボーカルは、ブラック・メタル・ボイスはほとんど 使わず、クリア・ボイスをより主流としており、聴き 易いものとなっている。泣き声のようなSTEFF TERRYの クリア・ボイスにも特徴的だ。Dias De Las Muertesではまるで 読経の様なパートが出て来たりと、かなりカルト的でアングラ的な 作品に仕上がっている。Mr.Faustでは女性の喘ぎ声の様なものを 織り交ぜたりと、倒錯的なアルバムだ。シュールでシアトリカルな 作品で、一般受けするとは言い難い作品だが、アイデア自体は 面白いと思う。[82]
韓国のブラック・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には、 いわゆるメロディック・ブラック・メタルと言うやつで、その クオリティは韓国のバンドだからと言って侮れないほど高い。 非常に叙情的な作品ではあるが、シンフォニック・ブラック程突き 切ってしまう事はせず、バックはあくまでもパワー・メタルの 範疇に止まっている。何と言っても評価出来るのは女性コーラスの 入れ方で、オペラチックなコーラスのメロディ・ラインが非常に 東洋的で異彩を放っていて効果的だ。この悲哀に満ち溢れた コーラスと東洋的なメロディ・センスが作品の雰囲気を遥か 高みにまで昇華していると言って良いだろう。歌詞は全曲 韓国語だが、NAAMAHの拉げたスクリーミングはそんな事も 気にならないくらい、何を歌っているのか判らない。これだけ オリジナリティがあって、クオリティが高ければ文句はない。[85]
アメリカのハード・ロック・バンドの5thアルバム。実際には 2年前に録音されたもので、バンド自体は既に 解散してしまっている。キャッチーなメロディでありながら、 どことなくサイケデリックな感じのするサウンドはこの アルバムでも健在だ。ただ、これまでの作品よりも非常にポップで ロックンロール色が強くなっている。ストレートでのりの良さを 感じさせるアルバムに仕上がっているが、その分全体的に単調に 感じなくもないのだが、JASONのメロディ・センスの良さは 相変わらず素晴らしい。もう少し緩急が付けられていたら、もっと 評価が上がったのだが。[81]
アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンドの1996年に リリースされたアルバム。プログレッシヴ・メタルと言っても、 かなり独自の路線を歩んでいるバンドだが、このアルバムも これまでの路線を引き継いでいる。シアトリカルで静寂感を持った サウンドは非常に耽美で、クールな感じがする。特に今作では、 イントロでピアノをかなり前面に押し出して来るため、出だしは TURN LOOSE SWANの頃のMY DYING BRIDEを思い起こさせる。本編に 入れば、エコーを効かせたギターに、オペラティックな ERIC CLAYTONのボーカルが独特の情感を持って押し寄せて来る。 ワン・パターンと言う感じもなくはないが、楽曲の出来は良いし、 良く出来たアルバムだ。スキン・ヘッドに額にピアスと言う風体が よりシアトリカルさを感じさせる。[87]
詳細は全く判らないが、恐らくスウェーデンの ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの1998年に リリースされたアルバム。ライヴを2曲含む、変則的な アルバムで、何故こう言う構成にしたかは判らないが、ライヴの 出来は悪くない。THOMAS AG JENSENのボーカルは、咆哮型 デス・ボイスと、ささやくようなクリア・ボイスを使い 分けている。全体的に静寂感の漂う作品で、クリア・ボイスが 主体になっている。デス・ボイスを使うところだけ、ダークな ドゥーム・メタルと言った感じになるが、大部分はスペイシーで 寂寥感をもようさせる淡々としたものに仕上がっている。[84]
スウェーデンのブラック・メタル・バンドの3rdアルバム。 ブラック・メタルのバンドとしては珍しく キーボードがいないので、ブラック・メタル特有と言って良い サウンドからはやや外れた作品だと言って良いだろう。むしろ デス・メタルに近い音像で、楽曲は激烈な中にも正統派 ヘヴィ・メタル的な部分を織り込んできている。そう言った 意味では、DISSECTIONやTHE CROWNと言ったバンドに近いと 言えるかも知れない。ギター・メロディには中々 面白いところがあると思うのだが、パカパカしたドラムにやや興が 殺がれる。[80]
詳細は全く不明だが、恐らくフィンランドの ゴシック・メタル・バンドのミニ・アルバム。METZとSJOHOLMと 言う男女のクリア・ボイスのツイン・ボーカルを含む7人編成と 言う大所帯だ。全体的に耽美さや荘厳さはあまりなく、哀愁を 感じさせる叙情的な作品に仕上がっている。PARADISE LOSTを 流麗にして、普通にした感じとでも言えば良いだろうか。特に男性 クリア・ボイスの方はインパクトに欠けるが、楽曲の出来は 悪くないし、それなりに聴きごたえはある。しかし、 3曲しかないので、集中力を持続して聴いていられるのであって、 こう言うパターンの作品だと、Autumn Twilightの様な楽曲が もっと中心にならないと厳しいかもしれない。[83]
カナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの 14thアルバム。方向的にはこれまで同様、産業ロック的な雰囲気を 持ったプログレッシヴ・ハード・ロックだが、これまでの作品より リズム感が出ており、それ程退屈さを感じさせない作品に 仕上がっている。これまでの作品では、どうしても整い過ぎて盛り 上がりに欠けると言った印象を受けていたが、そう言った欠点が この作品では感じられない。楽曲によっては今一つ面白味に 欠けると言った感が無きにしもあらずだが、それなりに 聴きごたえはある。MICHAEL SADLERのボーカルも意外と 表現力があってここ最近の彼等の作品としては最も良く出来ている 作品だ。[81]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの3年振りとなる 4thアルバム。激烈で高速のブラスト・ビートを用いた ブラック・メタルであることはこれまでと変わりないが、 前作であった暗い情念を感じさせる叙情性は減退し、より攻撃的な 作品に仕上がっている。その分ドラマティックさは無くなったが、 パワー・メタル的な部分は健在だ。よりブラック・メタル然とした アルバムになっており、完成度も高い。ブラック・メタルと言うと 薄っぺらい音が気になる事が多いのだが、良く作り込まれており、 この手としては重厚な作品に仕上がっている。メロディ部と ブラスト部の急展開によるコントラストもうまく表現出来ていると 思う。[84]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの1998年に リリースされたデビュー盤。何故かシンガポールのレーベルからの リリースで、24金盤と言う訳の判らない限定盤だ。方向的には ブルータルなパートとメロディアスなさびと言う2重 構造になっている、楽曲と、メロディック・デス・メタルらしい 楽曲からなっている。Devil's Dozen(XIII)等は、 ブラスト・ビートも入れて、まるでEMPERRORの様な ブラック・メタル然としたブルータルさを出している一方で、 さびではクリア・ボイスを使って来たりする。 The Well Of The Artistでは全体的にAT THE GATESっぽいもので、 ブルータルさを保ちながらも叙情的なメロディを奏でて来る。 楽曲の出来は悪くないし、メロディ等は中々良いので、もう少し 方向性が一定するとかなり化けるのではと思える。[79]
アメリカのハード・ロック・バンドのライヴ盤。 アコースティック・ライヴで、アルバムを1枚出しただけの彼等が こういった作品をリリースする意義は良く判らない。未発表の 楽曲もあって、ファンには注目すべきところだが、スタジオ 盤よりは落ち着いていてやや物足りなさも感じる。SLYBOYZの DARIO DiPIETRANTONIOとMARTY PLGAのバンドだが、SLYBOYZが EXTREME系のややファンキーなハード・ロックであったのに 対して、叙情的で愁いも含んだメロディになっている。 EARLE LORDのボーカルを含めて、演奏的にはかなり高いが今一つ 盛り上がりに欠けるのが残念だ。[83]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。元VICTORY、 SINNERのFRITZ RANDOWが新たにドラマーとして加入している。 方向的には、全くこれまでの路線をそのまま踏襲した作品で、 いかにも彼等らしい作品だ。ただ、楽曲はよりフックがあり、 グルーヴィと言って良い程のりを感じさせるアルバムに 仕上がっている。その部分を除けば、取りたてて 目新しいものはないが、BIFF BYFORDのボーカルも相変わらずで、 彼等のファンならば安心して聴ける作品ではある。楽曲の出来は 悪くないし、のりが良くなった分聴きごたえがある。[82]
スイスのメロディック・デス・メタル・バンドの5thアルバム。 方向的には、THE KOVENANTと同様、ダンサブルなビートを 効かせた、インダストリアル・ロック的な作品だ。THE KOVENANTが ブラック・メタル的な部分を潔く放棄して、ダンサブルな エレクトロニクス作品に仕上げていたのに対して、こちらは荘厳で メロディック・デス・メタル的なドラマティックさと叙情的な メロディを残しながらも、ダンサブルなビートを取り入れていると 言って良いだろう。他に類を見ないと言っても良いくらい、 ユニークでオリジナリティを確立しながらも、実にクオリティの 高い作品だ。特にYear Zeroでのドラマティックさと迫力は見事と 言う他ない位素晴らしい。[87]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。N.W.O.B.H.M. 初期から活躍するバンドだが、1980年に行われた第1回 モンスターズ・オブ・ロックの模様を収録したものだ。メンバーの 所蔵テープを発掘したものらしいが、それにしては プロダクションは割と良好だ。ライヴの性質上、40分 余りしかないが、名作、WHEELS OF STEELでの最も勢いのあった 頃のライブだけに、そのパフォーマンスの熱さは十分感じる事が 出来る。Mototcycle Man等、初期のロックンロール然とした楽曲が 好きならば、十分満足出来るだけの聴きごたえのある作品に 仕上がっている。[84]
アメリカのクリスチャン・プログレッシヴ・メタル・バンドの 2部作となった最新アルバム、LEGEND PART IIからの ミニ・アルバム。タイトル・トラックの3種類のバージョン 違いのものとNew World Orderのバージョン違いの 全4曲となっている。如何にも彼等らしい、スローで幻想的で ドラマティックな作品で、従来の路線を押し 進めたものとなっている。楽曲の出来を考えると、彼等の ファンならば十分満足出来るレベルだと言って良いだろう。 Behold A Pale HorseはThe Ego Mixではホーン・セクションを Classical Mixではピアノを前面に押し出したそれぞれ特徴的な バージョンに仕上がっている。[82]
ドイツのハード・ポップ・バンドの1998年にリリースされた アルバム。楽曲的には前作の延長線上と言える様なもので、非常に ポップで叙情的で爽やかな当たり障りのない楽曲がずらりと 並んでいて、安心して聴いていられるのだが、今一つこれと言った 聴きどころに欠けるところもある。So Far等は、ヘヴィなリフや ギター・メロディを入れていて、そう言った線を 凌駕しているのだが、他の楽曲では残念ながらそう言った部分に 欠ける。叙情的で愁いのあるメロディは中々のもので、 メロディ・センスは悪くないし、MARCO SCHULTZの透った優しい ボーカルも力強さには欠けるが楽曲に良く合っている。[80]
イタリアのメロディック・デス・メタル・バンドの1993年に リリースされたデビュー盤。叙情的なメロディにテクニカルな 演奏と、似た様なバンドが多いこの界隈でもかなり特異性を 放っている。特にメロディック・デス・メタルと言うものが 確立されていないこの時期に、こう言った作品を作った事には 価値があると言って良いだろう。チャンバロっぽいキーボードや ピアノを大胆に導入したかと思えば、ブラスト・ビートを持ち 込んだり、テクニカルなギターが入って来たりと、叙情的な哀愁と 暴虐感が繰り返され入り交じって来る。まだまだアイデアばかりで 未消化の部分も感じられるが、オリジナリティも感じられる。[80]
イタリアのメロディック・デス・メタル・バンドの1996年に リリースされた2ndアルバム。方向的には前作の延長線上とも 言えるテクニカルなプログレッシヴ・デス・メタルだ。変則的な キーボードで幕を開けたと思ったら、フュージョン的な ギター・ソロが出てきたりと、かなり前衛的と言える作品に 仕上がっている。India等では、そのアルバム・タイトルが示す 様なトライバル色を持ち込んだりと、アイデアは面白いと思うし、 テクニカル・ロック系の変則的な楽曲が好きならば結構 聴けるのではないだろうか。この手のものとしてもかなり斬新な 内容となっているだけに、聴くものを選ぶアルバムと言って 良いだろう。[79]
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンドの3rdアルバム。 方向的にはシンフォニック・ロックと言った様な、聴き易い 叙情的なメロディの作品だが、意外と速いテンポのパートがあり、 このテンポの起伏によって変化を付けている事が成功している。 特にテンポの速いパーとでは、意外とハードな部分を見せており、 Riding The Fence等では、時としてPRAYING MANTISっぽさを 見せるところがある。メロトロンはもちろん、ピアノや パイプ・オルガン、バリトン、トランペットまで持ち込み、 The Last Enemyで使われる聖歌隊の合唱等は見事と言って 良いだろう。[84]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンド、MIDNIGHT SUNの ベーシスト、JONAS REINGOLDと元ボーカリスト、 PETE SANDBERGによるプロジェクト・バンドの1997年に リリースされたアルバム。音楽的には、いわゆる アコースティック・アルバムと言うものだが、アコースティック 一辺倒ではなく、アコースティック・ギターを主軸に沿え、それを 殺す事無くエレクトリックなサウンドも取り入れている。 楽曲的にもMIDNIGHT SUNとは異なり、ほのぼのとしたメロディの アルバムに仕上がっている。MIDNIGHT SUNとはかなり趣の違う 作品だが、だからこそのプロジェクトであろうし、しみじみとした 味わいの感じられる作品だ。[81]
アメリカのハード・ロック・バンド、VAN HALENの元 ボーカリストによる2年振りの13thアルバム。Serious Jujuと 言った一風変った楽曲もあるが、概ね彼らしい ハード・ロック・ナンバーが取り揃っている。前作同様、あまり VAN HALENの影を引き摺っておらず、彼らしさを感じさせてくれる 作品だ。彼の熱いボーカルが前面に押し出されており、 ハード・ロックンロールな楽曲が良く合っている。前半は昔の 彼らしい、突っ走っていると言う様な感じを受けるが、 The Messageからは叙情味のあるメロディも出したり、バラエティ 豊かな作品となっている。[83]
日本のヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの6thアルバム。 ボーカリスト、下山武徳がCONCERT MOONのギタリスト、島紀史との プロジェクト・バンド、DOUBLE-DEALERで一気に名前を知らしめた 感があるが、このアルバムでも彼のパワフルなボーカルは 変わりない。楽曲的にもこれまでの延長線上と言えるものだが、 その完成度と迫力は増しており、よりスケール・アップした印象を 受ける。より重厚で格好の良いアルバムに仕上がっており、日本の ヘヴィ・メタル・バンドとしてはトップ・クラスの作品と言って 良いだろう。これだけヘヴィで硬派な正統派ヘヴィ・メタルは、 海外でもそう居ない。[84]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのレア・トラック集。 N.W.O.B.H.M.初期より活躍するバンドだが、改名前の SON OF A BITCH時代を含めた1978年から1982年までの、最も 勢いのあった初期の頃の音源を集めたものだ。ライヴ、お蔵 入りとなっていた未発表曲、アウト・テイク、 デモと言った音源からなっており、ファンには堪らない内容だと 言って良いだろう。ライヴ、デモも含めて、プロダクション 的にはそれ程悪くないし、中々貴重な音源集だ。SON OF A BITCHの ブルージィーなナンバー、Walkingを含め、未発表音源も多く、 貴重な作品だ。[80]
日本のヘヴィ・メタル・バンドの2枚組みベスト盤。4thアルバムの PROJECT ONE以降の楽曲ばかりで、言うなれば後期ベスト盤と 言った方が良いだろう。Silly等、久保田陽子のボーカル時代の 楽曲もあるが、リメイクていたり、PARAGRAPH 3のバージョンで 当時のものではない。元KEELのRON KEELがゲストとしてボーカルを 取っていたPROJECT ONEは、全てのボーカルを下山武徳が録り 直している。半分が録り直しだし、既発の新録ベストの PARAGRAPH 3も入手困難なので、DOUBLE DEALERから入った様な 初心者にもファンにも有り難い作品だ。新曲は Poisonous Bugsのみだが、ミドル・テンポでどうと言う事のない 楽曲だ。[82]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの4年振りとなるアルバム。 ギタリストのAL PITRELLIとボーカリストのZAK STEVENSが脱退し、 残ったメンバーだけで製作されている。ボーカルもキーボードの JON OLIVAが兼任しており、パワー・ダウンしたと言う感じは いがめないところだろう。実在の報道カメラマンを題材とした コンセプト・アルバムで、楽曲的には彼等らしい パワー・メタルでありながら、よりダークな色合いを押し出した 作品となっており、これまでの作品と比べると大仰さも減り、より 地味な感じのする作品となっている。従来の作品よりも盛り 上がりに欠け、彼等の持ち味を発揮しきれていないのが残念だ。 [77]
アメリカのハード・ロック・バンド、元SLYBOYZのギタリスト、 DARIO DIPIETRANTONIOとキーボード、MARTY OLGAによる 3年振りとなる2ndアルバム。SLYBOYZがEXTREMEタイプの ファンキーなサウンドを聴かせてくれていたのに対して、ここでは 叙情的なハード・ロックを聴かせてくれている。そう言う意味では 前作の延長線上とも言える作品だが、前作がかなり憂いの強い 作品であったのに対して、今作ではそう言う部分は押さえ 目になっている。だが、むしろそう言った部分が彼等の魅力と 言える部分だけに、むしろ彼等の魅力を損ねている様に 感じるところもある。とは言え、DARIO DIPIETRANTONIOの泣きの ギター・ソロを始め、彼等のメロディ・センスは素晴らしい。[85]
ブラジルのシンフォニック・ロック・バンドの企画盤。新曲 3曲と、過去の楽曲から11曲を英語でリメイクと言う 構成になっている。リメイクに関しては、英語ネイティヴでないと 言う影響が諸に出ており、わざわざ英語で録音し直した意義は余り 感じられない。このアルバムの聴きどころはやはり中心人物である MARCUS VIANAの幻想的で美しいヴァイオリンで、叙情的で シンフォニックな世界を作り上げている。新曲のバラード、 Firecircleでも、この美しいヴァイオリンを堪能出来る。壮大さを 感じさせる楽曲で、ポップさも併せ持った空間の広がりを 感じさせる作品だ。[80]
アメリカの クリスチャン/プログレッシヴ/ゴシック・メタル・バンドの 5thアルバム。そのアルバム・タイトルが示す透り、シリーズ 3作目となる作品で、音楽的には当然その延長線上と 言えるものだ。叙情的で様式的な美を感じさせる様な、憂いと 退廃感の漂うサウンドである彼等の独特な雰囲気はここでも 守られている。かなりオリジナリティが強く、ノスタルジックで 異国情緒漂う彼等特有の雰囲気と味わいのあるドラマティックな 音楽性で、やや好き嫌いの判れる作品と言えるだろう。朗々と歌い 上げるERIC LAYTONのボーカルが、そう言った雰囲気をより 助長していると言えるだろおう。プログレッシヴ・メタル的な エッセンスもあるが、派手な展開や変則的な部分はない。[87]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りのアルバム。過去の 楽曲を再レコーディングしたアルバムを付けての 2枚組みとなっている。N.W.O.B.H.M.初期に登場したバンドだが、 アメリカ市場を意識した作品を作る様になってパワー・ダウンして 行った。この作品も最近の路線を踏襲したものであるが、劇的に 変化したのは哀歓を非常に強く押し出した事だろう。哀愁を強く 感じさせる叙情的なヘヴィ・メタルで、一瞬本当に彼等かと 疑いたくなる位だ。彼等らしくないかもしれないが、泣きの ヘヴィ・メタルが好きならば聴いても損はないだろう。 KING CRIMSONのCourt Of The Crimson Kingをカバーしている 辺りに、彼等のその意識が感じられる。中盤以降になって来ると 楽曲はややテンポを重視したものとなって来て、彼等らしさが 出てくるが、それでも哀愁が滲み出て来ている。 再レコーディングしたものも、こう言った影響か、やや哀感の 強いものとなっていて面白い。楽曲の出来も良いし、久しぶりに 溜飲を下げさせてくれるアルバムに仕上がっている。[88]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた ライヴ盤。そのタイトルが示す通り、1981年に行われた レディング・フェスティバルに出演したときの模様を 収めたものだ。今回、再発されるに当たって、 ボーナス・トラックとして3曲、デモが追加収録されている。 このライヴをきっかけに、後にIRON MAIDENに移籍する事となる、 BRUCE DICKINSON在籍時のほぼ最後の音源集と言って良いだろう。 デモは確かにデモと言った内容で、BRUCE DICKINSONのボーカルも かなりラフに感じられるものとなっているが、如何にも彼等らしい 楽曲だ。[80]
日本のヘヴィ・メタル・バンドのシングル。既発曲のバージョン 違い2曲と新曲1曲の全3曲と言う構成になっている。とは 言っても、3曲で24分とかなり大作指向の内容となっており、 ミニ・アルバムと言って良いボリュームだ。全曲、タイトルは 同じだが、それぞれサブ・タイトルは異なっており、内容も 異なっている独立した楽曲だ。バージョン違いの Eternal Loop(Blue)、Eternal Loop(Red)は、生々しい ライヴ・アレンジとなっており、より扇情感を増している。新曲の Eternal Loop(Clear)も彼等らしいバラードではあるが、全体的に スローな展開が中心になっているだけに、やや物足りなさが 感じられる。[81]
韓国のブラック・メタル・バンドのミニ・アルバム。方向的には デビュー盤の延長線上とも言える、非常に哀愁の効いた ブラック・メタルで、彼等らしいオリエンタルなエッセンスも 感じられる。前作ではNAAMAHがまるで女性と言える様な、 ソプラノを要所要所で入れて来ており、これが東洋的な哀愁を 増して実に効果的だったのだが、今作ではこの比重が非常に 少なくなっている。わずかに入っているパートでも、前作と 比べると安定感に欠ける部分があり、折角の彼等の特徴の一つとも 言える部分が活かされていないのが残念だ。その分 クリア・ボイスを多用する様になって来ているが、やや野太い 感じで好き嫌いは分かれるだろう。とは言え、楽曲や演奏は 相変わらず韓国のバンドと侮れないレベルにはある。[82]
アメリカのクリスチャン・プログレッシブ・メタル・バンドの 1998年にリリースされた4thアルバム。元々かなりユニークな 音楽性を持っており、ゴシカルな耽美感溢れる荘厳な プログレッシヴ・メタルを聴かせてくれていたが、前作の続編で 組曲的な構成になっている事もあってか、これまで以上に シアトリカルでオペラティックな作品となっている。歌と言うより 詠唱と言う感じで、まるで宗教音楽を聴いている様な気がして 来る。とにかく非常にドラマティックなのではあるが、ダークで テンポはほぼ一定で進んで行くので、淡々とした印象を逆に受ける 部分があり、個性が強い分好き嫌いも分かれるだろう。[84]
日本のヘヴィ・メタル・バンドの7thアルバム。これまでの正統派 ヘヴィ・メタルと言った方向性と比べると、ややモダンで ヘヴィネスな作品にしあがっている。とは言え、あくまでも ヘヴィ・メタルと言う範疇を逸脱している訳ではないし、非常に アグレッションの効いた聴き応えがある。特にリフの切り方や リズム隊が格好良く、フックの効いたものにしてくれている。 下山武徳のボーカルは相変わらずパワフルで凄みを増しているが、 少し鬱陶しい位表現力を発揮し様と唄い上げるので、 スロー・テンポでじっくり聴かせるところになると嫌味に 感じられる部分もあるのが残念だ。[83]
スウェーデンのハード・ポップ・バンドの2001年にリリースされた アルバム。当時はボーカリストのULRICK LONNQVISTとギタリストの PETER LIDSTROMによるプロジェクトだった様だが、現在では バンドとして形態を整えて活動している様だ。キーボードは STORMWINDのKASPAR DAHLQVISTで、ゲスト参加としてコーラスに MICHAEL ERLANDSSON等も参加している。音楽的には MICHAEL ERLANDSSON等よりもっとポップでAOR的な色合いが濃く、 アコースティック色も強い作品と言って良いだろう。そつなく 作られていて、爽やかで叙情的なメロディも美しく、メタルの リスナーとしては大人し過ぎるかも知れないが、レベルは高い。 [81]
スウェーデン人ギタリストの2ndソロ・アルバム。と言っても、 楽曲はほとんどプロデューサーであるRAINMAKER、PRISONER、 TALK OF THE TOWN、RADIO ACTIVEのギタリスト、TOMMY DENANDERが 中心となって作られており、演奏面でも彼がかなりの マルチ・ミュージシャン振りを発揮しており、どちらかと言うと TOMMY DENANDERのソロ・アルバムと言った方が良いのではないかと 思える程だ。それ故、音楽的な方向性としては、叙情的でポップな 産業ロック的な色合いが濃いもので、如何にもTOMMY DENANDERと 言った感じのアルバムに仕上がっている。ボーカリストも RAINMAKER、PRISONERのGEIT RONNINGやALIENのJIM JIDHED等が 参加している。[81]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2ndアルバム。ラップ等 オールド・スタイルのロックを取り入れ、そこにヘヴィなリフを 味付した、いわゆるモダンなヘヴィ・ロックと言えるものだ。 この手のもとしては、ヘヴィな割にメロディアスでポップな センスも感じられる。ポップではあるが、あまり売れ線と 言ったものを意識させる事もなく、自然な感じが漂っているのは 好感が持てる。楽曲によってはオルタナティヴ・ロック的な エッセンスも感じられ、NICKELBACK辺りに通ずる部分も大きい。 楽曲のアレンジ面でやや弱さを感じなくもないが、出来は 悪くない。[82]
日本のヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。2002年に行われた 日本での公演の模様を収めたものだ。この公演を最後に、 中心人物であるギタリスト、木下昭仁を除くボーカリストの 下山武徳、ベーシスト、竹内聡、ドラマー、磯田良雄が脱退し、 事実上バンドは崩壊してしまっただけに、その総括的なライヴ 作品と言えるだろう。それだけに編集の切れ目切れ目で フェードアウトして行くのは何とも興醒めで、元々ライヴ時間が 非常に長いバンドだし、どうせなら2枚組にして納得の行く 最後にして欲しかった気もする。それにしても演奏、録音状態も 良く、日本のバンドとしては群を抜くバンドの一つと 思わせるだけのパフォーマンスを聴かせてくれる。[83]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの4年振りの5thアルバム。 基本的にはこれまでの延長線上と言えるもので、 ブラスト・ビートを前面に押し出した、激烈なブラック・メタルを 聴かせてくれている。北欧のブラック・メタルに多い、荒涼とした メロディも皆無ではないが、むしろソリッドで攻撃的なリフで 禍々しさを醸し出している。ここに女性コーラス等を入れて 来るのだが、これがまた異様に不気味だ。こう言った楽曲の 割には、意外とメロディがはっきりと打ち出されており、 思ったより聴き易いアルバムに仕上がっているのが、このバンドの 面白いところだ。[82]