イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。元SHYのボーカリスト、TONY MILLSを中心とする バンドだ。同時期にSHYもアルバムにリリースする事になり、その 内容が注目されたが、両方とも元々のSHYのハード・ポップ的な 音楽性とは少し距離を置いた作品になっていると言って 良いだろう。どちらかと言うと、よりヘヴィ・メタル的で TONY MILLSのハイ・トーンを活かした、ややQUEENSRYCHE的な 作品に仕上がっている。但しSHYと比べると、この作品の方が 憂いを含んだ叙情的なメロディを押し出しているだけに、まだ昔の SHYに近いと言えるかも知れない。もう少しサウンドに ダイナミズムが欲しいところで、TONY MILLSの ハイ・トーンばかりが目立っている印象を受ける。[82]
アメリカのハード・コア・パンク・バンドの1992年に リリースされた3年振りとなる2ndアルバム。方向的には スラッシュ・メタル的なハード・コアであるのだが、この 手のものとしては最もパンキッシュなハード・コア本来の音楽性と 言って良いだろう。リフを中心とした、ヘヴィなサウンドには スラッシュ・メタルのファンにも共感を感じる 部分はあるだろうが、このパンキッシュさにはハード・コアに 免疫がないと違和感を憶えるかも知れない。とは言え、攻撃的で ハードで中々格好の良いハード・コアである事は間違いない。[80]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた デビュー盤。方向的にはDEF LEPPARDのフォローワーと呼べる 様な、キャッチーなメロディを主体とした アメリカン・テイストたっぷりなポップなヘヴィ・メタルだが、 より叙情的でプロデューサーがSTEVE PLUKETTである事を 考えても、そのままAUTOGRAPHに通ずる作品と言った方が 近いだろう。楽曲作りにSTEVE PLUKETTが全面的に 参加しているのだから、ある意味当然の帰結とも言えるが。やや ワイルドでハスキーなRICHIE COXのボーカルが、よりそう言った 印象を強くしている。[81]
ドイツのテクニカル・ロック・バンドの1991年にリリースされた アルバム。方向的にはDREAM THEATER的な プログレッシヴ・メタルに近いものだが、DREAM THEATER程 ヘヴィ・メタル的な色合いは強くなく、もっとテクニカル・ロック 的なエッセンスが強いと言って良いだろう。特に楽曲等は スリリングで非常にDREAM THEATERっぽいので、DREAM THEATERの ファンなら楽しめるかも知れない。DREAM THEATERと今のRUSHの 中間っぽい作品で、テクニカルな演奏もおかず程度なので、一般の リスナーにもそれ程聴き難いと言う感じはしないはずだ。[80]
スウェーデンのハード・ロック・バンドの1983年にリリースされた デビュー盤。音楽的にはいわゆるDEEP PURPLEのフォローワーと 言えるもので、PETER OSTLINGのキーボードはまさしくJOHN LORDの ハモンド・オルガンを意識したものt言って良いだろう。特に On The Road等は如何にもDEEP PURPLEっぽい楽曲であるが、 この頃流行していたN.W.O.B.H.M.の影響が感じられる、 ロックンロール調の楽曲もあるし、憂いを帯びた初期北欧 メタルらしい楽曲もある。全体的に個性に欠ける気もするし、 プロダクションの古臭さは如何ともし難いが、出来は悪くない。 [80]
スウェーデンのハード・ロック・バンドの1983年にリリースされた 2ndアルバム。BOLTIMOREのボーカリスト、BJORN LODINがかつて 在籍していた初期北欧メタル・バンドで、ここでも彼がボーカルを 取っている。方向的に前作の延長線上と言える、DEEP PURPLEの フォローワー的作品と言って良いだろう。ただし、その DEEP PURPLE的な音楽性を一貫する事は出来ておらず、やや散漫な 感じになってしまっている事はいがめない。前作でもそう言う 傾向があったのだから、前作のファンならそう言う部分にも 文句はないかも知れないが。北欧メタルの初期と言う事で、やや 田舎臭さはどうしても感じられるが、出来自体はそう悪くない。 [79]
アメリカのハード・ポップ・バンドのデビュー盤。ギターは さすがGIT出身と言うだけあって、しっかりした演奏力を 持っているのだが、とにかく録音状態が悪いのは遺憾ともし難い。 十数年前を思い起こすようなクオリティのプロダクションで、もう 少し何とかなったのではないかと思える出来だ。実は楽曲 自身にもそういう古さを感じる所もあるのだが、これはこれで 悪くない。QUEENSRYCHEをハード・ポップにした様な不思議な 楽曲もあるし、センスはそれなりにあると思う。録音状態と同様に 気になるのはボーカルで、どことなくクリアでないところが 楽曲にあってない様に感じられる。[77]
ニューヨークのハード・コア・パンク・バンドのアルバム。 ヘヴィ・メタルからハード・コア的なアプローチを行い スラッシュ・メタルが登場したように、ハード・コアでも スラッシュ・メタル的なアプローチを試みるバンドは 見受けられるが、このバンドはスラッシュ・メタル的な部分の 全くないハード・コア・パンク然とした作品と言うべき 内容である。故に、その攻撃的なサウンドはともかく、全体的に 見るとハード・コアのファンでなければ聴くのは難しい 所かもしれないが、その姿勢は好感が持てる。[79]
詳細は良く判らないが、アメリカのハード・ロック・バンドで デビュー盤ではないかと思う。ストレートな軽いサウンドで バラエティには富んでいるが、特に序盤に飽きがくる 部分があるが、ポップさを兼ね備えていてキャッチーだし非常に 聴き易く楽曲の出来は総じて悪くない。但し、DEF LEPPARD、 BON JOVIとかいった部分があちこちに見受けられ、 オリジナリティという点では厳しいかもしれない。特に中盤以降、 Don't Wanna Loose Herのような優しく湿った曲等、何曲かは 出来がなかなか良いので、そのテンションがアルバムを通して 持続出来れば随分良くなるだろう。[79]
MAT SINNER率いるドイツの中堅ハード・ロック・バンドの アルバム。メロディアスな楽曲が並ぶが、サウンド的には陽気で のりが良くてアメリカっぽい部分が同居している。かなりハードで 骨太なプロダクションになっていて、臨揚感がある。全体的に 出来は良く、楽曲の出来も安定していて安心して聴いていれる。 生々しい音作りで、扇情的でありながらワイルドな楽曲は雑に 思える事もあるが、メロディ自体は肌理細かい。ERIC MARTINの 書いたI Can't Stop The Fire等、楽曲の出来は粒が 揃っているものの、飛抜けたこれと言った曲もないのは確かだ。 [83]
ドイツのメロディアス・ハード・ロック・バンドのライヴ盤。 オリジナルの楽曲以外にも、2曲カバーされており、BILLY IDOLの Rebel Yellは少々意外な選曲なのだが、これが中々面白い出来だ。 SAMMY HAGARのThere's Only One Way To Rockは、疾走感が良く 出ていてバンドのカラーにあっているだろう。プロデュースが 今一つかなとも思えるが、特にプロダクションが悪いと言う 程ではないので、それ程気にならないだろう。全体的に アップ・テンポの楽曲が中心で、疾走感があってのりが良く、 ライヴ映えしていて、中々聴き応えのあるアルバムに 仕上がっている。[84]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。1stは 元AUTOGRAOPHのSTEVE PLUNKETTが作曲、プロデュースを 行っていたせいもあって、サウンドはもっとハードだったが、 どことなくAUTOGRAPHを想起させる様な楽曲だった、。今作でも プロデュース、作曲はSTEVE PLUNKETTが行っているのだが、 1stとはだいぶ趣が変わっていて、よりポップになっており、更に アコースティック・ギターを大幅に導入している。それ故、 それほどハードさはないし、随分と落ち着いた 雰囲気になってしまっているが、メロディ自体は秀逸で 素晴らしい。GRASS ROOTSの懐かしいLet's Live For Todayの カバーもバンドには良く合っている。[76]
元SHYのボーカリスト、TONY MILLS擁するイギリスの ヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。前作ではSHYとは違った ヘヴィでドラマティックな方向性を見せていたのだが、今作は更に その方向へ押し進めた作品になっている。ブリティッシュ的な 香りはあまり無く、どちらかと言うとRAGE FOR ORDER辺りで 見られるようなQUEENSRYCHE的な正統派ヘヴィ・メタルと言う様な 作風になっている。TONY MILLSのボーカルも見事にそう言った 方向性に溶け込んでいるし、その実力をいかんなく発揮している。 如何にもヘヴィ・メタルといったサウンドで、楽曲の出来は数段に 良くなっているしメロディの出来も良い。演奏のを含めて プロダクション方も良く出来ていて、素晴らしいアルバムに 仕上がったと言って良いだろう。[87]
アメリカのデス・メタル・バンド、OBITUARYのALLEN WEST、 CANNIBAL CORPSEのCHRIS BARNESによって結成されたバンドの デビュー盤。デス・メタルではあるのだが、CANNIBAL CORPSEの 様なブラスト・ビートは全くなく、バックはミディアム・テンポの スラッシュ・メタルだ。彼等がかつて在籍していたバンドが、 デス・メタルの中でもかなり個性的なバンドであっただけに、 これだけ聴き易くなると、それと引き替えにフックを失っている 様な気がする。特に、CHRIS BARNESのデス・ボイスのうめく様な 咆哮が完全に死んでしまっている様な気がするのは残念だ。[81]
カナダのクリスチャン・メタル・バンドの2ndアルバム。楽曲は 扇情的でメロディアスな哀愁漂うものと格好良いノリのある ヘヴィ・メタル・ナンバー等からなっている。BRENT MILLSOPの 感情表現豊かなボーカルはどのタイプの曲にも映えていて、 より楽曲の魅力を引き立てている。MARSHALL JACHARIASの メロディアスなギター・プレイも効果的だ。そして何より、 楽曲の良さが、それらの演奏が生かしている。ヨーロッパ的な 彼等のメロディ・センスの良さが光る素晴らしい 作品になっている。オープニング・ナンバーのApathyの ぞくぞくするような扇情感は必聴だ。[92]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。これまで、数多くの 良質ののメロディアスなヘヴィ・メタル作品をリリースして 来たが、今作もそれに違わぬ内容に仕上がっている。 タイトル・ナンバー等のミドル・テンポの楽曲での、その メロディ・センスの素晴らしさは非常に光っているし、速い楽曲も 全体的なバランスを考えると悪くない出来だ。ワイルドでラフな ナンバーを入れたりと割と多彩な内容になっており、MAT SINNERの ワイルドでラフな声質は好き嫌いが多少分かれるかもしれないが、 これはこれで味があって悪くない。ただし、ややヘヴィな 音作りにし過ぎと言う感じで、音のバランスが今一つ悪い様な 気もする。[83]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた デビュー盤。JONAS HANSON率いるバンドで、後に YNGWIE MALMSTEENと行動を共にする事になるANDERSとJENSの JOHANSON兄弟も在籍すると言う中々強力な布陣で、内容もそれに 違わぬものとなっている。楽曲は如何にも北欧らしい様式美に 満ちたもので、佳曲と言えるだけの楽曲が揃っており、演奏的にも かなり高い出来であるのだが、惜しむらくはプロダクションが 悪いと言う事だ。だが、それを差し引いても初期 北欧メタル・シーンにおける名盤の一枚と言っても良いだけの 作品に仕上がっている。[90]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの1985年にリリースされた 2ndアルバム。JONAS HANSSON率いる初期北欧メタル・バンドの 一つで、叙情的で哀愁味のあるメロディを聴かせてくれている。 JENSとANDERSのJOHANSSON兄弟が、YNGWIE MALMSTEEN率いる RISING FORCEに加入するために脱退し、メンバー・チェンジを 余儀なくされ、更に専任ボーカリストを加入させての再出発 作品となっている。録音状態は決して良くないが、暗い哀愁を 持ったメロディはSHAKIN' BRAINSにも劣らない素晴らしい出来だ。 いかにも北欧メタルらしい美しい作品で、初期北欧 メタルものとしては必聴の一枚だ。[88]
イギリスのゴシック/デス・メタル・バンドのデビュー盤。 女性ソプラノ、クリア・ボイス、デス・ボイスを配しており、 クリア・ボイスも詠唱というより、ちゃんと歌唱している部分が 多く歌ものとしての要素が強い。専任のヴィオラを入れるなど 8人の大所帯だが、ヴォーカル専任も2人いるし、音が 厚すぎるという事はない。美しいが、ゴシックといってもそれほど 荘厳さを醸し出させるものはなく、どちらかというと ニュー・ウェーブ調のもので、オールディーズ調のPanacea等は ジョークみたいなものだろう。とはいうものの、叙情的で 美しいので、これはこれで楽しめる。[86]
ニュー・ヨークのハード・コア・パンク・バンドのアルバム。 ハード・コアらしい剛直さは相変わらずだが、メロディはかなり 普通と言った感じで、随分と聴きやすくなった様に感じられる。 以前は破天荒な感すらある疾走感溢れるサウンドだったが、 今作では破天荒と言うほどのものは感じられない。故に、 ヘヴィ・メタル系のリスナーにもその聴きやすさゆえ入り込み 易くなったのではないだろうか。ただ、その分毒というものが 感じられず、このバンドも丸くなったなと感じなくもない。割と 一直線と言った感じのアルバムなので、最後はやや聴き飽きて 来る。[79]
元CANNIBAL CORPSEのCHRIS BARNESとOBITUARYのALLEN WESTによる アメリカのデス・メタル・バンドの2ndアルバム。全体的に スラッシィで楽曲によってはおどろおどろしさを感じさせる様な 作品だ。地響きを立てるようなCHRIS BARNSの唸る重低音 デス・ボイスはCANNIBAL CORPSE時代に比べて、どうしても地味に 感じてしまうのは残念だ。バックはメロディを割と 押し出しており、ダークさを湛え、ミドル・テンポ中心にリフが 進行していく様は中々心地良い。これといったインパクトは 感じられないが、平均的に楽曲は良く出来ている。[83]
ポーランドのゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。メンバー・チェンジの影響か、ゴシック色は大幅に 減退し、メロディック・デス・メタル的な色合いがより 濃くなっている。部分部分によっては変則的なメロディや展開が 飛び出し、プログレッシヴ・ロック的でもある。Lash等には耽美な 部分も残っているが、全体的にアップ・テンポでのりの良く、 一方でおどろおどろしさが打ち出されて、1stとはやや趣が 異なったシアトリカルな作品となっている。ヴィオラを始め、 各パートが割と効果的に使われていて、それには好感が持てる。 メインはデス・ボイスと男性クリア・ボイスで、ゲストのMAGGIEの 女性ソプラノも挿入されている。[81]
元KING KOBRAのボーカリストMARK FREEを中心とする、アメリカの ヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされたアルバム。まだ この頃はMARK FREEも性転換する前で、相変わらず艶やかな声を 聴かせてくれている。アメリカらしい叙情的なメロディの ヘヴィ・メタルで、時には明るく、時には湿っぽく、MARK FREEが 切々と歌い上げる。ミドル・テンポの楽曲が中心で、じっくりと 歌い上げる作品作りになっている事が、地味ではあるが、 MARK FREEのボーカルを生かしたアルバムになっている。 地味ではあるが、優れたメロディの楽曲が取り揃っており、 安心して聴ける。[84]
ドイツのディスコ・ミュージック・グループとして1970年代末に 活躍したJINGISKHANのLESLIE MANDOKIを中心とする ロック・プロジェクト・バンドのアルバム。趣旨としては、 クラシックの名曲をロック・アレンジで演奏すると言う インストルゥーメンタル・アルバムで、楽曲によっては ディスコ・ミュージックの活動の後を感じるものもあるが、 全体的にかなりロック然とした作品である。クラシックの源曲の 色を残しながらも、かなり空間的広がりを感じるアレンジで、 なかなか面白い。かなりアイデア勝負という感じだが、悪くない 作品だと思う。[84]
詳細は全く不明だがチェコの ゴシック/メロディック・デス・メタル・バンドの1996年に リリースされたアルバムの様だ。女性ボーカル、 ZUZANA ZAMAZALOVAのクリア・ボイスとPETER STANEKのドスの 効いたデス・ボイスのツイン・ボーカルだが、残念だが デス・ボイスが主流だ。ZUZANAが奏でるバイオリンの生々しい音が 何とも印象的でかつバイオリンの露出度も高いのは嬉しい。この バイオリンにアコースティック・ギターが絡む所などは非常に 美しく、このバンドの見せ場と言っても良いだろう。全体的には ヘヴィでドゥーミィなサウンドでゴシックらしい美しさは今一つ 希薄だし、面白味欠ける楽曲ではあるのだが、出来としてはそれ程 悪くないと思う。こういうバンドはもっとアコースティック色を 強めた方が良い結果を出せるだろう。[80]
アメリカのハード・ロック・バンドで、LYNCH MOBのボーカル、 ROBERT MASONを迎えて、バンド名をADRIAN DOOZから変えての初の アルバム。ADRIAN DOOZでアルバムをリリースしたのが 1988年なので、本当に久しぶりのアルバムだ。如何にも アメリカらしい明るい叙情的なめりはりのある楽曲と言う所は、 ADRIAN DOOZ時代と全く変わりない。ROBERT MASONの 声質もあるだろうが、ややXYZを思い起こさせる部分もある。 ただ、楽曲にはもっとフックがあり、のりは随分と良い。全体的に 変化が少ないのが不満に思えるが、ポップでキャッチーなさびも 印象的で好感が持てるし、演奏等全体的な出来も悪くない。[84]
イギリスのブリット・ロック・バンドの1stアルバム。軽快で ポップ・センス溢れるロック・アルバムで、楽曲自体は中々良く 出来ている。女性ボーカルかと思わせるJAMES BROADの繊細な 声質もこう言った方向性には合っており、中々味わい深い。 ヘヴィ・メタルとは全く立つ位置が違うので、そう言った エッセンスを期待してはいけないが、純粋にブリット・ロックが 好きならばお奨めだ。優しくのりが良くて、センスの良さも伺える 良質のメロディが散りばめられている。どこかしら昔懐かしい 感じのするメロディは中々秀逸だし、聴いていて楽しい作品だ。 [82]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの11thアルバム。元々、 MAT SINNERのメロディ・センスの素晴らしさは 疑うべくもないのだが、いきなりオーケストラーションを施して 見事に構築されたA Question Of Honourで始まる所など、 見事としか言いようがない。扇情的で叙情的なメロディは更に 完成度を上げ、ここに結実したと言って良い。ややダークな 雰囲気もある重厚なメロディで、結構めりはりが効いていて 聴きごたえがある。MAT SINNERのパワフルなボーカルもこういった 方向性に良く合っている。美しいという感じのタイプというよりは どちらかと言うと格好の良いと言った方が良いだろう。これまでの 作品と比べると、よりジャーマンっぽい作品と言う感じを受ける。 過小評価されるバンドだが、素晴らしい作品だ。[87]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた7th アルバム。方向的には実にこのバンドらしい扇情的で エモーショナルなヘヴィ・メタルだ。MAT SINNERの メロディ・センスは相も変らず素晴らしく、非常に聴き応えのある アルバムだ。アップ・テンポの非常に格好の良い When A Heart Breaksから、ミドル・テンポの心に染み 入ってくるようなバラードのBurning Heart等、非常に 充実している。このバラードでも非常に力強いところにこの バンドの特色を伺えるて好感が持てる。MAT SINNETのパワフルな ボーカルが良く生きていると言って良いだろう。楽曲によっては やや出来に差があるようにも思えるが、それを割り引いても良い 作品だ。[85]
アメリカのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。前作で、 LYNCH MOBのボーカル、ROBERT MASONを迎えて、バンド名を ADRIAN DOOZより改めてと言う事であったが、そのROBERT MASONは 脱退、をANTHONY LEE FONTAYNE迎えている。全体的に前作から 比べると、ドライヴ感を増し、非常にのりの良い作品に 仕上がっている。ANTHONY LEE FONTAYNEのボーカルもワイルドで 荒々しく、サウンドのイメージに良く合っていると言って 良いだろう。勢いのあるアメリカン・ハード・ロックで、 聴いていて中々気持ちが良く、流れが途切れるので、別にバラード 等差し挟まなくても良かったのではないかと思えるくらいだ。[83]
スウェーデンのシンフォニック・ロック・バンドの2ndアルバム。 メロトロンやフルートを導入し、ダークな雰囲気を醸し出した 作品で、非常に幻想的だ。叙情的なメロディの中にも、暗い情念を 感じさせ、幻想的な部分をもっと減らせば、ANEKDOTEN、 ANGRAGALDと言ったバンドを想像させるだろう。こういう方向性な 上に大作指向なのだが、それなりに展開があるのでそれ程 飽きさせない。自分達のスタイルをうまく確立しており、中々 聴きごたえのある作品に仕上がっている。STEVE HUCKETのカバー 曲、The Tower Struck Downのライヴがボーナス・トラックとして 収録されている。[80]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの デビュー盤。IN FLAMESのFREDRIK NORDSTROMが プロデュースしているだけあって、方向的にもIRON MAIDENの 影響が見えるIN FLAMESに近いものだが、より普遍的な ヘヴィ・メタルと言う感じがする。Burn The Nightでドラムに おかずを入れて来たりするが、まだまだ個性的と言う点にまでは 至っていないものの、メロディの出来は、この手のものとしては 十分及第点を与えられる。TONY KOCMUTのしゃがれた デス・ボイスは中々パワフルで悪くない。 メロディック・デス・メタルとしては、全体的、平均的に良く 出来ており、十分安心して聴ける。[82]
IN FLAMESのJESPER STROMBLAD、CHILDREN OF BODOMの ALEXI LAIHO、MERCYFUL FATEのSHARLEE D'ANGELO等による スウェーデンのヘヴィ・メタル・プロジェクトで、ボーカルは THERIONやDIMMU BORGIRでキーボードとしてツアー経験のある、 女性ボーカリスト、KIMBERLY GOSSが担当している。 KIMBERLY GOSSのボーカルはクリアで透っているが、今一つ毒にも 薬にもならない感じで、存在感が薄い。方向的にはIN FLAMESを 女性ボーカルでやっていると言う感じで、それ程取りたてて 目新しさも感じられないが、出来的には無難で悪くない。しかし、 SHARLEE D'ANGELOの副業の多さも特筆ものと言って良いだろう。 [83]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた 3rdアルバム、DANGER ZONEと1985年にリリースされた 4thアルバム、TOUCH OF SINを1枚にパッケージしたもの。 方向的にはワイルドでメロディアスなヘヴィ・メタルで、疾走感を 伴った、フックのある楽曲は中々格好良い。DANGER ZONEでは、 ややチープなプロダクションと、ボーカルのMAT SINNERの 声質もあってか、どことなく芋臭さも感じられるが、音質的には TOUCH OF SINで大幅に改善されているし、楽曲は全体的に良く 出来ていると言って良いだろう。MAT SINNERのメロディ・センスの 良さは、十分に感じられるアルバムだ。[81]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた 5thアルバム、COMIN' OUT FIGHTINGと1987年にリリースされた 6thアルバム、DANGEROUS CHARMをカップリングしたもの。愁いを 帯びた、叙情的なメロディのものから、ワイルドな ハード・ロックンロールまでやっている。変っているのは、 BILLY IDOLのヒット曲、Rebel Yellをカバーしている事だが、 MATT SINNERの野生的なボーカルが意外と合っている。全体的に ワイルドでパワフルな中にも、キャッチーさがあって聴き易いし、 楽曲の出来も良く出来ており、MATT SINNERらしさは出ている。 [83]
スイスのプログレッシヴ・メタル・バンドのデビュー盤。 ボーカリストとして、元CANDLEMASSのTHOMAS VIKSTROMが クレジットされており、彼の素晴らしい歌唱力が発揮されている。 2ndアルバムの製作に取り掛かっているようで、THOMAS VIKSTROMは 引き続き参加するそうだ。方向的にはDREAM THEATER系と言う 事になるが、より愁いを含んだ叙情的でストレートなメロディで、 独自色は感じられる。Carpet Diverの様な、かなりかなり テクニカルな部分もあるものの、Cosmic TornadoやBlack Holeの 様な10分を超える曲があって、かつ全体的に変化が少ないので、 やや冗長に感じる部分もあるのだが、美しいメロディの ドラマティックな楽曲が取り揃っている。もう少しフックが 付けれれば、素晴らしいアルバムになっていたはずだ。[86]
日本のブラック・メタル・バンドの4thアルバム。 シンフォニック・ブラック・メタル的な色合いは薄れ、より 耽美的なヘヴィ・メタルと言う感じのするアルバムに 仕上がっている。その分、ゴシック・メタル的な色合いがあって、 かなりユニークな作品だ。アグレッシヴで、プログレッシヴ的な 香りがあって、中々面白い。部分部分では、割と シンプルなものであるのに対して、それを組み合わせる 事によって、アレンジ面で難解な作品にしていると言っても 良いのではないだろうか。万人受けするかどうかは ともかくとして、中々面白い作品だ。[83]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの12thアルバム。 ギタリストとして新たに元THUNDERHEADのHENNY WOLTERが ドラマーにはHELLOWEENのULI KUSCHが加入している。ULI KUSCHは HELLOWEENの活動もあって、パーマネントなドラマーとして 活動出来るかは疑問だが。方向的には、これまでと全く変らない、 彼等らしいアップ・テンポで勢いのある叙情的でメロディアスな ヘヴィ・メタルだ。MATT SINNERのメロディ・センスの良さが良く 現れており、彼のややダミ声っぽいボーカルが、ワイルドな 雰囲気を良く出している。楽曲の出来も良いし、エッヂがあって 中々楽しめる作品に仕上がっている。[85]
イギリスのハード・ロック・バンド、THE WiLDHEARTSの 元ボーカリスト、GINGERによるソロ・プロジェクトのデビュー盤。 THE WiLDHEARTSと比べるとやや趣が異なり、キャッチーでポップな グラム・ロック風のロックンロール作品に仕上がっている。 THE WiLDHEARTS後期におけるノイジィなサウンド・プロダクション 等は全くなく、よりシンプルな感じのする作品に仕上がっている。 それ故、昔懐かしいと言う感じすらする作品となっており、かなり 聴き易い。もちろん基本的にはTHE WiLDHERTSらしさを十分 感じさせる作品なのだが、それとはまた違った魅力がある。[82]
元ROYAL HUNTのアメリカ人ボーカリスト、D.C.COOPER率いる ヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。その他、SINNER、 THE SYGNETのギタリスト、ALEXANDER BEYRODT、THE SYGNETの ドラマー、ANDRE HILGERSと言った陣容になっている。 D.C.COOPERのソロ・アルバムでは、QUEENSRYCHE的と 思わせるところが多々あり、D.C.COOPERの歌唱もあって、この アルバムでもそう言った感があるのだが、楽曲作りに ALEXANDER BEYRODTが加わったためか、よりヨーロッパ的な 叙情味が増した、正統派ヘヴィ・メタル作品に仕上がっている。 少し面白味に欠ける感がなくもないが、楽曲にはフックがあるし、 エッヂのたったサウンドに、D.C.COOPERの表現力もあって聴き 応えのあるアルバムだ。[85]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。1990年に アメリカで行われたライヴを収録したものだ。元KING KOBRAの ボーカリストで、現在では性転換してMARCIE FREEと名乗っている MARK FREEを中心としたバンドで、アルバムを1枚 リリースしただけで解散したが、曲順までほぼLOUD & CLEARに 沿った内容になっている。MARK FREEのボーカルはここでも 素晴らしく、流石と思わせるだけのものはあるが、残念ながら 録音状態はお世辞にも良いとは言えず、少し離れたところから 良くないマイクで音を拾った様な感じで、ブート・レベルと言って 良いだろう。この作品で唯一注目されるのは、未発表曲の Nobody Gets Out Aliveで、アップ・テンポののりの良い楽曲だ。 [58]
北欧のメロディック・デス・メタル・バンドのミュージシャン 等によるプロジェクト・バンドの2ndアルバム。前作同様、 中心人物であるCHILDREN OF BODOMのギタリスト、ALEXI LAIHOと 女性ボーカリスト、KIMBERLY GOSSの2人に、今回はWALTARIの ギタリスト、ROOPE LATVALA、元TAROTのベーシスト、 MARCO HIETALA、TO/DIE/FORのドラマー、TOMMY LILLMANが 参加している。前作ではIN FLAMESのJESPER STROMBLAD、 MERCYFUL FATE等のSHARLEE D'ANGELOと言った大物が参加していた 事を考えるとメンバー的にスケール・ダウンと言う感じはするが、 作品的にも正しくスケール・ダウンしたと言う感がいがめない。 KIMBERLY GOSSのボーカルは、扇情感を増して前作より良く 出ているが、楽曲の出来に波があって、楽曲によっては魅力が少し 乏しい感じがする。[82]
詳細は良く判らないが、恐らくフィンランドの ゴシック・メタル・バンドの2ndアルバム。MATTI AIKIOの クリア・ボイスにTIINA LEHVONENの女性ボーカル、 JANI LAAKSONENのバイオリンと典型的な耽美派ゴシック・メタルと 言って良いだろう。意外とヘヴィなところも見せており、 場面によっては、ドゥーム・メタル系ゴシック・メタルを 思わせるところもある。憂いのあるメロディにバイオリンが良く 合っており、非常に耽美で死を思わせるイメージが出せている。 アイデア的に新しいものはなく、目新しさは全くないのだが、 耽美派ゴシック・メタルの音楽性を上手く表現している。[88]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの12年振りとなる再結成 第1弾の4thアルバム。北欧メタル初期において、EUROPE等と伴に そのシーンを支えたバンドで、中心人物であるボーカリスト兼 ギタリストのJONAS HANSONが自らのバンド、JONAS HANSON BANDで 活躍している他、ドラマーのANDERS JOHANSSON、キーボードの JENS JOHANSSON兄弟がそれぞれYMGWIE J.MALMSTEENや STRATOVARIUS、HAMMERFALL等々、あちこちに引っ張りだこで 馴染みは深いだけに感慨もひとしおだ。更にベーシストには現 SNAKE CHARMERのPER STADINと言うオリジナル・メンバーでの 再結成となっている。Before The Storm等はそのルーツである RAINBOWを思わせるし、楽曲は古臭いがその分郷愁を 誘ってくれる。演奏的には実力派ミュージシャンばかりだし、 安心して聴ける。[83]
日本のブラック・メタル・バンドの5thアルバム。音楽的には 最近の拡散した方向性をより推し進めたものだと言って 良いだろう。従来のブラック・メタル的な音楽性はほとんど影を 潜め、よりプログレッシヴ・ロック的な方向へと向かっている。 ヘヴィ・メタル的なギター・メロディも聴かせながらも、 キーボードをより前面に押し出し、ときには オーケストレーションに完全に切り替えてしまう辺りの展開は中々 素晴らしい。アルバム・ジャケットにも現れているが、やや サイケデリックな色合いが強くなっており、中々面白い作品に 仕上がっている。こう言うアイデアや方向性が初期のファンには どう感じられるか判らないが、前衛的で悪くない。[82]
ドイツのハード・コア・パンク・バンドのデビュー盤。 ハード・コアの中でもいわゆるニュー・スクール・ハード・コアと 言われる、よりブルータルなサウンドのバンドだ。非常に メタリックなサウンドで、デス・ボイスとも言える CHRISTIAN VALKの咆哮と相俟って、デス・メタルを思い 起こさせるものがある。楽曲的にはモダンなヘヴィ・ロックに 通ずるところがあり、強烈なアグレッションを感じさせる アルバムに仕上がっていると言って良いだろう。ブルータルな デス・メタルが好きならば、このバンド等はそれ程抵抗なく 聴けるはずだ。[81]
アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。デンマークの ヘヴィ・メタル・バンド、ROYAL HUNTの元ボーカリストだった D.C.COOPERを中心とするバンドだ。ROYAL HUNTが甘い哀愁の メロディを売りにした叙情派のヘヴィ・メタルであったのに 対して、こちらはどちらかと言うとゴリゴリとした硬派の重厚な ヘヴィ・メタルと言えるだろう。We Must Use The Powerの様な JUDAS PRIEST流れを汲む正統派的な部分もあるが、全体的にはより 叙情的でメロディアスなヨーロッパ的な内容になっている。 メタリックなサウンドなので、ROYAL HUNTではちょっとメロディが 甘過ぎると言う人には合うだろう。[85]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。方向的には前作の延長線上と言えるもので、 スラッシュ・メタル系のメロディック・デス・メタルを 聴かせてくれている。アグレッシヴで攻撃的なサウンドで、 中々聴き応えのあるアルバムに仕上がっている。 The Secret Agendaでは、クリア・ボイス等もを入れて来ており、 スラッシュ・メタル系統のバンドでこう言った事をやるアイデアも 面白い。タイトでスピード感は感じられるが、逆に単調に 感じられる部分もあり、もう少し楽曲に変化が欲しい気もする。 [80]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。前作に 続いて、CHILDREN OF BODOMのALEXI LAIHO、TAROTのベーシスト、 MARCO HIETALA、元STONEで現WALTARIのギタリスト、 ROOPE LATVALA、TO/DIE/FORのドラマー、TOMMI LILLMANと言う 構成で、ボーカリストのKIMBERLY GOSSを除けば皆本職のバンドを 持っていて、どの程度パーマネントなバンド活動を行っているのか 不明だが、TOMMI LILLMANはレコーディング後に既に脱退している 様だ。方向的にはこれまでの延長線上と言える、叙情的な メロディの、ドラマティックな正統派ヘヴィ・メタルと 言えるものだ。これまで以上にエモーショナルで楽曲には フックがあり、実に聴き応えのあるアルバムに仕上がっている、 ルックスはともかくとして、KIMBERLY GOSSのボーカルは パワフルで、板についてきた感じがある。ボーナス・トラックは IRON MAIDENのNumber Of The Beastをやっているが、ほぼ完コピと 言う感じだ。[86]
スウェーデンのプロジェクト・バンドのアルバム。 元MIDNIGHT SUNで現PETE SANDBERG'S JADEのボーカリスト、 PETE SANDBERG、MAJESTICのキーボード、RICHARD ANDERSON、 PETE SANDBERG'S JADEのギタリスト、BIRCH、DARKANE、MAJESTICの ドラマー、PETER WILDOER等によるバンドだ。北欧らしい叙情的な メロディを持ったヘヴィ・メタルだが、MIDNIGHT SUNや MAJESTICとはやや異なった音楽指向を見せている。どちらかと 言うと、DEEP PURPLE等の影響も見える、クラシカルで古典的な ハード・ロック的なエッセンスを今に持ちこんだ作品と 言えるだろう。こう言った憂いを帯びた叙情的でキャッチーな ヘヴィ・メタルでは、PETE SANDBERGのボーカルは相変わらず 素晴らしい。[84]
ノルウェイのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。 荒涼としたメロディとブラスト・ビートを前面に押し出した 作品で、まさに北欧ブラック・メタルと言える作品だ。 元EMPERRORのベーシスト、SAMOTHやドラマー、BARD FAUSTがゲスト 参加しているが、まさにEMPERRORの流れを汲むバンドと言って 良いだろう。荘厳さを醸し出すキーボードによる オーケストレーションは、より邪悪さと狂気を増しており、非常に 禍禍しいアルバムに仕上がっている。オーソドックスな北欧 ブラック・メタルであり、この手のものとしてはかなりレベルが 高いので、EMPERRORのファンならば十分満足出来るだろう。[83]
イギリスとドイツの混成プロジェクトのアルバム。元M.S.G、 PRAYING MANTISのボーカリスト、GARY BARDEN、元GILLANの ギタリスト、BERNIE TORME、元MADMAX、CASANOVAのボーカリスト、 MICHAEL VOSS、元RAINBOWのキーボード、DON AIREY等による プロジェクトだ。元々ボーカリストであるMICHAEL VOSSはここでは ベースを弾いており、ボーカルは全編GARY BARDENが取っている。 ボーカリストとしてはMICHAEL VOSSの方が遥かに上手いだけに、 聴く前は何故と言う気になるが、実際に聴いてみると GARY BARDENが素晴らしいボーカルを聴かせてくれている。 GARY BARDENも声域的に無理のない歌を歌えば、実は上手い ボーカリストで、今まで如何に彼に合っていない歌を 歌っていたかと言う事が如実に判る作品だ。プロデュースを MICHAEL VOSSがやっているだけあって、音楽的方向性は叙情的で キャッチーなハード・ロックを聴かせてくれている。全体的に 憂いが強く出ており、中々味わい深い作品に仕上がっている。 M.S.GのWalk The Stageを少しだけカバーしているのは 御愛嬌だろう。[85]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの3年振りの13thアルバム。この アルバムで一番注目されるのは、SAXONに移籍していたドラマーの FRITZ RANDOWの復帰もさる事ながら、やはりギタリスト、 TOM NAUMANNの復帰だろう。クリエイティヴ面でも大きな役割を 果たしていただけに、その音楽性は昔に帰った様に感じられる。 前作では非常にメロディアスな部分を重視していたのに対して、 今作ではより剛直でストレートなヘヴィ・メタルを 聴かせてくれている。オーソドックスなヘヴィ・メタルで、特に 目新しさもないし、ワン・パターンと言う気もしないではないが、 その気概は十分感じられる作品だ。[82]
ドイツのハード・ロック・バンドの2ndアルバム。元MADMAX、 CASANOVAのボーカリスト、MICHAEL VOSSを中心とした プロジェクトで、前作同様元M.S.G、PRAYING MANTISの ボーカリスト、GARY BARDEN、元GILLANのギタリスト、 BERNIE TORME、元RAINBOWのキーボード、DON AIREY等が 参加している。前回、ベースを弾いていたMICHAEL VOSSは今作では ギターを担当している前作で意外な実力者振りを見せた GARY BARDENのボーカルは今作も素晴らしいのだが、楽曲の 叙情性が後退した分、やや印象の希薄な アルバムになってしまっているのが残念だ。MICHAEL VOSSと GARY BARDENのコラボレートの妙が、今作では 活かされていないのが残念だ。[80]
アメリカのデス・メタル・バンドのライヴ盤。2002年に行われた アメリカでの公演の模様を収めたもので、同じツアーで撮られた DVDがカップリングされた2枚組となっている。 元CANNIBAL CORPSEのボーカリスト、CHRIS BARNESを中心とした バンドだが、基本的にはオールド・スタイルのスラッシュ・メタル 等がベースになっている。そこにデス・メタルらしい おどろおどろしい雰囲気を出して、中々格好が良いし、この 手のものとしては聴き易いと言えるだろう。音だけではあまり ライヴの熱気が感じられないのが少し残念だが、演奏自体は 悪くない。[80]
ブラジルのハード・ロック・バンドの2001年にリリースされた アルバム。一般的にブラジルと言うとANGRA以降の シンフォニック・メタルのブームを思い起こすが、このバンドは そう言った系統とは全く違うところにいる。アメリカのAOR系 ハード・ロックとも言うべき、洗練されたウェットながら爽快な ハード・ロックがまさしく合致する。派手さはないが、落ち着いた ポップな楽曲は飛び抜けた楽曲はないものの、情感が出ていて 平均的に良く出来ており、コーラスも厚くて聴き応えがある。 ブラジルだからと言って決して侮れないだけの出来である事は 間違いない。[82]