アメリカのハード・コア・バンドの1992年にリリースされた 7年振りの再結成ライヴ盤。CHEAP TIRCKの名ライヴ盤をもじった そのタイトルと裏腹に、1992年にアメリカで行った公演の模様を 収めたものだ。ANTHRAXのギタリスト、SCOTT IANとドラマー、 CHARLIE BENANTEを中心としたプロジェクト・バンドで、 元ANTHRAX、BRUTAL TRUTHのベーシスト、DAN LILKERと元M.O.D.の ボーカリスト、BILLY MILANOと言う布陣は前作と変わっていない。 THE BALLAD OF JIMI HENDRIX、THE BALLAD OF JIM MORRISON、 THE BALLAD OF FREDDIE MERCURYと言った、イントロだけ カバーすると言う馬鹿さ加減は如何にも彼等らしい。 冗談みたいなものだろうが、アップ・テンポでパンキッシュな 楽曲は勢いを感じさせてくれて、聴き応えはある。[80]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 7thアルバム。方向的にはこれまでのデスラッシュと言えるものの 延長線上で、ザクザクと切り刻むリフの非常にコアなサウンドに、 TOM ANGELRIPPERの今ならデス・ボイスと言える様な、強烈に 歪ませたボーカルがのってくる、何とも強烈な作品だ。昔は あまりに過激過ぎて中々受け入れられないところもあったが、 スラッシュ・メタル系のデス・メタル・バンドよりもずっと前に こう言うスタイルを築き上げていた訳で、そのスタイルを貫き 通している事は賞賛に値する。ギタリストはANDY BRINGSに 交代しているが、パワフルな演奏でエナジーの 感じられるものとなっている。[82]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1993年にリリースされた シングル。ドイツのポップ・ソングのカバーである タイトル・トラックに、新曲が2曲、レコーディングし 直したものが1曲の全4曲と言う構成になっている。 Aber Bitte Mit Shaneはかなりキャッチーなナンバーなので、 彼等がカバーしても元々のポップさが強く出ていて、彼等が 演奏するには違和感が感じられる。新曲のSodomizedとAbuseでは、 彼等としてはポップさを感じさせるナンバーで、普段 アルバムではやれない様な楽曲に挑戦しており、全体的にお遊び 的な作品と言って良いだろう。ドラマーは元LIVING DEATHの ATOMIC STELFに交代しており、切れ味の良いドラミングを 聴かせてくれている。[78]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2年振りの8thアルバム。方向的にはこれまでの延長線上とも言える コアなスラッシュ・メタルだが、より速く攻撃的な サウンドとなっており、更にデス・メタル的だと言って 良いだろう。ブラスト・ビートは使っていないが、高速リフで ノイジーな音作りのおかげで非常にブルータルなアルバムに 仕上がっている。このアルバムでは、とにかくこのANDY BRINGSの ギター・ノイズの凄まじさが激烈さを増すとともに、 インダストリアル・ロック的なイメージを与えている 部分がある。[80]
アメリカのドゥーム・メタル・バンドの1992年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には、ドゥーム・メタルの中でも CANDLEMASSの影響を強く受けた、様式美的なドラマティックさを 主体としたものと言えるだろう。全体的にスロー・テンポから ミドル・テンポにかけた、不気味さを漂わせたダークな重苦しい 楽曲が並んでいる。こう言った方向性なので、当然非常に呪術的な 雰囲気のする作品なのだが、CANDLEMASS程重苦しい アレンジになっておらず、この手の作品に多い重苦し過ぎると言う イメージが幾分解消されていると思う。CANDLEMASSの不気味な 香りを撒き散らしながらも、割と聴き易い作品に仕上げている事は 評価出来る。[85]
アメリカのブルーズ・ロック・バンドの1994年にリリースされた 2ndアルバム。方向的にはサザン・ロック的なエッセンスを強く 感じさせる、土臭いブルーズ・ロックをやっている。但し、彼等が 昔からのバンドと違うのは、こう言ったGREAT FULDEADや ALLMAN BROTHERS BANDの音楽を吸収しながらも、今風の オルタナティヴ・ロック的なモダンなロックをやっている 事だろう。ブルーズ・ロックとしてのグルーヴ感の感じられる熱い サウンドを聴かせながらも、モダンでクールな背反する一面も 見せてくれる、一種ミクスチャー・ロック的なアルバムと言って 良いだろう。[80]
アメリカのロック・バンドの1992年にリリースされたデビュー盤。 方向的には、ブルーズ系のロックンロールと言えるもので、 楽曲によってはFACESっぽさを感じさせる作品だ。JEFF WILSONの ハスキーなボーカルもROD STEWERTっぽさを感じさせるだけに 尚更だ。R&B的なミドル・テンポののりの良いサウンドで、 1970年代のブリティッシュ・ブルーズ・ロック的な、ソウルフルな ロックンロールを聴かせてくれている。これらかも判る通り、 指向的にはTHE BLACK CROWESと同じだけに、THE BLACK CROWES的な 感じをさせる部分も多いが、もっとストレートでファンキーな 作品と言って良いだろう。[80]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1988年にリリースされた デビュー盤。後にALICE IN CHAINS等と伴に、シアトル系と 言われる、ヘヴィ・ロック・シーンの中でもグランジ・ブームに 合わさって、独特のシーンを形成していたバンドの一つだ。特に シアトル系と言われるバンドの中では、もっともヘヴィで メタリックなサウンドを聴かせてくれていたと言って良いだろう。 後々、よりドゥーミィな方向性へと向っていくが、今作でも Beyond The Wheel等ではBLACK SABBATHの影響を感じさせる 楽曲があり、ヘヴィ・メタルのリスナーにも十分 訴えるものがあるだろう。とは言え、まだそのサウンドは 混沌としたものがあり、アルバムの完成度としてはお世辞にも 高いとは言えない。[80]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1989年にリリースされた 2ndアルバム。1990年代にグランジ、オルタナティヴ・ロックの 台頭と伴に、いわゆるシアトル系と言われて隆盛を誇ったバンドの 一つだが、それらのバンドの中でも最もヘヴィなバンドと言って 良いだろう。この作品はそんな彼等の中でも最もヘヴィな作品の 一つで、BLACK SABBATHの影響を受けながらも、シアトルらしい 陰鬱さを出した、無機質でグルーヴ感に溢れるアルバムに 仕上がっている。CHRIS CORNELLのエモーショナルなボーカルが、 こう言った雰囲気を倍化させ、混沌とした強烈なエナジーを 感じさせる。[81]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1991年にリリースされた 2年振りの3rdアルバム。日本人のベーシスト、HIRO YAMAMOTOが 脱退し、BEN SHEPHERDが加入している。彼等の出世作とも言える 作品で、これまでやや混沌としたダークでヘヴィなサウンドを 聴かせてくれていたが、今作ではよりソリッドでシンプルにした 作品となっている。特に混沌した部分は無くなり、随分と聴き 易くなった様に感じられ、シンプルなロックとドゥーム的な 色合いが、シアトル系と言われるバンドの中でも独特の味わいを 出している。特にJesus Christ Poseは圧巻で、名曲と言って良い 格好良さだ。[87]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの1994年にリリースされた 3年振りの4thアルバム。方向的には彼等の出世作となった前作の 延長線上と言えるもので、1970年代的なドゥーム・ロックの エッセンス溢れる作品だ。シアトル系らしいカオチックな陰鬱感は 作品毎に薄まっているが、オルタナティヴ・ロック的なダークさは 決して失われてはいない。前作と比べると、ややグルーヴ感は 減退しており、その分あっさりとした作品になってしまっている 様に感じられる。前作はJesus Christ Poseの様な、強烈な グルーヴ感を持った楽曲があっただけに一気に聴けてしまえたが、 この作品ではそれがない分だけやや散漫にも感じる。[84]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドのアルバム。ギタリストの TOM ANGELRIPPERを中心とする、ごりごりの ジャーマン・スラッシュ・メタルだ。TOM ANGELRIPPERの ボーカルは相変わらずデス・ボイスっぽい咆哮で破壊的で、かなり グラインド・コアがかっている上に、ボーカルもデスっぽいので、 あまり一般受けはしないだろう。とは言うもののボーカルは随分 聴き易くなったので、それほど拒否反応は起きないかも知れない。 しかし、それにしても一本調子であり、聴いてるのは結構大変だ。 悪い代物ではないし、破壊的なサウンドはそれなりに 認められるが、マニア向けでしかないと思う。[75]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドのライヴ盤。この手としては 知る人ぞ知るという感じのバンドだが、このライヴでもその 攻撃的なサウンドは相変わらずだ。方向的にはいわゆる デスラッシュとも言えるもので、ボーカルは相変わらず デス・ボイスと言っても良い位の唸るようなダミ声だ。 デス・メタルとまでは行かないだろうが好き嫌いが 分かれるところだと思う。その勢いとノリ、攻撃的なサウンドは ライヴでも良く生きており録音状態も良いが、観客の歓声が 妙に浮いた感じがして臨揚感が薄いところもある。[78]
ドイツのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドのアルバム。 シンフォニック・ロック的なエッセンスに溢れているが、その サウンドは初期MAGNUMや現在QUEENSRYCHE的な部分も感じられる。 派手な展開はないがそれなりにヘヴィでメロディックなので逆に ハード・ロック系統の人には聴き易いと思う。ただボーカルは軽い 声質なので、そこに違和感を感じるかもしれないし、流暢で聴き 流してしまうかも知れない。ハード・ロックというまでは ヘヴィではないかも知れないが、十分許容範囲に入るはずだ。 メロディは流麗で良く出来ており、今のRUSH的なセンスも伺える 作品だ。[85]
テキサスのドゥーム・メタル・バンドの2ndアルバム。全体的に ダークでミドル・テンポからスロー・テンポのヘヴィで沈んだ 楽曲が延々と続く。さらにROBERT LOWEの良く透るボーカルは 呪術的でおどろおどろしさを増していて独特の雰囲気を醸し 出している。BLACK SABBATHをより荘厳にしたような感じで、正に ドゥーミィと言った感じだ。楽曲は一本調子なのはいがめないが、 これがバンドのカラーだし、無理に変える必要もないだろう。 演奏も結構良いし正統派ドゥーム・メタルの中ではかなり ダークでレベルの高いアルバムではあるが、名作と言える 前作からすると残念ながら一歩も二歩も落ちる。[87]
アメリカのハード・ロック・バンドの5thアルバム。いわゆる シアトル系と言われるバンドの中では、最もヘヴィ・メタルよりの バンドの一つだが、BLACK SABBATH的なエッセンスを持った BADMOTORFINGERから比べると、徐々にそういう範疇に 収まらなくなってきた様に感じられる。グルーヴィーでうねった サウンドでヘヴィな部分を持つところは変わっていないのだが、 よりサイケデリックな要素が強くなり独自の世界を 作りあげていると言って良いだろう。その分、ヘヴィ・メタル側の リスナーには、少し辛い作品だと言えるかも知れない。[83]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドで1984年にリリースされた デビュー・ミニ・アルバムIN THE SIGN OF EVIL、1985年に リリースされた1stフルレンス・アルバムOBSESSED BY CRUELTYを レコーディングしなおしたもの、1987年にリリースされた ミニ・アルバムEXPURSE OF SODOMYをカップリングしたもの。 そのサウンドは現在のSODOMの原形たる部分は存在するものの、 スラッシィな部分はそれほど強くない。Introductionの様にリフが 中心となっている曲もあるが、むしろメロディがより はっきりしている曲の方が多い。IN THE SIGN OF EVILの 混沌としたダークさは強烈だ。[68]
ドイツのポンプ・ロック・バンドの2ndアルバム。なのだが、 かなりヘヴィ・メタル色の強い作品になっており、叙情的な ギター・メロディがかなり前面に押し出されている。 ポンプ・ロック的な優しいメロディで、ある意味では最近の QUEENSRYCHEという雰囲気もある。タイトル・トラックの間奏の キーボードとギターの絡みなど、緻密で美しく中々 聴きごたえがある。少し細く感じるが、透明感のあるボーカルや 美しい女性コーラスも清廉な叙情感を強めている。前作よりも 少し湿っぽさが加わっており、かなり ヘヴィになっているのだが、2作目が何故日本で 出なくなったのかは少し謎だ。割と 淡々としているところもあるが、ギターもエッヂが効いていて、 これだけヘヴィな作品ならメタル系の人も十分聴ける内容だ。 ポンプ・ロックとヘヴィ・メタルの融合的作品で、その出来の 良さもあいまって一聴の価値はあるだろう。[91]
アメリカのドゥーム・ハード・ロック・バンドが1978年に リリースした2枚組みのアルバムをCD化したもの。全体的に ヘヴィ・メタルというような金属的な雰囲気はなく、1970年代の ハード・ロック的な指向で,OZZY OSBOURNE在籍時の BLACK SABBATHに、アメリカ的なサイケデリックな雰囲気を 取り入れたものになっている。あまり重々しい雰囲気はなく、 いわゆるヘヴィ・ロックとも少し違う。所々ザクザクと 切り込んでくるリフはこの頃のバンドとしては結構画期的な 部分といっても良い。淡々と進む部分が多いし、ボーカルも ハード・ロックというような力強いものではないのだが、 結構味がある。[79]
ドイツのデス/スラッシュ・メタル・バンドの8thアルバム。 これまでの作品と比べると、よりメロディを強く打ち出した 作品になっており、デス・メタル的な色彩はTOM ANGELRIPPERの そのだみ声を除けばかなり希薄になっている。そのため SIMON & GARFUNKELのHazy Shade Of Winterをカバーしているが、 アルバムの内容からはそれ程かけ離れたものになっていない。 リフをザクザクと切り込んできて、攻撃的である事には 変わりないが、メロディを重視する事によってより聴きやすい 作品になっている事は確かだ。楽曲ので出来なども割と良く 出来ているし、パンキッシュなスラッシュ・メタルとしては 評価できる作品だ。[83]
イギリスのシンフォニック・ロック・バンドの5年ぶりの 3rdアルバム。ゆったりとした牧歌的風景の広がるサウンドは、 非常に心温まる優しさを感じる。EMMA BROWNの透き通った声が その雰囲気に非常にマッチしていて、情感溢れる作品に 仕上がっている。MARC ELTONのバイオリンの音色と意外と 露出の大きいANDY GLASSのギターが楽曲に非常に深みを 与えていて、出色の出来だと言って良い。落ち着いた 雰囲気がありながらも、楽曲にはそれなりにフックがあって、 出来は悪くない。ドラマーには元JETHRO TULLのCLIVE BUNKERが 参加している。[85]
アメリカのドゥーム・メタル・バンドSOLITUDE AETERNUSの ギタリストが主催するBrain Ticketから1995年にリリースされた アルバム。実際には大部分が1992年までに レコーディングされており、言わばお蔵入りに近かった作品だ。 背景から考えてもやはりドゥーム・メタルと言えるもので、 楽曲、演奏とも中々良い出来で、CANDLEMASS風のANDERS ENGBERGの ボーカルは中々強力だ。録音された時期が1989年から1995年までと 結構ばらばらな事もあってか、かなりドゥーミィなものもあるが それ程ドゥーム色を感じさせないものもある。RAINBOWの Stargazerをカバーしているが、バンドのカラーには少し そぐわない感じがしなくもない。[84]
フランスのヘヴィ・メタル・バンドで1983年にリリースされた デビュー盤で、5000枚限定で復刻CD化されたものだ。方向的には N.W.O.B.H.M.からの影響を感じさせる様な、叙情的で臭い哀愁の メロディのヘヴィ・メタルだ。録音状態もそれに見合った悪さで、 しょせんB級メタルの域を出るものではないのだが、割と ちゃんとしている展開に、疾走感のある楽曲は悪くないし、 1980年代B級メタル・ファンにはお奨めの一品だ。哀愁たっぷりの 扇情的なメロディはいかにもヨーロッパのバンドらしいものだ。 楽曲の完成度はともかく、パワーで押し切るだけのものはある。 [82]
フランスのヘヴィ・メタル・バンドで1984年にリリースされた 5000枚限定で復刻CD化されたアルバム。デビュー盤同様の N.W.O.B.H.M.からの影響を感じさせるような、ロックンロール調の 叙情的で臭い哀愁のメロディは相変わらずだ。プロダクションは、 デビュー盤に比べればかなり改善されたおり、アルバムの出来も 中々のものだ。B級臭さはともかく、疾走感があり哀愁たっぷりの 扇情的なメロディは結構評価できる。この手のN.W.O.B.H.M.の 影響を受けたヨーロッパのバンドの作品としては非常に出来が 良く、勢いとのりを十分感じさせてくれるアルバムに 仕上がっている。[85]
ブラジルが誇るスラッシュ・メタル・バンド、SEPULTURAの元 ボーカリスト、MAX CAVALERA率いる新バンドの1stアルバム。 方向的には脱退前のSEPLTURAの音楽性をそのまま踏襲しており、 ROOTSの頃が好きだと言う人にはおあつらえ向きの作品と言って 良いだろう。民族音楽的なパーカッションを入れたそれはまさしく そのもので、あの奇妙な調和を醸し出している。FEAR FACTORY等と 言ったヘヴィ・バンド達もゲストとして参加しており、 アンビエント・ダブ的な味付けをしていたりと色々な 試みもされている。SEPULTURA二対してスラッシュ的な 色合いよりもヘヴィネス的な色合いを強く出しており、全体的な 出来も申し分ない。[87]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドのデビュー 盤。方向的には明らかにARCH ENEMY的なサウンドで、彼等の新作と 言っても信用しそうな完成度を持っている。バックは 言わずもがなのスラッシュ・メタルで、ブルータルで攻撃的な サウンドは実に格好良いし、メロディもきちんとしているのは 非常に好感が持てる。あまりにARCH ENEMY的で、彼等の影響が見え 過ぎてオリジナリティ的には疑問符を付けざるを得ないが、楽曲、 演奏とも非常に良く出来ているのも確かだ。SPEED STRIDの ボーカルもかなり強烈で破壊力がある。 ボーナス・トラックとして、DEEP PURPLEのBurrnをやっているが、 逆にこのデス・ボイスではきつい。ここではむしろ、女性 コーラスの方に耳が行くし、ドラムのブラスト・ビートの方が 面白い。[86]
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。とは 言ってもメンバーは、元SWEDISH EROTICA、TREAT、 YNGWIE MALMSTEENのMATS LEVEN、元EUROPE、CLOCKWISEの JOHN LEVEN、元YNGWIE MALMSTEEN、TALISMANのFREDRIK AKESSON、 元IT'S ALIVE、SORCERERのRICHARD EVENSANDと言った層々たる メンバーによって結成されている。方向的にはこういった バンドとは方向性が異なり、緊迫感の漂うヘヴィでグルーヴィな サウンドに仕上がっている。ザクザクと圧迫感のあるリフを刻み 込んで来る辺りは迫力があって良い。メンバーの経歴から キャッチーさや哀愁を求めるなら外すだろうが。[83]
SEPULTURAの元ボーカリスト、MAX CAVALERA率いるブラジルの スラッシュ・メタル・バンドの来日記念シングル。 シングル・カット曲のタイトル・トラックにライヴが3曲、 Quilombo、Soulflyのミックス違いが2曲の計6曲 入りとなっている。OuilomboのZumbi Dub Mixは、彼らしい非常に トライバルに仕上げたミックスだ。No Hope=No Fear、Bumb、 Quilomboのライヴの出来も、パワフルでエナジーに溢れており、 非常に良い出来だ。SoulflyのEternal Spirit Mixは壮大で耽美な 中にトライバル色を入れた、アルバムより味わいのある ミックスだ。[83]
アメリカのハード・コア・プロジェクトの14年振りの 2ndアルバム。ANTHRAXのIAN SCOTT、CHALIE BENANTE、元ANTHRAXの DAN LILKERと言うANTHRAX組にM.O.D.のBILLY MILANOによる プロジェクトだ。疾走する如何にもと言った感じの ハード・コア・パンクで、スラッシュ・メタル系のリスナーにも 十分聴ける作品のはずだ。しかし、1stの様な圧倒的な破天荒さが 感じられず、年を食って丸くなった様な印象すらするのは いかんともし難い。BILLY MILANOのボーカルは相変わらず強烈で 素晴らしいだけに、もっとはめを外せば良かったのにと思える。 [80]
ハンガリーの伝説的なシンフォニック・ロック・バンドの 9年振りとなる3rdアルバム。ノストラダムスの予言書を テーマにした組曲で、彼等らしい非常に壮大なアルバムに 仕上がっている。叙情的なメロディのシンフォニック・ロックで、 聴きごたえの非常にある作品だ。ERDESZ ROBERTのキーボードと KOLLAR ATTILAのフルートが、壮大でスペイシーな雰囲気を作り 上げている。BOGDAN CSABAのギター・ソロは、メタル系の リスナーにも訴えるものはあるだろう。美し、叙情的でダークな 世界は独特のものがあり、静寂感のある長めの楽曲が多いが、 ドラマティックで決して飽きさせない。[88]
元TESLAのBRIAN WHEAT、元UFOのTOMMY McCLENDON等によって 結成された、アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤、 IN SUPER HI-FI SOUNDをメジャー・レーベルから内容を幾分 変更し、タイトル、ジャケットも新たにして 再リリースされたもの。元のものより、The Dazzer、 Get Off The Pipe、Blind、Planet Girl、Super Modelの バージョン違いが削られ、新たにOmega Son、Fallen、 Touch Of Strange、Diary Of Nobody、Technicolor Dreamが付け 加えられている。方向的にモダンな感じのする、ヘヴィで グルーヴィなサウンドで、TESLAの音楽性とは全く違うものだ。 しかし、楽曲の出来は良いし、全体的なクオリティは非常に 高いし、ハード・ロックらしい面影を十分残していて、中々良い 作品だ。[84]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 2ndアルバム。方向的には、かなりスラッシィなサウンドの デス・メタルだが、AT THE GATES等と趣を異にしているのは、時に 非常にメロディアスなメロディとギター・ソロを差し挟んで 来るところだろう。かなり速いブルータルなサウンドが、叙情的な 泣きのメロディに切り替わる一種圧巻だが、展開や流れが今一つに 思えるところもあって、まだ消化しきれていない様に感じられる。 そのため、楽曲によっては混沌としていて、アレンジ面で弱さを 見せる事があるのは残念だ。しかし、アイデアやメロディに対する レベルの高さは、凡百のバンドより遥か高みに達しており、この 辺りが改善されればかなり素晴らしい作品になるだろう。[84]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの1989年にリリースされた 3rdアルバム。その後の作品と比べると、全体的にやや聴き 易い様な気もするが、畳み掛けるようなリフの攻撃的な スラッシュ・メタルと言う基本的なスタイルはこの作品でも 変わりない。TOM ANGELRIPPERの歪ませたボーカルも、 楽曲によってはまだ結構聴き易い感じがありそれ程 デス・ボイスっぽくはない部分もある。非常にコアなサウンドで、 硬派なスラッシュ・メタルを望むならおあつらえ向きのバンドだ。 楽曲の出来は悪くないし、ブルータル・デス・メタル系と言う程 聴き難くもない。[83]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの8thアルバム。いわゆる デスラッシュと呼ばれる様なサウンドだが、今作での充実度は 凄まじい限りだ。TOM ANGELRIPPERのボーカルも、今までは ちょっと聴き難いと言う感じがあったのだが、今作では楽曲に 非常にマッチしている様に感じられる。BERNEMANNの醸し出す、 ギター・リフとメロディは、非常に良く練り込まれていて良く 出来ているし、楽曲自体に展開もあって決して 単調にはなっていない。アルバムから溢れ出すエナジーも 素晴らしく、渾然とした力を感じさせてくれる。彼等にとって、 最高傑作と言って良い仕上がりで、これほど素晴らしいアルバムを 作って来るとははっきり言って思わなかった。[89]
セガのゲーム、SONIC ADVENTUREやDEYTONA USAで、ERIC MARTIN、 TONY HARNELL、JOHNNY GIOELI等と競演したことで名前を知られる 様になった、日本人ギタリスト、瀬上純と元HARDLINEの JOHNNY GIOELIによるプロジェクト・アルバム。ベースには LOUDNESSの柴田直人、ドラマーは同じくLOUDNESSの本間大嗣が 参加している。楽曲は全て瀬上純が書いており、方向的には ゲーム・ミュージックの方でも聴かれる、軽快な アメリカン・ハード・ロックと言ったところだ。キャッチーな メロディにのりの良い疾走感溢れるサウンドで、JOHNNY GIOELIの パワフルなボーカルが良く合っていて、中々格好の良いアルバムに 仕上がっている。[83]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。北欧 メタルらしい叙情的で流麗なメロディの美しいヘヴィ・メタルだ。 方向的にはネオ・クラシカルと言って良いと思うし、Blank File 等は、ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスも感じるので、 STRATOVARIUSっぽくもあるが、それ程大仰な感じはせず、むしろ 自然に消化されている感じだ。メロディの 出来はたいしたものだし、疾走感もあってそれなりにフックも 感じられるので聴きごたえはある。デビュー盤としてはかなりの 完成度と言えるだけの作品だが、全体的にそつなく作り過ぎていて 目新しさは感じられない。[85]
ドイツのシンフォニック・ロック・バンドの3rdアルバム。 前作では、かなりヘヴィ・メタル色の濃い作品作りとなっており、 QUEENSRYCHEをシンフォニック・ロック風に仕上げた、独特の 色合いを感じさせるアルバムだった。今作でもその方向性は引き 継がれており、ヘヴィ・メタル色の強いギター・メロディを 聴かせてくれているが、QUEENSRYCHE的な色合いはやや減退し、 演奏面を除けばデビュー盤の頃に揺り戻したと言う感じだ。 ヘヴィ・メタル系のリスナーからすると、やや焦点のぼやけた様な 作品で、ドラマティックさは残っているが、それが却ってあざとい 感じがする。[79]
スウェーデンのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。 元GREAT KING RATTのベーシスト、ANDERS FASTADER、元FORTUNEの ギタリスト、HENRIK BERGUVIST、同じく元のFORTUNEドラマー、 SEBASTIAN SIPPOLAと言ったメンバーで構成されている。 方向的にはメンバーからはあまり想像出来ないかも知れないが、 いわゆるドゥーム・ロック、ストーナー・ロックと 言われるものだ。グルーヴィで骨太で、サイケデリックさも 感じられる、如何にもと言った感じのアルバムに仕上がっている。 ただ、割とストレートな感じがするところがあって、それ程極端に 歪ませたと言う感じもしないので、割とMONSTER MAGNET辺りに近い 印象を受ける。楽曲、演奏、プロダクションとも良く出来ており、 中々聴き応えのある作品だ。[87]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのミニ・アルバム。 尺的には40分近くあり、実質アルバムと言ってしまっても 良いだろう。新作の発表までの繋ぎ的な企画盤的作品で、 Full Moonのバージョン違いにカバーが2曲、新曲2曲、ライヴが 4曲と言う構成になっている。SCORPIONSのカバー、 Still Loving Youは、源曲が静かなバラードであったのに対して、 パワー・メタル風にアレンジされている。HELLOWEENのカバー、 I Want Youは、源曲ほど灰汁がなく、あっさりとした感じの 仕上がりだ。新曲のSan SebastianはSTRATOVARIUS系の中々の 佳曲だし、バラードのShyも憂いがあって悪くない。ライヴの 出来もプロダクションは別として、意外と悪くなくて演奏力は 十分ある。[86]
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの2ndアルバム。SEPULTURA 時代からMAX CAVALERAが追求してきた音楽性を更に突き 詰めたもので、トライバル色を強めたそのヘヴィネスなサウンドは 凄まじいの一語に尽きる。混沌としたサウンドにムランボと言った 民族楽器を持ち込んで、独自のスタイルを貫きながらも整合感は 失われず、その完成度の高さには驚かされるばかりだ。 Son Songでは、何とSEAN LENNONがメイン・ボーカルを 取っているが、それ程大きく違和感を感じさせない。それは ヘヴィネス一辺倒と言う感じではなく、混沌とした雰囲気を 失わずに緩急をつけているからだろう。非常にエナジーを 感じさせる作品で、早くも彼等の最高傑作と言える様なアルバムに 仕上がっている。[91]
イギリスのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。クレジットが ほとんどなく、いつどこで取られたものか全く判らないが、 音質がかなり酷い事を考えればN.W.O.B.H.M.当時の音源である事は 間違いないだろう。見た限りでは、どう考えても ブートレグなのだが、実際にはどうなのか判らない。音楽的には ロックンロールを基調とした哀愁のメロディと、如何にも N.W.O.B.H.M.と言った感じの楽曲で、N.W.O.B.H.M.のファンには 訴えるものが大きいだろう。バラードのLost In Timeの泣きの メロディ等は、非常に哀愁感が漂っている。とは言え、 N.W.O.B.H.M.のファン以外には、このチープなプロダクションと B級臭さはあまり受け付けられないだろう。[87]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 3rdアルバム。方向的にはこれまでの延長線上と言えるもので、 スラッシュ・メタルを基盤としながらも、メロディアスな ギター・ソロを聴かせてくれている。完成度はこれまでの作品と 比べ、プロダクション、楽曲とも非常に高くなっており、進歩の 跡が伺える。ARCH ENEMYの亜流と言う感じもあったが、最早そう 言うレベルに止まらないだけの質の高さを誇っている。非常に アグレッシヴで攻撃的なサウンドは、これぞ正にヘヴィ・メタルと 言うに相応しい。BJORN "SPEED" STRIDのボーカルも エモーショナルで、デス・ボイスと言うほどでもないので、 デス・ボイスはちょっとと言う人でも自然に聴けるはずだ。[90]
ドイツのハード・ロック・バンド、FAIR WARNINGのボーカリスト、 TOMMY HEART率いるバンドのデビュー盤。方向的にはブルージィで 叙情的なハード・ロックンロールと言えるもので、 FAIR WARNINGっぽさを感じさせるところもあるが、どちらかと 言うとよりアメリカナイズされた作品と言って良いだろう。 もちろんヨーロッパ的な部分も感じられるのだが、どちらかと 言うとLAメタル期にいた、叙情的なメロディのバンドと言った 感じがする。ハード・ロックンロールらしいのりの良さがあって、 ドライヴ感が感じられる。FAIR WARNINGのファンならもう少し 憂いが欲しいところかも知れないが、出来は中々素晴らしい。[85]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。前作では デビュー盤とは思えない程の高い完成度を示して好評を得たが、 今作もそれに劣らず完成度の高さを見せ付けてくれている。 方向的には前作の延長線上とも言える、STRATOVARIUS等に 代表される、ジャーマン・パワー・メタルのドラマティックな エッセンスを取り入れた、叙情的なメロディを押し出した北欧 メタルだ。前作ではやや作り過ぎと言う感じも受け、今一つ のりきれないところもあったのだが、前作よりはエッヂが 立っていてフックが増したのが良い結果になっている。 STRATOVARIUSの系統としては、本家を上回る出来で、この手の 作品が好きならば聴いて決して損はしない。[87]
アメリカのグラインド・コア・バンドの3rdアルバム。方向的には いわゆるブラスト・ビートを用いたブルータリティな グラインド・コアらしいものだが、ここにドゥーム・ロック的な グルーヴ感を持ち込んでいる事がこのバンドの ユニークなところだろう。変則的な部分も伺える非常に攻撃的な 作品で、アグレッションの効いたスラッジなアルバムに 仕上がっている。メロディは幾分キャッチーな部分も 入れているし、グルーヴィなのりの良さもところどころ 感じるのだが、テクニカルでブルータリティなので一概に聴き 易いとも言えないところだ。[80]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのミニ・アルバム。 シングル・カット曲のBlack SheepにECLIPTICAの ボーナス・トラックとして納められていたMaryーLouの アコースティック・バージョン、BETTE MIDLERのカバー曲、 The Wind Beneath My Wings、IRON MAIDENのカバー曲、 Die With Your Boots Onの全4曲と言う構成になっている。 The Wind Beneath My Wingsは彼等らしい、爽やかで叙情的な ハード・ポップ・チューンに仕上げられていて、彼等らしさの 感じられるカバーだ。Die With Your Boots Onは当然と言うか、 彼等の音楽性に合っておらず、これをカバーした意義が良く 判らない。[78]
アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの3年振りとなる2ndアルバム。 ここ最近、アメリカでは主流となりつつある、モダンな ヘヴィ・ロック・バンドの一つだが、その中でもかなりヘヴィで ユニークなバンドだ。グルーヴ感たっぷりのリフと、意外に キャッチーなメロディを聴かせてくれており、聴き易い割には 聴き応えのあるアルバムに仕上がっていると言って良いだろう。 Breaking Me Downでの印象的なメロディ・ラインや、Haloでの 豪放でヘヴィなサウンドは注目に値するだろう。楽曲によっては ややポップ過ぎる気もするが、その方が一般受けはするかも 知れない。[82]
日本のヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。SACRIFICEの ボーカリスト、杉内哲、ベーシスト、西田亨らによるバンドだが、 音楽的にはSACRIFICEよりもっと正統派のオーソドックスな ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルと言って良いだろう。 疾走感のあるややスラッシィな様式美系のヘヴィ・メタルで、 楽曲は中々格好良くて十分評価出来る。ドラマティックな メロディと攻撃的なリフを聴かせてくれるギターが印象的だ。 プロダクション的には今一つと言う感があるが、生々しい 音作りなので彼等の持ち味は良く出ているだろう。杉内哲の吐き 捨て型のボーカルは、この手のものをやるには少し合っていない 様に感じられる。特にVirtual Imageでの乖離具合は、楽曲が 良いだけにより一層強調されている。[82]
ノルウェイのヘヴィ・メタル・バンドの復活第1弾となる、 11年振りの2ndアルバム。ボーカリストのSOLLIは、元THIN LIZZYの ギタリスト、SCOTT GORHAM率いる21 GUNSやIRON MAIDENの ギタリスト、ADRIAN SMITH率いるPSYCHO MOTELで歌っていたりする 事で知っている人も多いだろう。北欧的な叙情的で洗練された メロディも見え隠れするが、どちらかと言うとアメリカ的な メロディアス・ハード・ロックと言った色合いの方が強い様な 気がする音楽性だ。これと言った飛び抜けた楽曲は 残念ながらないが、全体的にレベルも高いし、良く出来た 作品である事は間違いない。[80]
ドイツのスラッシュ・メタル・バンドの3年振りの9thアルバム。 重厚なリフを主体としたデスラッシュで、CODE REDではそれまでと 比べて格段に安定感とまとまりのある作品になっていたが、この アルバムもそのクオリティを保っていると言って良いだろう。 彼等らしい攻撃的なリフの破天荒な楽曲で、より完成度を増した 凄みを感じさせる。TOM ANGELRIPPERの歪ませたボーカルも、 デス・メタルがこれだけ広まった時代ではそれ程聴き 辛くはないし、むしろ破壊力を出しながらも、ある程度聴き易さを 考えると丁度良い位だ。スラッシュ・メタル不毛の時代において、 その攻撃性を保ちながらも完成度の高い稀有なアルバムだ。[87]
フィンランドのブラック・メタル・バンドの5thアルバム。簡単に 言ってしまえば、オーケストレーションを用いた シンフォニック・ブラック・メタルなのだが、単純にそれで 済ませられない程ユニークな作品だ。女性ボーカリスト、 MS W.LILITHによるクリア・ボイス等で、ゴシック・メタル的な 流麗さを見せると思えば、ブラック・メタルらしい ブラスト・ビートも見られるし、モダン・ヘヴィネス的なグルーヴ 感を打ち出して来たりする。混沌とした構成は狂気に満ちていて、 ブラック・メタルらしい荒涼さを感じさせる、プログレッシヴで 奇想天外なアルバムと言って良いだろう。[80]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのライヴ盤。2001年に 行われた日本での公演の模様を収めたもので、アルバム未収録曲と ライヴを収録したボーナスCDを付けた2枚組と言う 構成になっている。スタジオ盤等では、良くも悪くも整い 過ぎていると言う印象を受けたが、このライヴではエナジーが 溢れていて意外と聴き応えがある。会場の熱気も伝わって来て、 ライヴらしい盛り上がりの感じられる、臨場感の良く出ている 作品だ。まだ新人と言って良い段階でライヴ盤を出す事の可否は ともかくとして、こう言うアルバムを聴いているとライヴに 行きたくなる。[85]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 4thアルバム。このアルバムで何と言っても興味を引くのは、 プロデューサーで、元VAIのボーカリストで、ギタリストとしても ソロやSTRAPPING YOUNG LAD等、様々な活動を行っている奇才、 DEVIN TOWNSENDが担当している。特にその効果が良く出ているのが As We Speakで、DEVIN TOWNSENDらしいオーバー・ダブを駆使した 分厚いコーラスが印象的だ。前作でそのスタイルの完成を見たと 言って良い程アルバムだったが、更に進化を目指している姿勢が 感じられる。クリア・ボイスのコーラスがゴシック・メタル的な 雰囲気をもたらしているため、これまでのファンには戸惑いを 覚えるところだろうが。[88]
カナダのドゥーム・メタル・バンドの2001年にリリースされた 3rdアルバム。この手のものとしてはこれ以上ないと言う位 スロー・テンポのドゥーム・メタルで、ELECTRIC WIZARDやSLEEPと 言ったバンドの流れを汲むアルバムだ。ここまでダウナーな サウンドだと、流石にこの手のものが好きでないと聴くのは 苦しいかも知れないが、非常に圧迫感を感じる息苦しいまでの ドゥーミィなサウンドは、伝統的なブリティッシュ・ドゥーム的な メロディとリフも相俟って、圧倒的な存在感を見せて迫ってくる。 スペイシーな色合いもあり、ELECTRIC WIZARDのファンならば、 聴いて決して損はない。[85]
ブラジルのスラッシュ・メタル・バンドの2年振りの3rdアルバム。 SEPULTURAのボーカリスト、MAX CAVALERAを中心としたバンドで、 現在、隆盛を極めるラウド・ロック、ヘヴィ・ロックの魁とも 言えるバンドだ。これまで同様、SEPULTURA在籍時からの流れを 汲む、トライバル的なエッセンスを取り入れ、独特の風味を 出しているのは変わりない。ブルータルさも醸し出し、攻撃的な リフは破壊力がある。とは言え、ここ最近に関すれば 目新しさもないので、今一つマンネリに陥りがちで、刺激が 足りない気がしないでもない。それでも、この手の作品としては かなりの完成度を誇るのは確かだ。[85]
ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。元FAIR WANINGの ボーカリスト、TOMMY HEARTによるバンドだ。方向的には前作の 延長線上と言えるもので、FAIR WARNINGの様な叙情的なメロディは あまり押し出さず、ロックンロールを基調とした アメリカナイズされたハード・ロックと言って良いだろう。それ 故、どちらかと言うとGOTTHARDっぽさを感じさせるものがある。 前作同様、Waitinを除き、元AUTOGRAPHのボーカリスト、 STEVE PLUNKETTと供作している辺りも、そう言った方向性に大きく 影響しているのかも知れない。とは言え、TOMMY HEARTの ボーカルは相変わらず素晴らしいし、アルバムのクオリティが 高いのも確かだ。[84]
フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの3rdアルバム。 方向的にはSTRATOVARIUSの流れを汲む、北欧的なメロディを 活かしながらも、シンフォニックなパワー・メタル的な エッセンスを持ち込んだヘヴィ・メタルと言えるだろう。非常に ドラマティックでメロディも美しく、楽曲の完成度はこれまで 以上に高い。キャッチーなメロディは耳馴染みが良く、Tha Cageの さび等素晴らしい。これまでは良く出来たアルバム的な印象しか 受けなかったのだが、一つ高い段階に進んだと言って良いだろう。 バラードを挟んでアルバムの流れに変化を入れていて、聴き 飽きさせない様にしているのも良い。[88]
スウェーデンのメロディック・デス・メタル・バンドの 5thアルバム。前作当たりから、クリア・ボイスの厚いコーラスを 使ったり、よりメロディアスでキャッチーな方向へと 向かっていたが、今作ではそれを更に推し進めたと言って 良いだろう。非常にポップで聴き易く、前作でDEVIN TOWNSENDが プロデュースしたのを上手く昇華して、サンプリング等上手く 使いながら、更なる段階へとバンドを引き上げたと言って良い。 IN FLAMESがその方向性を発散させてしまったり、SENTENCEDが デス・メタルと言う場所から離れてしまったのに対して、見事に それを進化させる事が出来たと言って良い。[89]