EVERY BEAT OF MY HEART / STAN BUSH

アメリカ人シンガー・ソング・ライターの1993年にリリースされた 10年振りとなる2ndソロ・アルバム。方向的には、如何にも 1980年代のアメリカらしい、産業ロックとも言うべき ロック・アルバムだ。爽快でキャッチーなメロディは中々良く 出来ているが、現代のロック・シーンではアナクロとも時代 遅れとも言えるものかも知れない。しかし、古き良き アメリカン・ロックを見事に体現しており、楽曲の出来や プロダクションは素晴らしい。プロデュースは彼自身の他、 JIM VALLANCEやJOURNEYのJONATHAN CAIN、AXEのBOBBY BARTH等が 行っている。[82]

DIAL 818 888ー8638 / STAN BUSH

アメリカ人シンガー・ソング・ライターの1994年にリリースされた 3rdソロ・アルバム。方向的には前作の延長線上と言える、 1980年代のアメリカン・ロックらしい、洗練されたキャッチーで ポップなアルバムと言って良いだろう。オルタナティブ・ロック、 グランジ全盛の時期だけに、こう言う作品はあまりアメリカでは 受けなかったが、逆に新鮮で懐かしい気がする。都会的で アダルトなフィーリングに溢れており、メロディも叙情的で楽曲の 出来も中々良い出来だ。彼のソウルフルでエモーショナルな ボーカルが、楽曲の雰囲気をより盛り上げていて、聴き 応えもある。[82]

STARZ / STARZ

アメリカのハード・ロック・バンドの1976年にリリースされた デビュー盤。音楽的には、KISSやAEROSMITHと言った、この頃の アメリカのハード・ロック・シーンを引っ張っていたバンドの 影響が感じられるハード・ロックンロールと言って良いだろう。 ミドル・テンポ中心の軽快なハード・ロックだが、如何にも 1970年代的な古めかしさを感じさせる楽曲に、シンプルな サウンドは、今のヘヴィ・メタルのファンには馴染み難いかも 知れないが、出来自体は悪くない。初期からのKISSの ファンならば、それ程違和感なく楽しめるアルバムだと思う。[80]

VIOLATION / STARZ

アメリカのハード・ロック・バンドの1977年にリリースされた 2ndアルバム。前作ではロックンロール色の強いハード・ロックを 聴かせてくれていたが、今作ではかなりポップ色が 強くなっていると言って良いだろう。特にCherry Babyでの甘い メロディ等には、そう言うところが顕著だと言って良いだろう。 もちろん前作の延長線上であるハード・ロックらしい 楽曲もあるが、元々シンプルなナンバーであるだけに、それ程 ハードな感じは受けない。とは言え、楽曲の出来も悪くないし、 MICHAEL LEE SMITHのやや高めの透ったボーカルが、より味わいを 出していて、1970年代のアメリカン・ハード・ロックらしい 作品だ。[82]

STEELER / STEELER

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1983年にリリースされた デビュー盤。LIONのドラマー、MARK EDWARDS、KEELの ボーカリスト、RON KEEL、ALCATRAZZやソロとして有名な ギタリスト、YNGWIE MALMSTEEN、RIK FOX'S SINのベーシスト、 RIK FOXと、解散した後にそれぞれ活躍する、今から見れば スーパー・バンドと言えるバンドだった。方向的にはアメリカ的な コーマシャル性を持った、L.A.メタルの流れを汲む ヘヴィ・メタルと言える作品だ。やや憂いを含んだメロディの 楽曲で、その後KEELに受け継がれていく音楽性だけに、 曲作りにおけるイニシャティブはRON KEELが握っていたのだろう。 YNGWIE MALMSTEENらしいプレイも随所に見られるが、楽曲自体には ネオ・クラシカル的な色合いはない。プロダクション的には 今一つと言う感じだが、楽曲自体は悪くないし、RON KEELや YNGWIE MALMSTEENの昔若かりし頃の作品として、KEELが好きならば 聴いて損はないだろう。[82]

STEELHEART / STEELHEART

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1990年にリリースされた デビュー盤。方向的には憂いを含んだ、叙情的なメロディの ヘヴィ・メタルで、どちらかと言うとヨーロッパのバンド的な エッセンスを感じる作品だ。しかし、そこにアメリカらしい 洗練された都会的な雰囲気を持ちこんでおり、洒落た感じの アルバムに仕上がっている。この作品のハイライトは、何と 言ってもバラードのShe's Goneで、非常に哀愁の強いメロディは 涙を誘うほど美しい。ヘヴィ・メタル史上における、バラードの 傑作とも言える楽曲で、これを聴くだけでもその 価値はあるだろう。他の楽曲も悪くないのだが、この曲が余りにも 素晴らし過ぎて霞んでしまっている感じすらする位だ。逆にこの 曲の幻想が強過ぎて、以降このバンドが苦戦する事になるのは 皮肉だ。[88]

TANGLED IN REINS / STEELHEART

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 2年振りの2ndアルバム。シングル・ヒットとなった I'll Never Let You Goや、名曲、She's Goneと言ったバラードを フューチャーして成功した、デビュー作に続く作品だが、前作で あまりにもバラードに焦点が当たり過ぎたのを意識したのか、 基本的にヘヴィな楽曲が中心となっている。それでも Mama Don't Cryと言ったI'll Never Let You Go的な楽曲を 入れている。前作であったヨーロッパ的な叙情性も減退しており、 全体的にアメリカのバンドらしい洗練された部分が前面に押し 出されているが、その分バラエティに欠けた様に感じられる。[81]

DESPERATE YEARS / ST.ELMO'S FIRE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3rdアルバム。方向的にはアメリカのバンドらしい、ワイルドな ヘヴィ・メタルで、グラマラスな感じのするサウンドが特徴的と 言えるだろう。やや憂いを含んだ叙情的なメロディもあり、 一本調子になりそうな作品でありながら、以外と表情が 豊かになっている。Without Youは爽やかなバラードで、 悪くない楽曲だがアルバムの流れとしてはやや違和感を感じる。 ややB級臭さは感じるものの、全体的にパワフルなのりが良く、 ZANE LAZARのボーカルはオーセンティックで、聴き応えのある アルバムに仕上がっている。[82]

FOR THE LOVE OF STRANGE MEDICINE / STEVE PERRY

元JOURNEYのアメリカ人ボーカリストによる1994年に リリースされた10年振りの2ndソロ・アルバム。JOURNEYでの最後の 作品となったRAISED ON RADIOからも実に8年と言う月日が 流れており、正に久々の復活と言える作品だ。CLIF MAGNESS等が 楽曲作りに参加しており、爽やかで叙情的なアメリカン・ロック 作品に仕上がっている。彼らしい透った美しいボーカルが 映えており、如何にも彼らしいアルバムと言って良いだろう。 但し、全体的に楽曲は良く出来ているが、Oh Sherrieの様な シングル向けと言う曲がこれと言ってなく、やや盛り上がりに 欠ける感じがするのが残念だ。[81]

MY ATTITUDE / STEVE PLUNKETT

元AUTOGRAPHのアメリカ人ボーカリストによる1991年に リリースされた初のソロ・アルバム。楽曲的には、明るくポップで 爽やかな叙情派ヘヴィ・メタルで、AUTOGRAPHでの音楽性を そのまま引き継いだものと言えるだろう。基本的にはキーボードを 除いて大分を彼が一人でこなしており、マルチ・ミュージシャン 振りを見せている。目新しさも、飛び抜けた楽曲もこれと 言ってないが、安定していて出来は悪くない。ゲストとして AUTOGRAPH時代の盟友、ギタリストのSTEVE LYNCHやSTEVEN ISHAMも 参加しており、サウンド的にもそう言った 感じのするところがあると言って良いだろう。他にも DEF LEPPARDのギタリスト、VIVIAN CAMPBELLが参加している。[80]

PASSION AND WARFARE / STEVE VAI

元FRANK ZAPPA BAND、ALCATRAZZ、DAVE LEE ROTH BAND、 WHITESNAKEのアメリカ人ギタリストによる、1990年に リリースされた6年振りとなる2ndソロ・アルバム。テクニカルな ギタリストとして、今では知らぬ人がいない程有名な ギタリストだが、その彼らしい如何にもテクニカルなプレイを 聴かせてくれている。いわゆるギター・インストルゥーメンタルと 言うやつだが、喋るギターと言った、テクニカルでありながら遊び 心のある作品に仕上がっている。JOE SATRIANI等に通ずる、 アメリカらしい明るく爽快なギター・アルバムに仕上がっており、 楽曲単体でも十分楽しめる作品に仕上がっている。[82]

THE ELECTRIC POW WOW / STEVIE SALAS

アメリカ人ギタリストの1993年にリリースされたソロ・アルバム。 オリジナルも取り混ぜたカバー・アルバムで、昔懐かしい ロック・アルバムとなっている。オルタナティヴ・ロックや グランジ全盛の時代において、そのアンチ・テーゼとも言える 作品だろう。1960年代から1970年代にかけての楽曲を、当時の 雰囲気を残しながらカバーしており、オリジナルも昔ながらの ブルージィなロックを聴かせてくれている。RICHIE KOTZEN、 ZAKK WYLDE、GLENN HUGHES、MATT SORUM、PHIL SOUSSAN、 RANDY CASTILLO、TERENCE TRENT D'ARBY等々の多彩なゲストが 参加している。[80]

NO ANAESTHESIA PLUS MORE / STONE

フィンランドのスラッシュ・メタル・バンドの1989年に リリースされた2ndアルバム。デビュー盤から ボーナス・トラックとして7曲追加収録されている。方向的には 割とメロディを押し出したスラッシュ・メタルで、テンポを 感じさせるリフではあるが、スラッシュ・メタルとしてはそれ程 ヘヴィさは感じさせるものではない。但し、楽曲自体はダークで シアトリカルで緊迫感を持っており、決して軽いと言う様な 作品にはなっていない。EUROPEのFinal Countdownのイントロ 部分だけカバーしているが、完全に源曲を潰して下手に 演奏しているところが面白い。[80]

COLOURS / STONE

フィンランドのスラッシュ・メタル・バンドの1990年に リリースされた3rdアルバム。ギタリストのROOPE LATVALAは現在 SINERGYで活躍している事で知る人も多いだろうが、基本的に 音楽性には共通点はない。基本的には前作の延長線上と言える 作品だが、より不安感を煽る様なコアなアルバムに 仕上がっている。ダークな雰囲気を全体が支配しており、緊迫感の 漂うメロディが印象的だ。White Wormsではバイオリンやセロ等と 言った楽器も使っており、そう言った雰囲気をより ドメスティックに盛り上げようとしている工夫も見られる。[81]

EMOTIONAL PLAYGROUND / STONE

フィンランドのスラッシュ・メタル・バンドの1991年に リリースされた4thアルバム。方向的にはこれまでの延長線上と 言える作品で、緊迫感のあるシアトリカルな作品だ。前作との 大きな違いは、楽曲の中でも変化をより強く出しており、より ドラマティックさの感じられるものとなっている。Small Talesでの ソロ・パートにおける、シンプルで印象的なスロー・テンポの リフを繰り返して入れながら、エンディングでキーを変えて同じ リフを入れてくる辺りは面白い。静と動のとの使い分けが 上手くなっており、楽曲における緊迫感、ダイナミズムさが 増している。[82]

BURNS LIKE A STAR / STONE FURY

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1984年にリリースされた デビュー盤。キャッチーなメロディ・ラインのヘヴィ・メタルで、 憂いを感じさせるメロディは、L.A.メタルの中ではやや ブリティッシュ的な感じをさせる。特にLED ZEPPELINの影響が 感じられるが、それはむしろボーカリストのLENNY WOLFによる 次ぎのバンド、KINGDOM COMEで顕著に出る事になる。 Break Down The Wallは哀愁を感じさせる実に格好の良い楽曲で、 L.A.メタルにおける名曲の一つと言って良いだろう。 緊迫感があり、ROBERT PLANT似のLENNY WOLFのボーカルが、こう 言った雰囲気を上手く盛り上げている。[87]

CORE / STONE TEMPLE PILOTS

アメリカのグランジ・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。NIRVANAの流れを汲むバンドとしては、最も 成功したと言えるバンドだが、音楽的にはドゥーム的な エッセンスを取り込み、むしろALICE IN CHAINS等の方が誓い様に 感じられる。そのため、サウンド自体は意外とヘヴィで、聴き 応えのあるアルバムに仕上がっている。オルタナティヴ・ロック、 グランジ、ヘヴィ・ロックと言った音楽を上手く組み合わせ、 独自の音楽に昇華している辺りは流石と言えるだろう。世間的には NIRVANAの二番煎じと言う風に言われる事も多いが、それだけで 決してない。[82]

STORMWING / STORMWING

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた デビュー盤。北欧メタルらしい、叙情的で美しいメロディの ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。洗練されたメロディに、 ややアメリカナイズされたコマーシャル性も兼ね合わせており、 如何にもと言った内容の作品に仕上がっている。ある意味、 EUROPEにリスペクトされた音楽性と言えるだろうし、そう言う 意味では目新しさもないし、EUROPEより軽いサウンドが 気になるところだ。ボーカリストのJOHAN MATTJUSの軽い声質が そう言った雰囲気をより倍化しており、もう少しエッヂが 欲しかったところだが、楽曲の出来は悪くない。[80]

WAR OF THE WIZARDS / STORMWITCH

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1993年にリリースされた 4年振りの6thアルバム。方向的にはメロディアスでヨーロッパの バンドらしい叙情的なヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。 ジャーマン・メタルとしては古株で、B級の中堅バンドとして 語られる事の多い彼等だが、ここではよりコマーシャル性を押し 出している。意識してか、Theja等はやや不安定なメロディを 入れているのだろうが、お世辞にも成功しているとは言えない。 楽曲の出来自体は決して悪い訳ではないが、これと言った 曲がなく、結局はB級と言う枠から抜け出ているとは言い難い。 [79]

HIT & RUN / STRANGER

アメリカのハード・ロック・バンドの1994年にリリースされた アルバム。日本独自の編集盤で、実際には1989年にリリースされた 2ndアルバム、NO RULESと1994年にリリースされた3rdアルバム、 NO MORE DIRTY DEALSからの選曲されたものとなっている。 方向的にはいわゆる昔懐かしいアメリカン・ハード・ロックと 言えるもので、コマーシャル性を兼ね備えたキャッチーで叙情的な メロディのハード・ロックだ。サウンド自体はより ヘヴィなものとなっており、エッヂも立っていて聴き応えのある アルバムに仕上がっている。3ーD等印象的で、楽曲も粒が 揃っており、この手の作品としてはかなりグレードが高い。[84]

FRIGHT NIGHT / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの1989年にリリースされた デビュー盤。後にジャーマン・パワー・メタル的な ドラマティックさと、北欧メタルらしい哀愁を湛えた楽曲で独自の スタイルを築いたが、ここではまだ消化し切れておらず、 オリジナリティと言うものを出すまでには至っていない。特に Future ShockはHELLOWEENのI'm Aliveにそっくりで苦笑ものだ。 TIMO TOLKKIのギター・プレイもあまりにも速弾きを意識してやり 過ぎていて、楽曲のバランスも悪いと言わざるを得ない。酷いと 言う訳ではないが、まだ自己の音楽を固める事が出来ておらず、 焦点のぼやけた作品だと言わざるを得ない。[76]

TWILIGHT TIME / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの1992年にリリースされた 3年振りの2ndアルバム。前作ではまだ自己の音楽性を固める事が 出来ておらず、アレンジ面において稚拙さの出た作品だったが、 今作ではそう言う欠点が見事にクリアされている。如何にもと言う 様な速弾きはなくなっており、楽曲のバランスはぐっと 良くなっている。北欧メタル的な哀愁を湛えたメロディと、 ジャーマン・パワー・メタル的なドラマティックさを兼ね 備えており、エッヂの立ったアルバムに仕上がっている。特に The Hands Of TimeとTwilight Timeは佳曲と言える楽曲で、彼等の 今の音楽の原点と言える作品だ。[86]

DREAMSCAPE / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2年振りの3rdアルバム。方向的には前作の延長線上と 言えるもので、北欧メタルらしい叙情的な哀愁のメロディを湛えた ヘヴィ・メタルだ。緊迫感のあるアップ・テンポの楽曲は、彼等が 前作で築いたそのスタイルを良く継承している。更にテンポの 変化を上手く使って、よりドラマティックで彩り豊かな作品に 仕上がっている。生々しいプロダクションも前作から引き 継がれており、やや生々し過ぎる気もするが、楽曲のエッヂを 出すのに効果的だ。4th Reich等は印象的だし、楽曲の出来も 前作に決して劣っていない。[87]

TO HELL WITH THE DEVIL / STRYPER

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの1986年にリリースされた 2ndアルバム。L.A.メタル期に登場し、聖書から取ったバンド名に 合わせ、黒と黄色のストライプの衣装とそのルックス、ライヴで 聖書を配りその歌詞から、クリスチャン・メタルと言う独自の スタイルを築いたバンドだ。重厚で美しいコーラス・ハーモニーと 甘いメロディが特徴的なヘヴィ・メタルで、如何にも アメリカらしいと言う感じの明るい、叙情的で煌びやかさを 持っている。MICHAEL SWEETの甘いハイ・トーンを駆使した ボーカルに、OZ FOXのギターも特徴的だが、全体的なサウンドの 作りが特徴的過ぎて好き嫌いが判れそうな気もする。[81]

IN GOD WE TRUST / STRYPER

アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの1988年に リリースされた2年振りとなる3rdアルバム。元祖 クリスチャン・メタルと言うべき、そのユニークなスタイルを築き 上げ、前作での成功に続く彼等の最も脂ののった時期の作品と 言えるだろう。MICHAEL SWEETの甘いボーカルに、キャッチーな 叙情的なメロディは、如何にも明るさを感じさせるサウンドだ。 美しいコーラス・ハーモニーも相俟って、砂糖菓子の様にやや 甘過ぎると言う気もするが、それこそが彼等の持ち味と言って 良いだろう。キャッチーな割には特徴的で、やや好き嫌いが 判れそうな気もするが、楽曲の出来も良いし悪くない。[83]

AGAINST LAW / STRYPER

アメリカのクリスチャン・メタル・バンドの1990年に リリースされた2年振りとなる4thアルバム。キャッチーで叙情的な 甘いメロディに、美しいコーラス・ハーモニーを特徴としていた 彼等だが、そう言った部分が完全に失われてはいないものの、 今作ではややのりを重視した様な方向性の変化が感じられ、 楽曲としてはハード・ロックンロール的な色合いが出てきている。 時代的にバッド・ボーイズ・ハード・ロックンロールが 出てきていた頃だけに、そう言った影響もあったのかも 知れないが、それだけに彼等の特色がぼやけてしまっている様にも 感じられるのが残念だ。[80]

BLIND / STS 8 MISSION

ドイツのパワー・メタル・バンドの1994年にリリースされた 2年振りの3rdアルバム。元々HELLOWEEN的な ジャーマン・パワー・メタルの大仰なメロディを聴かせる バンドではなかったが、その傾向はこのアルバムでより一層強く 押し出されている。ツー・バスも全く無い訳ではないが、 基本的にはより一般化されたヘヴィ・メタルと言う感じで、聴き 易いがその分だけ特徴を打ち出すのは難しいところだ。アメリカ 的なエッセンスを感じさせるヘヴィ・メタルだが、それにしては XAVER DREXLERのボーカルの不安定さが気になる。サウンド自体は エッヂを効かせており、聴き応えはあるし出来は悪くない。[80]

PALNETARY DESTRUCTION / STYGIAN

アメリカのスラッシュ・メタル・バンドの1992年にリリースされた デビュー盤。音楽的には扇情的なスラッシュ・メタルで、攻撃的な 作品に仕上がっている。ダークだが全体的に緊迫感が漂っており、 スピードもあってリフの出来も悪くない。やや緩急の付け方が特に 高速リフでパターン化している様に思えなくはないが、 気になるほどでもない。ヒステリックな感じがするため、こう言う タイプのバンドに馴染んでいないと拒否反応を持つかも 知れないが、Cremationでのギター・ソロ等は叙情的で美しく、 この対比は中々面白い。残念なのはGARY GOLWITZERのボーカルで、 攻撃的なのは良いのだが、声域が狭いために全体的に平坦な 感じがする事だ。[81]

GIPSY POWER / STEVEN ANDERSON

スウェーデン人ギタリストの1994年にリリースされた ソロ・デビュー・アルバム。方向的にはネオ・クラシカルと言える 風味も感じられるのだが、いわゆるYNGWIE MALMSTEENクローンと 言えるものとは一風違い、ややプログレッシヴがかった、暖かみの 感じられるサウンドが特長と言えるだろう。叙情的なサウンドの アルバムで、楽曲はかなり出来だし、中々美しい作品に 仕上がっている。全編に渡って、いわゆる ギター・インストルゥーメンタルなのだが、Gipsy Fly等、 フックがあって印象的なメロディが決して飽きさせないのが好感を 持たせてくれる。[83]

SHOGUN / STORMWITCH

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドの1994年にリリースされた アルバム。メロディアスでで愁いを帯びたと書くと、何だか期待を 抱くかもしれないが、残念ながらこれといったものはないし、 楽曲の方もありきたりだ。のりが感じられなくて、平坦に 思えるのも大きな問題で、もう少し考えてアイデアを 入れていかないと先はないかも知れない。ベテランで、昔から B級であったとは言え、新人のときにあった輝きも感じられず、 苦しいところだ。決して悪い出来ではないのだが、今一つ心を沸き 立たせてくれるものがない。[75]

FREE / STONE

フィンランドのスラッシュ・メタル・バンドの1993年に リリースされたライヴ・アルバム。1992年に行われた ヘルシンキでのライヴの模様を収めたもので、解散後に リリースされている。ライヴではあるがその演奏力は 素晴らしいく、その実力の一端を十分に感じさせてくれる。 後期には、彼等のサウンドにはうねりが感じられる様になったが、 このライヴでも、彼等らしいうねりがある。楽曲も中々の 出来であり、こういうバンドが活動不可能で解散をせざるを 得なかったというのは非常にもったいない話だ。[86]

STORMBRINGER / STORMBRINGER

スイスのハード・ロック・バンドの1985年にリリースされた デビュー盤。ギタリストとして現ZEROのANGI SCHILIROが 在籍していたときの作品だ。ZEROはどちらかと言うと ロックンロール的な要素があって明るいのりの良さを感じさせる バンドだが、それに比べると叙情的でメロディアスな愁いを帯びた メロディのアルバムだ。FABLAN EMMENEGERのキーボードが割と 全面に押し出されており、ハード・ポップ的な色合いもある。 ANGI SCHILIROのギターは安心して聴けるし楽曲も良いが、 ボーカルを含めどうもB級臭さは拭えないところだ。 Lady Of The Skyとか如何にもヨーロッパの泣き系のバンドの曲が 並んでいるので、そう言った作品が好きな人は一聴の価値はある。 [89]

ALIEN LOVE SECRET / STEVE VAI

知る人ぞ知るアメリカ人ギタリストのソロ・アルバム。前作では ファミリー・ネームを取ったバンド名義の作品となっていたが、 今作では再び個人名義でのリリースとなっている。 ギターをやっていない人間が、こう言う ギター・インストゥルーメンタル・アルバムを評価するのは 難しいし、演奏におけるテクニック面に関してはどうこう 言えないが、楽曲はギター・テクニック一辺倒ではなくて、今迄の アルバムの中ではバランス良く作られている。ギター・テクニック 垂れ流しと言う感じのアルバムはそんなに好きじゃないのだが、 こう言う楽曲中心の作品作りをしていれば耳を傾ける気にはなる アルバムだ。[84]

MOTHER / STATE OF MIND

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドで、LARS ERIC MATSONが ゲスト参加していたミニ・アルバムに続く作品で初の フルレンスとなるアルバム。キーボードに今作より新たに、 ORGANAIZED CRIME以降TREATに在籍していたPATRIK APPELGRENが 加入している。サウンド的には北欧のバンドらしからぬ アメリカナイズされた楽曲が並び、ほこりっぽい 曲もあったりするが、どちらかと言うとのりの良いドライヴ感 溢れるサウンドだ。MR.BIG的な匂いもさせるが、楽曲は残念ながら そこまで洗練されていない。[78]

ONE FOR THE MORNING / STATEMENT

ドイツのハード・ロック・バンドの多分デビュー盤。方向的には 明るいアメリカン・ハード・ロックという感じで、全体的に曲調も ポップで良く出来たアルバムだ。だが、その一方で、これといった バンドとしての特徴が感じられないのはいかんとも しがたいところだ。とはいうものの楽曲はまずまず粒が 揃っているし、演奏レベルもそれなりで良くまとまっているので 安心して聴けるのは確かだ。この手のものとしては特に軽い、 ポップな部類に入る作品なので、キャッチーなメロディの、軽い ノリの甘い曲が好きな人には向いているだろう。[82]

NORDAVIND / STORM

北欧のデス・メタル、ゴシック・メタル等のバンドによる プロジェクト・アルバム。特筆すべきは当時 THE 3RD AND THE MORTALに在籍していたKARI RUESLATTENが 参加している事だろう。メイン・ボーカルはTRISTITIA等で聴ける 様な野太い声質のボーカルで、それにハイトーン・ソプラノの KARIがコーラスで絡むという様な展開となっている。いわゆる デス・ボイスという感じのものは、コラース以外で 使われていないが、好き嫌いは分かれそうな感じだ。曲調は 耽美系の民族音楽風のヘヴィ・メタルのユニークなもので、 こういったボーカルが許せるなら十分堪能出来る。[83]

ELECTRIC CITY / ST.THOMAS

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。詳細は良く 判らないが、多分ボーカルのSCOTT THOMAS RICHARDSを中心とした バンドだろう。どうもCD番号からすると自費出版のようだが、音の 作りは決して悪くない。ファンキーなヘヴィ・メタルで、 破天荒さが有り、のりの良さが出ている。うねるヘヴィなリフが、 荒々しいがこの一風変わったグルーヴィなサウンドを作り 出していて魅力がある。コーラスにも勢いが有り、全体的に ユニークな世界を構築することに成功している。どことなく 気だるさを感じさせるサイケデリックな作風も良い。[84]

FOURTH DIMENSION / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。前作では 楽曲を沢山収録したことにより楽曲の出来にばらつきがあり、 長いだけでどうしても散漫な印象があった。今作では曲はある 程度しぼられており、出来も前作に比べて平均的に良く 出来ている。新ボーカルのTIMO KOTIPELTOも線が細く、軽く 感じるが、無難にはこなしているように思える。非常に美しい 澄んだ哀愁のあるメロディは、これぞSTRATOVARIUSと言える 内容にはなっているものの、独自の世界を作り上げているが故に 目新しさはなく、ワン・パターンでインパクトには出会えないのが 残念だ。[85]

MIRROR IMAGES / STEEL DAWN

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。ドイツにも ROKO等、BON JOVI的なサウンドを目指すバンドが見受けられるが、 このSTEEL DAWNも正に初期BON JOVI路線のフォローワーと言うべき 感じの楽曲、サウンドをやっている。プロダクションはさほど 良くなく、BON JOVI程の完成度は望むべくもないのだが、その 指向性は非常に良く現れている。若干臭いが、楽曲の出来も納得 出来るだけのレベルではあるし、初期BON JOVIファンには十分 訴えかける物があるだろう。Dirty' N Rough、Keep On Runningを 始め、叙情的で哀愁のメロディに溢れた、キャッチーな ハード・ロックで、日本人向きのアルバムだ。[89]

FATHER TIME / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム、 EPISODEからの先行シングル。アルバム収録曲が2曲に、 デビュー盤からのリテイクが1曲、カバーが1曲の全4曲と言う 構成になっている。新譜からのタイトル・トラック、 Father Timeはこれまで以上にジャーマン・パワー・メタル的で、 ここまで来ると少し違和感を覚えなくもない。新譜からのもう1曲、 Uncertaintyはメロディアスなミドル・テンポの楽曲で、それ程 悪くはないが、STRATOVARIUSとしては凡庸な楽曲だ。リテイクの Future Shockは特に可もなし不可もなしと言ったところだが、この 中では一番らしい仕上がりだ。一番の注目であるRAINBOWの カバー、Kill The Kingは明らかにデモと言ったレベルで、評価に 値しない。[77]

EPISODE / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。先に リリースされた先行シングル、Father Timeでより ジャーマン・パワー・メタル的な方向へのシフトを不安に 感じていたが、アルバムを通して聴いてみると、全体的にはそれ 程でもなく、これまでの延長線上から大きく外れるものではない。 楽曲の出来もそれなりの線を行ってるし、完成度という点では これまでより群を抜いているのだが、TWILIGHT TIMEを初めて 聴いた時のようなインパクトを感じられないのは、 ワン・パターンとも言えるSTRATOVARIUSのサウンドに 聴きなれてしまったせいだろうか。逆に安心して聴ける 作品でもあるのだが目新しさと言うものがないだけに、やはり 安定しているなと言う以上の感慨は中々持ち難い。[86]

STEELE / STEELE

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。バンドと 言ってもボーカリストのJEFE STEELEとギタリストの STEVE WITSCHELの二人しかいないので、実質的にはプロジェクトと 言った方が良いだろう。ゲスト・ミュージシャンとして元 DANGER DANGERのTED POLEYや元EZO、現LOUDNESSの本間大嗣等が 参加している。軽快でノリの良い楽曲は疾走感があって中々気持ち 良いが、ミドル・テンポのStay、Lead Me Overといった曲が 以外とつまらないのが難点だ。特にラストがそういう曲を続けて 終わってしまうので、尻切れトンボという感じがするのは 遺憾ともし難い。むしろアップ・テンポのみで勝負し他方が 良かったのではないかと思えるアルバムだ。[80]

STANDARTE / STANDARTE

イタリアのプログレッシヴ・ロック・バンドのアルバム。古臭い 楽曲にサウンドで70年代に良く居そうな感じのタイプの作品だ。 音はかなり厚目で、ハモンド・オルガンとギターの組み合わせの 楽曲では、ハード・ロックと言う面影も無くはないが、 メロトロンとシンセサイザーが醸しだす雰囲気は明らかにそれとは 違う。全体的に郷愁感が漂う懐かしい感じのメロディにサウンドは 独特の味わいがあり、中々興味深いアルバムに仕上がっている。 全体的にアップ・テンポで、DEEP PURPLEを プログレッシヴ・ロック的に仕上げた様な感じの作品だ。[85]

THE PRAYER / STEP CHILD

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。ギターに元OMENの KENNY POWELLが加入しているが、OMENのあのIRON MAIDEN型 パワー・メタルは微塵も感じさせないアルバムだ。ダーティで ワイルドなハード・ロックンロールながら、重いリフがザクザクと 刻まれて疾走感があり、OMEN等よりも遥かにアメリカ的な作品に 仕上がっている。どことなく妙なダークさがあり、THE DOORSの カバー、Break On The Throughも割と良くはまっている。勢いと のりがあって、パンキッシュでどことなくSKID ROWっぽい部分も 感じられる作品になっている。[82]

STRESS FEST / STEVE MORSE BAND

元KANSAS、現DEEP PURPLEのアメリカ人ギタリストによる プロジェクト・バンドによるアルバム。所謂 ギター・インストルーメンタルと言えるもので、DEEP PURPLEでは あまり見せれない速弾きテクニカルなギター・プレイを中心に 聴かせてくれている。DEEP PURPLEに加入したためか、 SPEED KINGをカバーしているが、あまり面白いとは到底言えない。 全体的にもDEEP PURPLEを思い起こさせるものはないので、それを 期待すると外すだろう。フュージョン風のギター・アルバムで、 出来自体は悪くないが、あまり一般受けはしないと思う。[79]

TINY MUSIC... / STONE TEMPLE PILOTS

アメリカのグランジ・バンドの3rdアルバム。確かにグランジ風と 感じるところははしばしにあるのだが、これまでの作品と 比べると、そういう範疇に収まりきらない、ポップス作品と 言っても良い様なアルバムに仕上がっている。MEGADETHと一緒に ツアーをしたりした様だが、そういうヘヴィ・メタル的な部分は 一切ないので期待しない方が良いだろう。奇麗なメロディながら けだるさをたたえた雰囲気には独特のものがあり、そう言った 面では彼等らしいと言えるのかも知れないが、CORE等と比べると、 アルバム的な面白さは今一つだ。[83]

ALTER NATIVE / STEVIE SALAS COLORCODE

アメリカ人ギタリスト、STEVIE SALASによるロック・バンド 3rdアルバム。バンドの形態をとってはいるが、ほとんど彼の ソロ・プロジェクトと言っても良い感じで、ドラムに元PERL JAMの DAVE ABBRUZZESE、ベースには元DAN READ NETWORKの MELVIN BRANNON、キーボードには元VOW WOWの厚見玲衣が 参加している。バンド名義でやっているだけあって、いわゆる ギター・アルバムと言うのとはまた趣が違い、歌が おざなりになっていることはない。骨太で躍動感が有り キャッチーだが、ジャズ的なセンスを持ち込んだり、ムーディな 楽曲をやったりと、非常に個性的でユニークで変化に富んだ 内容となっている。[81]

HIGHER THAN ANGELS / STAN BUSH

アメリカ人ロック・ボーカリストの5thソロ・アルバム。 PAUL STANLEYと共作したりPAT TORPEYがバック・バンドに 居たりと、人脈的にはハード・ロック側とも言えるが、実際 作品ではそういう部分はなく、洗練されたアダルトな アメリカン・ロックという感じだ。声質的にはBRYAN ADAMSや JOHN PARと言った感じで、明るくしっとりと落ち着いた楽曲を 切々と唄い上げる感じで、派手さはないが中々良いアルバムに 仕上がっている。楽曲も良く出来ていて、ピアノ主体のバラード 等はじっくり落ち着いて聴きたい楽曲だ。[82]

SLIPPIN' INTO FICTION / STS 8 MISSION

ドイツのパワー・メタル・バンドによる1992年にリリースされた 2ndアルバム。方向的には、HELLOWEENの様な、いわゆる ジャーマン・パワー・メタル的な大仰さはそれほど強く 感じられない。デビュー・アルバムよりは格段に プロダクションは良くなっているが、楽曲の出来は平均的で 飛抜けたものがなく、印象に強く残すに至っていない。Stay等は 良い曲だとは思うが、スピード・チューンにもっと卓越した曲が 欲しい。端々にちりばめられているメロディは決して悪くないし、 出来自体は一応のレベルには行っていると思うが。[80]

EDGE OF THE CENTURY / STYX

アメリカのベテラン・ロック・グループで1990年に6年振りに 再結成してリリースされたアルバムだが、メンバーとしては この当時DAMN YANKEESで活動していたTOMMY SHOWのみを除いて、 GLEN BURTNIKを加えたメンバーとなっている。このGLEN BURTNIKが 半分の曲作りに加わっているためにSTYXらしさはかなり希薄で 良くあるようなアメリカン・ロックという感が強い。 DENNIS DE YOUNGが作っている曲に関しては、如何にも彼らしい 優しさに溢れた曲になっているが、バンドではもっとも ハード・ロック的指向の強いJAMES YOUNGが殆ど曲作りに 参加していないことが大きいだろう。唯一Homewreckerのみが 彼らしい壮快で格好良いナンバーだ。[79]

THE MYSTERY OF TIME / STS 8 MISSION

ドイツのパワー・メタル・バンドの1990年にリリースされた デビュー作。録音状態はあまり良くなく、チープさは いがめないが、内容的にはそれほど悪くない。方向的にはいわゆる ジャーマン・パワー・メタルと言えるものだが、この手のものでは HELLOWEEN等の様なメロディの大仰さはあまり感じさせないので、 どちらかといえば聴き易い作品だ。その分フックに欠ける 気もするが、肝心のメロディはそれなりに美しいし、 Always Lyingの様な印象的なものもあり決して悪くない。 楽曲をもう少し練って、プロダクションを良くすれば結構良い 作品になったと思うが。[79]

NO REST, NO MERCY / STAIRWAY

イギリスのクリスチャン・メタル・バンドの1993年に リリースされたデビュー盤。哀愁のメロディたっぷりの芋臭い ヘヴィ・メタルと言った感じで、音質、ボーカルを含めて 全体的なチープさはN.W.O.B.H.M.的な感覚を匂わせる。 楽曲自体はそう言ったものより、ドラマティックさに欠けるが、 やや洗練されていて北欧メタル風と言った感じがあるものの、出来 自体は素晴らしいと言う程でもない。如何にも B級然としているが、メロディ自体は割と良いので、音質を 気にしない、臭い哀愁と泣きが好きだという向きには割と 楽しめるだろう。[79]

FIRE GARDEN / STEVE VAI

アメリカ人ギタリストのソロ・アルバム。ALIEN LOVE SECRETSに 続く作品だが、前半と後半ではっきりと傾向が分かれており、 2部構成的な作品となっている。前半はいわゆる ギター・インストルゥーメンタル作品で占められており、いかにも 彼らしい内容のものとなっている。一方後半では彼自身が ボーカルを取っている楽曲が集中しており、彩り豊かな 内容となっている。彼のボーカル自体は特にうまい訳ではないが、 結構パワフルで悪くない。後半でもそのギター・プレイは 相変わらずだが、楽曲の傾向が少し違うので戸惑わなくもない。 [82]

MISSA MAGICA / STEVEN ANDERSON

スウェーデン人ギタリストの2ndソロ・アルバム。方向的には、 いわゆるギター・インストルゥーメンタルと言うやつだが、 ギター・テクニック中心というより、むしろ楽曲に比重を 置いていた作品となっている。叙情的で美しいメロディの良く 出来た作品ではあるが、静的なイメージが幾分あり、非常に 地味であることはいがめない。その分情感が非常に感じられ、 シンフォニックでドラマティックなアルバムに仕上がっている。 ネオ・クラシカルな中にも民族音楽の影響が多分に見え、独自の 不思議な雰囲気を醸し出しており、個性というのは見える 作品だ。[81]

WILL THE SUN RISE? / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム、 EPISODEからのシングル。未発表曲は収録されていないが、 シングル・カットされたタイトル・ナンバーを除いた5曲が ライヴと言う構成になっている。TIMO KOPTIPELTOのボーカルは やはり少し力不足を感じなくもないが、それを除けばTIMO TOLKIの ギター、JENS JOHANSONのキーボードを始め全体的に演奏は良く 出来ている。フィンランド語のM.C.はやや奇異に感じるし、曲の 切れ目のフェイド・アウトが今一つ良くないが、 ライヴ・アルバムとしては悪くない。どうせならば フル・アルバムを出しても良いと思うのだが。[80]

WAIT / STEELHEART

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの5年ぶりの3rdアルバムだが、 紆余曲折を経て今やMICHAEL MATIJEVICの プロジェクト・バンドという様相を呈している。幸か不幸か 名曲中の名曲She's Goneがあまりにも突出しすぎて語られることが 多かったが、そういう熟縛にとらわれることなく実に リラックスした作品である。MICHAELのハイ・トーンは 相変わらずでThe Ahh Songを始めとしていかにも Robert Plantを思い起こさせるようなボーカルだし曲によっては LED ZEPPELINに通ずるものもある。Electric Chairといった曲では 非常に扇情的な声を聴かせてくれる。[84]

STRAIGHT FROM YOUR HEART / STORMWIND

スウェーデンのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの デビュー盤。ボーカルのTINA LEIJONGBERGは有名な女優らしいが、 一聴するとあまり女性の声とは意識されることはなく、甘い ボーカルを聴かせてくれる。BURRNのレビューでは プロダクションの弱さを指摘されているが、実際はそんなに 気になるほどのものではない。ギターのエフェクトの掛けすぎに ついても、確かに気になる部分はあるのだが、扇情感を 醸し出していてこれはこれで味がある。ABBAのカ感ーの Gimme, Gimme, Gimmeも非常にメロディアスなヘヴィ・メタル曲に アレンジされていて良い感じだ。全体的に叙情的かつ扇情的な ポップ・センス溢れるキャッチーなメロディの楽曲が並ぶ。結構 緻密でハードな音作りをしている。結構哀愁感があるが、他には 類を見ないほど扇情感を出していて盛り上げてくれる。 キーボードの絡みも中々良い具合で拾い物とも言える作品だ。[89]

LIFE IN PARADISE / STORMING HEAVEN

アメリカのセッション・ミュージシャン等による ハード・ロック・バンドのデビュー盤。メロディアスで ポップ・センス溢れる楽曲が並んでいるが、その一方で Jessie's Journey-The Suiteの様な組曲構成の18分にも及ぶ 大作もあったりする。この曲を含め、プログレッシヴ・ロック的な 指向が若干見える曲があるのだが、全体的にソフトで間を 持たすには盛り上がりに欠ける様な気がする。楽曲はやや AORがかった優しくソフトで、空間的な広がりのある ハード・ポップで、フックにやや欠けるが、流暢で奇麗には 仕上がっている。[78]

PATRIOT / STORMWATCH

イギリスのヘヴィ・メタル・バンドの多分1stアルバム。 N.W.O.B.H.M.期に活躍したCHESTERFIELDのバンドWARRIORの ボーカリスト、DAVID J.HEWITTが率いている。WARRIORはやや プログレッシヴ・ロックががったところがあったが、こちらは そういう部分はほとんどなく、よりヘヴィなサウンドだ。 アップ・テンポの扇情的な哀愁のメロディが心を引き付ける。 WAOORIRといよりはKENTのLEGENDやTRESPASSといった辺りが好きな 人に向いているだろう。1週間で録音しただけあって、音はやはり チープだが、雰囲気的にはそった内容だろう。扇情的な哀愁の N.W.O.B.H.M.が好きならば、結構行けるはずだ。DAVID J.HEWITTの 決してうまいとは言えないが通った扇情的なボーカルが、実に 効果的に雰囲気を盛り上げている。B級マニア向けだが、いかにも らしいメロディの楽曲は好感が持てる。[88]

BLACK DIAMOND / STRATOVARIUS

フィンランドのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの 最新アルバムからの先行シングル。既発の曲はともかくとして、 未発表の音源が3曲収録されている。The Kiss Of Judasの デモ・バージョンは特にどうという事はないもので、問題は残りの ライヴという事になるだろう。ヘルシンキでのライヴから We Hold The Keyと4th Reichを収録しており、ややこもった 感じがするのが難点だが、安定した演奏でさすがと 思わせてくれる。さすがに、これまでのシングルと比べると 内容的にやや薄いと感じるのは致し方ないのだろうか。[82]

SPOOGE / STONE SOUP

アメリカのメロディアス・ハード・ロック・バンドのデビュー盤。 甘いポップ・センス溢れるメロディの楽曲は、落ち着いていて 安心して聴ける。全体的に明るい曲調のものが中心で、いかにも アメリカらしい叙情的なナンバーが主体となっているのだが、 Promisesの様な哀愁のメロディを配したりと、中々バランスが良い 作品だ。全体的にこじんまりとしている感はなくもないが、楽曲の 出来は一定のレベルを保っている。キーボードは前面に出て 来ていて、割と主張しているのだが、それ以外のパートはやや 薄っぺらく感じてしまうのはいかんともしがたい。[80]

VISIONS / STRATOVARIUS

フィンランドのメロディアス・ヘヴィ・メタル・バンドの 6thアルバム。ファンの予想を良い意味でもも悪い意味でも 裏切らない作品に仕上がっている。ワン・パターンと言っても 良い位、これまでの彼らの世界にぴったりとはまった作品で、 新鮮さはまるでないのだが、楽曲の出来、レベルも期待通りの 内容だと言えるだろう。故に彼らの作品に飽きてしまったという 訳でないなら、これまでの作品同様に楽しめるはずだ。 TIMO TOLKIの扇情的な泣きのギターも良い出来ではあるが、 これまで彼らの作品があまり受け付けなかった人にはやっぱり 受け付けないだろうし、食傷気味の人ももう満腹という 感じだろう。後半わずかだがややパターンから 脱却したところがあるのは評価できる。[82]

RETURN TO PARADISE / STYX

1970年代から1980年代にかけて活躍した、アメリカの大物 ハード・ロック・バンドの再結成ツアーの模様を収めた2枚組み ライヴ・アルバム。その後DAMN YANKEES結成に関わるTOMMY SHAWの 活躍はまだ記憶に新しいところだ。ポップでキャッチーな メロディに、楽曲によっては哀愁を漂わせる、 アメリカン・プログレッシヴ・ロック的な作品だ。新曲は 3曲だけにとどまり、往年の名曲を中心とした作品になっている。 DAMN YANKEESの様なハード・ロック然としたところはないが、 ライヴの出来としても良いので、それなりに楽しめる作品だ。[83]

STRAPPS / STRAPPS

イギリスのハード・ロック・バンドの1976年にリリースされた デビュー盤。DEEP PURPLEのROGER GLOVERがプロデュースした 事でも注目を浴びた作品だ。方向的には割とのりの良い、 グラム・ロック的な感覚も持ったサウンドを聴かせてくれている。 ユニークではあるが、楽曲自体の出来は悪くはないものの、特別 良くもない。楽曲が平均的で、それらが良く出来ている 訳でもないので、平凡な印象を受けるのは如何ともし 難いところで、出来ればもう少し楽曲にフックがあって 欲しかった。ギター等、割とハードな部分もあるが、 ハード・ロックと言う程ハードに感じないかも知れない。[70]

STARK RAVING MAD / STEVE HOLIDAY

カナダのハード・ロック・バンド、 DOCTOR ROCK AND THE WILD BUNCHの1994年にリリースされた 2ndアルバムを個人名義でリリースしなおしたもの。 HAREM SCAREMのHARRY HESSがプロデュースし、HARRY HESSと PETE LESPERANCEが曲作りに参加して、レコーディングでも ゲスト参加しているだけあって、方向的にはその線の良質で メロディアスなハード・ロックだ。楽曲の出来も中々のもので、 HARREM SCAREMのファンであるならば外さないだけの出来だろう。 ややワイルドなSTEVE HOLLIDAYの歌声も結構あっている。[87]

THE GRAND SCHEME OF THINGS / STEVE HOWE

元YES、ASIAノイギリス人ギタリストによる1993年に リリースされたソロ・アルバム。活動歴からも判るように キャッチーな感覚を持ったプログレッシヴ・ロックで、ASIAの様な ハードさは出しておらず、ややシンフォニック・ロック的な イメージもある。かなりアクセントとなるギター・プレイを 入れてくるが、全体的には落ち着いた感じのサウンドが強い。 楽曲的には灰汁が無く、これといった曲もないし、全体に変化が 乏しく不満がないわけではない。リラックスして聴けるし、出来も 決して悪い訳ではないが、何だか物足りなさを感じる。[73]

STEEPLECHASE / STEEPLECHASE

アメリカのハード・ポップ・バンドの1981年にリリースされた 恐らく唯一のアルバム。サウンドはキャッチーなメロディのやや ハードなアメリカン・ロックと言う感じで、プロダクションの 出来も非常に良好だ。パーマネントのメンバーではないのだが、 ややプログレッシヴ・ロックがかったキーボードを 入れたりしているのが印象的で耳に残る。叙情的なメロディも 見せるが、どちらかと言うと軽快なサウンドで、演奏を始め、 コーラスも割と良い出来だ。楽曲は平均的に良く 出来ているものの、特別これと言った曲はないが悪くはない。[80]

CALL TO ACTION / STAN BUSH

L.A.のハード・ポップ・シンガー・ソング・ライターの映画やTVに 使われたこれまでの楽曲からアクションをテーマにしたものと 新曲を編集したアルバム。既発の楽曲のうち、映画 キックボクサーに提供したNever Surrenderは このアルバムのために新たに録音し直している。テーマ的に明るく 躍動的な楽曲で統一されているが、新曲のGround Zeroはやや趣が 変った扇情的なナンバーで、このアルバムの アクセントとなっていて一本調子になるのを防いでいる。ラストの Love Won't Lieもアルバムの趣旨から外れる曲だが、 HOUSE OF LORDSがカバーした素晴らしいバラードだ。[82]

ST.CLAIR / ST.CLAIR

二人組みのアメリカ人コンビによるロック・デュオのデビュー盤。 いかにもと言う感じの優しい、渇いたアメリカン・ロックで、 ほんわかとしたぬくもりを感じる叙情的なメロディが非常に 印象的だ。ゲストとして元WHITESNAKE等のRUDY SARZOが プレイしているが、いわゆるハード・ロック的な部分は全くない。 楽曲によっては適度に湿りかがあって、少々地味な感じはするが 良い作品だ。純朴さが出ていて、落ち着き過ぎでいないので、十分 聴きこめる事が出来る。RON CORBETTのボーカルも楽曲のカラーに 良くあっていて、ゆったりと聴けるアルバムだ。[80]

SUCK AND THE ART OF SURVIVING SUBURBIA / STRAWBERRY SLAUGHTERHOUSE

デンマークのハード・ロックンロール・バンドの2ndアルバム。 音楽的にはオルタナティヴ・ロックっぽくもあるし、 ブリット・ポップっぽくもある作品だ。非常にパンキッシュな ロックンロール・サウンドにキャッチーなメロディをのせた楽曲は なかなかユニークだし、のりの良い楽曲の出来は良く、 THE WiLDHEARTS辺りをよりパンキッシュにした感じで、聴いていて 楽しくなるアルバムだ。ハード・ロック的なエッセンスは ほとんどないし、ある程度パンクに免疫がないと辛いかも 知れないが、決して悪くないアルバムだ。[81]

VISIONS OF EUROPE / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの2枚組みの ライヴ・アルバム。アルバムを順調にリリースし続けて 来ただけに、頃合い的にはライヴ・アルバムを出すにはちょうど 良い時期だろう。選曲は最近のアルバム3枚からだけで、名作 TWILIGHT TIMEから1曲も演奏されていないのは非常に残念だ。 TIMO TOLKKIを始め、演奏的にはまずまずと言ったレベルの作品に 仕上がっているが、やはりTIMO KOTIPELTOのボーカルが少し 気になる事はある。パターンの少なさで、2枚組みの長さだと どうしても最後は飽きがくるのはいかんともし難い所だ。 選曲的にはやや不満もあるが、日本人向きの叙情的な美しい メロディは折り紙付きだけに、これだけ臨揚感があれば ファンならば満足出来るだろう。[82]

ONCE / STUN LEER

アメリカのハード・ロック・バンドのデビュー盤。ベーシストの PAUL MICHAELを中心に、EXTREMEのNUNOの幼なじみである MICHAEL McCABEと、良質の メロディアス・ハード・ロック・バンドでありながら、わずか アルバム一枚で解散してしまったTOUCHのボーカリスト DOUG HOWARDの3人によって構成されている。良質の叙情的な メロディのアメリカン・ハード・ロックでTOUCHと比べるとより ハードな作風になっている。重厚なコーラスを効かせた、さびも 中々良く出来ているし、全体的にメロディ・センスの良さを 伺わせる作品に仕上がっている。全体的にミドル・テンポ 中心だが、のりも良いし、十分聴きごたえのあるアルバムだ。[85]

STARGATE / STORMWIND

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2ndアルバム。 実質的にはギタリストのTHOMAS WOLFのプロジェクト・バンドに 近いと思われる。ドラムにはZEPP HURGHとIAN HAUGLUNDが 参加している。前作同様女性ボーカルだが、前作と比べると ANGELICA HAGGSTROMのボーカルは非常にパワフルかつ オーセンティックで一聴しただけでは女性ボーカルとはすぐに 気がつかない位で、中々の声を聴かせてくれる。方向的には 北欧らしい叙情さを持ったメロディアスなハード・ロックだが、 そう言ったものの中でもかなり古臭さを感じさせながらも非常に 扇情的だ。楽曲は平均的に良く出来ていると言う感じで飛び抜けた 曲はないが、中々良く出来た作品だ。[87]

SOULUM MENTE INFIRMIS... / STIGMATA

オーストリアのパワー・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には プログレッシヴ・ヘヴィ・メタルと言えるもので、13分を超す The Sacred Man等、全曲5分以上と完全に大作指向と言って 良いだろう。その割にかなり展開が練られていると言う節も 伺えないので、単純に曲が長いと感じられてしまうのは問題だ。 それなりに複雑な事をやろうと言う意識は見え隠れするのだが、 それが一瞬一瞬の効果でしかなく、完全に消化不足だと言わざるを 得ないだろう。ダークで陰鬱な感じのするメロディは扇情的で それなりに独自色を感じさせ、これはこれで悪くないと思う。[81]

RISING / STUCK MOJO

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。全体的に ヘヴィでコアなサウンドで、黒人ボーカリストのBONZによる ラップというCENTURY MEDIA所属のバンドとしては特異な タイプで、実にアメリカっぽいセンスを持ったヘヴィ・メタルと 言った感じだろう。中々攻撃的なサウンドで、メロディも きっちりとつぼを押えているので、結構聴きごたえがある。 ラップをうまくヘヴィ・メタルと言う枠の中に持ってきた感じで、 単純にラップだからと切ってしまうにはもったいないバンドだ。 そういう意味ではFAITH NO MOREのEpic等が好きならば結構気に 入るはずだ。[82]

SWAMP TEA / STEF BURNS

アメリカのハード・ロック・バンド、Y & Tのギタリストによる 初のソロ・アルバム。全曲ギター・インストルーメンタルで、 Y & Tや昔、在籍していたBERLIN等とは全く違う方向性のものだ。 どちらかと言うとJOE SATRIANI風味の強いギター・アルバムで、 よりもっと落ち着きを与えた感じと言って良いだろう。 フュージョンっぽい風味を持った、今までの彼とはまた違った 魅力を見せてくれている。Y & Tを期待するならば外すだろうが、 叙情的で繊細なギター・メロディは中々美しい。JOE SATRIANI程の 派手さはないが、楽曲は悪くないし、味わい深い作品だ。[80]

SOS / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィー・メタル・バンドのアルバム、DESTINYに 先駆けてのマキシ・シングル。アルバム収録予定の楽曲から3曲、 カバー1曲と言う構成になっている。アルバム収録予定の楽曲は いかにもSTRATOVARIUSらしい楽曲で悪くないのだが、問題は SCORPIONSのカバー、Black Outだろう。バックの演奏は 問題がないのだが、TIMO KOTIPELTOのボーカルの非力さを 露呈させる結果となっている。ハイ・トーンが出せるのは 良いのだが、無理に合わせて歌っていると言う感じで、非常に 不安定なボーカルとなっているのだ。No Turning Back等の 楽曲では無難にこなしているものの、後半では彼のボーカルの 弱点を如実に物語る作品となってしまっている。[81]

WALK IN THE FIRE / STRANGEWAYS

イギリスのハード・ポップ・バンドの1989年にリリースされた3rd アルバム。ミドル・テンポ中心のおおらかで明るい叙情的な楽曲が 中心のアルバムだ。アメリカの産業ロック的な優しい、落ち着いた 雰囲気が有り、じっくりと聴き込める。DEEP PURPLEで ボーカリストの候補ともなったTERRY BROCKは、ややしゃがれた 感じのするソウルフルで力強い歌唱を聴かせてくれており、楽曲の 雰囲気をより盛り上げるのに一役買っている。このややハスキーな 感じが気にならないのであれば、素晴らしいボーカルでお奨めだ。 楽曲はややワン・パターンという感じが無きにしもあらずで、もう 少しスピィーディなチューンが欲しい所だが、出来自体は 悪くない。[82]

NEVER TOO LATE / STATORS

詳細は良く判らないが、フランスのヘヴィ・メタル・バンドの 1985年にリリースされたアルバム。方向的にはN.W.O.B.H.M.を思い 起こさせる部分も少しある、チープなB級ヘヴィ・メタルと言う 感じの作品だ。GILLES MELEOのややヒステリックな感じのする ボーカルがそう言った感をより強くしている。Outcast等では急に おどろおどろしい雰囲気になったりと、方向性が今一つ 定まっていないのも問題だ。N.W.O.B.H.M.のバンド群に比べると、 録音状態はまだクリアな方だし、ベースを始めバックはそこそこ 頑張っていると言う印象を受けるが、自己のサウンドの 確立がされていない状況では、高い評価はし辛い。[70]

DESTINY / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの7thアルバム。 ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスを少し降りかけた北欧 メタルと言ったサウンドは今作でも全く変わりはない。ここ 最近ではこう言ったワン・パターンさに辟易としていたのだが、 今作ではそう言った部分に反省もあったのか、幾分展開と構成と 言ったものが練られているように感じられる。特にそれが顕著に 感じられるのはオープニング・ナンバーのタイトル・ソングで、 10分を超える楽曲ではあるが、それ程長いと言う印象を受けない。 女性コーラスの味付けと言った部分でも工夫が感じられて 悪くない。メロディ的にはやはりワン・パターンと言わざるを 得ないし、そう言った意味では彼等のアルバムとして特に 優れているとは言えない上に、TIMO KOTIPRLTOのボーカルも 相変わらず線が細くて不安に駆られる。音作りはやや 生々しいものになっていて、これは功を奏していると思う。[85]

NOTHING IS SACRED / STREAM

詳細は全く不明だが、恐らくロサンゼルスの ヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。あまりにもださい ジャケットに一瞬不安を感じるが、サウンドの方は今では アメリカでは珍しくなってしまった様な中々重厚な パワー・メタル然としたサウンドを聴かせてくれている。やや 垢抜けていないと感じるくらいで、非常にパワフルなサウンドは 好感を持てる。のりの良いインストルゥーメンタル・ナンバーの The Other Side、アメリカ風の元気の良いEnd Of Fire、 ほのぼのしたStill Believe、ダークなCa,on Flage等、楽曲の 方向性にはやや統一性の欠如が感じられる。ややGENE SIMONS似の DAVID S.EISLEYのボーカルがこういうサウンドに入るとより 洗練さに欠ける感じがする。[76]

NO SLEEP 'TILL BEDTIME-LIVE IN AUSTRALIA / STRAPPING YOUNG LAD

カナダ人ギタリスト、奇才DEVIN TOWNSEND率いるプロジェクトの オーストラリアでのライヴをスタジオで編集し直した ミニ・アルバムにデモ音源を4曲追加してアルバム化したものに、 Tシャツ等を付けた限定ボックス・セット。ドラムには元 DARK ANGEL、DEATHのGENE HOGLANが参加しており、超人的な ドラムを披露している。このドラミングが音の洪水のようなこの プロジェクトにおいて、大きな役割を果たしていると言って 良いだろう。あまりにも満ち溢れたこのサウンドを音楽 足らしめている所がDEVIN TOWNSENDの才能の凄さだろう。その サウンドの強烈さと迫力は他でも類を見ないと言って良いほど 凄い。ライヴでもそれを再現し得ているのもさすがとしか言い 様がない。[88]

FLEX-ABLE LEFTOVERS / STEVE VAI

アメリカ人ギタリストの1982年から1984年にかけて制作された1st ソロ・アルバム、FLEX-ABLEの没音源を中心にFLEX-ABLEのCD化時に ボーナス・トラックとして付けられたもの等の音源を追加して CD化したもの。Next Stop Earth同様、人間とギターで会話すると 言う、後のDAVID LEE ROTH BANDでのYankee Roseの アイデアになったであろうSo Happyを始め、彼らしいユニークな センスに溢れている。ハード・ロック/ヘヴィ・メタル的な エッセンスは全くないと言っても良いくらいで、アバンギャルドな 作品でどちらかと言うとプログレッシヴ・ロック的だ。[80]

STELLA MARIS / STELLA MARIS

詳細は全く判らないが、恐らくドイツの ゴシック・メタル・ユニットのアルバム。ゴシック・メタルと 言ってもメタル的な部分は全くなく、ここまで来ると プログレッシヴ・ロックと言っても良い。トラディショナル色の 強い作品で、女性ボーカルのRAPHAELA HERMESが民謡調に歌い、 そのバックにDIRK SCHLOMERのアコースティック色の強い演奏と、 クリア・ボイスによるコーラスが、何とも言えぬ雰囲気が 漂っている。バックは全体的にキーボード、パーカッション、 アコースティック・ギターが中心で、非常に凛とした静寂感が 漂っている。しかし、その出来は悪くないし、この醸し出す 透明感のある雰囲気が何とも言えず良い。[87]

HEAVEN / STAN BUSH AND BARRAGE

現在はソロを中心に活躍するアメリカ人 シンガー・ソング・ライター率いるハード・ロック・バンドの 11年振りとなる2ndアルバム。ソロではよりポップ色の強い 活動をしているが、ここでははっきりとハードな路線を打ち 出していて、聴きごたえがある。ハードになったとは言え、そこは 彼が作っているだけあって、楽曲の節々に現れている ポップ・センスと言い、楽曲の出来と言い、さすがと言えるだけの 仕上がりになっている。従来よりハードになっている分だけ、 扇情的で、ハード・ロック・ファンにはより 訴えるものがあるはずだ。Heaven、Didn't Iを始め、佳曲と 言えるだけの楽曲がずらりと並んでおり、特にPromisesは名曲と 呼ぶに相応しい。[86]

STILLE VOLK / STILLE VOLK

詳細は全く不明だが、ゴシック・メタル・バンドのアルバム。自ら フォーク・メタルとうたっているが、まさしくフォークと言える 様な民族音楽色の強いサウンドだ。アコースティック・ギターと 民族楽器がふんだんに取り入れられ、楽曲自体はそれなりに アイデアがあって面白い。男性コーラスも決してうまいとは 言えないが、民族音楽的でユニークだ。しかし、それにもまして、 シアトリカルなPATRICK LAFFORGUEのボーカルの不安定さは、 下手と言うよりも不快感を感じさせ、いかんともしがたい。 キーボードのおかずも余計で、聴いていて不快感を倍加させる。 このボーカルとキーボードが他のパートと遊離していて、 聴いていて気持ち悪い。[4]

GREATEST HITS + FIVE UNRELEASED / STEVE PERRY

アメリカのハード・ロック・バンド、JOURNEYのボーカリストの ソロ時代のベスト・アルバム。とは言え、発表した ソロ・アルバムは2枚だけなので、何を今更と思えるが、それでも 名曲Oh Sherrie等は今聴いても素晴らしい。タイトルが示す通り、 5曲、未発表曲が収録されているが、そのうち4曲は1988年に 2ndアルバムとして作られた楽曲で、お蔵 入りになっていたものだ。これらの未発表曲は、出来的には特に 素晴らしいと言う程でもないが、彼らしい歌唱と、それにあった 透明感の高い楽曲で、悪くない。JOURNEY加入前に書かれた If You Need Me, Call Meはもう少しハードで、JOURNEYっぽさも 感じさせる。[83]

KING BISCUIT FLOWER HOUR PRESENTS / STREETS

KANSASのSTEVE WALSHが中心となって結成された、アメリカの ハード・ロック・バンドのライヴ・アルバム。1983年に行われた ライヴをラジオ番組KING BISCUIT FLOWER HOURの放送用に 収録したものだ。これまでこのシリーズで多くのアルバムが リリースされているだけあって、御質的にも非常に安心できる 作品に仕上がっている。楽曲的にはKANSASとはかけ離れており、 キャッチーでシンプルなアメリカン・ロックだ。特に後半は 素晴らしく、So Far AwayやLonely Woman's Cry、Fire、 Streets Of Desireと言った佳曲が並んでいる。この バンドとしては、よりハードで叙情的な楽曲の方が、特に 聴きごたえがある。[85]

STARGATE / STORMWIND

スウェーデン人ギタリスト、THIMAS WOLF率いる ヘヴィ・メタル・バンドの1998年にリリースされたアルバム。 日本盤がリリースされるに当って、ボーナス・トラックが2曲 集録されている。方向的には、いわゆるネオ・クラシカル系と 言われるものだが、そこに女性ボーカル、ANGELICA HAGGSTROMを 入れると言うアイデアが功を奏している。ボーナス・トラックは 時期的にこのアルバムとは別のときに集録されたものの様で、 Tears Of Passionはギター・インストルーメンタルの小品、 ALCATLAZのカバー、Too Young To Die, Too Drunk To Liveは PATRICK GRONLUNDがボーカルを取っている。両方とも 悪くはないが、アルバム本編から比べるとどうと言う事はない 出来だ。[85]

HEAVEN CAN WAIT / STORMWIND

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの3rdアルバム。実際は ギタリスト、TOHMAS WOLFのソロ・プロジェクト的なバンドで、 パーマネントなメンバーは彼だけだ。これまでは、それぞれ女性 ボーカリストを起用して来たが、今作では元CANDLEMASSの THOMAS VIKSTROMを起用している。しかし、THOMAS VIKSTROMと言う 素晴らしいボーカリストを迎えた割には、その結果は今一つ期待 外れと言って良いだろう。このバンドは、ギターを前面に押し 出すよりも、楽曲で勝負するタイプと言って良いが、ボーカルを 生かしきれていない様に感じられる。前作での ANGELICA HAGGSTROMのボーカルが、上手いだけでなく、非常に オーセンティックであったのに対して、灰汁のなさを感じるのは 非常に残念だし、プロデュースによってはもっと何とかなった 思える。ネオ・クラシカル系の楽曲は相変わらず中々良いだけに、 こういう結果になってしまったのは非常に残念だ。[81]

HEAVEN AND EARTH / STUART SMITH

イギリス人ギタリストのデビュー盤となるソロ・アルバム。 方向的には、端々にRITCHIE BLACKMOREの影響が伺えるメロディと フレーズが飛び出して来る。但し、RITCHIE BLACKMOREと 比べると、フォーク調のShadow Of The Tyburn Tree等を除けば、 それ程ブリティッシュ・テイストは強くなく、やや アメリカナイズされた感を受ける。ボーカルにはRICHIE SAMBORA、 JOE LYNN TURNNER、KERRY HANSEN、GLENN HUGHESと言った有名人、 実力者が顔を揃えており、中々圧巻だ。目新しさは 感じられないが、楽曲の出来は安定しているし、安心して 聴いていれるアルバムだ。[82]

THE ULTRA ZONE / STEVE VAI

アメリカ人ギタリストのソロ・アルバム。非常にテクニカルで 癖のあるギタリストだけに、聴くものを選ぶと言って良い人で、 正直言って世間の評価程、好きにはなれなかった。元々ユニークな 事をやる人ではあったが、今作ではインド音楽の女性 ボーカリストを起用している事が、非常に面白い。従来からの テイストを引き継いだ楽曲が中心ではあるが、このインド音楽と 融合したThe Blood And Tears等は、今までにない奇妙な メロディは、非常に心地良さを感じさせてくれる。こう言う部分に 関しては、賛否両論あるかも知れないが、従来の作品よりは 個人的に好きだ。[83]

WISCONSIN DEATH TRIP / STATIC-X

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。バークレー 音楽院出身のKOICHI FUKUDAなる日本人ギタリストが 参加している。このKOICHI FUKUDAを含め、バンド・メンバー中に プログラミング担当者が2人もいる事から判るように、 インダストリアル・メタル的な方向性だ。非常にタイトで リズミカルな中にも、スラッシュ・メタル的な部分がある。 ボーカル・スタイル等は、モダン・ヘヴィネスを思い 起こさせたりするのだが、非常にファンクに感じられるのが何とも 新鮮だ。もう少し、アルバム中で変化が欲しいところではあるが、 出来自体は悪くない。[81]

DARKTOWN / STEVE HACKETT

イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド、GENESIS、GTRの 元ギタリストによる17thソロ・アルバム。方向的にはこう言った バンドでの活動からは少し外れており、陰鬱でメランコリックな 作品に仕上がっている。陰鬱でない楽曲でも、それ程大きな変化は 感じさせず、切々と歌い上げる楽曲が続く。流麗と言う感じも 余りしないし、どちらかと言うと荘厳で非常に地味な アルバムなので、メタル系のリスナーに受けるものとは到底言い 難い。じっくりと落ち着いて、この情感を味わうための アルバムだ。非常に幻想的なムード漂う プログレッシヴ・ロックで、安心して聴いていられる。[83]

BRAVE NEW WORLD / STYX

アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの9年振りの アルバム。DAMN YANKEES、ソロで活躍していたTOMMY SHAW、 JAMES YOUNG GROUPで活動していたJAMES YOUNG、ソロ活動を 行っていたDENNIS DE YOUNGと言った、ソング・ライティングを 担っていた中心人物が揃っているだけに、昔の全盛期そのままの 姿を見せてくれる。NIGHT RANGERのJACK BLADESも ソング・ライティングで参加しているが、そこは心得た 曲作りがされている。A.O.R的なキャッチーさを持った叙情的な 楽曲が揃っており、ときには愁いを帯びたしみじみとした メロディを聴かせてくれる。楽曲の出来は素晴らしく、 再結成しただけの事はあると思わせる、希有なアルバムに 仕上がっている。[88]

LONGS WAY TO HEAVEN / STRANDED

カナダのハード・ロック・バンドのデビュー盤。実態は、AGENTの ギタリスト、TROY REIDとDISTANCE、POKERFACEのギタリスト、 KENNY KAOSによるプロジェクト・バンドだ。TROY REID自身が ボーカルを取っているが、ややだみ声がかったパワフルで ソウルフルなボーカルが中々良い味を出している。方向的には、 ミドル・テンポのメロディアス・ハード・ロックで、その出来は 洗練されていて中々素晴らしい。楽曲にはフックがあって 聴きごたえがあるし、全体的なバランスも良く、KENNY KAOSの ギターもあいまって、情感のある格好の良い作品に 仕上がっている。[87]

...SLAVES OF THE NEW WORLD / STEELHOUSE LANE

アメリカのハード・ロック・バンド、STREETSの元ギタリスト、 MIKE SLAMER率いるバンドの2ndアルバム。方向的には明るく 叙情的で、キャッチーなメロディの アメリカン・ハード・ロックだ。特別飛び抜けた楽曲はないが、 平均的に良く出来ているし、フックがあって勢いも感じられる、 中々聴きごたえのあるアルバムに仕上がっている。アダルトな 雰囲気すら感じられる、TNTや中期のBON JOVIの明るい曲と言った 感じの、キャッチーなメロディの楽曲は素晴らしい。透った 伸びやかなKEITH SLACKのボーカルは、力強くて格好良いし、 バックの演奏も全く問題無い。[84]

NO.4 / STONE TEMPLE PILOTS

アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンドの4thアルバム。 今までのどの作品よりもヘヴィでアグレッシヴな作品 作りがなされており、どちらかと言うとこれまでの整ったポップな バンドと言うイメージだったのを払拭して来ていると言って 良いだろう。ダークさが思ったよりもないので、 ALICE IN CHAINSとはまた違った趣のアルバムに仕上がっており、 No Way Out等は中々斬新で、アイデアも良い。楽曲の出来も 素晴らしいし、ヘヴィネスな作品作りはやや問題作と言えるかも 知れないが、彼等の最高傑作と言っても良いだけの出来だ。[86]

INFINITE / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの8thアルバム。 ジャーマン・パワー・メタル的なエッセンスを持った、叙情的な メロディの居北欧メタルと言う基本的な路線は今更 変るはずもなく、Millennium等、如何にも彼等らしい楽曲が 並んでいる。その一方で、非常にポップなHunting High And Lowや スロー・バラードのMother Gaia、明るめのFreedom等、これまでと やや違った印象を受ける部分がある。その他にも、 オーケストラレーションや聖歌隊を大胆に導入したり、これまでの ワン・パターンの作品に幅を持たせ様と言う工夫は見える。それが 成功しているかどうかと言うと、微妙なところだが、これまでの ファンにしても大きく外す事はないだろう。[82]

MESSIAH / STEEL PROPHET

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム。方向的には、 ドラマティックな正統派ヘヴィ・メタルと言えるもので、展開の 流れによってはIRON MAIDEN的なメロディ展開も感じられるが、 もっと普遍的でヨーロッパ的なエッセンスを感じさせる作品に 仕上がっている。そう言う意味ではイタリアのバンド等に近い 感覚があり、メロディアスでドラマティックなヘヴィ・メタルを 聴かせてくれている。ボーカルのRICK MYTHLASINは、非常に透った 声質のボーカルで、声域も広く中々の歌声を聴かせてくれている。 楽曲の出来も悪くないし、叙情的でドラマティックな ヘヴィ・メタルが好きならば結構いけるはずだ。[82]

WHERE MANKIND FAILS / STEEL ATTACK

ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム。如何にもヨーロッパ B級パワー・メタル・バンドと言った感じの、ファンタジー 英雄もの的なダサいジャケットを見て想像させる通りの内容だ。 この手のものとしては、ジャーマン・パワー・メタル的な エッセンスを加えているが、そう言った部分はそこまで強くなく、 大仰過ぎると言った感じはしないのが好感が持てる。メロディを はっきりと前面に打ち出しており、これが芋臭いのだが、中々 叙情的でドラマティックでもある。プロダクション、メロディ、 楽曲とも出来は悪くないし、アレンジ等は中々良くて 聴きごたえのある作品に仕上がっている。[81]

RESURRECTION / STORMWIND

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの4thアルバム。元々 ギタリストのTHOMAS WOLFによるプロジェクト的 バンドであったが、メンバーが固定されバンド的な形態として 機能する様になった様だ。前作では元CANDLEMASSの THOMAS VIKSTROMを迎えたが、今作でも引き続き彼がボーカルを 取っている。前作では楽曲とTHOMAS VIKSTROMのボーカルの噛み 合わせが悪く、フックに今一つ欠ける作品となっていたが、 今作ではそう言う欠点はかなり解消されている。楽曲によっては PRAYING MANTISを思い起こさせる様な流麗なメロディを出して来る 場面もあるが、基本的にはもっと様式美的でオーセンティックな 作品に仕上がっている。元々ネオ・クラシカル的なアルバムを 出していたが、今作ではそこまでクラシカルと言った感じはなく、 控えめに作られている。楽曲は良いし、演奏的にも素晴らしく、 Seven Seasと言ったバラードも織り交ぜて、中々格好の良い アルバムに仕上がっている。[87]

TRANSITION / STREET TALK

スウェーデンのハード・ロック・バンドの3年振りとなる 2ndアルバム。実質はキーボードのFREDRIK BERGHによる ソロ・プロジェクトとも言えるバンドで、ボーカルは前作に引き 続き元MADISON、GLORY、YNGWIE MALMSTEENのGORAN EDMANが 取っている。方向的にはアメリカナイズされた爽快な ハード・ポップで、叙情的な愁いのあるメロディに北欧的な 色合いも感じられる。こう言うソフトな楽曲で歌うGORAN EDMANの ボーカルは中々良く合っており、彼の歌唱力の幅の広さを 感じさせてくれる。リラックス下雰囲気の楽曲で、派手さはないが 良く出来ているアルバムだ。[84]

DECLARATION OF A HEADHUNTER / STUCK MOJO

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの4thアルバム。ミクスチャー 的な色合いがあって、ヘヴィなリフにBONZのラップ型のボーカルと DAN DRYDENのデス・ボイス型のだみ声が妙なのりを作り 上げている。非常にパワフルで重厚なサウンドで、これまでの 彼等と違うのは、ときには叙情的な哀愁のギター・メロディを 入れて来たりする事で、このアイデアも上手く生かされていて、 中々素晴らしい作品に仕上がっている。この手のバンドとしては この哀愁味が独特の味わいを出しており、旧来の部分との温暖さが 楽曲に展開をもたらしていて一本調子になっていないのに好感が 持てる。[84]

AS THE CROW FLIES / STEVE VON TILL

アメリカのヘヴィ・ロック・バンド、NEUROSISのボーカリスト兼 ギタリストによる初のソロ・アルバム。アコースティック一辺倒の 作風は、NEUROSISとは趣を異にするかも知れないが、ダークで 陶酔感を感じさせる様な雰囲気は、NEUROSISのそれを引き 継いでいると言って良いだろう。スロー・テンポの楽曲を静かに アコースティック・ギターをかき鳴らし、絶望感を感じさせる彼の ボーカルが延々と口ぶさみ続ける様は、不気味さを感じさせる程 愁いに満ち溢れている。これを延々と聴いていて楽しいかどうかと 言うのは疑問だが、彼の紡ぎ上げる世界観から感じられる重圧感は 凄まじいと言っても良いだろう。[83]

CANDYMAN / STEVE LUKATHER

アメリカのロック・バンド、TOTOのギタリストによる1994年に リリースされた、5年振りとなる2ndソロ・アルバム。 インストルゥーメンタルも2曲含まれているが、基本的には 歌もので彼自身が歌っている。方向的にはTOTOの洒落た楽曲とは やや違い、ジャジィーであったりブルージィであったりする ハードなロック・アルバムと言った感じの作品に仕上がっている。 Never Walk AwayやFrothと言った10分近い曲もあり、全体的に 非常に尺が長い。叙情的な愁いを帯びた楽曲もあるが、熱さを 感じさせる作品で、彼の熱唱がそう言った感をより一層 強くさせている。[82]

A MILLION LIGHT YEARS AWAY / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドのアルバム、 INFINITEからの2ndシングル。シングル・カット曲の タイトル・トラックに、アルバム収録曲の アコースティック・バラード、Celestial Dream、未発表 音源であるライヴが2曲の全4曲と言う構成になっている。ライヴ 音源は2000年に行われたフランスでの公演の模様を収めたもので、 PhoenixとInfinityが収録されている。ライヴ音源は録音状態も 良く、9分を超えるInfinity等は中々壮観だ。バランス的にかなり リズム隊が押し出された音になっているので、それが少し 気になるかも知れない。[77]

THE 7TH SONGS / STEVE VAI

アメリカ人ギタリストによるコンピーレーションの企画盤。 これまでアルバムの7曲目にには必ずバラードが 収められてきたが、それらのバラードと新曲からなる ギター・インストルゥメンタルのアルバムだ。彼らしい テクニカルなプレイも随所に見られるが、バラードと言う 事もあって、基本的にミドル・テンポからスロー・テンポの 楽曲からなっており、どちらかと言うとじっくり聴かせると言った 感じのアルバムに仕上がっている。既発曲が中心ではあるが、 彼としては、また別の魅力を感じさせてくれ、中々味わい深い 作品となっている。[82]

SEASONS OF IMAGINATION / STRAMONIO

イタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドのアルバム。 方向的にはいわゆるDREAM THEATERのフォロワーと言えるもので、 複雑な曲展開を入れながらも、叙情的なメロディの ヘヴィ・メタルを聴かせてくれている。バイオリンやフルートを 導入したりしているのはともかくとして、パートによっては ファンクやフュージョン的な色合いを出していたり、何とか オリジナリティを出そうと言う努力の跡は伺える。 プログレッシヴ・メタルをやるだけの演奏力もあるし、 FREDERICO DE VESCOVIの透った線の細いボーカルも楽曲に 合っている。複雑な曲展開にしてはややあっさりしている様に 感じられるのは、シンフォニック色が強く、ヘヴィさが抑え 目になっているためだろうか。[80]

HEAVEN'S CALLING / STEEL WINDOW

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。方向的には 産業的な香りのするヘヴィ・メタルで、 アメリカン・プログレッシヴ・ハード辺りの影響が伺える。 憂いのあるキャッチーなメロディ聴き心地が良く、伸びのある KEVIN HUMPHREYのボーカルも彼らの音楽性に良く合っている。 キーボードをふんだんに使っており、叙情感を否応にもしている。 部分的にはDOKKENやFIREHOUSEっぽいメロディも出て来たりして、 如何にもアメリカの叙情はヘヴィ・メタルと言った感じなのだが、 BOSTONやKANSASと言ったエッセンスも持ち合わせている。 プロダクションが今一つだが、それ以外の点に関しては決して 悪くない作品に仕上がっている。[80]

MACHINE / STATIC-X

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2年振りの2ndアルバム。 日本人ギタリスト、福田耕一が脱退し、元DOPEのTRIP REX EISENが 加入している。方向的には、最近流行りのいわゆるモダンな ヘヴィ・ロックなのだが、この手のものとしてはリフを前面に押し 出したグルーヴな作品だ。全体的にWHITE ZOMBIE等にも通じそうな 跳ねたリズムを使っており、非常に面白い作品に仕上がっている。 ヘヴィな作品ではあるが、デジタル的な音がかなり強く出ていて、 インダストリアル・ロック的な味わいも感じられる。楽曲の出来も 良いし、非常にグルーヴ感があるので、のりが良く出ている。[84]

INTERMISSION / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィ・メタル・バンドの企画盤。新曲が4曲、 ライヴを含むカバーが3曲、これまでボーナス・トラックとして リリースされていたものが7曲、ライヴが1曲の全15曲と言う 構成となっている。新曲はThe Curtains Are Fallingは彼等らしい 楽曲だが、それ以外は北欧らしい哀愁は感じられるものの、 スローなナンバーで彼等としてはやや趣が異なる楽曲だ。Requiem 等は単なるSEで、曲と言う程ですらないので、新曲にはそれ程 過大な期待をしない方が良いだろう。カバーのうち、 JUDAS PRIESTのBloodstoneとRAINBOWのKill The Kingは既発表 音源なのでそれ程有り難味はないが、RAINBOWのI Surrenderは 初出で、オリジナルに忠実で悪くない。ボーナス・トラックを 集めたものは、日本盤には収められていないものも多いので、 いちいち集める事を考えれば有り難い事は有り難い。[79]

SHANGRIーLA DEE DA / STONE COLD TEMPLE PILOTS

アメリカのグランジ・バンドの2年振りの5thアルバム。 グランジ・ブームにおいて、NIRVANAに次ぐ人気を誇っていたが、 この作品ではそのグランジ的なうねりがこそげ落ちて来ている。 グランジ的な色合いを薄め、より純粋にロックとしてのメロディの 魅力を押し出した作品と言って良いだろう。楽曲の出来もそれに 相応しいだけのクオリティを誇っており、そのキャッチーな メロディ・センスを十分に感じる事が出来る。グランジ的な うねりを無くしてしまった分、幾分楽曲のフックが 減退しているのが残念だが、それを補って余りあるだけの メロディの良さがある。[83]

GLOSSOLALIA / STEVE WALSH

アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンド、KANSASの ボーカリストによる20年振りのソロ・アルバム。元STRETS、 STEELHOUSE LANEのギタリスト、MIKE SLAMER等が参加している。 方向的にはKANSASがそうである様に、いわゆる プログレッシヴ・ハード・ロックと言えるもので、KANSASよりも 変則的な感じがするものの、ポップなセンスが良く出ているので それ程聴き難くもない。JIM ROBERTSのハモンド・オルガンと MIKE SLAMERのギターが前面に出ていて、サウンド自体は意外と ハードで聴き応えがあるし、楽曲もドラマティックで中々良い 出来だ。[83]

STABBING WESTWARD / STABBING WESTWARD

アメリカのロック・バンドの3年振りとなる4thアルバム。 音楽的にはいわゆるインダストリアル・ロック、 オルタナティヴ・ロックと言ったところなのだが、このアルバムが これらの多くのバンドと大きく違っているのは、ゴシック・ロック 的なエッセンスも取り入れて、非常にメランコリックな作品に 仕上げている事だろう。そう言う意味では、今の流行の ジャンルでありながらも、若干そう言った部分とはずれた姿勢が 面白い。憂いを帯びたキャッチーなメロディは非常に聴き易く、 アイデアも良いし、素晴らしいアルバムと言って良いだろう。[89]

PERFECT SELF / STEREOMUD

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。元STUCK MOJOの ベーシスト、COREY LOWERY、元LIFE OF AGONYのギタリスト、 JOHN Z.とドラマーのDAN RICHARDSON等によるバンドだ。 方向的にはモダンなヘヴィ・ロックと言えるものだが、全体的に 跳ねたリズムが強く押し出されていてのりが良く、意外と キャッチーなメロディで、最近のヘヴィ・ロックに見られる ダークさは余り感じられず、中々聴き易い作品に仕上がっていると 言って良いだろう。そこにPANTERA的なアグレッションの効いた パワフルさが盛り込まれていて面白い出来だ。メロディ・センスの 良さが感じられるアルバムで、楽曲も良く出来ている。[82]

LANGUAGE OF THE HEART / STAN BUSH

アメリカ人シンガー・ソング・ライターの3年振りの ソロ・アルバム。方向的には如何にも彼らしい優良な アメリカン・メロディアス・ハード・ポップで、彼が兼業している ONLY CHILDやSTUN BUSH & BARRAGEと言ったバンドと比べると、 それ程大きな違いがある訳ではないが、よりアメリカン・ロック 然としていると言って良いだろう。楽曲は全て彼と CURT CUOMOによる共作で、その出来は流石と思わせるだけのものに 仕上がっている。叙情的なメロディにエモーショナルな彼の ボーカル、適度なフックもあって、その出来はかなり素晴らしい 内容と言って良いだろう。[85]

WORLD LIVE 2001 / STYX

アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドのライヴ盤。 2000年に行われた日本とドイツ、2001年に行われたアメリカでの 公演の模様を収めたものだ。何故続けてライヴ盤が リリースされたのかは判らないが、ARCH ALLIESと楽曲は 重複していないし、大ヒット曲のRockin' The Paradiseや Boat On The Riverも含まれていて、決して残り物と言った 感じはなく、それは納得出来るところだろう。中心人物の 一人であるDENNIS DE YOUNGが参加していないため、基本的に TOMMY SHAWが中心の、シンプルなロックンロールと言う色合いが 強くなっている。DAMN YNKEESのHigh Enoughまで 演奏されているのは、その表れと言って良いだろう。[80]

ALIVE IN AN ULTRA WORLD / STEVE VAI

アメリカ人ギタリストの2枚組ライヴ盤。1999年から 2000年にかけて行われたTHE ULTRA ZONEのツアーの模様を 収めたものだ。公演各地で、その国のための新曲を演奏し、音源を 集めると言ういまだかつてないユニークな発想の元作成された アルバムだ。そのため、シャンソン風のものがあったりと、やや 方向性に統一感はないが、アルバムの趣旨を考えると当然だろう。 いろんな地方のイメージを出すためだろうが、彼としては どちらかと言うとメロディに主眼が置かれていると言って良い。 異国情緒があって、部分的にはMARTY FRIEDMANのソロ等を思い 起こさせる。[85]

LUKE / STEVE LUKATHER

アメリカのロック・バンド、TOTOのギタリストによる1997年に リリースされた3年振りの3rdソロ・アルバム。 元OZZY OSBOURN BANDのベーシスト、PHIL SOUSSAN、 元DAVID REE ROTHのドラマー、GREGG BISSONETTE等を迎えて 作成されている。1960年代から1970年代にかけての郷愁を 感じさせる様な古典的な部分も感じられるロック作品だが、 一方ではLove The Things You Hate等、楽曲によってはかなり ハードなものもある。前作同様、彼自身がボーカルを 取っているが、ブルージィなTears Of My Own Shame等、味わい 深い楽曲も多く、悪くないアルバムだ。[80]

REFLECTIONS / STORMWIND

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの5thアルバム。 基本的には前作の延長線上と言える、北欧らしい叙情的な メロディのクラシカルなヘヴィ・メタルをやっているのだが、 新たなアイデアも盛り込まれており、意外と新鮮さも感じさせる 作品に仕上がっている。元TALK OF THE TOWN、CANDLEMASSの ボーカリスト、THOMAS VIKSTROMが引き続き歌っているが、ここに オペラティックなコーラスを被せる事によって、非常に ドラマティックな雰囲気を醸し出している。THOMAS VIKSTROMの ボーカルとの取り合わせが今一つしっくりしないと 感じていただけに、こう言ったアイデアは非常に良い 結果をもたらしていると思うが、 ライヴではどうするつもりだろうか。[83]

AT THE GATES OF UTOPIA / STORMLORD

イタリアのブラック・メタル・バンドの2ndアルバム。方向的には オーケストレーションを大胆に導入した、いわゆる シンフォニック・ブラック・メタルと言えるものだが、この 手のものとしてはブラスト・ビートもきちんと主流において、最も ブルータルな作品に仕上がっている。オペラティックなボーカルを 入れ、邪悪さを否応にも増しているそのアイデアも悪くない。やや メロディを押し出し過ぎていると言う気はするが、 ブラック・メタルらしいブルータルなアグレッションに荒涼とした メロディが渾然となって、邪悪な狂気を醸し出し、中々聴き 応えのあるアルバムだ。[84]

FALL INTO MADNESS / STEEL ATTACK

ドイツのパワー・メタル・バンドのアルバム。方向的には HELLOWEEN等に影響を受けた、いわゆる ジャーマン・パワー・メタルの流れを汲むバンドと言って 良いだろう。ドラマティックで大仰な臭い楽曲は、如何にも ジャーマン・パワー・メタルと言う感じをさせる。ただし、そう 言ったエッセンスを取り入れながらも、憂いがあってより汎用的な ヨーロピアン・パワー・メタル仕上げているのが彼等の 特色となっている。楽曲としてはこの手のものとしてもかなり アップ・テンポが中心で、疾走感を感じさせてのりはある。 ただ、ジャケットを始め、メロディの臭さ等、如何にもB級的な 感じをさせるアルバムだ。[81]

SPLIT DECISION / STEVE MORSE BAND

アメリカのハード・ロック・バンドの6年振りとなる7thアルバム。 元KANSAS、DIXIE DREGSで、現DEEP PURPLEのギタリスト、 STEVE MORSE率いるバンドだ。内容的にはいわゆる インストルゥーメンタル作品で、当然彼のギターを押し出した テクニカルなロックを聴かせてくれている。音楽的には、非常に ジャジーな感じのするフュージョン的な印象を強く受ける。 テクニカルとは言え、変に速弾きにだけ走る事も当然なく、 じっくり聴かせる部分もある。ボーカルがなくても聴き 飽きさせないし、味わいのある良いアルバムに仕上がっている。 [82]

STONE SOUR / STONE SOUR

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドのデビュー盤。SLIPKNOTの ボーカリスト、COREY TAYLORとギタリスト、JAMES ROOTを 中心とするバンドだ。COREY TAYLORのソロ名義でSPIDER-MANの サウンド・トラックに収められていたBotherも収録されている。 COREY TAYLORが歌っているので、当然SLIPKNOT的な風味を 感じさせる作品だが、あれ程激烈でラウドな面を先鋭化させた 印象はなく、より歌メロを押し出したアルバムと言って 良いだろう。SLIPKNOTとどうしても比べてしまうし、今聴くと どうしてもSLIPKNOT程のインパクトが感じられないが、悪くない 作品だ。[82]

WE WILL RISE / STEFAN ELMGREN'S FULL STRIKE

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンド、HAMMER FALLの ギタリスト、STEFAN ELMGRENによるソロ・プロジェクトの アルバム。方向的にはメロディアスなパワー・メタルと 言えるもので、HAMMER FALLでやってもそのまま 通じそうなものもあるが、基本的にはより ジャーマン・パワー・メタル的な色合いが強いと言えるだろう。 楽曲によっては、よりストレートな叙情派ヘヴィ・メタルと言う 部分もあり、北欧らしい憂いを感じさせてくれて悪くない。ただ、 Niclas Johanssonのボーカルもそうなのだが、全体的にやや パワフルさに欠ける感じがするのが残念だ。[78]

AMERICAN MAN / ST.JAMES

アメリカのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。BLACK'N BLUEの 元ボーカリスト、JAIME ST.JAMESを中心としたバンドだ。 方向的には、如何にもアメリカらしい、ノリの良い ロックンロール的な色合いを強く押し出した作品だ。メロディ 辺りはKISSの影響等も感じさせるところがあり、昔懐かしさも 感じさせる。Generation Suicide辺りは、 メロディック・ハード・コアっぽさを感じさせ、やや雰囲気に そぐわないと言う気もしなくはないが、楽曲の粒は揃っている。 ある意味、目新しさはないのでインパクトを与えてくれる様な 部分はないが、出来は悪くない。[80]

RESTORATION / STREET TALK

スウェーデンのハード・ロック・バンドの2年振りの3rdアルバム。 キーボードのFREDRIK BERGHによるソロ・プロジェクトで、 ボーカリストにはこれまで通り、元MADISON、GLORY、 YNGWIE MALMSTEENのGORAN EDMAN取っている他、元VALENTINE、 OPEN SKYZのHUGOも参加している。如何にも北欧らしい、 透明感のあるポップなメロディのハード・ロックで、叙情的で 洗練されたメロディが満載されている。ギターはやや畑違いとも 言える、GALLEONのSTEVE LARSSONが弾いているが、彼のプレイが また中々良い。産業ロックとも言えそうな、流麗で流れの良い 作品だが、その一方で今一つインパクトに欠ける部分はある。[83]

ELEMENTS PT.1 / STRATOVARIUS

フィンランドのヘヴィー・メタル・バンドの3年振りの 9thアルバム。そのタイトルが示す通り、続編を想定した作品で、 次作と2枚の組になっている。そのためか長めの壮大なナンバーが 多く、タイトル・トラックのElementsは12分にも及ぶ 大作になっている。そう言った壮大さのためか、彼等としては アップ・テンポの楽曲の割合が低く、逆にやや間延びした印象を 受けなくもない。もちろんLearning Fly等の様な速い 楽曲もあるのだが、これらの楽曲は既に聴き飽きた 感もあるだけに、大曲に感じられる欠点をカバーしているとまでは 言い難い。[82]

STORMWARRIOR / STORMWARRIOR

ドイツのヘヴィ・メタル・バンドのデビュー盤。プロデューサーを GAMMA RAYのKAI HANSENが担当している事から、おおよそ想像が 付く通り、いわゆるジャーマン・パワー・メタルと言えるものだ。 そのスタイルの中でもかなりオーソドックスなもので、それ程 大仰なドラマティックさは、割と控えめな方だ。HELLOWEENと 言ってもかなり初期っぽいもので、RUNNING WILD辺りにも近いが、 時折臭いメロディも顔を出す。それ故、今一つ洗練されていない 様にも感じられるが、案外意識してそうしているのではないかと 思える。初期ジャーマン・パワー・メタルへのリスペクトが 感じられ、郷愁を誘われる。[82]

HEAVY TRAFFIC / STATUS QUO

イギリスのロック・バンドの4年振りのアルバム。今やイギリスの 国民バンドと言える存在となってしまっているが、それに違わぬ 内容に仕上がっている。彼等らしい軽快でノリの良いブギーは、 非常に心地よく聴いていられる。The Oriental辺りの ミドル・テンポの跳ねたリズムのブギーも非常に印象的だ。 目新しさとかそう言ったものはないが、このバンドはそれで 問題ないと言う存在になっているのだから、よりハード・ブギーな アルバムとなっているのはまさに正解なのだ。ポップでノリの良い 彼等の世界が存分に堪能出来るアルバムと言って良いだろう。[85]

CYCLORAMA / STYX

アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンドの4年振りの アルバム。前作では経年変化を通した渋みを感じさせる 作品となってしまっていたが、今作では往年の彼等らしい部分が より出て来る様になっている。Kiss Your Ass Goodbyeの様な パワー・ポップ風の楽曲もあるが、全体的には彼等らしい キャッチーなアメリカン・ロックの楽曲が揃っており、流石と 思わせるだけの作品に仕上がっているし、These Are The Times 等、佳曲と言えるものもある。ただ残念なのは、中心人物の 1人でもあるボーカリストのDENNIS DE YOUNGが今作では 参加していない事だろう。[83]

EVERY GIVEN MOMENT / STEREOMUD

アメリカのヘヴィ・ロック・バンドの2年振りにリリースされた 2ndアルバム。意外とキャッチーなメロディのヘヴィ・ロックで、 ダークさを感じさせるバンドも多いが、彼等はウェットに 感じさせるところも少々あるものの、明るいポップさが良く 出ている。そのため、あまりシニカルになる事もなく、この手の バンドとしてはかなり聴き易いと言えるだろう。その割には ヘヴィなサウンドを入れて来るので、タイトでテンポの良いリフも 相俟って、メタル側のリスナーでも十分聴けるものだし、 グルーヴィで意外に聴き応えのあるアルバムとなっている。[82]

RISING SYMPHONY / STORMWIND

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドの2年振りの7thアルバム。 方向的にはこれまで同様、正統派の様式美系の メロディアス・ヘヴィ・メタルと言えるものだ。北欧らしい澄んだ 透明度の高い叙情派のメロディが満載され、日本人好みの メロディを聴かせてくれている。何と言っても素晴らしいのは、 元CANDLEMASSのボーカリスト、THOMAS VIKSTROMのパワフルで 美しいボーカルで、よりパワフルでドラマティックに盛り上げて 行ってくれる。今の北欧メタル・シーンでは最も素晴らしい ボーカリストの1人に挙げれるだけに、彼のボーカルを聴く 為だけでもこのアルバムには価値がある。[83]